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投句締切担当ドクター十句発表
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  5月28日久留島元   6月 7日
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  6月11日星野早苗   6月21日
  6月18日須山つとむ   6月28日
  6月25日秋月祐一   7月 5日
  7月 2日山本たくや   7月12日
  7月 9日内野聖子   7月19日
  7月16日中居由美   7月26日
  7月23日久留島元   8月 2日
  7月30日谷さやん   8月 9日

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2017年5月24日

内野聖子ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 新緑がまぶしい季節になりましたね。先月の満開の桜から始まって、桜が散るのと入れ替わりみたいに藤やつつじなどが咲いて、今はもう紫陽花が咲く準備に入っています。慌ただしい毎日ですが、通勤途中や勤務先で目にする花々に癒されています。四季があるっていいなぁと改めて思いました。
 さて今週もたくさんの投句ありがとうございました。最後までなかなか十句に絞れずに悩みましたが、読ませていただいて私も励みになります。

【十句選】

手でちぎる封書にこもる薄暑かな   伊藤五六歩
 手紙を急いで読みたいという焦る気持ちが「手でちぎる」という行動に表れています。初夏の熱のこもった封筒の中の手紙の内容も少し熱いものなのかもしれませんね。

黄帽子の一列に行く春田かな   太郎
 新1年生の集団登校でしょうか?賑やかでかわいらしい集団が目に浮かびます。田んぼの横を通っていくというのもほのぼのしていますね。

路地裏に猫老いてゆく暮の春   たいぞう
 路地裏で生活している猫なんでしょうか。ひっそりと年取っていく様子がなんだかやるせなくて、晩春の独特の空気感と合っていると思います。そう言えばうちの猫もかわいいかわいいと可愛がっているうちに、いつの間にか立派なおばあちゃん猫になっていました。

初夏やためらい少し試着室   谷 百合
 これは女性ならではの感覚ではないでしょうか。春夏の洋服は薄物になるので、どうしても身体のラインが気になってしまいますよね。(私だけかも知れませんが…)そういう意味でなくても例えば今まで着たことのないようなテイストの洋服を店員さんに勧められたりしても試着するのはためらわれたり。中七が「少しためらい」だったら微妙にニュアンスが変わってくるように思われませんか?

ほととぎす行くて行くてに蕎麦屋あり   酒井とも
 蕎麦屋が密集している地域なんでしょうか。ほととぎすの鳴き声を聞きながら歩いていると行く先々に蕎麦屋があって嬉しいのか、興ざめなのか…。隠されたユーモアが感じられます。

徘徊の森は深くて青葉木菟   中 十七波
 森の中をあてもなくうろうろと歩き回る不安感や焦燥感などが感じられます。捉えようによっては深い森の中にいてある種の安らぎのようなものを感じているのかも。この場合の「森」は現実にも心象風景にもとれますね。種田山頭火の「分け入っても分け入っても青い山」を連想しました。

くらげくらげ花の形の臓腑美し   紫
 「くらげ」を繰り返すことでノスタルジックな雰囲気になっています。くらげは一時ブームになりましたが、ゆらゆら泳ぐ姿は確かに幽玄的で魅かれます。透き通って見える臓器を「花の形」と表現しているのが新鮮でした。

山藤の螺旋階段風登る   紅緒
 山藤の花を揺らして風が吹き抜けていく様子が浮かびました。とても素敵な情景ですね。

天空に綻びあらん落雲雀   草子
 空高く舞い上がって囀ったあと一直線に落下する雲雀は、まるで空に穴が開いていてそこから落ちてきたみたいに見えますね。視点が面白いです。

受付に海月ただよう会社かな   をがはまなぶ
 とても不思議な空間ですね。受付に海月の水槽が置いてあるのか、海月が何かの象徴なのか、様々な捉え方ができると思います。ちょっと気になる会社ですね。


2017年5月17日

山本たくやドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 投句していただいた方から、「昔は自分の名前が嫌いだったが、今では好き」とのお話しをいただきました。私も同じで、自分の名前が嫌いでした。しかし、俳句を通じて、少し自分の名前に誇りを持つことができました。俳句には、そういう力もあるのかなと、改めて感じました。

【十句選】

夏装ふ銀座の風も新しき   まゆみ
 夏の東京は「暑い」イメージですが、「装ふ」とすることで、爽やかさが出ました。

たどたどし妻のぬり絵に五月の陽   大川一馬
 「五月の陽」によって「たどたどし」がよく効いている。のどかさや可愛さを感じました。

地下鉄に遠足の列ある不安   たいぞう
 何が「不安」なのか。しかし、「地下鉄」と取り合わせることで、不気味さが出て、怪談のような一句になりました。

君の背に草矢を放つ思いっ切り   洋平
 「思いっ切り」に相手への愛の深さを感じました。

血の宮に蔵す怪談青葉闇   今村征一
 「怪談」と付きすぎと思いましたが、やはり「青葉闇」が効果的。

たんぽぽよ正常/狂気よぽぽんた   干寝 区礼男
 俳句というより一行詩のような仕上がり。鏡のように対照的な面白い表記ですが、読み方が難しい。

ありえない美声で歌う仔亀かな   干寝 区礼男
 「ありえない」が大袈裟な表現であり、そこが良かったです。

子雀の兄さんちゅちゅりっ!ちゅちゅりららっ!   干寝 区礼男
(意訳=人間ノロマ!油断ダメ!)
 積極的に攻めた表現の俳句だと思いますが、意訳がないと表現できないのは、俳句としてあり得ない気もします。

行く春に右の乳房をあげました   まどん
 少し官能的。あえて「右」だけなのが面白い。

姦しい立夏のホームベーカリー   中 十七波
 「姦しい」とありますが、「立夏のホームベーカリー」とつくことで、爽やかさがあります。


2017年5月10日

えなみしんさドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 「口語俳句を考える」船団のセミナーが、東京で行われました。詩人、歌人、俳人が、それぞれの立場から発言。なにしろ俳句は、7割が文語、旧カナで作っているという珍しい文芸なので、とても興味深いハナシがたくさん聞けて楽しめました。
 さて、今回で、わたしのドクターは最終回。十年続けてめげた時もありましたが、とても良い体験でした。これからもずーっと俳句とのつきあいが続きますから、またどっかでお会いしましょう。
 わたしの後は、秋月祐一さんが担当されます。秋月さんは歌人でもあり俳人でもあります。どんな選と評をされるか、今からとても楽しみです。では〜!!

【十句選】

脱サラも死語となりけり新茶の香   伊藤五六歩
 確かに「脱サラ」という言葉を聞かなくなりました。今はベンチャーというのでしょうか。脱サラには、拘束される事なく好きな事をやって喰ってく〜という夢がありました。PCの普及と共に消えたように思います。「新茶」もあの時代を振り返っているようで、いいですね。

もりもりと椎の花咲く南海道   泰作
 樹木に白系統の花が咲いているが、ハテあれは何かな?えごの花、椎シイの花、ほおの花あたりがわかるようになると、街歩きも楽しい。確かにシイの花はもりもりだな〜。南海道は、紀伊半島や四国などの街道。南国気分が伝わってくる。

藤椅子や父の窪みに抱かれおり   ジョルジュ
 亡くなった父親の愛用していた籐椅子に、横たわっているのでしょう。「窪み」が的確な言葉。抱かれおりが、ややファザコンだが、実感がある。

バクは夢ヒトは人食ふ春憂ひ   素秋
 「バクは夢」「ヒトは人」の対比が面白い。ただ、「ヒトは人喰う」はいい意味じゃないのが残念な気も。パクは夢喰い、人は夢追うなら、演歌っぽいが、もっと好き。

白藤の空を絡めて垂れ下がる   今村征一
 「空を絡めて」がなにげないようだが、巧みな表現。更に「白藤」として、空が青いことも想像させている。

「おかへり」と蚕豆越しに祖母の声   伊奈川富真乃
 「蚕豆越しに」をどう読むか。そら豆の収穫をしている祖母とも読めるが、たぶん、部屋でそら豆を鞘から出しているのだと思います。そう使うと「〜越しに」は使える用途が広い。

永日や透明人間は全裸   西川由野
 「裸」が夏の季語。「透明人間」というとピンクレディを思ってしまうオジサンです、わたし。あれが全裸と言われるとどきどきしてしまいました。

誰にでも読める名を付け鯉幟   風子
 鯉のぼり〜子供の名前、という発想の句。きらきらネームの反省が時代の流れのようで、今はしわしわネームがいいという風潮になってるようです。タイムリーな一句。

原形を残す弁当みどりの日   比々き
 「原形を残す弁当」とは何か?それを考えるのが楽しい一句。漬け物を包んであった銀紙や、卵焼きのかけら、鶏カラの骨が残ってるのかも。お出かけを思う「みどりの日」もいいと思いました。

初夏のくるぶし眩し森抜けて   紅緒
 屈託のない爽やかな句。「くるぶし」がいいんでしょうね。太ももでは、こうはいかないですもんね。「くるぶし眩しく抜ける森」もあるが、音の重なりがうるさいですかね。

【今週の次点句】

葉桜や内弁慶の犬を牽く   大川一馬
 「内弁慶の犬」が面白いが、他の言葉がその面白さを活かしていないように思います。

涅槃西風ペルシャ絨毯飛びたがる   素秋
 名詞ふたつの取り合わせも、「飛びたがる」という屈託のない言い回しも良いと思いました。

この星の消費期限の春惜しむ   けむり
 思わせぶりな表現です。「消費」もいいが「賞味」もありそうです。季語が説明的に響いているので、変えて考えてみたら。

ほの温き検尿コップ暮の春   たいぞう
 下5の季語がぴったりすぎて、流れてしまうように思います。難しいが、もっといい季語がありそう。

朽ち果てた幹を抱いて大桜   ∞
 「幹を抱く」が的確。桜の古木をうまく表現されていると思いました。既読感があるのは、上手すぎるからかも知れません。

マドラーの酒目分量春惜しむ   酒井とも
 マドラーは、カクテル作る銀色の容器ですね。珍しいことを詠まれました。伝わってくるものが、曖昧かも。

コントレールわがものとせり五月空   瀬紀
 コントレールは飛行機雲ですね。「わがものとせり」がいいと思いました。

何もかも新緑まかせでいいのかな   瀬紀
 「何もかも〜まかせでいいのかな」は、いろんな意味が想像できて面白い表現。新緑もいいですが、「蜥蜴」「ねずみ」「カエル」などと意味がいろいろ変化して興味深い。

夏近し君も昔は細かつた   中 十七波
 上5以下の唐突缶が面白い。ワタシの妻も〜。

オルゴールの蓋開くるたび桜貝   紫
 オルゴールを開けると、海の歌が聞こえるということだろうか。もう一工夫か。

春帽子ピサの斜塔を支えけり   瑠璃
 記念撮影風景でしょうか。ちょっと分かりにくかったです。

黄金週間片足しまふフラミンゴ   まどん
 季語にある「黄金」がフラミンゴと響き合って豪華な感じを受けました。

 以上です。ありがとうございました。
 ますますの御健吟を!!


2017年5月3日

須山つとむドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 長靴に軍手姿で畑に入り、蕗刈(季語:夏)りに参加してきました。葉柄(ようへい)の根元を鷲掴みし、鎌を入れたときの切れ味、心地よく伝わる音、広がる香りに、懐かしさを感じました。次の日からは、自宅が伽羅蕗を煮込むセピア色の匂いに包まれました。
 今回もまた、皆様からいろいろな春の風景を楽しませていただきました。

【十句選】

五月闇トマトケチャップかけすぎて   伊藤五六歩
 街のレストランなどで、ドバッと トマトケチャップをかけるヒトを見かける。真っ赤な闇で「見えなーい」と、パスタの悲鳴が聞こえてきそうな、夏の初め。

膝ついておたまじゃくしと戯れり   まゆみ
 田植えの前。田水の張られた田圃の底はおたまじゃくしの楽園。畔に片手、両膝をつき、拾った小枝で驚かせたりした日。下五『戯れり』を、もっと具体的に活写したい。

薄暑かなフリーハンドの円グラフ   谷 百合
 プレゼンの会議。演者が白板にさりげなく手書きしたグラフの『円』の綺麗さ、正確さが、プレゼンの成功を暗示している。薄暑の眩い光が会議室に溢れている午後。

花吹雪大きな幹を撫でにけり   酒井とも
 広小路の街路樹か、大川堤の並木を連想。所々で、休止符のように佇む花を持たない大樹に出会うと、花疲れを癒すかのように、ざらざらの幹の表皮を手のひらで撫でたくなる。

編みあげたシロツメクサの遺失物   ときこ
 家族連れで賑わう春の郊。管理事務所をたずね遺失物を覗くと、シロツメクサで編み上げた花輪が一輪。あどけ無さが残る編み目には、四つ葉のクローバが散って。

空色の雪形なぞる指の先   草子
 白馬岳(しろうまだけ)のように、山腹の雪の消え具合で現れる雪形(季語:春)による山の名は多い。晩春の淡い空色を映す雪形を目にして、中空になぞった、きれいな指の先。

黒番の次の手を待つ春障子   戯心
 黒、白の対比などで、見事に整った句。予定調和と評されるかもしれない。中七『・・待つ』の動詞をいろいろに置き替えてみても、句の鑑賞の幅を広げることが期待きる。

花冷えやぶつきらぼうな目玉焼き   幸久
 『ぶつきらぼう』に軽い衝撃。品詞は形容動詞、それとも名詞? 『無愛想』と比べて、名詞には着きにくい用語。きっと、そこを面白がるのが作者の狙い。成功したと、評者。

石段の数忘れけり蝮草   瑠璃
 蝮草(マムシグサ)はサトイモ科の毒草。始めて知った時、不気味さとその命名のみごとさに瞠目した記憶が。苔むす石段を数えながら登っていて、きっと遭遇したのだ。

百歳の爪切る音や木の芽時   スカーレット
 乾燥する大気。老いと切り離された、ヒトの生命力。乾いた生活・・・。家人が爪を切るときの、瞬時の音の冴から、かくも壮大な造花の妙を感じ取った作者。

【注目した五句】

すずかけや画廊のとなりパテシェリア   素秋
 風景は見えるが、季節が見えてこない。『すずかけの花』などと、季語(春)を正しく。

囀りやドロップ缶の白い飴   風子
 俗受を狙わない、取り合わせ。中七『・・の』を、『に』に替えても、表情が変わる。

おだてればタワシにもなるヒヤシンス   岡野直樹
 形の類縁に遊んだ句。上五『おだてれば』には既視感も。機知に富んだ言葉の斡旋を。

断捨離のだんだん大胆春の昼   中 十七波
 濁音の繰返しを楽しんだ句。『だんだん』では意味を持ちすぎたのが、惜しい。

子猫たち自由が好きで箱が好き   紅緒
 下五『箱が好き』の措辞がいい。『も』ではなく『が』として、詩になった。