俳句クリニック 2006年8月前半分(ドクター:星野早苗)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。

7月と8月の担当ドクターは星野早苗です。 <プロフィル>
 みなさん、こんにちは。
 俳句という文芸の敷居の低さは、これはもう究極。
 志したその日のうちにできてしまうのがすごいです。
 私はかつてこれに救われたことがありました。
 誰に知られなくても、一句できれば救われる(こともありますよね)。
 俳句生活を共に楽しみましょう。

ドクター星野の診断
2006年8月15日

(1)鉄の風鈴坂の上下(うえした)に  泰(50代,男)
(2)炎昼の社の杜の黒さかな
(3)淀川の活断層を渡る暑気

 宜しくご批評お願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)語調が整いません。
(2)良いと思います。

(1)二八の商ひ不振泉かな  小口 泰與(60代,男)
(2)上野(こうずけ)やかかあ殿下にはたた神
(3)歌舞伎見し襲(かさね)の色樗かな
(4)鷺草や浅間へ雲の溢れ落つ

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)一般によく聞く内容です。
(3)報告にとどまっています。
(4)「溢れ落つ」がうまくイメージできませんでした。

初嵐青き稜線際立ちぬ  しんい(60代,女)
 お願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。

(1)連発の花火の光天焦がす  西角悠(70才以上,女)
(2)花火待つ天を仰げば星一つ
(3)遠くよりざわめきのあり大花火
(4)特売の産地直送大白桃

ドクター星野の診断と処方箋
 残念ながら、どの句も報告に終わっているように思いました。


2006年8月14日

(1)親を超へ元気ですよと墓洗ふ  保子(70才以上,女)
(2)灯篭や逝った人・顔見え隠れ
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)ご両親の享年を過ぎられたということでしょう。「親」は他人行儀な気もしますので、父母を超え、父母超えて、などと、考えてみました。尚、「超へ」の終止形は「越ゆ」で下二段活用、「超え」でいいのです。
(2)「逝った人」は曖昧、「見え隠れ」も実は曖昧な表現で、説得力がありません。


2006年8月13日

(1)翡翠にひと時こころ奪われし  裕子(70才以上,女)
(2)翡翠や飛ぶ真空の二三秒
 暑中お見舞い申し上げます。翡翠を見に吟行に行きました。本当にきれいで、ゆめの一時でした。でも八日は立秋、この暑さに秋を探すのも大変です。
ドクター星野の診断と処方箋
 私も大きなカメラを三脚でたてた人たちに出会い、翡翠を待ったことがあります。翡翠は魚を狙う時、とまる枝が決まっているそうですね。しばらくすると飛んできて、その枝に止まり、一瞬の間に池の魚を捕って行きました。カメラの人たちに着水の瞬間も見せてもらい、青い宝石のようだと思いました。ゆめの一時、よく分かります。
(1)残念ながら報告に終わっています。
(2)「や」で切る、あるいは強める必要を感じません。「の」で良いのでは。

(1)屈託を背負いし(しょいし)右肩原爆忌  北野元玄(60代,男)
(2)玄関に人声のあり原爆忌
 貧乏句についてのご講評有り難うございました。上二句について、よろしくお願いいたします。
 前回の俳句の中の「貧せば鈍せし」の言葉遣いですが、「貧せば」は誤りです。いつか、推敲句をお送りいたしますので、ご容赦ください。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「屈託」が抽象的。分かるようで分かりません。
(2)良いと思います。「玄関の人声」はちょっと気になるもの。日常に繋がりながらもふっと感じる不安感を敏感に捉えた原爆忌と読みました。

遠ざかる程に恋しき夏の山  尼の久女(60代,女)
 しばらく振りです。 俳句の出来ない時は、少しも浮かびません。 最近の若い人は、夏山に登りませんね。
ドクター星野の診断と処方箋
 久女さん、お久しぶりです。
 「遠ざかる程に恋しき」は説明。「夏の山」も抽象的ですが、具体的なものとの取り合わせで、心情を感じさせて欲しいと思いました。

(1)朝の膳の糠漬けはグー盆近し  ひでこ(女)
(2)母は黄泉へ三男二女の盆提灯
 ご指導よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「グー」は言いすぎ。「盆近し」との関連があるのなら、「朝の膳に粕漬けの出て」。
(2)一句に「黄泉」と「三男二女」は詰め込みすぎではないでしょうか。例えば「三男二女」を主にすると、「母は黄泉へ」は「母送る」と抑えた表現にすると良いと思います。

(1)親譲りにて無鉄砲夏の旅  学(50代,男)
(2)海鞘食へば山が鳴るなりみちのくは
(3)どこからか湧き出て来たる濁り酒
(4)あかぎれの染めたる和紙の明り取り
(5)気を伐りて紙で尻拭く世紀かな
(6)間引きする親もゐるかな稗の国

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)(3)いいと思います。
(4)「あかぎれの染めたる」は言いすぎ。
(5)「気」は「木」だと思いますが、内容に魅力を感じません。
(6)他人事のようです。


2006年8月12日

(1)遠花火音の届きて定まれり  風葉(60代,男)
 内容が単純すぎるでしょうか。
(2)沈黙の間に揚る遠花火
 省略し過ぎでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)いずれも遠花火の説明に終わっているように思いました。そこは前提として、新たな一句を作ってみてください。

丘うえの領事館跡蝉しぐれ  裕子(70才以上,女)
 今は礎石しか残っていない元フランス領事館跡です。上五に横浜のと場所入れた方がいいでしょうか。宜しくご指導下さい。
ドクター星野の診断と処方箋
 このままで良いと思います。丘うえの領事館、かつての姿が偲ばれます。

(1)新秋や黒猫の眼の潤うて  しんい(60代,女)
(2)新涼やテーブルクロス新調す
 よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)猫の顔が穏やかになってきたのでしょう。黒の限定もいいですね。
(2)分かりすぎるのが難ですが、良いと思います。

(1)宇宙への単独飛行鬼やんま  学(50代,男)
(2)どくだみの花びっしりのあきやかな
(3)鬼の子になって歌女を選ぼふか
(4)B4を継ぐ足してゆく夏の景

ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)説得力に欠けるようです。
(2)そのままの表現で、報告に終わっているような気がします。
(3)古語の選ぶは四段活用。「選ぼふか」は「選ばむか」のう音便化したもので「選ばうか」です。「なって」は「なりて」。
(4)分かるようで分かりません。「継ぐ足してゆく」は「継ぎ足してゆく」でしょうか。

砂袋砂詰め球児白日傘  三郎(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 良くわかる情景ですが、「白日傘」がどこか他人事です。また、「砂袋に」とされた方が分かりやすいです。上五の字余りは気になりません。

原罪は酢っぱ味のある林檎かな  涼(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 俳句で「原罪」 などの大きなテーマを解説するには無理があります。取り合わせで作るほかないのですが、林檎では聖書の世界をなぞるだけに終わってしまい、広がりが感じられませんでした。

(1)生垣を蜘蛛の囲覆ひ雲のやう  小口 泰與(60代,男)
(2)山百合や榛名に浮ぶ雲若し
(3)浅間にも雲すわりけり土用藤
(4)杉の木に凌霄からむ牧場かな
(5)仰向きて媚びうる小犬冷し酒

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)先日津山へ行って同じような情景を見たばかりです。タナグモというそうですね。棚のようなしっかりした巣がいくつも作られていて、横雲がたなびくようでした。
(2)(3)良いと思いました。
(1)(4)(5)残念ながら報告に終わっています。


2006年8月11日

(1)親譲りにて無鉄砲夏の旅  学(50代,男)
(2)空落ちるごと雨落ちて梅雨了る
(3)月光の海に入りたる樵かな
(4)日高見や山の海なす夏が来る
(5)海鞘食へば海が鳴るなりみちのくは

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)が良いとおもいました。
(1)も面白いです。


2006年8月10日

(1)炎天へスタート時刻迫り来し  文の子(60代,男)
(2)鰯雲年数掛ける基本給
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 どちらも句の中心に物が据えられていないので、機智の句にとどまっています。

白雨ですコリコリ回る小人です  裸時(30代,男)
 背の低い女性が好きです。夕立の楽しい想像です。
ドクター星野の診断と処方箋
 難解です。

磴の風古刹鎮もる夏木立  しんい(60代,女)
 よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「古刹鎮もる」は常套的な表現です。

(1)花火師の火傷の痕や四つ五つ  光子(60代,女)
(2)花火師や刺し子霧吹く夕闇に
 暑い日が続きます.お元気ですか。花火大会に行ってきました。
(3)空爆に母の背中赤き夏
 8月になりますと、思い出します。戦争中、戦後のこと。私は未だ五歳位でしたが、母との想い出を残したいと思いまして詠んでみました。夜空が夕焼けのようでした。
(4)母埋し食料取り出す終戦日
 樹の根元に埋めました。
(5)サイレンに耳を塞ぎて終戦日
 又ご指導下さい.何時も楽しみにしております。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)がいいですね。ただ、「花火師」だけで、「や」と切るには無理があります。「は」か「の」で繋ぐと良いのではないでしょうか。
(3)(4)(5)個人的な体験でありながら、句としては報告に終わってしまいました。戦中、戦後の句は、より具体的なもので提示していただくとよいと思います。

(1)青嵐や名人戦の青畳  小口 泰與(60代,男)
(2)見下ろせば台場の海や冷し酒
(3)備長を熾すやこぼつ渋団扇
(4)水菓子の出荷も増えし日々草
(5)遥かなる出でしこの世や日々草

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
 それぞれ今一歩、物としての対象に迫りきれていません。


2006年8月9日

(1)高挟の山とっぷりと昏れにけり  学(50代,男)
(2)宮城野に妻呼ぶ鹿や萩の露
(3)朝霧に洗はれ来たる放れ馬
(4)玉音のあと休戦の続きけり

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)良いと思いました。
(1)(2)報告に終わっています。
(4)空想的な句だと思いました。戦後世代の戦争句は2次的な情報に頼らざるを得ず、いろいろな意味で難しいと思います。

蝉の声何かを伝えているとても  ノブ(40代,男)
 はじめて投稿します。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「蝉の声は、何かを伝えているとしても、喧しいなあ」ということでしょうか。そこまでは、季語「蝉の声」に含まれています。そこから出発してできるだけ遠くへ行くのが俳句の楽しさです。

蟻の列それいけ地球プラモデル  裸時(30代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 「地球プラモデル」は地球儀のことか、地球」は「プラモデル」だと言っているのかと、迷いました。「プラモデル」を御一考ください。

貨物行くゴトガタとコトカタと蚊帳  汽白(40代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 貨物列車が長く連なっていく感じは伝わります。「蚊帳」の中で聞いているのでしょうね。

万緑やみどりいろいろ分けありぬ  ねぎよしこ(70才以上,女)
 ピアノ鳴り始む。ご指導有難う御座いました。お忙しいところよろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「みどりいろいろ」は「万緑」に含まれる内容だと思いました。季語から離れ、季語を背景として詠まれると世界が広がります。

(1)新品のごと花茣蓙の裏返る  文の子(60代,男)
(2)花茣蓙や吾娘の人形座らせし
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「新品のごと」 が分かりません。花茣蓙の裏は、まだ新しいということでしょうか。
(2)残念ながら報告に終わっています。

(1)野良着褪す色つや増せり雨の茄子  小口 泰與(60代,男)
(2)梔子の黄に傷みゆくあはあはし
(3)降る星を仰ぐや牧の岩清水
(4)酔うほどに話膨らむ空蝉よ

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(3)良いと思いました。
(2)「あはあはし」は不要。

(1)打水や造酒屋の細格子  しんい(60代,女)
 8/2「巻きあぐる造酒屋の青すだれ」の推敲ですが、大差ないでしょうか。
(2)カーナビのままに未知なる青田道
(3)散り際や線香花火と願ひゐし

 いつも有難うございます、お陰様で励みになります。よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)残念ながら報告に終わっています。
(2)良いと思います。「青田道」がお手柄です。
(3)思いが出すぎています。

(1)片陰や横断機会逃したる  文の子(60代,男)
 7/31ご診断の「片陰を陽射大型バス過る」はバスに陽が反射した瞬間ですが、もう少し考えます。
(2)大き荷を影は背負はず炎天下
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)報告に終わっています。
(2)良いと思いました。影の荷に重さがないことは発見です。

(1)青のほか向日葵の空なかりけり  せいち(60代,男)
 色々推敲したのですが、当たり前のようかも知れません。
(2)緑陰に雲見てをれば雲に乗る
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)理屈っぽい印象を与えます。「ありにけり」とストレートに詠まれる方が内容とあっているように思いました。
(2)良いと思います。

雲の峰内視鏡でみる胃の腑かな  遅足(60代,男)
 定期健診で胃カメラを呑みました。これも自分なのかと不思議な気分でした。動いていたりして・・・。日記句なんですが、句としては、どうなんでしょう?診断をお願いします。胃カメラの方は大丈夫でした。
ドクター星野の診断と処方箋
 「内視鏡で見る」は不要です。特別な経験を句になさる時は、冷却、あるいは熟成期間が必要かも知れません。「不思議な気分」がダイレクトに伝わる句になればいいですね。

ひきがえる一郎と呼び名付け親  涼(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 内容はよくわかるのですが、報告に終わっています。

(1)穂高より風の声ありとまとかな  小口 泰與(60代,男)
(2)歩み入る牧は晩夏の朝の風
(3)朝戸出やけふも恐ろし梅雨出水
(4)あしびきの赤城の山の藜かな

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)良いと思いました。
(3)「けふも恐ろし」は「梅雨出水」だけで伝わります。
(4)「あ」で、頭韻を踏んで、大きなものから小さなものへ。良いと思います。

友人の友人と会ふ祭かな  fuji(10代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 報告に終わっています。


2006年8月8日

朽ちてゆく部屋の緑の草茂る  裸時(30代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「部屋の緑の草」が分かりません。「部屋を」あるいは「部屋や」と切る方が分かりやすいと思います。

(1)遠花火夢の行方の定まりぬ  風葉(60代,男)
(2)頚椎を垂直に立て遠花火
 遅い梅雨が明けて、さっそく花火大会がありました。よろしくご診断ください。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「夢の行方」も「遠花火」も漠然としています。
(2)理屈っぽい印象を受けました。
 花火大会を背景に具体的なものや事柄を詠んでほしいと思いました。伝わるものは自然と伝わります。

(1)腰割るは相撲の極意阿波踊  文の子(60代,男)
(2)梅雨明やペディキュア街を闊歩せる
(3)祖母来たる花茣蓙板の間に敷いて

 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)が良いと思いました。
(1)全体が説明的。
(2)報告に終わっています。

(1)雲の峰シュートきまりし子の笑顔  西角悠(70才以上,女)
(2)よき音色残して風鈴電車去る
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「雲の峰」を座五に持ってこられたほうが広がりが出ると思います。
(2)「風鈴電車」の存在を知りませんでしたが、説明に終わっているようです。

(1)これよりは隠居仕事よ空蝉よ  小口泰與(60代,男)
(2)雨音のさ走る朝の涼しさよ
(3)空蝉よ俳句学びてはや三年
(4)忽と消ゆ忽と現る夏の雲

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)良いと思います。
(1)(3)思いが強く出すぎ、読者に入る余地がありません。
(4)「消ゆ」か「現る」かどちらかに焦点を絞ってほしいと思いました。

梅雨の明けベートーベンの第九かな  泰(50代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「ベートーベンの第九」に寄りかかった表現になっています。

催事なきホールの影のさみだるる  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「ホールの影」が分かりません。五月雨の中に影ができるのでしょうか。

バス停にかんな植えたる石油缶  郁子(60代)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 面白いものを見つけられましたね。暑さも極まった感があり、良いと思います。

なつかしき人も集いぬ夏料理  由利子(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「なつかしき人」は彼岸の人と読みました。

チングルマ寄せし顔みな稚児になる  宮本笑子(50代,女)
 初めての投句です。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。「稚児になる」の断定がいいですね。

(1)「兄さん」と呼んでみたき日蝉時雨  詩音(40代,女)
(2)勾玉のごとき吉野の鮎を釣る
(3)本心の零れかけてるサングラス

 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)良いと思いました。
(1)(2)分かるようで分かりません。「日」や「本心」が曖昧なのではないでしょうか。


2006年8月7日

(1)音程を合せつ遠き部室かな  泰(50代,男)
(2)駅々に中央線の夏祭り
(3)弁慶濠に小波の立つ蝉時雨

 梓号の中央本線ではなくて、オレンジ色の中央線です。神田、高円寺、武蔵小金井、八王子など。よろしくご診断お願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。部室の遠さは懐かしさですね。
(2)「中央線の夏祭り」が魅力的な表現になっています。中央線の繋ぐ町々が一斉に祭のシーズンを迎えた、と読みました。「駅々に」は不要。
(3)報告に終わっているようです。

(1)鳥山の立つ夏潮を全速力  走(50代,男)
(2)突いたエイともつれて沖へまた沖へ
(3)片腕の漁師そっとサングラス置く
(4)鼓膜のない珊瑚採りと酌む泡盛
(5)夏の月シーラカンス眠る海へ
(6)航跡もイルカの群れも夕焼ける

 ご批評のほどよろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(6)が良いと思いました。
(2)「「縺れて」は漢字の方が分かりやすいです。 (3)(4)報告に終わっています。
(5)語調が整いません。

(1)日月の闇果てし日の蝉しぐれ  風葉(60代,男)
(2)厨房のどの窓からも青田風
 よろしくご診断願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)内容が伝わりません。
(2)良いと思います。旧家か寺の広い厨房なのでしょう。

(1)工事場に揚羽蝶飛ぶ昼休み  郁子(60代)
(2)夕立を聞きつつ一人爪磨く
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。
(2)報告に終わっているようです。

(1)ほどかれぬ胸のこだわり捩れ花  千鶴子(60代,女)
(2)あきらめを一つ加えて髪洗う
 どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「胸のこだわり」は言いすぎです。「捩り花」 がほどけない、という把握には面白さを感じましたが。
(2)「あきらめ」の中身を表現してほしいと思いました。俳句では抽象的なことばは弱く感じられます。具体的なもので読者に「こだわり」や「あきらめ」を感じさせる表現をめざしてください。

(1)朝もやに鶯の声ハンモック  賀代子(70才以上)
(2)夏の山鳥のコーラス霧の中
ドクター星野の診断と処方箋
(1)できていると思います。
(2)「鳥のコーラス」はやや安易。「夏の山」と「霧の中」はどちらも場所を表わしているので、御一考ください。

(1)木漏れ日を淡くのこして夏の夕  由利子(70才以上)
(2)噴水の虹をくぐりて鳥あそぶ
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「木漏れ日を淡くのこして」は素敵な発見です。「夏の夕」を御一考ください。
(2)良い景だと思いますが、「くぐりて」「あそぶ」が言い過ぎかもしれません。

(1)未だ若い筈の痙攣阿波踊  文の子(60代,男)
(2)出勤すビルの片陰届かずに
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)内容はユーモラスですが余情が感じられません。
(2)良いと思います。


2006年8月6日

初蝉を同じ樹に聞く暮らしかな  涼(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。「去年もこの木だったよ、初蝉の鳴いたのは」という発見が、去年と同じ穏やかな暮しを続けていることにも気づかせてくれたのですね。

(1)西日浴び貧而無諂を誓いをり  北野元玄(60代,男)
(2)朝顔に富而無驕を語り掛け
 愚かにも、出来もしないことを(貧而・・)あるいはありえないことを富而・・)表現してみました。伝わっていますか?貧而・・と富而・・は論語で使われた熟語で、一種の格言として使われています。
(3)西日浴び貧せば鈍せし愚かもの
 ご講評をお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)残念ながら説明がないと伝わりません。「誓いをり」「語り掛け」の主人公は作者ですが、どちらも実際の行動として見えてこないのが難点です。
(3)「貧すれば貪す」をなぞっただけの内容に終わっています。俳句では自嘲的な作は難しいのです。
 俳句は短い文芸ですので、格言などを取り入れると作者自身のオリジナルなものが入る余地がなくなりがちです。御一考ください。

稲妻や君はガ行を語りだす  fuji(10代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 「ガ行」でいいのかどうか迷います。君に魅力を感じないのです。意味を持たせたくないのかもしれませんが、「白夜」などとしてみるのも一案です。

滝つぼの短き虹の欠けらかな  裕子(70才以上,女)
 天空でなく滝つぼの虹は短くても、とてもきれいでした。よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 御句では、「滝つぼの虹の欠けらが短い」という把握ですが、「短き」と「欠けら」は重複した表現になっています。「短き虹」という把握が良いと思いますので御一考ください。

(1)にはたづみ子らの乱せし夏の空  文の子(60代,男)
(2)炎天の平坦地下の上り下り
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)いいと思います
(2)内容がよく分かりませんでした。

(1)大西日光の筋となりて消ゆ  れい(70才以上)
(2)街路灯まだぼんやりと夏の夕
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「消ゆ」は言わずもがな。
(2)報告に終わっています。

(1)虹色の蜥蜴横切る女坂  郁子(60代)
(2)天窓に玻璃玉伝う夏の雨
ドクター星野の診断と処方箋
 残念ながら報告に終わっているように思いました。

(1)緑陰に辞書引く少女髪乱れ  由利子(70才以上)
(2)汗淋漓相打つ力限りなく
ドクター星野の診断と処方箋
(1)懸命な様子が伝わってきます。

(1)蟻の列乱れ巣に入る稲光  賀代子(70才以上)
(2)夏の雨紫蘇の葉くわえ親雀
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「稲光」が説明的です。
(2)良いと思います。「紫蘇の葉くわえ」だけでも良い場面ですが、「夏の雨」がお手柄です。生き生きとした生命感が感じられる佳句。

(1)梅雨晴や車の屋根に猫二匹  小口 泰與(60代,男)
(2)端居より雀に吠える小犬かな
(3)老いてはや時の早きや空蝉よ
(4)あなにやし千日紅の音符かな

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(4)が楽しいと思いました。


2006年8月5日

熱帯夜耳つんざきてオートバイ  しんい(60代,女)
 オートバイの爆音のことなのですが、どうも・・・。よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 残念ながら報告にとどまっています。

(1)雨上がりまだ老鶯のひとしきり  西角悠(70才以上,女)
(2)のうぜんの花ぶら下がる崖っぷち
(3)ふくれっ面何時しか眠る夏座敷
(4)夏茜少年馬を引き戻る

ドクター星野の診断と処方箋
(1)「まだ」は老鶯には不要です。
(2)「ぶら下がる」や「崖っぷち」が雑な印象を与えます。
(3)「何時しか」は常套的な表現です。
(4)いいと思います。

(1)蝦夷の夏漸く地平より車  文の子(60代,男)
 星野ドクター体調を崩されたのでしょうか。そうだとしたら、向暑の砌お大事にな さってください。掲句涼しさをお届けできていますでしょうか。
(2)外股の後ろを小股阿波踊
 暑い句ですが、宜しくお願い致します。
(3)落し文解くを躊躇ひ安宅関
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。北海道の広さを「漸く」という時間表現で上手く表しておられます。一台の車が地平線に現れるまで、辺りに誰もいない静かな時間、大昔からつらなる無窮の時間を感じられたのではないでしょうか。
(2)面白いと思いました。対句的な面白さを狙っておられるなら、「大股の後ろを小股」、あるいは、「外股の後ろ内股」の方がはっきりすると思います。
(3)「安宅関解くを躊躇ふ落し文」はいかがでしょうか。

(1)水遊び犬も邪魔する庭手入れ  小口 泰與(60代,男)
(2)夕菅や焦げんばかりの大浅間
(3)雨斜め瑠璃音高し夏家館
(4)梔子の日照雨あがりて香りけり
(5)犬の餌啄ばむ雀寝茣蓙かな

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(4)良いと思います。
(3)「瑠璃音高し」は表現に無理があるように思いました。
(5)「寝茣蓙かな」は唐突です。

一年ねおんな囁く梅雨の闇  涼(70才以上,男)
 よろしく お願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「おんな」にリアリティが感じられませんでした。

(1)記念樹の屋根凌ぎけり蝉しぐれ  風葉(60代,男)
(2)閑かさや近づくものの蟻地獄
 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。
(2)「近づくものの蟻地獄」が分かるようで分かりません。

(1)梅漬けて瓶覗く吾子頬染める  紫雲(40代,女)
 前に大雑把すぎるとご指導頂いた「梅漬けてこの幾月をいとおしむ」を手直しさ せていただきました。ちょっと解りにくいでしょうか?(^^;)
(2)傘持ちて差すを躊躇ひ白雨かな
(3)何処からか水遊びの声テレビ消す

 ご指導宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良い場面だと思います。梅を漬けたのが作者なら「梅漬けの瓶覗く吾子頬染め て」の方が分かりやすいでしょう。
(2)「躊躇ふ」と切った方が良いと思いますが、全体が白雨の説明になっているよ うに思いました。
(3)「何処からか」は不要です。

(1)硝子戸を遡りたる夕立かな  小口 泰與(60代,男)
(2)夏の朝鳩の羽音の明らかに
(3)大雨に打ちひしがれし蜻蛉かな
(4)睡蓮に鯉あぎといて泡二つ
(5)洗天の道を占めたる蚯蚓かな

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(5)良いと思いました。大げさな表現がユーモラスです。


2006年8月4日

(1)かじか取る児のざわめきや雲の峰  三郎(60代,男)
(2)蜩の鳴きは宴と聞こえけり
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)情景がよくわかります。
(2)「鳴きは」は「鳴くは」でしょうか。「宴」は安易です。

(1)畦道を踏み来し下駄や夏の露  小口 泰與(60代,男)
(2)行々子汽笛鋭く鳴りにけり
(3)犬昼寝そつと上掛け掛けてをり
(4)曙のすがしき大気トマトかな
(5)醜草に沈みし畦や梅雨きのこ

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)良いと思います。
(1)「夏の露」は答えを言ってしまっているようです。
(5)「梅雨きのこ」が合いません。

2006年8月3日

(1)青麦の波一盃の別れかな  学(50代,男)
(2)秋風を袂に隠すいたこかな
(3)放られて一人立ちする水中花
(4)天平の雨はこむらか花野原
(5)波の音に子を産みに行く蛍かな

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)「こむら」 が分かりませんでした。
(1)〜(5)全体に作者から遠いところで作られたような気がしました。

(1)栗の花眉毛マイナー呼吸法  裸時(30代,男)
(2)浮世絵のでんでん玉にカブトムシ
 よろしくお願いしますm(_ _)m
ドクター星野の診断と処方箋
 読み手への指示が少なすぎます。

(1)初蝉や皺のふえたる喉仏  風葉(60代,男)
(2)金魚玉胎児は廻る真昼時
 よろしくご診断ください。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思いました。くっきりとしたセルフポートレートになっています。
(2)問題作ですね。ドグラ・マグラ的世界でしょうか。

生と死のはざまの砂や蟻地獄  涼(男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 全体が「蟻地獄」の説明になっています。そこは前提として、作者独自のものを付け加えてください。あるいは、「蟻地獄」を背景としても良いと思います。

(1)梅干すやほんのり紅のたなごころ  ひでこ(女)
(2)寂聴の世界に入りぬ星月夜
 星野ドクタ−初めまして 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
(1)「ほんのり」は不要です。
(2)「世界に入りぬ」が説明しすぎです。

(1)日高見の水の湧きゐるぬなわかな  学(50代,男)
(2)てのひらに常に居ませり蓮の花
(3)花氷いつもかはらぬ恋ごころ
(4)常長のかくれ屋敷や蕎麦の花
(5)食べぶりは底抜けなりし龍田姫

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)良いと思いました。「隠れ屋敷」でも。
(5)食欲旺盛などなたかを、秋を司る龍田姫に喩えられたのでしょう。楽しい句です。


2006年8月2日

(1)指定切符摂れて帰省の子に伝え  三郎(60代,男)
(2)帰省して音なき夜に落ち着かず
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)良いと思います。

枝払い天を見ている喉仏  風葉(60代,男)
 7/22「口を開け天を見ている枝払い」の推敲です。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。一点凝視の句ですね。
 「枝払う」と上五で切るのも一案です。

術後ケア少し濃い目のサングラス  れい(70才以上)
 よろしくおねがいします。
ドクター星野の診断と処方箋
 状況はとてもよく分かります。が、報告にとどまってしまいました。

(1)巻きあぐる造酒屋の青すだれ  しんい(60代,女)
(2)熱帯夜耳つんざきてオートバイ
ドクター星野の診断と処方箋
 残念ながら(1)(2)とも報告に終わっています。

(1)紫蘇もみてしそより紅き手となりし  えんや(70才以上,男)
(2)図書館の良く冷え本の倒る音
 いつまで経っても上達しません。又、宜しくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)がいいですね。寒冷地帯の森の倒木のように、冷え切った図書館で倒れる本の音は、ことさら大きく響いたのかもしれません。

(1)信長のままに生きたり火取虫  学(50代,男)
(2)練り出して黒光りする獅子頭
(3)浮きとせりどこもまんまる円空仏
(4)絵文字打つ薩摩切子のかき氷
(5)こはれもの注意といふ夕月かな

 一年ぶりですね。またご教示の程よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
(1)「生きたし」はいかがですか。
(2)良いと思います。
(3)「浮きとせり」は「憂きとせり」ですね。
(4)報告に終わっています。
(5)語調が整いません。

送り火や冥土に恋のあらまほし  風葉(60代,男)
 若い女性であっても、成仏した人には恋という煩悩は断たれているハズなのですが……。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。もし、娘や息子が年頃で逝ったのなら、「冥土に恋のあらまほし」は素直に賛成できる内容だと思います。

(1)雪渓や海に小さき鯨の背  文の子(60代,男)
(2)兜虫テレビアンテナより高く
(3)慈雨待たる富士より銀河立ち昇り
(4)少年に大志学舎の夏木立

 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 4句とも良いと思いました。
(1)の対比、(4)の対句的表現が効果を上げています。


2006年8月1日

(1)浅間より良き風吹きて蓮咲けり  小口 泰與(60代,男)
(2)燕の子花のやうなる口をあけ
(3)禅定花野尻湖へと流れ咲き
(4)箱積みの上州駄菓子雲の峰

 よろしくご指導ねがいます。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)が良いと思います。「上州」という地名がいいですね。
(1)「咲けり」(2)「をあけ」が不要ではないでしょうか。
(3)は語調が整いません。

新緑に小心投げて岩風呂に  裸時(30代,男)
 「小心で新緑投げて岩の風呂」を考えてみました。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらの方が分かりやすいと思います。

(1)山海の笊に乗りたる夏料理  風葉(60代,男)
(2)伽藍埋む未生以前の蝉しぐれ
 寺田寅彦の句に『なつかしや 未生以前の青嵐』というのがありますが、類句ということになるのでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。ちょっとしたレトリックなのですが、海や山から直接に運ばれてきたような夏料理になりました。王侯貴族の気分ですね。
(2)古寺名刹の蝉しぐれは、作者の未生以前から夏毎に続いてきたもので、作者はその長い年月に思いを致して作られたものだと思います。一方、寺田寅彦の句は、青嵐になつかしさを感じ、それを、きっと自分が未生以前に吹かれていたからだ、と断定したもの。ですから、内容的に私は類句とは思いません。「伽藍埋む」も蝉の旺盛な生命力を感じさせて良いと思います。

反転す燕は光こぼしけり  遅足(60代,男)
 飛び越すには、たしかに、虹は変ですね。もう少し考えてみます。ありがとうございます。反転す、は、どうなんでしょうか?ちょっと気になるのですが。診断をお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 軽い切れがあると感じました。これで良いと思います。

催事なきホールやひそと梅雨夕焼  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思いました。「梅雨夕焼」が効いています。

(1)山蟻の国境越えてひた走る  せいち(60代,男)
(2)滝呑んで滝壷の吐く喝喝喝
 近郊ハイキングのものです。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「ひた走る」は言いすぎです。俳句にはそっけないくらいの表現がちょうどいいのではないかと思います。

銀杏若葉俄かにピアノ鳴り始める  ねぎよしこ(70才以上)
 上5が動きますか?初夏や、の方がいいでしょうか。御指導お願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「銀杏若葉」いいと思います。座五は「鳴り始む」とされても。

(1)苺摘む赤城茜に染まりけり  小口 泰與(60代,男)
(2)梅雨晴や上野の森のルヴール展
(3)鐘の音とルーヴル展と梅雨晴間
(4)今年はや同じ処や梅雨きのこ
(5)かる一羽水田に残る夕間暮れ

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)これだけ赤いものが揃うと圧巻ですね。
(2)「上野の森のルーブル展」が良いと思います。
(5)も素直に詠まれています。

(1)庭の麦どうかぽつねん内密よ  裸時(30代,男)
(2)目を剥いた教祖の列の日射病
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「内密」が分かりませんでした。
(2)一句全体が他人事のように感じられました。

古寺や砂の崩るる蟻じごく  涼(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「砂の崩るる」は季語「蟻地獄」の説明になってしまっています。

(1)運ばるる玻璃のみどりの夏料理  風葉(60代,男)
(2)初蝉や子の帰り来る日を数ふ
 よろしくご診断ください。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。
(2)内容は「初蝉」とよく合っていますが、「日を数ふ」は言過ぎの様に思いました。

監督の胃癌の手術梅雨半ば  遊飛(50代,男)
 初心者です。俳句になっていますか?
ドクター星野の診断と処方箋
 俳句にはなっていますが、このままでは報告です。また、俳句には、ささやかでも、御自身の発見されたことを詠んでみてください。

(1)草原の斜面彩る禅庭花  しんい(60代,女)
(2)馬の背に揺られ遊びぬ夏野原
 よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)「揺られ遊びぬ」がいいと思いました。「夏野原」は咲いていた花など、具体的なものに。禅庭花でもいいですね。禅庭花はニッコウキスゲのこと、情景がより眼前すると思います。

(1)自販機に赤の二品七変化  文の子(60代,男)
 7/19のご診断有難うございました。「山発ちて地平に注ぐ天の川」は意味が繋がっていることが気になったのですが、中7で軽い切れを感じると伺い得心しました。
 「赤色の残る自販機梅雨晴れ間」は推敲しました。
(2)五月雨やデイバッグより犬の貌
 東京も昨日より梅雨末期の大雨です。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)は以前の作のほうがいいと思います。
(2)報告に終わっています。

(1)捩花の溢れ咲きして踊りけり  小口 泰與(60代,男)
(2)忘草山道忽と消えてをり
(3)をちこちに声沸き起つや揚花火
(4)見馴れたる上州牛や夏茜

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
 全体により独自の把握が感じられるとよくなると思います。