俳句クリニック 2006年7月前半分(ドクター:星野早苗)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。

7月と8月の担当ドクターは星野早苗です。 <プロフィル>
 みなさん、こんにちは。
 俳句という文芸の敷居の低さは、これはもう究極。
 志したその日のうちにできてしまうのがすごいです。
 私はかつてこれに救われたことがありました。
 誰に知られなくても、一句できれば救われる(こともありますよね)。
 俳句生活を共に楽しみましょう。

ドクター星野の診断
2006年7月31日

雨音に人声交じる短夜かな  雅美(20代,女)
 はじめまして。網戸にしていると、外の音に耳を澄ませてしまいます。雨も人声も外の音として読んだのですが、分かりにくいでしょうか。それと「まじる」の字はこれであっていますか。
ドクター星野の診断と処方箋
 できていると思います。かなづかいもこれでいいと思います。

(1)片陰を陽射大型バス過る  文の子(60代,男)
(2)五月雨や警報音の掻き消され
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)普通一句の中で「片陰」と「陽射」の両方を詠むことはありませんが、「陽射」は大型バスそのもののことを詠まれたのでしょうか。

(1)花火師の刺し子の穴や勲章に  光子(60代,女)
(2)豊川の金魚花火や河口まで
(3)ビルの街ボリユウム高し遠花火
(4)男気や手筒花火の火の粉浴び
(5)市制100年提灯持ちて人文字に

 今日は。宜しくお願い致します。豊橋市は、来月資性100年になります。花火祭りも毎年豊川で開かれております。又ご指導下さい。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「花火師の刺し子の穴」はよく見ておられると思いました。しかし、それを「勲章に」と言うと、答えを出してしまうことになり、魅力が半減します。

海の日や孫十人にひ子二人  ねぎよしこ(70才以上,女)
 魅力的なデッサンですね。休んで居ましたが、又よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「孫十人にひ子二人」と海の取り合わせは、とてもいいと思いました。 「ひ子」は「曾孫」と書いて「ひこ」とふりがなをふると分かりやすいと思います。

(1)紫陽花や一山靄に覆はれし  小口 泰與(60代,男)
(2)葉隠れの蓮を撮りけり朝ぼらけ
(3)雫して南瓜の花のあえかなり
(4)火の山を隠す靄あり忘草
(5)火の山を隠す靄あり忘草

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
 (2)「朝まだ来」(3)「あえかなる」ではいかがですか。

浴衣帯男結びに郡上の夜  しんい(60代)
ドクター星野の診断と処方箋
 「男結び」に作者の何らかの思い入れがあるのだと思いますが、それが「浴衣帯」では伝わってきません。

木食い虫天牛虫に化けてとぶ  汽白(40代,男)
 こんばんは。よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 そう言われればそうかもしれませんが、発見とまでは行きませんでした。「化けて」も言いすぎです。

双子座の心変わりや合歓の花  泰(50代,男)
 すごく俗っぽいですね。しかも類句累々?でも調子が捨てがたい。ご診断お願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 俗であっても構わないのですが、内容が星占いそのままでは、安易です。

(1)一雨の あとの紫陽花 色増せり  西角悠(70才以上,女)
(2)北陸に 大雨予報 額の花
(3)串カツの 店の片隅 水中花

 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)いいと思います。分かち書きの必要を感じませんでしたが。
(1)(2)報告に終わってしまいました。


2006年7月30日

枝豆を摘みつ今日の事件かな  fuji(10代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 「事件」が他人事に終わっています。小さくても、自分の中に事件を起こすことを心がけてください。

(1)蝉時雨妻も手伝ふ庭手入れ  小口 泰與(60代,男)
(2)畦道に音符を弾くやかる親子
(3)久々に友垣集ふ洗膾かな
(4)七夕や川面を渡り来る風も
(5)いかづちのごろつと鳴りてそれつきり

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)今まで庭手入れには関心のなかった妻が、今日は手伝ってくれた、と読むと、「れ」の脚韻も歯切れ良く、仕事がはかどった様子が伝わります。
(4)が良いと思います。天には天の川、地上の川も夏めいて来る頃ですね。
(5)も面白いです。

(1)半世紀照る日曇る日半夏生  末茶(50代,男)
 半夏生の日が誕生日と重なりました。
(2)子どもらの心で開け仕掛け花火
 どうしても説明調になりがちです。さらりと行きたいのですが。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)大雑把です。
(2)花火の思い出が、子どもたちの心にいつまでも残ってほしい、という句意は伝わります。「仕掛け花火」は「大花火」でも。

(1)深淵に垂直下降の汗の逕(みち)  北野元玄(60代,男)
(2)生命の防禦機構として汗も
(3)変質を思考の汗が齎して
(4)滴る汗死の沈黙を饒舌に

 半夏生の句のご講評有り難うございました。今日は、汗を主題にした4句をよろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 難解です。音読みの熟語は作者の思い入れほど読み手には伝わりません。


2006年7月29日

話すならサ行がよくて炎天下  fuji(10代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 何となく説得力があります。「炎天下」が効いているのでしょう。

香水のみちに従い君に逢う  徹太郎(男)
 希望という意味がわかりません。
ドクター星野の診断と処方箋
 香水の香りが点々と続いているのでしょうか。「従い」という表現からも、「君に逢う」心の高まりを感じることができませんでした。

戦争という名の暴挙滝しぶき  加護坊(70才以上,男)
 敗戦日が近付いて。
ドクター星野の診断と処方箋
 内容は良くわかりますが、直球過ぎる表現はスローガンに近くなります。

うかうかと星占いの梅雨映える  裸時(30代,男)
 今日はときどき雨な天気でした。星占いは見るのが恐いです。なんかいやな予感がするので。
ドクター星野の診断と処方箋
 句意は「心の準備もしないでうっかり星占いなんか見てしまったよ」で、占いに何らかのショックを受けてしまったのでしょう。「梅雨映える」が分かりませんでした。


2006年7月28日

(1)真白の闇の中なる驟雨かな  裕子(70才以上,女)
 東京の多摩地方の夕立がありました。何もかも隠してしまいました。真っ白の闇で良いのか迷ってます。
(2)一陣の驟雨の辺り白の闇
(3)驟雨去り屋根一斉に蒸気上ぐ

 星野ドクター宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(3)発見があって良いと思います。
(1)は作者の感じ方にもよりますが、「真白な闇」「となりたる」にされても。

満ちたりて眠る乳呑児原爆忌  加護坊(70才以上,男)
 この子らを戦争に巻き込むまい。
ドクター星野の診断と処方箋
 「満ちたりて」「乳呑児」はやや作者から遠いように思えますが、内容はよく分かります。

(1)整体の門に入(はひ)ればねぢり花  文の子(60代,男)
(2)タオルもて身を覆へるも梅雨の明
(3)炎天を歩む水分浪費して

 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)が面白いですね。「門に入る」は入門のようにも受け取れますので、「門を入れば」か「門をくぐれば」でどうでしょうか。
(2)は分かりません。

(1)瀬戸内の陽を一点に熟桃  墨童=京・墨染に住まう童(60代,男)
(2)峰雲を射抜きて星へ飛行機雲
(3)爺舶来孫には錦さくらんぼう

 始めまして・・・。以下の通りです。ヨロシクご指導下さい!「(1)(2)はともかく、(3)は川柳だね!」と、その昔、ざっと半世紀前の高校で、国語は小生よりもほんの少し点数の高かったことを、いまなお、自慢している家内の評、にいらだっております。早苗先生の冷静・沈着・学識経験溢れたコメント&改善すべき問題箇所のご指摘を切望しております。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)が良いと思いました。「舶来」はアメリカンチェリー、「錦」は佐藤錦ですね。
 全体に機智の勝った句だと思いました。(1)(2)も「陽を一点に」「射抜きて星へ」など、作者の頭の中で構成されたフレーズが眼目の句で、俳句のオーソドックスな技法である写生の句ではありません。
(3)は、国産の佐藤錦の方が高価であるという事実をふまえて、素直な面白さがあると思います。「機智」や「見立て」は川柳に多い技法ですが、間違いなく俳句の方法でもあります。概念的になりやすい点に注意され、(3)のように素直に詠まれると良いと思います。


2006年7月27日

(1)曙の植田に映る鳩の群  小口 泰與(60代,男)
(2)ひざまづき茄子採る農婦腕太き
(3)山靄ふ忽と現る黄菅かな
(4)庭仕事妻も手伝ふ氷菓かな

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)が良いと思いました。
(2)「腕太き」は言いすぎです。
(4)「氷菓かな」が唐突すぎるように思いました。

立てるのも行水の波涙だよ  裸時(30代,男)
 水の流れる清楚では飽き足らず起立するような気持ち。風呂でゆるゆると水には両面があり、冷たい水が起こしてくれます。
ドクター星野の診断と処方箋
 「立てるのも」がよく分かりません。このままですと、作者が立てるのは「行水の波」だけで、その現実に「涙」してしまう、と読めるのです。水が起立するような勢いが感じられませんでした。

(1)水やりを終えて一息夕端居  豊純(70才以上,女)
(2)お茶会で作法教はる夏手前
(3)夕暮れに一人団扇の女かな
(4)朝顔の会話で始まる季節かな

 星野先生添削有難う御座いました。朝顔の句直して見ました。叉ご診断ください。叉暑いのでお体をご自愛下さいませ。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)が面白いと思いました。しかし「夕暮れに」は説明的です。「は」「を」「や」などいろいろ考える余地がありそうです。或いは、場所や地名などを持ってこられても。
(1)(2)(4)はどれも座5が近すぎ、句に広がりが感じられませんでした。もっと、読み手を信用して、上5、中7から遠いものを持ってこられるといいと思います。


2006年7月26日

(1)火の山のトマト大きく熟しけり  小口 泰與(60代,男)
(2)夏茜魚もゆつたり魚野川
(3)火の山の日照雨抜けをり茄子畑
(4)隧道を抜けるや風と蝉時雨

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(3)が良いと思いました。
(4)は、「風」か「蝉時雨」か、どちらかに中心を絞られたほうが良いと思います。

(1)銀漢の尾に爪引かれ波の音  文の子(60代,男)
 7/13のご診断有難うございました。「銀漢の尾の弾くかに波の音」の「かに」は引っかかっていました。ご指摘頂き、焦点が絞り込めていないことが判りました。掲句切れが気になりますが如何でしょうか。「波の音銀漢の尾の爪引きて」でしょうか。
(2)文字の無き七夕飾アーケード
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「波の音銀漢の尾の爪弾きて」が形が整っているように思います。
(2)「文字の無き」は願い事を書いた短冊が無い、ということだと思いますが、それが「アーケード」だと言われると、一句全体が報告に終わってしまう気がしました。

(1)藍浴衣かたさ和らぐぼんのくぼ  涼(70才以上,男)
(2)炎帝やマクベスの聴く魔女の声
 よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「かたさ和らぐぼんのくぼ」がやや強引。読者には納得できないように思います。
(2)「炎帝」「マクベス」「魔女」と道具立てがにぎやかすぎ、一句全体が「マクベス」に寄りかかった表現になっています。


2006年7月22日

(1)山際に 沈む音聞く 夏の月  渡々(20代,女)
(2)波が立つ 夏野にもぐる 風の神
 はじめまして。創作した俳句を誰かに読んでいただきたくて投函させていただきました! 書き溜めたもので、時期外れのものもあるのですが、よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 はじめまして。分かち書きをされるのですね。
(1)「聞く」まで言ってしまうと、却ってリアリティが薄くなるような気がしました。
(2)「波が立つ」は不要です。

アンタレス情熱こもる夏の嘘  涼(70才以上,男)
 ご批評お願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 「夏の嘘」が分かりません。

(1)川の辺に業平の歌碑落し文  文の子(60代,男)
 「業平の歌碑建つ隅田落し文」を推敲しました。
(2)冷房は設定温度カレー食ぶ
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。
(2)内容は分かりますが、詩を感じることができませんでした。

(1)父の日やしあわせ色のさけ届く  松岡淑基(70才以上,男)
(2)今年竹三本競いて天を突く
(3)わが狭庭オランダ耳菜草威張るばかり

 星野さん、始めまして、よろしくお願いします。遠くへと嫁いだ娘から、ほろ苦 い酒が届きました。それも私の名のラベルを貼って。新婚で幸せそうですが・・・。
ドクター星野の診断と処方箋
 はじめまして。幸せのお裾分けでしょうか、優しい娘さんですね。
(1)「さけ」は「酒」の方が分かりやすいです。
(2)「競いて」「突く」が言いすぎです。
(3)「わが」は不要。「ばかり」も字余りにしてまで付ける必要を感じませんでした。
(2)にも言えることですが、俳句は、「庭にオランダ耳菜草」程度のあっさりした表現でいいのです。

(1)饐ゑ飯(すえめし)の記憶は遠く遡る  北野元玄(60代,男)
(2)饐飯(いっぱん)に己が残滓を告げてみる
(3)饐え飯や怪物(けもの)に出くはす心地して
(4)逆説のごとき実存饐ゑし飯

   夏至の句のご講評ありがとうございました。今日は饐え飯の句についてご批判を仰ぎたいと思っております。今では饐え飯などとんとお目にかかりませんが、以前では、三日に空けずに饐え飯を食わされたものです。どうぞよろしくお願いいたします。
 話が飛びますが、日刊この一句で稔典先生がご紹介の「ががんぼや矛盾原理とコップ酒(平井奇散人作)」にとても感心しております。このような俳句を作りたいと改めて感じ入っております。小生が使用中のコンピューターの扱いにまで十分慣れていません。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)「心地して」は不要かかもしれません。
(4)「実存」という言葉を使わず「実存」をつかみ出して欲しいと思います。
(1)(2)は作者の思いが出すぎています。自分なりのテーマがあるということは強みです。しかし、言いたいことをあえて言わないのが、読者を置いてけぼりにしない俳句の工夫です。
 ご感想は平井奇散人氏にお伝えします。平井さんの人となりがとてもよく出た俳句です。「ががんぼ」がいいですね。

(1)苔清水掬ぶや山は茜なり  小口 泰與(60代,男)
(2)七夕や市長も共に半被着て
(3)いつせいにかるの子奔る十七号
(4)かるの子のこちら見てゐる朝ぼらけ
(5)蝉鳴くや汽笛遠のく山の駅

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)「かるの子」の愛らしさが描けていると思いました。
(2)「共に」は不要。

口を開け天を見ている枝払い  風葉(60代,男)
 よろしくご診断を。
ドクター星野の診断と処方箋
 情景はよく分かりますが「口を開け」は言い過ぎではないでしょうか。


2006年7月21日

(1)おはようを言はずにハンカチーフかな  fuji(10代,男)
(2)枝豆を摘みつつ言ふ本音かな
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「おはよう」と「ハンカチーフ」の出会いは、良い雰囲気ですね。しかし、「ハンカチーフ」をどうしたのかが、気になります。
(2)「本音」は何だったのでしょうか。

小心で新緑投げて岩の風呂  裸時(30代,男)
 風呂が好きです。
ドクター星野の診断と処方箋
 「新緑投げて」が分かりませんでした。「岩の風呂」も「岩風呂」という言葉があるので、御一考ください。

若者の黒き思考やハンモック  涼(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「黒き思考」が分かりませんでした。

(1)どくだみのかさかかさと鳴る庫裏の軒  光子(60代,女)
(2)十薬を活けし午後のテイ−タイム
(3)海亀や命繋ぎて涙せり
(4)昼見ればどうってことない夜店かな
(5)朝市も夜店もかわらぬ売り子いし

 星野先生、先日はありがとうございました。又宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)が良いと思いました。「どくだみ」は「十薬」でも。
(2)語調が整いません。
(5)このままでは報告です。同じ内容でも表現を推敲することによって、句が生ま れ変わることがあります。そのような時に、作者自身も、自分の感動の在り処に初め て気づくということも起こります。御一考ください。

(1)星砂や男の背信じゅごんの涙  しょうこ(女)
(2)砂埋めにされ陽を返すサングラス
(3)砂湿る足の裏より夏のいく
(4)あけ易すの砂浜歩く旅心
(5)砂山を踏めば崩るる夏の果て

 矢継ぎ早で申し訳有りません。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)が良いと思いました。「明け易き」でも。
(2)「陽を返すサングラス」は良いと思いますが、「砂埋めにされ」は言い過ぎで す。(1)(3)(5)も作者の思いが出すぎているように思いました。


2006年7月20日

(1)待ち望むイラク撤退白日傘  緑風(50代,男)
(2)妻のオペ吾にすべなく残暑かな
(3)梅雨晴間机の上に俳句本

 こんばんは、早速の診断ありがとうございます。「平成の千人針や白日傘」は自衛隊のイラク撤退を詠んだのですが離れすぎでしたか。推敲してみましたが如何でしょうか。診断よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)社会詠は内面のよほど強い動機がないと難しいと思います。
(2)(3)作者と対象との距離が遠すぎると感じました。

茂る草会ふひとの希陶の町  涼(70才以上,男)
 星野さま、お世話になります。
ドクター星野の診断と処方箋
 情景はよく分かりますが、報告にとどまっています。

初夏の風はリスボンレモン色  藤田 亜未(20代,女)
 ひさしぶりにつくったので鈍っています。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 お久しぶりです。
 語調もよく明るさを感じる句です。しかし、リスボンの町はきっとこんな感じ、或いは、今日の風はリスボンに吹いてる風と同じ、と思う感覚を、深いところで共感してもらう為には、「リスボン」か「レモン色」を、もう少し手触りのある事物にする必要がありそうです。

(1)水遊び膝下までの負け惜しみ  紫雲(40代,女)
(2)梅漬けてこの幾月をいとおしむ
 初めまして、宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「膝下までの負け惜しみ」は、膝より深いところを怖がってのことでしょうか。
(2)「この幾月をいとおしむ」は大雑把です。そのデティールを切りとって欲しいと思いました。


2006年7月19日

(1)山を発ち地平に注ぐ銀河かな  文の子(60代,男)
 「山発ちて地平に注ぐ天の川」と詠みたいのですが、切れていないというご指摘を想定しました。宜しくお願い致します。
(2)赤色の残る自販機梅雨晴れ間
 「宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)原案の「山発ちて」の方が調べが良いと思いました。どちらにも「注ぐ」で、軽い切れを感じます。
(2)「赤色」は温かい飲み物の表示でしょうか。

(1)ほろ酔うて二人静かに食ぶメロン  せいち(60代,男)
(2)葛桜さつきのうそがばれそうな
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「メロン」と「葛桜」に説得力があります。

畳擦る音静まりて夏料理  風葉(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 その静けさが何によるものなのかが、わかりませんでした。

ふるさとの一番風呂や青田風  泰(50代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。一番風呂はまだ明るいうちに入るのでしょう。「青田風」が効いています。


2006年7月18日

飛び越せば昔が映る夕立かな  遅足(男)
 ちょっと変な句ですが・・・。水溜りを飛びそこなった子供の頃を思い出して。飛躍しすぎて理解不能に陥っている気もします。診断をよろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思いますが、このままでは夕立を飛び越すように思えます。「水溜り」では、興趣がそがれるでしょうか。難しいところですね。

(1)かるの子の畦にちょこんと並びをり  小口 泰與(60代,男)
(2)髪の毛の水のやうなり浴衣かな
(3)大浅間大西日を浴びにけり
(4)滝の水どよめき落ちし岩を食む

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)が良いと思いました。

(1)腕時計不用の日々や合歓の花 (とけい草?)  しょうこ(男)
(2)少年の鎖骨浮き立つ天神祭
(3)天草干す裏庭すぐ海島の家
(4)薄れたる記憶の恋の浴衣着む
(5)バス停の乙女ら片影うばいあい

 診断有難うございます。又宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)が良いと思いました。
(1)は大雑把すぎ、(3)(4)言葉をつめこみすぎていると思いました。「裏庭すぐ海」は「裏庭の海」「裏庭は海」でも分かりますし、「浴衣着む」は「浴衣かな」で充分です。
(5)「うばいあい」は言い過ぎです。


2006年7月17日

(1)原景はわれ水遊びせし記憶  詩音(40代,女)
(2)白日傘綺麗な猫と擦れ違ふ
(3)晩節の父の金魚をあまやかす

 よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)が良いと思いました。
(1)記憶であっても、現前するとして(その時に返って)「水遊び」そのものを詠まれる方がいいと思います。
(3)金魚をあまやかしているのが作者なら、「晩節の」は不要です。「晩節の父」が金魚をあまやかすのなら、「晩節の父よ」とされるのも一法です。

奇岩です皿池プリンス黒南風  裸時(30代,男)
 今日は意外と晴れました。
ドクター星野の診断と処方箋
 「皿池プリンス」 が分かりませんでした。

茂りへとかはりばんこの雀ゐて  しんい(60代,女)
 いつも有難うございます。散文になってしまいましたが、よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 作者の雀へのまなざしが良いと思います。「茂り」は「茂み」でも。

自販機の並ぶコンビニ大西日  加護坊(70才以上,男)
 自販機の一風景。
ドクター星野の診断と処方箋
 コンビニの前にさらに自販機。現代社会は、お金さえあれば何不自由ない生活かもしれませんが、一端お金がないとなると、社会的にも孤立してしまう怖い社会でもありますね。しかし、そこまでは、俳句でなくても言えることです。「自販機」「コンビニ」という省略語も、あえて俳句に使う時の効果を考える必要があります。