2019年10月21日号(e船団書評委員会)

紀本直美の推す2冊

武田 美穂作
『きょうふのしりとり』

 2人の男の子がしりとりをはじめました。しかも、こわいものだけで! 「ようかい」からはじまり、だんだん苦し紛れのものが増えてきて……テンポよく迫力あるイラストが魅力的。

本の画象

ほるぷ出版(1400円+税)
2019年6月刊
ジョン・ヘア作/椎名かおる文
『みらいのえんそく』

 月に遠足にきた子どもたち。先生につきそわれてクレーターを歩き、地球を眺めます。そのうち、ひとりが迷子になって……。近い未来に実現しそうな月遠足。ラストの主人公の顏がすてき!

本の画象

あすなろ書房(1400円+税)
2019年6月刊

宇都宮さとるの推す2冊

中西 進編著
『万葉集の詩性』
令和時代の心を読む

 令和改元の「万葉集」ブームのなか、万葉研究の第一人者が編纂した日本の知的リーダー8人による書下ろしエッセイ集。中でも、中国文学者の川合康三氏の「山上憶良と中国の詩」に注目したい。古代中国の大詩人・陶淵明と杜甫、万葉歌人・憶良の三者の詩・歌について2つの共通項を指摘している。それは己の貧窮を背景とした『自嘲、自己戯画化による諧謔性』、そして表現としての『叙述の屈折』。これが時代や地域を超えて響き合っているという。この2つ、俳句に流れているものとも呼応してはいないだろうか。

本の画象

KADOKAWA(840円+税)
2019年7月刊
網谷厚子著
『日本詩の古代から現代へ』

 詩人で古典文学の研究者による詩歌の日本語表現についてのエッセイ集。興味深いのは詩歌における助詞の〈は〉についての言及。「詩歌の助詞には心情が込められている。特に〈は〉は作者の息づかいが感じられる」と。和歌では小野小町の“花の色は移りにけりな……”、近代詩では犀星の“ふるさとは遠きにありて思ふもの……”、白秋の「からまつはさびしかりけり……」など。確かにいずれの〈は〉も需要な役割を持ち作品全体を支配しているといっていい。では、俳句にとっての〈は〉は如何に。はたまた和歌や詩との違いは……。

本の画象

国文社(2000円+税)
2019年6月刊

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