2019年9月16日号(e船団書評委員会)

若林武史の推す2冊

BRUTUS編集部編
「BRUTUS」2019年8月15日号

 特集は「ことば、の答え。」である。芸術・音楽などを中心に、様々なジャンルの「ことば」が取り上げられている。詩人のことばとして最果タヒ、俳句の言葉として北大路翼などなど。全体としてリリカルなことばとヒップホップ系のリズミカルなことばの世界が広がっている。こうした雑誌を読むと、ことばのどこに価値を置いているのか、現代の姿が見えてくる。

本の画象

マガジンハウス(680円・税込)
2019年8月刊
菅付雅信著
新装版『はじめての編集』

 帯に「超ロングセラー新装版!」とある。松岡正剛『知の編集術』を読んだ時「編集という観点」に感心を抱いたことを思い出した。本書は編集術の啓発書であるが、言葉の力に対する言及が多くあり、刺激を受ける。「補講 ところで『美しい』とは何?」の「美しさとはきまりがあること」という小見出しに惹かれた。新しい「きまり」が美を新しく定義するのだろうか。

本の画象

アルテスパブリッシング(1800円+税)
2019年7月刊


原 ゆきの推す1冊


高山れおな著
『切字と切れ』

本の画象

 高山氏は自身の俳句が投稿欄ではじめて活字になった際、十句のうち七句に切字を使う、なかなかの切字小僧ぶりであったそう。(この一文で勝手に著者に親しみを感じた)昭和の末から平成に入っての俳句界の閉塞感を「平成無風」と呼ぶそうだが、そんななか新しい修辞法として「切れ」に対する期待がひろまり(長谷川櫂や復本一郎が先導するようなかたちで)そうした流行に違和感を覚えた高山氏が、そもそも切字、切れとはどんなものだったのか、俳人や研究者にどう考えられてきたのかを多くの論考をあげ、生じる矛盾や混乱までもつぶさに検証した一冊。一方、現在、高山氏が、実作者としては「切れ」をどうとらえているのかが、知りたくなる。

邑書林(1819円+税)
2019年8月刊

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