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12月 2日  中居由美       12月12日
12月 9日  久留島元       12月19日
12月16日  谷さやん       12月26日
12月23日  星野早苗        1月 2日
12月30日  須山つとむ        1月 9日
 1月 6日  秋月祐一        1月16日
 1月13日  山本たくや        1月23日
 1月20日  内野聖子        1月30日

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2018年11月14日

須山つとむドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 麓に広がるもみじ帯を通り抜け山頂を目指すと、道端の日陰に溶けずに残った新雪(冬の季語)と出あえる頃です。山頂で薄く積もった冠雪(季語)を踏み、今年の冬と再会するのも楽しみです。 今週はどんな季語と出会えるでしょうか。

【十句選】

斜めよりテレビ見てゐる温め酒   まつだまゆ
 重陽の節句に酒をあたため、無事に過ごしてきたこれまでの人生を祝う姿がみえてくる。正面横の大画面からは、序でのように映像と音声が流れている。『斜め』に納得した。

色鳥来マティスの絵より抜け出して   短夜の月
 公園や庭でも、よく注意して見ていると、ジョウビタキ、キセキレイなど原色を身にまとった小鳥が姿を見せる。マチスの絵から原色のひとひらを啄んできたかのように、嬉々として。

帰り花園に一人の弾き語り   まゆみ
 アコースティック-ギターの似合うシルバーが、花園に今年も一人姿を見せた。帰り花とタイミングを合わせるかのように。ボブ・ディランの曲では、誰からも拍手がわき起こる初冬。

秋蝶の舞ひ納めたる石の上   たいぞう
 晩秋の日差しに温まった石の上、今年を舞い終えた蝶が一頭静かに羽を休めている。石の模様と蝶の影の造形に、生きることの厳粛さを見た。秋と納めるには、意味の重なりを感じる。

割り箸に絡む水飴小さき秋   素秋
 放課後の部活も、家にはテレビもない戦後に一時期。路上の名優、紙芝居屋のオッチャンに心酔していた。ペダル回しする両手の割り箸に、絡めた水飴は白さを増していった。

この筆箱にぴったりね秋の雲   さわいかの
 お気に入りの筆箱を手に、つぶやく声が聞こえてくる。窓に切り取られた澄んだ空と秋の雲が見えている。設計通りの語順だと満足をするか、さらに詩的な語の並び方を考え出すか。

缶蹴りの缶置き去りに冬夕焼   じゃすみん
 上五、中七『缶蹴りの缶置き去りに』はうまくできた景だと思う。ただ、短時間で、紅色がひときわ印象的な季語『冬夕焼』との取り合わせで、『置き去りに』の余情が気になった。

名付けたる娘は遠し蘭の秋   宮武桜子
 異郷で活躍の愛娘を気遣う父親。蘭は歳時記では春の季語。下五『蘭の秋』では季感が混乱するが、挑戦的俳句となるのかも。『遠し』が国の名前であれば、新しい解釈が生まれたかも。

○□△の柿並ぶ店   スカーレット
 果実の形態を記号で抽象化し、柿の旨さを引きだしたユニークな句。五七五の語調が整い過ぎたのが、強いて言えば弱点。『並ぶ店』の措辞に、単調さを破るカギがあるかも知れない。

校庭に狐来てゐる五時限目   中 十七波
 知恵ある狐は昼に滅多に姿を見せなが、事もあろうに校庭を。午後の授業の退屈さに、窓から校庭観察を続けた視力の勝利! 『来てゐる』の旧仮名表記、もしかして古文の授業中?

【 注目した五句 】

古民家の奥に水音秋澄めり   洋平
 如何にもと、納得の景。古民家と奥、水音と澄むには、イメージの重複から脱する勇気を。

無花果の爛るる匂ひ曼荼羅図   銀雨
 二つに割った無花果に曼荼羅図を見た、スゴイ。中七『爛るる』には、香る詩の言葉を。

いいえでもはいでもなくてラ・フランス   せいち
 芳香の素晴しさに引きかえ、掴み所の定まらぬフォルム。確かに ラ・フランの顔だ。

一人いてわたし駅長あわ立草   ∞
 現役を終え、しがらみを削ぎ落とした初老の男が。省略の句形と語の調べが効果的。

鯛焼きのお腹ぷっくり冬夕焼   茂
  鯛焼(冬の季語)を無季とする歳時記も。『冬』夕焼に手を入れ、無季俳句への挑戦も一考。


2018年11月7日

星野早苗ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 秋らしい日が続きます。皆さん、いかがお過ごしですか。
 ようやく蚊もいなくなったので、先日、庭に豌豆を蒔きました。去年の豌豆は、出て来た豆苗を二度もヒヨドリに食べられたので、今年はネットを掛けて防衛しています。
 青いネットで豌豆の緑が隠れるのは残念ですが、ほんとに丸坊主にされるので仕方がありません。ネットの威力は分かりませんが、これで春まで豌豆が無事だといいなと思います。
 さて、今回は177句の中から。

【十句選】

石垣にまだ温みあり帰り花   まゆみ
 夕方、日がかげった後も石垣にはまだ温みが残っています。晴れて温かい一日だったのでしょう。石垣の続く風景に帰り花が彩りを添えています。玉のような小春の一日を愛おしむ気持ちがしみじみと伝わる句だと思いました。

ままごとの家を秋蝶横切りぬ   ちあき
 ままごとの「家」がよかったと思います。ままごとを始めると、どんな場所もそこが家に変わります。その家を秋蝶が横切りました。本当の家なら壁があって通り抜けられないところを、仮想の家なので蝶はやすやすと通り抜けます。食卓を蝶の横切る家は楽しく魅力的ですね。

吊柿一番星に近い里   茂
 吊し柿を見上げると、夕空に一番星が光っていました。その一連の視線の流れから「一番星に近い里」が自然に納得できる句です。一番星は多分金星だと思いますが、山際に金星がまたたく時刻の吊し柿の里がすっきりと詠み留められていると思いました。

末枯れや薬缶と湯呑みのある駅舎   日根美恵
 アルマイトの大きな薬缶と盆に伏せた湯飲み茶碗が目に浮かびました。自販機もない小さな駅の、乗客に対するささやかなサービスでしょうか。薬缶のお茶がとてもおいしそうに感じられます。暑い夏の最中ではなく、日差しの和らいだ末枯れがよかったと思います。

体幹を鍛える読書秋惜む   をがはまなぶ
 「体幹を鍛える」は本のタイトルかもしれませんが、ここでは背筋を伸ばして真剣に読書にとりくむ姿勢がすなわち体幹を鍛えるエクササイズだと言っているのではないでしょうか。そんな読書の秋もあとわずか。「秋惜しむ」が上手いなと思いました。

団栗のすねて戯けて反抗期   ふみか
 反抗期と分かってはいても、ちょっとしたことで拗ねる子どもには手を焼かされますね。一方で思わぬところで戯(おど)けたりして笑わせてくれます。小さくても固い団栗に、自己主張の始まった子どもたちの様子が微笑ましく目に浮かびました。

薬袋の嵩膨らめる秋日和   みなと
 個包装の薬が何日分も入った紙袋を受け取られたのでしょう。今回新たに処方薬が増えたのかもしれませんが、ふんわり膨らんで嵩高に見えるだけなのかもしれません。「秋日和」の明るさがいいと思いました。

天の川金箔入りの化粧水   中 十七波
 金箔入りの化粧水とはゴージャスですね。使う度に金箔がキラキラ舞ってスノードームのようにきれいだと思います。お風呂上がりにつけたのでしょうか。ひんやりした化粧水のつけ心地は、澄んだ夜空の天の川とよく合っていると思いました。

青空を満腹にして山の柿   紅緒
 山畑の柿がたわわに稔っていたのでしょう。振り返ると青空に柿が照り映えています。「青空を満腹にして」は、ユーモラスで温かい措辞だと思いました。柿は青空が満腹するほどたわわに稔っていたのですね。

お使いへ寄り道したき野紺菊   スカーレット
 買い物にしろ届け物にしろ、お使いを頼まれたときは、早く帰らなければなりません。けれども、そういうときに限って、ちょっと道を外れたところにあるあれこれが目に入るのですね。寄り道してでも摘んで帰りたい「野紺菊」。明るい紫の一叢が目に浮かびました。

【その他の佳句】

烏瓜老後を飾ることもなく   眞人

糸底で包丁を研ぐ秋の雨   紅緒

十月のドラマが端折る幼少期   比々き

点眼をすれば癒え行く秋思とも   今村征一

ばつたんこ縁なきものに武勇伝   たいぞう