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投句締切担当ドクター十句発表
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 7月21日  久留島元        7月31日
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 8月 4日  星野早苗        8月14日
 8月11日  須山つとむ        8月21日
 8月18日  秋月祐一        8月28日
 8月25日  山本たくや        9月 4日
 9月 1日  内野聖子        9月11日
 9月 8日  中居由美        9月18日
 9月15日  久留島元        9月25日

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2019年7月10日

山本たくやドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 ちょうど先週、31歳の誕生日を迎えました。バンドメンバーから、うまい棒を(31本)もらい、居酒屋の常連仲間からはド派手なピンクのアロハシャツをもらいました。ほんとうに感謝ですね。
 人生100年、残りの約70年で、どんな俳句に出会えるのか。たのしみです。

【十句選】

ゆつくりと不在に慣れて端居かな   まつだまゆ
 「ゆつくりと」というところに、人間味のある哀愁を感じます。旧かなも良いチョイスだったと思います。

おしみなく冷房つけて愚痴ひとつ    まつだまゆ
 蒸し暑くなってきました。それだけでも「愚痴」をこぼしたくなります。冷静になるためにも「おしみなく」クーラーをつけて涼みましょう。

夏のほう向いて三角座りして   銀雨
 拙句に「春愁は三角座り、君が好き」があるのですが、そうか、夏になっても「三角座り」を続けていたのか。いつで三角座りを続けてるんだ?っと、優しく叱られたいですね。

なめていやがるんだゴキブリも妻も   せいち
 「なめていやがるんだ」。そうですね、「妻」も子どもも上司も部下も。でも、そんな風に考えると悪い考えばかりに陥りますよね。そんな時は少し落ち着いて、冷静になりましょう。そっと「妻」を抱き寄せましょう。「ゴキブリ」はさっと殺しましょう。

蟻の巣を覗けば蟻がのぞいてゐる   大塚好雄
 上から「蟻の巣」を見る構図と「蟻」がこちらを見上げる構図。この二つの対比が面白いですね。

ボディシャンプー冷夏の泡の崩れゆく   じゃすみん
 涼しさを感じる一句。「泡が崩れ」るという表現が良かったです。

キャンパスをすいすい進む夏帽子   たっか
 キャンパスは人が多く、なかなか歩きにくいイメージですが、掲句は他を寄せ付けず、颯爽と歩いていく様子が感じられます。森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』に出てくる主人公の女の子を思い出しました。

「みきさん」を祝うひまわり歌舞伎町   たっか
 オチのある一句ですね。「みきさん」って誰だろう?どんな関係の人だろう?と考えさせられて、下五の「歌舞伎町」で、なるほどと理解できる。理解できた途端、この「ひまわり」の本来の美しさが色褪せて感じられる。

白玉の不気味なまでの丸さかな   ケビン
 一般的には可愛いものとして見られがちな「白玉」の「丸さ」を「不気味」と捉えたところが良い。作者の着眼点のセンスが感じられます。

いーあーさん噴水前の点呼かな   まどん
  「いーあーさん」とは、中国語の1、2、3の事だそうです。海外からの観光客が増えてきた昨今、よく見かける光景です。ただ、掲句だと、点呼をしているのが中国人だとは分かりにくい。表記の仕方を工夫してみましょう。


2019年7月3日

秋月祐一ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 梅雨時ですね。家にこもる日が多いので、蔵書の整理をしようと思うのですが、あまりの多さに、どこから手を付けたらいいものやら、途方に暮れています。これはいい本だという価値判断と、その本を所有していたいという欲望を切り離さなければ、と理解はしているのですが……。
 さて、今回は198句の中から。

【十句選】

採血後の薄暑をふらりロック座へ   短夜の月
 ロック座は、浅草のストリップ劇場〔ロック座〕のことだろうか。作者は40代の女性である。近頃ではストリップ鑑賞を好む女性も増えてきたという。中七は薄暑で切って「薄暑ふらりと」とする手もあるかも。

二日前ちょうどよかった胡瓜かな   うさの
 夏場の野菜の成長は、おどろくほど速い。食べきれないので収穫を遅らせていたら、二日のうちに大きくなりすぎてしまったのだろう。「二日前ちょうどよかった」というシンプルな表現が、ぴたっとはまった一句。

熔けゆけるターミネーター夏の夜   銀雨
 アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『ターミネーター2』で、溶鉱炉にアンドロイドが溶けてゆくラストシーンを題材にした句である。山口誓子の句「七月の青嶺まぢかく熔鑛爐」が、遠く響いているような気がした。

東男少し勇気の日傘かな   宮武桜子
 「東男」は無骨な荒くれ者のニュアンスか。近頃では、暑さ対策や紫外線カットのため、日傘をさす男性も増えてきたが、日傘をさすことに抵抗を感じる人も多いはず。「少し勇気の」という中七の言いまわしに工夫を感じた。

古代蓮化けさうな傘貸しまひょか   素秋
 「古代蓮」「化けそうな傘」「貸しまひょか」と強めの言葉を三つ連打したことで、おもしろみが生じた句。中でも「貸しまひょか」という口調が強烈で、語り手そのものが、すでに妖怪めいて感じられる。

しっぽじゃない導火線だよ夏隣   木崎善夫
 まず、動物のしっぽのイメージを提示してから、「しっぽじゃない導火線だよ」と展開する話法が面白い。しかも、その導火線は、夏への導火線なのだ。その発想にポエジーを感じた。「夏隣」は「夏近し」の傍題で、春の季語。

汽水域いったりきたり夏の風邪   マチ ワラタ
 「夏の風邪」で熱に浮かされて、夢とうつつを「いったりきたり」する様を、感覚的に「汽水域」と表現した句として読んだ。汽水域は、河口付近の、淡水と海水が入り混じるところ。まさに夢うつつな感じが伝わってくる。

うす暗き縄文住居蚊に刺さる   まこと
 たとえば博物館などにある、実物大の「縄文住居」の模型を思い浮かべた。縄文人の暮らしを眺めているうちに、ふと蚊に刺されていたことに気づくおかしみ。下五は受身の「る」を「刺され」と連用形止めにしてみてはいかが?

ハムスターの遊具の音や月涼し   紫
  青白い月の光が涼しさを感じさせる深夜、ふと目がさめると、静まりかえった部屋に、ハムスターが回し車をまわす音が響いている。作者はその音を聴きながら、ふたたび眠りにつくのだろう。ペットへの愛着を感じさせる一句。

短夜や早口言葉教え合う   たっか
 夏の短夜に、誰かと早口言葉を教え合っている情景を、素直に表現している。これがたとえば、「子に教え」ではなく、「教え合う」なのがよいと感じた。ちょっとした表現の差で、そこに流れる時間や空間の質が変わってくる。