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 1月21日星野早苗   1月31日
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 2月 4日秋月祐一   2月14日
 2月11日山本たくや   2月21日
 2月18日内野聖子   2月28日
 2月25日中居由美   3月 7日
 3月 4日久留島元   3月14日
 3月11日谷さやん   3月21日
 3月18日星野早苗   3月28日
 3月25日須山つとむ   4月 4日

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2018年1月17日

久留島元ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 寒中お見舞い申しあげます。お正月気分も終わり、殊の外寒い日が続いていますが、今年もよろしくお願いします。
 新年早々、155句の投句がありました。十句選には選びませんでしたが、常連の方でこんな句がありました。
  終はらないしりとり遊び去年今年  中十七波
 よくできていますが、「咳の子のなぞなぞ遊びきりもなや 中村汀女」という先行句と似た発想になっています。
  夫とは程々が良し屠蘇交はす   スカーレット
 同様に「屠蘇散や夫は他人なので好き 池田澄子」という句があります。どちらも、それぞれの作家を代表する有名句ですし、「類想」でパロディでもないと思い、とれませんでした。
 類想かどうかの判断は人それぞれで難しいところですが、わかりやすい例もあります。
  城下町除夕の鐘の響きけり   酒井とも
 近所への配慮から除夜の鐘ではなく除夕の鐘を突いているという時事ネタですが、「城下町」と「鐘」ではあまりに古典的で、月並。時事ネタは、特に多くの人が共有できる情報だけに月並を脱するのが難しく、おすすめできません。
 さらに、
  熟寝してつかむ初夢の尻尾   抹茶金魚
  初夢の尻尾あたりで起こさるる   眞人
という句もありました。ご覧の通り「初夢の尻尾」という言い回しが同じです。句会ではときどき起こりますが、自分のオリジナルと思った表現が、実は複数の人の思いつく表現だったという例。このふたつなら、抹茶金魚さんの「熟寝(うまい)してつかむ」のほうに、やや古い表現とともに落語のような情緒を感じますが、いさぎよく捨ててしまったほうがいいかも。
 さて、前置きはこのくらいにして、十句選にえらんだのは、そのなかで個性を感じた句です。

【十句選】

手袋から生えて出ている木村君   岡野直樹
 手袋から人間が生えてくる、そんな馬鹿な、という不条理な世界をつくりだすのも言葉の世界ならでは。「木村君」と親しげですが、どんな人なのでしょうか。

さて五日来るか来ないか子狐め   ロミ
 五日とは正月五日のこと。「子狐め」が唐突でわかりにくいですが、最近では仕事始めだったり授業開始だったり、どちらかと言えば来て欲しくないような「五日」が可愛らしく感じられます。

単調なことが好きです落椿   谷 百合乃
 落ち椿というと劇的に落ちてしまう印象ですが、あえて「単調が好き」と言い切ることで、自然の摂理としてさまざまな事件を飲みこんでしまうような懐の深さを感じました。

寒に入る河馬の目玉の向かうより   椋本望生
 抽象的な季節が具体的な一点から始まる、という形は俳句の成功パターンのひとつですが、河馬の見つめる先? というのはなかなか意味深。

人日の鼻を出たがる鼻毛かな   せいち
 正月気分も抜けようかという七日だから、鼻毛みずから外へ出ようとしているという、のんき極まる句。

月凍おり透明な螺子回すかな   干寝区礼男
 送り仮名「お」はいらないのでは? ともかく、大時代的なロマンを感じました。同じ作者「大掃除とくだいの屁をはなつ朝」は一転して俳諧ですが、狙いがわかりやすすぎたか。

限界集落小道の御慶かな   みなと
 集落の小道で、御慶を述べあっているのでしょう。深刻な時事用語ですが、あえて古い、おめでたい季語をあわせると何とも言えず味があります。

初夢の蛇がぬるりと富士を巻く   中 十七波
 初夢に富士はめでたいですが、蛇とくると不気味な感じ。あえてフロイト的解釈が入り込みやすいだけになおさら。

ゴミ出しの往路復路や松の内   酒井とも
 新年最初のゴミ出しでしょうか、重量感を考えると「往路復路」がなかなか味わい深い。

黒豆の皺かたくなに好きであり   茂
 この人は黒豆の皺が好きなのか、黒豆の皺を見ながらかたくなに愛を語っているのか。そのこだわりは俳句的かも。

【選外佳作】

大量のポインセチアが消えた街   マチ ワラタ
 実は単純な理由があるのかも知れませんが、この句だけ見せられるととても不吉な謎があり、ミステリの雰囲気。

三つ目の窓を開ければあれ、枯野   ∞
 窓の外に枯野の広がる意外感が、口語で軽やかに詠まれています。数字にこだわった連作でしたが、どこの窓かわからないのが不気味でもあり、物足りなくもあり。場所のヒントがあれば景がみえ、より俳句らしさが増したかも知れません。「「月光」旅館/開けても開けてもドアがある 高柳重信」も想起します。

初夢や父と和解の舟を漕ぐ   けむり
 小説ではおなじみとも言えるテーマですが、父と子の葛藤の物語を想像させる、不思議な句。

御慶申す脚立の上の守衛かな   鷲津誠次
 守衛さんの、律儀なような横着なような態度が、ふだんの人間関係を感じさせていい感じ。

福笑い同じ訛りの嫁と孫   草子
 自分とは違う訛りの「嫁と孫」、一歩間違えると嫁姑問題に発展しそう。

三が日ゾーン30深閑と   大川一馬
 「ゾーン30」、時速30q制限の区域をしめすとのことですが、これが句のなかでどこまで伝わるか。せめて交通用語とわかるヒントとして「車しずしずゾーン30三が日」とでもすべきか。

牡蠣割女のゴム手袋は潮の色   市川七三子
 上五の字余り、仕事熱心な漁業関係者の素朴さが出ていて捨て難いのですが、全体としてはやや説明的で、絵はがきのような印象。

傷跡の残る机や枯木星   太郎
 机と星、ロマンチックな素材をとりそろえましたが、枯木星の木のイメージは机と近いかも。

喉もとを過ぐるも至難大白鳥   紅緒
 喉もとを「過ぐる」のが至難なのか「過ごさせる」のが至難なのか。文語体で助詞「を」は使いづらいようにも思います。

無難とはなんとつまらん福笑   比々き
 取り合わせらしい句ですが、考えてみると「福笑」で「つまらない」のは当たり前かも。


2018年1月10日

中居由美ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 新しい年が始まりました。10日ともなると日常が戻ってきています。
 年末年始には、実家の菩提寺で除夜の鐘を撞きました。この寺は、平安時代に別当大師によって建てられたと伝えられています。除夜の鐘は、年男、年女が撞くということで、声をかけて頂きました。お寺の娘さんとは、幼馴染みなのです。順番に撞かれていく鐘の音の余韻がじ〜んと体にしみていきます。満月に近い冬の月が、手を伸ばせば届くほど近くで輝いていました。

【十句選】

水仙の香り一間を膨らます   まゆみ
 水仙は、姿も美しいが、なんといってもその香りがよい。春の到来を感じる人も多いのではなかろうか。馥郁とした香りに満ちた部屋を「一間を膨らます」と表現した感受性が素敵だ。

お正月わたしは古い接続詞   干寝 区礼男
 「私は古い接続詞」がいいと思う。去年と今年を繋ぐもの(時間?空間?)を接続詞だというのだ。しかもそれは自分自身であり、古いと捉える。発想が面白いと思った。

赤多くつかい母への賀状書く   藤井美琴
 年老いたお母様への心遣い。少しでも華やいで欲しくて赤を添える。多めに赤を添える。元気を出してという祈りを込めて。正岡子規も赤が好きだったそうです。

柚子泛べアルキメデスもパスカルも   素秋
 素秋さんは、柚子湯に浸かりながら、こんな素敵な句をものにした。アルキメデスやパスカルの登場に意外性があった。「テルマエ・ロマエ」ではないけれど時空を超えていろいろなものが同化している。

ガイア・ICAN・キャンドル・坩堝・牡丹雪   けむり
 しりとりで単語を繋いでいる。関係性のない単語も配列の美しさがあるようだ。読む人によっていろいろな世界が出現するだろう。

待春の赤い長ぐつ花時計   中 十七波
 童謡「春よこい」をふと思い出した。時は平成の末。「赤い鼻緒のじょじょ」ではなく「赤い長ぐつ」だ。花時計の傍らに立つ幼い女の子。春を待つ心には普遍性がある。

スコップで落す氷柱や山晴るる   紫
 スコップで落とすくらいだから、氷柱の太さ、長さが自ずと想像できる。また作者の立ち位置も想像できる。山の澄んだ空気とキラキラ光る氷片が目に浮かぶようだ。

笠智衆の眼差しになる初湯かな   をがはまなぶ
 笠智衆は、小津 安二郎の作品でおなじみの俳優。映画「男はつらいよ」でも御前様役で存在感を示している。いい湯に浸かるとあんな柔らかな眼差しになるだろうな。ましてや初湯ともなれば。

日銀の地下の金庫や去年今年   眞人
 「日銀」「地下の金庫」と硬くて実務的な言葉と、「去年今年」という直接目に見えない事象の取り合わせが、効果的に働いていると思う。

蓮枯るる複雑骨折したるごと   眞人
 うまいなあ。その上ユーモアたっぷり。見方によっては、シュールな光景だ。観察の目がよく利いている一句だと思う。


2018年1月3日

内野聖子ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 明けましておめでとうございます。
 昨年一年間大変お世話になりました。皆様の句を拝見させて頂くことで私もとても勉強になりました。
 今年も頑張りますのでどうぞ宜しくお願い致します。

【十句選】

おでん酒イヴモンタンの歌が好き   太郎
 渋い取り合わせですね。冬の夜にしみじみと飲んでいる光景が目に浮かびます。

冬銀河地上に人は消え失せて   B生
 圧倒的な星を目にするとそこに自分も飲み込まれてしまって、地上には何も存在しないような気持ちになりますね。山口県の秋吉台で冬に見える星空はとにかく「凄い!」らしいです。星がとても近くに見えて言葉を失うほどだそう。私もぜひ見たいんですが、寒さに耐えられるかどうかにかかっています。

パソコンのデータぶっとぶ実千両   市川七三子
 「ぶっとぶ」に衝撃の大きさが表れています。千両との関わりが実はよくわからなかったのですが、それでもインパクトのある句です。

年の瀬や何にでも効くオロナイン   たいぞう
 私の亡父はオロナインを万能薬だと思っていたふしがあり、これさえ塗っておけば大丈夫だとよく言っていたのを思い出しました。年末には日頃しないような雑事を色々するので、怪我もあるかも知れませんね。そんな時にとりあえずオロナイン塗っとけ!みたいな感じでしょうか。ユーモアが感じられます。

時折は折れることあり大根も   谷 百合乃
 大根のようにしっかり見えるものでも簡単に折れてしまうこともあるんですよね。これは人にも言えることだと思います。色んな意味に取れる句だと思います。

降りる人無き停車場の冬菫   茂
 ひっそりと咲く可憐な冬の菫と無人の停車場の寂しい風景が何とも言えないです。着目点がいいですね。

冬満月やんわりすっきり恋捨てる   瀬紀
 こんなふうに「やんわり」と、でも「すっきり」と恋も終われたらいいなぁと思います。そして冬の満月はどことなく冷たいけれどとても美しいです。

寒風やデッドヒートの襷来る   瑠璃
 冬の風物詩、駅伝の様子でしょうか。競っていると見ているこちらまで力が入ります。寒風をものともせず、選手も応援も熱くなりますね。

遊園地冬菫ごと売りに出す   比々き
 閉園した遊園地に冬菫が精一杯咲いている様子が浮かんできます。寂しく悲しい光景なんだろうけれど、「冬菫ごと」売りに出ている、という表現にユーモアが感じられます。

ラッピングバス尻揺らし行く聖夜かな   みなと
 最近ラッピングバスが増えてきましたね。「尻揺らし行く」という擬人化が面白いです。クリスマスで少し浮かれた街の様子にバスも便乗したのかな。

【ひとこと】

失念の漢字聞ききき賀状書   草子
 「聞ききき」と「賀状書」の表記それぞれについてのご質問がありました。「聞ききき」が「何度も聞く(聞き聞き)」という意味ならば、「聞きつつ」でも良いのではないかと私は思います。また、「賀状書」の送り仮名に関しては「賀状書き」のままでも良いと思いますが如何でしょうか。