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8月 5日  内野聖子        8月15日
8月12日  中居由美        8月22日
8月19日  久留島元        8月29日
8月26日  谷さやん        9月 5日
9月 2日  星野早苗        9月12日
9月 9日  須山つとむ        9月19日
9月16日  秋月祐一        9月26日
9月23日  山本たくや       10月 3日

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2018年7月18日

星野早苗ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 地震、大雨と続いた梅雨が明けました。
 一日も早い被災地の復興をお祈り申し上げます。
 人の力ではどうしようもない大きな力が自然にあることはたしかです。だからこそ自然の恵みも大きいのですが、つくづく日本は災害大国だなと思いました。被害を最小限に食い止める街作り、国作りをみんなで考えていかなければなりませんね。
 災害で落ち着かない生活の中、ご投句ありがとうございました。
 さて、今回は166句の中から。

【十句選】

修復の済みし杉戸絵夏祓   みさ
 杉戸絵は廊下の境目などにあって、直接戸板に絵の具で描かれています。胡粉などで描かれた絵はくっきりとしていますが、長い年月の間に剥落していることも多いようです。その杉戸絵が修復され、鮮やかに甦ったことで、今年の夏祓えは格別なものになったのでしょう。

梅雨明けや付箋いくつも旅雑誌   洋平
 夏休みの旅を計画しているのでしょう。必要なページに付箋を貼って、綿密に旅の計画を立てています。泊まりたい宿や寄りたい店、やりたいこと、食べたいもの等、情報に触れたときから、もう旅は始まっているのですね。

半夏雨長き祈りの妻を待つ   たいぞう
 並んで手を合わせ、同時に瞑目して頭を下げたご夫婦。でも、祈りの長さはちがったのです。夫である作者は、妻が頭を上げるまでじっと待っています。そして、来たときと同じように、二人並んで帰られたのだと思います。夫婦の機微が感じられる作品だと思いました。

足を止め校歌聞きをり雲の峯   けむり
 学校の側を通りかかったとき、校歌が聞こえてきたのでしょう。母校の校歌でなくても、校歌には真っ直ぐなメッセージがあり、メロディーも分かりやすく、惹かれるものがありますね。掲句の校歌は雲の峯と取り合わせられ、力強く、明るい未来が感じられました。

白といふ色の力や橡の花   日根美恵
 万緑の中の白。橡(とち)の花の斡旋がよいと思いました。円錐形に盛り上がって咲く橡の花は決して純白ではありませんが、素朴な力があるようです。大きく丸い橡の実のイメージも重なりました。

七夕や姉妹で分ける金と銀   中 十七波
 金と銀は、笹飾りを作るための折り紙の色でしょうか。姉妹で仲良く作っていても、折り紙の色は必ず取り合いになりますね。中でも、金と銀は特別。まず最初に、仲良く一枚ずつ分けた所に、姉妹の智恵を感じました。遠く、星空も連想されますね。

白靴や島には馴れたか転校生   鷲津誠次
 四月にやって来た転校生も、夏になってようやく周囲と馴染み、島の子どもたちと見分けが付かなくなってきたのでしょう。けれども、彼の白靴には、どこか都会っ子らしさも残っています。子どもたちを見守る大人の暖かな眼差しが感じられました。

顎紐の伸びきる帽子兜虫   瑠璃
 園児の被る帽子でしょうか、顎紐のゴムが伸びきっているのは多分年長組ですね。顎紐のぶらぶらしていることもかまわず、兜虫に夢中になっています。よれよれの帽子とつやつやの兜。顎紐も、兜虫が引いて伸ばしたのかと思える楽しい句です。

雲の峰一度も買はぬ登山靴   紅緒
 山に憧れながら、結局登山靴は買わずじまいだったのでしょう。けれども、夏山の季節になると、本格的な登山に挑戦してみたい気持ちが甦ります。ハイキングやトレッキングで体力は維持している作者なのだろうと思いました。

灯消せば窓に夜明けの旱星   二百年
 仕事か勉強かサッカー観戦か、夜明けまで起きていてやっと眠りにつくため部屋の灯りを消しました。窓の向こうに、消え残った明るい夜明けの星が見えます。「旱星」という季語で、その日一日が、浄化されたような気がしました。

【その他の佳句】

屋上に残れる虹の匂いかな   銀雨

紫陽花や山より雨の上がりける   太郎

白鷺や棚田たなだに水張られ   太郎

羅や棺へ入るる母の恋   伊奈川富真乃

梅雨晴の立ち上がる物みな光る   たいぞう

鳴くまでを歩む砂浜実はまなす   今村征一

「なんぼでも寝る」すててこ爺の立ち話   谷あやの

徘徊の妻かへりきて沙羅の花   一海

短夜のうっかりと耳から眠る   マチ ワラタ

灯消せば窓に夜明けの旱星   二百年

梅雨晴間昭和のままの商店街   中 十七波

炎天に応援団の反身かな   瑠璃

河童忌の形揃はぬ塩むすび   彩楓



2018年7月11日

谷さやんドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 今このパソコンをのキーボードをたたいている夜中、警報のサイレンが何度も鳴り響いています。放送も始まりました。この松山市を含む愛媛県全域にわたってこれほど長引く豪雨は、私の生きてきた記憶の限りないように思います。俳句の結果が発表になるころには、流石に去ってくれているとは思いますが。

【十句選】

葡萄受け取る逆さまに印押して   せいち
 お中元が届いたのだろう。「お中元」としないで、「葡萄」が良かった。葡萄の絵の描いてある箱で、すぐわかったのだ。嬉しさに、思わずハンコの方向を間違えた。

こきこきと壊れてゆけり扇風機   たいぞう
 扇風機はまだ働いている気配。古いのだろうが「こきこき」は、首を振るぎこちない扇風機の動きをよく表している。時代の流れの中での扇風機の存在も含めて「壊れてゆけり」。「こきこき」といえば「鳥わたるこきこきこきと罐切れば」をたちまち思い出すが、この句もこの擬音語がとても効いていると思う。

世の果つるとき一面の花茨   抹茶金魚
 「へーっ」と思わず声に出た。素朴で清楚な白い花も一面にあると、美しいというより怖い。棘ごと迫ってくるようである。この世の始まりだと、一面の花茨がまた違って見えてくる。

ほうたるも光るからだをもてあます   短夜の月
 もてあましているのかと思うと、あの光もなんとなく辛くなってくる。持て余すから飛ばずにおられないのだろうか?「ほうたるも」の「も」が気になる。他に身を持て余しているのは、誰?

あめんぼうみずいろのみずいろのうそ   高木じゅん
 すべて平仮名表記。個人的には、読むとき苦手だ。目に力が要るし、意味が遅れて入ってくるから。この句は、どこで切れるのだろう。あめんぼうみずいろのみず/いろのうそ」「あめんぼうみずいろの/みずいろのうそ」。私は、前の方が好き。水色の水の中に、私もあめんぼうと泳いでいる気分になった。「うそ」も「みず」に溶けていく。

降格で同僚になる薔薇の園   酒井とも
 降格になるのは、よっぽどのことだ。昇格しないのとは違う。でも「同僚になる」のはいいことと思う。「薔薇の園」が、どこか可笑しい。

音となり一瀑迫り来るごとし   今村征一
 滝は動かないが、音に化身して自分の身に覆いかぶさってくる感じ。一瀑が音の塊となる迫力。

でで虫や身を乗り出してこぼれさう   善吉
 最後の「こぼれさう」がいい。蝸牛を見る目のあたたかさが伝わる。伸びきった蝸牛の身の姿が、ユーモラス。

鹿の子の倒木渡る早瀬かな   瑠璃
 絵に描いたような光景。早瀬を渡している倒木。そこを渡る鹿の子。濃い緑の渓谷で、小鹿は首尾よく渡れただろうか。

青嵐バサと新聞猫に飛ぶ   彩楓
 「青嵐」は、青葉の頃に吹きわたる清爽なやや強い風。風通りのよい場所で広げて読んでいたのだろう。あっという間に飛んでった新聞の行方は、飼い猫に被さって止まった。「猫」にユーモアがあると思う。

【気になる句】

自転車で掻き分ける夏草の風   銀雨
 「掻き分ける」が、いいなと思った。掻き分けるのは「夏」なのか「夏草の風」なのだろうか。いずれにしても「掻き分ける草夏の風」よりは、草の香りがプンプンする。

甘夏の重さの乳房揺らしをり   短夜の月
 甘夏の重さの乳房は、とてもいいと思った。が、揺らしたのではもったいないと思った。

消えてゆく入道雲の正気かな   干寝区礼男
 今度、入道雲の消えていくところを見たいと思った。

六月尽噺家すわる公民館   笹泉
 「公民館」がいいと思う。

夏の地図広げて飽きるまで嗅いで   マチ ワラタ
 広げた地図を嗅いでいるのだと思った。夏の地図だからどこか芳ばしい。

梅雨晴間新聞俳句と言はれけり   をがはまなぶ
 「新聞俳句」という呼び名を初めて知りました。「梅雨晴間」がいいと思う。

テーブルに醤油差しの輪冷奴   スカーレット
 あります、あります。醤油をかけようとして持ったら、醤油差しの跡の輪っかが出来ている。「冷奴」がはまり過ぎたかなと。例えば「ラムネ飲む」とか「かき氷」など、「輪」とは関係ない食べ物が、かえって良い気がします。


2018年7月4日

久留島元ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 大阪北部地震にあわれた皆さま、被害はなかったでしょうか。意外なほど交通、インフラが被害を受けたのが驚きでした。また関東ははやくも梅雨明けということですが、大雨被害も心配。
 テレビは連日サッカー一色ですが、なんだか物騒な事件が立て続けにあったり、なんだか不穏な気もします。とはいえバラエティでは俳句番組が人気、京都ではそろそろ祇園祭が始まります。いよいよ夏本番という感じでしょうか。
 今週の投句は191句でした。基本的な言葉遣いなど、判断に迷う句もありましたが、いつも通り視点が面白い句などを中心に選んでみました。
 (不適切な文言があるとのご指摘があり、【はじめに】の一部を訂正しました。)

【十句選】

藪毎にへくそかづらのあかんべえ   二百年
 ふいに出てきた野草を楽しくとらえた一句、臭いなどは大丈夫でしょうか。

マンボウを花にするならヒマワリで   銀雨
 同じく比喩の句、「〜〜にするなら」「○○で」の言い回しは人為的な感じがしますが、マンボウをヒマワリに喩える視点は面白い。表現を推敲してほしい。

みればみなさん紫陽花になっている   ∞
 紫陽花になっている人ってどんな人? ことさら丁寧な口調で謎めいた比喩を操る文体は川柳的といえるかも。

草むしり誰かに見られゐるやうな   百合乃
 よくあるといえばそうですが、日常にある納得の感覚。

切り出せる仏になれぬ木くず夏至   藤井美琴
 仏像を彫り上げたあと、余って捨てられるであろう木くずに注目した句。五七五の使い方がうまい。

ジェラシーだ虹をちぎつて捨てたのは   比々き
 所詮嫉妬だと、自分でも分かってはいる、しかし、やらずにおけぬ、虹のはかなく淡い感じとの対比がいい。

薔薇といふ迷宮に足踏み外す   紅緒
 迷宮なら踏み出すとなりそうなところ、薔薇の美しさに溺れたような句に。単語の連なりは類想がありそうですが、一句で読むと軽やかでうまくまとまっている。

女みな卑弥呼の血脈洗ひ髪   ポンタロウ
 「洗い髪」は何故か女性限定の季語、時代とともに失われる季語かも知れません。卑弥呼の血族という表現も少し古い婦人解放運動を思わせ、強い女性に対するややステレオタイプともいうべき憧れが一句になっている。

口づけを垣間見てをり青葉木菟   みなと
 「青葉木菟は見た」という感じ。「〜てをり」はやや説明的で嫌われる表現で、要再考。

苦い雨もう寝よう蓮さいた夢   干寝 区礼男
 「苦い雨」「もう寝よう」「蓮さいた夢」三句がばらばらで、普通失敗しがちな形ですが、かえってぶつ切りな感じが、モノクロの古いアニメを見ているようで面白い。

【選外佳作】

羅にもたるる肌のうごきしか   伊奈川富真乃
 艶っぽい江戸情緒。

過呼吸の袋へ渦巻く黒南風や   じゃすみん
 過呼吸をおさえるための袋に注目したところは興味深い、ただ深呼吸するための袋を「黒南風が渦巻く」と大げさな虚構にするのが有効かどうか。

複数のどれが墓石家守死す   意思
 前後の句から推測すると家守の墓石?単体だとすこしわかりにくい句になる。上五「石ころの」などとしたほうがよいか。

山蕗を呉れし人にと枇杷をもぎ   笹泉
 作者の日常が見える点で好印象。

朝刊のことりと音す五月晴   太郎
 「ことり」が擬音なので「音す」は不要

じやがいもの咲いてアとエの中間音   幸久
 なぜじゃがいものの花と取り合わせたのかわかりませんが、外国語の響き?

梅雨晴れや老医師老女の爪を切り   ちあき
 梅雨晴れや老女の爪を切る老医、でいかがでしょうか。中八が解消できます。

後だしで負けるじゃんけん蛍籠   マチ ワラタ
 内容はおもしろいが、じゃんけんと蛍では「じゃんけんで負けて蛍に生まれたの池田澄子」の亜流になってしまう。

黒板の「阿頼耶識」にも射す西日   比々き
 哲学の授業? 仏教用語にさす西日というのが決まっていますね。