俳句 e船団 週刊ブックレビュー

2010年 9月 6日号(e船団書評委員会)

木村和也の推す2冊


金子兜太著
人間
『金子兜太のざっくばらん』

 インタビュー記事や講演録なので、大変読みやすい。米寿を過ぎた金子兜太がますます旗幟を鮮明にしているところがおもしろい。この俳人の最近の口癖となっている「生き物感覚」や「アニミズム」も、自然に直にとことん触れる経験から生まれているのだということがすっきり読み取れる。

本の画象

中経出版(1500円+税)
2010年8月刊
小林秀雄・岡 潔 著
『人間の建設』

 文芸批評家と数学者という、分野を異にする二つの知性が文学や哲学から物理や数学までを縦横に語り合った「対話」である。本物の教養と知性といったものがいかに深く情趣という水脈につながっているのかがよく分かる。それが爽快感をもたらしてくれる。小林の俳句についての話も面白い。

本の画象

東京書籍(1300円+税)
2010年3月刊


三好万美の推す2冊


杉山久子句集
『鳥と歩く』

 第二回芝不器男俳句新人賞受賞から四年。著者はさらに輝きを増して現れた。十分に吟味された言葉を五七五のリズムにふわりと乗せ、季節を、人を、生き物を大切に詠む。一冊読み終えると、オムニバス映画を観たような感覚が残る。

本の画象

ふらんす堂(2400円+税)
2010年7月刊
杉ア恒夫著
『パン屋のパンセ』

 70代、80代の作品を収めた第二歌集であるが、一読してファンになった。まさに永遠の青年詩人。年齢をまったく感じさせない透明感溢れる詩情とユーモアがどの歌にも漂う。「死」や「老い」を詠ってもかなしみとともにどこか瑞々しく明るい。彼の新しい短歌を読むことができないのが本当に残念である。

本の画象

六花書林(2000円+税)
2010年4月刊

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