2018年8月13日号(e船団書評委員会)

鈴木ひさしの推す1冊


大岡信・谷川俊太郎著
『詩の誕生』

本の画象

 対談自体は1975年。同年生まれの二人は、おたがいを、谷川、大岡と呼び合う20年以上の旧知の仲。気力も体力もある二人の対談は、緊張感を保ちつつ、しばしば共に思考の底へ深く降りていく。大岡「詩はいつまでも存在しているものではなく、どこかに向かって消滅していくものなのだ」。詩は不定形の生きものなのかもしれない。生き物には死があるが、一度死んでしまった詩を生き返らせることができるのは読者だ。大岡「伝統は毎日毎日変わっているのだ」。谷川「言葉が機能するためにはやっぱりうたげの場が必要じゃないか。」詩が生き返るのはうたげの場、新しいことばのうたげはどこかではじまっているのだろうか。

岩波文庫(600円+税)
2018年6月刊


若林武史の推す2冊

佐藤 優著
『国語ゼミ』
 AI時代を生き抜く集中講義

 この本を読まなければ宇野弘蔵『経済原論』やアーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』すら知らなかっただろう。佐藤氏が目指すところは総合知をつくることにある。目的的な読書がその念頭にある。確かな文章を確かな読解力をもって読む「知識人」を増やすこと。佐藤氏の強い思いはそこにあるようだ。

本の画象

NHK出版新書(780円+税)
2018年6月刊
全国不登校新聞社編
『学校に行きたくない君へ』
 大先輩たちが語る生き方のヒント

 「全国不登校新聞」に掲載された、各界の著名人20人が不登校生徒に向けて語ったメッセージがまとめられた一冊。不登校でなくても人生のいろいろに思い悩む人にとって有益な言葉が多く、ためになる。こんな有名な人がこんなことを考えていたのだと知るだけでもいいと思う。気持ちが楽になります。

本の画象

ポプラ社(1400円+税)
2018年8月刊


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