2018年1月15日号(e船団書評委員会)

鈴木ひさしの推す1冊


内田樹・安田登著
『変調「日本の古典」講義』

本の画象

 はたして、「古典」は書かれた時のままに理解されているのだろうか。『論語』は、漢の時代に孔子を聖人として祀りあげ国家宗教とするため、意図的なミスリーディングが行われた、とするのが安田氏の主張である。安田氏によれば、『論語』の「不惑」は、自分に制限をつけない、という意味になる。孔子の放浪の本当の目的は何だったのだろうか?呼吸をコントロールできる人類と鳥類には歌があり、歌はやがて言葉に昇華していく。なるほど!「オヤジギャグとは常に抱いている音の世界への郷愁が時々抑えようもなく漏れてくるものである」(?)
 この本に出てくる様々な話は壮大なファンタジーの一場面のようである。二人の話はどんどん深みに入り、時々トリビアの世界に入っていくのだが、かならず、今日の日本、日本人の課題を考える手がかりとなっている。お互いをおもしろがる二人の対談が絶妙におもしろい。

祥伝社(1600円+税)
2017年12月刊


若林武史の推す2冊

高橋源一郎著
『ぼくたちはこの国を
 こんなふうに
 愛することに決めた』


 小学生「ランちゃん」とその仲間達が「くに」をつくる。その過程の中で「くに」とは何か、生きるとはどういうことかが語られる。「こんなふうに愛すること」は本文で具体的に語られない。本文全体からの香りのようなものとして感じ取られるものである。その点において、これは小説として読むべき一冊である。

本の画象

集英社新書(860円+税)
2017年12月刊
BRUTUS 2018年1/1・15号
「危険な読書」

 「危険な」とは、いわゆる道徳的な読書啓発ではないという意味。紹介される本の内容の偏りもさることながら、これらの本を紹介する側にもある種の偏向が感じられる。そんな頁の中に佐藤文香と山田航の句集と歌集の特集「ぞっとする俳句、短歌」の頁がある。俳句も紹介されていてよかったねという思いで読んだ。

本の画象

マガジンハウス(680円+税)
2017年12月刊


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