俳句クリニック 2006年7月前半分(ドクター:星野早苗)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。

7月と8月の担当ドクターは星野早苗です。 <プロフィル>
 みなさん、こんにちは。
 俳句という文芸の敷居の低さは、これはもう究極。
 志したその日のうちにできてしまうのがすごいです。
 私はかつてこれに救われたことがありました。
 誰に知られなくても、一句できれば救われる(こともありますよね)。
 俳句生活を共に楽しみましょう。

ドクター星野の診断
2006年7月15日

(1)椰子鉈を口に少年するすると  走(50代,男)
(2)牛乳の牛乳らしく滝しぶき
(3)アジ干物海苔生たまご日曜日
(4)生成り蚊帳かしこみかしこみ妻眠る

 はじめまして。ご指導よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 はじめまして。
(4)「かしこみかしこみ」と「妻眠る」のミスマッチが面白いと思いました。
(1)異国情緒を感じましたが、報告に終わっています。
(2)「牛乳らしく」が要らないのでは。
(3)名詞ばかり並べた工夫は買いますが、それ以上のものを感じることができませんでした。

アメリカと戦ったとはサングラス  尼の久女(60代,女)
 先日の蛍の下5、仰せの通りです。いま推敲中です。小泉さんの訪米に感じてです。時事句はどうでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。小泉さんはサングラスだったのですか?

(1)鮎釣りや右岸左岸に天狗居り  緑風(50代,男)
(2)鮎釣りの竿の数ほど天狗居り
(3)鮎釣りや小雨に煙る鳴瀬川

 7月に入って最初の日曜日、早朝から生憎の雨の中近くの堤防を傘をさして散歩したら、こちらの岸はもちろん向かいの岸にももう釣り人が居りました。3句詠みましたが如何でしょうか。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)「天狗」という言葉に寄りかかって作られているように思います。そこから一歩踏みこんで、発見のある一句を作って下さい。
(3)「鮎釣りや」を御一考ください。

(1)手品師の笑みや水母の浮き沈み  fuji(10代,男)
(2)たんぽぽやきのうの話あしたしよ
ドクター星野の診断と処方箋
(1)曖昧なものと曖昧なものの取り合わせでは、はっきりとした印象を結びません。
(2)複雑です。

赤帽子日傘売場に紙ふわり  裸時(30代,男)
 さりげない感じがやっぱり良いのでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
 「赤帽子」が唐突です。「紙ふわり」が分かりません。


2006年7月14日

(1)絶交せし友訪れし半夏生  北野元玄(60代,男)
(2)書庫の湿気や半夏生の茂みあり
(3)焦燥の窓開け放つ半夏生

 墜栗花の句についてのご講評ありがとうございました。早瀬ドクターからも同じようなコメントを何回か頂戴していました。星野ドクターのコメントも今後十分参考にさせていただきます。半夏生の3句ですが、よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 梅雨時に葉の白が美しい「半夏生」。その雰囲気と合わない語句が気になりました。
(1)「絶交」(2)「湿気」(3)「焦燥」などの漢語は、もともと俳句には難しいのです。

(1)草いきれ赤く錆たる鉄の柵  緑風(50代,男)
 早速のアドバイスありがとうございました。「草いきれ赤く錆たる鉄路かな」の下五を鉄の柵にしてみました。
(2)更衣財布も軽くなりにけり
 「更衣受付嬢の白き腕」の更衣を自分事に詠んでみました。
(3)キティちゃんのカップ片手に夕端居
 新作です。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)前作の方がよかったです。
(2)(3)句を作る中で、緊張感が高まり、自分なりに何かを発見した、という感じがもう少しほしいと思いました。たくさんの俳句を読み、句にしたい1つの事柄を、10句、20句と作り、その中から、1句選ぶという方法をお勧めします。

(1)紫陽花や人渋滞の切通し  文の子(60代,男)
 7/6のご診断有難うございました。「切通し紫陽花人を制止して」を推敲しました。宜しくお願い致します。
(2)涼風の橋を渡りてビルの街
 「涼風の橋」3句目の挑戦です。宜しくお願い致します。なお、時計草はもう少し考えます。
(3)街の灯の雨に煙りて未央柳
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)形は良くなったと思いますが、ポエジーの在り所が分からなくなりました。
(2)「涼風」も「ビルの街」もきわめて常套的なフレーズなので、そこから新鮮な1句を組み立てるのは難しいことです。
(3)季語の遠さがほどよく、すっきりと共感しやすい句です。「煙りて」は「煙りぬ」とされてはいかがでしょうか。

あぢさゐや備前の壺に心活け  しんい(60代,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 「心活け」は言いすぎです。


2006年7月13日

定年や岬を昇る夏の蝶  風葉(60代,男)
 星野ドクター、はじめまして。よろしくご診断願います。
ドクター星野の診断と処方箋
 「定年」と「岬を昇る夏の蝶」の取り合わせの遠さが、とても 良いと思います。 「岬を昇る夏の蝶」に目を留めた心情と、見ている作者の位置の遠さとの両方を感じ ることができ、面白い句だと思いました。

(1)銀漢の尾の弾(はじ)くかに波の音  文の子(60代,男)
(2)母卒寿くちなし褪せて香りける
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)が良いと思いました。
(1)「銀漢の尾」が「波」を弾くなら、「銀漢の尾に弾かれし」、「波の音」が銀漢の尾を弾くなら、「銀漢の尾を弾くかに波の音」。どちらなのか、迷いました。

(1)朝顔の会話で始まる今朝もまた  豊純(70才以上)
(2)額紫陽花中に咲きしや粒の花
(3)紫陽花を挿して別れし友逝きぬ

 星野先生二ヶ月間お世話になります。宜しくご診断お願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いします。
(3)挿し木の枝を分け合うような友人との付き合いに実感があり、良いと思いました。
(1)「今朝もまた」を御一考ください。
(2)説明です。「額紫陽花」とはそうしたものだ、ということは前提として、作ってください。

梅雨湿り怠惰な顔の猫と逢ふ  涼(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「怠惰な顔の猫」が分かるようで分かりません。


2006年7月12日

七月や下校の子等の声ひびき   たまみ(女)
 平凡な句だと思いますが・・よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「下校の子等の声ひびき」が写生なら、「七月や」は大雑把すぎるように思いました。

(1)自転車の風切る音やアロハシャツ   緑風(50代,男)
(2)冷房の効きたる電車ペン走る
(3)黒髪のライダー一人サングラス

 小生早速独自の発見を詠んでみましたが、如何でしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
  どの句も素直に作られていますが、「独自の発見」には、読者をはっとさせるような新鮮な切り口が必要です。それは簡単に見つけられるものではありませんが、例えば「アロハシャツ」で10句、20句と作る中で、「発見」されることもあります。

(1)伸びをしてまだ陽の高き夏至夕べ  北野元玄(60代,男)
(2)束の間の戯れの恋や夏至の頃
(3)唯一の猜疑や夏至の蹉跌かな
(4)憚かりし悖徳の夏至懈怠あり

 拝啓 モンゴル行きの準備に追われています。10分間ほどですがスピーチをしなければなりません。今から頭の痛いことです。本日は夏至の俳句をお送りいたします。ご講評をお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 (1)が良いと思いました。身体的な動きが、天体の動きに解き放たれ、夏至の頃の気分が伝わります。「夏夕べ」の方が一般的かも知れませんが、「夏至夕べ」の限定も悪くありませんね。


2006年7月11日

お金出す機械の前の祭り笛  尼の久女(60代,女)
 大阪の夏祭りの山車の稽古をみました。 茶髪もスキンヘッドも神妙です。
ドクター星野の診断と処方箋
 現代の祭風景として、面白く拝見しました。「お金出す機械」も良いと思いました。

みちのくの空透りけり合歓の花  しんい(60代,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。「透りけり」 は「透きとおる」でも。

(1)業平の歌碑建つ隅田落し文  文の子(60代,男)
(2)町の昼時計草針止めてをり
ドクター星野の診断と処方箋
(2)トケイソウの針にまで言及したところが良いと思います。
(1)「建つ」が説明的です。

(1)良き客の来てひまわりの廻りけり  小口 泰與(60代,男)
(2)曇天を分けて鷺草飛ぶ如く
(3)夕立に鶏の逃込む牛舎かな
(4)おちこちに産土言葉祭かな

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)が良いと思いました。ひまわりも顔を向けてくれたのでしょう。
(2)「分けて」「如く」が余分。
(3)上五、「に」が説明的。
(4)良いと思います。

七夕に納豆食べてる孫がいる  チャヒロ(女)
 きょうの「この一句」の自由自在さに励まされ詠んでみました。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 楽しい雰囲気は伝わりますが、報告に終わっています。

とうろりと釉薬ながれ大南風  涼(70才以上,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「釉薬ながれ大南風」 よいと思います。「とうろりと」は言わでもがな。


2006年7月10日

数えたらジジイが流行る夏木立  裸時(30代,男)
 ジジイを非難するわけではありません。
ドクター星野の診断と処方箋
 「数えたら」がいいです。「ジジイ」は案外平凡。

夏服や女子学生の手に文庫  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「夏服」と「女子学生」が意味的につながり、「や」で切れません。句全体が報告に終わっています。

(1)平成の千人針や白日傘  緑風(50代,男)
(2)覗き橋波音高し五大堂
(3)病妻の定期健診梅雨晴れ間

 早速の診断ありがとうございました。独自の発見を目指してがんばります。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「平成の千人針」がよく分かりませんでした。
(2)良いと思います。「波音高し」は「高き」とされると余韻が出ます。
(3)固い表現が続きます。「梅雨晴れ間」も説明的で、季語として働いているようにはみえませんでした。

(1)紫陽花や水性ペンで書く手紙  詩音(40代,女)
(2)小指では足りぬ約束蛇苺
(3)黴といふ軽きいのちのありにけり

 星野ドクター、ご診断ありがとうございました。読み手の心情の、深い処で共感していただける句を目指して、少しづつでも向上してゆけたらと思います。どうぞよろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)は季語がつきすぎているように思いました。
(3)良いと思いますが、「〜といふ〜のありにけり」はやや常套的な表現です。「黴光る」はどうでしょうか。でもそうすると「軽きいのち」の意味が大きく変ってしまいますね。

木をズームアウトしている夏の森  汽白(40代,男)
 早瀬ドクター、ありがとうございました。星野ドクター、また、よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 気白さん、よろしくお願いします。
 ズームアップではないところに屈折を感じますが、「木」が渾然一体となって「夏の森」になったよ、ということだけであれば、余韻に欠けるように思います。「木」の限定を外されるといいのではないでしょうか。

(1)吟行や渡しの船に風薫る  光子(60代,女)
(2)渡し船バイクも乗りて蝉の声
(3)青薄船呼ぶ板や船付き場
(4)夏の雨旅人に傘差す渡し船
(5)月見草咲きて船頭棹おさめ

 初めまして。宜しくお願い致します。初心者です。思うように言葉がうかびません。豊橋には、まだ豊川に渡し船があります。スケッチをしてみました。渡船場の1日の日記みたいになりました。宜しくご指導下さい。
ドクター星野の診断と処方箋
 初めまして。吟行もいいですね。渡し舟の情緒を楽しませていただきました。
(5)ができていると思いました。
(1)「吟行や」は余分。
(2)「乗りて」は「乗りぬ」か「乗りし」と切った方が良いと思います。「蝉の声」もこのままでも良いのですがやや安易かもしれません。せっかくの素材ですので、いろいろと考えてみてください。
(3)「船付き場」は余分。
(4)「「夏の雨」は「傘」で分かります。「旅人」も不用かもしれません。省略も俳句の大きな魅力の一つですので、御一考ください。

(1)熟れトマトいびつに育つビッグバン  せいち(60代,男)
(2)朝市のひねし胡瓜も和みかな
 星野ドクター、本年もよろしく。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いします。
(1)面白いと思いましたが、「ビッグバン」が残念。意外性があるようでありません。
(2)「和みかな」が言いすぎです。


2006年7月9日

夾竹桃そろそろ散髪行かなけりゃ  泰(50代,男)
 初めまして、よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いします。
 暑くなってきたので…、ということでしょうか。残念ながらこれだけでは句になり難いです。散髪後の句に期待します。俳句は、気分ではなく、できるだけ具体的な物で表現してください。

(1)紫陽花や枯れゆく色をカンバスに  きんぎょ(女)
(2)アマリリス孤高を誇るファンファーレ
 ズボラなもので気が向いた時の投稿です。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)アマリリスからファンファーレへの連想を面白いと思いました。しかし「孤高を誇る」は作者の思いを読者に押し付けてしまうように思いました。

(1)滝の水光を縫ふて落ちにけり  小口 泰與(60代,男)
(2)手作りのキムチとど来て夕立かな
(3)日を見るや草花なゆる炎天下
(4)旅にあり山霧をみて蓮を見て

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)「とど来て」は「届きて」。事実を言っておられるのでしょうが、キムチと夕立は面白いとりあわせになっています。滅多に無いことを表わすのに「〜したら雨が降る」などと言われたことも思い出しました。
(1)(4)も良い景ですね。

(1)正面が乱れているね鮨詰める  裸時(30代,男)
 手探り状態です。
(2)薄暑来る投票用紙落書きす
 部屋の湿度高いです。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)もう少し、読む手がかりがほしいと思いました。
(2)「薄暑来る」はこなれません。中七には「に」を入れた方が分かりやすいと思いました。

夏あした今日一日は予定なく  たまみ(女)
 俳句に親しんで半年が過ぎました。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
 「夏あした」も「今日一日」も、どちらも漠然としています。どちらかを、具体物にされると、「予定なく」の気分にも焦点が定まるように思います。


2006年7月8日

(1)草いきれ赤く錆たる鉄路かな  緑風(50代,男)
(2)バイパスの休耕田や麦の秋
(3)青田風昼餉の匂ひ運びけり

 俳句を初めて1年になりました。即興で句は出来るのですが今一なので診断宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 句ができるのはいいことですね。
 俳句は短い詩形なので、それを精一杯大きく広くしようとすれば、一旦切って、どこか遠いところ、深いところで繋がる何かを見つけなければなりません。
 また、思いきった切れのない場合には、作者独自の発見が必要です。
(1)「草いきれ」と「鉄路」はよくある光景です。しかし「草いきれ」と「赤く錆たる」にはドキリとさせるものがありますね。下五を思いきった何かに変換されるといいのでは。

(1)体内へ荷の水移す登山かな  文の子(60代,男)
(2)人と距離空かざる車内梅雨長く
(3)落し文個人情報漏洩す

 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)のそういう感じ方が面白いと思いました。

(1)路地もののトマトをかじる休み時  三郎(60代,男)
(2)荒塩のトマトをかじる昭和かな
(3)青しその青さ染みたる指の先

 トマトを少し手を入れました。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)が良いと思いました。
(1)の下五はもっと思いきって遠いものにすると良いと思います。例えば「文庫本」「ラジオかな」などでも、俳句表現なら可能です。

(1)雨音と笛と太鼓や冷し酒  小口 泰與(60代,男)
(2)梅雨晴や庫の中よりブラームス
(3)出目金のやうな貌なりシーズ犬
(4)またひとり田の草採りに入りけり

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)「またひとり」のとぼけた感じがいいですね。罠にでもかかるような不思議な感触の句です。
(1)も雨の中の祭、「冷やし酒」がいいと思いました。

蛍狩り二手に分かれ畦歩く  尼の久女(60代,女)
 星野先生の似顔絵が三度めぐってきました。 よろしくお願いいたします。 今年は昨年より蛍がすくないようにおもいます。
ドクター星野の診断と処方箋
 久女さん、今年もよろしくお願いします。
 「蛍狩り二手に分かれ」まではとても心ひかれるのですが、「畔歩く」にそれを受け止めるだけの力が無いように思いました。

万緑の万歩になりし万歩計  fuji(10代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 面白いと思いました。「万緑の万歩」が魅力的です。

(1)崩れ折れし栗花や若き日の報ひ  北野元玄(60代,男)
(2)青春の滴のしたたり栗花墜つ
(3)青春の天賦は何処栗花墜つ
(4)墜栗花金剛不壊と思ひしか

 「耳ひとつ空へ向けたり草泊り」を嬉しく懐かしく詠ませていただいておりました。一昨年に続き、8月の下旬にモンゴルへ行きます。今度は少し俳句ができるかなと考えております。小倉、早瀬両ドクターにはいろいろ教えていただきました。改めて、よろしくお願いいたします。上は墜栗花を詠んだものです。栗花の香の俳句については早瀬ドクターにダメを出されたり、ほめられたり(?)でした。ご講評いただければ、幸いです。
ドクター星野の診断と処方箋
 私にはモンゴルは未だ憧れの地です。8月、良い旅をお祈りいたします。栗の花の香ではなく、花の形状、それも落ちた花を詠もうとされる意欲は買いますが、四句とも、作者が答えを句の中に提示してしまっているように思いました。言いたいことは極力言わず、読者に想像させるのが俳句の技法ではないでしょうか。

草野球わだかまり無く西瓜食ぶ  しんい(60代,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 真剣に戦った後の「西瓜食ぶ」。ここに草野球の醍醐味があるのでしょうね。良いと思います。


2006年7月7日

(1)垂範のクールビズ蚊に刺されける  文の子(60代,男)
(2)梅雨長し机の上のゴルフ本
(3)梅雨明けやペットボトルの空の音

 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)面白いと思いましたが、俳句になるのかどうか迷います。

陶工の太き指反り青嵐  涼(70才以上,男)
 よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 陶工の仕事ぶりが良くわかります。青嵐も合っています。

(1)青蘆の影に遊ぶや鳥親子  小口 泰與(60代,男)
(2)燦として湖は蒼きや青簾
(3)道消えて滝音忽とひびきけり
(4)白玉や腹をみせをるシーズ犬

 星野先生、二ヶ月間よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
(3)が良いと思いました。「道消えて」にも「滝音忽と」にも不思議な感銘を受けました。

突っ立ちて蓮の巻葉のぶっきらぼう  網引和気(60代,男)
 主観的にぶっきらぼうと見ました。浮葉、立葉はそれなりに美しいですが、巻葉の棒と茎の棒と突っ立っているのが、その後を知らず面白いと思いました。
ドクター星野の診断と処方箋
 直感的に「蓮の巻葉のぶっきらぼう」と把握されたのなら「突っ立ちて」は余分です。

六月尽敷居越したる指の先  泰(50代,男)
 早瀬先生、2ヶ月間ご指導ありがとうございました。俳句らしい表現につき、大変勉強になりました。これからも俳句を楽しんで行こうと思います。
ドクター星野の診断と処方箋
 ある境界を「指の先」だけが越して行った。越境の感覚は伝わりますが、「六月尽」が少し安易に感じられました。

炎天でライターは悦夏の悦  裸時(30代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 炎天の気分は何となく出ています。ささやかな「夏の悦」ですね。


2006年7月6日

(1)町の昼時の止まりて時計草  文の子(60代,男)
(2)切通し紫陽花人を制止して
(3)排ガスと涼風交差橋の上

 宜しくお願い致します。
 なお、早瀬前ドクターには句会の成績が低下傾向と申しあげましたが、今回は、20名中の2位でした。早瀬前ドクターにご評価頂いた句の中から、句会メンバーや主宰にも合いそうなものを4句選んだところ、4句とも選に入り、好結果になりました。これまでは、早瀬前ドクターに評価頂く絶対数が足らなかったことに思いが至り、反省しますとともに、今回の成績は早瀬前ドクターのご懇篤なご指導のお蔭と存じ心より感謝致しております。
 星野ドクターの画面をお借りすることをお詫び申しあげますとともに早瀬前ドクターにご報告と御礼を申しあげます。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)切り通しと紫陽花の景に魅力を感じました。「制止して」の見たてや擬人法に頼らない表現ができれば尚いいと思いますが。

うずくまる少年の耳揚羽蝶  遅足(60代,男)
 なんとなく、なにの苦もなく出来た句です。自分では全く良し悪しが分かりません。診断をよろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。「うずくまる」が効いているのだと思います。

(1)ねじ花や草にせせらぎ沈みをり  小口 泰與(60代,男)
(2)谷川の瀬音踊るや合歓の花
(3)白紫陽花十七号へなだれ咲き
(4)青蛙村中ひびき渡りけり
(5)犬の餌啄ばむ雀端居かな

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)が面白いと思いました。夏草が生い茂って、せせらぎを隠したのですね。しかし、草の根元には、水の流れが確かにあって、涼しげです。

蛍火や妻あり娘二人あり  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 蛍火に、妻は健在、娘も健在。しかも娘さんは二人もいらっしゃる。ポジティヴなところがいいです。

蛍火の蛍の尻の緩みかな  fuji(10代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 「尻の緩み」がよく分かりませんでした。「蛍火の」も字数が惜しいです。

(1)東京の仏蘭西人と握り寿司  詩音(40代,女)
(2)再会はいつかどこかで枇杷の雨
(3)奥さんと呼ばれて久し冷奴

 私がここで初めて診断していただいたのが星野ドクターでした。おかげさまで俳句を作る楽しさ、作った句を人に読んでいただく楽しさに目覚めることができました。あれから一年・・今回もどうぞよろしくお願いいたします(^_^)
ドクター星野の診断と処方箋
 船団誌上でもご活躍ですね。句会でお会いできて光栄でした。
 詩音さんの句で、好評だった句はたくさんありますが、今回の三句は、どれも底が一重のように思われました。軽い表現であっても、読者にその下の何かを感じさせることは可能です。また、それが俳句の魅力になると思います。

(1)虹立つやパソコン止めて席を立つ  緑風(50代,男)
(2)童女の乳房膨らみ更衣
(3)更衣受付嬢の白き腕

 初めまして、俳句を初めて漸く1年になります。句は、電車の中でもすぐできるのですがここのところマンネリ化しているせいかパッとしません。診断よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 何でも俳句になり、俳句が楽しい時期ですね。この機をのがさず、いい句をたくさん読み、また詠んでください。
(1)「虹立つや」と「パソコン止めて席を立つ」が因果律のように感じられます。切れ字の「や」を使っておられるので、実際は無関係なのかもしれませんが。
(2)(3)は、共に、他人事のように感じられました。独自の発見が欲しい所です。

(1)初茄子の紺つややかに朝の庭  西角悠(70才以上,女)
(2)夏の雲いかだに育つ鳥羽の球
(3)祇王寺の昼なお暗き竹の花

 おひさしぶりです。お世話になります。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそ、また、よろしくお願いします。
(3)祇王寺と竹の花、良いと思います。「昼なお暗き」の常套的な表現が少し惜しいようにも感じました。

変な天変な天気にてくちなわ  裸時(30代,男)
 「て」余りです。すみません(^^;
ドクター星野の診断と処方箋
 「変な天」は、「変な天気」との韻を楽しんでいるのでしょうが、ここは別のものをもってきたほうがいいように思います。「変な山」「変な国」「変な風」「変な僕」…、いろいろ考えてみると面白いかもしれませんね。


2006年7月5日

(1)四住空(しじゅうから)世紀壊れるような蚊蚊  裸時(30代,男)
(2)つつく鳩記念写真と氷水
 星野ドクターよろしくお願いしますm(_ _)m
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「四住空」は四十雀と、蚊蚊はサッカーのリカルド・カカと何か関係があるのでしょうか。内容がよく分かりませんでした。
(2)並列も一つの技法ではありますが、成功しているとは言えないようです。

(1)膝抱き荒梅雨の底ショパン聴く  しょうこ(女)
(2)隣家の水音ゆたか夏の朝
(3)叱られてひたすら苺つぶす孫
(4)髪切って風の街行く晶子の忌
(5)風鈴が呼び込む午後の風少し

 初めまして、宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)が良いと思いました。夏の朝の気分がよく伝わります。
 どの句にも欠点はないのですが、予め作者が感動の在り所を知っているような気がしました。句になって初めて作者自身がはっとする、感動がそこで生まれるものをめざしてほしいと思います。とても難しいことですが。

街探訪少し濃いめのサングラス  れい(70才以上)
 又お世話になります。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
 「街探訪」に具体的な行動が見えないのが残念です。また、「少し」は曖昧な表現です。

向日葵の屈託無きよ歯の痛み  しんい(60代,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 実感が伝わってくるような気がしました。

大股に少しあゆみてサングラス  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「少し」が曖昧です。

トラックとたわむれゆくや夏の蝶  由利子(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 切れ字の「や」が、うまく働いていません。「や」と切ったあとには、まったく別のものをもってきたいところですが、「夏の蝶」は「たわむれゆく」の主語ですから、つながってしまいます。

(1)涼風を望み橋への上り坂  文の子(60代,男)
(2)青年の髪の潤沢梅雨深し
 中7で切りたいので、座5は「梅雨深く」が先に浮かびましたが、読んで調子が良 くなく掲句にしました。如何でしょうか。
(3)稲光高楼よりの広き空
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)「青年の髪は潤沢梅雨深し」では、いかがでしょうか。

(1)山の靄百合の花より明けにけり  小口 泰與(60代,男)
(2)郭公や利根川の瀬の荒々し
(3)浮草や太陽の熱覚めやらぬ
(4)桑の實や牛舎の鳩の肥えてをり

 星野先生、よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)がいいと思います。
(1)も良い光景ですが、「山の靄」はこなれません。山の固有名詞か、「山靄ふ」にされても。
(3)の「覚めやらぬ」は「冷めやらぬ」でしょうか。


2006年7月4日

(1)彼の人の消息さぐる涼み台  郁子(60代)
(2)笹しきて鮎を並べし父の逝く
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「彼の人」・「さぐる」という措辞は、再考の余地があるように思いました。
(2)は生前の父上の人となりをよく伝えていると思います。

炎昼や鳥影残しゆるり去る  由利子(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「鳥影」という熟語があるので、「鳥(が)影(を)残し」と読ませる中七が、やや苦しい表現になっています。

孫の顔父の日は遠くなりにけり  賀代子(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 父の日に子が孫を連れて遊びに来てくれたのでしょうか。それとも、現役の父母だった時代を懐かしんでいるのでしょうか。上手く内容がつかめませんでした。

(1)小雨降るくちなしの花のより白く  三郎(60代,男)
(2)路地もののかじりトマトの味忘れ
(3)炎天や競う球児の砂袋

 よろしくお願いします。俳句始めて二年目、このふた月で俳句の狙いどころがやっ と解りかけてきました。ありがとうございます。
ドクター星野の診断と処方箋
 三郎さん、はじめまして。
(2)「味忘れ」としてしまうと、一句全体が後ろ向きになり、力をなくします。「路地もののトマトをかじり〜」で、〜にぐっと遠いものを配合するとよいと思います。

(1)時計草帰京の時刻過ぎにける  文の子(60代,男)
(2)塀の上に子供の帽子濃紫陽花
 星野ドクターお久し振りです。2ヶ月間どうぞ宜しくお願い申しあげます。小生の句歴も2年を超えました。昨年、(1)因果律、(2)季語から飛び立って着地点が近過ぎ、とご指導いただきました。掲句進歩の跡がありますでしょうか。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 文の子さん、こんにちは。今夏も、よろしくお願いします。
(1)は「時計草」と「時刻」が近すぎです。遊び心は感じられますが。
(2)は、塀と子供の帽子と濃紫陽花、物の取り合わせで、すっきりとできあがっており、共感できました。「子供」は「子ども」でもいいかもしれません。

(1)牧の牛あくなく食ぶや夏暖簾  小口 泰與(60代,男)
(2)火達磨の如き雲あり海紅豆
(3)郭公や光零せし牧の木々
(4)初蝉や石碑ひとつの古戦場

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
 小口さん、こんにちは。
 季語のつかい方が、
(1)は遠すぎ、(2)は近すぎるように思います。
(3)は朝日の射す牧場の木々が目にうかびました。
(4)は、これでできているのではないでしょうか。

(1)船頭の背なの涼しさ茜雲  しんい(60代,女)
(2)山裾の雲けむり立つ梅雨晴間
(3)梅雨晴間空を映してにはたづみ

 星野先生、初めまして。ご指導宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 しんいさん、はじめまして。
(3)は、空を映す水たまりに広さと透明感があります。古語「にはたづみ」がよく 効いています。