俳句クリニック 2006年8月後半分(ドクター:星野早苗)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。

7月と8月の担当ドクターは星野早苗です。 <プロフィル>
 みなさん、こんにちは。
 俳句という文芸の敷居の低さは、これはもう究極。
 志したその日のうちにできてしまうのがすごいです。
 私はかつてこれに救われたことがありました。
 誰に知られなくても、一句できれば救われる(こともありますよね)。
 俳句生活を共に楽しみましょう。

ドクター星野の診断
2006年9月3日

結界を往きつ戻りつ踊りの輪  言(60代,男)
 俳句のめざすところは?
ドクター星野の診断と処方箋
 概念的な把握ではなく、ものに即した詩的な把握を目指してください。

(1)蒼色に染まる母と子月の道  文の子(60代,男)
(2)月明や丘に古城の浮かびゐて
 星野ドクター2ヶ月間ご指導頂き有難うございました。ご診断を拝見しておりますと、私も1年前よりは進歩したのかなと悦に入っております。未だ未だ暑い日が続きます。御身お大切に。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)ヨーロッパの城を連想しました。「浮かびゐて」は「浮かびゐる」でも。
 一年、二年と長い目で見ると、皆さん、本当に上手になっておられます。文の子さんも、船団に限らず、お近くの句会に出られてはいかがでしょうか。御健吟をお祈りします。

(1)蟋蟀や草に沈みし鴉をり  小口 泰與(60代,男)
(2)爽籟や鬼押出しの光蘚
(3)雲に入る浅間の溶岩や花芒
(4)幾たびも見に丹精の秋の薔薇

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
 どの句も良いと思います。(3)「溶岩」は「いわ」と読みました。

(1)夏痩せの二の腕にょっと出て来をり  言人(60代,男)
 「かろみ」を学びたい。
(2)指で押し押し返される新豆腐
 まだまだ俳句はわからないー。宜しく。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)残念ながら報告に終わっているように思いました。俳句は短い詩形ですので、余情に訴える部分がないと成り立ちません。
(2)「新豆腐」の説明のようです。そこをスタート地点として詠んで見てください。

(1)独善や蜩佞者振る日長  北野元玄(60代,男)
(2)蜩や牛刀なれど殲滅したし
 積薪の嘆の二句についてのコメント有り難うございました。これら二句は無季句で したが、薪の一字で何となく季節感が醸し出されているようにも思います。上二句 も、全く独善的な俳句です。ご講評いただければ幸いです。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)蜩が人にへつらうように鳴く日長と「独善や」との関係が分かりにくいと思いました。蜩は秋、日長は春の季語というのも気になります。「蜩佞者振る」という把握は、作者独自なものですが、「独善」とは思いません。
(2)牛刀は「鶏を割(サ)くにいずくんぞ牛刀を用いん」の用例が知られていますので「牛刀なれど」と言われると戸惑います。

(1)猫じゃらし畦を沈めてをりにけり  小口 泰與(60代,男)
(2)高原の日差しに応ふ法師蝉
(3)嶺嶺をつなぎし靄やばうし花
(4)朝顔の光放ちて赤城かな
(5)山萩や響きて湖の細波

 星野先生、二ヶ月間ご親切なご指導感謝申し上げます。また、いつの日かご指導頂ける事を楽しみにしております。有難う御座いました。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思いました。
 とても自然の良いところにお住まいのようで、気持ちのいい句をたくさん見せていただきました。船団に限らず、お近くの句会にも是非お出かけください。御健吟をお祈りいたします。

(1)アフリカよ西瓜と人の原産地  希岳(50代,男)
(2)蝉穴や縄文人の息せぬか
 前回は有難うございました。自分の感性に今ひとつ自信が持てません。よろしくご診断を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)理屈で作ってあるのが難点ですが、面白いと思いました。
(2)「息せぬか」の疑問形が句の弱さに繋がるように思いました。「息をする」ではいかがでしょうか。

秋の空トランペット澄む広河原  雀の子(60代,男)
 星野先生ご指導有難うございました。報告に終わらない、一字を大切に、等句作りの気をつけたいと思います。お元気でご活躍下さい。
ドクター星野の診断と処方箋
 視点の移動を考えると「秋の空」は座五に持ってこられたほうが自然な気がします。二ヶ月間お付き合い下さり、ありがとうございました。御健吟をお祈りします。

(1)切り傷で鳴る鳴る鳴ると秋の月  裸時(30代,男)
(2)鈴虫の長い毛程にほどけ出す
 星野ドクターいろいろとありがとうございます。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「切り傷」か「鳴る」かどちらかの句を。
(2)「程に」が分かりません。
 「船団」七十号会員作品の「春田今裸人鏡を持っている」良いと思いました。御健吟を。

(1)片言の子に送られて今朝の秋  悠(70才以上,女)
(2)包丁の切れ味試す秋茄子
(3)包丁の先が生み出す秋の味
(4)出刃刺身柳刃とぎて涼新た

ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。「片言の子」と生まれたばかりの秋との取り合せの句とも言えそうです。
(4)面白いと思いました。

太陽が爆発している大夕焼け  堀 直治朗(10代,男)
 10歳の時の作(夏休みの宿題)です。
ドクター星野の診断と処方箋
 10歳で「大夕焼け」などという言葉を知っておられたのですね。句意は 「今日の夕焼けってすごい。太陽が爆発しているみたいだ」子どもらしい素直な句です。

(1)大陸に長江萩は風の中  学(50代,男)
(2)岩山やショベルが空に呑まれたる
(3)身の丈に生きよと父の茗荷汁
(4)涼しさや鰓の出入りの水の群
(5)新緑や先ずは神輿をみがく役
(6)来世には蓑虫であるかもしれむ

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。「長江」は揚子江の正称。
(2)臨場感があり、良いと思います。
(3)(4)(5)良いと思います。
(6)「来世には蓑虫である/かもしれぬ」と読むと面白いかもしれませんね。

(1)口閉じて一礼汗のサラリーマン  学(50代,男)
(2)湯を出でて風のありかや昼の月
(3)螺旋する落下運動熊ン蜂
(4)惑星よ止まれ葛の葉裏返る
(5)舌を出すアインシュタイン原爆忌

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。サラリーマンはスーツで一礼が決まってこそ。
(2)(3)報告にとどまったような気がします。
(4)分かるようで分かりません。
(5)有名な舌を出したアインシュタインの写真と原爆忌の取り合せですが、成功しているとは思えませんでした。

一人寝に雨音沁むる吾亦紅  しんい(60代,女)
 二ヶ月間、拙い句ばかりでしたが、ご指導有難うございました。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。「吾亦紅」の風情が侘しいだけではないものを感じさせます。
 いろいろな句を見せていただき、充実した二ヶ月間でした。残暑に負けず、御健吟ください。

(1)高原はレタス時々そばの花  走(50代,男)
(2)聖橋矢の光陰に大毛蓼
(3)街道に干し綿を売る綿の国
 (インド詠)
 星野先生交代のお知らせがありましたので、最後のご講評を賜りたく。ご指導は大いに勉強になりました。ありがとうございました。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)レタスもそばの花も健やかそうで良いと思います。
(3)「綿の国」という把握がいいと思いました。
 遅いわりに、大雑把な解答にお付き合いくださり、ありがとうございました。

(1)初秋にヒッチハイクを追う蜻蛉  暮春(50代,男)
(2)銃撃戦・切腹・水死盛夏過ぐ
(3)渫はれて玉葱弾む耕運機

 会社の隣に広い玉葱畑があり、ついこの間収穫を終えたところです。よろしくおねがいします。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)良いと思います。
(2)言葉は過激ですが、並列に並べただけでは句になりません。独自の切り口を見せて欲しいと思いました。

(1)坪庭に水打ってより風生まる  悠(70才以上,女)
(2)足湯して又ひと歩き秋の風
(3)蜩にはじまりくまぜみ油蝉

ドクター星野の診断と処方箋
(2)良いと思います。良い気分です。
(1)因果律がはっきりしすぎのようです。

(1)旱天の慈雨去り峡の蒸せる道  文の子(60代,男)
(2)田夫老いて子の服纏ふ案山子かな
(3)望月の隠る平安京なれど

 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)因果関係を解き明かした句になっているようです。
(3)分かるようで分かりません。

(1)露草やせせらぎに足浸しをり  小口 泰與(60代,男)
(2)山萩や山と言えども古墳かな
(3)大食をいましむ髪膚愁思かな
(4)瓢箪のふくぶくしさや朝の風
(5)白萩を見しより朝のまはり道

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)良いと思います。「山萩」の山を掛詞に使っておられるのも、古代を連想させ、佳句だと思いました。
(4)(5)良いと思います。

(1)残る暑さ抜糸の痕に背負(しょ)い歩く  走(50代,男)
(2)掃除機を躱(かわ)したちちろ鳴き混じる
(3)シトロンの葉裏に風のうすみどり
(4)おみなえし黄色い秋へ露払い
(5)トロロそば占いそばと姉の読む

 ご診断ありがとうございます。またよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)内容はよく分かりますが、隙間が無く窮屈です。
 例えば(1)「背負い歩く」は「背負いけり」(2)「鳴き混じる」は「鳴いてお り」でいいのではないでしょうか。
(3)良いと思います。
(4)「黄色い秋」では答えを言ってしまっています。
(5)面白いですね。

朝の陽に 腹みせころがる蝉二匹  なお女(40代,女)
 ここ数日見ているものをそのまま言葉にしたものですが宜しくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 即物的な表現を目指しておられるのかもしれませんが「腹みせころがる蝉」を俳句では「落蝉」とします。このような俳句の言葉を知ると、短い詩形でも、その先に行ける可能性が出てきます。

(1)送り火やこれ見納めと老婦人  墨童(60代,男)
(2)送り火は大宴会のプレリュード
 長い夏休み(俳句を創る)を取っていました。京都に転居して七年目。毎年、場所を変えて送り火を見物しています。(1)は、昨年のことですが、某高級ホテルの屋上で、車椅子の老婦人が孫娘らしい若い人に小声で話しかけている場面に出会いました。(2)私たち俗人=平均年齢60ウン才=は、左大文字が消えかける午後八時半過ぎに、それを合図に場所を地下の飲み屋に代えて、深夜近くまで歓談する習しが・・・。さて、そんな情感が読み手に伝わるでしょうか!?
ドクター星野の診断と処方箋
 内容はよく分かりますが、報告に終わっているように思いました。毎年送り火を見ることができるのは、京都だからこそかもしれませんね。何句も作る中から、現代の送り火の一句が得られるのではないかと思います。

(1)夏雲やもみじマークに乗るふたり  藤太郎(50代,男)
(2)片蔭や穴あきジーンズ闊歩して
(3)髪黒くもどして夏の終わりたり

 初心者です。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。「夏雲」の若々しさが「ふたり」を上手く表現しています。
(2)(3)は残念ながら報告にとどまっているようです。

(1)底深き湖より湧きて水澄めり  文の子(60代,男)
(2)半畳の庭の高楼水を打つ
(3)望月の隠る平安京なれど
(4)長崎の屋根に十字架田に案山子

 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)「長崎の屋根に十字架」は発見だと思います。「田に案山子」と早急に結論付けず、じっくりと考えていただきたいと思いました。

(1)湧き水に西瓜浸して山の宿  西角悠(70才以上,女)
(2)山里の空に群れとぶ赤とんぼ
ドクター星野の診断と処方箋
 残念ながら報告にとどまっているようです。「山の宿」「山里」が、句を一般化しすぎていると思いました。

(1)空は今大編隊の敵機来る  北野元玄(60代,男)
(2)鬼が来てこの夏日本は負けると言ふ
(3)鬼の謂い新型爆弾落ちるてふ
(4)日の丸に絶対愛を誓いてし
(5)身を清め玉音放送拝聴す
(6)帝国は破れ饒舌のみ残り

 モンゴルから帰ってきました。モンゴルでの俳句はこれから推敲をして、良さそうなものから発表します。今日はモンゴル出発以前の作句によるものです。連作みたいになってしまいましたが、一句一句独立した俳句であると、少なくとも本人はそう考えております。ご講評をお願いいたします。東京大空襲や原爆、敗戦とそれぞれ日時がわかりましょうが、小生としては季語のあるなしには全く拘っておりません。
ドクター星野の診断と処方箋
 どの句もスタート地点の句であると思いました。発想がまだまだ概念的で、固有のもののイメージにまで追い詰められていません。

(1)カンナカンナ男言葉の少女達  せいち(60代,男)
(2)向き合つて食ぶ一房の葡萄かな
(3)爽やかに山に捨て行く海の恋

 (3)は、かなり昔の出来事です。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)良いと思います。
(3)山と海のコントラストが強すぎ、内容まで作り事に感じられるのは残念です。「海の恋」を御一考ください。

蚊と思ひ黒子を叩く将棋かな  雀の子(60代,男)
 俳句と言えるでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
 「蚊と思ひ」は不要。「蚊を打って」ならいいかもしれません。

(1)露草や八入の紺の今朝の空  小口 泰與(60代,男)
(2)萩の風古りし石階伊香保かな
(3)松籟や朝顔の紺今朝の空
(4)迂回せり神の岩座法師蝉

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)が良いと思いました。


2006年9月2日

ひと雨の後の色なき風の村   彩貴(40代,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。雨に洗われて、「色なき風」は秋を表わしますね。

(1)黄金の稲分け進む列車かな  泰(50代,男)
(2)暁に蝉鳴き始む藤村忌
(3)白桃を丸ごとかじる朝一番

 宜しくご指導お願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 (1)良いと思います。現代では、幻想的な風景ですね。
 (2)良いと思います。

(1)ジャボンジャボンジャー 台風一過 明けの海  仁楽(50代,男)
 「明けの海」を「浜に立つ」ではどうでしょう?
(2)(2)ぷるぷると 二の腕まぶし きみの夏
 「ぷるんぷるんなまめく二の腕君の夏」、「なまめかしにのうでぷるり夏もよし」はどうでしょう?
ドクター星野の診断と処方箋
(1)ナンセンスなオノマトペですが、「台風一過」なら。一字空けはなくても分かります。「明けの海」は「明ける海」とされた方が良いかもしれません。「浜に立つ」なら「台風一過の浜に立つ」。
(2)内容に新鮮さを感じませんでした。「まぶし」「なまめく」も言いすぎではないでしょうか。

文月や闇に炎(ほむら)の残りをり  裕子(70才以上,女)
 下五の(残りをり)又は(残りあり)に迷いました。宜しくご指導下さい。
ドクター星野の診断と処方箋
 「残りをり」で良いと思います。

(1)炎帝や車庫に引込む消防車   文の子(60代,男)
(2)炎昼の街は道幅拡がりぬ
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
面白いと思いましたが、因果関係が見えすぎるかもしれません。
二番目の句は、炎昼や、と切られた方がいいのではないでしょうか。


2006年9月1日

(1)雁行や山を茜にしたたらす  小口 泰與(60代,男)
(2)へら泛子を沈めてをるや赤とんぼ
(3)突風に馬追の声それつきり
(4)赤とんぼ今朝の赤城は雲着たり

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)(3)が良いと思いました。
(1)(4)作為のようなものが感じられます。

(1)栗林陸のマリモのをちこちに  ひでこ(女)
(2)唐辛子赤と緑が競ひ合ふ
(3)稲の穂やあちこち向いて喜べり

 朝の散歩の句です。幼稚ですみません。宜しくご指導下さい。
ドクター星野の診断と処方箋
 どの句もちょっとした発見を素直に詠んでおられ、好感が持てましたが、(1)「をちこち」(2)「赤と緑」(3)「あちこち」 と、目に入ったものを並列に並べてしまう癖が気になりました。視点を一つに定めて、じっくり詠んでみてください。

歓声が届き風鈴鳴りにけり  遊飛(50代,男)
 歓声の熱さと風鈴の涼しさ、平凡でしょうか?
ドクター星野の診断と処方箋
 高校野球でしょう。偶然の一致を因果があるかのように詠まれ、楽しい句だと思います。

朝顔や塀に干されし子供靴  裕子(70才以上,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。

(1)飼ひ犬と人と綱引き秋暑し  文の子(60代,男)
(2)原稿の朱筆に塗れ秋暑し
(3)子は向かふ岸に八月十五日
(4)秋暑し英語の続くアナウンス

 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。まだまだ暑い日が続きますね。
(2)内容は分かりますが「朱筆に塗られ」は言いすぎですし、季語との距離も近すぎではないでしょうか。
(3)とても良いと思います。寂しい感じがします。

種無しの西瓜を頬張る妻と母  阿久津 徹(60代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 「妻と母」がいいですね。律儀に「を」を入れておられるのも「種無しの西瓜」だから「頬張る」のだと言っておられるようです。どのようにも読める句ですが、余分なことを言わない白黒の映画を観ているような味わいを感じました。

(1)唐金の墳墓厳し鬼やんま  小口 泰與(60代,男)
(2)群蜻蛉いと速やかに散りにけり
(3)青嶺より木洩れ日ありて懸巣かな
(4)いとけなき朝顔の蔓中天へ
(5)けふの利根いとど濁りし秋気かな

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。「唐金(からかね=青銅)の墳墓」にイメージが脹らみました。チベットかどこか外国にありそうですね。
(2)〜(5)句の中で、答えを出してしまっています。読む楽しみがありません。

(1)機械小さく青年の汗烈し  満山(50代,男)
(2)汗の身の父と行き交う橋の上
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 二句ともに確かな目線が感じられ、佳句だと思います。

踊り子や真一文字に紅ひいて  加護坊(70才以上,男)
 盆踊り。
ドクター星野の診断と処方箋
 「真一文字に紅」をひく踊り子の懸命さ、良いと思います。

絵馬堂を揺るがさんかな法師蝉  しんい(60代,女)
 よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 できていると思います。


2006年8月31日

ハードロックのボリューム上げて夏惜しむ  彩貴(40代,女)
 宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 分かる気がしました。

夏の果て無人列車が動き出す  暮春(50代,男)
 先ほどのニュースでJR東海の無人列車が、車輪止めをつけなかったばかりに、とろとろと走り出したという話を聴いて 思わず笑ってしまいました。よろしくご指導ください。「夏の果て」という季語がな んともいい語感に思えます。
ドクター星野の診断と処方箋
 事実を離れても面白い句ですね。「が」は「の」とされても。

(1)鳳仙花お国なまりのメロン売り  加護坊(70才以上,男)
(2)朝靄の中に母乳の香稲の花
 おっぱいのにおい。
(3)稲の香の匂う畦道めぐりけり
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)良いと思います。「母乳」は「乳」でも。

(1)いずこより打ち寄せるごと蝉時雨  西角悠(70才以上,女)
(2)画用紙に朝顔の花はみだして
(3)山夕焼け車道を牛の横ぎれる

 よろしくおねがいします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「いずこより」の後に切れがあるのですが分かりにくいかもしれません。
(2)(3)良いと思います。

並列なぬるぶぬらんと冷し瓜  裸時(30代,男)
 「同じようぬるぶぬらんと冷し瓜」を推敲してみました。エアコンのリモコンの電池が切れて交換しました。電池は直列でしたけれども(^^;
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。


2006年8月30日

(1)見世物になりて生きたり原爆忌  学(50代,男)
(2)殺してと叫ぶ子のをり原爆忌
(3)糸とんぼ水のはなるゝ水の音
(4)行秋や鬼の住みたる能舞台
(5)俺だって泣きたい日あり冬帽子

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)あえてこのように詠む動機がどこにあるのでしょうか。
(3)あと一息言葉を整理すれば成立すると思います。

鬼百合よ来い来い脂肪耳の中  裸時(30代,男)
 今日は俳句の日ですね→
ドクター星野の診断と処方箋
 自虐とある種の美学が並びたっています。

(1)みちのくの闇がたぎるや夏祭り  学(50代,男)
(2)生きるとは旅をすること翁の忌
(3)文化の日でんぐりかえる森光子
(4)天の人呼ぶ松島の山ざくら
(5)帆を張りて奥の松島夕焼けす

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
 どの句も面白いと思います。
(2)「翁の忌」は芭蕉忌、(3)森光子がでんぐりがえるのは「放浪記」ですね。

送り火や逢ふ日を約し一人飲む  雀の子(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。が、意味がありすぎるかも知れません。

田の畔(クロ)に祀リてありし胡瓜馬  けんじ(70才以上,男)
 お盆の日、胡瓜に爪楊枝の足をつけて馬のかたちで祭る風俗があるらし、思わず胡 瓜馬と詠みましたが如何でしょうか?
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。

(1)遠江黒き遠嶺に雲の峰  文の子(60代,男)
(2)水澄むやちびっこギャング帰り去り
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)面白いと思いました。

(1)生り終えし 苦瓜の鉢 水をやり  真鍋 純一(70才以上,男)
(2)ぷちトマト 届かぬところ 孫が採り
 初心者です、宜しくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 内容はよくわかり、素直に詠んでおられると思います。ただ、普通は一行に字を空 けずに書いても、俳句は充分伝わります。読み方は読み手に任せて、大らかに詠まれ ると良いと思います。尚、切れは次のようになります。
(1)生り終えし苦瓜の鉢/水をやり
 「水をやり」は「水をやる」とされた方が、引き締まると思いました。
(2)プチトマト/届かぬところは孫が採り
 「は」を補った方が分かり易いと思います。

新涼やつんと潮の香風匂ふ  しんい(60代,女)
 三段切れとなるのでしょうか。よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 そうですね。「つんと潮の香過ぎにけり」「つんと潮風匂いけり」など、考えてみてください。

(1)五羽の禽南に飛ぶや秋の虹  小口 泰與(60代,男)
(2)秋虹をくぐりて行くや五羽の禽
(3)ざわざよと稲田潤す風吹けり
(4)秋蝉のここぞとばかり鳴きにけり
(5)鳴き竜の虫の音色や日光山

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)「稲田潤す風」が面白いと思いました。
(5)「鳴き竜」と「虫の音色」の関連がよくわかりません。谷底に鳴く虫の音が山に響いているのでしょうか。


2006年8月29日

(1)田水引く生き生きしたる老人ら  学(50代,男)
(2)みちのくや闇たぎりたる夏祭り
(3)涼しさや水のはなるゝ水の音
(4)十六夜の白く入り来る奥座敷
(5)けあらしや勘で網さす親子舟

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)面白いと思いました。
(2)(4)良いと思います。
(3)「水のはなるゝ」(5)「勘で網さす」が具体的にイメージできませんでした。

芋虫へにじり寄りたる犬っころ  しんい(60代,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 良い場面だと思います。「犬っころ」は小犬の意に解釈しました。

(1)大返しなせし山崎雲の峰  文の子(60代,男)
(2)湖澄めり逢坂山を潜り抜け
 水澄むの季語はこのような使い方でも良いのでしょうか。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)良いと思います。ただはっきり季語として使うのであれば、「湖澄めり」で切って、「逢坂山を潜り抜け」てきたのは作者だ、と、解釈する必要があります。「逢坂山を潜り抜け」てきたのが水で、それが「湖澄めり」の原因となっているのだよ、と読むと、「湖澄む」は季語にはなりにくいです。しかし、秋季は感じられますね。私は後者の解釈で良いと思います。

(1)百日紅墓参の里の山静か  光子(60代,女)
(2)寺の鯉共によりたる方日影
(3)故郷の山隠したる雲の峰
(4)山すそを包むが如く夏の霧
(5)赤とんぼ群れて小さき手を合わせ

 お盆の、墓参りの日記です。暑い日が続くいております。宜しくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 連作もいいですね。どれも良い景が捉えられていると思います。
(2)「供によりたる」「方日影」が分かりにくいと思いました。
(4)「〜が如く」は不要。

(1)露草やけふの赤城は雲背負ひ  小口 泰與(60代,男)
(2)いたづらに揺れし花あり尾花かな
(3)いち早く咲きし朝顔朝月夜
(4)いつしかに雲何処にや星月夜

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「雲背負ひ」は「雲を負ひ」でも。
(3)良いと思いました。「朝月夜」は月の残っている明け方、アサのリフレインも楽しいです。

御仏の鼻に翳あり合歓の花  遅足(60代,男)
 暑い日が続いて、俳句もなかなか作る気力が・・・。鼻でいいのかな?と思っています。どうでしょうか?診断をお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。繊細な感じがしましたが…。

(1)岩清水風さわさわと秋立ちぬ  裕子(70才以上,女)
(2)秋風やさわさわ流る谷清水
 翡翠のすむ川です。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)がいいと思いました。


2006年8月28日

(1)重き霧湖面に重き布の毎  小口 泰與(60代,男)
(2)朝顔の蕾ほつほつ星明り
(3)いたいけの朝顔の蔓天心へ
(4)老犬のいたく痩せをり霧深し
(5)九十九折りすぐるや忽と女郎花

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)がいいと思いました。
(3)「いたいけ」や(4)「霧深し」は読者の想像に任せるべきところではないでしょうか。

(1)十六夜の月をグラスに掬ふかな  詩音(40代,女)
(2)闇に置く切られカンナもピストルも
(3)石舞台ゆたかに拭ふ大夕立

  一昨日こちらでは大変激しい雷雨がありました。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)石舞台の大夕立、見てみたいと思いました。一語一語に演技過剰の感があります。「ゆたかに」も再考の余地があるかもしれません。

(1)炎天下はなれし犬を追い戻す  西角悠(70才以上,女)
(2)涼風に揺れて又澄む川の月
(3)満天の星を仰ぎて虫時雨
(4)遊歩道夾竹桃の燃え盛る

ドクター星野の診断と処方箋
 残念ながら四句ともあと一歩の感を受けました。ある種の飛躍が起こるところま で、句を追い詰める必要がありそうです。

(1)みちのくは星の国なり夏祭り  学(50代,男)
(2)みちのくは金の蓮のひらきけり
(3)葦焼や舟にて帰る子のをりぬ
(4)みどり児の水のたわわな初湯かな
(5)たましひのぼろぼろとなる秋の川
(6)冬帝の胸の扉あけて座礁船

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(3)良いと思いました。
(3)(4)表現に対する意欲を感じました。

(1)積薪をわがこととして七十年  北野元玄(60代,男)
(2)積薪を嘆くべからず君子の楽
 前回はありがとうございました。本日は上二句について、ご講評をお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)ともに作者の思いが前に出すぎており、読者に入る余地がありません。

(1)色鳥やモーターボート波こぼつ  小口 泰與(60代,男)
(2)虫鳴くやラジコーンカー急停車
(3)霧纏ひ柳いつそうあはあはし
(4)霧迅しパワーボートと並列し
(5)虫時雨腹をけられて目覚めけり

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)、(5)が面白いと思いました。夏休みにお孫さんが来られたのでしょうか。
(2)の「ラジコーンカー」は無理な表現ですので、「ラジコンカーの」とされるとよいと思います。


2006年8月27日

酒蔵の暗きにならぶ新走  涼(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 内容はよく分かるのですが、残念ながら報告にとどまっているようです。

(1)公園の砂場に咲ける月見草  希岳(50代,男)
(2)廃屋にノウゼンカズラ似つかはし
 ご教示お願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)ポエジーの芽のようなものを感じました。
(2)「似つかはし」は言いすぎているようです。

(1)匿怨而友其人を恥ず原爆忌  北野元玄(60代,男)
(2)願はくば悟動の法を原爆忌
 原爆忌の二句です。(1)は論語からとりました。音読みで詠んでおります。
ドクター星野の診断と処方箋
 作者独自の「原爆忌」に対する具体的な把握を読みたいと思いました。

(1)朝顔の光息づく籬かな  小口 泰與(60代,男)
(2)萩咲くや湯煙立ちし磴の町
(3)秋茜誘ふ道筋消えてをり
(4)秋光や赤城の裾のすつきりと

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)と(4)は、すっきりとやさしい言葉でまとまっており、良いと思いました。

すみれ草日々すみずみのいとほしさ  宮本笑子(50代,女)
 朝の散歩時にふと幸せを感じ詠んでみました。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「日々すみずみ」は、時間的にも空間的にも一般化させすぎています。もう少し限定してほしいと思いました。

(1)水澄むや茅葺屋根の浮かびゐて  文の子(60代,男)
(2)秋風や朝日険しき石の段
(3)金網を解かれたる墓秋高し

「徳川宗春の墓」と添えたいのですが、如何でしょうか。
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「浮かびゐて」は水に映っているのでしょうか。説明的かも知れません。
(2)良いと思います。
(3)「金網を解かれたる墓」には好悪が別れるかもしれません。添え書きはあった方が分かりやすそうです。


2006年8月26日

鳴き過ぎの蝉いささかも悪びれず  尼の久女(60代,女)
 毎日早朝よりの蝉に大合唱。 そのままですが、如何でしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。「いささかも」に蝉の自信の程がうかがえますね。

ポプラの木夜停止にて固くなる  裸時(30代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 「夜停止にて」という作者の対象把握に、読者が付いていきにくく感じました。

やれ蹴るな素人客の踊りの輪  言人・大阪(60代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 「素人客」にやや引っかかりを感じました。

(1)こころには父母のゐる無月かな  学(50代,男)
(2)三輪車父を越へたる鰯雲
(3)太陽を盗み取りたり黒揚羽
(4)麦秋の波を越へくる帽子かな
(5)挽かれてはすぐに打たれし蕎麦の実は

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。
(2)「越へたる」は、「越ゆ」(下二段活用)の連用形「越え」で「越えたる」に。
(4)も同様で、「越えくる」。「帽子」に意外性がありません。
(3)(5)作者の考えを説明してしまうと、読者の入る余地がなくなります。

職人ら種を飛ばして西瓜食う  いろは(60代,男)
 初投句、よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。

(1)薪能乱るほむらや翁舞  しんい(60代,女)
(2)外海の寄す波確かと秋めけり
 お願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「薪能」であることは、「ほむら」で分かりますので、字数が惜しいように思いました。
(2)できていると思います。

(1)新しい提灯もあり地蔵盆  はね(40代,女)
(2)金襴の袈裟の試着や盂蘭盆会
ドクター星野の診断と処方箋
(1)新しい提灯は、最近町内に生まれた赤ちゃんのもの。 内容は分かりますが、残念ながら句は報告にとどまっているようです。
(2)「や」を御一考ください。


2006年8月25日

(1)夜深しぶだう一房ありにけり  裕子(70才以上,女)
(2)カーテンの裾に陽の揺れ秋来たる
(3)ひと言を温めて見舞ふ秋の風

ドクター星野の診断と処方箋
(1)「ぶだう」はもちろん黒葡萄でしょう。黒々と重い一房が目に浮かびます。
(2)「陽の揺れ」が穏やかな陽光と風を感じさせます。
(3)「ひと言を温めて見舞ふ」がいいと思いました。寂しさより優しさを感じさせる「秋の風」ですね。

(1)雷鳴やさかしらにテロ語る人  北野元玄(60代,男)
(2)青栗のイガイガの棘雲の峰
 ご講評をお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「さかしらに」は言いすぎです。
(2)独自の発見に欠けるように思います。

(1)塵芥を寄せない高さ花木槿  走(50代,男)
(2)とうきびの芯とうきびの海へ投げた
 ご指導ありがとうございます。ご指摘いただきました既投稿句、それぞれ以下のよ うに直しました。「アジ干物海苔生たまご日曜日」は「アジ干物海苔朝たまご日曜 日」、「牛乳の牛乳らしく滝しぶき」は「牛乳の牛乳らしさ滝しぶき」、「椰子鉈を口に少年するすると」は「少年の鉈光って椰子の実ひとつ」、「鼓膜のない珊瑚採り と汲む泡盛」は「泡盛干し鼓膜はないと珊瑚採り」。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)がいいと思います。「とうきびの海」はとうきび畑と理解しました。

(1)朝顔を寝そべって画く姉妹  西角悠(70才以上,女)
(2)赤とんぼ子は宿題をもてあまし
(3)帰国娘の話途切れぬ夜の秋

 よろしくおねがいします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)がいいと思います。
(2)(3)は残念ながら報告にとどまっています。

(1)秋草や吾嬬に祀る媛尊(みこと)  文の子(60代,男)
(2)濁世(じょくせ)より富士に入る界水澄めり
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)慣用表現なのでしょうか。よく分かりませんでした。
(2)いいと思います。

(1)蜩の昼に鳴くのも有りぬべし  小口 泰與(60代,男)
(2)秋の夜や史記に魅せられ寝を惜しむ
(3)上州の稲妻無常厳つけれ
(4)石階を上り宿屋や月見豆

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
 残念ながら今回は四句とも報告にとどまっている様に思いました。


2006年8月21日

(1)秋暑しポチという名の犬果てて  ひでこ(女)
(2)向日葵や太陽(日)を追い駆ける一途さよ
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「ポチ」は犬の名前として定着していますので、「という名の犬」は省略できます。「ポチ果てて」と「秋暑し」の間に何を入れるか、いろいろと考えてみてください。
(2)独自の発見が無いように思いました。

激辛のカレーおかわり猛暑かな  保子(70才以上,女)
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 内容はよく分かるのですが、「激辛」と「猛暑」の取り合わせには意外性が感じられません。

(1)うすがみを重ねる晩夏耳を病み  満山(50代,男)
(2)ツナ缶をカラリと開ける今朝の秋
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思いました。本人にしか分からない感覚が捉えられているようです。ただ、「病み」は説明的。「病む」と終止形にされた方が、「うすがみを重ねる晩夏」とぶつかり合い、印象鮮明になると思います。
(2)プルトップですね。

(1)草刈りの匂いを浴びる散歩かな  雀々子(60代,男)
(2)夏草や袖が触れ合う道となり
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。
(2)「袖の触れ合う道となる」とされた方が良いと思いますが、単に夏草が両側から生い茂ってきて道幅が狭くなったよ、というだけでは、報告のようです。しかし、そんな道を、誰かとすれ違った瞬間なら、句にする価値がありそうですね。

(1)朝顔や雲ひとつ無き赤城山  小口 泰與(60代,男)
(2)ワイパーの阿修羅の如き山の霧
(3)日矢に撃たれし朝顔の和紙の毎
(4)訪ねしは友の住まひや霧時雨
(5)靴先に露含みけり朝月夜

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(5)良いと思います。
(2)「阿修羅の如き」がワイパーに掛かっているなら「ワイパーは阿修羅の如し」と切った方が分かりやすいと思いました。
(3)「和紙の毎」は、「和紙のごとく」の意なら「ごと」はひらがなに。
(4)報告に終わっているようです。

(1)馴鮓や螺旋状の夫婦かな  松岡 淑基(70才以上,男)
(2)入院や日記の空白蝉時雨
(3)コスモスは風に撫でられこそばゆそう

 こんにちは。二度目です。よろしくご指導下さい。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「螺旋状の夫婦」が難解です。
(2)「や」で切る必要を感じません。「入院の日記の空白」で良いと思います。
(3)「こそばゆそう」は言い過ぎのように感じました。俳句では、作者が「こそばゆき」と感じられることを詠まれた方が、読者の共感を得るのではないでしょうか。


2006年8月20日

滝つぼの短き虹の震ひかな  裕子(70才以上,女)
 8月6日の「滝つぼの短き虹の欠けらかな」で、「短きと、欠けらの意味が重複する」との、ご指摘ありがとうございました。掲句のように推敲いたしましたがいかがでしょうか。宜しくご指導下さいませ。
ドクター星野の診断と処方箋
 良いと思います。滝つぼの虹の微妙な様子によく着目されています。震ふの連用形「震ひ」を名詞として使っておられるのも味わい深いと思いました。

(1)けんかして車窓に土手の夾竹桃  汽白(40代,男)
(2)空中に妻のひざかな扇風機
 いつも、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)事実であるとすれば成り立つ句です。「土手の」という限定も良いと思います。
(2)「空中に」が分かりにくいのですが、幻の妻の膝枕、と読みました。

蟻の列それいけ地球のプラモデル  裸時(30代,男)
 「の」を入れてみました。小さな実験、大きな地球も実験されているかも。
ドクター星野の診断と処方箋
 蟻や甲虫などの昆虫は、確かにメカニカルですが、まだまだ実験の結果は現れていないようです。

灯篭の影ぞ妖しき盆の舞  棋鶴(50代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 「妖しき」は言い過ぎているように思いました。

(1)早々と夕立危ぶみ散歩かな  小口 泰與(60代,男)
(2)渓流の浮石ありて草矢かな
(3)向日葵や一水の日矢晃晃と
(4)売つている有機とまとや漢方医

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(4)内容はよく分かるのですが、詩情が感じられません。
(2)「浮石」と「草矢」との関係がよく分かりません。
(3)「向日葵」と「一水の日矢」の取り合わせに意外性がありません。


2006年8月19日

(1)堆き未決の書類秋暑し  文の子(60代,男)
(2)空いてゐし隣に人来秋暑し
(3)檄文とグラフ貼る部屋秋暑し
(4)朝日さす義仲寺秋の風と行く

 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(3)良いと思います。季語は少し離して考えられても。
(4)語調が整いません。

(1)物の怪もつちのこも来る夜の清水  せいち(60代,男)
(2)膨らみてはまた滴りて水の星
(3)谷音の響くテントや夏の月

 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(3)良いと思います。
(2)良いと思います。「は」はなくても。

(1)花火鳴る現実欲しい猫の昼  裸時(30代,男)
(2)警棒と二人乗りシール蝉の殻
(3)浴衣から欲望強い猿時計
(4)同じようぬるぶぬらんと冷し瓜

 アイディアは書き留めていたのですが季語をつけて送ります。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。
(4)オノマトペは独創的ですが「同じよう」は冗漫です。
(2)(3)具体的な物や事柄で、読者に伝わる表現を。

十八歳まで南風をきいてゐる  fuji(10代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 「十八歳まで」が冗漫です。俳句は長い時間より、一瞬を切り取るのに適した文芸なので、「十八歳のぼく南風を聞いている」。


2006年8月18日

(1)風にゆれいろはにほへと酔芙蓉  ひでこ(女)
(2)秋暑し胸のこだわり解けぬまま
 宜しくご指導下さい。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「いろはにほへと」をどう読むか、意見が分かれそうですね。花を数える数え歌として読みました。風に揺れる酔芙蓉、良いと思います。
(2)「胸のこだわり」が読者には伝わりません。

(1)網持ちて空蝉籠に笑い声  光子(60代,女)
(2)日盛りにからす噴水急降下
 公園を通りぬけた時,目にとまりました。
(3)大の親赤子の寝息夏座敷
(4)露涼し木漏れ日の下万歩計
(5)シャボン玉お花畑や蒼き宇宙−「そら」

 幼い子供の哀しい事件が多すぎます。彼等の冥福を祈りたく思いました。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「笑い声」の主体が、網を持っている子どもなのか空蝉なのか、迷います。蝉は一匹も捕れなくても、空蝉を籠に入れて機嫌良く笑いながら帰ってきた子どもたちはとてもいいと思います。「空蝉籠に笑い合う」くらいでしょうか。
(2)(3)報告に終わっているようです。
(4)良いと思います。「木漏れ日の中」でも。
(5)一句に言葉を詰め込みすぎているように思います。「シャボン玉」で意図は分かるのですが。

信号待つナース二人や白日傘  雀雀子(60代,男)
 俳句は全くの素人で初めての投句です。よろしくご指導お願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 素直にすっきりと作っておられると思います。ただ、「白日傘」はこの句の場合、「ナース二人」を指していると思いますので、省略できます。代わりに、その光景を見て感じられたことや背景などを表わす何か(できれば季語)を持ってこられると、より良い一句になります。また、どうしても「白日傘」を詠みたい場合は「ナース二人の白日傘」。

(1)梔子の喘ぎて薄茶くづるとき  小口 泰與(60代,男)
(2)雲のなき焼ける浅間や黄菅咲く
(3)天霧らふ祭太鼓の響きけり
(4)煽らるる麦稈帽を押さへをり

 なお、「忽と消ゆ忽と現る夏の雲」を「忽と消ゆ山の夏雲ありにけり」と推敲いたしました。よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「梔子の喘ぎて」の擬人法を御一考ください。
(2)良いと思います。「雲なくて」でも。
(3)(4)報告に終わっているように思いました。
 「忽と消ゆ」で切れるとすると「ありにけり」との時間的な関係が分かりにくく思いました。「消ゆ」は連体形の「消ゆる」でしょうか。

(1)滝に打たれて足元に虹を見る  学(50代,男)
(2)向日葵の日に背くもの二つ三つ
(3)どこからか湧き出て来たる濁り酒
(4)あかぎれの染みたる和紙の明り取り
(5)雪原に乳を捨てたる親子かな

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)が良いと思います。
(2)「背く」(4)「あかぎれの染みたる」は言いすぎではないでしょうか。
(5)報告に終わっているような気がします。


2006年8月16日

(1)炎天下地下への階(はし)の上り下り  文の子(60代,男)
 「炎天の平坦地下の上り下り」を推敲しました。
(2)身を捩る苔の石段遠花火
(3)秋立ちぬ赤きポストに影伸びて
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「上り下り」と言う並列は緊張感に欠けます。
(2)臨場感を感じ、良いと思います。
(3)「今朝の秋」も一案でしょう。

(1)苦瓜と通天閣の低さかな  詩音(40代,女)
(2)傾いて回る地球儀大旱
(3)紅筆や金魚ゆらりと泳ぎ出づ

 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 今回は三句ともポエジーの在り所が分かりませんでした。

(1)児と話すとき片陰に収まれり  文の子(60代,男)
(2)夏ゴルフビギナーの妻宥めつつ
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。
(2)報告に終わっています。

青林檎女ちらりとコケティッシュ  涼(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 コケティッシュが伝わる内容が必要です。