「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断します。
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<これからの予定>
投句締切担当ドクター十句発表
    終了 谷さやん  10月 4日
 10月 1日星野早苗  10月11日
 10月 8日須山つとむ  10月18日
 10月15日秋月祐一  10月25日
 10月22日山本たくや  11月 1日
 10月29日内野聖子  11月 8日
 11月 5日中居由美  11月15日
 11月12日久留島元  11月22日
 11月19日谷さやん  11月29日
 11月26日星野早苗  12月 6日
 12月 3日須山つとむ  12月13日

<ドクターのプロフィール>


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2017年9月27日

久留島元ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 5月に「船団」の大先輩である内田美紗さんの俳句と、森山大道さんとのコラボ写真集『鉄砲百合の射程距離』(月曜社)が刊行されました。
 また、8月には『天の川銀河発電所 Born after 1968現代俳句ガイドブック』(左右社)というアンソロジーが刊行され、編者の佐藤文香さんは刊行記念イベントで歌人や歌手らと渡り合っています。関西でも10月8日梅田蔦屋書店でイベントが予定されています。
 テレビでは夏井いつき氏率いる芸能人俳句集団が人気、いろいろなジャンルと混じり合う、賑やかな俳句シーンが生まれつつあるようです。
 今回は157句の投句がありました。まずは今週の十句から。

【十句選】

秋の日の点滴の孔があをい   たいぞう
 字足らず、自由律の句。点滴の孔をみつめたことはありませんが、深まり行く秋のなかで孔を「あをい」と感じる作者の不安が際立ちます。

3000年さきの秋空君がいる   白川黴太
 僕と君の関係から遠い過去や未来の運命を感じ取る、アニメ映画などに近い感覚です。同世代であれば類想が多い可能性もありますが、若い世代の感覚を切り取った句として評価できます。

爽やかに風立つ断層日和かな   善吉
 秋の行楽、「断層日和」という言葉が素敵です。「爽やかに」という秋風を感じさせる季語があれば「風立つ」は不要に思えました。

鰯雲母のリズムと共に行く   茂
 単純な句ですが、何も説明せず「母のリズム」でゆったりとした時間を感じさせる佳句。余計な説明や教訓めいた理屈がまったくついていないところがよくできています。

西鶴忌サンカイカケテカイカンサ   さわいかの
 後半は回文ですね、意味はよく分かりませんが言葉を自在に使った西鶴にふさわしいかも。

さりながら農家の嫁や菜虫とる   伊奈川富真乃
 中七下五はありふれた農家の風景であり、表現も当たり前ですが、「さりながら」と大仰な接続詞で前後を感じさせたところが手柄。

枝豆とあの日の君は飛んでった   せいち
 ビールを飲みながらの昔話でしょうか、そして君はどこへ行ってしまったのか。さみしいようなおかしいような、ちょっとおもしろい世界。

マンモグラフィー終えて秋日の少女像   直木葉子
 「秋日」は「あきひ」で読ませるのでしょうか、少し語呂が気になりますが検査を終えた自分と少女の対比(なぜ銅像ってたいてい裸なのでしょうか)、うまくできていると思います。

ヨーグルトくちふくむ朝露のよに   干寝 区礼男
 「のよに」、は「世」か「〜のように」なのか、「ヨーグルト朝露のよにくちふくむ」のほうが語呂がいいのでは、などいろいろ考えましたが、ヨーグルトと朝露を取り合わせた優雅さが素敵。

秋霖や部屋めぐらせるプラレール   スカーレット
 「部屋めぐらせる」はやや変で「部屋にめぐらす」「部屋いっぱいに」などの代案を考えつきましたが、それはともかく情景が目に浮かびます。持ち主は少年なのか、少年の心を忘れない中年男性か。

【選外佳作】

秋袷もっとも遠き縁(えにし)かな   五六歩
 もっとも遠い縁とは何か。着物の情景とあわせて、やや艶っぽい。

ユダの魂熟れゐたるなり葡萄園   伊奈川富真乃
 インパクトの強い句でしたが、「ユダ」は、文学では意外と使いやすい固有名詞で、抜きんでた句とは言いにくいかも。

らぶらぶの糸瓜ますますらぶらぶに   中 十七波
 ぶらぶら、をひっくりかえしただけですが、たちまち仲よく並ぶ大きな糸瓜が見えてきます。

近眼の店主に似たる金魚かな   抹茶金魚
 楽しい一句。

応仁の乱まで二分草の花   ∞
 往昔の開戦を想像しているのか、戦場跡めぐりの最中なのか。応仁の乱はとても長い戦いなのであまりイメージには合わないかも。

とんぼとぶとうちゃんとまるぼくころぶ   ロミ
 小学生の絵日記を模したような句。

ゼロと零のちがひを述べよ明月よ   比々き
 内容の理屈っぽさ、「〜を〜せよ」が散文調で語呂が気になりますが、「明月よ」の呼びかけなど、表現が面白い。

ブーメラン投ぐ対岸の芋煮会   紫
 こちらは「投ぐ」の終止形で切れ一人ブーメランを投げる姿、対岸でにぎやかな芋煮会。うーん、川縁の光景として分かるような分からないような。

秋蝶の行ったり来たり縺れたり   みなと
稲光りショートケーキが倒さるる   ジョルジュ
 よくできた形ながら、類想がたくさんありそう。

ペンギンは空の高さを知らず寝る   意思
 これも類想はありそう、と思いながら最後は「寝る」のふてくされた感じがちょっと楽しい。


2017年9月20日

中居由美ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 読書の秋、スポーツの秋ですね。
 今年は、子規・漱石生誕150年記念の年。松山でも様々なイベントが行われています。もっともこの秋、愛媛国体が開催されるため、どちらかというと町全体は国体ムード。愛媛県のマスコットの「みきゃん」や「ダークみきゃん」が宣伝に大活躍しています。私も、「みきゃん」のロゴマークの入ったポロシャツとシャツを買いました。
 子規・漱石のイベントとしては、坪内稔典先生の「正岡子規」特別講座や、小西昭夫さんの講座「愛媛の俳人たち」に参加させて頂いています。
 個人的には、漱石の小説を読み直してみようと決め、毎日少しずつ(新聞小説くらいの分量)をコツコツと読んでいます。なかなか進まないのが玉にキズですが、これもまた、楽しい日課のひとつとなっています。

【十句選】

秋風や紙飛行機が雲に乗る   けむり
 青空に向かって紙飛行機が飛んでいる。見ている人の視線が上向きで、その開放感が心地良い。「風に乗る」では当たり前だが、「雲に乗る」で句に立体感が生まれた。

天高し大豆を箸で取る競技   せいち
 晴れ渡った秋晴れの下で繰り広げられる運動会の様子だろう。昭和の気配が漂い懐かしい。町内運動会なら今でもありそう。天と地の対比、大と小の対比が面白い。

秋めきて水をはみ出す河馬の尻   たいぞう
 風景のたたずまいに秋を感じている作者。「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」という和歌の優美に対し、河馬の尻で対抗。しかも水をはみ出すくらいだからかなり大きい。愉快な一句。

栗飯に選ぶ大粒七つほど   みさ
 栗ご飯が美味しそう。栗を丹念に選び皮を剥ぎ、渋皮を取る。栗飯を作るには手間がかかるが、その手間があってこそ美味しさも増すというもの。七つという具体性がいいと思った。

着信歴残して逝けり鳳仙花   天野幸光
 スマホやケイタイ電話では、着信履歴が残りとても便利だが、逝ってしまった大切な人の履歴を何かの拍子に見つけた時の切なさ。鳳仙花が効いている。

ボタ山の上は公園天の川   眞人
 石炭などの採掘時に発生する捨石の集積場がボタ山。近代文明が捨て去ったものの上には公園があり、静かな時間が流れている。労るようにかかる天の川が美しい。

榠櫨の実の辺り空気のでこぼこす   紫
 大きく、いびつな楕円の形を言い得て妙。「空気でこぼこ」がいいな、と思う。生では食べられず、カリン酒等に用いられ薬効がある。見かけは悪いが、良い香りを放ち、人の役に立つ榠櫨の実の無器用さが愛おしい。

晩夏光ときどき猫になってみる   ∞
 猫になってみたい、と思うのはどんな季節だろう。晩夏もそんな頃か。吹く風やゆく雲に秋の気配を感じ取る猫のしなやかさ。猫と一体化した作者。

うろこ雲届きそうなり故郷に   瀬紀
 うろこ雲が、青い空遠くまで群れ広がっている。この雲は故郷まで続いている気がして、郷愁を覚えた秋の日。淡々と詠んで地味だが、味わいがある。作為のない清々しさに惹かれた。

天河原溢れて島の星の砂   紅緒
 天河原は、沖縄の言葉で天の川(てぃんがーら)という(作者注)。「てぃんがーら」の後に中7、下5をつけて声に出して読んでみる。響きが大らかで心地良い。ア行が続くことで開放感が出たのだろう。天の川からこぼれた落ちた砂が綺麗だ。


2017年9月13日

内野聖子ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 まだまだ昼間の残暑は厳しいですが、夜に窓を開けていると毎晩のように虫たちの大合唱が聞こえてきます。毎年のことですが、夏が終わって秋の気配を感じると心底しみじみとした気持ちになります。秋に自分の「人生の秋」を重ねているのかもしれません。
 今週もたくさんの投句をありがとうございました。

【十句選】

息つめて眉引く今朝の涼しさよ   まゆみ
 夏の暑い時期に眉を描くのは手抜きになりがちだけれど、少し涼しくなってきたら自然と丁寧に描いている気がします。何気ない日常から季節を感じられる句ですね。

口あけて眠る女や遠花火   ラーラ
 情景がありありと目に浮かんできます。遠景と近景の対比がくっきりとしていて印象的です。

蒸す揚ぐる炒むる煮込む暑気払い   伍蜂堂
 暑い時こそ熱い料理を食べた方が元気になる気がします。湯気が立ちそうな動詞の羅列が効いています。

暗黒や蚊と話せん美味そうか   干寝 区礼男
 暗闇の中で知らないうちに蚊に刺されていたり、眠ろうとしている時に蚊の羽音で邪魔されたりすることって多いですよね。ユーモアの感じられる句です。

砂時計ふっとからっぽ夜の秋   紅緒
 突然虚無感に襲われる瞬間が砂時計の状態で表されていますが、夏の終わりの寂しさとよく合っていると思います。

ヘ音記号みたいな夜なのに鈴虫   黴太
 ヘ音記号みたいな夜ってどんな夜なんだろう。発想が新鮮です。そして「なのに」ってことは鈴虫とは対極にあるんでしょうね。

花火待つ闇こそ主役二人いて   瀬紀
 花火そのものより、花火があがる前の暗闇が大切という着目点が良いです。下五が説明的なのでもう一工夫するともっと素敵になると思います。

小鳥くるコンビニばかり増える町   比々き
 私の住む町でも秋になると小鳥のさえずりが聞こえてきて賑やかになります。そして近距離にコンビニエンスストアが何軒もできると、経営が成り立つのかと余計な心配をしてしまいます。町の様子が変わって小鳥も戸惑っているかもしれませんね。

大バッタ我らが行く手阻むかな   スカーレット
 「蟷螂の斧」を連想しました。「大バッタ」が何かのメタファーになっているともとれます。

油蝉死して千年眠りそう   意思
 長い年月をかけて生まれてきても1週間しか生きられない蝉ですが、その後は千年眠りそうだという発想が面白いです。


2017年9月6日

山本たくやドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 朝晩はすっかり涼しくなり、クーラーの使用頻度も減ってきました。秋を感じつつ、俳句を作っていきたいですね。

【十句選】

はやる客乗せて釣り船天高し   いつせつ
 釣りが好きな人にとって、船での釣りは格別なのでしょう。その楽しむぞっといった気持ちが、天高しでよく表れています。

夏草の匂い小学三年生   二百年
 若々しく微笑ましい一句です。しかし、「小学三年生」と限定する必要があるのか疑問です。

夏帽子似合ふと言はれ鳥になる   けむり
 嬉しさがとても楽しげに表現されています。とても好感の持てる一句でした。

うすごろも隙ありさうでなささうで   素秋
 「うすごろも」、確かにそういう存在。特にこの時期は、あってほしいけど、ちょっと暑くて不要にも感じる。それを「隙」としたことが面白い。

ゆきあひの朝や色よい返事あり   谷 百合乃
 爽やかさのある一句。できれば「色よい」を別の言葉で表現できたら、より良かったと思います。

占星の運気よき日の西瓜かな   柏井青史
 とても微笑ましい光景。きっとこの西瓜は普段以上に美味しいはず。

停電をよろこんでゐる天の川   比々き
 皮肉さがある中にも、なるほどとも感じます。「よろこ」ぶがあからさまな表現なので、別の言葉で表現させてください。もっと俳句らしくなります。

父の服父の帽子の案山子かな   瑠璃
 田舎でよく見かける風景。のどかさを感じます。できればどんな服や帽子なのかを表現してください。

高きもの無き田園や稲光   瑠璃
 1枚の風景画のようですね。稲光が激しくなっている感じがよく表れています。

虫の音の止むまで起きていようかな   スカーレット
 気持ちの良い気候になってきました。涼しさを感じながら虫の音を聴くのは実に気分が良いでしょう。