俳句 e船団 ブックレビュー
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2012年12月31日号(e船団書評委員会)

塩谷則子の推す2冊

陽山道子句集
『おーい雲』

玉葱の飴色までを待つ気持ち  道子

 火加減を見ながら丁寧に炒めて8分、飴色になってやっと玉葱は旨みがでてくる。ハンバーグもシチューもその玉葱を使う。下ごしらえが大事。飴色の玉葱の第一句集。そのまま食べても美味しいし、次の句集も楽しみ。「散らばって増える家族や雲の峰」「リビングの真ん中通る海鼠かな」など現代の家庭を描いた秀句が多い。

本の画象

ふらんす堂(2190円+税)
2012年12月刊
池内 紀著
『ニッポンの山里』

青葉風屋根の大きな家を買う  陽山道子

 屋根の大きな家、茅葺きや本瓦葺きの家は60年代の、高度成長期以前風景の中にある、と失われつつある全国の懐かしい風景を訪ねた30 の旅のスケッチ。足の便は悪いが美しい。どの里山でもなぜここに人が住むようになったかを考える。無人になった屋根の大きな家があればまず保存を決めよう。お金はその後で、に賛成。

本の画象

山と渓谷社(1500円+税)
2013年1月刊


紀本直美の推す2冊

内田麟太郎・文/西村繁男・絵
『あいうえおのえほん』

 「むしむしでんしゃ」など数多くの傑作絵本を生み出しているコンビの「あいうえおのえほん」。「あまがえる あめより あめの あまやどり」など「あ」から「ん」まで、内田麟太郎さんのことばあそびの世界を、西村繁男さんが軽快に描いています。人、動物、お化けといっしょに、ひらがなを楽しむ絵本です。

本の画象

童心社(1300円+税)
2012年10月刊
佐々木マキ・絵
『あんたがサンタ?』

 クリスマスは過ぎてしまったのですが、とても気に入っている絵本なのでご紹介します。佐々木マキさんが1コマ漫画のような形式で、愛らしくて少し困ったサンタさんを描いています。私がすきなのは「酒場にたちよる」サンタさんです。今年のクリスマスもお疲れ様でした、また来年もがんばってください!

本の画象

絵本館(1200円+税)
2012年10月刊



2012年12月24日号(e船団書評委員会)

舩井春奈の推す2冊

小倉喜郎句集
『あおだもの木』

 実験は失敗また春大根を炊く
 靴脱いで揃えて春の逆上がり
 苦しくて虹を吐き出すキリンかな
 どうしたの?どうなるの?という俳句があったり、ウルトラマンやサリーちゃんが出てきたり。そういう中で静かな俳句が良い意味で浮き彫りになったり。こだわり抜かれた装丁の中で小倉ワールドが繰り広げられる。小倉喜郎氏の第二句集。

本の画象

ふらんす堂(2476円+税)
2012年12月刊
森 友治著
『続々 ダカフェ日記』

 森さんちが帰ってきた!森さんちの日常を撮りためた1冊。ダカフェに「続」が出て、今回は「続々」の3冊目。海ちゃん空くん姉弟が大きくなり、ワンちゃんたちも増えたりしている。ごくごくありふれた日常がなんとも楽しそうでかわいらしい。いきいきとしたほんわか写真集。

本の画象

ホーム社(2200円+税)
2012年9月刊


田中俊弥の推す1冊

若井新一著
クイズで楽しく
『俳句入門』

 iPadミニ、ネクサス、キンドル・ファイアHDなど、目下タブレットPCが大いに注目を集めている。いまや、アプリを媒介にしてコミュニケーションや学習が進められている。俳句を楽しく学ぶためのアプリは、まだまだ開発途上。本書には、そのためのヒントがたくさん詰まっているし、例句がよく精選されていて、ありがたい。

本の画象

飯塚書店(1500円+税)
2012年9月刊
明和政子著
『まねが育むヒトの心』

 俳句をつくること、俳句を楽しむことは、ヒトの心のなせるわざであるが、それは、どこに淵源があるのか、そんなことに想いを致しながら、最新の知見にスリリングな刺戟を覚えた。身体模倣と共感力(相手と快の感情を共有しようとする能力)がキーワードで、俳句や句会は、ホモサピエンスには、もってこいの営みなのだ。

本の画象

岩波ジュニア新書(860円+税)
2011年11月刊



2012年12月17日号(e船団書評委員会)

桑原汽泊の推す2冊

坪内稔典・松本秀一編
『赤黄男百句』

 爛々と虎の眼に降る落葉  赤黄男

 鑑賞者の提示する「何か」。いまにも跳びかかられようとしている「何か」。
 ちょんまげをいじりながら・・・
   A ケンタッキー・フライドチキン
   B サルマン・カーン
   C おしり

本の画象

創風社出版(800円+税)
2012年7月刊
ヨハネス・フェルメール/赤瀬川原平著
[新装版]赤瀬川原平が読み解く全作品
『フェルメールの眼』

 「こちらも落ち着いていられない。この巨大な落差の中に、フェルメールの永遠の新鮮さがセットされている。」
 〈牛乳を注ぐ女〉の2次元空間に、ウルトラアイを装着して、ウルトラセブンになって、入りびたりたい。いやされたい。

本の画象

講談社(1800円+税)
2012年6月刊


赤石 忍の推す1冊

講談社学術文庫編
『個人全集月報集』
安岡章太郎全集/吉行淳之介全集/庄野潤三全集

 月報とはご存知の通り、原則月1刊行の全集の挟み込み。その内容はたいがい作品論ではなく、著者のエピソード中心に書かれているので人となりが分り、覗き見志向の者にはこたえられない。しかも決められた少ない枚数で著者を浮き立たせるのだから、かなりの腕を必要とする。多少オーバーに、しかも辛辣さを加えているので面白くないはずがない。作品と作者は別、とは理解しているつもりだが、月報を読むと、作品がさらに深まっていく気がする。

本の画象

講談社学術文庫(1600円+税)
2012年9月刊
ぶん・ねじめ正一/え・南 伸坊
『ほんやのおじさん』

 書評済だったことを失念して坪内氏の『どん』を所望すると、一緒に送ってくれたのが本書。少し古いけれどあまりの面白さにご紹介を。本屋のおじさんが子供の読んだ本の動物と同じ行動をする。最後には熊になって、子供と本棚で冬眠するのには、笑った。いいよなあ、こんな絵本。この本もいいけれど、やはり『もこもこもこ』の元永氏と坪内氏の『どん』は、出色のできばえではないだろうか。

本の画象

福音館書店(390円+税)月刊予約絵本
2011年8月刊



2012年12月10日号(e船団書評委員会)

木村和也の推す2冊

徳永政二(川柳)・藤田めぐみ(写真)著
『大阪の泡』

 川柳と写真のコラボ。なぜ「泡」なのか。大阪のどろくさい生活の表層に、ぶつぶつと、つぶやきのように浮かんでくる断片を泡沫にたとえたのか。しかし、ここでは、川柳は俳句に近接している、というより、詩にかぎりなく近接している。
 顔白く塗ってみんなに見てもらう  政二
 写真もよい。


本の画象

あざみエージェント(1200円+税)
2012年10月刊
中沢新一著
『大阪アースダイバー』

  大阪とは何なのか。われわれが忘却してしまった深層の大阪を、人類学、歴史学、地質学までも動員して、叙事詩として出現させようとする。思想家中沢が情熱を込めて語る大阪に、大阪人の心理の深層も揺さぶられる。一見危なげに見える独断も、ここでは心地よい。

本の画象

講談社(1900円+税)
2012年10月刊


朝倉晴美の推す1冊


竹西寛子著 『「あわれ」から「もののあわれ」へ』

本の画象

 敬愛する竹西氏の日本語についての評論・エッセイ集。
 私は、とにかく、日本語って素晴らしい、古典をもっともっと読み深めたい、という気持ちに。  例えば、挨拶の軽視、伝統からの安易な離脱、それらによって、日本語を大切にしなくなったということ。日本語を慎重に取り扱わなくなったということ。「生まれつき、才能、資質、体質、生活環境などと密接しているのが人それぞれの言葉遣いである。従って私達にはその折々の言葉遣い以上の生もなければそれ以下の生もない。」と。
 どんなに時代が変化しようと、時代遅れと言われようと、私は日本語を大切にしたい。言葉に携わる以上、日本人である以上、それは、竹西さんが私に(読者に)教えて下さった覚悟です。

岩波書店(2200円+税)
2012年11月刊



2012年12月3日号(e船団書評委員会)

若林武史の推す2冊

「俳句」編集部編
「俳句」2012年12月号

 特集は「省略の極意」。何を省くか、主語、動詞、時間、場所、意味の五つが取り上げられている。それぞれの解説及び主張が繰り広げられている中、それぞれの例句を五つの観点から見直すと面白いかもしれない。省略とは強調であるのだと改めて感じられる。主語も動詞も時間も場所も意味もない俳句ってどんなだろうか。


本の画象

角川学芸出版(890円・税込)
2012年11月刊
藤本 靖著
『「疲れない身体」を
いっきに手に入れる本』


 身体をどのように見るか。いわゆる健康法の本である。ロルフィングという手法を基本としている。目、耳、鼻、口などの感覚器のセンサーの感度を修正するという点に、本書の特徴がある。「疲れがいっきにやってくる」人におすすめします。不思議な感覚が味わえるかもしれません。

本の画象

さくら舎(1400円+税)
2012年7月刊


三好万美の推す2冊

児玉 清著
『すべては今日から』

 俳優業とともにNHK−BSで「週刊ブックレビュー」の司会も務めるなど、読書家で知られていた著者。青少年期から現在までの豊かな読書体験が綴られている。、文学に目覚めるきっかけとなったドイツの作家を紹介する項では、作家への深いオマージュも感じられる。児玉さんは身も心も紳士だったと改めて気づく。彼の書いた文章をもっと読みたかった。

本の画象

新潮社(1400円+税)
2012年4月刊
写真 松本路子/監修・文 大場秀章
『日本のバラ』

 日本原産のバラを中心にまとめた、目にも鮮やかな一冊。アメリカの絵本作家、園芸愛好家のターシャ・チューダーの広大な庭にも、 日本の野バラが咲いていた。野茨と同じくハマナスも日本のバラであり、多くの種類があることを知った。桜が終わったら野バラを見にゆくのもいいなと思った。

本の画象

淡交社(1900円+税)
2012年5月刊



2012年11月26日号(e船団書評委員会)

宇都宮哲の推す2冊

ビートたけし著
『間抜けの構造』

 ビートたけしによるわかりやすい“間”論。いきなり馬鹿馬鹿しい間抜けな話が飛び出してくるが、ネタは漫才から映画、芸術そして自分の半生までと幅広い。まるで放談を聞いているよう。あまり理屈を言わず、目くじら立てず、一気に読み飛ばしてみたい。でも読み終えてみるとちょっとした人生論になっているから面白い。芸人・たけしは決して“間抜け”ではない。


本の画象

新潮社(680円+税)
2012年10月刊
羽生善治著
『直感力』

 弱冠・26歳で将棋タイトル七冠を達成した羽生善治。42歳の今もトップに君臨し将棋界を引っ張っている。そんな現役バリバリの超一流棋士の迫力ある「直感」論である。一芸に秀でるということは、何事も見通せる透徹した眼を持つということであろうか、鋭い視点で直感力を読み解く手法が勝負師らしい煌めきを見せる。羽生は言い切る。この混沌の時代、生き抜く指針は「直感」であると・・・。

本の画象

PHP研究所(760円+税)
2012年11月刊


鈴木ひさしの推す2冊

大野 晋著
『古典基礎語の世界』

 この本では、「世間のきまり」「儀式・行事」「運命・動かし難い事実、成り行き」「存在」「怨霊」のように、モノを分類する。モノは個人の力では変えられない「不可変性」を核とする、という。平安時代の宮廷人たちの不愉快、恐怖感を伴う日常生活と精神世界を垣間見せてくれる。「モノ」と人とが、古典の文脈と文の中で息づいてくる。

本の画象

角川ソフィア文庫(820円・税込)
2012年8月刊
福岡伸一著
『生命と記憶のパラドクス』
福岡ハカセ、66の小さな発見

 「記憶とは不思議ならせん階段である。」この文でこの本は始まり、この文で終わる。やわらかい文章からは、分子生物学者として見た生物のメカニズムより、人は(「私」は)どうして生きられるのか、を問いかける姿勢が伝わってくる。著者がフェルメールにひかれる理由もわかる。『ルリボシカミキリの青』(文春文庫)も同様に面白い。

本の画象

文藝春秋(1200円+税)
2012年9月刊



2012年11月19日号(e船団書評委員会)

富澤秀雄の推す2冊

坪内稔典著
『柿日和』
―喰う、詠む、登る―

 子規が奈良への旅で、「柿と奈良」との配合を考えつき、有名な「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」の句を生み出した背景を始め、柿にまつわるエピソードが楽しく語られている。またそれは、柿を単なる果実としてではなく、柿の美を詩歌に定着させたのは、俳諧・俳句であったという視点に立って書かれている。読み終えて、表紙の柿を見上げる二人の人物は、子規と著者のネンテン氏ではと、思わず笑ってしまった。


本の画象

岩波書店(1700円+税)
2012年8月刊
藤井久子著
『コケはともだち』

 コケ?って、身近にありながら、じめっとした感じがしてあまり省みられることがない。だが、意外にも日本に1700種もあり、その特性もさまざま。たとえば、人になでなでされると喜ぶ「フデコケ」。湿ると瞬時に星形に広がる「エゾスナゴケ」などなど。本書は読んで、道端のコケをルーペで観察すると、とても面白くて、あなたもきっとコケラーになれる。

本の画象

リトルモア(1500円+税)
2011年7月刊


武馬久仁裕の推す2冊

夏石番矢句集
『ブラックカード』

 レトリックの塊と言っていい俳句に即して言えば、3・11災害を書くということは、3・11を媒介にして俳句のレトリックの新たな地平をいかに切り開くかということであろう。本書はそれに正面から応えた句集である。「昼の私がここで消えればことばは茸」「誰も見つめられない津波に消された人たち」。表現する者の全き消滅を見据えた句がここにある。

本の画象

砂子屋書房(3000円+税)
2012年10月刊
佐藤 優著
『読書の技法』
誰でも本物の知識が身につく
熟読術・速読術「超」入門


 現代の本読みの一人、佐藤優から速読術を学んだ。曰く。速読術には二つある。(1)超速読。(2)普通の速読。(1)は、その本が読むに値するか判断するためのもの。所要時間1冊5分。(2)は、将来参照する時に役立つよう、何が書いてあったか大雑把に理解し、頭の中にインデックスを作るためのもの。所要時間1冊30分。早速(2)を試してみたが、結果は上々でした。

本の画象

東洋経済(1500円+税)
2012年11月刊



2012年11月12日号(e船団書評委員会)

舩井春奈の推す2冊

C・W・ニコル/南健二著
『けふはここ、あすはどこ、
あさっては』

C・W・ニコル×山頭火の世界

 世界各地で環境保全を行い、現在は日本に帰化し定住しているC・W・ニコル氏。氏は、日本で自身が「アファンの森」と名づけた森を保護し活動している。日々、森林に直面するニコル氏の目線から、森林についてや全国津々浦々歩いて旅をした俳人種田山頭火の世界を描いた一冊。


本の画象

清水弘文堂書房(1600円+税)
2012年8月刊
 
『きのこ絵』
MUSHROOM BOTANICAL ART

 18世紀から20世紀にかけての学者たちがとらえた菌類図譜集。主にヨーロッパの図譜が圧倒的に多く紹介されている中、日本の図譜も紹介されている。そうそう!生物学などを専攻する人たちもスケッチをするのが上手なのよね。様々なきのこを知れる楽しみに、色彩や構図などを含めて絵を見るという楽しみにも溢いる1冊。

本の画象

パイインターナショナル(2200円+税)
2012年9月刊


塩谷則子の推す2冊

石牟礼道子著
『最後の人 詩人 高群逸枝』

 最後の人とは、高群逸枝の夫、橋本憲三のこと。石牟礼が「森の家」に滞在した時の覚書きが中心。石牟礼は『苦海浄土』の半分を「森の家」で書き、橋本憲三に読んでもらってから渡辺京二に送っていた。66年秋のこと。宇井純とも何度も会っている。64年に70歳で亡くなった逸枝の「森の家」売却と同時進行だった。魂は呼び合う。

本の画象

藤原書店(3600円+税)
2012年10月刊
坪内稔典文/元永定正絵/
中辻悦子構成

『どん』
(こどものとも 年中向き)

 中辻悦子の解説が素敵だ。元永定正(11年死亡)が求めた、「かたちかさね いろかさね」によって生まれるおもしろさと不思議さが、坪内稔典の「どん」という命名によって実現した、という。どんとぶつかる・よーい、どん!・どんどん大きくなる・ドンのわがままはいつものこと、そして、どん(鈍)な奴、あっ、ドン・ファンも。

本の画象

福音館書店(390円+税)
2012年11月刊



2012年11月5日号(e船団書評委員会)

桑原汽泊の推す2冊

世界の名詩鑑賞会編
{特選}小さな名詩集』

 秋の日の
 ヴィオロンの
 ためいきの
 身にしみて
 ひたぶるに
 うら悲し。

   「落葉」ヴェルレーヌ、上田敏訳より。

本の画象

リベラル社(1200円+税)
2012年8月刊
星野之宣著
『イワン・デジャビュの一日』

 かなしいな、と感じているひとは、実は、わりとたくさんいるのではないだろうか。表題作をながめつつ、そんなおもいをもちつつも、そういうものかな、なんて気もする。雪景色のせい?
 「冬の帝王」では、恐竜、T‐レックスがついに海に沈む。

本の画象

小学館(1500円・税込)
2012年9月刊


荒川直美の推す2冊


梅田俊作文・森まゆみ絵
『うわさごと』

 いじめの問題を扱った『しらんぷり』など、子どもの生きる力を描き続ける絵本作家・梅田俊作の最新作。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の詩を引用しながら、噂から生まれるいわれなき差別について考えさせられる内容になっています。情報が溢れる時代に生まれてしまった子どもたちに、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

本の画象

汐文社(1500円+税)
2012年6月刊
栗田明子著
『海の向こうに本を届ける』
著作権輸出への道
 1970年代から、日本の本を海外に紹介していった栗田明子氏。筒井道隆、有吉佐和子、よしもとばななの小説、安野光雅の児童書など、数多くの出版物が世界各地で刊行されました。スーツケースひとつで世界中の出版社に営業をする強い意志と行動力にただ脱帽です。日本の出版文化史を支えたパワフルな女性の一代記。

本の画象

晶文社(2400円+税)
2011年11月刊



2012年10月29日号(e船団書評委員会)

田中俊弥の推す2冊

復本一郎編
『井月句集』

 芥川龍之介も推挙し、跋文を草して編集にもたずさわった『井月の句集』が、下島勲(芥川家の主治医)の編として空谷山房から刊行されたのが、大正10年(1921)10月。その後、高津才次郎の献身的な調査により、昭和5年、『漂泊俳人・井月全集』が完成し、世に出た。「よき水に豆腐切り込む暑さかな」。食にちなむ句に見所あり。

本の画象

岩波文庫(1020円・税込)
2012年10月刊
谷口 匡(ただし)著
『読み継がれる史記』
司馬遷の伝記文学

 谷口匡氏は、現在、京都教育大学教授。わが友人でもある。細身のたいへん背の 高い先生である。物腰柔らかで、儒者というにふさわしく、誠実無比の方。本書 は、著者の人柄そのままに、史記の崇高な文学性を物静かに、しかし確かな知見 にもとづいてやさしく解き明かしてくれる。教養は、かくたる本から得たいもの である。

本の画象

塙選書(塙書房)(2200円+税)
2012年9月刊


赤石 忍の推す2冊


森まゆみ著
『鷗外の坂』

 年をとるとみんな、散策好きになる(多分そうだ)。まず初心者(私)が行くのは、東京では根津、千駄木、谷中、根岸、田端など、文士たちが住んでいたところ。この辺は実に坂が多い。本書は、坂と鷗外の住居と作品とを重ね合わせて、その人間像をあぶり出している。再度の文庫化。秋深し、本を片手に鷗外の足跡を辿るのには、絶好の季節となってきた。

本の画象

中公文庫(940円・税込)
2012年9月刊
今野真二著
『百年前の日本語』
―書きことばが揺れた時代
 教科書で使われる書体の「り」は2画。しかし、通常の書籍等で見られる明朝体では「り」。今でも活字の使用には幅があるが、漱石の時代はさらに場面に合わせて、楷書、行書など様々な書体が入り混じって使われていた。著者は統一化、標準化された文字で当時の文献に当たることだけではなく、その頃の文字表記の原態を触れることが、明治期の作者の精神に近づくことになりはしないかと主張。

本の画象

岩波新書(700円+税)
2012年9月刊



2012年10月22日号(e船団書評委員会)

朝倉晴美の推す2冊

ポプラ社編集部編
『シルバー川柳』

 もう、猛烈におかしい!!!川柳の真骨頂ですね。
 恋かなと思っていたら不整脈
 湯加減をしょっちゅう聞くなわしゃ無事だ
お連れ合いに対しては、
 婆さんよ犬への愛を少しくれ
そして、レデイーガガも負ける、
 ガガよりもハデだぞうちのレデイーバ バ
お見事!

本の画象

ポプラ社(1000円・税込)
2012年9月刊
香山リカ著
『絆ストレス』
「つながりたい」という病

 香山さんの魅力は、みんなが胸のうちでぼんやりと思っていることを、明確に示してくれること。先の震災以後、過剰な「絆」主 義にがんじがらめになっている日本人。つながっていないと不安、つながっていても不安。そんな「絆」に振り回されることなど ないはず。そして、ゆるやかな「絆」を提案されている。

本の画象

青春出版(800円+税)
2012年10月刊


木村和也の推す2冊


中村 裕著
『疾走する俳句』
白泉句集を読む

 白泉の死後、三橋敏雄が編んだ「渡邊白泉全句集」を定本に、100句を抽出してそれぞれに解説を加えている。新興俳句とか前衛俳句とか呼ばれたものの一つの結実を見ることができる。筆者の白泉への思いが溢れる一冊。  夏の海水兵ひとり紛失す

本の画象

ちくま新書(1400円+税)
2012年9月刊
「現代思想」10月臨時増刊号
『柳田國男』
「遠野物語」以前/以後
 民俗学の古典となった『遠野物語』を基点にした柳田の業績についての論考が集められている。これは、柳田民俗学をグローバルな世界民俗学として位置づけようとする試みである。現代という時代における「遠野物語」の意味と独自性が論究されている。

本の画象

青土社(1500円・税込)
2012年9月刊



2012年10月15日号(e船団書評委員会)

三好万美の推す2冊

川本三郎著
『白秋望景』

 純粋に文学を愛する少年がそのまま大人になり、最期まで言葉への愛情にあふれていた詩人。本書を読んでそんな印象を持った白秋である。「花詠む人」では、さまざまな花をモチーフにした歌が多数紹介されている。故郷の花げんげ、白たんぽぽ、上京して初めて目にして以来、たびたび詠まれたアカシア、サフラン、ダリア。どの花にも優しく時に物憂げな白秋の視線を感じる。

本の画象

新書館(2800円+税)
2012年2月刊
大野更紗著
『困ってるひと』

 前年にハードカバー版が話題となり、本書と著者をご存知の方も多いだろう。自らの病と、それと闘う自身や周囲の医師たち、さらには複雑怪奇な社会福祉の現状を、独自のユーモアが漂う自分の言葉で語っている。どんな悲惨な状況でも自らを客観視しようとする姿勢や、「絶望は、しない」という言葉が、心にずっしりと残る。

本の画象

ポプラ文庫(640円+税)
2012年6月刊


若林武史の推す2冊


川畑秀明著
『脳は美をどう感じるか』
―アートの脳科学

 こちらは、芸術の鑑賞者側のありようを脳科学的に究明しようとした一冊。読んでみて、当たり前のことだが、視覚刺激と脳の関係が説明の中心となっていることに改めて気づかされた。美を美として捉えるということが生存に関わる報酬的な刺激と捉えられるとすると、もしかすると読者にとってのいい俳句というものも同様の地平に広がるべきものかもしれないと思った。

本の画象

ちくま新書(950円+税)
2012年10月刊
村上 隆著
『創造力なき日本』
アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」

 現代アートの第一線で活躍する村上隆氏による、現代芸術を生業とする立場で描かれた芸術論、職業論である。社会性のない若者に、長く現代芸術の場で生きることは出来ないと断言する村上氏の言葉は力強い。芸術の制作側の立場が明解に打ち出される。アーティストがヒエラルキーの最下層にあるという考えが徹底されています。

本の画象

角川oneテーマ21(820円・税込)
2012年10月刊



2012年10月8日号(e船団書評委員会)

鈴木ひさしの推す2冊

古田 亮著
『美術「心」論』

 『草枕』の冒頭「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。」は、当時一般的であった心理学の「知情意」論に基づいているという。美術作品を知の美術、情の美術、意の美術に分類。巻末には同じく「知情意」論である『文芸の哲学的基礎』全文を収録。美術に限らず、作品の見方のヒントになる本である。

本の画象

平凡社(1600円+税)
2012年5月刊
米田彰男著
『寅さんとイエス』

 「寅さんとイエスのよきものを伝えたい」という思いで、寅さんとイエスを比較した本。48作まで続いた『男はつらいよ』は、根強いファンが支えた「国民的」映画。なつかしい寅さんとリリーの台詞がよみがえる。かつて、人々の心と頭の中は、今よりもっと奥行きがあった。著者はカトリック司祭。
 お遍路が一列に行く虹の中  渥美清

本の画象

筑摩選書(1700円+税)
2012年7月刊


宇都宮哲の推す2冊


吉本隆明著
『日本語のゆくえ』

 今年3月に逝去した文芸批評家・吉本隆明が自身の追求してきた課題を語った母校(東京工大)での集中講義を纏めたものの文庫化。講義は、芸術論、言語論はじめ国家論、神話論、詩人論まで広範囲にわたり、語り口からは、学生たちへ寄せる熱い想いが伝わっくる。副題的に「芸術言語論」入門とあるが、俳句についての言及も数ヵ所。私には興味深く、参考になったのだが、さて・・・。

本の画象

光文社(700円・税込)
2012年9月刊
三浦佑之著
『古事記を旅する』

 “ロマン”を最も感じさせるものは何かと言えば、野外派にとっては「旅」、書斎派は「古事記」だろうか。その二つを一度に満足させてくれるのが、著者自ら旅した全国の古事記ゆかりの地ともに、古事記そのものを優しく、楽しく紹介したこの一冊。私も何カ所か訪ねているが、この書を片手にもう一度神話の世界にとっぷりと浸ってみたくなる。おススメのガイドブック(文庫版)である。

本の画象

文藝春秋(750円・税込)
2012年7月刊



2012年10月1日号(e船団書評委員会)

武馬久仁裕の推す2冊

森澄雄・矢島房利編
『加藤楸邨句集』

 この句集の中で異彩を放つのは、「沙漠の鶴」であろう。楸邨が昭和19年に中国各地を4ヶ月ほど巡って書いたものだ。「古利根抄」の「暮れはやきひかりは波に蓼の穂に」の帰属感溢れる安らぎの世界とは違う沙漠の中に鶴を見た楸邨は、「ゴビの鶴夕焼の脚垂れて翔く」と自らを慰めた。そんな楸邨の句に、かつて私は「別れとは天外を行く鶴一羽」と和した。

本の画象

岩波文庫(1000円+税)
2012年5月刊
内田樹・名越康文・西靖著
『辺境ラジオ』

 「現代人の指針」内田樹と「愛と癒しの精神科医」名越康文の対談集。毎日ラジオの人気深夜番組「辺境ラジオ」の書籍化。「空気」に恐怖せず、「空気」を乗り越える主体になるには「祈ることだ」と言って、対談中に原発に「爆発しないでね」と祈り、合わせて「津波の被害に遭われた地域の復興」を祈るところ(2011年5月8日放送)は中々考えさせられました。

本の画象

株式会社140B(1500円+税)
2012年9月刊


富澤秀雄の推す2冊


今井 聖著
『部活で俳句』

 某男子校の英語教師の著者が、俳句クラブの部員を獲得する策略として、ダンスクラブとの合体を試みる。その経緯や俳句指導の様子を、フィクションを加えた青春小説風にして、書いている。また「俳句甲子園」の句も採り上げ、後半は一転して俳句の基本や約束事にページを割いている。今の中高校生の俳句を覗き見るのには、楽しい一書だ。

本の画象

岩波ジュニア新書(780円+税)
2012年8月刊
半藤一利著
『ぶらり日本史散策』

 歴史書といえば、年代順に起こった事柄を学術的な解説を加えたものが、圧倒的に多い。が、本書はそんな歴史書とは違って、肩のこらないものだ。たとえば、江戸時代の抄に「屁の名人録」というのがあり、見世物小屋に花咲男と称する曲屁の名人がいたことが書かれている。裏歴史通になりたければ、ぜひ。

本の画象

文春文庫(552円+税)
2012年8月刊



2012年9月24日号(e船団書評委員会)

塩谷則子の推す2冊

正津 勉著
忘れられた俳人
『河東碧梧桐』

 「歩く人、碧梧桐」を描く。明治末5年間の『三千里』『続三千里』の追跡。歩くことは「打ち壊し」だった。ええじゃないか、見るべきものがないと評価されても。「茶番」と酷評されたルビ俳句は吉増剛造の詩の書き方と同じだよ。碧梧桐は先駆者だった、「はじける独楽」(虚子の評)だった、という意見は突飛だが、その突飛さがおもしろい。

本の画象

平凡社新書(760円+税)
2012年7月刊
三谷幸喜著
『清須会議』

 織田信長の後継者と領地の再分配を決めた清須での5日間。天正10年6月末。秀吉が天下を取るためにどう策略したかを描く。モノローグや告白など登場人物のセリフだけの脚本的小説。宿の手配や食事の段取りをした会議の裏方、前田玄以の淡々とした報告が全体を引き締める。見事な構成。

本の画象

幻冬社(1400円+税)
2012年6月刊


荒川直美の推す2冊


東 直子作/木内達朗絵
『うみざざざ』

 歌人・東直子と、イラストレーター・木内達朗、装丁家・名久井直子の「きせつのおでかけえほん」シリーズ最新作。東直子のリズミカルな言葉が紡ぎだす夏の海辺。「ざざーん」「ざわざわざわ」「きらきら」など声に出して読んでみると、波の感触が伝わってくるよう。同じ東直子と木内達朗のコンビの歌集「愛を想う」もおすすめです。

本の画象

くもん出版(800円+税)
2012年7月刊
舟越保武著
『舟越保武全随筆集』

 彫刻家・舟越 保武の生誕百年を記念して刊行された全随筆集。118篇の随筆はどれも素晴らしく筆者の鋭い観察眼に敬服しますが、特に私がすきなのは「顔のうらおもて」。彫刻を制作するとき、後頭部をきっちり作るとうまくいくのだそうです。今まで人の後ろ姿をあまり気にしたことがありませんでしたが、この本を読んで見方が少し変わりました。

本の画象

求龍堂(2600円+税)
2012年5月刊



2012年9月17日号(e船団書評委員会)

桑原汽泊の推す2冊

岸本尚毅著
『夏』
虚子選ホトトギス雑詠選集100句鑑賞

 おちんこも欣々然と裸かな  虚吼

 おちんこ! 伊東のハトヤの大浴場、で・ん・わは、ヨイフロ。老若男女の、おちんこが、欣々然としています。よん・いち・にい・ろく・・・

本の画象

ふらんす堂(1500円+税)
2012年7月刊
『Pen』No.317 2012
ビートルズが聴こえてくる。

 ♪アホが見るブタのケツ

 かろうじてまにあったかも。で、水とスプーンのはいったコップ・・・
 ディッグ・ア・ポニー。トミー・ナッター。

本の画象

阪急コミュニケーションズ(571円+税)
2012年7月刊


舩井春奈の推す2冊


鶴濱節子句集
『始祖鳥』

 目を引く表紙の、威厳を誇るかのごとく佇むのはバジリスクという架空の鳥。中では、
 蛇穴を出て高校三年生
 花曇たぶん武蔵の恋のせい
 イヤリングちょっと揺らして街薄暑
 真っ青な空をひきよせ鴨の陣
 梅咲いて百人の鼻枝々に
と、のびのびとしていて表紙とは違う感じでクスリと笑みも。時に見えるオシャレさは、装丁全般につながるところがあるのかな。

本の画象

ふらんす堂(2500円+税)
2012年5月刊
斎藤英喜著
とんでもなく面白い
『古事記』

 今年は『古事記』が編纂されてから1300年という記念の年。『古事記』にまつわる本が続々と出版されている。その中でこの書は『古事記』について明解に説明されている。例えばイザナギのことを「元祖妹萌」と表現したりして―。秋の夜長、この書を入門書として或いは解説書として、日本神話の世界へ誘われてみてはいかが?

本の画象

PHP研究所(620円・税込)
2012年7月刊



2012年9月10日号(e船団書評委員会)

赤石 忍の推す2冊

千野帽子著
『俳句いきなり入門』

 型破りの入門書。「俳句は自己表現ではない」の考えを根底にして、「俺だって言える立場じゃないけど、でも俳句ってこうじゃないか」と畳みかけてくる展開に、そうだそうだとうなづきながら読了。本を閉じてふと、みんなその後、どこへ向かえばいいんだとも思う。本業(?)は関学大教授。東京句会我らがボス、三宅さんの句も掲載。

本の画象

NHK出版新書(800円+税)
2012年7月刊
ドナルド・キーン著/角地幸男訳
『正岡子規』

 著者は東日本大震災を機に日本国籍を取得した、外国人として日本文学研究の第一人者ドナルド・キーン。原書、原典をベースに、日本人なら暗黙知として書き飛ばすところも、きちんと丁寧に説明してくれる。子規の小説に対する見解など、興味深く読める箇所多数。久しぶりに正座し、居住まいを正して読まねばと思う一冊であった(しないけど)。
 

本の画象

新潮社(1800円+税)
2012年8月刊


田中俊弥の推す2冊


内野聖子句集
『猫と薔薇』

 妻という役を降り立つ枯野かな
 落日を横切り春の船が行く
 何事もなかったように紫蘇刻む
 春の駅会ってはならぬひとと会う
 三月の猫の肉球ふくふくと
 ガラス戸をはんぶん開けて夜の秋
 月光や身体の窪みまで届く
 五月闇雨の匂いの駅に立つ
 並べかたで、また異なるドラマも。これ、この 句集の功なるかな。

本の画象

創風社出版(1200円+税)
2012年7月刊
田中 修著
『タネのふしぎ』

 iPad電子版対応した一冊。見出しは3行分。本文は29字×30行程度。大きめの写真 や図版があって見開き2ページで、100項目。章ごとにコラムがあって、これまた 楽しい。帯の宣伝文句どおり、「話の“タネ”。が満載です!」。本づくりも読書 のありかたも、新時代になってきた。生活の革新は、意外にスマートに始められ そうだ。

本の画象

ソフトバンク・クリエイティブ(株)(952円+税)
2012年7月刊



2012年9月3日号(e船団書評委員会)

木村和也の推す2冊

倉阪鬼一郎著
『怖い俳句』

 もちろん「怖い俳句」だから、幽霊も出てくる。また、現実の人間や風景が垣間見せる日常の中にも、ぞっとする深淵がのぞいていたりする。そんな怖い俳句が、芭蕉から現代俳句まで並べられていてすごい。こんな切り口もあったのだ。坪内稔典や池田澄子の俳句も採られている。

本の画象

幻冬舎新書(800円+税)
2012年7月刊
梅原 猛著
『古事記』増補新版

 『古事記』が編纂されて今年で1300年になるという。その完全現代語訳。それに『古事記』を論じるエッセイが付いている。本居宣長の『古事記伝』を詠み込んだ上での完訳であるが、日本古語とアイヌ語との緊密な類似性に着目しての仕事に、梅原学の健在ぶりがうかがえる。
 

本の画象

学研M文庫(619円+税)
2012年7月刊


朝倉晴美の推す2冊


朝井まかて著
『先生のお庭番』

 シーボルトが、いかにして日本の植物を集め、オランダに持ち帰ったか。そこには若い日本人の職人がいて、彼の実直な植物を愛する気持 ちがそれ を可能にした。様々な実在の人物が生き生きと描かれた小説。クライマックスには、シーボルトと日本人の齟齬を描き出す。 それは、永遠の論題かも。

本の画象

徳間書店(1600円+税)
2012年8月刊
北上次郎×大森 望著
『読むのが怖い!Z』

 北上次郎と大森望による、シリーズ化されているブックガイド。書評。しかししかし、なんとも愉快な二人の対談になっているのです。毒 舌はもちろん、お互いの評価への評価(?)も。そして、名言を得たり。「『つまらない』と『わからない』は違うんだよ!」。まさ に!

本の画象

ロッキングオン(1800円+税)
2012年7月刊



2012年8月27日号(e船団書評委員会)

若林武史の推す2冊

穂村弘・山田 航著
『世界中が夕焼け』
穂村弘の短歌の秘密

 ベースは山田航のブログ「トナカイ語研究日誌 穂村弘百首鑑賞」であり、そこに穂村の解説が続く。面白いのは、穂村が山田の鑑賞を承けて書いている点にある。その解説が時折異様に熱を帯び、山田の鑑賞に比べてすごく長いものがある。そこのところをお楽しみ下さい。

本の画象

新潮社(1600円+税)
2012年6月刊
内田 樹著
『街場の文体論』

 今春、大学を退官した内田樹の講義録。文体を基調にして幅広く社会全般について持論を展開している。エクリチュ−ルってそういうことだったのか、と改めて学んだりすることができた。もはや内田節ともいうべき内田の文体がそこにある。学び続ける意味をしみじみと考えることができる一冊。
 

本の画象

ミシマ社(1600円+税)
2012年7月刊


三好万美の推す2冊


川本三郎他著
『作家の猫 2』

 巻頭を飾るのは、加藤楸邨の猫たち。終戦後生きるのに精一杯の時代、次々と猫を拾ってきて飼い始める加藤楸邨一家のエピソードや、おおらかに猫を愛する中村汀女の姿があたたかい。写真の多くがモノクロで、昭和の雰囲気を伝えている。

本の画象

平凡社(1680円+税)
2011年6月刊
上野正比古詠著
平成歌合 古今和歌集百番』

 著者が抄出した古今和歌集百首と著者の古今調自詠歌百首の歌合になっている。それぞれの歌合に対して、「勝ちと判定した歌」「どちらが古今和歌集の歌?」と読者に判定を求める形式になっている(裏ページに解説がある)ところが画期的。先入観なしで歌そのものを鑑賞できるのがよい。

本の画象

角川学芸出版(1500円+税)
2012年2月刊



2012年8月20日号(e船団書評委員会)

宇都宮哲の推す2冊

金子啓明著
『仏像のかたちと心』
白鳳から天平へ

 仏像の展覧会や収蔵館が多くの来場者を集めている中のタイムリーな著作。興福寺の阿修羅像など白鳳から天平時代を代表する仏像の歴史的・宗教的背景、制作技法そして姿・形まで余すところなく紹介され、その奥深い魅力と今日的役割を解き明かす。ただやはり、仏像は展覧会場ではなく、御堂の中でじっくりと祈りとともに拝見したいものだが・・・。

本の画象

岩波書店(1900円+税)
2012年7月刊
安彦良和ほか著
「サムライエース」 創刊号

 このほど創刊の劇画タッチのコミック雑誌。日本の歴史とエンタテイメントの融合が読む人を飽きさせない。なかでも安彦良和の本格連載「ヤマトタケル」の展開が面白そう。夢枕獏、沖方丁など錚々たる作家たちの原作の漫画化も楽しみだ。いささか時代錯誤的とも思える発行だが「大人が読める漫画本」に期待したい。
 

本の画象

角川書店(600円+税)
2012年6月刊


鈴木ひさしの推す2冊


中西弘樹著
『日本人は植物をどう利用してきたか』

 食材、薬、道具、洗剤、研磨剤、糊料、染料、木炭、建材など、どのように植物を利用してきたのか、わかりやすく書かれている。ノビルやヒガンバナは飢饉に備えた救荒植物だった。和楽器ひちりきのリードは、昔から高槻市鵜殿のヨシで作られていた。「君待つと我が恋ひ居れば我が宿の簾動かし秋の風吹く」(額田王)など和歌もいくつか出ている。

本の画象

岩波ジュニア新書(820円+税)
2012年6月刊
鴻巣友季子著
『翻訳教室』

 Norwegian Woodは、ノルウェー製の安木材、村上春樹の小説は『ノルウェイの森』。KawaiiはOEDにも入っているらしい。「翻訳とは深い読書のこと、よく読めればよく訳せる」、「誰かと言葉を交わすというのは他者と「解釈」をやりとりすること」。NHK「課外授業ようこそ先輩」の授業がもとになっている。思索の深さを感じる本である。

本の画象

ちくまぷりまー新書(820円+税)
2012年7月刊



2012年8月13日号(e船団書評委員会)

富澤秀雄の推す2冊

金子兜太著
『金子兜太自選自解99句

 本書は、編年体によって編まれているので、兜太の74年間渡る句風の変化が解り易く、興味深く読むこと出来る。また、自解文も兜太によれば、臨場感を主眼に書き直した、というだけあって、句の作られた背景が、面白く語られている。また、それぞれの句に、独特の書体の染筆が添えられているのも面白い。

本の画象

角川学芸出版(2300円・税込)
2012年5月刊
荒川洋治著
『詩とことば』

 詩というものが、その表現の形によって奇異に思われて、関心や興味を持つ人が少数であると、ネガティブな書き出しをしている。が、それは、著者よって、詩の世界へ巧みに誘導して行く序章である。ともかく、詩の形式や歴史を数々の作例を取り上げ、詩の素晴しさを丁寧に語っている。詩を書き始めてみたいと、思える一書だ。
 

本の画象

岩波現代文庫(860円+税)
2012年5月刊


武馬久仁裕の推す2冊


和田悟朗句集
『風車』

 著者は大正12年生まれの89歳。そのためか、いくつかの追悼句に交じって、自らの追悼句とおぼしきものも散見される。その中でも「われ逝くか少年泳ぐ午後の海」は、命を煌めかせ少年が泳ぐ午後の海に、「われ逝くか」と海の彼方に去りゆく自らを見て、感銘深い。そして、「少年」の泳ぐのが、「朝の海」ではなく「午後の海」であることもまた感慨深い。

本の画象

角川書店(2800円・税込)
2012年8月刊
長谷川櫂著
『一億人の「切れ」入門』

 曖昧な句は、一句をはっきり切るように推敲すれば明晰な句になり、句を読む場合、句中の切れをはっきり見定めればトンチンカンな解釈をせず済むと著者は言う。そのやり方を多くの具体例を挙げ、明快かつ合理的に説明してくれるのが本書である。解釈の例など読んでいると、明快すぎて、句が細ってしまうのではないかと心配になるくらいである。

本の画象

角川学芸出版(1600円+税)
2012年2月刊



2012年8月6日号(e船団書評委員会)

荒川直美の推す2冊

穂村 弘作/木内達朗絵
『あかにんじゃ』

 歌人の穂村弘さんの絵本最新刊です。赤い忍者が次々と変身していくのですが、その発想の面白さにうなります。木内達朗さんの絵も素晴らしく、忍者の変身シーンをはっと息をのむ構図で描かれています。ページの隅々まで遊び心がいっぱいで、東京スカイツリーや手裏剣の形をした星など、眺める度に楽しい発見がある絵本です。

本の画象

岩崎書店(1300円+税)
2012年6月刊
中村 圭子編
『日本の「かわいい」図鑑』
―ファンシー・グッズの100年

 ついつい便利に使ってしまう言葉「かわいい」の変遷を大正時代から辿っていく図鑑。 竹久夢二、中原淳一、内藤ルネ、水森亜土、高橋真琴など、女の子を魅了してきたファンシーグッズが多数掲載されています。大正ロマン、「かわいい」が禁止された戦中、そして、「かわいい」が溢れている今日まで、「かわいい」の進化の過程がわかります。
 

本の画象

河出書房新社(1600円+税)
2012年4月刊


塩谷則子の推す2冊


加藤郁乎著
『俳人荷風』

 「文人荷風のかたわらに俳人風情のうしろ姿を見せる荷風がいまひとり付き添うように立っていた」と筆者の死(今年5月)によって中断したあとがき。俳人風情のうしろ姿が独特の文体で丁寧にたどられている。私家版『濹東奇譚』には荷風撮影の写真十枚と自作十句を載せた、と。今はやりのコラボの試み。付録の人名解説がありがたい。
稲つまに追はれて走るつつみかな  荷風

本の画象

岩波現代文庫(920円+税)
2012年7月刊
木村陽二郎著
『私の植物散歩』

 暑い。ロンドンオリンピックも気になる。こんな時読むのに適した本。「早春の黄色い花」「アシとガマ」「毒草・薬草・食草」など一話7ページ。「夏の七草」を開く。昭和20年6月20日発行の内閣情報局の『週報』には「勝ち抜く食糧」として焼跡でも生え食べられる植物が七つ。アカザ・イノコズチ・スベリヒユetc。電力不足です、ゴーヤを植えよう、で、今年ゴーヤを植えた私。

本の画象

ちくま学芸文庫(1100円+税)
2012年7月刊



2012年7月30日号(e船団書評委員会)

舩井春奈の推す2冊

伊藤宏見著
『夏目漱石と日本美術』

 漱石作品について日本の古美術との関わりから書かれた本。この第二章にはまるごと漱石が詠んだ俳句について触れられている。漱石は掛け軸等を始めとする古美術を好んでいたという。それが漱石の作品に影響を与えたのではないかという著者の考え。個人的にはひっかかる所もあるが、英文学者が漱石研究へ一石を投じてみた書。

本の画象

国書刊行会(3800円+税)
2012年4月刊
尾形孝弘著
『秘密基地の作り方』

 秘密基地というだけでオトナになってもドキドキする。狭くてごく限られたヒトしか入れない空間は、とっても秘密めいて魅力的だったっけ。この本は、そのような秘密基地の作り方の数々をご丁寧にも取りまとめてくれている。コドモたちへの指南書らしいが、昔コドモだったオトナたちへ向けた軽い読み物としてもおススメ。
 

本の画象

飛鳥新社(1300円+税)
2012年5月刊


田中俊弥の推す2冊


橘曙覧著/水島直文・橋本政宣編注
『橘曙覧全歌集』

 橘曙覧(たちばなのあけみ)は、文化九年(1812)、福井に生まれ、慶応四年 (1868)八月に没した国学者で、歌人。「たのしみは〜〜時」の形式からなる「独楽 吟」52首は、つとに著名で、現行の小学校の国語教科書にも、短歌づくりのヒントと してそのうちの三首が掲載されている。本書から、優にやさしき日常の短歌に学びた い。

本の画象

岩波文庫(1080円+税)
2012年5月刊
橋爪紳也監修 高岡伸一・三木学編著
『大大阪モダン建築』第6版

 7月1日に大阪検定が実施された。今年の2級のテーマ問題は、「大大阪時代〜通天閣・ルナパーク完成(明治45年)から御堂筋開通(昭和12年)までに建設された現存のモダン建築〜」に関するもので、本書は、参考文献として事前に示されていた。受験後のいまも、折々に目を通しては新たに大阪を学ぶ、ボクの大事な一冊である。

本の画象

青幻舎(1600円+税)
2012年5月刊



2012年7月23日号(e船団書評委員会)

赤石 忍の推す2冊

復本一郎著
『俳句実践講義』

 K大学での「俳句研究」の講義録。一方的な授業ではなく、初心者学生たちに実作させ、講評を加えながら俳句の成り立ち、歴史を説明し、「切れ」「季語」の必要性や「取り合わせ」の方法を共有していく。芭蕉、子規、虚子の言葉は机上の空論ではなく、実作者ために書かれたものとし、講義内容は通り一遍ではなく、大学の授業だけあってやはり深い。

本の画象

岩波現代文庫(1360円+税)
2012年5月刊
半藤一利著
『荷風さんの昭和』

 昭和という時代を生きて、戦前の皇国観念、戦後の解放意識とは一線を画し、ついには日本とは縁無き存在としてあり続けたと著書。様々な知識人の戦中日記を比べると、唯一荷風だけがまともに見えるという鮎川信夫の言も紹介。ちなみに俳句は六百ほどで句集一冊。その根本は反社会的なものであり、隠遁の風致にあると喝破している。
 

本の画象

ちくま文庫(840円+税)
2012年5月刊


桑原汽泊の推す2冊


岸本尚毅著
虚子選ホトトギス雑詠選集100句鑑賞
『春』

雲いつか磯巾著の日をうばふ
立花尺渓

くも いつか いつか みと みつくに こーもん
いそぎん おーおか えちぜん ちゃっくの ひをうばう
しみずみなとの めいぶつは

本の画象

ふらんす堂(1500円+税)
2012年4月刊
らふ亜沙弥句集
『女のうしろで』

 真ん中はきっと淋しいパイナップル
あざみ

 こころ、くるぶし、泣きぼくろ。ひとのまんなかは、どこだろう。あなをあけないと、ドーナツでない。水蒸気爆発するかもしれない。さびしくてたまらない。

本の画象

火の会(1905円+税)
2012年6月刊



2012年7月16日号(e船団書評委員会)

三好万美の推す2冊

ロバート キャンベル著
ロバート キャンベルの
『小説家神髄』
現代作家6人との対話

 テレビや雑誌などで目にする機会が増え、「日本人よりも日本的」とも言われる著者であるが、日本文学や作家たちに丁寧に敬意をもって接している姿勢がよく 表れている一冊。本書では20代から60代まで幅広い世代の作家6人と対談しているが、いずれの作家も、力むことなく対話を楽しむ余裕をもって、自らの文体、 小説について語っている様子がうかがえ、著者の日本文学への懐の広さを感じた。

本の画象

NHK出版(1300円+税)
2012年2月刊
森 絵都著
福島原発20キロ圏内のペットレスキュー
『おいで、一緒に行こう』

 20キロ圏内への出入りが規制されていた時期から一人で活動してきた女性の保護活動に迫りながら、突然人間に見捨てられたペットや家畜たちに起こったすべてのことを伝えている。一頭でも多く救うため力の限りを尽くす人々の連携にただ頭が下がる一方で、食料も保護の手も間に合わず力尽きていった、多くの乳牛たちの瞳が、見るたびに心に突き刺さる。
 

本の画象

文藝春秋(1150円+税)
2012年4月刊


朝倉晴美の推す2冊


長野まゆみ著
『チマチマ記』

 梅雨の午後、まったりと癒される本。まるでセラピーのよう。チマキという名の猫の視点で、不思議なファミリーが語られている。丁寧で軽やかな日常。特にその食事風景の描写が秀逸。梅雨があけたら、これを持って里帰りしよっと。

本の画象

講談社(1400円+税)
2012年6月刊
吉野孝雄著
『宮武外骨伝』

 外骨も私も、同じ香川で少年期を過ごしているから気になる人ではあったのだけれど…良く分からん人なんです。もちろん彼の反骨精神論は分かる。でも、やっぱり分からん人。もしかして、本人も分からないほどに、ジャーナリズムというものに真っ向から勝負したのでは。そうだ、言葉の勝負師外骨だ!

本の画象

河出書房新社(950円+税)
2012年3月刊

[e船団・週刊ブックレビュー]バックナンバー



2012年7月9日号(e船団書評委員会)

若林武史の推す2冊

角田光代・穂村弘著
『異性』

 小説家角田光代と歌人穂村弘による、男と女の意識の違いを中心にしたエッセイ。二人ともが素直なところが素敵だ。なんでこんなことで男と女は違うのだろうという目の付け所に感心させられる。ゆったりと楽しんで、ちょっと笑いながら読める一冊。

本の画象

河出書房新社(1400円+税)
2012年4月刊
名越康文著
『自分を支える心の技法』

 もうすっかり有名になった精神科医、名越康文氏のエッセイ。もともと医療関係者向けの講演録だったようだが、一般に読みやすい内容になっている。怒りに対する処方箋が多くとられている。無性に腹が立つ人も多いのだろう。この頃はこういった怒りを鎮める、または怒りを持たないためにどうするか、具体的に書かれている本が多い。これもそういった内容だが、読みやすい。
 

本の画象

医学書院(1400円+税)
2012年6月刊


木村和也の推す2冊


坪内稔典著
『俳句の向こうに昭和が見える』

 昭和の俳句を集めたのではない。現代俳句を通じて昭和を俯瞰しようとするのである。そしてこの俯瞰図は、著者稔典氏の身辺にあった手触りのある「昭和」と重なるのだ。時代を懐かしむというよりは、次の時代へ向けて読者のエネルギーを要請しているようにも見える。「船団」の仲間の句も多く採られている。

本の画象

教育評論社(1900円+税)
2012年6月刊
大塚初重著
『邪馬台国をとらえなおす』

 邪馬台国畿内説を支持しているように見えながら、あくまでも筆運びは慎重である。実証的科学的であろうとする考古学者としての良心が際だった論考。邪馬台国の世紀、日本列島および東アジアが、人や物においていかに動的な世界であったかが説示されている。

本の画象

講談社現代新書(760円+税)
2012年5月刊



2012年7月2日号(e船団書評委員会)

武馬久仁裕の推す2冊

久保純夫・久保るみ子句集
『美しき死を真ん中の刹那あるいは永遠』

 2011年1〜12月までの句からなる、久保純夫による愛する人久保るみ子への鎮魂の句集である。彼女の最後の句55月の「草餅の端より草餅始まりぬ」。「草餅」は3月の句「草餅や虚無いずこから滲み出し」の虚無の象徴ではなく、再生の象徴ととりたい。4月の句「向日葵やサンダルを手に訪えり」には目頭が熱くなった。彼女は真夏を待たずに亡くなった。

本の画象

現代俳句協会刊(1500円・税込)
2012年5月刊
石川九楊著
『説き語り 中国書史』

 中国書史の到達点、清の金農ら揚州八怪の書の歴史的評価には感動。一字をトン・スー・トンと3折で書くのではなく、一画を無限にビビビビ…と微動させて書く書への評価だ。これによって、書は、筆触による表現として文字=言葉から自立し、近代的な芸術となったと著者は言う。そこに、西欧近代ではない東アジアの自生的近代の姿を見た眼は鋭い。
 

本の画象

新潮選書(1400円+税)
2012年5月刊


鈴木ひさしの推す2冊


小林泰三著
『後白河上皇』
「絵巻物」の力で武士に勝った帝

 著者は自ら「デジタル復元師」と名乗る。「デジタル画像処理技術によって、日本美術作品の元の姿を復元、立ち現れてくる事実を公表、できれば専門家や各業界に役立ててもらう」仕事。美術品を手がかりに見た後白河上皇像。底辺から発せられた自己存在の肯定をすくい上げたことに、後白河上皇の秘密はある、という。『梁塵秘抄』は切ない。

本の画象

PHP新書(900円+税)
2012年6月刊
吉行淳之介編
『酔っぱらい読本』

 草野心平「酒菜」はひたすら酒の「あて」の話で実用的。大岡昇平「僕自身は作中人物には原則として酒を飲ませないことにしている。」(「酒品」)そうだったのか。この文庫では単行本『酔っぱらい読本』から日本の作家の詩、エッセイのみを収録、飲まずにはいられない、愛すべき作家たちの「酒についての文章読本」みんな酔っぱらいだった。

本の画象

講談社現代文庫(1300円+税)
2012年4月刊







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