2017年3月27日号(e船団書評委員会)

舩井春奈の推す1冊


蔵前幸子著
『こちさ短編集』

本の画象

 船団でご一緒の蔵前幸子さんが短編散文集を上梓された。十七音を飛び出た言葉は、様々な時代になり、世代となり、自在に変化(へんげ)する。俳句にまつわる散文は三作品ほど、加えて俳諧に取材した作品で締めくくられる。『S君に会いたい』では「チワワ拾って届けた……」の句を竹輪が良いと修正される。S君は船団っぽい。

沖積舎(2000円+税)
2017年2月刊

松永みよこの推す2冊

三好達治著
『諷詠十二月』

 近代詩を代表する詩人、三好達治は十歳で漱石を耽読、十四歳で「ホトトギス」を購読した早熟かつ博学の人。文章が書かれたのは昭和十三年だが、当時の現代俳句を「今日の風潮、細密にすぎ繊細にすぎ而して本質的把握力に於て反つて薄弱なる風流風雅」と看破している点に、彼の先見性と、現代俳句に対する憂いを感じ取った。

本の画象

 講談社文芸文庫(1500円+税)
2016年12月刊
川上徹也著
『一言力』

 この本は、「一言力」=言い切る力は、日々の練習により誰にでも身につき、その力の価値は一生もの!と明るさに満ちている。だけど、筆者が「一言力」を駆使して、切り落とした部分に目を向けず、自分に都合の良い情報だけを鵜呑みにしたら……「そりゃ、危険だわい!」と、勉強法の本を集め眺めていた受験時代を思い出した。

本の画象

幻冬舎新書(800円+税)
2016年11月刊

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