|
俳句クリニック 2007年1月前半分(ドクター:小倉喜郎) 「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。
|
| 1月と2月の担当ドクターは小倉喜郎です。 | |
| <プロフィル> 1965年1月15日生まれ。兵庫県中部在住。リンゴが嫌い。好きな果実は夕張メロン。気まぐれにケーキを焼いてみたら、陶芸(私の趣味)の作業とよく似ていて楽しかった。道具もよく似ている。1日で完成するのも気に入った。現在、陶芸とお菓子の融合を考えている。更に俳句との融合も・・・。 | |
|
ドクター小倉の診断 |
|
2007年1月15日 ビル風の上は青空なずな粥 多弁(60代,男) よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 ビルを吹く風は本当に冷たい。でもその上は妙に平和な青空なのですよね。それになぜこの季語なのかがわからない。作者はビルの上階にいるのか?それにしてもちょっと唐突ですね。 一人ずつ正門に入る冬の雨 玉白石(50代,男) よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 状況がわかりませんね。どんな正門にどのように人が入っていくかが見えてこないのです。その分が物足りない。 数の子はあまたの数のへっへっへ 裸時(30代,男) ネンテンさんの影響が大きいかなぁとつくった後で思いました。 ドクター小倉の診断と処方箋 ネンテン調のようであってそうでない。十分裸時さんっぽいですよ。「へっへっへ」が効いていない。 薺打つ音軽やかに二度寝せり 桐子(60代,男) 家内が台所で七種粥の準備をしています。包丁とまな板の織り成す音を聞きながら、又眠ってしまいました。 ドクター小倉の診断と処方箋 幸せなひと時ですね。うらやましい。 (1)わが頭ポンと打ちたり新暦 えんや(70才以上,男) (2)新暦バトンのごとく貰ひ受け (3)釜滾る生簀の蟹のたはむるる 未熟さを痛感!俳句はひとりよがりでは駄目なんですね。雪国では農繁期が終ると耕運機に除雪用のバケツを装着して駐車場や家の周りを除雪します、都会の人にはちょっと理解しにくいですね。また三句宜しくお願い申しあげます。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)何が頭を打ったのでしょう?カレンダーかな? (2)バトンのように丸めたカレンダーでしょうか?ひょっとしてこれで頭を打ったのでしょうか。いずれにしてもよくわからない。 (3)これはわかりすぎる。「生贄」は言いすぎでしょう。蟹はありがたく美味しくいただきましょう。 (1)皿に雪いちごシロップ掛かりゐしく 文の子(60代,男) (2)雪だるま児は足無きを言ひたてし (3)雪に雲重ねし富士や寒に入る 新年明けましておめでとうございます。昨年は3、4月ご懇篤なご指導を賜り有難うございました。お陰さまで少しは俳句が判ってきました。本年もどうぞ宜しくお願い申しあげます。依然として休日は作句モードにならず、漸く昨日から作句を始めました。掲句宜しくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 (2)よくわかるのですが少し作ってみましょう。俳句は創作ですから。例えば〈雪だるまに足を作った〉とすれば実際の雪だるまを想像することが出来そうです。 (3)雪、寒に入る、はどちらも季語です。ひとつの季語を大切に。 (1)大晦日気になることの二つ三つく 栗太郎(60代,男) (2)初日の出上昇力にあやからむ (3)この賀状君の遺言となろうとは 小倉先生、よろしくお願いいたします。年末年始を複雑な思いで過ごしました。親友が12月30日に急死しました。 ドクター小倉の診断と処方箋 (3)悲しいことです。私も年末に知人が亡くなり驚きました。俳句の表現としてはちょっと直接的過ぎますが、正直なお気持ちですね。 (1)(2)どちらも具体性がないので面白くありません。わかっているのは作者だけです。 荒れ畑の鳥も食わぬや木守柿く 豊田ささお(70才以上,男) なかなか思うように作れませんねえ・・。北野さんの冬の噴水のような句が目標・・。小倉ドクターの「ひっくり返し」逆転する発送というのをヒントに少しひねってみましたが(鳥に食べられずに、ずっと残れば)いかがでしょう? ドクター小倉の診断と処方箋 残念ながらこの句の場合はひっくり返してもいけません。それは木守柿は木に残る柿のことで、残って当たり前。それが仮に食べられても同じようなもの。食べることから離れましょう。 (1)水鳥の胸元サキソフォーン染みゆく まりあ(40代,女) (2)環太平洋初富士が円周に (3)冬籠り高き欅は山頂に (4)山蒼し瑠璃を震はす北颪 (5)大き荷と届きし声や冬休 (6)見ぬうちに伸びたる背丈冬休 よろしくご指導願います。 ドクター小倉の診断と処方箋 小口さん、いつもたくさん送ってくださいますが、自選をしてみてください。このコーナーはクリニックですが、公開されていますのでミニ句会のようなものだとお考えください。読者を意識して、ある程度ご自分で推敲し、自選してみてください。作句力は選句力でもあります。(1)(5)(6)は普通のことですね。(4)は瑠璃がわからない。 2007年1月14日 (1)水鳥の胸元サキソフォーン染みゆく まりあ(40代,女) (2)環太平洋初富士が円周に (3)書初めや口引き結び一の文字 小倉先生、はじめましてよろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 3句それぞれ特徴のある句ですね。 (1)サックスが水鳥の胸元に、とはなかなか感覚的な句ですね。面白い取り合わせです。ただ残念ながら私には感じられない。それは破調にしてまで「染みゆく」を言う必要あるかなと思います。 (2)環太平洋の円周に富士も入るということでしょうか。意外な指摘ではありますがやや理屈っぽい。 (3)これは逆にわかりやすい。ちょっと変化が欲しいところです。 (1)いのししが冬眠している温暖化 仁(50代,男) (2)餅の菌まだまだ増えて水墨画 小倉先生、ご診断よろしくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)微妙ですね。いのししの冬眠と温暖化は直結しているようでそうでない。あれ、いのししって冬眠するのですか? (2)水墨画はイマイチです。 雪のひとみぼくが生まれていないころ 汽白(40代,男) ドクター小倉の診断と処方箋 残念ながら「雪のひとみ」がよくわかりませんでした。 夕空を鴉一二羽寒の入 桐子(60代,男) 寒の入の日の夕方、部屋でものを書く手を止め、ふと空を見上げると、カラスが一羽心なしか急ぎ足(?)で飛んでいくのが見えました。 ドクター小倉の診断と処方箋 夕空に鴉はあまりにもありふれています。寒鴉も季語としてあります。ここからがスタートです。桐子さんはその時何をされていましたか?手紙を書いていたのか風呂の掃除をしていたのか。作者との係わり合いを俳句にしましょう。 (1)沈黙の木立を隠す吹雪かな 三郎(60代,男) (2)逆さ角日ごとに太る氷柱かな (3)網帽子たたいて落とす積もり雪 よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)「沈黙」を言いたいのならば「沈黙」は不要。句に具体性を。 (3)積もった雪は「雪」でいいのではないでしょうか。 俳句にはキラリと光る何かが欲しい。読んだ瞬間にのけぞるような。 (1)薺摘む観音詣での道すがら 春雪(70才以上,男) (2)雪晴れや手入れとどきし彦根城 (3)寒行の読経朗々こだませり (4)初明り稜線現るる東山 (5)たどたどし稽古始めのピアノかな (6)曙の空はむらさき姫はじめ 小倉先生、こんばんは。いつまでも青春でいたいものです(笑)。よろしくご指導下さい。 ドクター小倉の診断と処方箋 どの句も新鮮さがありません。よくある状況です。何かひとつ句の中に春雪さんらしいもの、発見が欲しい。1句を丁寧につくってくださいね。 (1)事務所にも日のたゆたゆと冬浅間 小口泰與(60代,男) (2)蹠よりずんずん凍し散歩かな (3)尖りたる風も吹きけり大根引き (4)昨今は赤城颪も女々しかり よろしくご指導願います。 ドクター小倉の診断と処方箋 「たゆたゆ」「すんずん」「尖りたる」「女々し」のような形容する言葉は俳句では基本的にマイナス。使うときには慎重にしましよ。いずれも句を平凡にしています。 (1)初雪の路地を躍って一輪車 とし(60代,男) 1/7は滅多に雪など降らない我が町に突如・・・ (2)顔に鼻あって師走の交差点 感情を抑えて即物的に詠みました。 ドクター小倉の診断と処方箋 (2)がちょっと面白くなりかけている。当たり前のことを言っても状況が特別なら面白くなってくるものです。季語が生きています。 (1)「踊って」は不要。 (1)地に落ちし花梨の香気牡丹雪 千坂希妙(50代,男) (2)一本に楽しき騒ぎ寒雀 よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)せっかくの花梨の香りが牡丹雪で消えてしまいそうです。 (2)状況はよくわかるのですが、わかりすぎます。この景色はよくありますから。 2007年1月13日 人日や納豆かけて海苔ふって 玉白石(50代,男) いつも的確なご診断ありがとうございます。なかなかご指摘に応えられなくて申し訳ないのですが…。よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 ただ食べ物でもっとも人間的な「納豆」では近すぎる気がします。意見が分かれるところでしょう。俳句のつくりは良いですね。句会でいろんな人の意見を聞いてみてください。 (1)10歳の声こだまして冬いちご 藤節(50代,女) (2)同窓会湯気のむこうにエクボの娘 よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)なにか物足りない気分です。10歳がわかるようでわからない。作者との関係が見えてこないのです。 (2)同窓会に行って鍋を囲んでということでしょうか。この句も何か物足りない。「湯気もむこうに」あたりがよくあるパターンかもしれません。 (1)ショベルカーに癒されてをり寒薄 仁(50代,男) (2)めじろと合う父と添い寝の四畳半 小倉先生、よろしくご診断お願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)なかなか見ない季語ですね。温暖な地で枯れずに残る薄のことですね。私はこのような句が好きですがなかなか受け入れられないかもしれませんね。ショベルカーやクレーンを見るとなんだか癒されるような気持ちになりますね。私は思わず写真を撮ってしまいます。 (2)「会う」かなとも思いますが、この句も不思議な句。父に対する複雑な思いが感じられます。老いてゆく父を思ったのかもしれませんね。 水占に吉の字現れる三日かな おおぎ(40代,女) よろしくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 お正月ですからおめでたいのですが、俳句としてはおめでたすぎましたね。「吉」を書かなくてもお正月ですから大丈夫です。 福詣人形焼も神の顔 桐子(60代,男) (東京)日本橋七福神にお参りした後、近くのお店で人形焼を買いました。帰って食べようと取り出したところ、なんと七福神の顔をしているではありませんか。しばらくためらった後、結局食べてしまいました。 ドクター小倉の診断と処方箋 面白いですね。食べようと口を開けたものの、ちょっと躊躇っている作者の顔が浮かんできます。俳句はこの一瞬があればそれで十分なのですね。推敲のポイントとしては「も」を「が」「は」「の」にしてみてください。「も」はやや作者の感情が出てきますね。それぞれ微妙に違ってきますので一番いいものを選んでください。 (1)年の夜花さかじいさん霜を撒く 穂波 (2)屠蘇満たす天文台の反射鏡 小倉先生、はじめまして。穂波と申します。初心者で、一番の悩みは「何を捨てて何を残すか」です。一つの句を作るときも、出来た句の中からどれを見ていただくのを選ぶときにも、同じ問題にぶつかります。添削いただき、自分でも推敲して、少しでもいい方向に変えていきたいと思います。よろしくご指導お願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 取捨選択は俳句で一番大切なことで、それが出来るかが作句力だともいえるでしょう。 (1)花さかじいさん、が効果的かどうか。作者が楽しんでしまっているようですね。そのわりには読者には面白さが伝わっていないようです。 (2)こちらのほうが面白い。屠蘇と反射鏡にはつながりはありませんが、なんとなくキラキラしていて嬉しくなってきますね。ひょっとしたら屠蘇を満たした盃と反射鏡が似ているのかもしれない。そんな面白みもあって良い句です。 (1)逆光のテロリストも来る初日の出 北野元玄(60代,男) (2)酸素ボンベの中で 焚き火しようか 小倉ドクターへ。1月7日の診断を読んでいて、是非上記の2句についてご批判をいただきたくなりました。よろしくお願いいたします。(1)の逆光と日の出が付きすぎですが、テロリストに気分ではこれがよいかなと思っております。(2)は破調ですが、これもテロリストの気持ちかな? ドクター小倉の診断と処方箋 (1)つきすぎというよりも。逆光と初日の出が重なっていて光を複雑にしてしまっていますね。テロリストが全く浮かんでこない。まあ、テロリストがあまり目だっても嬉しいことではありませんが。短い俳句の中ではシンプルに。 (2)これはよくわかりませんね。単純に考えればよく燃えるだろう、とか、爆発しそうでもあります。感じるものが私にはありませんでした。 白銀の庭に一点寒薔薇 悠(70才以上,女) ドクター小倉の診断と処方箋 雪の中にある一輪の薔薇はきれいだよ、ということは誰もが知っていることですね。季語にこのことは織り込み済みで、ここからのスタートです。 (1)父笑うどんなことにもかえがたし ポリ(50代,女) (2)甥の着る緑のセーター日脚伸ぶ アドバイスありがとうございました。なるほどと思いました。今回もどうぞよろしく。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)このコーナーでたびたび書いていますが、気持ちを言うのではなく、その元を俳句にするのです。読者が「ああ、どんなことにも代えがたいね」と感じる句にしましょう。 (2)その点この句は気持ちを言ってはいませんね。甥が緑のセーターを着ているだけの俳句ですが、ちょっと面白い。季語から考えると緑といっても薄くて明るい感じ。前向きな甥の姿を見ているのでしょうか。 葉牡丹に吸い込まれゆく大あくび 豊田ささお(70才以上,男) 「葉牡丹に吸い込まれゆくシャボン玉」の推敲です。いかがでしょう。 ドクター小倉の診断と処方箋 〈大あくびに吸い込まれゆく葉牡丹〉という手もあります。 2007年1月12日 (1)スモッグの怖い口して教師かな 仁(50代,男) (2)早春を昨日のストローで飲んでいる 小倉先生、よろしくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 相変わらず唐突な句ですね。 (1)のスモッグが何のことだかわかりません。 (2)これはちょっと面白い。ちょっと言葉にだまされているような気もします。早春という漠然とした、得体の知れないものを、ストローで飲んでいる。錯覚かな。しかもただのストローではない。昨日のストロー。時間に歪が生じていて、私が使っているのは実は昨日に存在したストロー・・・。時間と季節と私の錯綜。 (1)初太鼓湖水ゆるがし朝日待つ 藤節(50代,女) (2)心にも点滴ほしいよ風邪小僧 (3)白梅が夢託されし天満宮 よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)湖水をゆるがし、が平凡。 (2)心には点滴の代わりに俳句を・・・なんてくだらないことを言ってしまいました。俳句は詩ですから詩を見つけてつくりましょう。気持ちを伝えるのではありません。 (1)枯芝の小さき大の字空青し きなこ(50代,男) (2)影追いし子ら走り行く枯野かな よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)状況がわかりません。 (2)これはよくわかりますね。枯野を駆け回る子供たちの声が聞こえてきそうです。 冬の雨鳥の目となり眺めをり 玉白石(50代,男) よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 さて「鳥の目」とはどういうことでしょうか。何を見ているのでしょうか。そのあたりが見えてこないのです。 子供らがラップで踊る火の用心 多弁(60代,男) 火の用心 火の 火の用心 火の用心 ..。診断を見て楽しんでおります。 ドクター小倉の診断と処方箋 〈火の用心火の火の用心火の用心〉で決まりですね。 (1)入院の友思いやる師走かな 豊純(70才以上) (2)逝きし友後姿や雪の中 (3)頬を打つ風の冷たき初詣 (4)昇段を落とし淋しく冬の靄 小倉先生ご診断有難う御座いました よく分かりました.有難うございました。叉四句送りますご指導ください。 ドクター小倉の診断と処方箋 どの句も気持ちがよく出ています。出すぎているといえるでしょう。俳句には自分のみで日記として楽しむものと、句会や同人誌などに発表して人に読んでもらう俳句。このクリニックはもちろん後者であり、このコーナーに出ることは、読者を意識して俳句をつくることです。人にどう読ませるかを意識してみてください。 しぐるるや丹波の里の登り窯 桐子(60代,男) 俳句初心者の初診です。よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 今まさに丹波はこのような感じです。でもちょっと材料がそろいすぎていますね。気分が出すぎているともいえます。例えば〈しぐるるや坂を上れば登り窯〉とすれば、読者は自分の経験から「丹波だね」とか「あ、備前かな」とか、自由に想像してくれるでしょう。読者に想像させるスキを残すことが俳句では大切なのです。 透析と言う友もあり日向ぼこ 浅葉洋(70才以上,男) はじめまして。 宜しくお願いいたします。人工透析を余儀なくされてから、一年が経ちました。肉体的、精神的に随分落ち込んだこともありましたが、勉めて前向きに生きるようにしています。そんな時詠んだ句です。 ご高評を。 ドクター小倉の診断と処方箋 「言う友もあり」を少しすっきりさせたいですね。透析は大変だと聞いてますが、句ではすっきりとして前向きさを出しましょう。たとえば〈透析の友へのメール日向ぼこ〉として、2人の関係を感じさせるのも良いかもしれません。 (1)白き手の少し乾きて年の暮 鴻之助(50代,男) (2)空っ風レジ袋の凧上がりおり (3)冬日和隠れどこなき田の広さ 小倉先生初めまして、向こう2ヶ月間よろしくお願いします。(3)「隠れどこ」としましたが、「どころ」とすべきでしょうか。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)がいいですね。白い手は女性の手かな。それが少しカサカサしていていると感じた夫。それがたまたま年の暮だった。仲の良い夫婦ととり、いいなあと思いました。ちなみに私は独身です。 (2)レジ袋を凧と見立てたのは平凡。 (3)どころ、どこ、どちらも面白くない。「隠れどころなき」が完全に冬田の説明です。「広さ」も同様。 七草の 緑嬉しく フウフウと 菊美(60代,女) 有難うございます。「初春や シュトラウスの 名曲で」は「シュトラウスのリズム良く」にしましたが?田舎育ちで、緑を食べたく成ります。自然の恵み、歳時記、先人の考え素晴らしいですね ドクター小倉の診断と処方箋 〈七草の緑嬉しくフウフウと〉特にこだわりがなければ、詰めて書いたほうが読者には自然です。雰囲気がでているからこの句はこのままでいきましょう。 (1)小鳥立ち一葉揺れて山眠る 忠男(60代,男) (2)去年今年海は変わらぬ昨日今日 ご指導よろしくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)小鳥、は秋に渡ってくる渡り鳥として季語にあります。この場合、山眠る、がはっきりとした冬の季語ですから季節は冬とわかりますが、やはり違和感がありますね。それよりも問題なのは、冬の静けさを表そうとする作者の意図を感じてしまいます。 (2)この句もやはり説明しようとしています。残念ながら2句とも人が考えつくことです。 初雪やレジャー風呂へと参ろうぞ 雀子(60代,男) 急に雪の露天風呂へ入りたくなりました。よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 お気持ちはよく伝わりますがそれだけに終わっていますね。共感は得られても、感動は得られないパターンです。レジャー風呂へ行き、そのレジャー風呂の何かを初雪と取り合わせてみましょう。そうすると読者は「あ、ええなあ、私もレジャー風呂へ行こう」と思う。そんな句がいい句です。例えば〈初雪やちょっとぬるめの大浴場〉とすれば、作者は実際に風呂に入っています。 2007年1月11日 (1)寒林は抗菌綿棒の羅列 裸時(30代,男) ドクターのお手をわずらわしてすみません。原句は「凍傷は抗菌綿棒の羅列」です。どこがわかりにくいか、どこが興味を引くのか教えてください。出す前に考えることも心がけようと思っています。 (2)青ヒゲの影が寒林又青い (3)六日には足ばっかりの猫になる (4)咳くしゃみ死者のビー玉口の中 わかりにくくてすみません。今日の句会でもわかりにくさが悪かったのでしょうか。1点をいただきましたが、読み手を意識するのを今後の課題としていきたいです。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)綿棒と凍傷は意味的につながりがあるので、そのつながりで書かれたものか、全く無関係で書かれたのかが作者にはわからない。そうなるとこの句の読みに迷いが生じるのです。「寒林」と綿棒との関係はないですから、安心して取り合わせの句として読めるわけですね。 (3)なんだか笑ってしまいますね。 (4)ちょっと猟奇的でコワイなあ。 初鶏や偽卵抱いて胸張りぬ 智弘(30代,男) 宜しくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 「や」が効いていませんね。それは初鶏が以下の主語となっているからで、「の」とするほうが自然です。意味的でメッセージ性がありますよね。「胸張りぬ」がこの句をそうさせています。 現代社会の風刺ともとれます。句会では共感され点が入りがちですが、それが俳句としては問題です。俳句は理屈ではないのですから。 (1)九十九折冬木の山に雲の影 しんい(女) (2)屠蘇祝ふ宿海鳴りの子守唄 よろしくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 このコーナーに寄せられる句の傾向として、具体性のない句が多いのです。それがいけないわけではないのですが、難しい。俳句は具体的な絵を読者に描かせて、読者がその描いた絵に感じるかどうかが基本だと考えています。 (1)なんとなくわかるのですが、具体的でない。 (2)この句も具体的なようですが、実はよくありそうな状況で、読者には迫ってこない。その最大の原因は「子守唄」にあるでしょう。宿で聞く海鳴りが子守唄が平凡です。〈屠蘇祝う宿に○○○」、ちょっとスペシャルな、具体的なものを入れてみましょう。 (1)初日の出厨に光る銀の匙 さくら(70才以上,女) (2)去年の雪少し残りて年明くる (3)掛筒の水仙二本白極む 新年おめでとう御座います。よろしくご指導下さい。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)素直で正月らしい句ですが、ちょっとありがちかもしれません。 (2)理屈に走っているようです。 (3)「白極む」が余分です。例えば黒っぽい掛筒に水仙、と書けば読者はその水仙を想像してくれます。読者のための部分を残しておきましょう。俳句は作者と読者が共有するものなのです。 古蔵の甍くろぐろ冬の雨 玉白石(50代,男) 暖冬ですね。よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 古い蔵の甍で止めましょう。それに冬の雨を取り合わせることで読者にその色をイメージしてもらうようにしましょう。「くろぐろ」まで言ってしまうと読者の想像部分がなくなってしまいます。 (1)噴火口くよくよするなよお正月 仁(50代,男) (2)丸鍋や産婦人科はバスで行く 小倉先生、よろしくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 相変わらず飛んでますね。 (1)噴火口が唐突ですね。作者は噴火口を見ているのか。噴火口か勢いよく登る煙は見ようによっては励ましてくれるのかな。 (2)丸鍋がやはり唐突。手がかりが見出せない。 藁におの並ぶ居久根や初明かり 加護坊(70才以上,男) ドクター小倉の診断と処方箋 居久根には藁や斧がつきものなのでしょうか。居久根の下に薪が積んであることもあるそうですね。そのあたりは私にはわかりませんが、仮にそうであったとしても、物が多いような気がしますね。 道真忌ど演歌のたうちまわる様 裸時(30代,男) あけましておめでとうございます。6日は北摂句会です。楽しみです(^^ ドクター小倉の診断と処方箋 乱暴とも思われる表現ではありますが、ちょっと興味を持った句です。道真とど演歌、は全く逆にあり、ある種の皮肉にもとれるのですが、それだけではない何かを感じから不思議です。裸時さんの独自の世界は興味深いものがありますね。俳人はたくさんいるけれど独自の世界をはっきりともっている人は少ないように思います。 初空やまっすぐに飛ぶ紙飛行機 豊田ささお(70才以上) 葉牡丹の句へのご診断ありがとうございました。季語への知識がないもんで・・・まだ推敲中です。 ドクター小倉の診断と処方箋 空に飛行機では広がりがないですね。目線を少しずらすことも考える必要がありそうです。座5の字余りも気になります。 2007年1月10日 (1)自販機の電源切れて梅咲いて 仁(50代,男) (2)税関のルソーの見た夢寒昴 小倉先生、よろしくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)梅咲いて、が唐突ですね。でもそんな唐突さが私は好きです。自販機の電気が切れることと梅が咲くことが一つの絵の中にあるような気がしますよ。 (2)こちらはなかなか難しい。結局ルソーという画家の名前だけに終わっているように思います。「夢」がこの句の全てを曖昧にしてしまっているようです。 かんじきで踏む雪の粉雪の路 汽白(40代,男) 小倉ドクター、また、よろしくお願いします。三宅ドクター、ありがとうございました。(月虎さん、鏡餅の句、ナイス) ドクター小倉の診断と処方箋 こちらこそよろしくお願いします。かんじき、雪の粉、雪の路、と雪が重なりすぎていますね。リフレインの面白さも出ていません。 山茶花の大音響で散る夜かな 山太郎(60代,男) あまりにも静かな夜なので。誇張が過ぎますか。 ドクター小倉の診断と処方箋 ちょっとおおげさですね、やっぱり。それに、静かな夜なので山茶花の散る音さえ大きく聞こえるほどだ、と説明してしまったところがよくない。それに結氷期、といえば〈蝶墜ちて大音響の結氷期 富沢赤黄男〉の名句がありますね。句は全く違うのですが、この句のイメージがあまりにも大きいので、このような句はちょっと損をしてしまいます。 (1)冬晴れや一竿一糸鉤結び きなこ(50代,男) (2)冬の虫火炎淵より這い出り 初めまして。句を作り始めて半年です。よろしく、ご診断下さい。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)釣の話でしょうか。冬晴れの、穏やかな日に、釣の仕掛けをしている様子でしょうか。ちょっと釣好きの日曜日といった感じですね。 (2)状況がわかりませんでした。 (1)初雪や陶の蛙はすぐ拭ひ えんや(70才以上,男) (2)耕運機除雪の構えして御座す (3)駐車場耕運機が来除雪せり (4)四日はや過ぎし妻の誕生日 明けましておめでとう御座います、本年も宜しくお願い申しあげます。孫達の誕生日は賑やかにパーテーをしましすが、妻の4日の誕生日はいつも忘れがちす。 ドクター小倉の診断と処方箋 (2)(3)耕運機が除雪をするのかがちょっと疑問です。かりにそうだとしてもあまりピンときませんね。その分短い俳句ではマイナスになってしまうでしょう。 (1)わが家では父が庭を手入れしていますが、雪が降る日でも、寒い中をなにやら作業しています。寒いのに・・。 (4)過ぎたのは4日ということですね。誕生日が過ぎたのかと錯覚してしまいましたよ。4日に妻に何かをプレゼントした、そんな感じで実際の愛情を表現するのはいかがでしょうか。 みぞおちの動かざるもの寒の鯉 遅足(60代,男) みぞおち、では弱い?ような気もします。体のどこかに魚をすまわせてみたいのですが。今回も診断をよろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 みぞおちに鯉を住まわせるのはおもしろいですね。決して弱くはないでしょう。「動かざるもの」が問題で、寒の鯉に既に織り込み済みです。「みぞおちに住む寒鯉が少し動いた」のようにしてもおもしろいかと思います。動かないものが動いたとき初めて動かないことに気付く場合がよくありますよね。推敲してください。 (1)噴水に冬が降り敷くテロリズム 北野元玄(60代,男) (2)心臓が木橋を渡りぬける冬 小倉喜郎ドクター殿、昨年中はいろいろ有り難うございました。今年もどうかよろしくお願いします。上は心象俳句であると強弁しております。新年の挨拶にはそぐわないのですが、小倉さんのご意見を聞かせてください。 ドクター小倉の診断と処方箋 こちらこそよろしくお願いします。 (1)夏には人々が集まって憩いの場となっていた噴水に、そしてその池全体に静かに冷たい冬が降りてくる、避けようのない冷たさを感じます。そんな景色の中でテロを思えば、遠くで起こっているものが実は我々の生活の延長上にあるのだと再認識します。単なる時事の句ではなく普遍性を感じます。 (2)脳とか心臓とかは、我々の意思とは別のところで動いているわけで、そのものだけで一つの生命体のようです。寒々とした冬に自分の分身を見ているようですね。 (1)葉牡丹や茶柱二本立ちてをり 小口泰與(60代,男) (2)上州の陸(くが)揺すらるる空っ風 (3)風冴ゆる裾野の長き赤城かな (4)榛名けふすつきりとあり霜の花 (5)冬の蝿味噌香ばしき馬肉かな よろしくご指導願います。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)葉牡丹と茶柱はなかなかの取り合わせ。縁起物ですから近いといえば近いけれど。本当に2本立っていたとしても、控え目に1本にしましょう。俳句は控え目がいい。 (5)美味そうなものと、冬の元気がないとはいっても蠅はイマイチ。 2007年1月9日 初雪や車輪の音の近づきぬ 藤田 亜未(20代,女) おひさしぶりです。メロン、おいしいですね。わたしは、みかんにこっています。冷凍庫にみかんを入れて、いったんとりだし、水にくぐらせます。それからまた凍らせると、とてもしゃきっとしておいしいです。 ドクター小倉の診断と処方箋 へ〜、冷凍みかん試してみますね。 句はシンプルですが絵が浮かびますね。ちょっと田舎の列車を想像しました。雪がふわふわ、作者は手のひらを上に両手を広げ、見上げる。そこに作者の待つ列車がゆっくりと入ってくる。 (1)西暦を確かめ仕事始めとす 玉白石(50代,男) (2)押印の斜めになりし仕事初め 当たり前すぎますか。よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 そうですね。(2)の方が少しおもしろいかな。それらしい事を言って「仕事始め」とするとやはり句が平凡となってしまいますね。〈モナリザに見詰められをり事務始 新井市人〉『新歳時記・新年』(平井照敏) (1)明日午前十時入院クリスマス 仁(50代,男) (2)地平線より船の出て来て冬至 小倉先生、はじめまして、以後よろしくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 どちらの句も何気ないけれど、季語とうまく合っていますね。 (1)クリスマス、が意外で、時間まで言ったところにおもしろさがあります。 (2)冬至に私は海を見ている。イイですね。 (1)朝焼けの赤城を浮かす初氷 小口 泰與(60代,男) (2)不器量の犬と添ひ寝や冬日和 (3)恕といはく孔子の教へ星冴ゆる (4)煎餅をかさごそ食むや暮早し 小倉先生、明けましておめでとう御座います。よろしくご指導願います。 ドクター小倉の診断と処方箋 おめでとうございます。 (2)不器量の、が不必要。(4)かさごそ、が不必要。相変わらず多作ですね。多作は素晴らしいのですが自選も大切です。 (1)神戸元町銀河をめざすエレベーター とし(60代,男) シースルーエレベータは今や俳句の素材としてはありふれてきましたね。 (2)霜晴れをレースへ向かう牝馬の瞳 馬が好きなのかレースが好きなのか、よく分からないまま30年。俳句より付き合いが長いのです。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)そうですよね。新しい物もすぐに古くなってしまいます。ただエレベータから何を見るかが問題です。平凡なもの2つでも組み合わせによっては新鮮なものになります。「銀河をめざす」が平凡だ。 (2)ゴチャゴチャしていますね。霜・晴れ・レース・牝馬・目。俳句は一点集中が基本。それにしてもここ数年の競馬人気はすごいですね。私にはちょっと不思議です。 2007年1月8日 (1)ムートンのスリッパぬくぬくぬげないよ ポリ(50代,女) (2)さむい朝あの子の質問やつぎばや よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)「ぬくぬくでぬげない」のは当たり前であります。変化が欲しい。ここで“必殺裏返しの術”を伝授しましょう。推敲するときに言葉を裏返してみるのです。何かが見えたら成功。見えなかったらボツ。〈ムートンのスリッパぬくぬくぬげちゃった〉 (2)あの子って誰でしょう。幼い子でしょうか。状況が見えてきません。 (1)ふくふくと色なき庭の柚子明り しんい(60代,女) (2)パソコンの不具合なるや三が日 (3)注連飾造り酒屋の出ん格子 よろしくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)「ふくふく」「色なき」がわかりません。 (2)それがどうした、と言われそうです。三が日にパソコンが故障してもあまり読者をくすぐらないでしょう。 (3)シンプルで俳句のつくりとしてはまずまず。ただ季語が当たり前で、例えば「独楽回し」とすると少し子供が見えてきます。俳句は立体的に。 (1)遅れしも二日の客となりにけり 玉白石(50代,男) (2)遠来の客奥に座す年賀かな 正月二日、姉弟と新年を祝いました。よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 日記としてはいいでしょう。しかし俳句としては、つまりこのような場所で人に読まれる場合にはやはり何かスペシャルが欲しいですね。例えば〈姉といて二日の午後となりにけり〉としてみると、ちょっと弟の繊細な感情が見え隠れしたりするかもしれません。「遅れしも」「遠」「奥に」などは言わない方が読者には面白いでしょう。 片手套落とし銀座の四丁目 涼(70才以上,男) 宜しくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 おもしろい句ですね。手袋を落したことと銀座四丁目が特につながりはないのですが、「ちぇっ、なんてこったあ」と聞こえてきそうですね。私は関西人ですから四丁目がどのあたりかわからないのですが、響きがいいですね。分かる人にはこの人がどこからどこへ歩いているかが想像できそうです。好きな句です。 ニューイヤーの青きドナウにすいこまれ 雀子(60代,男) はじめまして。昨年8月始めて投句した新米です。よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 曲のタイトルとか人物などの固有名詞などを使うときは注意しなければなりません。それはその言葉が目立ち過ぎて、それだけの句になってしまいます。俳句にオリジナリティを出すことができません。この句もよくわかるのですが、多くの人が「すいこまれる」わけで、平凡な句となっています。雀子さんの特別な何かを見つけてください。 2007年1月7日 ときおりは目高を覗き賀状書く 春雪(70才以上,男) 先生 こんばんは。ご指導をお願いします。減らそうと思ったのに、また舞い込み、返信を認めてます。 ドクター小倉の診断と処方箋 「目高」は夏の季語ですが「賀状書く」というはっきりとした季語があるので季節はわかりますね。ここ数年小さな水槽で目高を飼うことが流行っているようで、暖房された部屋の中では冬でも元気に泳いでいます。現代感覚の句といえるかもしれません。 凍傷は抗菌綿棒の羅列 裸時(30代,男) in the boxまったりと更新されてますね→ ドクター小倉の診断と処方箋 いつもよくわからない句ですが、これは凍傷を綿棒で治療するということかな。それでは意味がつながり過ぎておもしろくない。また別のことを言っているのか?でも「抗菌綿棒の羅列」はなんだか興味をそそられます。 元気よし暢気なおよし初笑い 玉白石(50代,男) よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 「元気」「暢気」を具体的にお願いします。そうでないと気分だけの句になってしまいます。 夫々の枝それぞれの寒雀 涼(70才以上,男) 始めまして。宜しくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 つくりはシンプルでいいですね。問題は「夫々」「それぞれ」のリフレインが効いているかどうか。それは読者がこの句から寒雀が木々の枝にいる姿が目に見えるようであるかが問題。私にはあまり見えてこない。「夫々」という漢字もあまり馴染みがないからかもしれません。 初春や シュトラウスの 名曲で 菊美(60代,女) ドクター小倉先生、はじめまして。宜しくお願いしますm(__)m。ニューイヤー コンサート、衛星中継で同時に見れる幸せ。なんか、元気もらいました。 ドクター小倉の診断と処方箋 私も年末に液晶テレビを買ったので、大画面で、音もよく、幸せを感じています。お気持ちはたいいへんよくわかります。わかりすぎるほどわかるのです。特に「名曲」は当たり前ですから必要ありませんね。 (1)産毛より小さい心初硯 裸時(30代,男) 「産毛より小さい心ほんだるへ」を推敲してみました。初硯を背景にということで、ほんだるは合わないような感じもしたので。 (2)盆地形塩素系だと初湯達 (3)スー盆地形塩素系だと初湯達 スーパー銭湯などお風呂好きです(^^パー銭湯などお風呂好きです(^^ ドクター小倉の診断と処方箋 (1)その前に「心」がどんな心かが全く見えないところに問題がある。 (2)(3)スーパー銭湯に行かないのでよくわかりません。もう少し私にもわかる句をお願いしますよ。裸時さん。 2007年1月6日 (1)葉牡丹に吸い込まれゆくシャボン玉 豊田ささお(70才以上,男) (2)葉牡丹の渦の輝き七色に 新年おめでとうございます。1月句会の兼題が「葉牡丹」ですので、習作をふたつ送らせてください。当たり前すぎるでしょうか? ドクター小倉の診断と処方箋 (1)当たり前ではないですね。ただシャボン玉は春、葉牡丹は冬の季語ですからもったいない。それぞれの季語を大切にしましょう。どちらも色が淡いけれどカラフルで似ていて、逆効果のようです。 (2)葉牡丹の説明です。 (1)新月も 冴えておともの 住吉さん 菊美(60代,女) 今年も宜しくお願いします。除夜の鐘と共に、住吉さん初詣、往1時間徒歩でしたが、一人でもお月さんがおともで嬉しい気持ちでした。それにしても、若者の参拝多くて、驚きでした。 ドクター小倉の診断と処方箋 新月は見えない月、あるいは細い月のイメージが私には強いので、今ひとつこの句のイメージがつかめませんでした。この場合は東の空に出たばかりの月ととれば雰囲気が出てきますね。 (1)年立つやぐひと延びたる木々の枝 しげる(60代,男) (2)青竹の神々しさよ松の内 (3)裏白や(飾り藁)廃れし家と聞きゐしが (4)失せもののひょいと出てくる煤払い (5)限りある齢の欺瞞冬薔薇 (6)寒柝の一打にもあり勘所 よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 俳句は自分の心情を述べるのではなく、その元となるもの、つまり読者に感じさせるものを表現するのです。例えば、 (1)新年らしい句ではありますが、「ぐひと延びたる木々の枝」をもう少し具体的に表現しましょう。場所、時間、天候、木の名前等を書き、作者がどこで新年を迎えているのか感じさせましょう。 (2)「神々しさ」を感じさせる句にしましょう。 (4)は当たり前。 (1)短日や去り逝き友をふと思う 豊純(70才以上) (2)落款を押す手震える冬蒲公英 (3)句作りに励みし窓に雪ふわり (4)今年叉作句を下げて忘年会 明けましておめでとうございます。新年早々ごめんなさい。今日は誰も居ないので四句送らせて頂きます。暫らくご指導宜しくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 おめでとうございます。どの句も日記として、記録としては良いのですが、せっかくですから人の心に触れる俳句らしくしたいものです。 (2)季語がイイですね。ちょっとした緊張感と、寒い中にも咲く蒲公英があったかいですね。 (4)「下げる」は「提げる」ですね。 歳旦や還暦祓う鈴の音 玉白石(50代,男) 元日の未明、神社で還暦の御祓いを受けました。そのままですが……。よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 「鈴の音」がいいですね、具体的で。還暦を迎えて、諸々のことを御祓いするのはあるかもしれませんが、御祈祷ですね。或いはお祝いではないでしょうか。 (1)文鎮の重さ確かや初すずり 西角悠(70才以上,女) (2)受験子の机に小さき鏡餅 おめでとうございます。どうぞよろしくおねがいします。 ドクター小倉の診断と処方箋 (2)がまずまずです。合格を願う家族が想像できますね。 (1)「文鎮」「初すずり」は重なっていますね。これでは机の上の話だけ、平面的です。俳句は立体感を考えて作りましょう。たとえば〈文鎮の重さ確かや初雀〉とすると、目線は机から庭へと移動して、そこに空間が生れます。立体感ですね。いろんな季語を考えてみてください。 落ち葉道山の思い出踏みしめる 豊田ささお(70才以上,男) 小倉ドクター今晩は、はじめまして、9月からお世話になっている新参者です。船団の先生方のような機知に富んだ句が作れないし、遊べないし、なんとかあやかりたいと思いますが、むつかしいですね、よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 俳句は短いのでその短さを利用しなければなりません。鮮明なイメージを作り出すことが大切で、そのためには情景を説明するのではなく、具体的にパシッと書く。この句の場合「山の思い」が抽象的で読者にはわからない。「踏みしめる」も観念的なので、結局は何も伝わってこない。具体的な物事を書いてみてください。 2007年1月5日 (1)野いちごの実落ち紅き葉を見せぬ 豊田ささお(70才以上,男) (2)落ち葉踏み山の思い出を踏み よろしくご診断ください。2006年の送りじまいです。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)報告に終わっていますね。野いちごの紅い葉で十分だと思います。 (2)少し推敲されたようですが、「思い出」が読者に見えてきませんね。 (1)対局は炬燵の中や鼻眼鏡 しんい(60代,女) (2)数え日に一切流す雨はげし 小倉ドクター初めまして、よろしくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)炬燵で対局をしているのはなかなかおもしろい。あったかい炬燵でも、その上では結構真剣勝負だったりする。「鼻眼鏡」が一見おもしろいように思えるが、ちょっと当たり前になってますね。作者がおもしろがり過ぎたようです。 (2)しんいさんは俳句に「答え」を書きたいようですね。しかし俳句は詩、答えは必要ありません。この句の場合「一切流す」がその部分です。「年末の夜に激しい雨が降っている」それだけで十分「一切流す」が出てくるのです。答えは隠しましょう。 季語集は岩波新書蜜柑剥く 玉白石(50代,男) よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 ネンテンさんの季語集ですね。「蜜柑は妙な果物だ。・・知らず知らずのうちに10くらい・・」(『季語集』「蜜柑」より)とありますね。この本も蜜柑のように知らず知らずのうちに・・・、ということでしょうか。この句は『季語集』を知っているかどうか、或いは読んでいるかどうかでずいぶんと読みが変わってくるでしょう。〈『季語集』は・・・〉とするのもよいかもしれません。 (1)年の湯や梢の風の音をきく 学(50代,男) (2)しぐるるや白地の見ゆる藍の壷 (3)飽かず見るひづめの焼くる寒暮かな (4)蝸牛つまみだされて星屑に ご教示を。 ドクター小倉の診断と処方箋 (4)が好きです。季節は違うけれど、蝸牛が星屑になるような感じがいいですね。 (1)は平凡。(2)は「白地の見ゆる」が説明的ではありますが、季語との取り合わせのみのシンプルさがいいでしょう。(3)「飽かず見る」がやはり説明的で、工夫の余地あり。 (1)吊ってある逆光の箱雪祭り 裸時(30代,男) 絵のような感じになりました。 (2)猫の毛はタオルみたいだ御万歳 (3)初風呂に生える人ほど油毛の ドクター小倉の診断と処方箋 (2)がおもしろい。「御万歳」とそれまでとの関係はないけれど、響いていますね。ただ私自身この季語に実感がないのでそれ以上はコメントが難しい。 (1)(3)ちょっと句意がわからない。それでも何か感じられるものがあればいいのだけれど。もう少し読者を意識してもいいのではないでしょうか。 2007年1月4日 (1)かさこそと落ち葉蹴散らし児等駈ける 春雪(70才以上,男) 小倉先生、こんばんは。醍醐山へ孫二人連れて登ってきました。 (2)除夜の鐘ひとつき千円高すぎる 京都の寺院では除夜の鐘をつくのに千円の奉納を求められます。なぜか有り難みがなくなりますね。(笑) ドクター小倉の診断と処方箋 まあいろいろと事情があるのでしょうね。しかし高すぎますね。どちらの句も正直につくられています。ただ(1)は当たり前の風景、(2)は単なるグチに終わっています。俳句は詩、詩であることを意識してください。これをスタートとして、俳句へと推敲してみてください。 (1)吹雪く夜のガラス戸の音雪女 タント(60代,男) (2)初雪やループ轍の駐車場 (3)電飾の闇夜を奪ふクリスマス (4)通帳の印字確かめ年暮るる (5)雪吊りの円錐形のゆるぎなし 宜しくお願い致します。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)吹雪・雪女(2)初雪・ループ轍(3)電飾・闇・夜・クリスマス、これらは1句の中に重なりすぎています。俳句は短いのですから、重なりはもったいない。 (4)も通帳の記帳と年の暮れは近いものがあります。 (5)気持ちはわかるのですが、雪吊りを見ると多くの人がこのように感じます。ここからスタートして、その雪吊りから何を連想するか。例えば雪吊りを見て母を思い出せば〈雪吊りや母の言葉のゆるぎなし〉。 好きと書く曇り硝子や春隣 澄(50代,女) よろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 曇り硝子に好きと書くのはちょっと歌謡曲あるいは演歌っぽいですね。それに「春隣」という季語を持ってくると「待ってる感」が出すぎてしまいます。「好き」「春隣」のどちらかを別のものにしてみましょう。意味でつながらないものを考えてみてください。 ○○と書く曇り硝子や春隣 好きと書く曇り硝子や○○○ 数え日や直進すれば母の家 玉白石(50代,男) 小倉ドクター、よろしくお願いいたします。 ドクター小倉の診断と処方箋 悪くないですね。「母」の句はなかなか難しい。それはどうしても「母」という観念から抜け出せなくなってしまうのです。しかしこの句は「母」についてあれこれと書いたのではない。近くに母が住んでいるのかもしれないし、帰省中かもしれないけれど、車で走っていて、「あ、この道を行けば母のいるふるさとだ」と感じただけで終わるところがいいですね。 (1)初笑ハワイの大王カメハメハ ポリ(50代,女) (2)冬の朝ごみ出しに行く犬がなく どうぞよろしくお願いします。 ドクター小倉の診断と処方箋 (1)いーなあ。ハワイで正月とは豪勢ですね。なんだかこちらまで嬉しくなってきそうな句です。「カメハメハ」もちょっとおもしろい名前ですし、季語とうまく響いています。 (2)中7の「行く」と下5の「なく」と動詞が重なると普通は気になるのですが、この場合の動詞の繰り返しはちょっとした時間差を生み、寒い朝の空間をうまく捉えているようです。どちらも好きな句です。 (1)寒暁の煌めく空や水清 小口泰與(60代,男) (2)切岸に立つや奈落の冬の滝 (3)笹鳴きや光りあまねく利根川原 (4)顔色の良きと言はれし冬落暉 (5)枯蓮の影おもしろき水面かな (6)枯蓮の影の趣き榛名富士 小倉先生よろしくご指導願います。よいお年をお迎えください。 ドクター小倉の診断と処方箋 どの句も景色を説明しようとしていますね。 (1)煌めく(2)奈落の(3)光あまねく(5)おもしろき(6)趣き、いずれも具体的でなく、伝わって来ない。例えば(5)どうおもしろいのか?(6)どのような趣きなのか?、を表現してみてください。そこからのスタートです。 (4)は具体的ですね。「顔色が良い」といわれることはその裏にある「顔色が悪い」も想像します。そうなると季語が関係を、意味を持ちすぎているので、他の季語も検討してみましょう。 |