俳句クリニック 2006年11月後半分(ドクター:三宅やよい)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。

11月と12月の担当ドクターは三宅やよいです。
<プロフィル>
 神戸生まれ。
 結婚して二十数年。鹿児島から東京まで全国を転々。
 現在は練馬区在住。
 句集『玩具帳』(2000年、蝸牛新社)。

 アバウト、おおざっぱなO型性格。
 一日を終えた夜、みなさまと俳句の旅を楽しみたいと思っています。
 どうかよろしくお願いいたします。

ドクター三宅の診断
2006年11月30日

(1)大海鼠蹴飛ばされて高値なり  仁(50代,男)
(2)寄鍋や定年ちかき悪友と
(3)妊婦の足音がして葉牡丹を買う

 三宅先生、こんばんは。本日もよろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「蹴飛ばされて」と「高値なり」のつながりがちょっとわからなかったです。
(3)妊婦の足音と葉牡丹の取り合わせはいいですね。ただ、「して」で結び付けられなくても。妊婦来て葉牡丹一つ買いにけり、ぐらいでも。

(1)後ろより小さき手の影冬温し  文の子(60代,男)
 「吾が影に小さき手の影冬温し」を推敲しました。
(2)銀杏の樹仰ぐや犬は草紅葉
(3)人の手に掛かるや落葉青きまま
(4)秋天を支へ五重の塔の屋根

 宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)いいですね。後ろより小さな手が差し出されるのが影絵のように見える景色に味があります。
(2)草紅葉犬は大きな樹を仰ぐ ぐらいでも。
(3)中七の切れは必要でしょうか?
(4)屋根まで言われなくともいいようにも思います。

(1)雪吊やまたまた枝を折りにけり  えんや(70才以上,男)
(2)雪吊や三つ月ばかり愛の刑
(3)雪吊の半ばを了えて眺めゐる
(4)雪吊や投網のごとく広がりし

 雪吊りも後10本ほどになりました。雪吊り四句宜しくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 雪吊。金沢の兼六園で初めてみました。
(3)小休止で眺めている様子に余裕が感じられて、とてもいい句だと思います。
(4)も素直な描写でいいですね。

(1)植木屋もまた年老いて秋暮れる  純(70才以上,男)
(2)京の町毒茸見て ハシャグ連れ
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)また、だと何かを比較しているようで、その何かがわからないもどかしさがあるので、ただ年老いているだけでも。
(2)京の町と毒茸の取り合わせは面白いと思いますが、最後のハシャグ連れがオチのようになってしまっているようなのでご一考を。

(1)繰言(くりごと)の多き友来る神無月  北野元玄(60代,男)
(2)北風(きた)の日の信玄袋嵩張りて
(3)霜柱踏みしだきつつ黄楊の帯

 たまには・・・。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)いいですね。信玄袋に何がはいっているのか、ごつごつととび出た感じと季語の相乗作用が、上手く効いているように思います。
(1)繰言を言い合える友人同士っていいですね。
(3)よろしいのでは。

冬晴れや路地の奥より機の音  悠(70才以上,女)
ドクター三宅の診断と処方箋
 西陣あたりの感じでしょうか。情緒がありますね。

憂き心抱えて生きよ空に柿  郁子(60代)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 生きよ が少し命令形できついので、警句の感じになってしまいます。憂き心で柿を見上げたときに眼に映ったものを、まずは実感を込めて置かれてみては。

時雨来てコーヒー店の小にぎわい  由利子(70才以上)
 よろしくご教示くださいませ。
ドクター三宅の診断と処方箋
 時雨が来たので、みな雨宿りに店に入ってコーヒー店がにぎわっているよ。と因果関係でつながってしまいますので、上に切れを入れられればいかがでしょう。

(1)小春日や供笥添えたるみすず飴  小口泰與(60代,男)
(2)寒暁の台地を包む茜かな
(3)格子戸を出づるや山茶花ふふみをり
(4)彫り深き山より生まる北颪

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)供笥(くげ)と読むのですね。左右対称に一対置かれている八角形の台にお供えものをおくのでしょうね。「に」と助詞を入れられればいかがでしょう。
(3)「出づるや」より「出で」ぐらいのリズムで後につながれてみては。

(1)くぐりゆく暖簾の褪せし冬の宿  澄(女)
(2)冬陽射すついばむ鳥の逃げもせで
(3)木の根道歩き歩いて年守る
(4)ねんねこの紐の緩みて子の重さ
(5)あと百段黄落ゆかば赤き門

 どうしても報告句になってしまいます。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 俳句は17音しかないですから、隅々まで言い尽くしてわかってもらうのはムリな形です。断片を効果的に置いて、読み手の想像力を信頼するしかないのです。だからこそ独善的に陥りやすく、句会やいろんな場所に出して、どう受けとめらるのか、常に自分に返していかないといけないのですが。句を作られるときに、わかってもらうことを前提にすると報告的になってしまいます。
(1)褪せし
(2)逃げもせで
(4)子の重さ
のあたりが駄目押しのようになっているように思います。

(1)幾色を重ねし果ての柿落ち葉  豊田ささお(70才以上,男)
(2)柿落ち葉兎の糞を染めにけり
 アメリカフウの句へのご診断有難うございました。今回の句も実景に近いものです。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「果て」とまで言い尽くされなくともいいように思います。
(2)染めるよりにじむ、とか能動的な表現より、自然にそうなった、という動詞を持ってこられてはいかがでしょう。


2006年11月29日

鶺鴒やちりとりひとつ置き去りに  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 掃除のあとの景でしょうか。鶺鴒は長い尾でちょいちょい地面をたたきながら飛び歩いているのでしょうか。置き去り、とちょっと言葉が強いので、忘れられていることをそのまま延べらいかがでしょう。

(1)俯瞰して 雲間にのぞく 秋景色  まき(50代,女)
 はじめまして。先日、やや早めの紅葉狩りに箱根に出かけた時に詠みました。よろしくお願いいたします。
(2)秋早く 霧ばかりなる つづらおり
 早めの箱根は紅葉よりも深い霧で車でゆく七曲がりは難儀しました。初心者です。俳句のイロハもよく分かりませんが、ふと浮かんだ思いをそのままに詠みました。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)俯瞰という難しい言葉を俳句の冒頭にもってくると、ちょっと固い感じになってしまうようです。「見渡せば」ぐらいでも。
(2)秋早く が少しわかりにくいですね。秋もまだ初めなら「初秋」ですし秋の朝早くという意味でしたら「秋の朝」とわけて表現されると句意がはっきりするように思います。

(1)足許にリズム生まれる落ち葉道  千鶴(60代,女)
(2)雨戸繰る手も止められし寒月に
 三宅先生お久しぶりでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 お久しぶりです。どうかよろしくお願いいたします。
(1)かさこそと音を楽しんでいらっしゃるのですね。
(2)寒月や雨戸繰る手をしばし止め、というように寒月を最初に持ってこられては?

病床の夫(つま)の髯剃る小春かな  月子(50代,女)
 この句はちょっと甘っちょろいですかしら?三宅先生。
 今月十三日、夫が脳梗塞のため再度入院いたしました。前回入院の時は一人で髯も剃れたのに今回はそれも難しい状態です。仕方ないので私が電気剃刀でベッドに座っている夫の髯を剃ってやっております。生まれて初めて男の人の髯を剃ることになりましたが、気持ち良さそうにしている夫が何だか赤ちゃんになったみたいで不憫ではありますが、可愛くも見えます。今日は久しぶりに我家に戻り投句いたしました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 大変な毎日をお過ごしのことでしょう。句には、ご主人の髯をそられて気持ちよさそうにしている様子に、自分の気持ちもまた満たされている様子が、小春かな という季語に十二分に籠められているように思います。投句いただきましてありがとうございます。

(1)禅寺に異国の人や冬温し  さくら(女)
(2)とりあえず白菜きざみ夕支度
(3)紅葉散るむせ返るほど背や肩に

 初めまして。宜しくご指導お願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いいたします。
(1)いいですね。異国の人という優しい言い回しと冬温し、がよく調和しています。
(2)刻みながら夕食の段取りを考えていらっしゃるのでしょう。
(3)むせ返るほどの形容が強いので下五は何も言わずに流されても。

(1)高層ビルの夕焼けてモヤイ像  学(50代,男)
(2)日当たりてみちのくの柿たわわなる
(3)炉明のもう一回とわらべ唄
(4)立春の船底の貝剥ぎにけり
(5)地吹雪や湯浴みの猿にしかとさる

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)モヤイ→モアイでは?高層ビルって確かにモアイ像のようですね。
(2)柿がたわわになるっていう表現はだいぶ手垢がついているので注意!
(3)炉明や、と切れを入れられては?
(4)何となく実感がありますね。
(5)しかと がちょっと‥。結果を持ってこなくても、地吹雪に猿が湯浴みしている景だけでも充分面白いように思います。

葉落として素直になれずなお桜  遅足(60代,男)
 また診断をお願いします。葉を落とした桜は素直になっているんでしょうか?春の花、葉桜、桜紅葉と忙しく、人の目にさらされて。なお桜と見られるのはゴメンでしょうか?
ドクター三宅の診断と処方箋
 ゴメンではないと思いますよ。名前は変われども桜はさくら。私の意見だと、「葉落へ素直になりてなお桜」でしょうか。

(1)逍遥園日のかげ揺らす落葉かな  小口泰與(60代,男)
(2)岩に落つ紅の落葉や逍遥園
(3)雪ん子のすきつぷするや九十九折
(4)曉紅を受けて榛名や霜見草

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)(2)少しきれいすぎる描写ですね。日のかげ揺らす、岩に落ちる落葉など、確かに見たままの景かもしれませんが、言葉にすると絵に描いたような景色になってしまうのが少し残念なところ。
(3)のすきっぷはスキップとカタカナがわかりやすくて、いいように思います。

わらわらと子ら取り囲む冬苺  豊田ささお(70才以上,男)
 今日は小学生たちの自然観察ボランティアでした。いわゆるインタープリターというやつです。案山子の句へのご診断有難うございました。やはり冬田に案山子は難しいですね、これは白紙に戻してみます。
ドクター三宅の診断と処方箋
 きっとしゃがんで冬苺のそばに座ってみているのでしょうね。可愛らしい景です。


2006年11月28日

(1)南瓜煮る寒暮に父は母待てり  学(50代,男)
(2)竹に花投げて帽子は地に落ちる
(3)しぐるるやライト早くも散乱す
(4)泣き濡れる秋の女や松しぐれ
(5)竹の実のたわわに垂れて誰がために
(6)松島の松を残してしぐれけり

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)上五、中七が言葉がみっちりあるので、父は母待てり と詳細に述べなくてもただ父が待っている様子だけでも充分かもしれませんね。
(2)この文体だと「投げて」より「投げた帽子は」とそのまま言われてみても。
(3)早くも、がちょっと説明的でしょうか。
(4)泣き濡れる 秋と女にかかる形容が少し過剰のように思います。
(5)(6)少し古めかしい感じですね。

(1)人類の原初明るしましら酒  まりあ(40代,女)
(2)青銅の騎士に空洞寒鴉
 ありがとうございました。共感を得る‥難しいところです。2番目、季語に迷っています。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)面白い句ですね。句柄が大きいです。
(2)そうですね。寒鴉も悪くないと思いますが、からっぽでさみしい感じが情緒的に近いともいえますね。少し置いておくとまた、ぴったりした季語が見つかるかもしれませんよ。

(1)錦秋の谷を切りゆくロープウェイ  郁子(60代)
(2)ハレルヤとたちて唱(うた)へり星の冬
(3)菊畑に母が背中の丸く見ゆ
(4)古の碑に寄り添いし石蕗の花

 ご講評励みになります。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)切りゆく とまで表現されなくても。谷の襞ゆくロープウェイとか、その谷の情景だけでも。
(2)クリスマスの雰囲気ですね。よろしいのでは。
(3)母の では?「の」の連続をきらわれたのでしょうが。
(4)寄り添いしと擬人化表現にされなくてもただ、あるとだけでもいいように思います。

(1)痩我慢の薄着に初冬きびしかり  由利子(70才以上)
(2)いたわられ余生送るや初時雨
(3)炉開きや心しづもる灰の色
(4)掃き残す落葉一葉の紅を

 いつもありがとう存じます。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)痩我慢、薄着、きびし、と全部つなげると、理由を説明したかたちになってしまいますね。この要素の一つだけを選んで、なるべく離した言葉で俳句を作ってみられてはいかがでしょう。
(2)も炉開きですから、灰と少し言葉を離されてみては?
(4)少し語調を整えて、「紅の落葉一葉掃き残す」では。

冬の日やしばし眺める玄武岩  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 冬の日に玄武岩がけっこう効いてますね。いいと思います。

(1)妻に手をここぞと貸せり濡れ落葉  文の子(60代,男)
(2)口固き友と二人や牡蠣の店
 「牡蠣割くや友寡黙にて滋味のある」を推敲しました。
(3)舞納おちば箒の力得て
 11/20のご診断有難うございました。バタバタしていて御礼が遅れ申し訳ありません。蜜柑はもう少し考えます。大分貯めてしまいましたので、数が多く申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)仲のよいご夫婦ですね。お二人で山歩きや散策をなさったときの景でしょうか。
(2)口重き、ぐらいではいかがでしょう。固きだと、牡蠣の口が堅い=友の口とちょっと理に落ちてしまうようにも思います。
(3)ちょっと意味がわかりにくいように思います。

(1)父と子の対話ほつほつ障子貼り  しんい(60代,女)
(2)赤コート裾ひるがへし老紳士
 よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1) 障子貼りの作業は確かにそんな感じですね。ぼつぼつと言葉をつなぎながら。「ほつほつ」の音がいいです。
(2)颯爽とした紳士ですね。

(1)田仕事を終えて勤労感謝の日  加護坊(70才以上,男)
(2)妻の背のいよいよ丸く冬に入る
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)(2)普段の生活の実感が伝わってくる句です。

(1)雨含み茎を反らせし寒薔薇  小口泰與(60代,男)
(2)曙に冬稲妻の破裂かな
(3)また1人寒鮒釣りに入りをり
(4)あめ玉を含みてふはり小六月

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)茎を反らせし寒薔薇の部分がいいです。
(2)破裂がちょっと、大げさなような。
(3)自然な味わいですね。
(4)これが一番好きです。小六月のあったかな感じがよく出ていますね。

冬の日や荻須のPARISに囲まれて(荻須美術館)  涼(70才以上,男)
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 荻須美術館は、稲沢市にあるのですね。荻須高徳の画はよく知らないのですが、パリを描いた風景画が多いのでしょうか。

(1)あと百段黄落ゆかば赤き門  澄(50代,女)
(2)冬ぬくしついばむ鳥を払わずに
(3)残菊や畑の隅に凛と立つ
(4)ママパパとボール転がす小春かな
(5)総ガラスビルの中までいわし雲

 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)百段降りると山門に行き当たるのでしょうか。黄落の百段ゆかば赤き門と、ちょっと色と色の距離を離してみれば効果的かも。
(2)払わずに と結果まで言ってしまわずに何をついばんでいるかを表されてみては?
(4)ママパパはママとババということでしょうか?
(5)総ガラスビルの言葉がちょっとこなれないので、「いわし雲ガラスのビルに流れおり」ぐらいの表現で。

小雪や 悲しみ多く 休むだけ  菊美
 ネツトで書きこみの知人、大切な人亡くされ悲しみの由。先ずご自分を大切に!
の思いです。お世話になります。 ドクター三宅の診断と処方箋
 俳句で思いを伝えるのは難しいですね。限られた中での表現ですから、どちらかというと思いを抑えた形になりますから。「悲しみを宿せし屋根に小雪降る」と言った間接表現になりましょうか。

(1)しぐれては蕎麦屋で暫し雨宿り  タント(60代,男)
(2)夕映えの庭に灯点す熟柿かな
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)少し江戸時代みたいな雰囲気になってしまったようです。暫し、しぐれ、という語感のせいでしょうか。
(2)熟柿が灯点す という言い方はちょっとありふれているかもしれませんね。


2006年11月27日

(1)初雪を見むと烏骨鶏立ち並ぶ  仁(50代,男)
(2)煙雨輝き失せて青木の実
 こんばんは、三宅先生。例のバクダットの朝顔の件、私も定かではありません。話せばながくなりますが悪友がイラクにも朝顔らしきものがある。ということでしたので現在のイラクでの状況下ではと思い・・・(2)の句添削ありがとうございます。きょうもよろしくお願い致します。
(3)冬日浴び屋根の瓦のやわらかし
(4)散策も此処で終わりよ紅葉散る
ドクター三宅の診断と処方箋
 バクダットの朝顔、ご回答ありがとうございました。
(1)立ち並ぶ、があるので見むとは省略されたらすっきりするかもしれませんね。
(2)(3)よろしいのでは。
(4)此処で終る、といってしまうと少し説明的になってしまうので、言葉を工夫されてみてはいかがでしょう。終ると、散るが少しつきすぎかも。

(1)ゾウガメが月のたまごを孵しおり  穂波(30代,女)
 「ゾウガメが月のたまごをあたためる」を推敲しました。「切れを作るように」とのことでしたので、下五を「おり」で終わらせました。
(2)満月でバレーボールや銀鯨
 「鯨」は冬の季語だったのですね。「月」と一緒には使えないのでしょうか。2、3日前、確かめたいことがあってクリニックのバックナンバーを読み返していましたら、自分の文章に漢字の変換間違いを見つけました。その変換間違いのため大げさな言い方になっており、赤面しました。送信ボタンをクリックする前に、入力した文章をもっと入念にチェックしないと、と思った次第です。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)よろしいのでは。
(2)鯨の尾を跳ね上げたりする様子が満月をバレーボールに遊んで見える景なのでしょうか、大きな景で気持ちがいいですね。中心の置き所を決めていれば、季がさなりもそんなに気にされなくてもいいのではないでしょうか。
 入念なチェック、そうですね。自戒するところです。私もアップされた後でしまった、と思うことたびたびですが、あ〜後の祭りです。

俎板にのり今一度河豚跳ねる  尼の久女(60代,女)
 生簀から跳ねながら掬われた河豚。河豚は上5の方が良いかとも迷いました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 のり、はいらないのでは? 「いま一度俎板の河豚跳ねあがる」とか。

(1)宵闇のマストは高し松しぐれ  学(50代,男)
(2)大滝の天の光を零しけり
(3)秋灯や家ごとに幸あるごとく
(4)紺絣すでに日高見紅葉せり
(5)兵隊の螺子が止まりて霜の花
(6)冬の日の貞山運河潮満ちて

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「宵闇のマストは高し」の部分がいいですね。
(5)おもちゃの兵隊でしょうか?これいいですね。
(3)少し平凡かも。
(2)大滝や、と切れを入れられたらいかがでしょう。
(6)もう一ひねりほしいですね。

残照の庭に紅葉の裏表  澄(50代,女)
ドクター三宅の診断と処方箋
 残照の色と紅葉の赤が、取り合わせとして似通っているように思います。全体が一色になっているので少し変化がほしいところですね。

水槽に 亀沈みたる 夜寒かな  智章(50代,男)
ドクター三宅の診断と処方箋
 亀の沈んでいる様子に、夜寒をことに感じられたのですね。
  水槽に亀沈みたる夜寒かな
と詰めて表記されてみてはいかがでしょう?

駅頭の人を走らす初時雨  タント(60代,男)
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 確かにそうですね。納得の一句ではありますがちょっと転ばしてみたりしても。

(1)褪せしもの彩りしもの冬峠  小口泰與(60代,男)
(2)よんどころなく流れ来し冬の雲
(3)深呼吸刹那に白き息となり
(4)おれんじの暈して日あり枯木立

 ご親切なご指摘有難う御座います。よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「褪せしもの彩りしもの」
(2)「よんどころなく」の部分ちょっと大づかみな表現のように思います。
(3)刹那 をもう少し柔らかい言葉にされては?
(4)おれんじはオレンジの表記がよいように思いますが。

(1)山河ありゲリラの女毛糸編む  北野元玄(60代,男)
(2)二人ともマザコンでした神無月
 11/21の用済みの案山子と神々の旅立ちの2句のご批評、有り難うございました。今回は優しげな句を(中身は相当ホラーでは)。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)何だかありそうな景色ですね。昔知り合ったイスラム教徒の青年は大きな毛糸の帽子をかぶっていました。
(2)二人とも って誰を指しているのでしょう?これは別れた女の述懐?

(1)これがもう見納めか枇杷の花  豊田ささお(70才以上,男)
 坪内先生の「今日の一句」に学校で先生方全員が句会をするという話がありまし た。うらやましい限りです。今回で枇杷の花はいっぷくさせていただきます。
(2)眼裏に借耕牛ゆく冬峠
 「借耕牛」が判りにくいと思いますので、注釈しますと昭和40年ごろまで讃岐の百姓は阿波から、年2回(田植え期と麦蒔き期)牛を借りて耕していました。それが阿讃の峠の風物詩でしたが、農繁期を終えて阿波へ帰る牛たちは皆あばら骨の見えるほどやせ衰えていたということです。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1) 職員室で俳句の話がはずむなんてすてきですね。枇杷の花も見納めですか?来年の実が楽しみですね。
(2)「借耕牛」のご説明ありがとうございます。昭和40年ごろ、というともう40年ほど前でしょうか。その頃には牛がまだ農作業に使われていたのですね。借耕牛 という言葉だけでわかる人には峠が阿讃の峠とわかるのでしょうか。

冬めくや体育館の昼下がり  加護坊(70才以上,男)
ドクター三宅の診断と処方箋
 気分はよく出ていると思いますが。昼下がり、と時刻を出すよりも体育館のどういう場所か、限定されたら景がよりよく見えるように思います。

走る街時を凍らせ救急車  澄(50代,女)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 ちょっと語順がわかりにくいですね。
  救急車時を凍らせ走る街
でしょうか?


2006年11月26日

榾明り落人村の悲話を聴く  春雪(70才以上,男)
 三宅先生 こんばんは。 ご指導をお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 平家の落人村でしょうか。旅の雰囲気がありますね。

(1)野を駆ける悪童二人冬の虹  玉白石(50代,男)
(2)この先はトトロの小径石蕗の花
 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)悪童懐かしい言葉です。冬の虹が効いてますね。
(2)近くの所沢にトトロの森があります。石蕗の花の田舎めいた道もたくさん残っています。

(1)荒れ畑に覆いかぶさる枇杷の花  豊田ささお(70才以上,男)
 「売れ、売れ」とうるさく言われる畑です。その時が枇杷の伐られる時でもあります。
(2)断層の裂け目が咲かす枇杷の花
(3)雨粒を少し光らせ枇杷の花
(4)伐るべしと決めて向き合う枇杷と吾
(5)伐るべきは誰の胸中枇杷の花

 いつもありがとうございます。枇杷の花でいくつか作りました。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)覆いかぶさる をちょっと押さえぎみにされてはいかがでしょう。ただ咲いているというだけでも。
 その意味では(3)がいいですね。(4)枇杷と吾ではなく枇杷の花、だけでも。
(5)誰の胸中 が少しわかりずらいようです。

おでん鍋夫婦に広き夜の卓  なごみ(70才以上,女)
 息子一家や娘一家が来た時は具材が多い天麩羅やおでんもすっかり平らげてくれるのですが二人だと三日ほどあります。それを揚句にしたのですが。夕食はおでんでした。
ドクター三宅の診断と処方箋
 そうですね。そうすると具材が余るのでしょうから、ちょっと意味が違ってきますね。広き、でなく多きでしょうか。

忘れたきこと忘れさせ秋の空  しげ(60代,男)
 実景なのですが「秋の空」がおもしろくなく色々考えています。「白槿」「花茗荷」等も考えていますがご指導お願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 そうですね。季節をはずれても、何か自分の気分に沿う季語をもってこられればいいですね。白槿だと視線が空に向きますし、花茗荷だとちょっと視線を伏せる感じ。忘れたいことを忘れさせてくれるのはどっちでしょうか。

(1)入れ喰いの鯊そらに舞う橋の上  希妙(50代,男)
(2)初時雨鴉大声猫小声
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)入れ喰いの鯊そらに舞う、ここまでは勢いがあっていいと思います。ただ橋の上、と最後に場所でまとめられるのが残念。勢いを連ねて、きっと鯊はぴちぴち光っているでしょうから、地に光る、ぐらいでも。
(2)漢字ばかりの表記で面白いですね。

(1)荒海の風尖りたり冬籠  しんい(60代,女)
(2)雁渡る筑波嶺の上(へ)の点描よ
(3)朝日中いろ深め行く柿簾

 よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)寒そうですね。冬籠の感じです。
(2)点描よ の部分が上のまとめのようになってしまったのが惜しいように思います。
(3)朝日の中にある柿簾はいい景ですね。いろ深め行くといわれなくても 朝日の中の柿簾とされて上五に別のものを取り合わせに持ってこられても。

(1)蓑虫が糸一本で宇宙から  靖彦(60代,男)
(2)秋蝶が息ととのえるマリア像
 やよい先生の若い感性と息吹を!
ドクター三宅の診断と処方箋
 あまり、若くないですけど。感性は若くありたいですね。
(1)みの虫、が垂れ下がるのは一本の糸でしょうから、ちょっと違った表現がいいかもしれません。
(2)羽根を上げ下げしている様子を「息ととのえる」と表現されているのはいいですね。

(1)一瞬に連山染めし冬落暉  小口泰與(60代,男)
(2)九十九折りカーブミラーに冬黄葉
(3)常よりも早き炬燵や犬欠伸
(4)寒暁の庁舎燃え立つ日の出かな

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)一瞬が少し、おおげさでしょうか。
(2)実景でしょうか。
(3)犬欠伸 が少し舌足らずな表現なように思います。
(4)日の出だけで充分。燃え立つはなくとも。

石だたみ時代絵巻や紅葉抱き  藤節(50代,女)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 石畳、時代絵巻、紅葉、抱く、と一句に盛ろうとする言葉が多いように思います。「石畳に紅葉が絵巻もののように散っている」という景色を表現されたかったのでしょうか?石畳を擬人化されているのでしょうが、ちょっと意味が通りにくいと思います。今ある形で整理するなら「石たたみ紅葉を散らす絵巻物」でしょうか。


2006年11月25日

鼻歌も聞こえよがしに鎌の月  遊飛(50代,男)
 初心者です。どうなりと叩いて下さい。
ドクター三宅の診断と処方箋
 はじめまして、よろしくお願いいたします。
 鼻歌に注目されたのは面白いですね。その何気なさと鎌の月との取り合わせはとてもいいと思います。ただ聞こえよがし、と言われるよりも、鼻歌がただ聞こえてくるだけでいいと思います。
  あちらから鼻歌きこえ鎌の月
とか。

寒林に又三郎を追いかけて  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 風の又三郎を追いかけているのでしょうか?寒林以外にも取り合わせを考えてみられてはいかがでしょう?

(1)遠回りして冬木の桜と出会う  仁(50代,男)
(2)血族の集ゐて青きみかん狩る
(3)ずわい蟹捕れて市場の美しや
(4)冬の町イルミネーションほしいまま

 三宅先生、こんばんは。きょうもよろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)冬木の桜、がちょっと回りくどいように思います。冬の桜と出会いけり、でしょうか。
(2)血族がちょっと強い言葉ですね。親戚、ぐらいでも。
(3)、言葉の斡旋に一工夫されてはいかがでしょう。捕れるを水揚げとか使われると、
  水揚げの蟹美しや朝の市
とか、いろいろバリエーションができますよ。
(4)ほしいまま、がちょっと効果的ではないような。イルミネーションの色とか形に注目されてみてはいかがでしょう。

(1)本堂にもみじを入れる横歩き  忠男(60代,男)
(2)枯れてゆく里に未練の残り柿
 先回のご指導有難うございました。当二句もよろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)横歩き がよくわからなかったです。
(2)枯れる・未練・残る と同じ気分を伝える要素が3つ同時にはいっているので句が込み入っている感じです。俳句は単純さが命。少し絞られてみては。

(1)冬ざれや巨大重機の鉄の爪  雀子(60代,男)
(2)五線譜に雀ならびて小春かな
 診断のほどよろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)冬ざれだと荒涼感を引き立てるにはインパクトがあるかもしれませんが、小春日、や冬日ざしのように温みのある季語を持ってこられると、かえって鉄の爪の固さ、冷たさが引き立つようにも思います。
(2)電線に並んだスズメを見立てられたのでしょうね。可愛いです。

FBIポテトチップス冬銀河  裸時(30代,男)
 デスノートにFBIが出てきます。日本人はFBI好きかな?
ドクター三宅の診断と処方箋
 すきなのかもしれませんね。字余りになりますが「FBIの」と、助詞を挟み込まれると語感がよくなるのでは。

(1)野良犬のまだ坐りいて冬温し  豊田ささお(70才以上,男)
(2)切り株の向こうに坐る鎮守様
 こんな景ですが、ちゃんと鎮守の森としようかと迷いました。ご指導を・・・。三宅ドクターの処方箋で少しずつですが俳句の入り口が見えてきているような状態です。今後ともよろしく、お願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)(2)いいですね。俳句は景を整えようとがんばりすぎると、面白くなくなってしまいます。鎮守様、でほんとうに切り株の向こうに神様が座っているようで、可愛らしく思えます。

(1)もち肌のひたと吸い付く冬陶器  立夫(50代,男)
(2)いちいちの言い訳はせず鍋料理
 ご診断ありがとうございました。2回目をよろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)(2)俳句は読み手の想像力を信頼することが大事。その点から考えると、いちいちの、ひたと吸い付くという言葉が少し説明的のように思えます。冬の陶器、鍋料理にポイントを置いて、手近に見えるものと取り合わせて何句か作ってみられたらいかがでしょう?

小春日や円空佛のアルカイック  涼(70才以上,男)
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 アルカイックスマイルと仏、確かに円空仏の微笑みはそうですね。アルカイックは辞書を引いたところ古風、古拙という意味のようですから、ちょっとこの言葉だけでは読み手には伝わらないかもしれませんね。

(1)靴紐を結び直して花野道  タント(60代,男)
(2)しぐるるや眼鏡に滲む赤信号
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1) (2)ともの肩の力が抜けていて、いいですね。こんな調子でどんどん作って句会に参加されてみればいかがでしょう。


2006年11月24日

青木の実茶室の客を迎へけり  春雪(70才以上,男)
 三宅先生 こんばんは。今日は京都の寺院の紅葉を楽しみました。茶室で一服頂いた席に青木の実がひそりと活けられていました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 実景ですね。たくさん書き留めて置かれると、あとから写真を見るよりも鮮明にみたときの気持ちが甦りますからいいですね。

(1)紅葉の湖面にはじく朝日ざし  悠(70才以上,女)
(2)弧巻きて後楽園の松高し
(3)のびのびの事の多くて日の短か

 添削ありがとうございます。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)紅葉と朝日ともに色が赤いので、少しずらしたものを取り合わせてみられてはいかがでしょう。
(2)後楽園とくれば松ですが、全てを等量に表現されようとしているので、少し句が窮屈そうです。中心を決めて削られてみてはいかがでしょう?
(3)のびのびにしていることが多くて、用事がこなせないままに日が短く終ってしまうよ。と言葉をつないで普通の文章になってしまいます。どこかに切れるところを作られてみては

身にしむや忌の挨拶の続き来て  なごみ(70才以上,女)
 船団の本屋さんからメールを頂きました。有難う御座いました。年末になりますと喪の挨拶の葉書をいただきます。歳を重ねると多くなる寂しさを詠みたかったのですが下五はこれでよろしいでしょうか。ご指導ください。
ドクター三宅の診断と処方箋
 そうですね。このままでもいいとは思いますが、身にしむと忌の挨拶 だけでも充分寂しさは実感できますので、「忌の挨拶を受けとりぬ」ぐらいでもいいかもしれませんね。
 歳を重ねることを強調しようと思えば、「続々と忌の挨拶の身にしみぬ」でしょうか。ご参考までに。

遠吠えのデクレッシェンド石蕗の花  澄(50代,女)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 遠吠えにクレッシェンド、デクレッシェンドがあるなんで、面白いですね。石蕗の花もいいです。

林抜け一本道の花野かな  タント(60代,男)
 宜しくおねがいします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「林抜け」が事実経過になってしまい、あまり働いていませんね。この部分、ご一考を。

(1)月光の髪して見知らぬ訪問客  鴻之助(50代,男)
(2)時雨のちところによって恋模様
(3)シクラメン見惚れていたる食べっぷり

 前回のご指導ありがとうございました。(1)は「月光の髪して夜の訪問客」を推敲 したものですが、いかがでしょうか。また、新たな2句よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)月光をやってきた感触を生かして、月光に髪を濡らして訪問者でもいいかもしれませんね。
(2)面白いですね。
(3)見惚れる、をもうすこし抑えた表現にされてみては。擬人化より、ただ、食べっぷりとシクラメンを組み合わされてみては?


2006年11月23日

外套の少女の細き腓かな  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 腓がいかにも寒そうでいいのではないでしょうか。外套を持ってくるなら、かな、で止めるといかにも古色蒼然としてしまうので、語尾は工夫のしどころかも。

(1)アメリカフウ紅そめし君と出逢ひぬ  豊田ささお(70才以上,男)
(2)待ち合わせ一番赤いアメリカフウ
 今日見事なアメリカフウの並木のある高校へ行ってきました。アメリカフウは多分季語でないと思いますが気楽に作ってみました。が、今日ぐらい若さが羨ましかったことはございません・・。
(3)蟷螂のはらわた透ける昼さがり
 「どっと湧く・・・秋の山」へのご指導有難うございました。「木挽き歌むかしありけり秋の山」ありけりというのは、私の語彙の中にありませなんだです。さすが・・なんていうと僭越ですが、とことん参りました。蟷螂の句もこれでよみじまいにしようかなと・・・
ドクター三宅の診断と処方箋
(1) アメリカフウ、いい語感ですね。「紅そめし君」がちょっと表現として古いような。高校生の君と会う。ぐらいでも。
(2)いいですね。語順をかえて、「一番赤いアメリカフウで待ち合わす」でも。
(3)実感でしょうね。また来年の蟷螂との出会いを楽しみに。

(1)信号を待つひとときの小春かな  文の子(60代,男)
(2)明六つや鳥渡りくる日本橋
(3)湖の面に枝を突き立てつ鹿泳ぐ

 「湖に枝の浮かぶがごとし鹿泳ぐ」を推敲しました。
(4)冬温しベルギーワッフル漂ひ来
 中8ですが、「ベルギ−」はberugiiとしてberugiと読めるのでしょうか。「小さき」のchiisakiはchisakiとなるのでお伺いします。中8なら「ワッフルの甘きかをりや冬ぬくし」と思っていますが、如何でしょうか。宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 長音(伸ばす音)、一音と数えてよろしいのでは。小さき(ちさき)は文語ではその読み方になります。表記の仮名遣いで判断しますので、現代仮名遣いにするか、どうか表記は統一されたらいいのでは。
(2)ちょっと全体が古めかしいですね。
(3)枝を突きたて、ぐらいでも
(4)ベルギーワッフルの匂いがただよってくるのでは?「ワッフルの甘きかをりや冬ぬくし」が句意が鮮明になると思います。

(1)表現はお国訛や京は秋  仁(50代,男)
(2)円周率何処まで行つても冬の道
(3)この陽射し冬の部屋なり四畳半
(4)柿食へば東の空の青々と

 三宅先生、こんばんは。拙句よろしくお願い致します。先日の、「とほくよりひとやつてきてりんごむく」の句、推敲の末敢えてひらがな表記にしましたけれど、先生のおっしゃる通り納得です。ありがとうございました。また「冬近し喪服の中にばったの子」の句ヒントをいただきありがとうございました。先生の言われるように情景がわかる表現、なるほどです。一人句会ですと、ひとりよがりになっていけません。これからも厳しい診断よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 句会はいいですよ。お近くの句会にでも出られてみては?
(1)「お国訛り」の部分に具体的な言葉を持ってこられてはいかがでしょう?
(2)何だかおもしろいですね。ぐるぐる回っている感じ。
(3)少し言葉が多いですね。「この陽射し冬の」の部分は冬陽(日)射す、ひと言でまかなえちゃえますから。
(4)空は青いので、別のものの形容に持ってこられたら効果的かもしれませんね。

(1)親しげに肩にとまりし蜻蛉かな  栗太郎(60代,男)
(2)苛立ちを棘に潜めて冬薔薇
(3)初咲きの山茶花生けて朝餉かな

 三宅先生始めまして。俳句を初めて1年の初心者です。ご指導のほどよろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんにちは。よろしくお願いいたします。
(1)親しげに(2)苛立ちをという言葉は、蜻蛉が無防備に止まる様子。棘の立つ様子を説明する言葉なので削られたらいかがでしょうか。俳句は短いので、五七五の置く言葉がそれぞれ働くように考えてみられてはいかがでしょう?なかなか難しいですが、言葉を動かしながら考えてみるのも面白いですよ。
(3)生けては活けてのがいいかもしれませんね。

(1)うそだってゆるしてあげる菊人形  月虎
(2)北風と笛をふく人まっすぐで
(3)人生は泡のようだなパッチはく

 どうですか、三句まとめて、おくります。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)うそだってゆるしてくれるのは、菊人形だけじゃないかも。季語がどうでしょう?もっとずばりと決まるものがあるかもしれませんね。
(2)北風と笛を吹く人はまっすぐに来る、という句意でしょうか?
(3)人生、を持ってくるとちょっと常套的かも。別のものが泡のようだ、と意外なものを直喩に持ってくるとパッチはく、が生きてくるように思います。

(1)秋うらら大工表に刃物研ぐ  えんや(60代,男)
(2)雪吊の縄の尻尾のあつちこち
(3)せせらぎに紅葉誘う流れかな

 よい句評を頂くと一日わくわくしている爺さんです。天気の良い日は2・3本づづ雪吊をしている毎日です。今回も宜しくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)大工表に が少しわかりにくかったのですが庭で大工さんが刃物を研いでいるのでしょうか?「表」と表現されるより、庭、とか外ならわかりやすいかもしれませんね。「秋うらら大工は庭に刃物研ぐ」とか。
(2)縄の端があっちこっち向いているようで、面白いです。
(3)ちょっと見たような景色かも。


2006年11月22日

(1)繁忙の菓子の季節や冬日和  小口泰與(60代,男)
(2)山に落つうら悲しけれ冬落暉
(3)初雪の早やも奏でる浅間かな
(4)小春日やジャズにはずみし菓子倉庫
(5)山茶花の散り重なりて蘂長き

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「繁忙の菓子の季節」がちょっとわかりにくいです。
(2)「うら悲しけれ」と情緒を全面に押し出されなくとも。
(4)菓子倉庫にジャズが流れているのでしょうか?
(5)蘂長き山茶花というのはいいですね。

マネキンの片手添へたる冬帽子  涼(70才以上,男)
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 冬帽子をかぶるマネキンなのでしょうか。きっとしゃれた冬帽子なのでしょうね。

年重ね 背なのぬくもり 小春日の  菊美(60代,女)
 お世話になりますm(__)m。本当に、1言ご指導戴きが、嬉しい句になります。土の中種明かししない。本当ですね!
 飛んで行き?いずこやら?にしますが。肩こりも、冷えも余り知らずでしたが、チャリで走る中、背中の太陽が気持ち良く、来年はいくつ?健康過信もいけないですね(^○^)飛んで行く?
ドクター三宅の診断と処方箋
 小春日は温いでしょうから、ぬくもり、は消してみられてはいかがでしょう。「小春日の」は上五に置かれたら口調がよくなるように思います。

(1)新宿の地下道をゆく草の絮  まりあ(女)
(2)胃の壁をカメラ降り行く寒茜
 三宅先生ありがとうございました。縄跳びはおっしゃるとおり大縄跳びです。タンポポの綿毛を見てから、「草の絮」の句を続けてつくってしまいました。何か、輪郭のはっきりしない句をつくることに憧れているようです。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 そうですね。輪郭のはっきりしない句もいいですけど、どこかに読み手が共感のできる一点がないと、掴まえ所がなくなるので、それだけは意識されたらいいかもしれませんね。
(1)乾いた質感と草の絮の取り合わせがいいですね。
(2)胃カメラが少し赤みを帯びた胃壁を下りてゆくのでしょうか。よろしいのでは。

堂巡り裳裾を濡らす初時雨  春雪(70才以上,男)
 三宅先生 こんばんは。仁和寺の裏山に西国88ケ寺巡りのお堂が散在しています。和服姿の信者さんが、生憎の北山時雨に立ち往生をしていました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 実景でしょうね。裳裾というといかめしい装束という感じがしますので堂巡る裾を濡らして ぐらいでも。

(1)ジャズドラム雨かと見やる風の色  穂波(30代,女)
 朝倉先生のときに投句した「栗をむく雨かと見やるジャズドラム」を推敲しました。「栗剥き」と「ジャズドラム」の場所が、同じか違うのか分かりにくいとのコメントを頂きましたので、季語と語順を入れ替えました。
(2)鳥渡る克己前線南下中
 以前の「鳥渡る」4句(「ありったけ翼に賭けて鳥渡る」「一息に描いた軌跡鳥渡る」「まよいなく雲切りさいて鳥渡る」「鳥渡るこの一団でロシアから」)で、朝倉先生からは「感情は抑え目に」「表現は具体的に」とコメントを頂きました。先生からは「まっすぐな道空にあり鳥渡る」へ「類想が多いのでもう一ひねり」とのコメントを頂きました。特定の句の推敲にはなっていないかもしれませんが、ご指導いただいたことに気をつけて作ってみました。
(3)又三郎は引っ越したよと寒太郎
「又三郎引っ越したあと寒太郎」を推敲しました。以上3句、よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)よろしいのでは。
(2) 克己前線 が少しわからなかったです。
(3)中七の言葉の語尾が少しかえられたようですが、両者の関係はそのままですね。〜のあと、という意味的な部分は変わっていないようです。うまくいかないときにはノートに気になる言葉だけ書き付けておいてしばらく忘れるのも手ですよ。

丹波から小包ひとつ秋日和  玉白石(50代,男)
 「丹波から小包ひとつ柚添えて」から変更します。「柚添えて」では意味が狭くなりますので。
ドクター三宅の診断と処方箋
 そうですね。何が入っているのかしら、丹波だから栗だろうか、黒豆だろうか、と想像が楽しいですね。秋日和もいいです。

冬の田に案山子の寄り合続きをり  豊田ささお(70才以上,男)
 今日久しぶりに公園の小さな田んぼに行きましたら、まだ案山子が6体も立っていました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 寄り合い、と表現されるよりそのまま立っている様子を詠まれてみては。寄り合いを生かされるのであれば、続きをり、ではなく案山子寄り合う田のありてぐらいで。


2006年11月21日

(1)クリスマスなにわ袋の顔が飛ぶ  裸時(30代,男)
(2)風邪を引き文字ピッタンこやせていく
(3)冬の蝶動く白線越てゆく
(4)神経の細い涙の枯木様
(5)音乗れば白白人の冬の海

 若くて賞をとっている人もいるのであせったり、(^^;34歳微妙な歳です。
ドクター三宅の診断と処方箋
 どんどん作っていろんな挑戦をしてくださいね。
(1)なにわ袋って、どんな袋なんでしょう。
(2)「文字ピッタンこやせていく」(4)神経の細い涙(5)白白人の部分がちょっとわかりにくいです。
(3)動くのは冬の蝶でしょうか、白線でしょうか。

小春日や曲がり角より遠回り  澄(50代,女)
 俳句始めたばかりで季語など全く分かりません。まず自分の身近なことからと思って始めているのですが俳句になっているのかも分かりません。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 そうですね、身近なところから実感をもって詠まれるがいいですね。「曲がり角より遠回り」は小春日だからいつもより遠回りして帰りたい、という気持ちを込めて表現されたのでしょうか。ちょっとわかりにくいので、「小春日やいつもの道を遠回り」ぐらいでよろしいのでは。

(1)バクダット朝顔が地を這っている  仁(50代,男)
(2)青々と木の実落つるをさがしけり
 よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)バクダットって朝顔を巻きつかせて育てないのでしょうか?同じ花の品種なのでしょうか?
(2)落つるを省いて、青々とした木の実をさがしている、という描写だけでも。

(1)用済みの案山子がテロの指示を待つ  北野元玄(60代,男)
(2)神々もパスポート持ち旅に発つ
 11/15にドスの句は物騒だと叱られましたが、レンブラントの句をほめていただき 有り難うございました。今回も2句を診て下さい。(1)は物騒に感じられますか。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)そうですね。ちょっと用済み、テロ、指示と一連の流れが意味的になって、俳句のふくらみを消してしまうのが惜しいように思います。
(2)も同様で、全体が神の旅、とか神の留守の語彙の説明になってしまっているのではないでしょうか。

小春日の空に桜の返り花  タント(60代)
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 素直な表現でいいと思うのですが、小春日、桜、返り花 どれも同じ比重で描かれているので、中心点もずれてしまうようにも思いますが、どうでしょう。

けりあげた坂道夜は秋を産み  藤田亜未(20代,女)
 はじめまして。よろしくおねがいします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
 「けりあげた坂道」「夜は秋を産み」それぞれにとても面白い表現です。二つ重ねて一句にしてしまうのはもったいない。この組み合わせではちょっと真ん中で分裂してしまいそうです。それぞれで違う取り合わせでユニークな句が二つ生まれそうです。

無花果のワイン煮のよう陽が沈む  れい(70才以上)
 季語が秋ですがよろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 無花果のワイン煮、おもしろいたとえですね。きっと美しく染まった夕暮れだったのでしょうね。

(1)初霜や噴煙風の意図に添ふ  小口泰與(60代,男)
(2)虎落笛上州台地けぶりをり
(3)麦畑の土も巻き上ぐ北颪
(4)炬燵出ではや冠雪の浅間山

 何時もご親切なアドバイス有難う御座います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)噴煙風に添ひにけり、ぐらいでも。
(2)景に人間の暮らしの温度が少しほしいように思います。

陽だまりに子を遊ばせて青木の実  なごみ(70才以上,女)
 狭庭に南天や千両の木が赤い実をつけています。孫達が来ると暖かい日には庭にでて実を取って遊んでいます。青木の実が兼題なのと青は若さを現すかなと思って掲句にしました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 気持ちのよい俳句ですね。遊んでいる様子がよくわかります。

唇のうらがわ剥けて痛い冬  涼(70才以上,男)
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 うーん。実感ですが、もう少し気持ちよさがほしいですね。読み手の側にたっての印象を考えるのも大事だと思いますので。「痛い」と「剥けて」と「冬」の重なり、がちょっと重いように思います。

(1)すうどんを啜る石工の目にしぐれ  学(50代,男)
(2)小鳥来て肥後守研ぎ舐めてみる
(3)しぐるるや八百屋魚屋駄菓子屋に
(4)きつねのかみそりを活けて山の神
(5)きれいじゃなくちゃおばあちゃん冬薔薇
(6)焼櫨の顔になりたり今朝の妻
(7)身を尽くす火蛾の二の舞なんまいだ

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)すうどんを啜る石工 の部分面白いと思うのですが、ちょっと全体が込み入っ た感じです。
(2)研ぎし肥後守 ではいかがでしょう。小鳥との取り合わせはすてきです。
(6)おもしろいです。


2006年11月20日

峠越え目をうばわれしななかまど  藤節(50代,女)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 ななかまどはどんな様子だったのでしょう?色は、どんな場所にあったのでしょう?「目をうばわれし」の中七の部分で、その景が読み手に伝わるようにここが工夫のしどころですね。

(1)一望の矢切の渡し草紅葉  春雪(70才以上,男)
(2)風の音(ね)聴き流す音落ち葉散る
(3)落ち葉舞ふ木々が身震いしてをりぬ
(4)枯れ蓮を夕陽が浮かせ見せにけり

 三宅先生、こんばんは。矢切の渡しを訪ねた時の句です。ご指導をお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「一望の」では、読み手に景が少し見えにくいので、身近に見えたものを句に取り入れてみられてはいかがでしょう。
(2)風の音(3)落葉が舞う様子、のあとがその説明になっているので、見た印象を大事に作ってみられては。
(4)枯れ蓮が夕陽があたってどんな感じに見えたのか、枯れ蓮が夕陽に浮いて…このあとが問題ですね。

木枯らしに向かう少女や北千住  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 景が大きいので少しつかみどころがないようになってしまったようです。「向かう」の言葉をもう少し動かしてみられては。

(1)つわぶきの 花うきいでて 十三夜  今田誠之(70才以上,男)
 初心者です。友達が作っているのを真似て作ってみました。何時も脇役の「つわ ぶき」が 先日の十三夜の月光に照らされ黄色くきれいでしたので・・
(2)垣根越し 柿のたわわみて くに(古里)想う
 古里を離れて60年になりますが、秋の此の頃屋敷の中に柿が一杯なっている家を見ると、田舎の家のこと子供の頃をを思い出します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)きっとつわぶきの黄色の花が月にぼうっと浮き出てきれいだったのでしょうね。心に感じるものをどんどん 作ってみてください。
(2)最後のくに(古里)想う へすぐにつなげないで眼前のもので統一されてみてはいかがでしょう。

(1)なんとまあとんぼりをゆく秋の蝶  靖彦(60代,男)
(2)恥をかくひとを見ている体育の日
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)ちょっと一茶を連想させる軽い口調ですね。
(2)恥をかく人の気持ちを考えると俳句の題材としては、哀しい感じです。

(1)手の三つ欲し助手席の熟蜜柑  文の子(60代,男)
 「手の三つあらばや助手席の蜜柑」の「あらばや」を改めました。
(2)黄葉照る鐘打ち鳴らし消防車
 「紅葉燃ゆ鐘打ち鳴らし消防車」を推敲しました。
(3)残りたる蜜柑の二つ手の三つ
 「手の三つあらばや助手席の蜜柑」を推敲しました。
(4)狛犬を仰ぐ子犬や七五三
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)欲しいという表現もあらばや、と同じく助手席の蜜柑がとれれば、ということに対する説明になってしまうのが、惜しいところです。
(3)手の数と蜜柑の数に注目するなら、残りたる蜜柑に三つの手がのびる、とか、その状況だけを描写されてみては。
(2)こちらがよろしいのでは。
(4)すんなりとよい句です。

北風の窓打つ音は3拍子  しんい(60代,女)
 よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 楽しい句ですね。3拍子が効いてます。

(1)あけぼのの水面にゆらり寒の月  小口泰與(60代,男)
(2)曇天の畦を彩る寒黄菊
(3)着ぶくれの農婦押しけり猫車
(4)小春日や水面彩る竹青葉

 毎回適切なご指導感謝申し上げます。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)実景の感じがよく出ていると思います。
(1)(4)水面にうつる物をそのまま描写すると幾つも句はできると思いますが、それに一味、自分の立ち位置とか、感じるところが句に出るといいと思います。

(1)霧の中乳房地蔵の謎の笑み  豊田ささお(70才以上,男)
 「いつのまに風呂の小窓の後の月」有難うございました。讃岐と阿波の国境にアメノウズメを象る「乳房地蔵」なるものがあります。この峠はまたかりこ牛(借耕牛)の往還路でもありました。今日行ってきましたが徳島側はかなり開かれて、自然は減少していました。乳房地蔵は阿波のモナリザめいていました。
(2)蟷螂と同行二人はぐれ雲
(3)蟷螂やどこまで行こう遍路道

 おはようございます「蟷螂と同行二人四国道」を変えましたが、ヘイボンですなぁ。「田んぼ道」とか「原に出る」も、考えましたが、飛躍できないもどかしさをかんじています。で、推敲の途中で変えました。同行しているのはお大師さんですから蟷螂を入れると3人だわなと思ってしまいました。で、こんなふうになりました。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)乳房地蔵、不思議な名前ですね。
(2)すっきりと読めます。
(3)蟷螂と同行二人田んぼ道 でもいいですね。


2006年11月19日

(1)吾が影に小さき手の影冬温し  文の子(60代,男)
 「ビル間の富士の白さよ今朝の冬」を「ビルの間の」と添削頂き有難うございました。「の」3つをハナから嫌ったのですが、直して頂き口調が良くなりました。
(2)蜜柑剥く吾娘の心を読めぬまま
(3)生牡蠣に箸のためらひ縄のれん

 宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「小さき手の影冬温し」の部分はとてもいいです。上五の吾が影にが全体を受ける前置きになってしまっているので、もっと働く上五を考えてみてください。
(2)娘の心を読めぬまま、だけでも。
(3)「箸のためらひ」の部分で、生牡蠣にあたると嫌だなぁという感想になってしまったように思います。

と見こう見 菊人形は 恥ずかしげ  智章(50代,男)
 初めて投句いたします。寺で生活しているものです。宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 よろしくお願いいたします。
 「と見こう見」とはまじまじと見詰められているという意味なのでしょうか。ちょっとわかりにくいようです。

(1)岩風呂のお湯をもらいて石蕗の花  雀子(60代,男)
(2)精でまんなへえぼちぼちだ葱うえる
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)自然な味わいですね。
(2)せっかくの口語体ですが、上五か中七かどちらかでよろしいのでは。

(1)楢の木を倒す周りに木挽き顔  豊田ささお(70才以上,男)
(2)一本の樹に振り回される樵
 おはようございます三宅ドクター。以上2句は雑木林クラブの一コマです。昨夜半にふと浮かびました。にわか木挽きで、結構可笑しいですが、本人たちは大真面目で悪戦苦闘です。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「にわか木挽」という言葉が面白いので、それを句に使われたらいかがでしょう。楢の木やにわか木挽の思案顔とか。
(2)振り回される、の言い方に一工夫されてみては。あたふたと、とかいろいろありますよね。

(1)魚止めの砂防堰堤冬もみじ  小口 泰與(60代,男)
(2)水道の水の冷たき寝起きかな
(3)朝顔や冬の寒さに負けず咲く
(4)小春日や四五羽の鳶田の上に

 三宅先生、毎回ご親切なご指導有難う御座います。今後ともよろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしく。
(1)少し材料が多いようです。焦点を絞ってみられては?
(2)(4)うーん。ちょっとそのままですね。報告になってしまっています。
(3)負けず、と言ってしまってはどうでしょう。

(1)早起きは三文の得朝の月  穂波(30代,女)
(2)息白し暁の星とけてゆく
(3)夕暮れて切絵細工の冬木立

 先生の短く具体的なご指摘に目が開かされる思いです。ご指導いただいたものは推敲中なので、新しい句を投句します。秋の句が混ざっていますが、朝の月があまりに気持ちよかったので、作ってしまいました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 拙いアドバイスを受けとっていただき嬉しいです。
(1)「早起きは三文の得」こういうことわざを俳句に生かすには、下五にえっ!と思う言葉を持ってきてこそ効果的。朝の月だとそのままの連想にいってしまうので、ここが工夫のしどころです。
(2)朝方の寒さと空の感じがよく調和してよい句ですね。
(3)「切絵細工の冬木立」この部分はとてもよいです。夕暮れて、よりもっとこの部分が生きる上五がありそうですね。


2006年11月18日

鈴なりの柿を残して老婆逝く  春雪(70才以上,男)
 近所の独り暮らしの老婆が亡くなりました。残された庭の柿が寂しさを増す感じでした。
ドクター三宅の診断と処方箋
 実がたくさんできている様子を表すのに「すずなり」とか「たわわ」とかは便利ですけど、ちょっとありふれた表現になりがち。柿の実がそのままに残されている言葉を、実感で表現されてみてはいかがでしょう。

(1)早う来てからだ炙れと榾の主  なごみ(70才以上,女)
 榾といいますと、旅行で行きました白川郷の合掌造りの炉が浮かんできました。そこでもう一句<この郷の歴史を語る榾の煤>
(2)パソコンに躓き通し木の葉髪
 私はパソコンには不慣れの為二句の入力「希望の欄」の入力の方法が判りませんでした。その為失礼な文章になったことと思いますがお許し下さい。宜しくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)会話体の言葉がうまく生かされていますね。
(2)私もいまだに躓き通し、ですよ。

(1)この村は地豆干す村猫眠る  玉白石(50代,男)
 地豆(じまめ)とは落花生のことです。よろしくお願いいたします。
(2)冬の日や石には石の意地があり
(3)小春日やシュートを決める左足

ドクター三宅の診断と処方箋
(1)千葉のあたりが有名なのでしょうか。さらりとした叙景句ですね。
(2)石の意地を具体的に表されてみては?
(3)よろしいのでは。

(1)山すその低いところに後の月  汽白(40代,男)
(2)冬ソナのろくろっ首の力かな
 朝倉ドクター、ありがとう。三宅ドクター、よろしくです。
ドクター三宅の診断と処方箋
 汽白さん、今回もよろしくお願いいたします。
(1)山すそ、と言えば低いところですから、中七の部分がちょっとつけたしになってしまっているようです。別の言葉で展開を考えてみられては。
(2)冬ソナのろくろっ首がちょっとわからなかったです。

ボージョレヌーボー銀杏並木を下りて行く  澄(50代,女)
ドクター三宅の診断と処方箋
 きれいな句ですね。ボージョレヌーボーを抱えた人が下りて行く景でもいいし、ボージョレヌーボーの荷を積んだ車が下りて行く景ととっても面白く思えます。

(1)風花や紙ふうせんがうたってる  仁(50代,男)
(2)冬近し喪服の中にばったの子
 よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)風花のときには風がけっこうあるように思えますので、どちらかというとのんびりした感じの「うたってる」がどうかな、という印象はあります。
(2)うーん、喪服を日向に干していたら、ばったの子がついていたということなのでしょうか。中に、がちょっとわかりませんでした。そのまま「つい」、とか「這い出て」とか、情景がわかる表現にされてみてはいかがでしょう。

(1)山毛欅紅葉真つ只中に錆びし鍵  せいち(60代,男)
(2)こはるびのぺちやりくちやりときりもなや
 (2)は「ぺちやりくちやり」が分りづらいでしょうか? 「小春日や食べる話のきりもなき」と具体的だったのですが変更したものです。
 また、前回の「半割れの地球の赤し冬に入る」は「地球儀赤し」でないと確かに意味が曖昧ですね、変更しておきます。今回もよろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)錆びし鍵が落ちているのでしょうか?鍵穴が錆びているのではなく?
(2)こはるびは小春日がいいですね。ぺちやりくちやりでもよいとは思うのですが、それならきりもやら、と表現するより具体的にその景が見えるように最後の締めは、場所とか物を持っていらっしゃったらいかがでしょう。

(1)秋風を入れて一日の始まりぬ  西角悠(70才以上,女)
(2)痛む足杖に預けてそぞろ寒
(3)傾きし日を集めおり干し大根
(4)縫い物を膝に広げて小春縁

 お久しぶりにまたお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 お久しぶりです。こちらこそよろしくお願いいたします。
(1)一日の代わりに部屋の名前や場所の名前を入れてみられては。
(3)干し大根が傾きかけた陽射しにふくらんでいる様子を「集め」と表現されたのでしょうか?
(4)広げを削って「縫い物を膝に小春の縁側に」とされると小春縁と表現されるより句意が明瞭になるように思います。

(1)冬銀河初志貫徹は夢と消え  北野元玄(60代,男)
(2)冬の蚊がクジラの化石を狙い打ち
(3)魔が差して青のピカソに惚れた冬

 11/13の銀河鉄道と手鼻の2句についてのコメント、有り難うございました。自慢の2句のつもりでしたので、私が考えもしなかった点をつかれた意外なコメントでありました。今は、如何なるコメントでもいただくだけで有難く幸いに感じておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 (1)は11/7の「冬銀河俺でないよな俺がいる」を推敲してみたものです。これでも読み手に阿る気分が抜けませんが、「俺でないよ」なよりはましかと思います。
 (2)(3)もあわせてご批判をお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)感慨と冬銀河との取り合わせ、で読み手にわかりやすくなったように思います。
(2)狙い打ち、もいいですが、化石が硬そうなのでただいる、というだけでも取り合わせとして面白いように思います。
(3)魔が差してほれてしまうぐらい魅力的ということでしょうか。青のピカソ、いいですね。

(1)吾が影の前に影なし蜜柑山  文の子(60代,男)
(2)己が影を追ひつ駆くる児冬温し
 何時も適切なご指摘を賜り大変勉強になります。今後とも厳しいご診断をお願い申しあげます。掲句「きがかげ」としたいのですが、ルビは要りますでしょうか。
(3)牡蠣割くや友寡黙にて滋味のある
 先達の句をみると「牡蠣割り」が多いのですが、これは「牡蠣割女」のように違う情景と思いました。食べる時なのですが、殻を読んで貰いたいので「割く」にしました。如何でしょうか。宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)それだけ蜜柑山の日がまぶしくあるということでしょうか。
(2)このように読んでほしい、と作者が強く思うときには、やはりルビはつけられるといいかもしれませんね。
(3)「牡蠣割く友の寡黙にて」の部分だけで充分句として滋味があるので、最後の「滋味がある」はいらないのでは。物陰に、とか炊事場に、とかさらっと流されてみてはいかがでしょう。

(1)病棟の廊下に寒さ偲びをり  小口 泰與(60代,男)
(2)うす雲を纏ひし朝日黄身のやう
(3)山風や枯野になりし主亡き田
(4)足元の利根を見下ろし枯尾花

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)病棟の廊下の寒さ偲びをり という意味でお作りでしょうか?過去の出来事を今回想していらっしゃるのでしょうか?
(2)この感覚は面白いですね。割りたて玉子に白身の部分が少しかかっている感じ。
(3)主なき田畑枯れ果てて、ということでしょうか中七、下五の続き具合が少し込み入っているようです。

(1)鉄棒や来てぶら下がる冬の蝶  立夫(50代,男)
(2)乾きゆく秋風に置く粘土像
 三宅先生、初めまして。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 はじめまして、こちらこそよろしくお願いいたします。
(1)「鉄棒にぶら下がっている冬の蝶」だけでもよろしいのでは。「来てぶら下がる」がちょっと語調がよくないようにも感じられます。
(2)句意は少し変わってしまうかもしれませんが、「秋風に乾いてゆけり粘土像」でも。


2006年11月17日

(1)どっと湧く木挽きの声や秋の山  豊田ささお(70才以上)
 「秋惜しむ蛇は鎌首ちょっと上げ」への処方箋有難うございました。「鎌首・・」が蛇・・眼から鱗でした・・。句会では、「ちょっと」がいけないといわれましたが、ドクターは許容範囲なんですよね・・今度の句は、今日雑木林クラブで山に入り、ふいと浮かびました、昔は木挽き歌がのんびり聞こえたんだろなあと・・。
(2)ヤブランの実のしたたかなあお光り
(3)木枯らしやひとり火を守る少女あり

 いつも的確なご診断ありがとうございます。(2)(3)の2句は、いずれも昨日の雑木林での実景です。ヤブランについては、群落を私たちが「山の整備」との美名のもとに踏み荒らした後の姿です。またよろしく・・です。
ドクター三宅の診断と処方箋
 俳句はそれぞれの人でこだわる点が違うので、自分で自分の妥協点や許容範囲を見つけるしかないですね。
(1)過去を現在に引き寄せていらっしゃるのでしょうか。その意図だと「どっと湧く」より「木挽き歌むかしありけり秋の山」なんて調子で作られると伝わりやすいかもしれませんね。
(2)青い色がしたたかに光る、という句意でしょうか。

脇役の人参膾彩をそへ  なごみ(70才以上,女)
 三宅先生、御丁寧な御指導を有難う御座いました。説明であったり十七文字しかないのに五文字をいらない事に使ったりして、作句での基本的なことを私は理解していない様ですね。揚句も同じようなあやまちをしておりますでしょうか。御指導宜しくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 人参膾に色を添へ、という意味でしょうか?「人参膾彩をそへ」と表記が複雑なので、なるべく単純にされると読みやすくなるように思います。脇役の人参の色がぴりっと効いていますね。

(1)朝取りの菜つ葉の葉つぱちちろ鳴く  仁(50代,男)
(2)とほくよりひとやつてきてりんごむく
 はじめまして、三宅先生よろしくご診断お願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 はじめまして、こちらこそよろしくお願いいたします。
(1)菜っ葉の葉っぱの繰り返しの語調が面白いですね。
(2)漢字表記を交えて、
  遠くより人やつて来て林檎剥く でも充分面白いと思います。ひらがなばかりの表記がちょっと効いていないようにも感じました。

しぐるるや猫も逃げこむ床の下  タント(60代,男)
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 可愛い句ですね。猫も、というとほかの動物も逃げ込んでいるのでしょうか。「も」という助詞を使うときは自ずと読者にそのほかのものが見えるようにできるといいので、ちょっと難しさがあるようです。

磐梯の番人となるすすきの原  末(50代,男)
 目にしたことをワンクッションおいて表現したいのですが・・・。
ドクター三宅の診断と処方箋
 ワンクッションおくのは、自分の中でもう一度とらえた情景を再発見することなのですが、それにはいろいろな方向から書いてみるのが一番のようです。すすきの原、が磐梯の番人という擬人化の表現でしょうか、それとも自分が磐梯の番人になるのか、そのあたりがわかりにくかったです。

(1)すれ違ったのはあの人だろうか朝の霧  穂波(30代,女)
(2)夕霧や思い止むとも止まずとも
(3)来ない人もう待ちたくない霧の夜
(4)外は霧糸車繰る手を止めて

 「糸車廻す手止めて霧を吐く」を推敲しました。比喩だと季語の力が弱まるとのことでしたので、景色の描写にもとれる表現を考えてみました。
(5)ノルウェイの森も万葉の霧の中
 再投句及び推敲、また、それに関連して新しく作った句を投句します。やりかけで来年の秋まで持ち越すのではなく、ある程度かたちをつけたかったので、秋の句ばかりですが、どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「貌見えてきて行違ふ秋の暮」中村草田男
という句があります。少し字余りの言葉を削るときの参考になさってください。
(2)「思い止むとも止まずとも」の部分が、夕霧の深さと曖昧さに似つかわしいといえば似つかわしいのですが、
(3)とともに、少し自分の感慨を述べただけの表現になってしまったようです。
(4)よろしいのでは。糸車繰る手を止めて外は霧の形がおさまりがいいようにも思うのですが、いかがでしょう。
(5)万葉がちょっとわからなかったのですが…。

(1)隙間風吹くめりはりの無き生活  しんい(60代,女)
(2)蜜柑熟る隣家の庭の明るき荷
 よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「めりはりの無き生活」がちょっと見えないので、具体的に情景やものが見える形で表現されてみてはいかがでしょう。
(2)明るき荷、とはどんな荷なのでしょう?

(1)葱大根行き交う農大文化祭  鴻之助(50代,男)
(2)途方なく天高ければ舌を出す
(3)月光の髪して夜の訪問客

 前回は添削をいただきありがとうございました。自分でもどこか引っかかっていたものが、すっきりした気がいたしました。また、三句ほどよろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)農大は大根踊りが有名でしたっけ?学生が丹精込めて作った野菜の販売をしているのでしょうか?
(2)天高し、の季語に「途方もなく」という意味も含まれているので、上五の言葉がちょっともったいないですね。「天高ければ舌を出す」の部分はおもしろいので、この部分を生かしてみられては?
(3)きれいな句ですね。月光、夜と言葉がかぶるので、このあたりが工夫のしどころでしょうか。

晩学の仮名書道展冬ぬくし  なごみ(70才以上,女)
 書店で先生の御本を求めたら絶版になっておりました。ございましたらお頒けく ださい。仮名書道展を鑑賞しての句です。季語に迷いました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 わざわざお探しいただいたのですか?
 ありがとうございます。当サイトの「船団の本屋さん」で手に入りますよ。お求めいただければ幸いです。
 「冬ぬくし」いいと思いますよ。お迷いになったときは見に行かれたときの実感に添って、選ばれるとよろしいのでは。

(1)縄跳びに入る一瞬草の絮  まりあ(40代,女)
(2)モジリアニの女の秋思漂へり
 先月からの投句です。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)息を詰めて、思い切っての一瞬でしょうか。その感じがよくわかります。縄跳びというより、私の感覚では長縄に一人加わる一瞬を思いましたが、いかがでしょう?
(2)モジリアニの女、秋思によく似合いますね。

(1)朝の鳰潜りて金環描きをり  豊田ささお(70才以上,男)
 池のカイツブリが、近くで潜り水輪が金色でした。鴨たちも増えてきましたが遠巻きにこちらを伺っています。
(2)茶の花やブルドーザーの止まりけり
 結局、茶の木一本残して削られる採土場の風景です。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)きれいな句ですね。見たときの実感が素直に句に表れていて共感します。
(2)「止まりけり」、茶の花の寸前で止まった様子でしょうか、長い時間駐車しているでしょうか。


2006年11月16日

(1)山茶花や子犬顔出す通学路  玉白石(50代,男)
(2)文化の日花鳥風月ありますえ
(3)櫨紅葉梢に白き朝の月

 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)気持ちはわかりますが、ありますえ、の唐突さがちょっと生かしきれていないようにも。花鳥風月などいかが、ぐらいでも。
(3)少し絵に描いた風景、といった感じにまとまってしまったようにも思います。

薄紅のもみじにさそわれお茶席に  藤節(50代,女)
 作法も知らないのに・・・よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 薄紅の紅葉は薄紅葉ではいかがでしょう。
  薄紅葉さそわれてゆくお茶席に
とか。

(1)礼述べてバス降りる子に小春の日  彩貴(40代,女)
(2)小春日の足地に着かぬ縁に座す
(3)やはらかき日差し高尾の冬菜畑

ドクター三宅の診断と処方箋
(2)足地に着かぬ が少し込み入っているので、単純なかたちに整理されてみては。足ぶら下げて、とか。
(3)少し材料が多いようです。やわらかい、という形容詞を削られてみては。

月天心己が影なき夜道行く  タント(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 天心にあることが、影がない理由付けのようになってしまうように思います。月天心、影なき、夜道と似た材料が多いですので、そのあたりご一考を。

渡り鳥無限の直線ここに止め  草子(50代,女)
 白鳥の飛来地に住んでおります。この季節、長旅の白鳥の美しさ健気さに心打たれます。果てしない旅路を想い無限の・・といたしました。よろしくご指導お願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 直線の行くつく先がここ、という意味をこめられたかったのでしょうね。「無限」が少しききすぎなので、もう少し和らげた表現がいいかもしれません。旅路の直線、だけでも充分強い表現のように思えますので。

(1)秋深し出湯の岩を染めにける  文の子(60代,男)
(2)湖に枝の浮かぶがごとし鹿泳ぐ
(3)植え込みに通路できたり暮の秋

 宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)枝とは鹿の角の部分でしょうか?きっと角は立てたまま前に進むでしょうから、「浮かぶ」は少し、違和感があります。
(3)少し句意がとれませんでした。

秋晴れの丘は弁当とりどりに  三郎(60代,男)
 よろしくおねがいします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 よろしいのでは。ただ、弁当と秋晴れの組み合わせはよくあるので、少し視点を動かしてみてもおもしろいかもしれません。
  弁当は食べてしまった秋の空  麻里伊
と、あっけらかんと表現した句もあります。

(1)ぼんやりと浮びし赤城霜の朝  小口 泰與(60代,男)
(2)鯉はねし後の静寂や枯木立
(3)山風や下仁田在の葱畑
(4)一輪の赤きさつきの帰り花
(5)朝日出でほんわか緩む寒さかな

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)静寂は静けさでもいいかもしれませんね。枯木立だといかにも、といった感じですので、違うものを持ってこられてはいかがでしょう。
(4)帰り花は多くさくものではないので、一輪のはいらないのでは。
(5)朝日→ゆるむ→寒さ、と言葉の動きが少し説明的です。

小春日や2Hの芯尖らせて  涼(70才以上,男)
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 よろしいのでは。2Hがいいですね。芯を、と、助詞を入れられると口調がよいかも。

(1)旅に出て落穂拾いてまた捨てる  希妙(50代,男)
(2)泥に落ちて黒き蓮の実安らへり
(3)蟷螂の轢かれてなほも構へたり

 よろしくご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「旅に出て」という語が、落穂拾いという季語の取り合わせとでは、少しムリがあるように思いました。
(2)安らへり まで言わなくてもよろしいのでは。
(3)轢かれてもなほも構える枯蟷螂 とか、ちょっと語順を入れ替えられてみては?