2017年6月26日号(e船団書評委員会)

今泉凡蔵の推す2冊

笹 公人著
『ハナモゲラ和歌の誘惑』

 昔流行ったハナモゲラ。みじかびの、はあまりに有名。ひいらぎの かほりやまめて せせらぎる どぜうてふてふ くましかこりす(山下洋輔)。言葉の意味ではなく、韻律にその主体がある。なだらそう きよひにきらり しらきぬの ひとひらひらに みどりたちまち(糸井重里)。山路きて、さて、どっち向いて歩こうか。

本の画象

小学館(1300円+税)
2017年4月刊
窪薗晴夫編
『オノマトペの謎』
ピカチュウからモフモフまで

 音に意味がある、なんて不可解? ところがギッチョン! 本書では、クスクスとスクスクは、なぜ違うのかが音に即して解説してある。同じオノマトペでも時代で意味が変化してきたもの、外国語との関係などが語られる。俳句はオノマトペに馴染む、とか。では、古池や、にはどんな音が似合うか。チャポンかポチャンか。それとも…

本の画象

岩波書店(1500円+税)
2017年5月刊

香川昭子の推す2冊

川上弘美著
東京日記5
『赤いゾンビ、
青いゾンビ。』


 あきらかに、つくりごとだなとわかる時以外は、たいがい、ほんとうのことという日記。たとえば「四月某日晴 日本のいちばん左側にあるデパートは、どこ? 十秒以内に答えないと、呪われます。と、夢の中で言われている。答えられず、あせる」。妙なこと、愉快な文章がいっぱい。どれも簡潔であり、ゆるい。どこか変。

本の画象

平凡社(1300円+税)
2017年4月刊
柴田元幸編集
「モンキー」vol.11
特集 ともだちがいない!

 詩、短編小説、エッセイ、インタビュー記事などからなる雑誌。 なんということのない平易な言葉で、しょぼい生活を描いた「アダルト・ブックストア店員の一日」という海外の短編など新鮮。またインタビューで村田沙耶香は「いろんな読み方ができる話が好き」と言う。谷川俊太郎の詩も10編。読みやすいけど不思議な一冊。

本の画象

スイッチ・パブリッシング(1200円+税)
2017年2月刊

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