俳句クリニック 2006年11月前半分(ドクター:三宅やよい)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。

11月と12月の担当ドクターは三宅やよいです。
<プロフィル>
 神戸生まれ。
 結婚して二十数年。鹿児島から東京まで全国を転々。
 現在は練馬区在住。
 句集『玩具帳』(2000年、蝸牛新社)。

 アバウト、おおざっぱなO型性格。
 一日を終えた夜、みなさまと俳句の旅を楽しみたいと思っています。
 どうかよろしくお願いいたします。

ドクター三宅の診断
2006年11月15日

減らそうと思へど減らぬ賀状かな  春雪(70才以上,男)
 三宅先生 こんばんは 春雪です。そろそろ年賀状の準備期間です。毎年400 枚ほど出すのですが、職を辞して6年、どうしたら減らせられるのか、頭を痛めてい ます。(>_<)
ドクター三宅の診断と処方箋
 そうですね。400枚はたいへんですね。
 実感だと思いますが、句が減らそうと思うけど、減らせなくてたいへんなんだよね、といった感想めいたものになってしまったように思います。年賀状をわきに積んで四苦八苦している、その様子そのものをさらっと詠まれてみてはいかがでしょう。

枯草を集めて温し秘密基地  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 今度は秘密基地の中でしょうか。よろしいのでは。

蟷螂と同行二人四国道  豊田ささお(70才以上,男)
 先日、ボランティア仲間で友人の子(小学生)がカマキリを顔にくっつけて笑って るのを見て感動ものでした。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「同行二人」の言葉だけでもお遍路、四国と連想は出てきますので、ちょっと駄目押しになってしまうようです。下五に別のものを持っていらっしゃればどうでしょう?

(1)あんちょこを母が盗み見子の受験  北野元玄(60代,男)
(2)レンブラント光の中の冬の黴菌(かび)
(3)凍土行くアリクイにドスを突きつけて

(1)は普通の俳句です。(2)、(3)は心象的では?読んだ人が落ち着かない気分になれば、一応の成功と思っております。ただし、この種の俳句は独り善がりになる難点があります。ご意見、ご批判を聞かせてください。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)がいいですね。同じ落ち着かない気分でも、(3)は少しぶっそうです。

(1)生き抜いて慶び賜う秋の空  浅葉洋(70才以上,男)
(2)半世紀十人集う秋の宴
 始めまして。自己流の句です。厳しくご指南お願い申し上げます。戦前中後、兎 も角生きて今年喜寿の祝い、そして金婚式を迎えられ、先日子、孫達が集まり祝って 呉れました。その時思わず口をついて出た句です。
ドクター三宅の診断と処方箋
 どちらも感慨をこめて作られたものでしょう。文中の言葉をお借りして私も、
  孫集い喜寿を祝えり秋の空
 おめでとうございます。

朱を以て己を持する京人参  なごみ(70才以上,女)
 こんにちは。<人参>の兼題をお料理から離して考えてみました。色の橙色の西洋人参とか牛蒡のような細長い人参がでまわっておりますが金時人参を詠みました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 うーん。「朱を以て己を持する」の部分が、ちょっと教訓めいていていますね。京人参は姿形もよろしく、煮物に入れても彩りの美しいもの。お料理から離すのなら、八百屋に並んでいる様子、などを詠んでみてもいいかもしれませんね。

(1)滝壷を覗くヴィトンを胸に抱き  靖彦(60代,男)
(2)松手入いやに元気な歯医者さん
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)おもしろいですね。ヴィトンが効いてます。
(2)「いやに元気な歯医者さん」いいと思うのですが、松手入よりいい取り合わせがありそうに思います。

黄昏の最終ホール月上がる  タント(60代,男)
 はじめまして。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 暮れ始めた空に、早くも月がのぼっているのでしょうね。表現されようとするところはわかるのですが、黄昏か月、どちらかに焦点を絞られるといいと思います。

(1)紅葉燃ゆ鐘打ち鳴らし消防車  文の子(60代,男)
(2)湯煙の分厚く上り今朝の冬
(3)小春日や顎から口へ温泉の上る

 宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「鐘打ち鳴らし消防車」の部分はいいですね。ただ取り合わせの紅葉がつきすぎのような。
(2)湯煙がぶ厚い、という表現は発見ですね。

紅葉の 甲子園の蔦 また来てね  菊美(60代,女)
 昨日、甲子園の方ヘ行きましたが、蔦も80年振りか?植え替えとか、残りの蔦が、朝日に輝き綺麗で、フアンとしては、来年に希望楽しみバスから眺めました(^^ゞ。冷えてまいりました、ご自愛下さいませ!
ドクター三宅の診断と処方箋
 甲子園の蔦、惜しいですね。植え替えてあのように茂るのは何年かかるのでしょう?
  また来てね甲子園の蔦紅葉
と語順を入れ替えてみられたらいかがでしょう?

(1)初霜やほのかに揺れる赤城山  小口 泰與(60代,男)
(2)木枯しのはやも遊べる峠かな
(3)着膨れ小股に歩む農婦かな
(4)淡紅の楓紅葉や冬の雨

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)どうして揺れているのでしょう?
(3)いいと思います。リズムをよくするなら中七の部分、着膨れし足を小股に、といったところでしょうか。
(4)ちょっときれいすぎる感じですね。


2006年11月14日

茶の花に山羊の鼻先せまりけり  豊田ささお(70才以上,男)
 いくつものご指摘ありがとうございました。追々に消化していきたいです。「・・風呂の小窓に後の月」は、そのままいただいてもよいでしょうか?この間公園のヤギに茶の葉っぱをやったところぺろりと平らげました。次の日白い花が咲いていましたが、これは、よう食べさせませんでした。
ドクター三宅の診断と処方箋
 私の意見を採用いただいてありがとうございます。句会でも私は一緒にしている方にいろいろ表現を直してもらって、その案をいただくこともしょっちゅう。とてもいい句だと思いますよ。茶の花に近づく山羊の大きな顔が見えてきそう。

深い空谷間の紅葉はらり舞う  藤節(50代,女)
 朝夕すっかり寒くなりました。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「小さな胸を痛める」とか、「美しく照り映える紅葉」と言った、表現は無難なのですが、常套的な表現になってしまいます。紅葉がはらり舞う、という言い方も残念ながらそれに近いものです。紅葉も青い部分があったり、かさかさに乾いているのがあったり、いろいろだと思います。きれいな表現は俳句の敵、と思われてみたらいかがでしょう。

穴まどひ酔ふて隣の戸を叩く  春雪(70才以上,男)
 先生 こんばんは。ご指導をお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「酔ふて隣の戸を叩く」はいいと思いますが、「穴まどひ」にすると、どこにも行くところがないから隣の戸をたたいているのだよ、と意味を呼んでしまうので、違うものがいいかもしれませんね。

(1)鮟鱇がときどき通る古書の街  満山(60代,男)
(2)マントルに浮かんで地球紅葉せり
 初めまして、よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)面白いです。思わず笑ってしまいます。
(2)なるほど。最後の「紅葉せり」がかえってマントルの赤、や燃えるという意味と近くなってしまうのでちょっと残念。

(1)少年が飛行機揚げた秋の空  玉白石(50代,男)
(2)柿照るや娘ふたりに婿ふたり
(3)小春日や入り口はここ秘密基地

 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)少年、飛行機、秋の空、とちょっと新鮮味にかけるでしょうか。
(2)実景でしょうね。
(3)狙っているところは面白いですね。入り口ここは、のところを、もう少しこなれた表現で言い換えてみられてはいかがでしょう。例えば中七で軽い切れを入れて、小春日の入り口ここは秘密基地とか。

(1)許可下りて小春日和や松葉杖  文の子(60代,男)
(2)秋澄むや訛りの英語耳に入る
(3)手の三つあらばや助手席の蜜柑

 この破調は如何でしょうか。
(4)ビル間の富士の白さよ今朝の冬
 ドクターのお住まいからは如何ですか。立冬とともに富士が白くなりました。宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 いいですね。同じ町内でも少しずれただけで富士が見えなくなりました。もう冠雪しているのですね。
(2)「耳に入る」の部分がどうでしょう。何となく聞こえてきた、という気分を表現されてみては。
(3)おもしろいと思いますが、あらばや、ではなくただ三つの手が伸びてくるだけでも面白く。
(4)ちょっと口調がよくないので、ビルの間のとされてみては。

立冬や壁のパナマは掛けしまま  雀子(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 よろしいのでは。パナマ帽子が壁にかけたまま忘れられたようにあるのでしょうね。

(1)日の落ちて廊下も寒し鳥の声  小口 泰與(60代,男)
(2)炬燵出で浅間に落つる大落暉
(3)かき分けて落葉連れ添ふ鯉二匹
(4)車みな落葉ちりばむ峠かな

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)鳥の声も寒く感じられていいですね。「廊下も」ではなく、「の」ではいかがでしょう。(2)よろしいのでは。
(3)上五の「かき分けて」があるので、中七連れ添う、までされなくてもただ鯉がいるだけでも。
(4)車、と表現されないで、ボンネットとか部位を限定されてはいかがでしょう。

(1)いくたりかまみゑし空や初しぐれ  学(50代,男)
(2)山寺や団栗ころりころがって
(3)山寺や八百八の紅葉峡
(4)日高見に一揆の碑文雁渡る
(5)津軽よりとんぼ返りてはらこ飯
(6)松島や海の光も小春日和

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)うーん、ちょっと具体的な情景が思い浮かびませんね、誰が、何にまみゑるのか句意の焦点がはっきりしないようです。
(2)山寺→ドングリ→ころり、と連想が少し常套的に思えます。
(4)いいですね。
(5)は、とんぼ返りより本当の蜻蛉が戻ってくる情景を思って、面白く思えました。


2006年11月13日

ホッカイロ墓石削り墓になる  裸時(30代,男)
 「世阿弥忌に墓石削り墓になる」を推敲してみました。飛躍のしすぎかも(^^;
ドクター三宅の診断と処方箋
 よろしいのでは。ホッカイロを懐に入れて墓石を削っているようです。懐の温さ墓石の冷たさと体感の対比も面白く思えます。

海に出る崖の風船かづらかな  豊田ささお(70才以上,男)
 今日の句会で「秋惜しむ野の草愛でる人と居て」を出しましたら「愛でる」がいけないといわれました。上記は、そのときの席題からです。評判はいまいちでしたが、愛着がありまして・・ご診断のほどを・・(因みに現代俳句協会系の会ですが季語にこだわるほうです)。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「愛でる」がいちがいに悪いとは思いませんが、「惜しむ」「愛でる」「居て」と動詞が連続しているので、句の中心がぶれると考えておられるのかもしれませんね。主観を押し出す動詞が俳句では「言いすぎ」に捉えられがちなところもありますし…。「海に出る」は叙景句ですし、実際にその場にいた思いいれもおありなのでしょう。そのような句は評判がいまいちでも大事にされるといいと思いますよ。

人参のやうな漢と言はれけり  春雪(70才以上,男)
 三宅先生 こんばんは。兼題「人参」なんて難しいですよね。ご指導をお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 確かに難しいですね。でも、この句面白いですよ。もっと自然に、漢は「男」でもいいのではないでしょうか。

(1)夜が明ける小鳥の歌の泉揺れ  穂波(30代,女)
(2)鈴虫と雀と猫の朝の歌
(3)飛び立つよ雨も日の出を知る小鳥
(4)小鳥来る木々はたちまち五線紙に
(5)ゾウガメは月のたまごをあたためる
(6)又三郎引っ越したあと寒太郎

 具体的なアドバイスをありがとうございました。今日は6句投句します。秋と冬の句が混ざっていますが、よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)(4)おもしろいと思いました。
(1)(3)はちょっと言葉が多いようなので、もう少しすっきり焦点を絞ってみられてはいかがでしょう。
(5)〜は〜する、という表現に少し切れを作ってごらんになればいかがでしょう。
(6)は〜のあと、と結果になってしまっているので、そのあたりご一考を。

(1)門柱が校長になり冬が来る  玉白石(50代,男)
(2)濡れた子の虹見たと言う初時雨
 立冬でした。とても寒い日でした。よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)校長先生が、寒くって外に立って挨拶するのをやめてしまわれたのでしょうか?ちょっと解するのにわからなさも。
(2)ちょっと材料が多いですね。

(1)秋深む青き木の間の煉瓦館  文の子(60代,男)
(2)本線に近づく支線秋惜む
(3)渋柿と思うべし烏(う)に掠められ
(4)龍くちを開くかに秋の瀧の水

 宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)色彩の対比がいいいですね。
(2)いいとは思いますが、「本線に近づく支線」より、「本線へ支線近づき」、と語調を入れ替えて見られてはいかがでしょう。
(4)はちょっと面白い感覚ですね。龍ではなくて、もっとぴったりくるものがありそう。

(1)絵本より跳び出すうさぎ照紅葉  せいち(60代,男)
(2)半割れの地球の赤し冬に入る
 三宅ドクター、今回もよろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)いいですね。勢いがあります。
(2)「半割れ」の意味がよくわからなかったのですが、地球儀でしょうか?勢力圏のことを指しておられるのでしょうか?

(1)シャキシャキと髪切る音や文化の日  泰(50代,男)
(2)健気なり冬将軍の律儀さよ
(3)マイナーに転調したり今朝の冬

 宜しくご指導のほどお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)がいいですね。(2)は上五が後の部分の感想になっているように思います。ちょっと理屈が先にたってしまったようです。
(3)マイナーの部分がちょっと「転調」の言葉と重複する部分があるのでご一考を。

(1)銀河行く鉄道次は小倉です  北野元玄(60代)
(2)手鼻噛み噛みメイル打つ冬銀河
 ゲノム句について過分のお言葉を感謝いたします。ゲノムについては、お手数をお掛けいたしました。これからは遺伝子工学や医学薬学の発達に伴って、ゲノムという語句はもっと一般的に使われるようになろうかと思いますが、小生にとっても、まだゲノム句は試作段階だろうと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
 「俺でないよな俺がいる」は自分の詩的感興を詠んだつもりでしたが、こちらは抽象句などとは全く違います。ただ、読み手に阿るような演歌調になってしまいましたね。少し推敲を考えて見ます。
 小生、抽象句のほか俳句の(俳句の俳は滑稽の意)本義である滑稽感ユーモア感も出せるように心がけております。上句のご批判をお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「次は小倉です」という言葉生かしたいですね。ただ、銀河=鉄道、とイメージが全て直結してしまうのが残念に思います。
(2)「手鼻噛み噛み」の言葉があまりよくないように思いました。状態をあらわすのにちょっと強すぎるかな、とも。


2006年11月12日

(1)便り無きひとも初冬の空気吸ふ  涼(70才以上,男)
(2)柚子の坂短き旅に在りにけり
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「便り無き」の部分の表現がわかりにくいので音沙汰、消息、訪れ、などほかの言葉も工夫してみてはいがでしょう。
(2)坂の名前でしょうか。よろしいのでは。

(1)朝日うけふはりふくらむ黄菊かな  小口 泰與(60代,男)
(2)岩峰に光り零して紅葉かな
(3)廊下より見ゆる秋薔薇きりに出づ
(4)老犬に目薬点すや小六月

 三宅先生、適切なご指導感謝申し上げます。早速ですが「冷さまじや山風の音身の内に」を「行く秋や山風の音身の内に」か「露時雨山風の音身の内に」で迷っております。ご指導いただければ幸甚に存じます。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)いいですね。朝日うけ、を一語にまとめられて朝日中とか朝日影と置かれると、中七の柔らかさがより引き立つと思います。)(4)も自然でいいです。「行く秋」がいいですね。

時雨忌のけふも歩きぬ一万歩  尼の久女(60代,女)
 11月4日南御堂の芭蕉忌に行きました。終焉の碑とお墓に参ってきました。 三宅先生今年もおねがいします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 お久しぶりです。よろしくお願いします。
 いいと思いますが、時雨忌や、と強い切れを入れられたら句が鮮明になると思います。

立冬や 種もはじけて 土の中  菊美(60代,女)
 早速の添削有難うございました。動物も冬眠、種も実を落とし、春に備えるかな? m(__)m
ドクター三宅の診断と処方箋
 そうですね。春に備えているのかもしれませんね。種もはじけて、と言ったあと、土の中と種明かしをされてしまっては、読み手に楽しみがなくなるかも。下五が結果にならないように考えてみられてはいかがでしょう。

冬の星戻り行く娘の幸祈る  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「戻り行く娘」が実家に遊びに来てすぐ帰る様子なのか、それとも深刻な背景があるのか、後者のように思うのですが、それでいいのでしょうか。

柿盗み野つぼに落ちる童かな  春雪(70才以上,男)
 三宅先生 こんばんは。少年時代の思い出の句です。
ドクター三宅の診断と処方箋
 ご自分の思い出なら童にされないで、野つぼの場所を読み手にわかるように限定されてはいかがでしょう。

秋惜しむ蛇は鎌首ちょっと上げ  豊田ささお(70才以上,男)
 秋惜しむ野の草・・の再々考です。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 いいと思いますけど、鎌首をあげるのは蛇でしょうから、蛇は、は思い切って省かれたらいかがでしょう。鎌首をちょっとあげては、と上五、中七にもってこられて秋惜しむで、締めくくられては?

人参と海の幸和へ一品に  なごみ(70才以上,女)
 今晩は。俳句を鑑賞するのは、好きです。でも自分ではなかなか詠めません。自分なりに接していきたいと思っております。御指導よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 私もほかの人の句を読むと感心することしきりですが、自分となるとてんでダメ。不満だらけです。作るなかで会得していくしかないのでしょうね。
 人参と海の幸を和えものにして一品作りました。と上の句をつなげるとそのまま文章になってしまいますね。海の幸は具体的なものを持っていらっしゃればいかがでしょう。下五の一品へ、という結果は不要と思います。俳句で内容を伝えたり説明する必要はないのですから。

(1)コスモスのひとひら飛ばす男の子  えんや(70才以上,男)
(2)どんぐりを拾へば先行く妻の臀
(3)どんぐりを拾ひ熊住む山を見る
(4)どんぐりを熊住む山へ飛ばしたし

 三宅先生今晩は。昨年九月、初めての投句が三宅先生でした。それから今日まで何とか続けてこられたのも先生のお陰と感謝いたしております。又下手な句を投句させて頂きますが、どうか宜しくお願い申しあげます。
ドクター三宅の診断と処方箋
 お久しぶりです。
 そんな風に言っていただくと嬉しいです。ありがとうございます。
(2)がちょっと笑ってしまうぐらいおもしろいです。実感がよく出ています。
(3)(4)もいいと思いますが、(3)はどんぐりや、と軽く切れを入れられると、句が引き締まるように思います。

(1)しんがりはマッチョ先生秋日和  玉白石(50代,男)
(2)鹿せんべい大盤振る舞い秋日和
(3)秋澄んでハンドマイクの声高し
(4)秋の蝶渡り終へたり飛鳥川
(5)白菊も黄菊も明日香村役場
(6)ひときわに金色の鴟尾寺の秋

 子供たちを引率して修学旅行に行ってきました。よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 京都から奈良ですね。
(3)がいいですね。ハンドマイクの声が風をわたってくる感じがよくわかります。
(5)(6)もちょっとのんびりした明日香村のたたずまい、大仏殿の様子がよくわかる句です。


2006年11月11日

(1)秋の夜は北斗に隣るカシオペア  暮春(50代,男)
(2)秋の宵頭上オリオン輝けり
(3)レンジの向こう故郷が哭いている

 よろしくご指導ください。
ドクター三宅の診断と処方箋
 秋は澄み切った空に星が綺麗ですね。その感じを詠もうとされているようですが、
(1)は場所の説明になってしまいました。
(2)のように自分の立ち位置と対象がよくわかる表現が読み手には理解しやすいと思います。

親象の足に子象や冬隣  fuji(10代,男)
 宜しくです。
ドクター三宅の診断と処方箋
 可愛らしい景ですね。親象の足にまとわりつく小象の可愛らしさ。暖かさを感じさせる景が「冬隣」という季語をよく引き立てているように思います。

(1)夫と行く木曽路の秋のただなかに  光子(60代,女)
(2)秋深しわらじゆらして中山道
(3)水引草咲きて御岳の山静か
(4)すげ傘をあみて馬篭の秋の昼
(5)花の行く背のまろきかな二人連れ
(6)船頭の紫煙ゆるがす秋の昼

 三宅先生初めまして。一月に、一度程ですがよろしくお願いします。主人と、木曽路に行った時の事を思い出してみました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いいたします。木曽路いいですね。私も名古屋に住んでいるときによく行きました。
 それぞれにいい吟行句ですね。思い出しながら句を作るのも、旅の思い出が倍増されるようでいいですね。
(2)(4)(6)は実景でしょうが、少し古めいた感じが全面に出たのが残念です。わらじ、すげ傘、船頭という言葉自体が古色めいているので、こういうものを取り合わせるときはかえって今あるものを意識されたらいいのではないでしょうか。
(1)(3)は感じよく思いました。(5)「花の」は「花野」でしょうか。

(1)内定は社員の始め薄紅葉  文の子(60代,男)
「内定は未だ学生薄紅葉」を推敲しました。
(2)難所にて名所なりけり紅葉狩
 「運転の難所が名所紅葉狩」を推敲しました。
(3)暮れて柿空を飛ぶなり烏(う)が銜へ
「烏の銜へ」より口調が良いのですが如何でしょうか。
(4)秋の暮スモール点す間もあらず
(5)秋瀧や色付く崖を迫り上げて

 11/5のご診断有難うございました。「秋瀧を見詰めて崖の迫り上がる」を推敲しましたので宜しくお願い致します。
 宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)内定=社員の始めとこの部分が説明になってしまっているように思います。
(2)も難所なんだけど、名所なんだよ。とつながってしまうようです。
(3)ちょっと材料が多いですね。秋暮れて、ぐらいで柿は省いてしまってもいいのでは。
(5)滝の中にある岩も草紅葉になっているのでしょうか。崖を主体にされるなら、色付く崖の迫り上がり、でも。

(1)雲迅し紅葉うちふる雲場池  小口 泰與(60代,男)
(2)朝日うけ露はねてをり畦の草
(3)布岩の紅葉奏でも秋山郷
(4)赤き温泉に入りて紅葉の秋山郷

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)の畦の草、いいですね。朝まだ早きころの情景がよくわかります。
(1)迅し・うちふる(3)の奏でも、少し言葉が大げさのように思います。もう少しトーンを下げた言葉にされてみてはいかがでしょう。

(1)半月をフライドチキンにひとしぼり  穂波(30代,女)
(2)雲を敷く七日の月のゆりかごに
(3)貴腐ワイン昏れて華やぐ秋の木々
(4)まっすぐな道空にあり鳥渡る

 4句投句いたします。よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)半月をレモンに見立てたのでしょうか。(2)の情景の見立てより新鮮に感じました。面白いです。
(3)「貴腐ワイン」って甘口の白葡萄酒のことなんですね。この句で初めて知りました。取り合わせがいいですね。
(4)の空の道はわりと類想が多いのでもう一ひねりほしいところです。


2006年11月10日

風渡る尺寸の田に稲架ひとつ  しんい(60代,女)
 推敲句ですが、上五を「ちぎれ雲」目線を上にとも思いましたが・・・よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 おっしゃるように上五は「ちぎれ雲」がいいですね。

(1)秋惜しむ野の草愛でる人と居て  豊田ささお(70才以上,男)
 「秋惜しむ野の草の風立ち止まり」の推敲ですが、季重なりが怖くてどうもうまくいきませんでした。
(2)帰り来し手ぶらの猫と秋惜しむ
 「秋惜しむ野の草の風立ち止まり」への診断ありがとうございました。何を立ち止まらせるかですね・・う〜ん・・考え中です。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)季重なりは句の中心が二つに分裂してしまう危険があるので、なるべく避けたほうがいいですが、そんなに神経質になられなくてもいいと思いますよ。同じような表現でもいくつか連続して作ってみて一番気持ちに沿うものを抜き出してみてください。
(2)手ぶらの猫、っていう表現おもしろいですね。

(1)美術展母の手取る娘も若からず  鴻之助(50代,男)
(2)花眼にて見えくるもあり吾亦紅
(3)秋日差し車内のおみなの膝を撫ず

 三宅ドクターとは初めてお目にかかります。よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「母の手取る娘も」の部分が少し込み入っているようにも感じました。例えば母を省略して「つれそう娘も若からず」にしても「も」には娘より年上の親が一緒だな、とわかりますよね。俳句の助詞にはそれだけの意味がこめられているわけですから、簡略化を考えてみられてはいかがでしょう。
(2)ぼんやりと見えてくる吾亦紅は綺麗でしょうね。同じように見えくるもあり、の部分を再考されてみては。
(3)車内、おみな、膝と言葉が多いので、車内の膝に射しにけり、ぐらいでもいいのでは。

絵手紙のコーヒー染みごとこの秋へ  藤節(50代,女)
 染みさえうれしい秋の便り。人恋しい季節です。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「染みごとこの秋へ」の部分の表現が少し込み入っていますね。俳句は単純さが命。一読、すっと口調がよいのも大事です。絵手紙、コーヒー、染み、の材料のうち、焦点を一つに絞られてみてはいかがでしょう。

黄落を待たず伐られる枝のあり  なごみ(70才以上,女)
 はじめまして。なごみと申します。御指導宜しくお願い致します。家の前の街路樹が人間の勝手な都合で伐られてしまいました。樹が可哀相な気がしました。自然の風情も楽しむことができません。そこで一句作りました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いいたします。本当に人間の勝手で伐られる樹はかわいそうですね。その感慨がそのまま句に仕立てられていると思いました。

汽笛は白い君とボジョレーヌーボーを  月虎
 こんばんわ。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 汽笛は白い、というのは煙?汽笛と「君とボジョレーヌーボーを」の取り合わせは素敵ですね。


2006年11月9日

冬の波フリスビーの飛ぶ夕べ  裸時(30代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 フリスビーを浜辺で飛ばしている様子でしょうね。感じはわかるのですが、もう少し具体的に情景を思い浮かべることのできる言葉がほしいように思いました。

柳散る女ばかりの銀座裏  れい(70才以上)
 ご診断お待ちしています。
ドクター三宅の診断と処方箋
  銀座にはよく立ち寄ります。私の好きな場所の一つです。ただの銀座ではなくて「銀座裏」とされたのがいいですね。情景と季語の取り合わせにも銀座の裏通りの実感が感じられます。

(1)後の月トゥーランドット涙して  玉白石(50代,男)
(2)十三夜口笛で吹くプッチーニ
(3)十三夜京都三条富小路
(4)十三夜修学旅行の君と僕
 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 十三夜と音楽の取り合わせですね。(2)の取り合わせが素敵です。(4)は月を見上げて、お互いに顔を見合わせているような初々しさが感じられる句です。

(1)冬瓜を満一歳が持て余す  靖彦(60代,男)
(2)棒高跳山の装い見つつ落ち
ドクター三宅の診断と処方箋
 (1)「持て余す」=取り扱いに苦しむという意味ですから、ちょっと像が見えないように思います。一歳の坊や?お嬢ちゃんが、例えばどう持て余しているのか、その所作を入れてごらんになればいかがでしょう。
 (2)棒高跳びの一瞬紅葉の山が眼に入るという捉え方はとてもおもしろいと思いますが、その刹那の感じを表すには「見つつ落ち」という表現ではちょっとムリがあるかも。

(1)サブちゃんを唄ってをりぬ松手入  彩貴(40代,女)
(2)気づかれぬまま道の辺の通草かな
  はじめまして。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いいたします。
(1)「サブちゃん」は歌の題名なのでしょうか。軽い味わいがあっていいですね。
(2)「気づかれぬまま」の部分が少し説明的ですね。道の辺の通草はどこになっていたのでしょう?そのあたりを具体的に入れてごらんになればいかがでしょう。

(1)吾も又晩秋にいて酒を酌む  忠男(60代,男)
(2)ほろ酔いが月影雁を見たような
 自己流で初めて未だ半年、パソコンも然り、不得要領ですがよろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 よろしくお願いいたします。
(1)「吾も」が少し古めいて感じられるのが残念です。例えば、普段は自分のことをどう呼んでいらっしゃるでしょうか。「僕も」「オレも」普段の言葉遣いを入れられると、ぐっと臨場感が出るように思います。
(2)ちょっと材料が多いですね。月か雁どちらかに絞られたらいかがでしょう。


2006年11月8日

酔わずとも酔ったふりして十三夜  月子(50代,女)
 今日は十三夜。すばらしくきれいです。明後日がたのしみ。
ドクター三宅の診断と処方箋
 十三夜の月、残念ながら見逃してしまいました。
 「酔わずとも酔ったふりして」の部分ですが、様子の描写だけにとどまっているので、少しもったいないかも。上五か中七、どちらかを削って具体的対象物を入れてごらんになればいかがでしょうか?

(1)いつかしらいつか来た道草紅葉  れい(70才以上)
(2)一葉落つ自分の中にいる他人
 三宅先生、またお世話になります。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんにちは。お久しぶりです。
(1)いつかしら、という出だしはいいのですが、「いつか来た道」が道→草紅葉と直線的な方向になってしまうので、ここが少し考えどころでしょうか。
(2)「他人」ではなく具体的なものをもってこられたらいかがでしょう。

(1)いつのまに風呂場の上の後の月  豊田ささお(70才以上,男)
 今夜は十三夜ですね。すっかり忘れていましたが、なんだか夢二の世界が思われて・・でも結局きれいな句も思い切った句もできず、です。
(2)リヤカーに乗せるものなし秋惜しむ
(3)リヤカーに積むだけつんで秋惜しむ

 (2)の句を視点を180度変えました。
(4)秋の夜の遠吠えを聞く劇場跡
 「秋の夜に犬の遠吠え真似てみし」の診断ありがとうございました。元気を出してレモン齧って推敲しましたが、劇場は、ウソで、ほんとは公民館でしたぁ・・。
(5)秋の夜に遠吠え真似る一人者
 秋の夜の・・こちらの方がドクターの処方箋に沿いましょうか、?実体験のままです。
(6)畦道に一人の秋を惜しむなり
 秋惜しむでいろいろ考えましたが、下手な考えばかりで、こんなとき、季語と一番遠いものを組み合わせてといわれるのですが・・。
ドクター三宅の診断と処方箋
 十三夜お月様は見えましたか?
(1)「風呂場の上の後の月」ここの表現は実感があっていいですね。ただ、風呂場にいて上のお月様が見えるのかな?とちょっと疑問。「いつのまに」という表現をお使いですから、風呂にはいったときには見えなかった月が移動して位置が変わったのか、という実感でお使いになっているのなら、「上」と漠然な表現ではなくて、「風呂の小窓に」とか、場所を限定されてみてはいかがでしょう。
(2)がいいですね。
(4)(5)レモン、酸っぱそうです。私ははちみつ漬けが好きですよ。「公民館」がいいですよ。
(6)そうですね。惜しむですから、一人とか、寂しいものをもってくると景がなかなか広がらないように思います。畦道に見える看板とか鉄塔とか、なんでもないものを持ってこられるといいかも。

(1)真剣に遊ぶ遊びや芭蕉祭  学(50代,男)
(2)翁の忌海を見てゐる印度人
(3)翁忌や旅にゐてなほ旅を恋ふ
(4)行く雲の冥きもゆかし翁の忌

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
 翁の忌、難しいですね。芭蕉忌に本意があるとするならば、
(3)の旅にゐてなほ旅を恋ふ
という表現がぴったりですね。その旅情を取り合わせの面白さや転換という視点から考えると(2)あたりの旅情がとてもいいように思います。私は神戸生まれの神戸育ちですから、神戸を居住地にしている印度人も多く、「海を見てゐる印度人」の表現にはっとしました。

秋晴れや土手の家族の応援団  雀子(60代,男)
 はじめまして。俳句をかじって約1年になります。よろしくご指導お願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 そのままの実景はすんなりと読む人の頭の中に像を描きやすいのですね。写真のショットから言えば遠景で、ちょっと無難なのが物足りないように思います。家族の応援団とひとくくりにしないで、もうちょっと土手に近づいて、お母さんの手にしがみつく子供とか、足元にしゃがみこんで応援している人とか、そんなところに注目されてみてはいかがでしょう。

(1)銀杏(ぎんなん)の降る街角を救急車  郁子(60代)
(2)白杖の音軽やかに秋の風
 お久しぶりです。またよろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんにちは。またどうかよろしくお願いいたします。
(1)は何気ない都会の情景ですが、銀杏と救急車の取り合わせはなかなかいいと思います。その二つをどういう言葉でつなぐか、「降る街角」以外にも考えてみられてはいかがでしょう。

(1)昨日とは色の違へる林檎かな  小口 泰與(60代,男)
(2)露霜や鳶鳴く声も風に消ゆ
(3)馬の尾に蜻蛉のしやれて牧の風
(4)噴煙の南へなびき刈田かな
(5)水澄むや襞迫り来る赤城山

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(5)がくっきりと山肌が見えるようでいいですね。
(3)はしやれて、よりも「とまり」ぐらいの表現でも。


2006年11月7日

(1)しぐるるや潮の香を聞く円通寺  学(50代,男)
(2)小春日の言の葉のなき雄島かな
(3)松島はしぐれてきたり昆布巻
(4)翁の忌聞き分けのなゐ子が一人

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)円通寺をよく知らないのですが、海のそばにあるのでしょうか?時雨忌がもうすぐですが芭蕉ゆかりの句が多いようですね。
(3)の取り合わせがよいです。時雨れる松島を眺めながら昆布巻が食べたくなります。

肉厚の鶏冠野菊とならびけり  涼(70才以上,男)
 宜しくご指導下さい。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「肉厚の鶏冠」はとても実感のある表現だと思います。このままでも充分だと思いますが、野菊以外の取り合わせも考えてみてください。

(1)消してくれゲノムの妄想今朝の冬  北野元玄(60代,男)
(2)冬銀河俺でないよな俺がいる
 三宅やよいドクター殿。始めまして。
 若い時分にはじめたとはいえ作句については、何度も長期間さぼっておりました。もともと本格的な古典俳句を目指しておりましたが、「船団」に入会させていただき、「初夏の集い」とこの「俳句クリニック」でのご指導と、稔典先生の「日刊この一句」から受けた影響が大きく、今では現代語とくに口語で俳句を作るようになりました。
 このようなわけで、「船団風」のホラーとユウモアと抽象を混ぜた俳句を目指しております。小生が模索挑戦して作りつつある俳句の多くは駄作ですが、ときには成功例があると朝倉ドクターに励まされてきました。
 どうか率直なそしてシニカルなご意見をいただけると幸いです。一足早く冬に入りました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 経験がおありなので、もう自分の目指す俳句の軸をしっかりとお持ちなご様子。私も自分の俳句を模索中です。一緒に勉強させていただきたいと存じます。どうか、よろしくお願いいたします。
 ゲノムがわからなかったので調べてみました。ゲノム (genome) は「ある生物をその生物足らしめるのに必須な遺伝情報」として定義される。すなわちその生物の遺伝子の総和である」。インターネットの辞書『ウィキペディWikipedia)』にはこのような説明があります。難しい言葉ですね。妄想も抽象的な言葉なのでちょっとつかみ所がない感じです。(2)の「俺でないよな俺がいる」も同じく読み手が像を結べるようにこつんとあたる言葉がほしいです。

(1)ネクタイは今や少数年忘  文の子(60代,男)
(2)内定の顔揃ひけり今年米
(3)塩むすび紅葉の九十九折を過ぎ

 宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)があっさりといいですね。みずみずしい学生の顔と今年米との取り合わせが新鮮です。

(1)松は枯れ山削られて円き月  希妙(50代,男)
(2)邯鄲の前世は何ぞ野の仏
(3)柿豊作ひっそり喰ふ身の不幸せ

 独りよがりに成っていないか心配、よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)ちょっと材料が多いですね。松枯れの様子か、山が削られて岩肌が剥き出しになった様子か、どちらかを選択されて「円き月」との取り合わせにされると。
(2)「何ぞ」より、「ありし」と後半部につないでみられては?
(3)不幸せが少し言いすぎでしょうか。「台所」でも「四畳半」でも具体的な景をもってきてごらんになればいかがでしょう。

(1)女神湖を紅に彩る楓かな  小口 泰與(60代,男)
(2)女神湖に紅落しゐる紅葉かな
(3)すざまじや山風の音身の内に
(4)山頂に日の煌めけり草の露

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)の「山風の音身の内に」の表現がいいですね。上五の季語がこのままではその説明になってしまっているので、「すさまじや」では少しもったいないように思います。

(1)ほおずきの袋の秘密透けている  穂波(30代,女)
(2)きんもくせいクラリネットとまたいとこ
(3)寅さんも空を翔るか神の旅

 三宅先生、初めまして。穂波と申します。俳句は始めたばかりです。俳句の常識など良く分かりませんので、お手数をかけることと思います。二ヶ月間、どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんにちは。よろしくお願いいたします。
 寅さん(渥美清)の特集を3日の朝やってましたね。寅さんはさぞ気持ちよく空を翔け回っていることでしょう。
(1)「袋の秘密」とはどんな秘密でしょう。中の種やら葉脈でしょうか。見えたものを具体的に中七の言葉に工夫してみられてはいかがでしょう。
(2)三つの言葉が同じ重さで並んでいるので、まずはきんもくせいの取り合わせにクラリネットを選ぶか、いとこを選ぶか、絞り込まれてみては?


2006年11月6日

(1)鵙が鳴くキノウノモリハドコと鳴く  豊田ささお(70才以上,男)
 三宅先生こんばんは。こんなのは、どうでしょう。実は見慣れた森が、ある朝目覚めたらきれいになくなっていました。虫も蛙も蟻もいません。当然、鳥も・・
(2)秋惜しむ野の草の風立ち止まり
 「秋惜しむ」小さな同好会の兼題です。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)そうだったのですか。うちの近くでも、ねこじゃらしが茂っていた野原がある日きれいに刈り取られて、今は大きなマンションが建設中です。思い切って全部カタカナ表記にされてみてはどうでしょうか。
(2)風が立ち止まる、と擬人法を使っていらっしゃいますが、風が少し抽象的なように思います。眼に見えるものを立ち止まらせてみてはいかがでしょう。

蛇まどう隣の穴は誰かしら  春雪(70才以上,男)
 先生 こんにちは 春雪です。
 【作句意図】今朝蒲団の中でふと浮かんだ句です。ご指導下さい。
ドクター三宅の診断と処方箋
 おもしろいですね。蛇穴の蛇が隣の穴を見て、つぶやいているみたいです。

(1)白樺を霧のふわりと包みけり  小口 泰與(60代,男)
(2)山風に雨逆巻きて刈田かな
(3)霧駆ける楓紅葉を真向ひに

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)「山風に雨逆巻きて」の部分は臨場感があります。ただ刈田では空間がありすぎて、逆巻く感じがすっぽぬけてしまうようにも思います。雨風がぶつかるものを持ってこられてはいかがでしょう。

世阿弥忌に墓石削り墓になる  裸時(30代,男)
 朝倉ドクターあたたかい評ありがとうございました。三宅ドクターよろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 はじめまして。
 どうぞよろしくお願いいたします。「墓石削り墓になる」の部分いいですね。ただ上五が世阿弥忌だと、全体に古めいた感じに落ち着いてしまうように思います。予想外の取り合わせで句がもっと生きるのでは。


2006年11月5日

青春がふとよみがえり押し紅葉  藤節(50代,女)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いいたします。
 「青春」と一口に言ってしまうより、校庭とか、裏庭とか、縁側とか、場所やことを具体的に言われると読み手に景が描きやすくなると思いますよ。

(1)秋瀧を見詰めて崖の迫り上がる  文の子(60代,男)
 「迫り上ぐ」は他動詞ですが、「上がる」が自動詞なので、こう詠んでみました。如何でしょうか。宜しくお願い致します。
(2)内定は未だ学生薄紅葉
 来春入社内定の学生と会食しました。宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「崖の迫り上がる」の表現いいですね。ただ、滝の落下とこの言葉の関係で勝負されたらいいと思うのですが、その紐帯としての「見詰めて」が少しもったいないように思います。
(2)内定より新入社員、とそのままもってこられたほうが面白みが出るように思いました。

明けやらず 歩く堤防 秋がわき  菊美(60代,女)
 三宅先生宜しくお願いします。未熟ながらの句ですが。m(__)m。今朝のウォーキング、5時は薄ぐらいのですが、13度汗ばみました。秋乾きとか、天気予報で言われますが、季語になりますか? 宜しくお願い申し上げます。
ドクター三宅の診断と処方箋
 歳時記では「秋渇き」で夏に減退した食欲が秋に入って盛り返して、お腹がすいて仕 方がないことに使うようですね。天気予報で使う「秋乾き」寡聞にして知らなくて申し訳ないです。まだくらい堤防をウォーキングされるのですね。上の意味でなら季語になると思いますよ。

おけさ柿潮の香りと届きけり  春雪(70才以上,男)
 先生 こんにちは。
 【作句意図】佐渡の友人から秋になりますと「おけさ柿」を送っていただけます。開梱しますと佐渡の思い出と海の香がぱっと届いたように思いました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんにちは。よろしくお願いいたします。
 なるほど。友人から送られて小包を開けた直後に感じた新鮮な印象を俳句で表したかったのですね。俳句は短いので春雪さんが書かれた【作句意図】そのままに読み手に受けとってもらうのは難しいと思いますが、説明がなくても、おけさ柿とあるのだから佐渡から送られてきたのかな。潮の香と柿の取り合わせは新鮮でいいなぁ。と、読み手にはよく伝わるように思います。

(1)炭俵編む指先に赤とんぼ  しんい(60代,女)
(2)対岸のビル黒々と秋落暉
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)こんなこともあるのでしょうね。赤とんぼが、ふっと止まる感じがでているように思います。
(2)は、川向こうのビル群を見ているのでしょうか。大きな景ですね。

(1)山峡に二重にはずむ秋の虹  小口 泰與(60代,男)
(2)藁塚に日矢当たりをり佐久平
(3)ゆらゆらと湖面奏でし紅楓
(4)靄深し覚満渕の草紅葉

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
 ネットで調べてみると(3)の覚満渕は赤城山の方面だとか。不案内なのでわかりませんが、ずっと広がった野原かないかなのでしょうか。
 叙景句が難しいのは見た美しさをそのまま詠むと、絵葉書のようになってしまう点。自分の立ち位置とか心の置き所が伝わりにくい点ではないかと思います。その点(1)の「はずむ」には、ほかでもない小口さんが虹に感じられた言葉が表れていると思います。

(1)秋の夜のパソコン猫に踏まれけり  豊田ささお(70才以上,男)
 三宅先生はじめまして、未熟者です。よろしくお願いします。今起こったことをそのままですが俳諧味が出るかなと思いました。
(2)秋の夜に犬の遠吠え真似てみし
 これも同じような傾向です。いかがでしょう?
ドクター三宅の診断と処方箋
 はじめまして、よろしくお願いいたします。
 そうですね。身近なことをそのまま俳句に詠むことは大事だと思います。何事も実感から始まりますから。あとは俳句に料理するとき多少のウソのエッセンスや、言葉の入れ替えを工夫してみれば、自分でもはっとするような内容になるかもしれませんね。
(1)猫ふんじゃった、みたいで楽しいですね。偶然の景でも充分俳諧味があると思います。
(2)秋の夜の遠吠え、と言えばたいてい犬でしょうから秋の夜「遠吠え真似て」とつづめれば、下五に新たな言葉を招き入れ、また違った感触の句になるかもしれませんね。

(1)猫じゃらしじゃんけんいつもパーを出す  玉白石(50代,男)
(2)未来ちゃんどんぐり集めおままごと
(3)風孕むカーテン白き秋日かな
(4)秋澄むや先生急かす子等の声
(5)秋日和ちょこんと二つまねき猫

     三宅ドクター、お久しぶりです。増俳の会、お世話になりました。秋の句をまとめて送ります。よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 増俳の会 ではお会いできて嬉しかったです。
(5)がいいですね。ちょこんと二つがちいさなまねき猫が並んでいる様子が可愛らしいです。
(1)の「じゃんけんいつもパーを出す」の部分もいいと思うのですが、ねこじゃらしでは少し物足りないかな。
(3)は「風孕むカーテン」の措辞がきれいな句ですね。

(1)運転の難所が名所紅葉狩  文の子(60代,男)
(2)年忘みな待ち受けに孫載せて
 「待ち受け」で良いでしょうか。「ケータイ」ではつまらないと思いました。
(3)「あ」から「き」にかけての紅葉いろは坂
 三宅ドクターお久し振りです。2004年7月よりクリニックを受けておりますので、ドクターは3回目となります(文の子は文月に因みました)。今回もご指導の程宜しくお願い申しあげます。今も東京にお住まいでしょうか。昨日(29日)日光に行きました。今が見頃と聞いていたのですが、今年は今ひとつの感があります。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんばんは。もう3年にもなるのですね。今回もよろしくお願いいたします。まだ東京に住んでいますよ。私も夏に日光へ遊びに行きました。紅葉はまだでしたか。今年は暖かいので紅葉も遅いのかもしれませんね。
(1)ちょっと説明的でしょうか。
(2)待ち受けも画面まで言わないとわかりにくいでしょうね。「ケータイ」という言葉自体をきらう方もいらっしゃいますが、今の風景をそのまま詠むなら「ケータイの孫見せ合って」ぐらいでしょうか。
(3)「あ」から「き」にかけての紅葉 斬新な表現ですね。ひらがなの表記が紅葉のかたちを思わせておもしろいです。

(1)栗双子身を寄せ合ふよ毬の中  泰(50代,男)
(2)栗拾ひ産婆も走る丹波かな
(3)栗ご飯甘皮の香をふふみをり

 栗三題です。朝倉先生2ヶ月間お疲れ様でした。心の籠ったご診断に心底感銘を受けました。三宅先生、よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 はじめまして、どうかよろしくお願いいたします。
 栗3題。童話的な味わいがあっていいですね。
(2)産婆も走る、がちょっとわからなかったです。特に(1)の可愛らしさが好きです。「身を寄せ合ふよ」の表現で、イガの中に入っている栗の様子がよくわかるので、双子とまで言ってしまうと少し言いすぎかも。ここは「ふたつ」とひらがな表記で書く程度でもいいかな、とも思います。

(1)芋の露風に吹かれて水となる  小口 泰與(60代,男)
(2)峰嶺を影の結びし秋の雲
(3)素足にて長き廊下や秋時雨
(4)雨止んでたそがれ迫る紅葉かな

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんにちは。お久しぶりです、今回もよろしくお願いいたします。
(1)〜して、〜になった。と句の構成が、原因と結果になってしまったようです。
(3)素足にて、の「にて」が少し説明的ですが、この句の籠められている実感はとてもいいと思いました。「にて」の部分に動詞の「進む」「辞す」「止む」などいれてみると、景に動きが出るのではないでしょうか。

(1)菊の香や檜舞台の二分間  しんい(60代,女)
(2)吟詠のさやけし声や秋高
 三宅ドクター初めまして、よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いいたします。
(1)文化の秋ですね、(2)と考えあわせると吟詠でしょうか。舞台にあがっているときの緊張感と菊の香を取り合わせていらっしゃるのでしょう。「檜舞台」とひと言で表して終ってしまうのは惜しいような。中七に動作が具体的にはいるといいですね。