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投句締切担当ドクター十句発表
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 9月29日  星野早苗       10月 9日
10月 6日  須山つとむ       10月16日
10月13日  秋月祐一       10月23日
10月20日  山本たくや       10月30日
10月27日  内野聖子       11月 6日
11月 3日  中居由美       11月13日
11月10日  久留島元       11月20日
11月17日  谷さやん       11月27日

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2019年9月18日

中居由美ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 9月は月がとても美しい季節です。先日の仲秋の名月は、朝方、西の空に見ることができした。たまたま起き出し空を見上げて、名月に気づいた次第です。例年は、ススキを活けたり、お団子を供えたりするのですが、今年は忙しさにかまけ、うっかり名月を忘れるところでした。俳人としては、心許ないですね。反省しきりです。

【十句選】

まっさらな心を掴む今朝の秋   茂
 残暑はまだ厳しいが、暦の上ではもう秋。早朝などふっと秋の訪れを実感する。自分のなかに眠っている「まっさらな心」を見いだし、「掴む」と表現した。

おはじきに宿る新涼児童館   藤井美琴
 おはじき独特の感触や、おはじきが触れ合う時のカチカチという音は、涼しさを呼ぶ。子供たちがおはじき遊びに興じている傍らで、はっきりと涼しさを意識している。とても小さいもの、小さい事への視点がいいと思った。

クロールで四十六億年をゆく   加納りょうこ
 地球が誕生して46億年たつと言われている。46億歳の地球だ。気が遠くなるような時間を悠々とクロールですすむ。地球と水と人間の歴史を思う。

初秋や水に戻れる水の音   たいぞう
 水に戻る水を連想するとおもしろい。さまざまなシチュエーションが想像できる。多くを語らず、余白をもたせることで、広がりのある句になっていると思う。

大根畑土に座るをためらわず   百合乃
 大根は、冬の季語。今季の投句としては、やや気になったが、あえて頂いた。スーパーで綺麗にして売られている大根も、もともとは土の中で育ったもの。大根のふるさとである大根畑には、どしんと座りたい。

大店舗去る街角の色なき風   谷あやの
 かつては賑わっていた大きな店舗が姿を消すのを、時々目にする。あの店でわくわくした日々があったと感傷的になるのは、秋のせいだろうか。時事句は、難しいといわれるが、さらりと昨今の世情を詠んでいる。

灯火親しコンビニで読む週刊誌   伊藤順女
 「灯火親し」という季語の本意を裏切る意外性があった。コンビニで週刊誌を読むことも、活字を欲しているには違いないのだが・・・。

さはやかや動物園に朝の来て   二百年
 動物園の朝がいいと思った。眠りから覚めた動物たちが、活動を始める朝。原初の爽やかさがそこにはあるのだろう。動物の生き生きとした動きや表情が浮かんでくる。

小鳥来る積み木に四角丸三角   彩楓
 小鳥がやってくるとうれしい。ちょっと幸せな気分になる。いろいろな形の積み木も、やわらかな木の香りがする。

紙と鉛筆あればしあはせ秋の空   比々き
 「紙と鉛筆があればできますよ」。俳句を始めた時に言われた言葉。俳句に限らず、文章でも絵でも、紙と鉛筆があればいろいろな事ができる。下五の「秋の空」でうまく押さえた。


2019年9月11日

内野聖子ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 9月になって朝夕はしのぎやすくなりましたが、日中はまだまだ暑い日が続いていますね。最近は「秋バテ」という言葉があるくらい、この時期に体調を崩す人が増えているようです。それでも雲の形は着実に秋の雲の形になっています。夏の終わりはいつもさびしいですが、秋の実りを楽しみに過ごしていきたいと思います。

【十句選】

もてあます葡萄一粒ほどの憂鬱   まゆみ
 ほんの少しだけなんだけれど何か引っかかっていてモヤモヤすることってありますよね。「葡萄一粒」が効いています。

秋暑しフリーダ・カーロとなる眉間   短夜の月
 フリーダ・カーロはメキシコの現代絵画を代表する画家。作品の大半が自画像ですが、眉がとても特徴的です。印象的なフリーダ・カーロの眉間と立秋を過ぎても続く厳しい暑さがどことなくリンクしているようです。

大夕立今朝の記憶を丸洗い   茂
 バケツの水をひっくり返したような夕立は迷惑なようで、一種の爽快感があったりします。嫌な記憶は夕立のせいで忘れてしまったことにしましょう。うっかり忘れてしまったことも同様に。

ドーナツの穴の向こうは秋の色   せいち
 ドーナツから見る秋色はどんな色だったんでしょうか。一読して秋晴れの爽やかな青色を想像しましたが、もしかしたら夕焼け空の赤色かもしれません。

籐椅子に並び均しく老いにけり   たいぞう
 昔青年だった方々が籐椅子に並んで座っていらっしゃる微笑ましい光景が目に浮かびました。「均しく老い」がいいですね。

空っぽの虫かご一つ池の端   谷あやの
 子供が虫かごを放置したのかずっと前から放置されているのか。何気ない光景を詠んだものですが、無邪気さと一種の寂しさがどちらも感じられる句です。

ふところに手長猿いる秋の月   酒井とも
 月の影はウサギをはじめいろんなものに例えられます。この時の月にはきっと手長猿がいたんでしょうね。「さる引きの猿と世を経る秋の月  芭蕉」を思い出しました。

蝉時雨退行願望圧縮比  干寝 区礼男
 すべて漢字で構成されている句。蝉時雨に取り囲まれるような息苦しさを感じます。「圧縮比」がよくわかりませんでしたがあまり堅苦しく考えなくてもいいのかも。漢字のみで構成されている句には賛否両論あるようですが「祖父母父母叔父叔母従姉妹花筵  芳野ヒロユキ」これは私の好きな句です。

引っ張って丸めて刻んだ秋の雲   瀬紀
 勢いのある夏の入道雲などに対して秋の雲は確かにちぎれたような形をしたものをよく目にします。秋の雲の作り方を詠んでいるようで面白いです。

老いたればこの世が不思議いわし雲   大塚好雄
 年をとるとずっと当たり前に思っていたことの謎や今まで気づかなかったことに気づいたりするんでしょうか。心からのため息が聞こえてきそうです。


2019年9月4日

山本たくやドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 2019年も9月に突入しました。「スポーツの秋」とはよく言ったもので、今年は9月以降たくさんのスポーツイベントがあります。ラグビー・柔道・バレーボール・陸上・野球など、日本を代表した戦いが繰り広げられます。これから始まる秋のイベントを楽しみましょう。

【十句選】

帰省子や一頭分の牛を食う   うさの
 この「帰省子」の若さや元気良さが、よく表現されています。普通で考えたら、牛一頭を食べるなんて無理なことですが、この過剰な表現が掲句をさらに良くしています。

敬老の日や傘がない傘がない   うさの
 リフレインの面白さ。季語が「敬老の日」ということもあり、ボケてしまっている老人が想像できますが、リフレインのおかげで微笑ましい光景になっています。

奥利根の冷気の中の桃の香よ   太郎
 大自然の中での深呼吸は、とても尊いものです。肺の中に新鮮で冷気のある空気を取り込むと、日常生活では感じられない自然の良い香りも感じます。掲句の「桃の香」も、そうした大自然の中で感じることのできた香りなのでしょう。

二百十日胡椒の効いたソーセージ   せいち
 基本的な取り合わせで作られている一句。特に、「二百十日」と「胡椒」の組み合わせが成功していると言えるでしょう。全く関係無い言葉同士なのに、胡椒がよく効いた「ソーセージ」のピリッとした感じを良く表現できています。

キッチンの何だか広い今朝の秋   せいち
 少しずつ秋らしい空気を感じられるようになってきました。秋の、あの凛とした空気はとても気持ちいいものです。「天高し」という季語があるように、秋の空気は、私たちの日常の空間を広くしてくれるのかもしれません。掲句のように、キッチンが広く感じるのにも共感できます。

長崎やラムネ綺麗にひかる朝   加納りょうこ
 上手いと感じました。「長崎」と夏の季語「ラムネ」を取り合わせるけとで、言葉には出していなくても、長崎の原爆を想像できます。この想像の幅を持たせるのは、俳句にとってとても大切です。あえて「綺麗にひかる」と言い切っている点も良かったです。

生まれた日むすめが吸った風涼し   干寝区礼男
 「むすめ」もそうでしょうが、何よりも「涼し」さを感じているのは親の方でしょう。親になる責任感やこれからの未来への展望がよく表れています。

孫去りて夏の尻尾を手繰り寄す   瀬紀
 帰省していた家族一家が帰っていった光景なのでしょう。「孫」との夏の思い出を「夏の尻尾」と例えたのも良いですね。

マンモスの鼻の先から秋に入る   中 十七波
 拙句に「やや伸びて秋に触れてみたい鼻毛」があります。人間も「マンモス」も、秋を感じるのは「鼻」からなのかもしれません。まだ蒸し暑い日が続いている今現在ですが、あと少しすれば鼻先から秋に入ったと実感できるでしょう。

一行でハマる小説原爆忌   中 十七波
 「原爆忌」は、やはり重たい季語。そこに「ハマる」という言葉を使うことで、軽みが生まれています。この言葉のバランスを考えて取り合わせることは、非常に重要です。