俳句クリニック 2006年5月前半分(ドクター:早瀬淳一)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。

5月と6月の担当ドクターは早瀬淳一です。
<プロフィル>
たいとる:アゴラ
名前:早瀬淳一
出身:1958年6月佐賀県生まれ
現在:神戸市王子公園のあたりに在住
好き:徘徊、ビール、ネコ、句会
好きな俳人:大木あまり、高野ムツオ、阿部完一、池田澄子、坪内稔典
このクリニックで:季語の効いている句、気分のいい句、くすっと笑える句、切れのある句、意外性のある句、発見のある句に出会えたら、うれしいです。
(これらは、すべて私のめざす句)

ドクター早瀬の診断
2006年5月15日

(1)石階段ネコと私の五月病  松鉄(10代,男)
(2)アゲハチョウ予報はずれの雨浴びる
(3)梅雨手前あいあいがさの5時手前
(4)雨上がりバッタとキミのにらめっこ

 前回の添削ありがとうございました。自分の気持ちだけで終わらないよう頑張ります(^^。友達も誘ってみますね。でもあんまり期待しないで下さい(笑)。読んだ人が共感したり和んでくれたりしてくれる句を目指してます。今回もよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 全体的に、肩の力がうまく抜けていて、いい感じ。
(1)うちの猫の怠け者加減もひどいものです。ネコに仮託した、少しの自分の落ち込みを、ユーモラスに詠めた。くすっと笑える。
(2)予報はずれの雨、だけでは、俳句の面白み、意外性としては、もう一歩。切れもない。
(3)言葉遊びが嫌味になっていない。リズムもよく、楽しく口唱できる。久しぶりで、あいあいがさで歩きたい。
(4)何気ない、恋人(?)の日常の一こま。あんまり余計なことを言っていないことによって、感傷に流されない句になっている。いいのでは。

(1)春の潮おう心臓のおうタバコ  裸時(30代,男)
(2)沈みゆく春眠心海ガラス
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)意味不明。
(2)沈みゆく春眠は、春眠の感じをある程度捉えている。後が、わからない。心が海烏なのか。海のような硝子なのか。不明。

(1)水底の山女も見るか初蛍  山太郎(60代,男)
(2)蛍来て今年も我は生きてあり
 近くの川から蛍が2匹、3匹と我が庭に漂ってきます。間もなく、蛍の寂しい乱舞が始まるでしょう。
ドクター早瀬の診断と処方箋
こんにちは。 (1)初ボタルに対する思いが静かに伝わってくる。魚の山女が、山に住む女のような気がしてきて、不思議な感じがする。佳句。
(2)また1年がめぐってきたとの作者だけの感慨だけになっている。読者に迫ってこない。

夏木立マリアのごとき母をらず  菜月子
ドクター早瀬の診断と処方箋
 夏木立にさわやかな風が吹いている感じ。作者の思いに流された感じは消えて、さらりとした、乾いた、しかし少しだけ痛切な追憶が残る。佳句。

(1)鉢巻し新茶喫む今朝諭吉彫る  北野元玄(60代)
 福沢諭吉の像を版画絵にしたいと思っております。実はまだ着手にいたっておりま せんが。
(2)麦飯で悪夢の日々を倣ひをり
 麦飯食いながら、あの戦中戦後を思い出しております。麦飯は季語にはなりませんが、麦の収穫時頃(夏)であろうとの季節感がでているとよいのですが。再来週の船団の会については、小生の思い違いがありました。お許しください。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 初夏の集いにお越しになるのでしたら、楽しみなのですが。
(1)諭吉彫る、だけ読むと、版画家、場合によったら、偽札の現場のような響きがして、一瞬面白いですね。前半が、長々とした説明になってしまい、韻文ではなく、散文になっています。俳句では、1または2つのこと、物を、ずばっとただ提示しましょう。
(2)悪夢の日々が、戦時中ということはかろうじてわかります。が、倣ひ、の意味がすっとこない。慣れ親しむ、という意味か。それと、作者があのつらい日々を思い出しているとしても、その痛切さは、読者に伝わってはこない。辛口ばかりで、すみません。

(1)紙に水注ぎし手品花海芋  文の子(60代,男)
(2)海芋咲くむかし醤油は量り売り
(3)更衣娘(こ)より妻へのリサイクル
(4)ネクタイは浅緑色更衣

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)かいう、という花のイメージがわきません。かなり特殊な花用語ですね。(私が知らないだけか?)紙に水注ぎし手品、は、面白い。ので、もう少し一般的な季語と取り合わせると、句会でも点がはいるかも。
(2)これも、むかし醤油は量り売り、のフレーズは好きです。後は(1)と同様。
(3)発想がありがち。
(4)浅緑色が、衣更え(更衣)の季節の特徴を言ってしまっていますね。一句の中に、衣装に関する言葉を2つも入れては、言葉がもったいない。

(1)夕日浴び影大きく揺れし鯉のぼり  小口 泰與(60代,男)
(2)夏草に卒塔婆かたと傾けり
(3)ふかひれの大皿食ぶ茂りかな
(4)麦の穂に己の影伸び刺されけり
(5)朝日うけほむら立ちたる躑躅かな

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)中9になるので、影を取られたらいかが。夕日が鯉幟を大きく動かしたように も読めて、少し面白い。
(2)卒塔婆や墓場と、夏草は、つきすぎ。
(3)大皿を、としたらいかが。ふかひれの大皿食ぶ、までは意外なものを豪快に食べているのでやや楽しいが、茂りかな、がわからなくしている。一見関係ない、豪快な、ほかの夏の季語はありませんか。
(4)己が(おのが)とされてはいかが。この把握は非凡。写生でありながら、生きることの痛み、深淵を書けているように思います。秀逸。
(5)躑躅が燃えているように見えるのは、当たり前。

(1)髪染めて手の皺深し鰯雲  ひでこ(女)
 中7を、はじめ「じっと手を見る」にしたのですが。
(2)乙女座の友に古希来るきりん草
 秋の季語のほうがよろしいでしょうか。ご指導宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こんにちは。
(1)髪を染めることと、手の皺はダブルなので、きついですね。そこまでしなくても、という感じ。鰯雲もしみじみした感じの季語。俳句では、うそでも、老いを突き抜けた、あっけらかんとした世界を詠みたい。
(2)古希の友が乙女というのがいいですね。きりんそうも、その方のかわいさを髣髴とさせる。いいのではないでしょうか。


2006年5月14日

盆栽の解かる人呼び花の雨  裸時(30代,男)
 なんとかもっと突き抜けたい気分です。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 解かる、という言葉の用法は?とかるる、とかれる、ほどく、か?盆栽を解く、の意味不明。盆栽と花の両方を入れるのは、俳句として弱い。指摘のとおり、突き抜けていない。

(1)ぼた山の歳月午後の風青し  菜月子
(2)苧環の下で動詞の格変化
(3)白シャツの襟に鎖のペンダント

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)(2)このパターンは、そろそろいいのではないでしょうか。ただ、動詞の格変化、は面白い。動詞が、いかにも変化しそうな、気持ちのいい季語と取り合わせてみてください。
(3)残念ながら、意外性がない。意外なものの出会い、くすっとなる組み合わせを発見してください。

(1)七色の若葉や箱根七曲(ななまがり)  文の子(60代,男)
(2)湯煙の仄かに上り紅さつき
(3)白濁の温泉(ゆ)に浮かびゐる菖蒲かな
(4)嗣治描く裸婦の縁取り椎落葉

 「藤田嗣治展にて」と添えるべきでしょうか。
(5)頬杖をつきて少女の春愁
 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こんにちは。
(1)箱根が七曲なのは、当たり前。七色の若葉に面白みがあるか。緑にも七種類が あると。やはり、苦戦。
(2)風景としては、よくわかる。気持ちよさも。露天風呂の句は、そのものが気持 ちよすぎるので、もう作らないでいいのでは、と個人的には。
(3)同じく。
(4)嗣治描く裸婦の縁取りが、確かくっきりとしているんでしたっけ。それと、椎 落葉との取り合わせに、手がかりがない。俳句の中に、画家や音楽家の名を入れるの は、感心しない。(私も以前かなりやりました。)
(5)そのまま。

太古よりそろばん塾と鯉のぼり  泰(50代,男)
 早瀬先生のコメントで、常に取り合わせの大切さ・難しさを考えさせられます。「そろばん塾」と「鯉のぼり」はつき過ぎになるでしょうか。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 そう言っていただいて、ありがとうございます。自分でできもしないことを言っております。
(1)そろばん塾と鯉のぼりは、確かに同類項。ただ、それがかえって功を奏したかも。つまり、そろばん塾も鯉のぼりも、子供に関するもので、たぶん数百年前からのもの。それが、なぜか太古からあるという言い分。そんな馬鹿な、と思いそうだが、確かに、子供を思う気持ちは太古からあったなと少し納得する。この「すこし」納得というのが大事なのでしょうね。鯉のぼりがうまく季語となっている。

(1)藤棚に妻もろ共に吸ひ込まれ  小口 泰與(60代,男)
(2)野を分けて坂東太郎雲の峰
(3)朝涼や素足で歩む利根川原
(4)朝涼や散歩と聴きて尾を振りし

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)主観の句。それは時にはいいと思う。あまりにも見事な藤への感動、共感。ただ、妻まで自分の主観の範疇に入れるのは、やはり無理があるか。
(2)板東太郎というのは作られたときはおもしろい言葉だったのだろうが、その既成の言葉を俳句に取り込んで新たにおもしろい世界を作るのは難しい。あまりおすすめしません。
(3)朝に河原を素足で歩む、少し頓狂な感じがしておもしろいですね。丸い石の感触を足に感じるような気が。
(4)よくわかるのです。が、俳句としては今一歩。


2006年5月13日

(1)煉瓦塀グラスに映るジキタリス  暮春
(2)胡麻植へてまた渓流に人の影
(3)少年の子犬連れゐし鰯雲

 小倉先生にお世話になっておりました。早瀬先生もよろしくお願いしたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
(1)作者の立ち位置がすこしわかりにくい。塀の中のお店にいて、コップに映るジキタリスをみているのか。淡々とした句ではあるが、もう一つ、はっとさせる発見がほしい。
(2)また、がわかりにくいが、そこが逆におもしろいかも。どこか田舎で胡麻を植えていて、時間がたつにつれて別の人の影が映る、少し不思議な感じがする。
(3)平凡。

(1)薔薇咲いて愛はときどき重すぎる  詩音(40代,女)
(2)背の順に並ぶ薬壜青葉雨
(3)聖五月チョコシロップをパンに掛け
(4)葉桜の下のベトナム料理かな
(5)アスパラガス歳下ばかり増えてゆく

 句会というのはドキドキハラハラ、とてもエキサイティングな文芸エンターテイメントですよね!全ての小学校の国語の授業に導入されれば、きっと子供たちは俳句の楽しさに目覚められると思います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 小学校の先生でいらっしゃるのかな。その試みで、俳句の若年人口が飛躍的に増えたらすごいですね。
(1)濃厚な物どおしあえてぶつけた俳句。作者の述懐を詠む俳句は基本的にはあまり好きではないのですが、今回は、少し、うーむとなぜか考えてしまいました。このような愛にながく遠ざかっていることから来る願望があるからか(笑)。
(2)薬壜は、やくびんと読むのですか?耳慣れない言葉で、少しこなれていない印象。何となくいい光景で、句会で点が入るかもしれないが、ベテランは、だまされないよ、と思いそう。
(3)聖五月の聖が少し甘い言葉なので、チョコシロップとで、その甘さはおなかいっぱいすぎるかも。
(4)単純な句だが、明快で嫌みがなく、好感が持てる。ベトナム料理が個人的に好きからかもしれない。
(5)これも、おおかたの共感を持って迎えられそうな句。目の付け所がよかった。

(1)菜種梅雨プチ失恋のミルクティー  菜月子
 「菜種梅雨プチ失恋の傷洗う」の推敲です。
(2)苧環の下で手渡す処女詩集
 「苧環の下でいたずら森の精」の推敲です。ちょっと、きれいすぎるかも。苧環の連想がそうさせるようです。
(3)撫子を蹂躙したい獣をり
(4)ぼた山の歳月風の青き午後

 「ぼた山も笑う歳月窓の雨」の推敲です。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)いい取り合わせになりました。梅雨でできた水たまりと、ミルクティーの茶色がつながっていて、少しくすっと笑える。苦くないプチ失恋。
(2)これも推敲で格段とよくなった。確かにやや甘いが、この句では、その甘美さに酔いしれたい気分。
(3)中七で切れていないとすれば、獣の気持ちになって詠むのは、無理がある。もうすこし、客観的に、物だけか、突き放して作った方がよい。
(4)これも、これがベストでは。ぼた山の歴史なんて全く知らない子供と過ごしながら、その歳月に思いをはせる午後。いい世界。

夏になり並ぶ化石の数十個  裸時(30代,男)
 ありがとうございます【^^
ドクター早瀬の診断と処方箋
 夏になり並ぶ、が叙述になっていて、説明。切れが弱い。ただ夏になったということと、化石の取り合わせは、インパクト不足。

(1)ひとしきり手合わせ五月蠅帰り  汽白(40代,男)
(2)行くひとに近江長岡駅蛙
 小倉ドクター、ありがとうございました。裸時さん、先日は、ナイスでした(この場をお借りして、)。早瀬ドクター、あらためまして、はじめまして。よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 初めてお目にかかりましたね。よろしくお願いします。また、句会や初夏の集いでお会いしましょう。
(1)ひとしきり手合わせ、の手合わせがよくわからない。何かの勝負をしたのか。そこへついている5月が何か唐突に感じる。手を擦る足を擦る、のもじりで、蠅が手を合わせているのか。もう一つすきっとわかりません。
(2)「往く春を近江の人と惜しみけり」をすぐ思い出す。この場合蛙が季語。行く人を駅の蛙が見守っているのか。表現にやや無理がある。俳句の内容についていろいろ解釈をさせるのはいい俳句だけど、句意そのものを??とさせるのは、損な俳句。

(1)老鶯や祠一つの奥の院  せいち(60代,男)
(2)トンネル掘る予算復活春の雷
 始めまして。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 このクリニックも、新しい方の参入で、とてもにぎやかになってきましたね。
(1)実際にこの景色を見たかどうかは別にして、きっちりできた写生句ですね。こういう場所へ行ってみたくなります。ただ、あまりにも俳句俳句しすぎでしょうね。
(2)諧謔を含んだ、少しとげのある句ですね。トンネルの予算復活、でわかるのでは。春の雷が、もう一つ効いていないように感じる。もっといい季語があるような。

(1)つつじ燃ゆ花嫁通る段葛  文の子(60代,男)
 広辞苑に「段葛は特に鎌倉鶴岡八幡宮の参道をいう」とありましたので、そのまま としました。如何でしょうか。
(2)若葉風鎌倉駆くる人力車
(3)若葉風長きトンネル徒歩(かち)で抜け
(4)高僧の眠る山かげ白躑躅
(5)老鶯や新田(にった)阻みし切通し

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こんにちは。
(1)八幡宮での婚礼。花嫁の気持ちの高ぶりに、ツツジがやや合いすぎか。段葛が辞書を引かないとわからず、句会では損するのでは。
(2)(3)では、(2)の方がすき。最近は京都でもピチピチの美少年が人力車を引いていますね。あー、汗が目にまぶしい。
(4)白ツツジの上品さ、が逆に静謐さが高僧とつき過ぎ。
(5)新田(にった)阻みし切通し、のフレーズはいいですね。切り通しを吹き抜ける緑風が新田へと通り過ぎて、気持ちいい。老鶯がどうか。少し材料が多すぎるかも。

脳のなか乾いて雨の日曜日  遅足(60代,男)
 ちょっと自分でもよく分らない句です。句といえるかどうかも自信がありません。可能性はあるんでしょうか?診断をよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 可能性はあるかと問われれば、あると思います。何よりも、既成の俳句でないところに挑戦しているところがいい。無季ですね。乾いて、とあるので、簡単に、乾いた季語、とあわせなかったところはいい。が、ここからは、読者によって分かれるところで、脳が乾いてというノンシャランな気分を、初夏の季語で救ったほうがいいという意見と、そのままの気分で、無沙汰な雨の日曜日で受けたほうがいいと、いう意見と。私は、後者。

(1)遠峰を靄の隠すや朴の花  小口 泰與(60代,男)
(2)雨上がり牡丹の蕾ほぐれけり
(3)ぼうたんの影に小犬の眠りゐて
(4)もこもこと風を含みし若楓

 早瀬先生的確なご指導有難う御座います。今後ともよろしくご指導願います。なお、「中天に立ちゐるひばり犬駆ける」を「中天に立ちゐるひばり風強き」と推敲しみました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 非力ですが、お世辞でも的確といって頂くと、もう少しがんばってみようと思います(笑)。
(1)朴の花の上品なやや曖昧模糊としたさまが、靄の隠すと、近い。いわゆる、つきすぎ。
(2)参りました。小口さんは、つきすぎとか、起伏がない、ということを承知の上で、あえて作っていらっしゃるのですね。そうであれば、いい世界だと思います。ひたすら癒しを求める俳句。徹すれば花。
(3)これも癒されますね。
(4)風を含みし若楓、はいい把握だと思います。が、もこもこというオノマトペは陳腐。

泳いでいます真夜中のこいのぼり  藤(10代,男)
 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 多数送るよりも、今回のように厳選して、3句までの投句のほうが、落ち着いて診断できます。真夜中の、にある意味を付加したのだろう。が、真夜中に泳いでいるこいのぼりを想像しても、時代性、風刺性、皮肉、幻覚、などは、いくら探っても出てこない。よって、作者の意図は、失敗に終わってしまっている。


2006年5月12日

(1)老鶯や九十九折りなる遊歩道  西角悠(70才以上,女)
(2)白き花ふえたる狭庭夏に入る
 はじめましてよろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
(1)老鶯は、とても風情のある季語なので、かえって使い方が難しい。つまり、あ まりにも風流な言葉と合わせると、辟易としてしまう。九十九折りはつくもおりと読 むのですか。くねくねと曲がっているのでしょうか。遊歩道は、風流モードに入って いないので、少し救われるが、すとんと胸に落ちてこない。
(2)白き花ふえたるは、何気ない、ささやかな発見で、いいですね。狭庭は、意味 を詰め込んだ、ちょっと窮屈な言葉。やや苦しい。でも全体としては、気取らない、 好感は持てると思います。

日表の土の匂ひや花豌豆  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こんにちは。
 日表という言葉がいいですね。花豌豆も季語としては効いている。が、なにか、俳句 として迫ってこない。和みだけの、きれいなだけの世界、だからかもしれません。

丸木橋渡れば近し菖蒲園  千葉 昭一(70才以上,男)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こんにちは。
 職場の近くの公園で、今本当に菖蒲がきれいに咲いています。何か、生きていこう と思いますよね。子供には(お年寄りかな)少し危ないけど、菖蒲園がある。もうひ とつ、何かほしい。インパクトがない。

おーい今日は休講だよと蔦若葉  菜月子
ドクター早瀬の診断と処方箋
 20うん年前の大学生時代を思い出しました。うれしいんですよね、休講が。それ を蔦若葉が告げてくれている。(もちろん切れているという読みもあり)愉快な句。 菜月子さんは、女子大生ですか。

(1)佐保姫の隠れて三保の涙雨  文の子(60代,男)
 吟行の時の情景です。句会は「佐保姫の涙か三保の松に雨」を出し何点か入りまし たが、一般的でないと思い掲句にしました。如何でしょうか。
(2)鳥曇羽衣のなき三保の松
(3)断崖(きりぎし)の手摺りに切れ目春驟雨
(4)断崖(きりぎし)や樹々の透き間に卯波寄せ

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)(2)佐保姫にまつわることや、三保の羽衣伝説やら、いろいろ考えることが多すぎて、鑑賞がうるさくなりませんか。教養主義の人には好評かもしれないが...。
(3)ルビを振られるなら、切り岸と書かれたら、と思うのですが。断崖(きりぎし)とすることの効果が、よくわからない。ただ、断崖につけられた手摺りに切れ目があり、そこに驟雨が降り込んでいる風景は、みずみずしい。佳句。
(4)上五との取り合わせが、そのままつながっていて、切れがない。したがって、連想の広がりがない。

(1)老鶯の声凛と響きけり  小口 泰與(60代,男)
(2)遠峰のくつきり見えし冷し酒
(3)溢れ出づ湯に溺れをる蟻のをり
(4)いつせいに麦の穂日矢に立ち向かひ

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こんにちは。
(1)中五でしょうか。完成の時点で、定型にする努力をしてみてください。
(2)見えし、は見えて、の方が臨場感が出る。暑い今の頃に、遠峰をみながら、冷やし酒。いいですね。早く家に帰って(今は夜の職場)、飲みたくなってしまいました。すみません。(笑)
(3)平凡。
(4)麦が、日矢に向かっているのは、いい光景だと思います。いっせいに、と、立ち向かひ、が少しくどいですね。

愛の字が好きです少女金魚草  ひでこ(女)
中7が少し苦しいでしょうか。よろしくご指導ください。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「愛の字が好きです」とここまで言ってしまうと、逆に意表をつかれて、おもしろいかもしれない。ただ、これと、少女、金魚草が、ぶつぶつ切れてしまっているので、苦しい。
 一案。「愛の字が好きですわたし金魚草」


2006年5月11日

あのことは夢かうつつかぼたん散る  テンテン(女)
 アドバイス頂きありがとうございます。「虚が一枚虚が二枚三枚ぼたん散る」を推敲していて、ふっと頭にうかんだ言葉です。自信はいつも通りありませんがよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 自信はないが、俳句にしてみる、ということも大切だと思います。残念ながら、あのこと、が漠然としていて読者には伝わらない。夢かうつつか、も既成の言い方ですね。自分の気持ちを大事にされることは、大事なことなので、それをベースにしつつ、「ぼたん散る」と、気持ちをそのまま書くのではなく、物か、事実を、放り投げて、後は読者に余韻を感じてもらう、というのが理想。
 と、書いていても、私もなかなかできないことです。

目薬を注せば青葉の雫かな  チャヒロ
 バス停にて目薬を注した時、ポプラの大木の下にて。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
 〜ば、という句は、すぐに因果でつながるので、よほどうまく作らないと難しい。この句も、目薬と、雫が連想でつながるので、おもしろみが出てこない。先日句会で、「毛虫ぶーらん」と「目薬さしている」という取り合わせの句がありました。関係ないものがかすかにつながっていて、これはおもしろい。

(1)卒業証書丸めぬままに門を出づ  藤(10代,男)
(2)曲水の髭の長さという御洒落
(3)爽やかやダルメシアンの斑うすく
(4)炎昼やラジオをきいてゐる大工
(5)緋目高の瞬きしたる会議室
(6)心臓のふたつあるごと無月かな
(7)ブランコに跨り心理テストする

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)丸めぬまま、が何を表しているか。さっぱりした気持ちか、屈託か。少しわかりにくい句。
(3)ダルメシアンの斑うすく、がうまい。何でもないことだが、微妙なところをねらっている。爽やかや、が動くか。このままでいいように思う。
(4)これも、そうそう見た光景だ、と妙に納得してしまう景。若いのに、うまい。
(5)会議室の水槽の目高か。会議のつまらなさを言っているのか、もう一つわかりにくい。おもしろさが伝わってこない。
(6)無月の不気味さ、心細さをいっているのか。心臓が二つ、という表現が、やや独りよがりで、迫ってこない。
(7)ブランコにいるのは、2人。心理テストの内容が妙に知りたくなる、不思議な句。おもしろい。

(1)カーネーションマリアのごとき母をらず  菜月子
(2)母の日のプリズム母を消す少女
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)マリアのごとき母をらず、に感情がすごく入っていますね。その抒情はいいと思うので、母の日のカーネーションではない、気持ちのいい初夏の季語を取り合わせたら、いかがでしょう。
(2)やや難解な句。プリズムは、実際にそこにあるのか。光線の屈折だけが見えるのか。母を消す少女、にどきりとしました。よくはわからないけれど、なぜか印象に残る俳句。いいのでは。

母の日に背伸びして立つ台所  末茶(50代,男)
 説明しすぎなので、余韻を残したいのですが。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 母の日ぐらい、母に何か作ってあげたいと、踏み台に上って作っている女の子。よくわかるが、おっしゃるとおり、説明しすぎ。母の日やとして、後に、ほほえましいものをさりげなく置いてみてはどうでしょう。

(1)耳を樹に囁き聞こゆ独歩の忌  ひでこ(女)
(2)信長の井戸ある公園夏の蝶
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 未熟な診断ですが、よろしくお願いします。
(1)樹に耳を当ててささやきが聞こえるというのは、よくある発想。それを、独歩の忌でどう展開させるかですが、これも難しい。国木田独歩自身のイメージが、一般には浮かびにくい。俳句を難しくしていて損。
(2)これも取り合わせに挑戦されている。簡単に人の首を落とした信長の井戸というのは、十分怖さがあり、そのひんやりした質感と、夏の蝶はよくあっており、佳句。

(1)花水木合羽からげし潮来笠  北野元玄(60代,男)
 満開の花水木をみて、時代劇のやくざの出入りを想いだしました。
(2)海も濃く山も濃くなり夏に入る
 はじめまして。どうかよろしくお願いいたします。来週の船団の会合でのドクターの講演を楽しみにしております。さて、遍路は春の季語(であるということになっているよう)ですが、今では春に限定するのはおかしいと思っているものの一人です。読んだ人それぞれが自分の経験などに照らして、それぞれの季節を感じられたらと思っているのですが・・・。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。初夏の集いですか?講演は、何かの間違いでしょうか。私は、裏方の手伝いです。
(1)合羽からげし潮来笠が、既成の表現なので、俳句としてはオリジナリティーに欠けてしまいます。本当に潮来傘の人が歩いてきたらおもしろいですね。
(2)夏に入る、を実感させる、日常に何気なく転がっているけど、あ、なるほど、と思わせるすてきなものを見つけてみてください。

(1)自販機の札の入らぬ暑さかな  藤(10代,男)
(2)弟とけんけんをして草いきれ
(3)本のない本立てのある夏野かな
(4)梅咲くや隣の家の犬来る
(5)逃げ水に寄り添つてゐる子犬かな
(6)春の暮ミシンの音のはやさかな
(7)蓑虫やただいまと言ふ祖父の肩
(8)手鏡の指紋拭きたり春の風
(9)印鑑を逆さに押して四日かな
(10)少年は石を握らず秋の水

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こんにちは。
(1)暑さというのは何か、という謎解き。それは、自販機に札が入らないことと解く。少し、くすっと笑える。おもしろい。
(2)甘い。
(3)「ない」と「ある」が連なって出てくるので、やや読みにくい。「本のない本立て一つ夏野かな」はどうでしょう。
(4)取り合わせが平凡。
(5)逃げ水に寄り添う、というのが、もうひとつわからない。単純に「逃げ水を追いかけている」の方がいいか。でも、いい世界だと思う。
(6)郷愁をよぶ世界。うまいが、ちょっと古い。
(9)わざと逆さに押したのか、間違ったのか。4日は1月4日。この取り合わせは、わかりそうでわからない。もどかしい感じがする。
(10)これも、なぜ少年が石を握らないのか、もう一つわからない。今回は、(1)(3)(5)が秀逸だと思います。


2006年5月10日

閣下立ち心太も立っている  裸時(30代,男)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ところてんは夏の季語。閣下という言葉とあいまって、盛夏、戦時下を連想させる。意味性を極力排した、ややニヒリズムの匂いのする問題句。読む人によっていろいろな議論が起こりうる。おもしろい。

(1)魔女狩りの如く真紅の薔薇を摘む  詩音(40代,女)
(2)鯉のぼり一番上はくたびれる
(3)柏餅一人息子は色白で
(4)百合の根の甘く膨らむ夜半の雨
(5)ムーミンと並んで見てる春の暮

 (5)は前回ご診断いただいた「ムーミンがやって来そうな春の暮」の推敲です。 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 なかなかいいですねえ。 (1)真紅の薔薇と魔女は、一見近いように見える。が、少し考えると、魔女狩りの魔女は本当の魔女ではなくて、無実の無垢の少女も多くいたということを踏まえると、俄然面白くなる。すると、真紅の薔薇を摘むことの痛みを味わうべきか。
(2)くすっと笑える。池田澄子さんの「しっかりするとくたびれる」を少し思い出す。
(3)一人息子は大事に大事に育てられるので色白は当たり前だが、柏餅と合わされることで、少しいい感じになる。
(4)甘く膨らむに主観が入っている句。甘美ではあるが、全体に甘い調べが連続しすぎていて、ややしんどい。
(5)このほうが好きです。

水玉のパジャマ干されて夏来る  玉白石(50代,男)
 早瀬先生、初めまして。よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
 今日は本当に暑かったですね。立夏とは、よくできています。意味明快、印象鮮明ですが、水玉と立夏は、やはり近い。想定内です。もう少し、意外だが言われてみるとなるほど、というものを見つけて、取り合わせましょう。

薫風のなんじゃもんじゃや虚子の像  泰(50代,男)
 武蔵野深大寺に虚子の像があります。実景です。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 実景を詠まれたわけですね。「虚子」を俳句に入れると、いろいろな意味が生じる。なんじゃもんじゃの木と取り合わせたことによって、虚子に、「その地方にはあまりない珍しい存在」という意味を付与してしまう、作者のたぶん意図していないことが生じる。また、「薫風」「なんじゃもんじゃ」「虚子」という三者の要素がなかなか調和しにくいという問題もある。よって、難しい句になってしまっていると思います。

(1)列につく生後何秒かのめだか  れい(70才以上)
(2)いるはずの一人がおらずパリー祭
 早瀬先生、はじめまして。どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、未熟者ですが、よろしくお願いします。
(1)小さな命へのいとおしみがよく伝わる。が、生後何秒かの、が説明しすぎ。「最後尾少し遅れて子のめだか」はどうでしょう。
(2)パリー祭は絵になりやすい言葉ですね。上五中七の面白みがもうひとつわからない。この季語には、もうひとつ詩情がほしい。

(1)苧環の下でいたずら森の精  菜月子
(2)ぼた山も笑う歳月窓の雨
 4階のロビーで、警備員さんが子どもの頃遊び場にしていた、ぼた山を教えてくれました。今では新緑の二つの小山になっています。古墳かと思っていました。
(3)トロッコも朽ちてぼた山笑う午後
 推敲しましたが、下五の終わり方がわかりません。
(4)熱帯魚飼う青年は物理好き
(5)菜種梅雨プチ失恋の傷洗う

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)かわいい句ですが、森の精を俳句に使うのは、ちょっと逃げかなと思う。ただ、苧環の下がいいですね。
(2)いい感じですが、やはり季語の「山笑う」には、ボタ山が無理があるか。季語を「山笑う」にしないで、「青嵐」くらいにしたらどうでしょう。
(3)トロッコとボタ山は同類なので、一句の中に入れると、相殺してしまう。いやはや、俳句は難しいですね。
(4)おもしろい。そうとは限らないはずなのに、やっぱりそうかな、と思ってしまう。
(5)これもプチ失恋が面白い。が、傷まで言わないほうがいいかも。私も、毎日、プチ失恋しています(笑)。


2006年5月9日

(1)Myself預けてみよう春の富士  松鉄(10代,男)
(2)猫の恋東横線の高架下
(3)芝桜歩く空気は僕のもの
(4)空の青湖の青富士の白
(5)早起きの春の空気を独り占め

 はじめまして。初心者の域を脱せずにいますが、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 年配の方の句ももちろん面白いですが、10代、20代の方ももっと増えると、活性化して、より面白くなると思います。お知り合いの方がいらっしゃったら、(女性も(笑))、誘ってみてください。
(1)「Myself預けてみよう」のフレーズは面白い。Myselはいろいろ解釈できるが、やや漠然としているので、「僕のエゴ」としたら、より等身大で、青春俳句としていい感じ。「春の富士」の穏やかさにゆだねたいということか。
(2)関東の人ですか?関西人としては、「東横線」が読みにくい。が、なんとなく神戸元町の高架下の感じがして、猫の恋がおしゃれに感じ、面白い。
(3)(5)自分の気分のみで、面白みはない。
(4)三段切れだが、それぞれつながっている。わかった上であれば、面白い試み。思いっきり単純化された構図で、印象鮮明。大胆な試みで、いいのでは。

(1)燕の巣壊す男の眼の光り  山太郎(60代,男)
 糞害に腹を立てたとは言え、酷いことをするものです。
(2)畦道に蝮動かず我もまた
 早瀬先生はじめまして。小倉先生お世話になりました。マムシは人の気配を感じても、滅多に逃げません。どちらも「気分のいい句」ではないですが、よろしくご指導を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 不思議な句、不気味な句も好きです。よろしくお願いします。
(1)句の眼目は、「眼の光り」。男の眼が光っている。普通、眼が光っているのは、不気味さ、不可解、悲しさを表していることが多い。
  「雉子の眸のかうかうとして売られけり」─加藤楸邨
 が、ここでは、男は何をしているかというと、すずめの巣を壊すという、共感を得にくいことをしている。よって、句の広がり、面白みが出てこない。
(2)「蝮動かず」で十分場の緊張は出ているので、「われもまた」と説明せず別のものを詠むことで、場の転換、くすっとさせる、あっといわせる、肩すかし、などができるのでは。

(1)チューリップ息はくように開きゆく  豊純(70才以上)
(2)紫の花房ゆらす春の風
(3)ほうほうと梟泣きて春惜しむ
(4)白牡丹母の姿のよぎりけり

 先生初めまして。二ヶ月間駄作ばかりですが宜しくおつきあい、ご診断ください。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、力はありませんが、よろしくお願いします。
(1)たしかに、チューリップは、息をはくように開く感じがします。ただ、あまりにもそういう感じがするので、比喩の面白さがない。「包帯のぬくさに似たる花の中」(大木あまり)
(2)紫の花房が何の花かわかったほうがよい。これも、春の風が、花房を揺らすのは、わかりすぎて、俳句としては見過ごされてしまう。
(3)泣きては、鳴きてか。(3)と同様。
(4)この句は取り合わせを試みているので、やや面白い。亡き母のすがたを詠むのは常套であるが、白牡丹が白装束を連想させて、なにかぞくっとするものがある。

(1)黄鶲や東男の眉太き  小口(60代,男)
(2)通学の子等列乱れ若楓
(3)朝風に丹精の薔薇みな動く
(4)くぐり戸を出れば牡丹艶めけり

 たいつり草は華鬘草のことで御座います。よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)申し訳ないですが、きびたきという鳥のイメ−ジを持ち合わせていないので、この取り合わせを鑑賞し切れません。東男が眉が太いのは、そのままでは?
(2)子等は余分。「通学の列の乱れて」でいいのでは。通学の列とか、遠足の列が乱れる句は、よく作られている。
(3)丹精の、のところに、その家の住人の人柄がうかがえる。みな動く、もよく景がみえる。一見平凡だが、よく作りこまれている。
(4)やはり、「艶めけり」ですべて言ってしまっている。後に、想像する余地がない。

目を見せて空の絵の具は子供の日  裸時(30代,男)
 よろしくおねがいします。m(_ _)m
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こどもの日の空の色は、絵の具みたいだ、というのはいい把握かもしれない。目を見せて、がよくわからない。そもそもこの「目」は、誰の目なのだ...わからない。


2006年5月8日

緑陰で草むしる私しあわせよ  テンテン(女)
 まだまだ初心者のわたしですが、俳句が唯一の息抜きです。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。私も、俳句に癒しを求めているのかもしれません。
 掲句。「しあわせよ」は大胆。普通はこうは書かない。「智恵子抄」の智恵子のような、やや怖さを感じる。と読むのは、考えすぎか。意図的でないかもしれないが、不思議な1句。

青空のうらにまわって落雲雀  遅足(男)
 曇天に穴をあけて当たりまえでした。穴あけすぎてだったんですね。取り合わせは、ちょっと苦手で、うまく出来そうもありませんが、次に挑戦してみます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「青空のうら」とは、大胆ですね。落雲雀の唐突さをよく言い当てているかも。見たままでなく、このように主観を入れた写生が大事だと思います。 取り合わせの冒険も挑戦してみてください。

骨法の二人静が外に咲く  裸時(30代,男)
 二人静も面白いので使いました。俳句のことを放心状態で考えています。
ドクター早瀬の診断と処方箋
「骨法の二人静」が意味不明。読み手に、「?」と、させないようにしましょう。

(1)やや遅れおわす師の手に花一枝  えんや(70才以上,男)
 句会に先生が遅れてこられました。
(2)スポーツカー花見の客を振り向かせ
(3)諍ひて愛とし妻なり苺食む
 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。 (1)「おわす」で、かなりご高齢の先生の感じがしますね。日常のスケッチ。うそでもいいので、花一枝がもうすこし意外なものであれば、はっとする。
(2)これも日常の一こま。
(3)このような夫婦に私もなりたい。ただ、俳句としては、愛し、という思いは書いてはまずい。

(1)外つ国の人も愛でゐる黄牡丹  小口 泰與(60代,男)
(2)名物の眼張の味噌煮夜釣りかな
(3)日矢ありて竹林もゆる夏座敷
(4)らんらんと磧埋むる川鵜かな
(5)廃線の枕木残し朴の花
 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
(1)「黄牡丹」が、リズムのすわりが悪い。「外つ国」というい方もあまり効果をあげていないように思う。
(2)「名物の」といったところに、作者の気分の高揚が出ている。眼張りの味噌煮は、目張り鮨と関係があるのでしょうか?なんとなくおいしそうですね。スケッチとして、いいのではないでしょうか。
(3)日矢があるので、もゆるように見えるのは当たり前。
(5)それなりに雰囲気は出ているが、よくある世界。

お風呂好き一人静が歌ってる  裸時(30代,男)
 角川の季寄せに載ってましたが一人静という季語にひかれました。小倉先生ありがとうございました。早瀬先生よろしくお願いします。リアルでまたお会いしましょう。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 擬人は陳腐になりやすい。自分の思いだけを俳句にするのではなく、まずは、写生してみて、その中で、1つ、新しい切り取り方を工夫してみましょう。


2006年5月7日

(1)後輩の胸の毛深しプチトマト  藤(10代,男)
(2)芋嵐ちょっと眉毛が濃くなって
(3)老人としりとりしたる春の夜
(4)ペンギンの歩き方して女王蜂
(5)教室に誰もゐなくて金魚玉
(6)向日葵のまえに児童の並びをり

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ホモセクシュアルのにおいがぷんぷんとする句。わざと危うい線か、笑を狙った句かもしれない。私は、苦手。
(2)芋嵐の寒々とした季感のなかで、少し大人になったのを感じている少年。少年にしか作れない、センチメンタリズムな句。
(3)この老人に対して、やや馬鹿にしたように感じるのは、考えすぎだろうか。どちらにせよ、ありがちな景。
(5)誰もいない教室に、金魚だけが静かに泳いでいる。ちょっとした悲しさは伝わるが、もうひとつ何かが足りない。インパクトがない。
(6)平凡。

(1)こちょこちょとパンジーおいで夢を見る  裸時(30代,男)
 道端のパンジーを見て詠みました。俳句をはじめて季節感に敏感になりました。
(2)渦潮は道路倒れた神の意図
 早瀬ドクター診断によりさらに推敲してみました。新聞で見ましたけれど今の季節渦潮が見時だそうです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)夢の中でパンジーが歩いてくるのか。夢の中では何でも起こるので、「夢」を使うのは安易。
(2)意味不明。渦潮は神の意図、ならわかるが、なんでも神の意図と見るのは、常套。

(1)ひそやかに満点星ゆらす小ぬか雨  菜月子
(2)矢車草教えてくれた生みの母
(3)スカーフを直す青年蜃気楼
(4)水色の揚羽横切る午後の風

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)満点星は満天星(ドウダンツツジ)でしょうか?中九は散漫に過ぎますね。小ぬか雨がひそやかにゆらすのも当たり前。
(2)ということは、そのこは今は、2番目のお母さんと一緒なのですね。物語をすっと考えさせてくれる1句。
(3)ガールフレンドのスカーフを直すのか、自分のを直すのか。後者のほうが面白い。青年のナルシシズム、感傷性と蜃気楼がよくあっていて、不思議な気持ちのいい句。
(4)平凡。

初蝶を見たし陸奥冷える日々  千葉 昭一(70才以上,男)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 初蝶と陸奥の取り合わせはインパクトがあり、力強い展開が一瞬期待できるが、陸奥が冷えるのでそろそろ初蝶が見たい、と因果でつながってしまい、惜しい。それぞれが一見関係のないフレーズで取り合わせたほうが、広がりがあると思う。

(1)あえかなる薔薇の新芽の節節に  小口 泰與(60代,男)
(2)中天に立ちゐるひばり犬駆ける
(3)卯月より距離の伸びたる散歩かな
(4)雹降りて野菜流るる猫車

 早瀬先生、よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)あえかなる薔薇撰りをれば春の雷(石田波郷)
(2)「中天に立ちゐるひばり」が大胆な表現。雲雀が立って静止している図は、一種異様で、納得できない読者もいると思うが、面白い。ただ、雲雀、犬と入れたため、焦点がぼけてしまった。
(3)療養後か、年配のため暖かくなってようやく散歩の距離が伸びた。日常のささやかな一こま。新鮮味はないが、こういう俳句もあっていいと思う。
(4)雹が降ると野菜が全滅するが、その野菜が流れるとは?猫車はどこにあるか?つながりがわかりにくくなっていると思う。


2006年5月6日

道倒るバッタの大きく黒まなこ  裸時(30代,男)
 「道倒るバッタのバッタバッタンコ」を推敲しました。だじゃれだったのですが軽すぎました。(^^;
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「倒れる」で、「倒る」という言葉はない。「たふる」は文語にあるが、連体形なら「たふるる」となる。「大きく」は「大きな」か?句意の前に、細かい用語をチェックしましょう。

(1)野を行かば君に伴へ金瘡小草  詩音(40代,女)
(2)レガッタ今水平線となる速さ
(3)あんぱんの臍の色気に負けて買う
(4)ますらをや好きと言えずに亀が鳴く
(5)ムーミンがやって来そうな春の暮

 小倉ドクターには本当に沢山の句を診断して頂き、ありがとうございました。取り合わせの距離感の面白さに目醒めた気がします>^_^< 早瀬ドクター初めまして。どうぞよろしくお願い致します(以前、高槻句会でご一緒させていただいたと思うのですが?)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 はじめまして(この画面で)。よろしくお願いします。
(1)キランソウとは、可憐な草に注目されましたね。「いかば」は「〜するならば」という仮定。普通に読めば、「自分が野を行くならば」。そこで、誰に対して、「君に伴え」と命令しているのかが、わからない。一読して句意はわかるようにしたほうがいいと思う。
(2)いいですね。気持ちがいい。ただ、「速さ」はいらないか。レガッタは季語ですか?季語でなくても、初夏の季感は出ている。
(3)くすっと笑える。私も女性の臍に色気を感じるほう(笑)。ただこれも季語がない。無季でももちろんいい句はいいが、俳句はやはり季節をしみじみ味わうもの。
(4)「や」で切っているので、好きといえないのは、「ますらお」。ますらおは、普通シャイなので、あまり意外性はない。
(5)ムーミンと春の暮。かなり近いが、ぎりぎりで、セーフ。なかなか面白い。が、「来そう」の「そう」は、俳句ではできるだけ避けたい。

不整脈確かめて居る春の風邪  泰(50代,男)
 「我が鼓動確かめて居る春の風邪」の推敲です。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いします。
 「不整脈」と「春の風邪」がどちらも病気の範疇になってしまっている。秦さんの実感なのだろうが。「春の風邪」が、変な時期に引く少し間の抜けた病気なので、その辺りとどこかで通じるものと取り合わせたほうが、面白い。

(1)はずむ息なんだ坂こんな坂お遍路みち  北野元玄(60代,男)
(2)息切らし皺ぶる声ありお遍路みち
 この2ヶ月間、いろいろご指導をありがとうござしました。診ていただいた句を中心に、いくつかを「船団」に投稿させていただきます。上掲の2句は別のところで、パクリ(盗作に近似の意味です)かどうか大議論をしている最中です。先生の率直なご意見をお聞かせいただければ幸いです。この2句については、今のところ「船団」に投稿するつもりはありません。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
(1)「なんだ坂こんな坂」がすでにある言葉で、陳腐。それと、「はずむ息」が、同じことを言っています。季語もありません。中十、下六という構成も、問題あり。
(2)「皺ぶる」という言葉は、あるのですか。あったら教えてください。「咳く」ならありますが。これも、「息切らし」と「皺ぶる声」が同じこと言っているのかな。「お遍路」の句は、作られきっていますから、難しいですね。

虚が一枚虚が二枚三枚ぼたん散る  テンテン
 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いします。
 ぼたんの妖艶さから、「虚」を発想するのは、誰でもあると思います。「虚」といわずに、具体物を入れることによって、読む人に「虚」を感じさせてください。

(1)筑豊のぼた山笑う午後の雨  菜月子
 早瀬先生、はじめまして。俳句を始めて、そろそろ1年です。初心者なりに、ああかこうかなどと考えていると、なかなか作れないものですね。ご指導よろしくお願いします。
(2)海からの風に吹かれて菫咲く
 小倉先生から力の入りすぎと繰り返し指摘を受けたので、自分としては何とか力を抜くことに力を入れております。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 私も、クリニックの初心者ですので、よろしくお願いします。「ああかこうか」考えている間が、楽しい時間だと思います。
(1)季語は「山笑う」ですか。が、やはり、ぼた山で緑が萌えるのは無理があるでしょうね。「筑豊」も「ぼた山」も同じことですから、言葉がもったいないです。ただ、「ぼた山」は、郷愁を誘うおもしろい題材なので、意外なものと取り合わせてみてください。
(2)「力を抜く」ことと「平凡」は、同じではありません。残念ながら、題材の新鮮みがありません。俳句は難しいですね。が、だからこそ、「くそっ、次こそは」と、飽きもせず、できるのでしょうね。がんばってください。


2006年5月5日

(1)新築の家に招かれ蟇  文の子(60代,男)
(2)麦の秋児は字を左右逆に書く
(3)蒼き空欅若葉を雲として

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそよろしくおねがいします。
(1)家に招かれ、そこの庭に蟇蛙がいたのでしょうか。よくわからないなりに、新築の家に浮かれている主人を、庭で蟇蛙が傍観している図は、笑えると思います。笑える句=私にとって佳句。
(2)ほほえましいですね。麦の秋の気分の良さが出ていると思います。
(3)「雲として」いるのは、欅か、作者がそう見ているのか、よくわからない。若葉を雲と見立てるのも、やや無理があり、面白みもない。

(1)熊蜂や後輩の背に隠れたる  藤(10代,男)
(2)ペンギンの歩き方して女王蜂
(3)鳥雲に入る鍵っ子はもう終わり

 二ヶ月間、宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 年配の方も味わいがありますが、若い方の発想のはじけ方に期待しています。
(1)熊蜂で切れているので、隠れたのは作者ですね。なさけない先輩にくすっとは笑えますが、「熊蜂」なので、「隠れる」のは、そのままにつながってしまいます。
(2)女王蜂をペンギンに見立てたのはやや意外性がありますが、その見立て以上のものが句にあるかというと、「...」が残ります。
(3)3月、年度末になって、お母さんの勤めも区切りがついた。「鳥雲に」のすこし感傷的な季語と、鍵っ子の終わるうれしい気持ちがよくあっている。

(1)雪柳生き来し末も水のごと  小口 泰與(60代,男)
(2)しば桜丘陵一面あや深め
(3)遠峯は残雪ありし街そよか
(4)雉つがひ車窓正面横切れり
(5)悠久の利根の流れや畑打つ
(6)遠山は雪を被ぎし落花かな
(7)土の香のほわほわ楽したいつり草
(8)桜餅稚児の笑顔の頬つぺかな

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いします。
(7)つり草は、釣鐘草のことですか?この句は、「楽したいつり草」が、「ん?」 とたちどまらせてくれて、すこし面白いと思います。
(3)〜(6)残念ながら、報告の域を出ていません。私もよく陥るのですが、詠ん でいる本人は、気持ちいいのです。が、読まされる側は、「わかりました」で終わっ てしまう。作品を書いた後、読者の側に回って、作品として面白いのか、考えてみま しょう。
(8)桜餅と、頬つぺは同類。


2006年5月4日

曇天に穴あけていて落雲雀  遅足(60代,男)
 小倉先生、ありがとうございました。なかなか指摘していただいたようには、作れませんが、これからもよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
 落雲雀だから、穴を開けているのは、当たり前。「あけていて」の切れが中途半端で、句の印象鮮明さを殺しています。二つの、少し違う世界を詠んだらいかがでしょうか。

(1)あやとりのこんがらがって春の蝶  菜月子
(2)蝋石の絵を踏むトラック春疾風
 「犬獲りの影一つある春の町」に触発されて作ったのですが...。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 作品をお読みいただいて、恐縮です。
(1)綾取りがもつれているさまと、蝶がジグザグに飛んでいるさまは、通じ合っていて、面白いかもしれません。ただ、よくある作り方かも...(私も類句を作ったかもしれません。)
(2)「蝋石の絵」いい具材を見つけられましたね。せっかく子供が書いた絵を踏んでとまっているトラック。そこに吹く春疾風。何かさびしげで、いいですね。

(1)飛び越せぬ川となりけり麦の秋  文の子(60代,男)
(2)夏立つや温泉(ゆ)の壁隔て妻の声
(3)露天湯のをのこ様々夏来たる
(4)温泉(ゆ)の屋根に陽の隠れけり夏来たる
(5)薫風や温泉(ゆ)より出てゐること多く
(6)躑躅園砂利道を行く車椅子
(7)ウエディングドレス裾引き芝桜

 早瀬ドクター、はじめまして。句暦2年の初心者ですがどうぞ宜しくお願い申しあげます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いします。
(1)麦秋の頃、雨が降り続くこともありますね。ある田舎の、いつも飛び越えていた小川が、今日は、飛び越えられない。ふとした感慨の、いい句ではないでしょうか。
(2)〜(5)風景、題材が平凡。日記としてはいいかも。
(6)(7)報告の域を出ていない。


2006年5月3日

花散るや松本清張記念館  千葉 昭一(70才以上,男)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 まさか、ご存じの上でではないと思いますが、稔典先生の句で、ほとんど同じ作品があります。ただ、このような、固有の施設を詠み込むのは、成功するとおもしろいと思います。
 成功してるかどうかわかりませんが、拙句:
  「菜の花や舞鶴引き揚げ記念館」

(1)鮨食わむ立て万国の労働者  泰(50代,男)
 メーデーに鮨食いに行こうと思い立ちまして。
(2)加熱するテレビ討論蝿が飛ぶ
 スタジオの中に飛ぶ蝿をカメラが捉えていました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「自分が鮨を食おう」と言っていて、さらに「立て」と言っているのがバタバタしていますね。
 ただ、世の中がメーデーだ、春闘だといっている中で、一人場末の寿司屋で鮨を食っているというのは、とぼけていて、おもしろい世界だとは思います。
(2)討論の熱が、蠅を飛ばしている、というねらいか?  季語が効いていない。そうおもしろみもないですね。

道倒るバッタのバッタバッタンコ  裸時(30代、男)
 昨日は宝塚句会で道に迷うわで昨日の吟行の続きかも?
ドクター早瀬の診断と処方箋
 意味不明。道に倒れるのか、道が倒れるように感じたのか。後者の、道が倒れてくるという発想なら、発展させると、おもしろいかも。裸時さんは、熱心さは大いに買います。句会への参加だけでなく、名句を多く読んでください。

葬の列へ鶯の声届けたり  ひでこ(女)
 小倉先生いろいろとご指導有難うございました。早瀬先生よろしくお願い致します。山の中に市営の葬園があるのですが、もう5月というのに鳴いていました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
 「葬の列」は「葬列」でいいですね。定型を大事にしましょう。このことはいろいろ議論があるのですが、推敲や、言葉の言い換えで、できるだけ、定型の韻文の力を発揮させるべきだと、思います。
 「喪の列」とするか。鶯の声を届けたのが誰なのか、わかりません。「届きけり」でしょうか。どちらにせよ、葬列と鶯の取り合わせは、あまり新鮮みがありません。

(1)春の馬いななき一つ岬暮る  千鶴子(60代,女)
(2)春の馬はしらせ暮るる都井岬
(3)花冷えに愛犬の墓なお小さく

 「花冷えに小さき墓なお小さく見ゆ」をこのように変えてみました。最近愛犬を亡 くしました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「いななき」で馬とわかりますので、「春の馬」はよけいですね。ただ、いな なき一つが岬を暮れさせてしまった、というふうに解釈すると、おもしろい句かもし れません。
(2)「都井岬」がやはりイメージがわきません。(1)の句の方がよいでしょう。
(3)気持ちはわかりますが、「なお小さく」ですべてを言ってしまっています。「花冷え」と「愛犬の墓」もべたべたですね。