2019年3月18日号(e船団書評委員会)

舩井春奈の推す2冊

谷川俊太郎著著
『幸せについて』

 いつもなら手にせぬ題名。それでも手にしたのは、その日とびきり幸せだったから。職場への一本の電話が、大きな花丸だったのだ。涙が溢れ出た。他人の幸せってこんなにも嬉しいものなのか。この本を見ても幸せの形って様々だなって思う。

本の画象

ナナロク社(1000円+税)
2018年11月刊
蛭田亜紗子著
『フィッターXの異常な愛情』

 気づけば顔色を伺ってばかりの毎日。人と人との調整に疲れたある日、久しぶりに近所のデパートに行ったところ見つけたのがこの本。私もこういう店員に出会いたいな。

本の画象

小学館(580円+税)
2018年9月刊


赤石 忍の推す1冊


ウェップ編集室編
「WEP 俳句通信」108号

本の画象

 特集「虚子の現在・現在の虚子」は読み応えがあり面白かった。面白いという意味は決して理解し得たという事ではなく、俳壇もしくは俳句研究者の主だった方々の視点で、虚子を見つめた事がなかったに過ぎない。子規や漱石を取巻く一人として興味はあったが、俳句作者として、俳壇指導者として捉え直すと、異なる虚子像が現れるのは当然の事。客観写生で大衆化を展開し、花鳥諷詠で思想性を明確にして他派を凌駕する俳壇政治家としての虚子。「選は創作なり」という強烈な意志で他との峻別化を図る。こう列記してみると、俳句を家業として独占するに行着くのも頷ける。しかし、これも多分に表層的な把握に過ぎないのだろうが、虚子を再度、捉え直す必要性があると各人が述べている事だけは理解できた。ただ現在の俳壇ガラクタ化に歯止めをかけるためにという名目で、虚子に見る俳壇強者の再度の出現を希求するのはいかがなものか。俳壇ヒエラルキーの新たな構築に繋がる、とはならないだろうか。

ウェップ編集室(926円+税)
2019年2月刊

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