2017年5月29日号(e船団書評委員会)

太田靖子の推す2冊

倉坂鬼一郎著
『猫俳句パラダイス』

 猫俳句を集める中で「子細」を「仔猫」と読み間違える程に。鬼貫の「猫の目のまだ昼過ぬ春日かな」に、忍者が猫の目から時間を認識していたと知る。稔典さんの句も6句。猫をなにと結び付け、猫のなにを詠むことが多いのかと「猫」の本意とも言えるものを見つける読み方もできる。新しい「言葉の猫」を発見する楽しみもあるかも。

本の画象

幻冬舎新書(780円+税)
2017年4月刊
小野恭靖著
『古典の叡智』―老いを愉しむ

 人が老いた時、古典文学が心の支えになるのではないかとの考えに基づく。老いの後悔や美意識、無常などの章も。老後、仲間と交わって社会参加する重要性を認めつつ、心静かに自分と向き合う時間を作る事の大切さが『徒然草』の「閑かならでは道は行じ難し」の中に。「朝ニハ紅顔アリテ、夕ニハ白骨トナレル身ナリ」は『御文』に等々。

本の画象

新典社(1700円+税)
2017年2月刊

静 誠司の推す2冊

学校法人神奈川大学広報委員会編
『17音の青春 2017』
五七五で綴る高校生のメッセージ

 今年で第19集となるこの句集を初めてまともに読んでみた。うまい。惰性で俳句を続けている自分にはないひたむきさがまぶしく、50年も生きている自分は何なんだろうとうつくむく。彼らには同時収録の選者の先生方の選考座談会など気にしないでこれからも句作を続けてほしと切に願う。
 青嵐「良い人」なんて脱ぎ捨てよ  吉沢美香

本の画象

 KADOKAWA(700円+税)
2017年3月刊
陽山道子著
『犬のいた日』

 船団の会俳句とエッセーシリーズからの一冊。作者の愛媛での少女時代、日常生活の一端、そして「連れ合い」の実態が明らかとなり、作品や人柄への理解が深まる。個人的には「筆箱」が好き。モノへの愛、家族への愛が心に染みる。それ以外の文章からもヒトや生き物、草木や時間への立ち位置がとても素敵な感じに伝わってくる。

本の画象

創風社出版(1400円+税)
2017年4月刊

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