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  4月16日星野早苗   4月26日
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  5月 7日山本たくや   5月17日
  5月14日内野聖子   5月24日
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2017年3月22日

山本たくやドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 いつもありがとうございます!
 あっ! 突然ですが、皆さんはコーヒーと紅茶、どちらがお好きですか。
 ちなみに僕は、コーヒー!コーヒーが好きです!あの香ばしい薫りがするだけでも、心が踊ってしまいます! もはや中毒になるくらい、好きってことです(笑)
 でもここだけの話、コーヒーにはポリフェノールが含まれているので、美容にすごく良いんですよ!だから、コーヒーを飲まないのって、すごく健康にももったいない。1日に2杯は飲みたいところですね!

 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 ……と、普段にはないテンションで、始めてみました。
 ちなみに、上のコーヒーの話の件は、商品のキャッチコピーでよく使われる手法をふんだんに使ったものです。
 コーヒーが飲みたくなったでしょ?(笑)
 俳句にもこういった手法を取り入れるのって大切だと思うんです、僕は。たとえ、伝統的な俳句結社から揶揄されようとも。キャッチコピーの手法を取り入れら上で、俳句の表現ができたら、きっと最強だと思うんです。
 僕のこの考えに、共感または批判がある人は、ぜひご意見をください。無料で投句や意見が言えるのに、活用しないのはもったいないですよ。
 では、今週の十句です。

【十句選】

ぶらんこに揺れを残して振り向かず   まゆみ
 大人な情緒がありますね。振り向かない潔さが、子供から大人になっていくような想像をさせてくれました。

五十キロスピードオーバー山笑ふ   今村征一
 相当なスピードオーバーですが、その極端さが季語と合っています。

青春のベッドの上の桃たわわ   家路紋黄
 官能的にも捉えられますが、「桃たわわ」の表現が面白かったです。

黒蝶や工作員から乱数表   素秋
 「黒蝶」と「乱数表」の取り合わせが絶妙ですね。怪しげな雰囲気が、相乗的に増しています。

抱きしめた三月の夢の孵る時   えいこ
 もうすぐ4月ですので、その夢が叶うと良いなーと思います。

山笑うこの嘘何グラムですか   紅緒
 「何グラム」としたところに、ドキッとしました。小さな嘘という認識でも、数字化されることで、重大さを持った嘘に感じられます。

でれでこでんでれでこでんと春の雪   せいち
 「と」がもったいない。訳のわからなさが良いのに、「と」を入れることで理屈っぽくなります。

水仙はいつもなにかがまつすぐで   二百年
 「なにか」と曖昧に表現したことが、逆に成功しています。曖昧にしたことで、水仙の凛とした様子が際立ちます。

卒業に雲はやさしいよそよそしい   ときこ
 「よそよそしい」が秀逸。成長していくことへの期待と不安がよく表現できています。

風船の銀河ステーションまでの旅   草子
 うららであり、またロマンチックな一句でした。


2017年3月15日

えなみしんさドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 近頃、落語にはまっております。東京には、新宿、上野、池袋、浅草に常設の小屋、それに国立演芸場が永田町にあって、足しげく通っております。きのうは俳句仲間と行った上野鈴本で三遊亭ぴっかりちゃんという女性落語家を聞きまして。そのキップの良さに「追っかけになってもいい」とさえ思いました。
 さて、長いこと担当させていただきました当ドクターですが、次回5月を持って卒業させていただくことにしました。あと1回もよろしくお願いします。今月は158句から。

【十句選】

春寒や便所でなみだ描く道化   伍七堂
 ピエロには表の顔と裏の顔があるという事でしょう。便所はナマなので、せめて厠くらいでどうでしょうか。ちょっと変化球ですが、「なみだでなみだ描く」という表現もありかと思います。

みづうみは黄にさざ波の花菜風   谷 百合
 花菜風は菜の花に咲く風のことです。 「黄にさざ波の花菜風」の中7の調べのきれいな句です。

春めくや一万円の旅ごころ   たいぞう
 財布の1万円札をみて、「旅にでも行くか〜」と思っているという事でしょうか。あるいは1万円のパック旅行なのか。「一万円の旅ごころ」というのが想像をかき立てます。

タンポポが土管に語る不戦論   けむり
 土管はもう「どらえもん」でしか見なくなりましたが、昭和の前半では、空き地や広場に良くみた風景です。その土管にたんぽぼが不戦論を語っているのがユーモラスでいいと思います。そういえばたんぽぽもあまり見なくなりましたが。

父の忌のすみて母の忌桃の花   眞人
 想像かも知れませんが、実際にこういう方もいらっしゃると思います。「母の忌」に「桃の花」が響きあって柔らかい印象を受けました。

七曜を知らぬ財布や亀の鳴く   をがはまなぶ
 つまりリタイヤされて、お金の使い方がしまりがなくなったという事ですね。「七曜を知らぬ財布」の表現が面白いと思いました。

流し雛濡れて坊主が火を放つ   比々き
 これは景が目に浮かぶ句ですね。ただ、濡れる雛と火を放つ僧との関係があいまい。お不動さんの庭に池があって、そこの流し雛を背景に火を焚いているのかと想像しました。

如月やかたづけたくて捨てたくて   風子
 中7〜下5の語調の良い句。如月はきれいな言葉なので、何につけてもサマになるのですが、モノを整理するには中途半端な時期かと感じました。

悪いこと何かしたかしらぶらんこ   まどん
 子供の頃に親に叱られた時の気持を思い出して、悲しくも懐かしい光景をみたような気持になりました。下5が「ぶらんこ」と4文字なのも、余韻があって逆に効果的です。

梅まつり空いつぱいに泣いてる子   スカーレット
 「空いつぱいに泣いてる」という表現が面白い。おそらく梅の咲いている空をみあげて泣いているのかと想像しました。この「空いつぱい」は梅が空一杯に咲いているとも読め、それが良いと思います。

【次点句】

残雪といふも丈余の杣四五戸   山畑洋二
 丈余とは、「1丈(約3メートル)を越えている」という意味、勉強になりました。広重の浮世絵のようだと感じました。

福は内虎のパンツを置き忘れ   素秋
 豆撒きの明るい風景でいいと思いました。

異界へと船出すところ桜東風   けむり
 ちょっと景が見えませんでした。西方に浄土があるので桜東風もわかりにくいかも。

蚤市に鬼の雪隠山笑ふ   けむり
 京都東寺の市などを想像するに、「鬼の雪隠」なども売っているのかと想像しました。

春夕べいつまでもある草の靴   ∞
 中7がいい感じ。「草の靴」が分かりませんでした。


2017年3月8日

須山つとむドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 2月の初め、京都にある愛宕山に登ってきました。頂上付近は例年になく春雪が深く、低木の馬酔木がすっぽりと覆われ、その上にできた踏み跡を辿りました。4月の中頃には、うまくすると カタクリの花とも出会える場所です。

【十句選】

検温のお時間ですよ磯巾着   高木じゅん
 浅い海での、クマノミと磯巾着のメルヘンか。妖艶な患者と看護師との出会いとも。句の不思議さがいろいろな景を連想させて、楽しい句。

留守番の子の一心に雲雀笛   ときこ
 水の中で吹くとヒバリの声がする、捕獲用の竹細工が玩具になったものらしい。きっと牧歌的な音が流れて、春の野の広さと空の高さが見えてくるはず。

一点の曇りなき日よホーホケキョ   つちくれ
 視界から春の雲が去り、ぽっかりと青空が広がった。と、唐突に「ホーホケキョ」。至近距離の庭木か、電線から、けたたましく轟いた求愛のうた。

多喜二忌の薄皮剥けぬゆで卵   たいぞう
 計算通りに茹で上げたはずの半熟玉子。が、執拗に拒み続ける薄皮。今朝は多喜二の忌日、過酷を極めた拷問のことを思った。

天空に雲の落書きいぬふぐり   善吉
 早春の道端。屈めた膝で、ついと触れた空色のいぬふぐり。戯れのような春の雲が、空に出ている。心地よいリズムはメルヘンの調べ。

鳥雲に海の底なるニケの首   中 十七波
 勝利の女神の首は今も、海の底に眠ったまま。ルーブル美術館の見事な有翼像を見知ってしまった鳥たちの、目指す故郷はもちろん、エーゲの海。

ナナハンのヘッドライトや冴返る   比々き
 真正面の闇から、単眼の光線だけが迫り来る。下腹部に伝わる鳴動は、将にナナハン。危機を察知し、身を沈めて構えた。季語の斡旋がよく、あふれるライブ感。

子の入院キングサイズの風船と   草子
 着想がユニーク。上五の『子の』は省略できそう。< 入院は白い大きな風船と > などと、端的、明快な表現に挑戦してほしい。

黄色のドミノ倒し春野を走る   紅緒
 発想のパワーを感じ、前衛的な景を思い描いた。しかも、自由律を思わせる奔放な句柄。欲張るなら、キラリと輝く<焦点>が見たい。

走り根の歩道持ち上げ冴え返る   スカーレット
 街路樹の根が勢い余って地面に飛び出し、あろうことか、歩道まで持ち上げた。春の息吹が足元まで及ぶ、寒の戻り。つまずかぬよう、足元注意!

【注目した五句】

賞品の亀の子たわし春兆す   幸久
 上五を『賞品は』と、軽い驚きの気分にすると、取り合わせの楽しさが強調される。

仁和寺はとてもダンスで桃の花   ∞
 中七『とてもダンスで』にヤラレた。やがて塀を越す、桃の実のたわわを思った。

前掛けに幽かな漁臭沖がすみ   みなと
 漁師、板前さん? そのリアルさ。でも、下五は付きすぎ。『春の雷』などと、跳んで。

雪解川スネアドラムのボレロかな   をがはまなぶ
 底部に細い鎖を渡したスネアドラムが低く響く。岩を砕く雪解けの奔流が、見える。

囀や浜の復興写真展   紫
 繁殖、求愛の囀りの中、復興の写真展が開催中。中七を『浜に』として、句に動きを。


2017年3月1日

星野早苗ドクター : 今週の十句  (到着順)

【はじめに】

 こんにちは。暖かくなったり冴え返ったりですが、今日からはもう三月ですね。みなさん、お元気でお過ごしでしょうか。
 先週、湖西線で近江今津に行きました。堅田を過ぎた辺りから家々の屋根が白くなり、プラットホームには雪が積まれています。近江今津で降りるとかなりの積雪で、歩道は歩く幅だけの雪かきがしてありました。空き地には雪かきの雪を積んだ雪の崖、車道には消雪噴水が並び、すっかり雪の旅になりました。一時間ほどの移動でこんな雪景色が見られるなんて、日本の地形は面白いですね。
 さて、今回は、154句の中から。

【十句選】

眼差しは変わらぬままに古雛   山畑洋二
 年を経て色あせた古雛も、眼差しだけは生き生きしています。本来の美しさを失っても、尚、変わらないものがある。その発見に勇気づけられました。

寝ころべばあの頃となる春の土手   柏井青史
 春の土手に寝ころぶと全身で感じることのできる自然の息吹は、あの頃と同じ。けれども、作者にとっての「あの頃」とは? 少年時代、学生時代、新婚時代……、と、いろいろに考えられるところが、句に奥行きを与えていると思いました。

ものの芽や娘着こなす母の服   酒井とも
 娘が母の服を着こなして颯爽と出かけて行きました。娘が今風にアレンジしたのかも知れませんが、母の若い頃の服は、案外おしゃれなものだったのかもしれません。若かりし頃の母と成長した娘の姿がオーバーラップして、ものの芽のふくらむ明るい季節にぴったりの句だと思いました。

ひなまつり転校生に婆やゐて   紅緒
 転校してきたばかりの女の子と仲良くなり、雛祭りに招かれたのでしょう。友だちの家に遊びに行くと、思いがけないことにはっとすることが多いものですが、その女の子の家には、祖母ではなく婆やがいたのです。意外にお嬢様なのかも知れないその子と雛祭りの取り合わせが楽しい一句です。

渡り漁夫の裔(すえ)なり朝の沖見癖   みなと
 渡り漁夫とは、春さきの鰊の漁期に網元に雇われて北海道へ渡る漁夫のこと。朝起きると真っ先に沖を見て、出漁場所を決めたのでしょう。作者は、自分の「朝の沖見癖」を渡り漁夫の末裔だからか、と感じるのです。鰊漁の活気を思いながら視線を沖へ解放する、春の季感たっぷりの句だと思いました。

目刺食ひチェーホフ読んでゐる漢   みなと
 めざしは、安価で滋養に富む素朴な食べ物です。調理法も焼くだけ、というシンプルさ。短編の名手といわれるチェーホフの作品のほろ苦い味わいと通じるところがありますね。めざしを焼いて質素な食事をすませ、チェーホフを読む。漢という文字からもどんな男かと想像がふくらみます。

爺の吹く息艶やかやしゃぼん玉   戯心
 孫とのしゃぼん玉遊びの中での発見でしょう。自分の息でしゃぼん玉が艶やかにふくらむと、息そのものが艶めいたように感じられたのです。祖父である自分の吹いたしゃぼん玉も、孫のしゃぼん玉に何らの遜色なく、輝きながら飛んでいきます。孫とふれあう時間が、若返らせてくれたのかも知れません。

割勘の間柄です春の雪   中 十七波
 食事にしろお酒にしろ、友人同志なら割り勘は当たり前ですが、「割り勘の間柄です」とわざわざことわるのは、きっと男女のカップルなのでしょう。夫婦でも恋人同士でもないけれど、ときどき二人で出かけたりする間柄。きちんと割り勘の関係でも、春の雪がロマンチックです。

かつこよく破るジーンズ青き踏む   瑠璃
 ジーンズはもともとブルーカラーのコスチュームだったので、まっさらよりは、身体になじんでいる方がかっこいい。こすったり汚したり、わざとダメージを与えたジーンズも流行しています。膝が破れ腿に穴があいていたりするのも、一種のおしゃれなのでしょう。掲句、野遊びでジーンズが破れたのを、がっかりするのではなく、逆にかっこよくなった、と思いなしているのだ、と読みました。

蝌蚪生れて水際の畔の凍てにけり   豊田ささお
 せっかくオタマジャクシが生まれたのに、今朝はまた冴え返り、畔は凍てて水際に氷が張っています。三寒四温の厳しい自然の中に生まれた小さな命。しっかりと生きぬいてほしいという願いが込められた句だと思いました。

【その他の佳句】

春愁はいちご大福食べてから   けむり

温む水黙して岩を越え行けり   まゆみ

春泥の草鞋のごとく靴に付く   眞人

骰子をふる間も草の駒返る   比々き

ずんずんと家路を逸れる春ショール   汝火原