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 12月18日谷さやん  12月28日
 12月25日星野早苗   1月 4日
  1月 1日須山つとむ  1月11日
  1月 8日えなみしんさ   1月18日
  1月15日山本たくや   1月25日
  1月22日内野聖子   2月 1日
  1月29日中居由美   2月 8日
  2月 5日久留島元   2月15日

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2016年11月30日

山本たくやドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 明日から12月ですね。今年も山本たくやにたくさんの投句をありがとうございました。一句一句楽しみながら拝見しています。私の今年のクリニックは今週で最後です。少し早いですが、来年もどうぞよろしくお願いいたします。

【十句選】

大根で道を教はる一茶の忌   泰作
 小林一茶の「大根引き大根で道を教えけり」のトリビュートした句ですね。ただそれだけです。

出口調査の結果大根干す   幸久
 仰々しく「出口調査」と上五で言ったあとの「大根干す」は落差があり、非常に面白い一句でした。

枯野にてオオカマキリの産後かな   豊田ささお
 寒々とした「枯野」で、小さな命が産まれたという景。そのあまりの小ささに感じられる温かさや儚さにキュンとしました。

白菜をまず半分に切ってから   せいち
 おそらく句会で出せば、無点句になるか、取られても「だから何なの?」と意見が出る句だと思います。しかし、私はこのあまりにも唐突な表現や尻切れとんぼ感は良いと思います。ある種のユーモアを感じられます。

女子会はパワーだ十二月八日  せいち
 十二月八日がよく分かりません。「女子会」のパワフルさとどう関係があるのでしょうか?

継ぎ足せる食器洗剤冬に入る   酒井とも
 典型的な取り合わせの俳句。食器洗剤が現代的な景であり、季語ともよく合っています。

馬乗りになったナオミと根深汁   秋山三人水
 作者の意図は分かりませんが、あからさまに官能を詠んだ俳句に思えました。あからさま過ぎると逆に面白味や良さが無くなるので、もし、官能を意識した句であるなら気をつけてください。

天高くマグロの散歩飛行船   岡野直樹
 飛行船をマグロに見立てている句。これはこれで良いのですが、マグロが天高くにある飛行船を見ている景にするのはどうでしょうか?地から天へと視点が大きく動くので、広がりのある俳句になると思います。

くまモンを斜めがけする小春かな   まどん
 作者によると、このくまモンはショルダーバックだそうです。掲句の「くまモン」だけだとわかりにくいので、もう少し具体性を。

着ぶくれて後ろ姿は確か父   みなと
 「確か」がよく効いている。かつての、着ぶくれている父の面影をよく表現できている。


2016年11月23日

えなみしんさドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 きのうまで高知〜南予〜松山〜大分と旅をしていました。高知のひろめ市場のカツオは、東京のどこでも食べられないうまさ。高松では子規の生涯に触れ、南予で幕末の匂いを嗅ぎ、大分県立美術館でアートして、鉄輪温泉でお風呂ざんまい。
 新鮮な気分で俳句を読ませていただきました。全142句。ザンネンながら今週は、やや低調かな〜(スイマセン、偉そうで〜)。10句選が苦しかった〜。でも、毎週投句されてる方に敬意を表します。来週は頑張ってください。

【十句選】

憂国のグレコローマン的あえぎ   伊藤五六歩
 無季の句ですが、「憂国忌」が11月なので、三島由紀夫の事件を詠んだ句と解釈できます。あまり説明する事ではないのですが、レスリングの男色的な匂いと重ねて表現していますね。俳句で「グレコローマン的あえぎ」はスゴイ。「憂国忌」にした方がいいとおもいますが。

この道は風が友達朴落葉   まゆみ
 素直で、気持ちのいい句でした。K音の連続も語調がいい。友だちの擬人化もさりげなくて良いと思います。朴の花は夏。朴の葉は朴葉味噌になる、あれですね。

短日の燃やすものってまさかオレ?   せいち
 冬ですからタキビですよね、燃やすものと言えば。それを、「まさかオレ?」とおどけてみせた所が面白いかな〜。個人的な好みですが、最後の「?」は、なんか落ち着かない。「まさかオレ?短日の燃やすものって」とした方がいいかな〜(ハナシ半分で聞いて)

嵯峨野なら殺人事件と湯豆腐さ   せいち
 森村誠一サスペンスですかね?、こう言うのって。下5が決まらないので、俳句も未解決なように思います。いろいろやってみてください。「嵯峨野さて殺人事件か湯豆腐か」ダメですかね〜。

川霧や松は無けれど二本松   泰作
 福島に二本松という地があります。「松は無けれど二本松」はちょっと決まり文句すぎるのですが、季語と相まって、会津の白虎隊が舞っているような景を思い浮かべました。ただし、季語は動きますね〜。

形あるうちに売らるる熟柿かな   たいぞう
 たぶん、良く熟れた柿が、形がこわれる直前の状態で売っていたという事でしょう。つまり商品価値がなくなってしまったら、売れなくなってしまう。熟女もそうか〜(失礼)、などと考察が膨らむともっと良かったと思います。

木の実降る音か篠降る雨音か   今村征一
 リズム感のいい、リフレインの句です。「篠降るシノフル」は、普通、「篠突くシノツク」なので、ちょっと違和感がありました。演歌で似たフレーズがあったと思ったら、「小ぬか雨降る御堂筋 こころ変りな夜の雨〜」でした。

鷹渡る「KOBAN」といふ万国語   素秋
 MOTTAINとか、BONSAIもそうですけど、まんま世界に通用する日本語がありますね。その事を詠まれたのは面白いと思いました。「万国語」と収めてしまったのが、ちょっとかな〜。季語も動きますし、難しいですね〜。

実数の後ろに虚数近松忌   素秋
 煙に巻かれたような気になる句です。そもそも虚数というのが分からないので。作者のアタマには、「虚実皮膜論」があるんでしょう。「後ろに」よりも「後ろは」ではないかな〜。「裏」の方が「皮膜」を連想するのか〜と、あれこれスイマセン。

立冬のカレーうどんの具沢山   けむり
 カレーうどんは、冬ですよね〜、やっぱり。まあこういう句ですが、「具沢山」はあいまいなので、具のどれかに絞って具体的に表現すると、更によくなるかも知れません。

 以上、風邪など召さぬよう。


2016年11月16日

須山つとむドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 志賀高原の紅葉を見てきた。梢の部分にまだ葉を残すシラカバの白い樹林が池の面に映えていた。峠の茶屋に車を止め、笠ヶ岳に登るとき、頂上(2076m)直下のロープで、つららに手を触れた。嘗ては『梢の秋』という語も使われていたのを辞書で知った。

【十句選】

啄木鳥や山のホテルの芝の径   太郎
 深い茂みの中では霊的に聞こえたキツツキの音が、山のホテルの開けた園庭では、乾いた爽快なリズムを刻む。澄み渡るの空と咲きみちた秋草が目の前にひろがる。

水甕にひとつ水の輪照紅葉   谷 ゆり
 水を湛えた古い水甕に、丸く切り取られた秋が来ている。木の実か、風か? 澄んだ一重の水輪が生まれ、水面に映るもみじを揺らした。

ミニカレ-セットできます星流る   幸久
 星空も、遠くの町の夜景も楽しめる峠のレストラン。照明を控えた窓の席、評判を聞きつけてきたミニカレ-を口に含むと、西空へ星が走った。動詞の重複で、句の調子がやや重く。

パリ・ローマ遠くセロリは目の前に   せいち
 チャンスは潰え、パリ・ローマは果てしなき彼方へ。でも、若者たちのこと、セロリの茎を噛む白い響きは、きっと次なる挑戦への萌芽。

割箸の袋にメモる神の留守   中 十七波
 閃いたのは稀有なるアイディア。手近の箸袋を裂き、その裏に走り書きのメモ。はしたない所作だが、出雲の旅の神様も、きっと大目に見てくださるだろう。

サンキストレモンを齧る美術室   ∞
 長い時間の石膏デッサン。目も顔面も、神経ヒリヒリ。木炭の消し具ように食パンを買うとき、ついでに買ったレモンに手が触れた。教師の目を掠めて、ガブッと齧るか。

上手い事言へずに柿を剥いてをり   聡
 人様の前で旨いことよう言わんのは、あたしの遺伝子。ちゃらちゃらしゃべる人は措いておき、もらって来た旬の柿でも剥いて、皆んなで食べよう。

欄干に届かぬ丈や鮭上る   草子
 鮭が遡上を始めたと聞いて訪ねて来た、ふるさとの川。モダンデザインの橋に架け替わったお陰で、欄干からは川面が見下ろせない。老いを嘆くのか、幼い日の回顧だろうか。

犬小屋に眠る鼻あり柿の秋   紫
 『自由にお取り下さい』の札の下がるお庭。でも、入り口の小屋では、デカイ犬が鼻だけ見せてお昼寝中。『眠る鼻』の直截な表現が、ユーモアを際立たせた。

鰯雲深呼吸して空を飲む   増田六伍
 雲と空、深呼吸と飲むとは、いずれも近い関係を感じさせる言葉。このため句に冗長な印象を与えた。でも、それだから? 句が、詩としての個性を持ったのかも。俳句は難しい。

【注目した五句】

老農のずっぽずっぽと大根抜く   たいぞう
 老いたとはいえ、太い腰や脚の運びは昔日のまま。擬音語の繰り返しが句に鼓動を与えた。

教室に兎抱く子や外(と)は暮色   汝火原
 放課後。白いウサギを抱く少年が一人、教室に残っている。「外」は暮色と重複する。

冬瓜の居間にころがり冬に入る   眞人
 煮物椀の逸品、冬瓜(季語:秋)は、縦割にされ年中売り場の棚に。季感への警鐘とも。

ままごとのまま子いじめのあかのまま   瀬紀
 『まま』の多義性に着目した言葉遊びの句。中七『の』を切れ字にして、句柄を変えても。

秋耕や皺の笑いし頬被り   瑠璃
 ユーモアのお膳立て。語の意味が近すぎる。スマホなど、異質なものとの取合わせも。


2016年11月9日

星野早苗ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 霜月、秋晴れの日が続きます。
 お天気なのでちょっと草刈りを、と、ビニール袋いっぱい草を刈り、帰ってくると、トレーナーにもズボンにもヌスビトハギがびっしり貼りついていました。被害のひどかった軍手は捨てましたが、他はそういうわけにもいかず、翌日、バケツを横に置いて一つずつ毟り取ることに……。時間はかかるは指先は荒れるは、ほんとに草臥れ儲けです。
 あとで調べると、ペットボトルに切り込みを入れて剥ぎ取る方法や柔軟剤で洗濯してから取る方法などがありました。次の機会があれば……、試してみようと思います。
 さて、今回も150句の中から。

【十句選】

秋惜しみ山から山へ山男   いつせつ
 山登りのシーズンですね。空気の澄んだ秋の山はすばらしいと思います。紅葉やお花畑、小動物との出会いもあるかも知れません。そんな秋の「山から山へ」という繰り返しがユーモラスです。週末ごとにあちらの山、こちらの山と出かけているのだと思いますが、日本アルプスの縦走などもイメージできますね。

手に残る封の切れ端枯木立   伊藤五六歩
 封を切ったのは確かに自分でも、今、手の中には何もありません。その封の切れ端が残っているだけです。封されていたものが何だったのかは分かりませんが、無くなってみれば茫漠とした記憶しか残らなかったのでしょう。枯木立が効いていると思いました。

通草蔓引けば一山ひるがへる   今村征一
 高木に絡まって伸びる通草。その実を採ろうと蔓を引くと思わぬ高さの梢が揺れました。「一山ひるがへる」はちょっと大げさかも知れませんが、静かな山の一処が揺れ動き、木の葉の騒いだ瞬間の表現として納得できます。

赤まんま銜へしままの草刈機   善吉
 草刈機が地面に置かれていたのでしょう。見るとその回転刃に赤まんまが挟まっていました。「銜へしまま」の措辞から、音を立てて草をなぎ倒す草刈機の獰猛なイメージが伝わります。丈高く揺れて涼しく秋を告げていた赤まんまの花も一掃されてしまったのですね。

焼酎の藷のごつごつ薩摩ぶり   眞人
 藷焼酎にもいろいろな種類があると思いますが、元々救荒作物である薩摩芋の、米や麦にはない野性味を「ごつごつ」と表現されたのだと思います。ましてやこれは薩摩の藷焼酎。質実剛健のお国ぶりをストレートに感じる味わいだったのでしょう。

酔い覚めの柿に冷えゆく夜の底   瀬紀
 酔い覚ましに柿は一番効果的な果物だそうです。けれども、柿で酔いを覚ましてみると急に辺りが冷え冷えとしてきました。それは単に晩秋の寒さだったのかも知れませんが、もっと心理的なものだったかもしれません。しみじみ一人を思わせる「夜の底」がいいなぁと思いました。

嫁ぎ来し夕の匂ひよ山茶花は   紫
 嫁いできた日に見た夕暮れの山茶花は、もの寂しい冬景色の中に浮かび上がるような美しさだったのでしょう。それは、婚家にも故郷と同じ花が咲いていたという安堵の色だったかも知れません。同時投句に〈山茶花や長持ち唄の荷のたてる〉。

秋の窟ひかりが水になるところ   紅緒
 洞窟の底には絶えず水が流れていますね。暗い洞窟の中も、岩の隙間から光が差し込めば、ああここに水があるのだと分かります。差し込んだ光が水に届いた瞬間を、作者は「ひかりが水になるところ」と表現されたのでしょう。光の帯が、水に溶けてしまったのです。

子を揺らし母獏になる冬の夜   早桃
 子どもが寝入った後も、その寝顔を見守っているお母さん。子どもの見る悪い夢を食べてやるために、お母さんは今、大きな獏になっているのです。意表を突かれる表現が、子のためには何にでも変身する母性の不思議を感じさせます。童話的な魅力もある句です。

窯詰めの夜をせはしく冬隣   中 十七波
 登り窯でしょうか。形作った器を窯に詰めていくのは大変な仕事なのでしょう。けれども、いったん窯の口をふさいで薪を焚きはじめれば、あとはもう火の仕事。焼き上がりは火に任せるしかありません。その前にせわしく働くのは、冬隣にふさわしいように思いました。

【その他の佳句】

小春日や三ミリほどの舌足らず   伊藤五六歩

秋桜わたしはいつもゆれている   増田六伍

結婚は仲間の死語や芋煮会   をがはまなぶ

冬支度笑顔相槌聞き上手   をがはまなぶ

老いの日を水仕ばかりや汀女の忌   みなと

古軍手力を抜いて大根引   中 十七波

ハロウィン角が折れたと泣く魔女も   鷲津誠次

鹿吹けばふる里歩みくるやうな   今村征一

どんぐりの好みの人へころころり   せいち

なで牛の鼻のつややか豊の秋   眞人



2016年11月2日

谷さやんドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 秋を迎える頃に決まって思い出すのは、芝不器男が書いた義姉梅子への手紙の冒頭です。
 「こちらでは晴れた日がうちつゞきます。が、さすがに秋風が土となく空となく、しろく吹きわたつてゐて、みちのくの秋の粛殺をしらせます。『ひややか』の季に入つて、ほんとに朝夕は単衣一枚ではぴりぴりする位です。心がいやが上にもひきしまるのを覚えます。そして深いところで、しづかに落ちつくのを感じます。これだからこそ秋が好きです。」(「不器男句文集」松山 子規会叢書)。
 秋と心を合わせたい。

【十句選】

内緒だがウルトラセブンはいわし雲   高木じゅん
 子に話しかけているのだろうか。キョトンとしている子どもの顔が目に浮かぶ。ウルトラセブンもいわし雲も、確かにつかみどころがない。ウルトラマンではなくウルトラセブンであることに、きっと意味があるのだろう。

敬老といふ日の穴を飛び越える   けむり
 「敬老の日といふ穴」とした方が、いいかと思う。敬老という気恥ずかしい日を飛び越えて、早く日常の年寄りに戻りたい気分なのだろうか。煙たがられたり、放っておかれる老人に。

寅さんがいそうな二階秋昼寝   けむり
 「秋昼寝」が惜しいと思う。寅さんがいそうと思うだけで、ごろんとしている姿を想像できるから。例えば「秋の虹」ではどうだろう。ふうてんの寅さんに似合うのではないだろうか。

秋の昼からしの効いた焼きサンド   茂
 澄んだ空気の中の、のんびりした気分には少々からしを効かした方がいいかも知れない。からしが鼻にツンときくるが、芳しいパンの匂いもまた秋の昼にひとしおだ。

ころ柿に母の遺せし詩のひとつ   たいぞう
 ころ柿は「干柿の小さく丸いもの。縄に下げて天日に干した後、むしろの上でころがして乾燥させる、表面に白い粉をふき、甘味がある」とのこと。干柿でひとくくりに言っていたが、ころ柿とは可愛らしい名。「母の遺せし」を「遺した」としてはどうだろう。「母の遺した詩」とする方が、詩という言葉が生きてくると思う。

秋の暮児は石垣にボール蹴り   眞人
 ボール蹴りを惜しむようにいつまでも子が蹴っている。最後「蹴り」と流さないで「蹴る」と言い切った方が、ボールが弾む感じがさらに出ると思うが、どうだろうか。

爽やかや色ビ‐玉に色の影   みなと
 影にも色があるのがいいと思った。青いビー玉の青い影を想像した。

澄む秋の老いてことさら浜言葉   みなと
 老人の顔にくっきりと刻み込まれた皺を思うと「ことさら」が納得できる。荒い浜言葉が、澄む秋の海に響き渡って気持ちがいい。

長き夜の読書とホームベーカリー   紫
 割にうるさいホームベーカリーの音だが、出来上がるパンを思うと我慢できる。早焼きだと二時間ほどの読書になる。ささやかで贅沢なひと時だ。最後の方で一気に静まり、焼けた匂いがしてくると、佳境に入っていた本もぱたりと閉じる。

新刊の棚は素通り文化の日   鷲津誠次
 「新刊」と「文化の日」がわかり易い関係だが、素通りが効いている。新刊には目もくず、目的の棚に向かう。文化の日とはかかわりないというふうに。