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2014年6月30日号(e船団書評委員会)

紀本直美の推す2冊

谷川俊太郎・文/元永定正・絵/中辻悦子・構成
『あみだだだ』

 上から下、左から右へと、摩訶不思議で自由なあみだくじが次々と出てきます。2011年に亡くなった元永定正が遺したあみだくじの絵に、谷川俊太郎が詩をつけ、中辻悦子が構成した絵本。あとがきには、谷川俊太郎が元永定正に捧げる詩と、生前に元永定正が書いたあみだくじについてのことばが掲載されています。

本の画象

福音館書店(1200円+税)
2014年2月刊
高野文子/作・絵
『しきぶとんさん
かけぶとんさん
まくらさん』


 漫画家・高野文子が初めて描いた絵本。しきぶとんさんとかけぶとんさんとまくらさんに、子どもがお願いをします。おねしょをしませんようになど、ふとんに入る前に抱える不安な気持ちを、おまじないのような文章が優しく包んでくれます。心地よい睡眠がとれていない大人も寝る前に読むと、すとんと眠れそう。

本の画象

福音館書店(800円+税)
2014年2月


塩谷則子の推す2冊

吉野弘他著
ユリイカ 2014年6月臨時増刊号
総特集『吉野弘の世界』

 作品の印象が強いと作者は後ろに隠れるようだ。「奈々子に」「I was born」「夕焼け」「漢字喜遊曲」。18歳、大学に入学して間もない頃読んだ、「―諸君/魂のはなしをしましょう/魂のはなしを!」(「Burst―花ひらく」)のストレートな表現に驚いて以来、読んできた。『祝婚歌』を何冊買って贈ったろう。しかし、写真を見たのは今回が初めて。俊太郎ら、詩人たちの吉野評も素晴らしい。

本の画象

青土社(1300円+税)
2013年11月刊
高橋順子著
『水のなまえ』

 「前世は水に棲みにき八月の干上がる沼はわが処刑場」に至る斉藤史論の見事さにうなった。高橋順子が選んだ史の水の歌はどれもすばらしい。
 文学と水、民俗学と水、涙から枯山水に至るまで水に関する蘊蓄本。全編書き下ろし。南極の氷は甘いそうだ。歳時記の拡大で単調な冒頭の「季節の水」を飛ばし「水に流す」から読み始めるのがお薦め。

本の画象
白水社(1900円+税)>
2014年5月



2014年6月23日号(e船団書評委員会)

舩井春奈の推す2冊

佐藤日和太句集
『 ひなた』

 行く春や踏切の音だけが居る
 逆上がりできぬ空から藤の花
 象さんの鼻縮むかな冬の朝

 三学期制の章立てからなるこの句集は、春の廊下のシーンからひょっこり始まる。校庭で音符を拾ってみたり、教科書が春泥に入ってみたり。学校での俳句ばかりではないけれど、著者の日常生活をふと垣間見るような心地になる句集。

本の画象

創風社出版(1200円+税)
2014年4月刊
草刈民代著
『草刈メソッド』

 元バレリーナ草刈民代さんが誰でも自宅ででもレッスンできるよう考案された本。バレエありピラティスあり。著者自身のヘルニア改善プログラムを元にしていることも嬉しい。DVDも付き『瀕死の白鳥』は初心者でも踊れる振付。実は白鳥の腕の動き、肩甲骨を大きく動かすことから私の長年の肩凝り対策だったりする。
本の画象

マガジンハウス(2800円+税)
2014年7月刊


田中俊弥の推す1冊

産経新聞社編
『国民の神話』
日本人の源流を訪ねて

本の画象

 このところ、日本の集団的自衛権の行使をめぐる議論で、世上は喧しい。また、イラクやウクライナ問題など、国際情勢は緊迫し、一触即発の状況である。こうした事態のなか、世界が戦争(いくさ)を是とするベクトルに傾いているように感ぜられてならない。とともに、ナショナリズムの昂揚が、じわじわと国民のなかに醸成されつつあるようだ。だからこそ、かつて「国体」として神聖化されたもののありようが、たしかな事実にもとづいて明らかにされなければならないのである。神話は、ことばによる世界観創造の歴史であり、覇権争奪の刻印でもある。火山列島たる日本の歴史について、本書をひとつの窓としてあらためてしっかりと考えてみたい。

産経新聞出版(1300円+税)
2014年5月刊



2014年6月16日号(e船団書評委員会)

赤石 忍の推す2冊

絵/文・田島征彦
『 ふしぎなともだち』

 昨年夏、伊丹図書館にて坪内稔典氏、松本猛氏との鼎談を聞かれた船団の方々にはおなじみの絵本作家と思うが、本書は著者渾身の力作と言ってもいいだろう。自閉症と診断される主人公と、小学、中学と一緒に育っていく仲間たちとのふれあいが淡路島を舞台として繰り広げられる。「ふしぎなともだちだけど、友達はともだち」という言葉に、本当の友情とは何か、を考えさせる。教職についている方々には、ぜひとも読んでほしい一冊である。

本の画象

くもん出版(1500円+税)
2014年6月刊
作・有沢佳映
『かさねちゃんにきいてみな』

 本年度の日本児童文学者協会新人賞と椋鳩十文学賞を受けたように、昨年刊行の児童文学では数本の指に入るだろう。何より感服したのは、いつも同じシチュエーションの設定。登校班の子どもたちの朝の会話を中心に物語が進行し、それが読者をどこまでも引き込んでいく。大人の文学では書簡だけで展開する、井上ひさしの『十二人の手紙』等があるが、児童文学では実験的だからこそ驚いた。時々、若い新人からこんな画期的な人が現れる。俳句も多分、そうなんだろうな。
本の画象

講談社(1400円+税)
2013年5月刊


太田靖子の推す1冊


水原紫苑著
『桜は本当に美しいのか』
欲望が生んだ文化装置

本の画象

 挑発的なタイトルであるが、本書は、作者の素朴なこの問いから生まれた文学における桜史である。桜を長い人間の欲望の呪縛から解放したいという思いからの著作。随所に、作者のオリジナルの仮説が見られる。それに賛同するか否かは読者次第。和歌に関する歯に衣着せぬありきたりではない解釈も面白い。桜への賞賛ばかりではなく、スパイスとなる和泉式部の桜への呪詛の歌もある。実存の桜を詠んだ西行に対して、桜を解体しようとした定家、どちらの章も読みごたえあり。欲を言えば、詩の女王が梅から桜に変わった理由を突き詰めてもらいたかった。「桜は美しいに決まっている」と思っている人にこそお薦めする一冊。

平凡社新書(860円+税)
2014年3月刊

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2014年6月9日号(e船団書評委員会)

香川昭子の推す2冊

川名 大著
『俳句に新風が吹くとき』

 芥川龍之介『澄江堂句集』から寺山修司『花粉航海』までの14冊の句集についての読み解きがなされ、同時に、俳句の表現史についても言及してある。また「海に出て木枯帰るところなし 誓子」の句について【「帰るところなし」という擬人法の露出度が高く、そのため写実の果ての象徴にならず、寓意に陥る危うさが見られる】と書くなどとても刺激的。

本の画象

文學の森(2500円+税)
2014年3月刊
鷲田静一著
『「自由」のすきま』

 帯文に「現代社会の違和を複層的に思考する、やさしい哲学エッセイ」。中を開けばたとえばこんな言葉。「何かをつぶやくとき人はそれをじぶんの感情の発露であるかのように思っているが、ほんとうは言葉こそがわたしの感情を紡いでいるのかもしれない。(中略)  言葉は無名の身体であって、そこをわたしが出入りしているとでも言ってみたい気になる。出入りしているうちにわたしの初期設定がふと更新されている、と」。

本の画象

角川学芸出版(1600円+税)
2014年3月


木村和也の推す2冊

村上蛃魚著・林 桂編
句集『夜雨寒蛩』

 蛃魚は大正期、高浜虚子の「進むべき俳句の道」で取り上げられた32人のうちの1人だが、今日ではほぼ無名に近い。生前の句集はなく、林桂編で900余句が文庫にまとめられた。現代的な感覚が随所に見られ、「ホトトギス俳句」の豊かな水脈に触れることができる。
 羽化もせず残月の山下りけり

本の画象

花の花冠文庫(1000円+税)
2013年11月刊
永江 朗著
『おじさんの哲学』

 権威的な父でもなく、頼りない兄でもなく、常識にとらわれない、それでいて話し相手になってくれる「叔父さん的」なものを追求した、人物列伝である。内田 樹から吉本隆明、鶴見俊介まで、大仰な思想に惑わされず、ひたすら「叔父さん的」なものに着目する姿勢には、俳句的精神に通底するものがあって面白い。

本の画象
原書房(1800円+税)>
2014年4月



2014年6月2日号(e船団書評委員会)

千坂希妙の推す2冊

岡井耀毅著
『写俳人の誕生』

 写俳人(この呼び名は好きになれないが)とは、写真家にして俳人のことである。デジカメの普及によって写真が容易に撮れるようになったことから、写真と俳句のコラボはますます盛んになっている。だが、どちらも入りやすく、達しがたいジャンル。筆者はその源流から現代に至る歴史をふまえて新たな可能性を探ろうとする。

本の画象

彩流社(1800円+税)
2014年2月刊
山田太一著
『空也上人がいた』

 これはドラマ風の小説である。登場するのは81歳の独居老人とその世話をする27歳の青年ヘルパー、市の職員の46歳の女性の3人だけ。風変わりな恋模様を通して人間の弱さやせつなさ、それを包むやさしさが胸を打つ。なぜこの題名になっているかは読んでのお楽しみ。読後必ず六波羅蜜寺の空也像に会いたくなるだろう。

本の画象

朝日文庫(500円+税)
2014年4月


若林武史の推す2冊

穂村弘監修
『はじめての短歌』

 このところ、穂村弘の本をよく読む。この本は監修ではあるが、短歌に関するしっかりとした思想が軸にあって、それが短歌の改悪例を交えて紹介してある。生き抜くための言葉と生きるための言葉、この二つがキーワード。当たり前のことかもしれないがたいへん感心した。

本の画象

成美堂出版(1000円+税)
2014年4月刊
川村裕子著
『平安女子の楽しい!生活』

 小中学生向けの本。とても読みやすく、文体もこれはこれでありかなという感じで、平安王朝の貴族社会のことがきわめて平明に書かれている。現代の生活事情に最適化された説明になっていて、意外とおすすめの1冊です。

本の画象
岩波ジュニア新書(840円+税)>
2014年5月



2014年5月26日号(e船団書評委員会)

鈴木ひさしの推す2冊

小森陽一著
『仙台で夏目漱石を読む』
仙台文学館ゼミナール講義記録

 再び、『朝日新聞』で『こころ』の連載が続いている。漱石の小説は、同時代の読者を想定して書かれ、現実の歴史とともにあり、ことばは、深く時代に根付いている。歴史や芸術に対する小森氏の考察が、漱石の小説のただならないものを引き出している。仙台文学館ゼミナール2012「夏目漱石を読む」全5回の記録。近代文学の古典はまだまだ読まれるべきだと思わせる本である。

本の画象

荒蝦夷(1500円+税)
2013年10月刊
網野善彦著
『列島の歴史を語る』

 「日本」列島で生きた人々は、どのような世界をイメージし、どのような人生を送っていたのか。「日本人の祖先は、・・・世界の人類そのものである」。海を渡る人々の目で、列島の地図を描いてみる。大陸から、オホーツク海から、太平洋から、・・。網野氏の本を読んでいると、大きく視界が開ける場所に次々と案内されているような気がする。著者の魅力の伝わる講演と質疑応答の記録である。

本の画象

ちくま学芸文庫(1000円+税)
2014年4月


宇都宮哲の推す2冊

長澤秀行編著
『メディアの苦悩』
28人の証言

 “ネット”の大きく激しいうねりが社会を侵食している。危機感を募らせる新聞・テレビなどの「マスメディア」と余りにも急激は拡大・進展に戸惑う「ネットメディア」、本書はそのトップたちの最前線の声を集めたインタビュー集。いずれもが難題を抱え苦悩しており、行く先の見えない現場の状況が浮き彫りにされている。ただ、ことの本質は多様で奥深く、そして混沌としている。おそらく、人類史上最も大きな社会変革が始まっているのだろう。アナログかデジタルか、人類は進化するのか、生物学上の問いかけでもある。

本の画象

光文社(820円+税)
2014年5月刊
TABIPPO編
『ウユニ塩湖』
世界一の「奇跡」と叫ばれた絶景

 絶景本ブームらしい。いきつけの書店にも平積みで何冊も並んでる。そのブームの背景も気になるがまずは手に取ったのが中南米・ボリビアの「世界一の奇跡の絶景、ウユニ塩湖」。プロの写真家ではなく現地を訪れた100人の普通の旅人がつくった写真集である。1ページ1ページから彼らの人生を変えるような体験と生の感動が伝わってくる。巻末には、きめ細かな「今すぐ行けちゃうガイド」も付いている。ただ、相当不便な長旅のようだ。心して旅立たれよ!

本の画象
いろは出版(1400円+税)>
2013年12月



2014年5月19日号(e船団書評委員会)

武馬久仁裕の推す2冊

辻まさ野句集
『 柿と母』

 辻まさ野は、世界をさりげなく変貌させる。例えば「自転車にひかる雨粒巴里祭」。雨に濡れたただの自転車。しかし、その小さな雨粒の一つ一つが光ると自転車は甘く切ない巴里祭の世界へと入って行くのである。そして「雛の間を楽譜かかえてとほりけり」。雛たちがその楽譜で楽しげに演奏し歌い出しそうな空間に雛の間は静かに変わる。二句しか紹介できないのが残念だ。

本の画象

角川学芸出版(2700円+税)
2014年4月刊
小笠原豊樹著
『マヤコフスキー事件』
―文学者が見た世紀の祭典―

 ロシア未来派の詩人マヤコフスキーの死(1930年)は、長い間自殺とされていた。しかし、作者は、OGPU(合同国家政治保安部)に殺されたことを、詩人の最後の1週間を克明に追うことでほぼ証明した。では、なぜ殺されたのか。私は、251頁の写真を見て納得した。そこには、彼の葬儀に集まった、モスクワのビルの谷間を埋め尽くす大群衆が写っていたのだ。
本の画象

河出書房新社(2800円+税)
2013年11月刊


藤井なお子の推す1冊


倉橋健一詩集
『唐辛子になった赤ん坊』

本の画象

 去る3月、柿衛文庫の「ことばを考えるシリーズ22『現代詩のことば』」は詩人の倉橋健一先生がゲストだった。その日先生は仰った。脳裏に突如「唐辛子になった赤ん坊」という14文字が浮かんだと。それは理屈ではない、計算ではない、夢に一番近そうだ。成る程詩が生まれる瞬間というのはそういうものなのかと、大変な秘密を知ったような気になった。話を伺うにつれ先生ご自身が赤ん坊のように純真に見えても来ていた。
 と、いうわけで『唐辛子になった赤ん坊』を購入。30篇を越える異次元体験の中で、「気の弱い癇癪持ち」が好きになっている。1枚の切符を裏返しに入れたことからどんどん連想、想像が続き、飛躍する。裏返しの切符と自分がのっぺらぼうになってしまうことと何処かで繋がっているような面白さ。俳句の二物衝撃にも似ているかも知れない。
 その日の帰り道、酔っ払った先生はコートを裏返しに羽織っておられた。なんとチャーミングであろう! 裏返しの切符と裏返しのコート。詩が生まれる予感あり。

思潮社(2800円・税込)
2014年2月刊



2014年5月12日号(e船団書評委員会)

塩谷則子の推す2冊

広田千悦子・歳時記監修/
瀬戸口しおり・料理

『おいしい歳時記』

 「かしわは、新しい芽が育つまでは古い葉が落ちないことから、子を守る親の思いや、途切れない家系の象徴といわれています。」また抗菌作用があるとも。そして、おいしそうなかしわ餅の写真と作り方。行事から時候の挨拶に至るまで、月ごとの歳時記的な説明と、その季節を代表する日本料理とお菓子の作り方。お菓子の水無月や千歳あめのレシピは初めて知った。見て楽しむ本。

本の画象

オレンジページ(1000円+税)
2014年4月刊
品川悦一著
『斉藤茂吉
異形の短歌』


 p19〜p21「めん鶏ら砂あび居たれひっそりと剃刀研人は過ぎ行きにけり」の解説が白眉。「ひっそりと」は「過ぎ行きにけり」の説明だが、めん鶏らの動きも暗示している。それは「ひっそり」「めんどり」「かみそりとぎ」の音が響き合うことによる。また「あび居たれ」は文法破りの已然形止め。日常を非日常化するため茂吉が仕掛けた語法という。個性=異形への執着とする論は刺激的。

本の画象

新潮選書(1300円+税)
2014年2月


紀本直美の推す2冊

谷 悦子著
『まど・みちお』
懐かしく不思議な世界

 梅花女子大名誉教授である著者が、まど・みちおの考え方や創作の源泉を探る一冊。「じつは私のほんとのふるさとは、地球上になくて、地球の中心なのです。引力の終点なのです」104歳という天寿を全うしたまど・みちおさん、今度は地球の中心から私たちを優しくみつめていらっしゃるのでしょうか。

本の画象

和泉書院(2200円+税)
2013年11月刊
清水たま子・文/竹田鎭三郎・絵
『ワニのお嫁さんとハチドリのお嫁さん』

 メキシコにゆかりのある作家と画家による、メキシコの神話伝承をモチーフにした絵本。ウワベ族とチョンタル族は海をめぐって争い続け、多くの犠牲者がでます。その二つの国を仲良くさせるためにハチドリやワニが出てきて…。国々が海をめぐって争う姿は、現代にも通じる普遍的なテーマではないでしょうか。

本の画象
福音館書店(1600円+税)>
2013年11月



2014年5月5日号(e船団書評委員会)

太田靖子の推す2冊

稲畑汀子著
『俳句と生きる』
稲畑汀子講演集

 書簡を駆使しながら、近代俳句の夜明けの時代(子規、漱石、碧梧桐、虚子など)を浮き上らせている章は、面白く読める上、説得力がある。「俳句の表現 伝えるのは意味か、イメージか」では、俳句がソシュールの連合軸と結び付けて説かれ、なるほどと納得した。孫汀子から見た祖父虚子の俳句観の深化の様子(花鳥諷詠から存問へ、そして極楽の文学へ)も読んでおきたい。

本の画象

角川学芸出版(2500円+税)
2013年10月刊
阿部公彦著
『詩的思考のめざめ』
心と言葉にほんとうは起きていること

 「詩的」という形容の向こうにあるものを突き止める事が本書の目的という。詩とは何か、また詩の読み方を具体的に示してもくれる。詩の最も基本的な機能は名づけ。何かを見つけ、「あっ」と思い、それを何らかの形で自分の中に配置したくなるという欲望が詩の第一歩。くらくらっとするめまいのような感覚が詩の真髄という。詩について改めて考えるヒントとなる一冊。

本の画象

東京大学出版会(2500円+税)
2014年2月


舩井春奈の推す2冊

ねじめ正一俳句・田島征三絵
『猫の恋』

 ねじめさんの俳句とコラボしたのは、なんとも強烈な印象の絵。ねじめさんの俳句もとんでいる。実家のお隣さんは、まだ漢字が読めないゆえに漢字に憧れているお年頃。読み聞かせをすれば、きっと俳句にも絵にもゲラゲラ全身で笑い転げそう。大人にも薦めたいし、好奇心旺盛な子どもの反応も見てみたくなる俳句絵本。

本の画象

芸術新聞社(1600円+税)
2014年2月刊
水野敬也・長沼直樹著
『人生はニャンとかなる!』

 愛猫家さんもおススメの本。さらっと読みたければ、猫の写真と書かれたことばを、ふむふむ読みたければ、その裏側から偉人のエピソードなどを知れる。そしてお気に入りページは切り取れるおまけつき。題名から、そんなに簡単に人生ニャンとかニャるもんか…って思うも、そのうちニャンとかニャるかも?!って思えてくる不思議。

本の画象
文響社(1400円+税)>
2013年11月



2014年4月28日号(e船団書評委員会)

田中俊弥の推す1冊


蜂飼 耳
『おいしそうな草』

本の画象

 本書は、岩波書店の『図書』2011年11月号から2013年10月号に連載された「ことばに映る日々」24編の文章に、巻頭に「芝」、末尾に「台湾、花連の詩」「旧石器」の3編を書き下ろしとして加え、「あとがき」を付して刊行された。標題は、『古事記』に一度きりしか出てこない言葉である「青人草(おをひとくさ)」(イザナキノミコトが黄泉路から生還したとき、窮地を救ってくれた桃の実に語ったことば)によるとのこと。著者は、「人はおいしそうな草であることができるか、どうか。」と問いかけている。詩はどこに現象し、詩のことばはいかに存立するのか。詩論、散文詩でもある、日常に依拠するこの随筆は、真の詩人をめざす人に読んでほしい。

岩波書店(1700円+税)
2014年3月刊


赤石 忍の推す2冊

絵・宇野亜喜良/文・石津ちひろ
『 アナグラム人名図鑑』

 ご存知のとおり、アナグラムとは「文字の順番を並べ替えることによって、ある言葉を別の言葉へと変容させる」遊びのこと。例示した「黄金虫⇒猫が無視」「桜貝⇒暗い性」等を見ると、著者が「詩的スパイスをかけた言葉の離れ業」と言うのもうなずける。「小林一茶⇒翼恋しや」「松尾芭蕉⇒王待つ場所」「正岡子規⇒おかしき様」「種田山頭火⇒ただ運と金さ」「高浜虚子⇒柿は、また良し」「西東三鬼⇒父さん鬼才」。おもしろいでしょ。それに宇野氏の素敵なイラストが付く。ちなみに坪内稔典氏は「都市の墓地、移り」です。

本の画象

ワイズ出版(1900円+税)
2014年2月刊
さく/え・石川えり子
『ボタ山であそんだころ』

 久しぶりに良い絵本に出会った。多分、作者の実体験がベースとなっているのだろう。1965年6月、福岡・筑豊の三井山野炭鉱で起こったガス爆発事故。そこで働いていた237名の方が亡くなった。それを契機に転校していった友だちとの出会いと別れが、ほぼ1色の画面に描かれている。あの頃はみな、ほぼ貧しかった。だが今と比べてそう思うだけで、それ以上にみな、楽しかったのではないか。何かを失いかけている現在、そんなことは言い古されたことだが、何も語らない絵本だからこそ、いっそう迫ってくるように思う。

本の画象

福音館書店(1500円+税)
2014年3月刊



2014年4月21日号(e船団書評委員会)

木村和也の推す2冊

金子兜太著
『小林一茶』
句による評伝

 代表句90句を読み解きながら、一茶の生涯を辿る。歯切れのよい明快な口調で気持ちよく読める。「雲に鳥人間海に遊ぶ日ぞ」などの現代的な感覚の句も紹介されていて、従来の屈折気味の暗い一茶像を抜けて、文芸家としての新しい一茶像が提示されている。

本の画象

岩波現代文庫(860円+税)
2014年3月刊
大塚ひかり著
『本当はひどかった
昔の日本』


 現代の日本の世相を嘆いて、「昔は良かった」と嘆息してみせる俗論を切って捨てる。昔だって十分にひどかったのだと、『日本霊異記』等の古典にみられる、現代人も真っ青の育児放棄などを例示する。これは、今も変わらないしたたかで逞しい人間への讃歌でもある。

本の画象

新潮社(1300円+税)
2014年1月


香川昭子の推す2冊

阿川佐和子他著
アンソロジー『おやつ』

 おやつをめぐる蜂飼耳、長島有から中村汀女、久保田万太郎など、いろんな時代の老若男女42人のエッセイ集。えびせん、柿ぴー、金平糖、つまみ読みしていたらすぐ時間がたっている。ケーキ等の上等なものから、メロンパン、道ばたのほおずき、さいころキャラメル。酒井順子、東海林さだお、伊集院光などをはじめて読んだ。よかった。

本の画象

PARCO出版(1600円+税)
2014年2月刊
ミラン・クンデラ著/西永良成訳
『笑いと忘却の書』

 1992年の単行本の文庫化。笑いと忘却というテーマでつながっている7つの短編集。政治やセックスなど普通のことを描きながら、どこか現実ではない世界に入っていく。軽い文章。笑うに笑えないおかしな状況。ひとのあわれさ。「権力にたいする人間の闘いとは忘却にたいする記憶の闘いにほかならない」等等、醒めた見方がたくさん。

本の画象
集英社文庫(972円・税込)>
2013年11月

[e船団・週刊ブックレビュー]バックナンバー



2014年4月14日号(e船団書評委員会)

若林武史の推す2冊

穂村 弘著
『短歌ください そのニ』

 雑誌『ダ・ヴィンチ』の連載をまとめたもの。一般読者にあるテーマに関する短歌を募集し、それに穂村弘の講評が添えてある。一般読者の短歌なので、いろいろなカラーがあるが、それはそれでいい。読者層が比較的若いので、歌に描かれる世界も何だか若い。それがこの本の良さだと思う。気軽に読めます。

本の画象

KADOKAWA(1400円+税)
2014年31月刊
小川仁志著
『たった1日で
人生を300倍
面白くする方法』


 西洋の哲学者の箴言を日常生活レベルに置き直し、私たちの生活に新しい風を送り込もうといった趣旨の一冊。腹筋をしよう、髪型を変えよう、「最悪」を「最高」といってみよう、などなど。身近な話が中心なので、読みやすい。4月からの新しい生活に取り入れるのもいいかもしれない。5月病は防げそうです。

本の画象

KADOKAWA(1404円・税込)
2014年1月


三好万美の推す2冊

河合隼雄・河合俊雄編
〈子どもとファンタジー〉コレクションV
『物語とふしぎ』
 「ふしぎ」を感じ取れなくなったら、「ふしぎ」を楽しめなくなったら、子どもではなくなったといえるのだろうか。この本を読んでいると、 「ふしぎ」の対極には、常識や世間や権力があるのだと何度も思った。引用している文献は宮沢賢治や今江祥智から海外のファンタジーや冒険 物語まで幅広い。

本の画象

岩波現代文庫(920円+税)
2013年10月刊
荒川静香著
誰も書かなかった
『知って感じる
フィギュアスケート観戦術』


 実践して楽しむというよりは観て楽しむことの多いこの競技について、技の解説から採点方法、コーチや振付師と選手との関係について、 初めて本格的に観戦する人にも分かりやすく書かれている。次のフィギュアスケートシーズンの各選手の演技が楽しみになってくる。

本の画象
朝日新聞出版(760円+税)>
2013年12月



2014年4月7日号(e船団書評委員会)

宇都宮哲の推す2冊

玄侑宗久著
『さすらいの仏教語』
暮らしに息づく88話

 言葉は長生きである。その起源から時代を経るごとに微妙に変化したり、分化したり、別の意味になったりして、「さすらい」ながら逞しく生き残っている。僧侶であり芥川賞作家の著者が、阿弥陀くじ、工夫、莫迦、皮肉、油断、がたぴし、ないしょ、女郎などなど約90に上る身近な仏教語のさすらいぶりを見事にひも解いて見せる。その意外な変遷が愉しく読めて、そして、いつしか仏教の教えが伝わってくる。それにしても「言葉ってそんなに変わるもの」かと!

本の画象

中央公論新社 (760円+税)
2014年1月刊
安田登著
「こころの時代」の次を生きる
『あわいの力』

 能楽師のワキ方でも著者が、媒介という意味を表す古語「あわい」をキーワードに、21世紀の肥大化する「心」の副作用を乗り越えるヒントを様々な視点から探った一冊。その論考はユニークで示唆に富んでいるがあちこちに話が飛んでまとまりがない。ただ、その中でも第6章「甲骨文字から「心」の誕生を探る」が興味深い。「心」を持たない人がいたのか、では、全人類はいつから心を手に入れたのか、紀元前1000年以上前の文字から解き明かしていく。

本の画象

ミシマ社(1700円+税)
2014年1月


鈴木ひさしの推す2冊

福岡伸一著
『動的平衡』 ダイアローグ

 結局、納得のゆく「ことば」を追究することが学問ではないだろうか、そこに人文、社会、自然科学の別はない。福岡氏のことばは、自分だけでなく他者を納得させるように、常に練られており、わかりやすい。様々な分野の人との「ダイアローグ」が、「ことば」を追究するだれもが参加できる開かれた場となっている。

本の画象

木楽舎(1500円+税)
2014年2月刊
野口武彦著
『「今昔物語」いまむかし』

 「古典常識」で読み解かれる『源氏物語』などとは異なり、『今昔物語』はあらゆる階層の実在した世界が赤裸々に描かれている。とすれば、『今昔物語』の中に、『源氏物語』を入れて読むのもおもしろいかもしれない。著者は、異物にあふれ、異臭漂う『今昔物語』の世界の住人と、現代日本の住人を重ねてみている。

本の画象
文藝春秋(1600円+税)>
2014年2月



2014年3月31日号(e船団書評委員会)

藤井なお子の推す1冊


重金敦之著
『食彩の文学事典』

本の画象

 私は幸いにもネンテン先生に直接会うチャンスがあるが、通常は読者―著作―作家の関係に終わり、直接作家の人格に触れることは無い。しかしながら何故かこと食べるシーンを読むとぐっとその作家の人格に近付けた気がする、というのは私だけだろうか。本書は作家が描いた食の場面やエピソードを惜しげもなく紹介している。(250冊を網羅) 例えば、京都の円山公園の「いもぼう」は松本清張の短編『顔』にあるが、彼が流行作家になる前の文であると解かれ、若き清張がぐっと近くなる。すっぽん料理屋「大市」については多くの作家の文が紹介されており、「まるなべの煮汁はおおかた半分ほども酒である。」と川端康成。ぜひともと思い調べてみたら、現在○鍋のコース23,000円也。

講談社(1700円+税)
2014年1月刊


武馬久仁裕の推す2冊

打田蛾者ん句集
『光速樹』

 「まんえふしふしほりとまがふこのはがみ」といった、すべて平仮名によって書かれた句があるが、ここには未だ言葉ならざる言葉の世界がある。例えば「木の葉髪」と「この歯噛み」は一句において未分化である。そこが呪文に似て面白い。また、「迷宮への出口の夏蝶 雷蔵忌」などは、「雷」という漢字が効果的だ。読めば読むほど発見のある句集である。

本の画象

書肆山田(2600円+税)
2014年2月刊
夢枕 獏著
『大江戸恐龍伝』(全5巻)

 平賀源内が初めて龍に出会った時、龍は「けあああああああああ〜んっ!!」と吠えた。見世物になりはてた龍は「ぎええええええええええ〜〜ん!!  ぎええええええええええ〜〜ん!!」と咆えた。両眼から血を流し、大鉄砲で止めをさされた龍は「かおおおおおおおん!」と断末魔の叫びを上げ、死んだ。源内は龍に己を見ていた。この時代にいちゃあならねえ化け物としての己を。
本の画象

小学館(合計8400円+税)
2014年2月刊


[e船団・週刊ブックレビュー]バックナンバー



2014年3月24日号(e船団書評委員会)

紀本直美の推す2冊

長田弘・さく/山村浩二・え
『ん』

 「ん。」「ん、」「ん?」「ん…」。声のトーンや、長さで、意味が全く違ってくる「ん」。あいうえおの最後にちょこんとついてる「ん」。でも、おまけではなく、とっても重要なのが「ん」です。アニメーション作家の山村浩二さんのシンプルでユーモアあふれるイラストは、子どもと一緒に真似して描いて楽しめるかも。

本の画象

講談社 (1200円+税)
2013年9月刊
小林豊/文・絵
淀川ものがたり
『お船がきた日』

 日本画家・絵本作家の小林豊が描く、日本の歴史と風土を舞台にした絵本。江戸時代の淀川とそこで生活する人々のいきいきとした日常が描かれます。「通信使」という言葉は学校で習いましたが、500人あまりの使節団が淀川を川船で、その後、江戸まで陸路で移動したことなど、この絵本で初めて知りました。

本の画象

岩波書店(1600円+税)
2013年10月


塩谷則子の推す2冊

細谷亮太著
『いつもこどものかたわらに』

 赤ちゃん健診ちんぽこばかり四月馬鹿(喨々)
 俳号喨々を持つ筆者は小児がん専門医。13年末に聖路加病院を65歳で退職の前後に新聞や雑誌に書かれたエッセイ。難病の子どものためのキャンプやそれを10年間撮影した映画のことなど。
 多忙な中、老母のいる山形の実家に帰り日曜診療当番、俳友と山形グルメ旅行。その温かさ明るさが死の近くにいる子どもに力を与えるのだろう。

本の画象

白水社(1800円+税)
2014年3月刊
芦原 伸著
『へるん先生の汽車旅行 』
小泉八雲、旅に暮らす

 食い詰めて「日本の珍談奇談を原稿にして売ろう」と当時欧米で流行の日本にやって来たラフカディオ・ハーン、40歳。松江で「へるん先生」となり、家族を持ったハーンの足跡を現在の鉄道でたどる。出発はシンシナティ、ハーン19歳。バックパッカーに近い形で来日したので、日本人に心を開くことができたが、作品は西洋人向けに書かれ脚色されているなど、わかりやすい評伝。

本の画象
集英社インターナショナル(1700円+税)>
2014年2月



2014年3月17日号(e船団書評委員会)

舩井春奈の推す2冊

種田山頭火著/春陽堂書店編
グッとくる『山頭火』
コトバと俳句

 時には立ち止まりたくなることがある。それを本当に動かなくなってしまったり、思い通りにいかないことを素直に受け止めるオッチャンがいた。日本各地を歩いた旅人山頭火だ。山頭火の日記だけを見ていると、オイオイコラコラ…といったところ。でも、この山頭火語録を読んでいるうちに、まぁしゃーないかって思えてくる。

本の画象

春陽堂書店 (1200円+税)
2013年11月刊
アンダソヴァ・マラル著
『古事記 変貌する世界』
―構造論的分析批判―

 もはや平安時代の人にとって『古事記』等日本神話は、読み辛くなっていたという。今の私たちが古典文学を読むうえで知識を必要とするように―。今回、その『古事記』についての研究書を上梓されたのは、なんと遠くはカザフスタンからやって来た留学生。日本神話の世界をひとつひとつ丹念に読み解かれている一冊。

本の画象

佛教大学研究叢書(7000円+税)
2014年3月


太田靖子の推す2冊

高橋睦郎著
『歳時記百話』
季を生きる

 季語は想像以上に奥深く、興味深い。季語が俳人のためだけにあるのはもったいないという考えに納得した。歳時記を世界遺産にという声にも賛同する。「虹」がなぜ虫偏なのか、その疑問が解けた。「蛍」がフランスでは忌まれているなどと西洋での知見も豊富である。日本人であれば、季語を体験し、季を生きたいと思わせる一冊。

本の画象

中央公論新社(780円+税)
2013年12月刊
野澤 一著/坂脇秀治編
日本のソロー・野澤一の詩と人生
『森の詩人』

 昭和の初め、ナチュラリスト詩人ソローに触発され「春先、山の中で雪滴を一人静かに聞くため」森で隠棲し、詩作した『木葉童子詩経』。その抜粋が本書。作品のキーワードは「なつかしい」。高村光太郎への手紙には「早春の一夜婚姻を申込むなら、私は世界の読書よりも山しょうの葉っぱに申込む」などと思いを綴る。

本の画象
彩流社(1600円+税)>
2014年1月



2014年3月10日号(e船団書評委員会)

赤石 忍の推す2冊

北野元生句集
『 赤道を止めて』
―バベルのライン

 最近は御見限りだが、船団東京句会にちょくちょく顔を出されていた。ご送付いただき読んでびっくり。難解な語句・表現にしばらくうーんと唸ってしまった。思わず笑った友人歌人の〈序〉の文章。「しかしこのやうな意味を嗤つたりする前に、読めない句が流通するのだらうか。少なくとも読む前にぶ厚い辞書が必要となることだけは間違ひなささうだ」などなど。もちろんその底には親愛が流れ、新たな可能性を示唆しているのだが、作者北野氏はそんな言にも我関せず、どこまでも疾走していくのだろう。でも何処へ?

本の画象

文学の森(2857円+税)
2014年1月刊
講談社編
『東京オリンピック』
―文学者が見た世紀の祭典―

 1964年、小学校5年だった。体育館に設置された小さなテレビを学年ごとに振り分けられて見ていた記憶がある。本書に書かれた選手たちの名前の懐かしいこと。そして何より驚いたのは、錚々たる文学者たちがその観戦記を書いていたことでる。今ならクレーム間違いなしのギリギリの表現を使いながら、オリジナリティ豊かな文体で自由奔放に書いている。でも否定論者もやがて賛美に。戦時下もこうだったのかなと、皮肉的には、ちょっぴり思った。
本の画象

講談社文芸文庫(1600円+税)
2014年1月刊


田中俊弥の推す1冊


京阪神エルマガジン社編
京阪神『和食の店』

本の画象

 2013年12月4日、日本国から提案した「和食;日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコの「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)」に記載されることになった。以来、にわかに「和食」に脚光があたっている。本書も、それにあやかった一冊。農林水産省のHPによると、その「代表一覧表」には、「能楽」「人形浄瑠璃文楽」「歌舞伎」「雅楽」「組踊」「アイヌ古式舞踊」なども、実はすでに登録されている。どれも、わたしたちの日常生活から遠い存在が遺産になっているのだ。本書掲載の和食店は200軒。お店のビジュアルな美しさもいいが、一汁三菜の基本をこそまずは知り、日々の生活のなかで実践していくことが実は肝要なのではあるまいか。

京阪神エルマガジン社(750円・税込)
2014年1月刊



2014年3月3日号(e船団書評委員会)

香川昭子の推す1冊


坪内稔典コレクション
『芭蕉とその時代』

本の画象

 『新芭蕉伝 百代の過客』、論文、インタビュー記事、講演録、エッセイなどによる俳諧論を収めた一冊。
 『新芭蕉伝』ののっけから【草の戸も住み替わる代ぞひなの家】を[作者の境遇や時代を無視して読み解く〔俳句的な読解法〕に耐える力がないのかもしれない]。
 また【あらたふと青葉若葉の日の光】の感情の直接的な表現にふれ、[あえて危険をおかすことが風雅の誠をせめることだったにちがいない]。
 真面目なところでは[俳諧の風雅は〔風雅を逸脱する風雅〕として実現する。]
 おかしいのは[感激したら芭蕉翁はきまって涙をこぼす]。
 印象に残ったのは[迷いに揺れる中年の芭蕉がたまたまバショウをもらい、バショウを自分のシンボルにすることで、迷いを越えて自分の像を作っていったのだろう。]

沖積舎(3500円+税)
2013年11月刊


木村和也の推す2冊

樽見 博著
『 戦争俳句と俳人たち』

 誓子、草城、草田男、楸邨らを中心に、戦争責任などとは関わりなく、戦争(前後も含めて)の時代と俳句との関わりを検証する。実験的作品と俳句論が生き生きと噴出し、俳句と時代が格闘していた状況が浮かび上がる。坪内稔典氏らの論考にも触れるなど、当時の俳句状況を克明に辿っていて資料的価値も高い。

本の画象

トランスビュー(3200円+税)
2014年2月刊
小池博史著
『からだのこえをきく』

 「私」も「生」も「時代」もすべては「からだ」から始まるとの認識(主張)は、舞台芸術実践家の面目であろう。その肉体性への希求は、頭でっかちで空疎に肥大した今日の情報社会の時代への警鐘であると同時に、人間への讃歌でもある。「からだにはコラージュなどという手法は通用しない」とは、文藝にも通じる真理かもしれない。
本の画象

新潮社(1700円+税)
2014年1月刊



2014年2月24日号(e船団書評委員会)

若林武史の推す2冊

萩原昌好編
日本語を味わう名詩入門20
『 まど・みちお』

 小学生のために選ばれた、まど・みちおの詩と解説が丁寧に載せられている。いつ読んでも、まど・みちおの詩はいいなあ、と思う。心がふっと宙に浮上するような感覚が残る、ことばの選択の力。詩人はすごいな、と思う。

本の画象

あすなろ書房(1500円+税)
2013年11月刊
内田 樹著
『邪悪なものの鎮め方』

 おなじみの内田樹の文庫本化された一冊。このところ、邪悪なものと対峙しているような気がしていて、そんな自分にぴったりだったので紹介する。今から四、五年前の出来事が元になっているが、今にも通じる内容が多く、ためになる。内田樹は、良い物差しを持っているなあと、読むたびに思う。
本の画象

文春文庫(680円+税)
2014年1月刊


三好万美の推す1冊


久野はすみ著
『シネマ・ルナティック』

本の画象

 愛媛県在住の歌人の第一歌集。タイトルのシネマ・ルナティックは、松山市に実在する映画館の名前で、作者は二十代の頃演劇と深く関わっていた。
 そんな経歴を知らなくても、ドラマ性のある展開や比喩が印象的な歌が多いことに気付く。またその一方で、俳句の取り合わせを思わせるような展開の歌もあり、情感に流されない言葉の斡旋がいい。歌集全体を通して「虚」の世界、「実」の世界がバランスよく混在している。

 格差とは闘わないときめたのでニセアカシアの蜂蜜とろり
 大胆な転調ののちゆるやかに終わってしまうのか曼珠沙華
 悔しさに嗚咽のやまぬ少年はたまねぎのよう転がしておく

砂子屋書房(2400円+税)
2013年11月刊



2014年2月17日号(e船団書評委員会)

鈴木ひさしの推す2冊

原 研哉著
『デザインのめざめ』

 「エレガントなハエ」「ミイラとリサイクル」「白の心意気」「デザインと数学」・・、ほぼ二文節からなるタイトルと心地よい文章。どちらもシンプルで機能的、しかも抑制と破綻を含んだデザインのようである。「密やかなものに文化の質を支える美」「デザインの小さな哲学」・・思わず線を引いたところがたくさんあった。

本の画象

河出文庫 (600円+税)
2014年1月刊
綿抜豊昭著
『江戸の恋文』
―言い寄る、口説く、ものにする―

 「恋文文化」と時代が垣間見える本。かんざしをプレゼントされて書かれた遊女の美しい手紙と、すぐ下の欄にある遊女の墓の写真。筆者所蔵の多くの図版などが効果的に配されている。恋文には「お決まり」があったが、「型」から少しずれる文の表情と肉筆から、お互いの存在を感じたのではないか。江戸時代の文字文化は裾野が広い。

本の画象

平凡社新書(760円+税)
2014年1月


宇都宮哲の推す2冊

はらだ明句集
『雲水』

 俳句の愉しみ方はいろいろあるが、句集の出版もその一つ。本句集は、全句が作者独学の毛筆書きで書かれており、愉しみながら一句一句したためている作者の姿が伝わってくる。また、京都の町名を入れた句とその町を紹介するシリーズもあり、京都好きには嬉しい。座右において、折に触れ、句を愉しみ、字を愉しみ、京の町を愉しでいる。さて、中から一句。

 小豆粥いま雲水になっている

 今日も作者は、雲水のように京の町を自由に行脚していることだろう。

本の画象

北斗書房(私家版)
2014年1月刊
湯浅 学著
『ボブ・ディラン』
――ロックの精霊

 本書はボブ・ディランのデビューから72歳の今日までのミュージシャンとしての遍歴とその作品を丹念に辿っている力作である。ただ、ボブ・ディランはやはり活字にするといささか退屈だ。60年代初めギター一本引っさげて自作の曲を歌う彼の姿は時代そのもの。決して文章でつづることのできない圧倒的な存在感があった。理屈や講釈はいらない、“風に吹かれて、転がる石っころのように”いつもと同じように歌っているボブの姿をずっと見ていたいのだが・・・。

本の画象
岩波新書(760円+税)>
2013年11月



2014年2月10日号(e船団書評委員会)

武馬久仁裕の推す2冊

滝沢和枝詩集
『苦いチョコレート』

 「もみじ」は、見事な作品である。砂場でだんご屋ごっこをして遊ぶ2歳の女の子と男の子の光景を、ただ見たまま述べているだけのように見える。しかし、2人のごっこ遊びは、ごっこ遊びでありながら、本当の出来事でもあるような宙ぶらりんの不思議な世界へと、ふっと読者を誘い込む。日常と非日常が何気なく絡み合った26篇からなる詩集である。

本の画象

ふらんす堂 (2000円・税込)
2013年12月刊
日本再建イニシアティブ著
『民主党政権 失敗の検証』
―日本政治は何を活かすか―

 民主党の政策理念を党内で理解していたのは、一部リーダー達だけであった。だから、政策はいつも損得の話になり、党内で議論し苦心して決めても、賛成しなった議員は、自分は知らないとなってしまったと指摘する。自説にこだわらず、一歩引いてでもリーダーに協力していくという党内文化がなかったのだ。「おもしろうてやがてかなしき鵜舟かな」の民主党政権の3年3か月であった。

本の画象

中公新書(900円+税)
2013年9月


富澤秀雄の推す2冊

河野裕子・永田和宏著
『たとへば君』

 河野裕子が、乳癌のため2010年に64歳で他界した。凄まじい闘病の日々があったことを、夫の永田和宏は、なまなましく書いている。もう幾ばくも残っていない日々に交わした相聞歌……。
 この家の君との時間はどのくらゐ
  残つてゐるか梁よ答へよ(裕子)
 あなたにもわれにも時間は等分に
  残つてゐると疑はざりき(和宏)

本の画象

文藝春秋(570円+税)
2014年1月刊
森 武司句集
『華』

 著者は、終戦の日を少年兵として迎えた。「沖縄の日の切株に噴く樹液」「昭和から赤い椿が落ちつづく」 など、その時の、悲しみや痛みを、まだ忘れられずに抱えていることが、句集の随所に見られる。だが一方、教師だった頃から「生活綴方教育」を実践していて、85歳の今も小学生の俳句の指導に当たり、自身の結社「球」の誌上にも、小学生の俳句欄を設けている。

本の画象
球俳句会(3000円・税込)>
2013年12月



2014年2月3日号(e船団書評委員会)

紀本直美の推す2冊

蜂飼耳・文/牧野千穂・絵
『ゆきがふる』

 詩人・作家の蜂飼耳さんの新作絵本。ある雪の日、ぼくは、“ふわふわころり”と“ゆきぐもちゃん”に出会います。そして、大切な妹のために、初めてお母さんに嘘をついて…。大切なものとは何か、心にしんしん降ってくるような、味わいのある絵本です。雪景色があたたかく見える牧野千穂さんの絵も素敵。

本の画象

ブロンズ新社 (1400円・税込)
2013年10月刊
五味太郎・作
『ぞうはどこへもいかない』

 ぞうさんは、住む場所から連れ去られてしまいます。しかし、どんな状況でも顔色ひとつ変えません。それは、あることを知っているから…。1ページ、1ページめくるたびに、「えっ、そうなるの?」と驚いてしまいました。大人の先入観で、次はこうなるだろうと思っているのを、見事に覆されるのが快感な絵本。

本の画象

偕成社(1100円+税)
2013年11月


塩谷則子の推す2冊

丸谷才一著
『八十八句』
『丸谷才一全集 第五巻』付録

 2013年10月13日作者の一周忌に発行。遺句集。全集の第一回配本を購入、挟まれているハガキを出版社に送る、という手間をかけて入手できる。出版社のファンサービス。「玩亭墓」とするよう指示するほどの発句好きの作者の句から、喜怒哀楽を飲み込んで、丁寧に生きた男の姿が浮かんでくる。
 ひとり酒黙って花の向き直す
  妻は老人ホームにあり
 男手で内裏かざるや二年ぶり

本の画象

文藝春秋(5200円+税)
2013年10月刊
西牟田靖著
『〈日本國〉から来た日本人』

 時は流れる。ハウステンボス、佐世保の浦頭は45年10月から約5年間140万人の日本人が引き揚げてきた港だった。第二次大戦後の引き揚げ者は軍人、民間人合わせて650万人、当時の国民の約一割だった。70年生まれの筆者が31・32年韓国の鎮海生まれの主に3人から、移住の経緯、こども時代・終戦・引き揚げ・戦後の様子を聞き書く。くり返したくないから知っておきたい歴史。

本の画象
春秋社(1900円+税)>
2013年12月



2014年1月27日号(e船団書評委員会)

太田靖子の推す2冊

青木亮人著
『その眼、俳人につき』

 正岡子規から平成の俳人まで、20数人についての評論である。既成の俳人観・俳句観を打ち破ろうとする作者独自の見解が見られる。旧派の俳句に意義を持たせているところには共感すら覚え、子規が切り捨てた月並俳句に関心が向いた。子規と虚子と碧梧桐の関係も興味深い。心惹かれる俳人に出会えるかもしれない。

本の画象

巴書林 (1990円・税込)
2013年9月刊
久保田淳他編
人生をひもとく日本の古典 第六巻
『死 ぬ』

 古典から引かれた死にまつわる挽歌、哀傷歌、辞世の詩、また自死の場面、能・浄瑠璃の場面、遺言などが解説されている。日本人には古代から一貫した死生観があるのかと思っていたが、そうでもないようだ。一休の『一休骸骨』では、夢の中で骸骨が次々と現れ、「死もまことではない」と言うらしい。読みたくなった。

本の画象

岩波書店(1800円+税)
2013年11月


舩井春奈の推す2冊

坪内稔典・三宅やよい編
『漱石 東京 百句』

 松山・熊本に引き続いて、今回出た「漱石百句」のシリーズ地は、東京。でも、その東京ばかりでなく、ロンドンや修善寺、京都などよその土地で詠まれた俳句も取り上げられている。漱石が東京から出向いていった先々で詠んだ俳句だ。漱石はどこへ行っても俳句を詠んでいたよう!

本の画象

創風社出版(800円+税)
2013年12月刊
「墨」2月臨時増刊
散らし書き 百花繚乱
「100人で百人一首」

 繊細なかな文字が静かに舞う百人一首を特集した書雑誌の臨時増刊号。現代の書家百人がそれぞれ一首ずつ担当されている。題材への解釈から工夫や試みが紹介されていることで、書家たちの書への取り組みをも垣間見ることができよう。百人一首を書の角度から楽しめる一冊。

本の画象
芸術新聞社(2400円+税)>
2014年1月



2014年1月20日号(e船団書評委員会)

田中俊弥の推す2冊

日原 傅著
くまモンの
『熊本知っとこかるたBOOK』

 アベノミクスで東京や大企業は繁栄し、地方や中小企業は衰退していく、そんな世相の中、グローバルに雄飛し気を吐いているのが、熊本県営業部長・くまモンである。くまモンは、県知事とハーバード大学を訪問、先日は天皇皇后両陛下にも謁見。そのくまモンをナビゲーターとするご当地カルタ。楽しさ満載。これば、知っとっと?

本の画象

学研パブリッシング (1200円+税)
2013年12月刊
科学するこころを開く
『Science Window』
(サイエンスウィンドウ)
2014年冬号

 小学校の国語教科書に、かねがね「土」や「水」に関するまとまった説明文教材 がほしいとおもっていた。現在は、かろうじて『ダーウィンのミミズの研究』新 妻昭夫著(福音館書店)の図書紹介があるばかり。自然は、大いなる教科書でも あるのだ。もっと大らかに、この一冊をナビゲーターとするような豊穣をめざす 教育を考えたい。

本の画象

独立行政法人・科学技術振興機構(300円・送料込)
2014年1月


赤石 忍の推す2冊

伊集院静著
『ノボさん』
―小説正岡子規と夏目漱石―

 野球少年だった著者であるから、野球(のぼーる)を雅号とした子規が熱中した野球少年ぶりを、また、向島長命寺向かいの餅屋でひと夏を過ごし、初恋の人に出会うというエピソードを膨らませるのだろうなと思って読み始めたが、その通りでなかなか面白い。だが、中期から晩年になると、見知った情報を文学史的に並べ、独特の情緒的な文体も少しずつ陰をひそめる。子規が題材では無理もないだろうけど。

本の画象

講談社(1600円+税)
2013年11月刊
岡谷公二
『神社の起源と古代朝鮮』

 「神社も神宮も新羅から入ってきたもの」という故金達寿氏の見解に、著者は多くの真実が含まれていると言う。小まめなフィールドワークの結果から、多分、そうなのだろうと思う。例えば八幡社の原型は朝鮮南部にあり、スサノオ神話は古代朝鮮の神話と共通性があり、神功皇后は渡来系の出身となると、日本と朝鮮の距離感が縮まる。連綿とした歴史的な時間を考えると、今のグローバル化など、小さなものに見えてくる。

本の画象
平凡社新書(800円+税)>
2013年11月



2014年1月13日号(e船団書評委員会)

木村和也の推す2冊

日原 傅著
『素十の一句』

 365日にわたって高野素十を一句ずつ観賞する。素っ気なさそうな写生一筋の句群に、俳句という文芸の核心があらわれている。観念や情感を極度に排した写生は、具象を極まらせることが抽象に至る方法でもあるのだという逆説を見事に示している。

本の画象

ふらんす堂 (1714円+税)
2013年10月刊
江藤 淳著
『近代以前』

 藤原惺窩から始まり上田秋成に至る文人列伝のかたちをとる。江藤が見ているのは、近代以前と近現代を貫く、「沈黙の言語」ともいうべき日本語の深い情趣である。これは、幾多の外圧からも自由であった我々の存在の核心にある呼吸のようなものであるとする。読後、日本の江藤なき後の場所にぽっかり穴が開いてしまっている感慨をもつ。

本の画象

文春学藝ライブラリー(1350円+税)
2013年10月


香川昭子の推す2冊

寺山修司著
『戦後詩』
ユリシーズの不在

 寺山修司による戦後詩論。 詩がそれぞれの型式の中で専門化され 互いに他のジャンルとの境界線をはっきりさせることによって、方法論ばかりを老けこませてしまった戦後詩史というのは、かなり変則的なものということで「戦後詩人」ベストセブンに西東三鬼、塚本邦雄、星野哲郎なども入れている。

本の画象

講談社文芸文庫(1300円+税)
2013年8月刊
鶴見俊輔著
『ことばと創造』

 大衆文学、映画 漫画、講談、表現などをめぐる鶴見俊輔の文章のアンソロジー。そこには著者自身、例外的にうまく書けたと言っているこんな文章。
 自分はいかなる馬鹿であるか
 自分はいかなる馬鹿になるか
 いかなる馬鹿として自分を見るかが、
 多様な人生観のわかれめとなる。

本の画象
河出文庫(1400円+税)>
2013年10月



2014年1月6日号(e船団書評委員会)

若林武史の推す2冊

岸見一郎・古賀史健著
『嫌われる勇気』

 アドラー心理学の要諦を青年と哲人の対話によって説いていく一冊。タイトルは刺激的だが、内容はなかなか歯ごたえがあって奥深い。哲人がナビゲーターであるという設定でもわかる通り、心理学なのだが、きわめて哲学的である。個人的には他者承認を否定するところが面白く、ためになった。対人関係でお悩みの方、少し違った視点から自己を見つめ直したい方にお勧めします。

本の画象

ダイヤモンド社 (1500円+税)
2013年12月刊
2014年1月1日・15日号
「BRUTUS 本特集2014」

 いろんなジャンルの本をいろんなジャンルの人がお勧めするといった体裁の特集号。普段、絶対に読まないような類の本が紹介されていて、きっと読まないだろうなとは思いつつ記事を読んでしまった。一年の読書生活を振り返ったりしながらパラパラ愉しんでください。

本の画象

マガジンハウス(630円・税込)
2013年12月16日


三好万美の推す2冊

穂村 弘著
『短歌という爆弾』

 2000年に刊行された単行本に著者インタビューを追加した文庫版で、「製造法」「設置法」「構造図」と展開する。 初心者向けの実作講座形式は全体の約4分の1くらいで、あとは短歌の鑑賞、批評にウェートを置く。そこで著者独自の 深い考察がいくつも展開する。「入力型」「出力型」という表現方法の分類が特に印象深かった。

本の画象

朝日選書(619円+税)
2013年11月刊
村重 蕃句集
『からからころと』

 全八十一句(ハイク)の句集。著者はNHK・BS俳句王国の元プロデュサー。奥様の句集の準備をしていて、自身の句集のお話が持ち上がったという。どの俳句からも日々の暮らしや、家族、友人との関わりが見えてくる。
 口笛でごまかしてみる瓢の笛

本の画象
マルコボ・コム(私家版)
2013年11月

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