俳句クリニック 2007年2月後半分(ドクター:小倉喜郎)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。

1月と2月の担当ドクターは小倉喜郎です。
<プロフィル>
 1965年1月15日生まれ。兵庫県中部在住。リンゴが嫌い。好きな果実は夕張メロン。気まぐれにケーキを焼いてみたら、陶芸(私の趣味)の作業とよく似ていて楽しかった。道具もよく似ている。1日で完成するのも気に入った。現在、陶芸とお菓子の融合を考えている。更に俳句との融合も・・・。

ドクター小倉の診断
2007年3月2日

梅散るや子どもの太鼓風に乗り  豊田ささお(70才以上,男)
 小倉ドクターいつも的確なご指導を有難うございます。早くもお別れの日が近づきました。またよろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 こちらこそ、ありがとうございました。今回は自分の作句の時のような感覚でコメントしてみました。
 悪い句ではないです。散ることと風が重なっているように感じます。それが良いのか悪いのか。私はこの場合の重なりはあまり効果的でないと思います。とても感覚的で微妙な話ではありますが。好みかもしれません。太鼓の音が風に乗るという表現がちょいとありふれているので、そのあたりをもう少し普通に表現するのもよいでしょう。

ことことと地球はまわり山笑う  多弁(60代,男)
 小倉ドクターさま、適切な診断ありがとうございました。肉となり、骨となるようがんばります。
ドクター小倉の診断と処方箋
 地球がまわることと山が笑うこととは意外に近いかもしれませんね。ことことと、がそれをカバーし切れていないように感じました。

春の闇ヒールの足音はじけてる  浜っ子(60代,男)
 よろしく。
ドクター小倉の診断と処方箋
 はじけてる、がわかるようでわからない。コツコツと音を立てているのか、走っているのか。そのあたりが推敲のポイントではないでしょうか。

(1)路地奥は猫の寄り合い薺かな  菜月子
(2)囀りを窓開けて聴く徹夜明け
 (2)はあまりに普通でしょうか?よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)路地裏に猫は普通ですね。寄り合いも普通です。ちょっと工夫が欲しいです。
(2)こちらの方がよい。普通であっても、徹夜明けが普通でないので、作者の位置が感じられますね。「窓開けて聴く」がなくてもよいのではないでしょうか。

ものの芽や鬢付け香る街を行く  菊美(60代,女)
 2ヶ月間有難うございましたm(__)m 説明句、川柳ですなど色々ご指導有難うございました。またの機会も宜しくお願い申し上げます。3月、文化センターでのネンテン先生のご指導を仰ぎ、少しでもうまくなりますればと思います。春場所の稽古が近くで見れます。九重部屋、若島津親方の部屋が近く、のぼり見えます。
ドクター小倉の診断と処方箋
 ずいぶん前にわが町に巡業に来たときに近くで力士を見たのですが、鬢付けの香の記憶が残念ながらありません。春場所にでも行って是非その香を確かめたいと思います。季語はまずまず。街を行くがやや広すぎるように感じました。

(1)春マスク花粉突然変異せる  文の子(60代,男)
 「新型のウイルスもあり春マスク」を推敲しました。
(2)鳥帰るペンギン空を見つめをり
(3)春風や頻りに動く象の鼻

 宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)花粉とマスクは当たり前中の当たり前。それが突然変異であっても同じこと。
(2)ペンギンが悲しいというふうに作られた感がありますね。そういう意味ではペンギンではこの句なかなか成功しないように思います。
(3)頻りに、が説明的です。そして句がぼやけてしまっています。

それきっと蝶のせいかも銀の匙  藤田亜未(20代,女)
 おひさしぶりです。すこし甘いかもしれませんが、どうでしょうか☆
ドクター小倉の診断と処方箋
 そうですね。銀の匙が甘さを助長してしまっていますね。私なんかは何のことを言っているのかわからないのです。でも自分の感覚を大切にしてください☆

(1)恋猫や一夜明けてのすまし顔  栗太郎(60代,男)
(2)外猫の親子じゃれあふ庭の春
 いつも的確なご指導感謝いたします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)それが恋猫というもの。季語を説明してはいけません。
(2)春の庭で猫がじゃれあうのはあたりまえ。何か1つスパイスが欲しい。


2007年3月1日

団塊の道を一筋木瓜の花  三郎(60代,男)
 「なにをする庭の木瓜見て語りかけ」を少し変えて見ました。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 団塊の世代は私にとっては、親でも兄姉の代でもない。でもなんとなくうらやましい世代でもあるのです。中7を工夫しましょう。或いは季語を。

(1)首をやや右にまげる人春浅し  ポリ(50代,女)
(2)春光に佐久間商店開店す
 よろしくお願いします。俳句を始めて半年ほどでわからないことだらけの中、貴重なアドバイスをたくさんいただき、本当にありがとうございました。
ドクター小倉の診断と処方箋
 どちらも一点に絞って、季語と取り合わせたところは良いですね。
(1)まげる人、と言うか、人がまげる、として具体的行動にするかですね。私ならば後者を選びます。前者は観念的になってしまいますから。
(2)面白い句です。佐久間商店がいいですね。

(1)残雪や道無き森の胸騒ぎ  小口泰與(60代,男)
(2)春暁の鳶数百や川早し
 小倉先生 早いものでもう二ヶ月間が過ぎようとしています。未熟者の私にご親切なご指導有難う御座いました。また、ご指導をいただけるのを楽しみにお待ちしております。時節柄、いっそうのご自愛をお祈り申し上げます。有難う御座いました。
ドクター小倉の診断と処方箋
 たくさんの投句ありがとうございました。
(1)道がなければ不安、胸騒ぎへとつながってしまいますね。道理を言っては俳句は面白くありません。詩ですから。
(2)春暁と鳶百、鳶百と川早し、と単純に2つの取り合わせにしましょう。そうでないと句が複雑になってしまいそう。

玄関の病談義や冴返る  雅(50代,男)
 作者の実体験なのですが、分かりますでしょうか。
ドクター小倉の診断と処方箋
 よくわかりませんね。玄関で病の話が盛り上がったと言うことでしょうか。談義は大げさで、話くらいではダメですか。

陽春の公園デビューのよだれかな  澄(50代,女)
 よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 公園デビューも大変だそうですね。それにしても「よだれかな」がちょっとつらい。他のものを考えてみましょう。

(1)メモとるは地震確率春の雷  学(50代,男)
(2)てのひらの少し余りて紙風船
(3)人生に余生のありて花影かな
(4)馬の子の立ちたる脚や駆け去れり

 ご教示を。
ドクター小倉の診断と処方箋
(2)平凡ではありますが、この句がまずまず。紙風船が手にのっているのでしょうか。あるいは何か他の物なのか。いずれにしても、手のひらよりも小さなものということで、ちょっとした寂しさが出ています。

(1)ぴろりっと科学者を消す海苔の中  裸時(30代,男)
(2)引きあがり仮面がずらり春北斗
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)ぴろりっと、が必要でしょうか。海苔の中に科学者を消すのは面白い。それがぴろりっと、でも、はらり、でもころりでも、読者に任せればよいことだと思いますよ。
(2)引きあがり、がわかりませんでした。

落椿野神の森を荘厳す  香珠(女)
 椿の巨木があります。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 感じた結果を書くのではなく、その感じた原因を表現し読者に同じように感じさせるようにしましょう。またその意識も大切で、気を緩めればすぐに気分や感じたことをそのまま書いてしまうことになります。「荘厳す」がそれにあたります。

(1)三日月の時間だにゃんにゃん注意報  裸時(30代,男)
(2)苺食べささやか人生しぼりたて
(3)イチゴパンティしたらどうですか玉子

 煩悩の脳を隠しました→
(4)父上忌卵ころころこんころりん
 なにかおかしな方向ですが、前からおかしな方向でしょうか?
ドクター小倉の診断と処方箋
 たぶんおかしな方向でしょう。そのおかしな方向を少し俳句らしくして隠してはいかがでしょう。でないと句会ではなかなか受け入れられないように思います。


2007年2月28日

(1)野点してきれいどころも梅花祭  遊雲(70才以上,男)
(2)雛かざり妻は女の顔となり
 俳句をはじめて2ヶ月、今日はもう梅花祭です。お手を煩わします。ただの2ヶ月ですが、日ごろは使わない言葉にたくさん出会えました。70才最後の投句です。(2)は、本当は「女は女の・・」としたいのですが。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)きれいどころ、がどうでしょうか。具体的表現にした方がよいでしょう。
(2)雛祭に女が女の顔になるのはあまりにも当たり前ですよね。俳句は当たり前を少しだけずらせたところに面白みが出たり、個性がでたりするのです。検討してみてください。

(1)鹿の糞雑木の芽吹き一斉に  せいち(60代,男)
(2)左よりあれ右よりもさへづれり
(3)風音に紛れて遠くさへずれり

 よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 雑木の芽吹きは一斉であろうし、さえずりはあちこちからくるであろうし、風にまぎれて聞こえてくることもあるでしょう。これは全て季語の中に含まれていることで、これを利用して自分の個性を発揮しましょう。人とは少しだけ違ったものが出れば、その俳句はきっと良いものとなるでしょう。

(1)馬の子の乳飲むために立ちにけり  学(50代,男)
(2)デッサンの線のかすれる花影かな
(3)ぶなの幹大河のごとく春の水
(4)春耕の地べたに置ひて始まりぬ

 ご教示を。
ドクター小倉の診断と処方箋
 俳句は見たものそのまま表現するのも良い方法ですが、そこから新しいものや、作者独自の取り合わせを発見し、句にしていくのです。
(1)生まれたての子馬でしょうか、よく見るシーンですね。これを自分の中に取り入れ、自分のものとして俳句に出さなければなりません。それが創作であります。
(2)(3)も同様のことが言えるでしょう。

(1)キャンバスの青に片々白き梅  豊田ささお(70才以上,男)
(2)夢うつつ水口開ける春田かな
(3)乾涸びし足に貼りつく春田かな

 実は3月の句会は「春田」が兼題です。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 春田そのものを詠むのはなかなか難しいですね。説明的にもなってしまいます。どちらの句も春田が見えてこないです。春田を背景とした句をつくるのもいいですよ。

稽古場に髷の香残る日永かな  滋英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 良いですね。季語がよく効いていて、明るい日の差す稽古場が見えてきますね。きびしい稽古場もこの季節になると少しは明るくなるのでしょう。これからの力士もいるのでしょう。

木蓮の蕾白雪姫の棺  穂波
 先日はご指導ありがとうございました。「たて笛」の句、読んで下さる方に伝わるかどうか不安で、くどくなっていたかもしれません。あっさり書いて大丈夫なのですね。今日はこちらをお送りします。よろしくお願いいたします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 難しい句ですね。短い句の中に白雪姫を出すと、句はほとんどそれ一色となっていますね。白く美しい木蓮も、棺の中で眠る白雪姫に霞んでいます。ガラスの棺、くらいにしておいてはいかがでしょう。


2007年2月27日

(1)冬耕に古老の在りて茫洋と  地蔵(70才以上,男)
(2)野火消えて鎌の周りを残しけり
(3)人は皆死ぬべきものと冬茜

 俳句勉強の場をみつけました。宜しくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)(3)は観念的であり、漠然としています。それが絶対悪いということではありませんが、なかなか成功しません。具体的な句材を使って作ってみましょう。
(2)鎌の周りがよくわかりませんでした。

(1)倒木の薪ストーブの昭和かな  学(50代,男)
(2)クレーンを組みしクレーン蛙の子
(3)突堤の傾く海の朧かな
(4)堅雪や最後に笑ふ奴は誰

 ご教示を。
ドクター小倉の診断と処方箋
(2)ビルを建てる大型のクレーンはクレーンを使って組むのでしょうか。面白いですね。季語がちょっと遠くて効いていないように感じました。他の季語も試してみてください。

川風や少女がつまむよもぎ餅  多弁(60代,男)
 つたない句に適切な診断ありがとうございます。またよろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 シンプルでいいのですが、何か物足りなさを感じます。少女が具体化されていないように思います。

(1)坂多き団地の木々の芽吹きかな  学(50代,男)
(2)秘め事の湯殿にひびく冬木立
(3)凍てゆるむダンプのこぼす砂利の音
(4)啓蟄やガリバーのゐるにじり口

 ご教示を。
ドクター小倉の診断と処方箋
(3)いい句ですね。凍てゆるむとダンプのこぼす砂利は全く関係ないけれど、なんとなく浅い春の雰囲気が出ています。ひとつ言うなら「音」が必要かどうかです。

(1)白梅や男選者に笑窪あり  えんや(50代,男)
(2)熱燗や傾き易し昼のビル
(3)着ぶくれてデパートで迷う傘あまた

 月日の経つのは早いものですね、小倉ドクターともしばしの別れ、大変お世話になりました。心より御礼申しあげます。
ドクター小倉の診断と処方箋
 こちらこそたくさんの投句ありがとうございました。今回の3句はどの句も状況がわかりにくいですね。短い俳句ではイメージ鮮明なほうがいいです。特に(2)熱燗と昼のビル(3)着ぶくれと傘、は設定がわかりにくいです。感じる前に考えてしまう句です。


2007年2月26日

(1)遠蛙読経次第に溶けいりし  文の子(60代,男)
(2)新型のウイルスもあり春マスク
 宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)遠蛙とお経が溶けるのは当たり前といえば当たり前。雰囲気が出すぎてしまいましたね。この季語ともう少しクリアなものの方が面白いかも。
(2)ウイルスにマスクでは当たり前、それが新型であってもね。

(1)シーソーにひとり遊んで春の月  鴻之助(50代,男)
(2)木の芽風サッカーは男女混合戦
 (1)は「シーソーに乗せてぐいっと春の月」を推敲したものなのですが・・・、よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)よくなりましたね。春の月の下で1人シーソーで遊んでいる様が浮かびます。
(2)詩にまで達していないようですね。事実の報告から抜け出していない。

春朧密室たりき観覧車  浜(60代,男)
 よろしく。
ドクター小倉の診断と処方箋
 密室の意味するものは何でしょうか。句全体としてどのようなイメージを出そうとしているのかわかりません。

(1)長靴に猫しなだれてチューリップ  うさぎ
(2)霜降りの芝の雀に手招きし
(3)寒椿待ち疲れて石の上

 先生のご指導をもとに、作り直しました。よろしくお願いたします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)しなだれて、が気になりますね。長靴に猫+チューリップで十分ではないでしょうか。
(2)手招きがやはり気になる。作者の気分が意外に読者には伝わってこないのです。
(3)この句はまずまず。

(1)残雪の赤城の風や揚雲雀  小口泰與(60代,男)
(2)春や春ピンポン玉の音かろし
 よろしくご指導願います。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)赤城である必要があるのか。固有名詞の難しいところですが、私にはなじみのないこともあり、必然性を感じ取ることができません。
(2)平凡。

木目込みの雛の気品にわれもまた  菊美(60代,女)
 姉のとこの木目込みお雛さん、気品があります。何故か私も背筋ピントして、お参りしたいような?宜しくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 気品あるものを気品があると言ってしまっては俳句はそこで終わってしまいますね。

(1)春の風邪爪をさすって眺めおり  ポリ(50代,女)
(2)えりくびのくるっとまるまる春一番
 いつもありがとうございます。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 どちらの行動も今ひとつクリアでないですね。
(1)さすって眺める、とはどのような心境なのか。春の風邪との取り合わせで気だるい感じは伝わりますが、魅力的には働いていないようです。
(2)状況がよくわかりませんでした。

普段着の力士日永の公園に  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 シンプルでいいですね。普段着の力士ってどんな服装ですかね。スゥエットにTシャツでしょうか。のんびりしていて好きな句です。


2007年2月25日

(1)雪国の雪のなきこと恐れをり  学(50代,男)
(2)凍てゆるむ月山と空近くなる
(3)噂をしないで名のみで花粉症
(4)図書館のはりに影ある芽吹きかな

 ご教示を。
ドクター小倉の診断と処方箋
(4)季語を少し考えましょう。〈図書館の梁に影あり○○○〉とし、5音の季語を入れてみましょう。

(1)啓蟄や雁首そろえ読むマンガ  豊田ささお(70才以上,男)
(2)一歩ずつ瀬音高まる春田かな
 先回は、出すぎたことを書き、いま忸怩たる思いをしています。気分一新して2句作りました。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)雁首という言葉は本来悪くないのかもしれませんが、マイナスのイメージを持った人が多いのではないでしょうか。わざわざその言葉を使う必要があるかどうかですね。
(2)状況がよくわかりませんでした。

六十路 夫と飾るか 内裏雛  清水 進(70才以上,男)
 六十路という言葉ないですか。
ドクター小倉の診断と処方箋
 言葉はありますね。ただしそれが効果的かといえばやや疑問もあります。句の内容で、年月を感じさせれば、具体的年齢を言わずにすみますね。

(1)キャラメルの紙で折り紙日向ぼこ  悠(70才以上,女)
(2)名園の松の菰焼き春浅し
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)のんびりしていて、悪くはないのですが、何かひとつ欲しいですね。何を作ったのか、そのあたりを言うのも良いかもしれません。
(2)ニュースみたいですよ。

(1)単線の民家縫ひゆき桃の花  文の子(60代,男)
(2)雨上がる梅が香地より立上り
 宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)「縫ひゆき」がちょっと言い過ぎた感がありますね。作者の気持ちが先走りした感じがします。ここを抑え、少し控え目に言うことで、逆に俳句はよくなるでしょう。

(1)吐く息の昇りて遠きオリオン座  うさぎ(女)
(2)ポラリスやかさなる屋根の影と雪
 「俳句は詩であり、創作活動であること。季語とで新しい世界を作るのです。」ご指導有難うございます。作り直しましたが、如何でしょうか?
ドクター小倉の診断と処方箋
 どちらの句も雰囲気はよく出ていますね。そういう意味ではまずまずで、句会に出すと点も入るかもしれませんね。ただ新しい世界となるとなかなか難しいです。
(1)「遠き」が残念。地上で息を吐いている私とオリオン座は遠いのは当たり前。もちろんその裏には近く感じられたこともあるのかもしれません。中7でしっかり切って、座5にオリオン座を置きましょう。
(2)目線が上ばかりなので、句が単調になってしまっています。地上の雪とポラリスとの取り合わせでもよいのではないのでしょうか。

寄せ鍋に逝きし友おり高笑い  雀子(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 寄せ鍋をすると、亡くなった友を思い出す。特に笑った友を。大変よくわかる句です。

クロッカスメタセコイヤの蔭に添ふ  小口泰與(60代,男)
 よろしくご指導願います。
ドクター小倉の診断と処方箋
 ありそうなことではありますがそこからの広がりとか、新鮮さを感じ取ることができません。それはやはり植物と植物との取り合わせだからでしょう。カタカナでもあります。

俳句脳にしたらどうですか玉子酒  裸時(30代,男)
 玉子が季語だったらいいなと思いました→
ドクター小倉の診断と処方箋
 俳句を俳句にするのはなかなか難しい。独りよがりというより、俳人の中だけでしか通じないのですね。別の脳にしましょうよ。

(1)光る風びっくりミラー立ち尽くす  まりあ(40代,女)
(2)好奇心音立てて出づ蛇の穴
(3)めがね屋の螺子ちひさかり春の月

 ありがとうございました。静かに帰ってくるのは生徒なのですが。また、考えます。一番、鏡が光に驚いて立ち尽くす‥という感じにつくりたいのですが。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)立ち尽くすも同じこと。びっくりミラーに対して立ち尽くすのは当たり前。普通の鏡の前で立ち尽くすほうがよさそうです。
(2)好奇心をそそられないです。
(3)めがねの螺子でなくめがね屋の螺子ですか?どちらにしても眼鏡の螺子は小さいものと決まっていますね。

(1)悪役の口から血糊春の闇  菜月子
(2)八重紅梅本音言うのもほどほどに
(3)まんさくや警備員さん職を退く

 (1)はお芝居を観た句を作り直してみました。(2)のような句を私はよく作ってしまうのですが、個人的な感想のようなものです。よろしくご指導お願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(3)この句が好きですね。春まだ浅い日に、いつも入る警備員さんが退職されて姿が見えない。きっと作者はこの警備員さんが好きなのでしょうね。いつも声をかけられるとホッとしていたのかも。


2007年2月24日

梅東風や土俵造りの槌の音  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 「梅」あるいは「東風」だけで十分のように感じます。もちろん「梅東風」もあるのですが、中7下5から考えると、シンプルにしたほうがよいでしょう。

豚汁の身はほつほつと朧月  きなこ(50代,男)
 宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 身はほつほつと、がどのような状態かわかりませんでした。

(1)山笑ふミサの合唱幾重にも  文の子(60代,男)
(2)春心タクトの描く緩き円
(3)仲春やバリトン一人前に出で

 宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)まずまずですね。季語とマッチしています。
(2)春心(3)仲春があまりにも漠然としています。季語をもう少し考えてみましょう。

泣くことも無いのに泣ける杉の花  しんい(60代,女)
 お願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 俳句は意味で作っては面白くありません。平凡になってしまいます。

数百の鳶に黙せり春の霜  小口泰與(60代,男)
 よろしくご指導願います。
ドクター小倉の診断と処方箋
 数百の鳶がおれば黙ってしましかありません。黙せり、が必要ないように思います。それよりも季語の効きに疑問を感じました。

祝い花待合室の隅の春  澄(50代,女)
 よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 待合室に祝いの春の花があるでよいのでは。「隅の春」がなにやら不自然。

(1)手首見て気まぐれさんが焚火する  裸時(30代,男)
(2)右左違う心臓孫の春
ドクター小倉の診断と処方箋
 だんだん裸時さんの句に慣れてきた私が恐ろしい。慣れてきたのか裸時さんが変わってきたのか。
(1)裸時さんらしい句で、特に「さん」がそうですね。良くも悪くもこの「さん」が句を軽くしています。軽薄であると感じる人もいるかもしれない。
(2)孫、に驚きました。

(1)先生が大好き赤いチューリップ  菜月子
(2)壷焼きやときどき不満ぶつけ合い
 自分をだした句を詠めとのご指導ありがとうございました。だすと、こんな句になってしまいます。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)好きな先生とチューリップを取り合わせることで、大好きが出てきます。例えば〈先生の黒ぶちメガネチューリップ〉のようにね。
(2)これはまずまず面白いのでは。中7下5はいつも私がダメだと言っている具体性に欠けた表現ですが、それを壷焼きがうまく効いて、作者の不満顔が浮かんできます。その顔は今度壷焼きによって笑顔に変わるのかもしれません。

菜の花忌子規漱石と白い雲  栗太郎(60代,男)
 いつもご指導いただき感謝しております。
ドクター小倉の診断と処方箋
 盛りだくさんですね。菜の花忌とは2月12日、司馬遼太郎の命日ですね。それに子規と漱石が登場すると俳句が大変なことになっています。

(1)四囲見ればをんなばかりの春の昼  さくら(女)
 ランチにいつたら女の人ばかりでした。
(2)子狐がわれと遊ぶや朧月
 メルヘンにしてみました。よろしく御診断ください。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)女ばかりの春の昼は面白いですね。ただ上5が無駄になってしまっているように思います。
(2)メルヘンチックですがもう少しオリジナリティが欲しいですね。


2007年2月23日

凍て月に縄梯子を架けたのは誰だ  北野元玄(60代,男)
 2/19の「七分咲き句」についてのご講評、本当にありがとうございました。意味的につながりすぎているという意味はよくわかります。生意気を言うなら投稿するなとお叱りを受けそうですが、満開と七分咲きのどちらかと言われると、ここは考えどこですね。心象俳句の場合は、わざとつながりを強くすることで好句になることも多いと考えております。
 上句は季節が後戻りの破調句ですが、ご講評いただければ幸いです。本当にこれを最後にします。初夏の集いでお会いすることを楽しみにしております。
ドクター小倉の診断と処方箋
 もちろんわざとつながりを強くするのはよくあることで、良い句もたくさんあります。心象の俳句だとしても、人に見せるのであれば、俳句としてやはりある一定の基準をクリアしなければならないと私は考えます。基準とはつまりその俳句が読者を楽しませるかどうかということです。私のもつ基準では〈七分咲きもうこのへんが落しどこ〉は残念ながらクリアされていないということです。心象をストレートに表現する句は月並みに落ち易いので、特に注意しなければなりません。
 さてこの句ですが、凍て月に縄梯子が架かっているのが面白いかどうかが問題ですね。個人差もあるとは思いますが、私にはあまり感じられない。意外によくありそうな発想の句だと感じました。

(1)産毛かゆし新芽もにょもにょ床を拭く  ポリ(50代,女)
(2)水仙のぱっちり咲いてじょうろに水
 アドバイスありがとうございます。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 どちらの句も座5の展開がちょっと意外で面白いですね。
(1)中途半端な春の感じが出ていていいですね。
(2)作者のウキウキしている様子が浮かびます。

履歴書に扶養家族なし春の風  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 季語の効きが弱いように思いますね。でも面白い句です。

涅槃西風えくぼを残し兄の逝く  さくら(女)
 いつもご指導有難う御座います。つきすぎでしょうか。
ドクター小倉の診断と処方箋
 悲しいことですね。俳句としては即きすぎですね。春の風で十分ではないでしょうか。

(1)冴え返る腹がすいたか藪の鹿  うさぎ(女)
(2)春寒やこぼれ松葉をかきあつめ
(3)春立ちぬカレンダーにはそう印す

 このあたり、運がよければ、鹿に出くわすこともあります。
ドクター小倉の診断と処方箋
(3)結局「春立ちぬ」だけに終わっています。読者に伝わるものがありません。
(1)鹿が出てくるのは餌を求めてであり、当たり前。最近は鹿が増えてあちこちに出ているそうですよ。
(2)作り方としてはこの句がいいでしょう。

裏口に猟犬睨む梅見茶屋  煙
 猪追いか盗人避けか。長閑な梅見気分が吹っ飛んだ瞬間でした。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 睨むまで言う必要があるでしょうか。きっとここが一番言いたいことかもしれませんが、ちょいと我慢してみてください。〈裏口に番犬のいて梅見茶屋〉くらいで十分ではないでしょうか。
【管理人からお願い:煙さん、次回からメールアドレスをご記入くださいね。煙さんへのご連絡以外には絶対に使用しませんので、ご安心ください。よろしくお願いします。】

(1)この細き首くくれば死つくしんぼ  えんや(60代,男)
(2)バス停に学生ばかり春の雨
 いつも有難う御座います。だんだん細る首です。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)ポジティヴにいきましょう。
(2)この句はなんでもない句なのですがちょっと面白いですね。雨の中バス停についたら、私以外はみんな学生。ちょっと作者は押され気味。春の雨が程よく効いています。

廃校の錆びし鉄棒月おぼろ  しんい(60代,女)
 宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 廃校の鉄棒が錆びているのは当たり前で、わざわざ言う必要がありません。廃校か錆びかどちらかにしましょう。

春光や郵便受けに音のあり  小口泰與(60代,男)
 よろしくご指導願います。
ドクター小倉の診断と処方箋
 今一歩何かが足りませんね。明るい春の日差しの中、郵便物が届いたという設定は悪くないのですが、「音のあり」が思わせぶりなのでしょうか。気になります。ストレートに届いたものを言うのもよいでしょう。

鰆東風隣の客のフランス語  涼(70才以上,男)
 宜しくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 好きな句です。この場合単なる「東風」よりも、「鰆東風」のほうがいいですね。海の匂いがして、そんな背景に、作者は偶然フランス人と隣になった。偶然なんだけれどなんだかウキウキした気分になりますね。


2007年2月22日

(1)金色の鏡に見えた寒紅は  裸時(30代,男)
(2)切っ先は八方向の海雀
(3)花笑う無駄にぜいたく日本海
(4)凍返るなにげに骨がやわらかい
(5)やぶさめに着膨れの武器の再会

 友人宅でいろいろ浮かびましたので携帯で送信してつくりました。
(6)水底の真空蟻だけ増殖する
 「水底の真空呪文蟻行くよ」を推敲をしました。呪文から離れてしまいましたが(^^;
ドクター小倉の診断と処方箋
 ホントにこういう句は難しい。感じるか感じないかだけの問題となってきます。裸時さんの感覚と読者の感覚が偶然合うのを待ってる感じですね。作者は少しだけ歩み寄ることを考えましょう。それが推敲ではないかな。
(6)「だけ」「する」は説明的になってしまいましたね。裸時さんの即興性のよさがなくなっているのが気になる。

(1)行くときはやはり一人ね黄水仙  遊雲(70才以上,男)
(2)拍子木の透きとおる夜春寒し
 今度は同級生の旦那が6年越しの看病の甲斐なく亡くなりました。このところ少し寒い日が続いています。頭がごちゃごちゃになりだんだん難しくなっています。
ドクター小倉の診断と処方箋
 追悼になくなった方の好きなものや思い出にまつわる物事を句にするのもいいです。そしてその方のことをを思いましょう。

春隣 宇宙から来る光あり  飛砂(50代,女)
 俳句になっているのかどうかわかりませんが、太陽は宇宙に所属しているのだとレベルの違いに、ふと打たれました。
ドクター小倉の診断と処方箋
 実感することはよくあることで、俳句にしたい気持ちはよくわかります。ただ当たり前のことを当たり前に言っても俳句としては苦しい。自分なりの工夫が必要でしょう。

目を褒めて耳を褒められ花菜漬  せいち(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 ちょっと褒められすぎかな。

(1)埋れ木の割れ目に覗く島梟  穂波
(2)埋れ木の割れ目に冬のともしかな
(3)凍てゆるむ埋れ木に鑿打ち込んで
(4)たて笛のソラソに合わせ百千鳥

 先日はご指導ありがとうございました。4句お送りいたします。(1)から(3)は「埋れ木にシマフクロウの姿かな」を、(4)は「ヴィヴァルディのトリルに応え百千鳥」を推敲しました。ご指導よろしくお願いいたします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(3)がいいですね。
(4)「に合わせて」が全く必要なし。例えば〈たて笛のソラソラシラソ百千鳥〉として、百千鳥の前に切れを入れ、更に説明を避けましょう。

線どおり折れぬ板チョコ月朧  雀子(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 悪くないですね。パキンと板チョコを割ると斜めに割れてしまう。そんなことが朧夜の下で起こっているわけで、無関係ではあるけれど、ある不思議な空間になってますね。ただし、好き嫌いのある句かもしれません。私は好きな句です。

北帰行鶴の鳴き声ラジオから  菊美(60代,女)
 いつも有難うございます。休日の朝寝、ラジオ〜出水の鶴の様子、とびおきました。説明の句かな?
ドクター小倉の診断と処方箋
 そうですね。ラジオで聞いた事を作者を通して読者が聞くわけですから臨場感がありません。いわば又聞きですね。

(1)今年こそ霞ほおばりダイエット  うさぎ
(2)店先はバケツぎゅうぎゅう春の花
(3)花の香にむせて急いでチェックアウト

 「ドクター小倉の診断と処方箋:季語を背景にご自分の生活を俳句にしましょう。」店頭の商品はすっかり春です。水着も出てます。でも、インデアナは今日も雪でした。
(4)身震いを抑えて仰ぐオリオン座
(5)吐く息が昇りて星座になりにけり
(6)ポラリスや屋根の向こうにいるのかい

 子供にせがまれ、雪の中、星座探しです。
ドクター小倉の診断と処方箋
 自分の生活を俳句にするのは基本ですが、もうひとつ大切なことは、俳句は詩であり、創作活動であること。単なる生活の報告ではなく、それと季語とで新しい世界を作るのです。そういう意味では俳句の素材はいっぱいありそうですね。それを作品に仕上げる必要があります。

Gジャンの鋲の光りて春浅し  香珠(40代,女)
 だんだん苦し紛れになってきました。
ドクター小倉の診断と処方箋
 微妙な句ですね。主張が少ないのでしょうか、何か物足りない気がします。「光りて」と季語との重なりも気になりました。句会でいろんな人の意見を聞いてみてください。


2007年2月21日

残寒や籠の名の店撤退す  智弘(30代,男)
 宜しくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 残寒、撤退、はちょっと表現が硬いのが気になりました。また「籠の名の店」がよくわかりませんでした。

じじさまのふらここ漕ぎて見る天国  浜(60代,男)
 飛躍した句のつもりです。よろしく。
ドクター小倉の診断と処方箋
 なんだかよくわからない句ですね。しじさまと天国はちょいと近すぎはしませんか。いくらブランコに乗っていてもね。

(1)合格の知らせ届きて浅き春(春一番)  悠(70才以上,女)
 どちらの季語がいいでしょうか。
(2)啓蟄や歩きはじめし赤い靴
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)浅き春の方がよいでしょう。
(2)啓蟄が少し近いようにも思いますが、喜びがよく出ています。

(1)天神の撫で牛に消ゆ春の雪  彩貴(40代,女)
(2)小綬鶏の棲む叢果てて石切場
 人の暮らしが見えることを意識して推敲してみました。見えるものの羅列にしかみえないでしょうか?よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 まずは見えるものの羅列からはじめるのです。そして2つに絞り、無駄をそぎ落とし、その2つに自分なりの関係を持たせることが作句の方法のひとつです。
(1)まずまず良い句ですね。撫で牛と春の雪の対比が鮮明で、目に浮かびます。
(2)この句は削ぎ落としと関係作りが今ひとつ。まずは小綬鶏は「叢に棲む」のは予想できます。そうすると春の季語の小綬鶏とはずれています。今一度「小綬鶏と石切場」との関係を作り直してみましょう。例えば〈小綬鶏の声の途絶えて石切場〉としてみる。更に推敲してください。

(1)大試験終へてしずかに歸りくる  まりあ(40代,女)
(2)風光るびっくりミラー途惑へり
 「先日の嵩うずたかし」は自分でも「嵩張る」と思っているのですが、今のところ保留というところで。先日三島に行きましたら、古い観光地に懐かしい鏡(太って見えたり、のっぽに映ったりするもの)がありました。「びっくりミラー」というんだったか‥?
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)何かひとつほしいですね。このままだとまりあさんの特別な目線、立場が見えてこない。「しずかに」あたりを少し工夫してみましょう。
(2)びっくりミラーに戸惑うことは当たり前で、そのことに読者はびっくりしないのです。例えば〈階段を下りたところに大鏡がある+風光る〉とすれば様々な読みになりそうです。


2007年2月20日

日曜日趣味は違えど河豚は好き  多弁(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 これから俳句にしましょう。俳句は詩であり、創作です。気持ちをどう詩に表し、他人に伝えるかを意識して創作しましょう。

(1)平積みの本手にとりてさつくづくし  学(50代,男)
(2)下萌えの金の卵が佇ってゐる
(3)春寒や桃から生るゝ桃太郎

 ご教示を。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)まずまずの句です。普段の何気ない行動と季語の取り合わせというシンプルさが良いですね。「本を手にとり」くらいでよいのではないでしょうか。あとは季語ですが、他にもこの句にピッタリの季語があるかもしれませんから、探してみてください。
(1)以前このコーナーで金の卵の句があったように記憶していますが、この句は季語が効いていないと感じます。
(3)平凡。

春一番本命チョコの届かざり  タロー(30代,男)
 宜しくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 この句を読んでどうすればいいのか悩んでしまいました。あまりにもストレートな句なのでこのままにしておきましょう。

(1)金平糖コップの中に春の色  小口泰與(60代,男)
(2)くび傾ぐ黒きチワワや鼓草
 よろしくご指導願います。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)なぜ季語を「春の色」にされたかを考えてしまいました。金平糖の入ったコップはまさに春の色ですね。だからこそ言わないのが俳句。「春の雲」「春の空」などとして、句の広がりを意識しましょう。
(2)悪くはないですね。

猫柳素足で歩む長廊下  小口泰與(60代,男)
 よろしくご指導願います。
ドクター小倉の診断と処方箋
 まずまずですね。季語とそれ以下とが意味でつながっていないところがいいです。それでいて猫柳の季節に歩く廊下の冷たさが伝わってきます。また猫柳の肌触りも心地よい。ただ「素足」は夏の季語ですから気をつけなければなりません。

(1)幼さも幻のごとひな祭り  ポリ(50代,女)
(2)あくを取りおたまをしまう余寒かな
 いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)作者の気持ちだけの句になってしまっています。
(2)ちょっと面白そうになりかけの句ですね。あくとりに使ったお玉と余寒の取り合わせはなかなかのもの。

幼子の笑顔伝染チューリップ  ささ奴(50代,女)
 チューリップは大好きです。ご指導よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 伝染、は必要ないように思います。笑顔もできればとりたい。というのは、季語がその働きをしてくれるのです。

チョコレート貰ひし2月15日  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 1日遅れのチョコもさほど新鮮さはありません。むしろよくあるパターンかもしれません。

(1)左折して春田を包む星の数  鴻之助(50代,男)
(2)シーソーに乗せてぐいっと春の月
 近すぎず離れすぎぬ言葉の斡旋、説明的にならずシンプルに、俳句のむずかしさ、奥行きの深さですね。また、よろしくご指導ください。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)左折して、が意外ではあるけれどその後が鮮やかに展開していないのが問題でしょう。うまく言おうとし過ぎたせいかもしれませんよ。
(2)これも同様に春の月とシーソーを強引につなげようとしたその意図が出てしまっています。春の月が出ている公園にシーソーがあるのは、それだけで十分絵になりそうです。

また明日さよなら三角仏の座  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 「また明日」が必要ないように思います。それにしてもこのようなお決まり表現を俳句にするのは、決まればホームラン。失敗すれば三振。

(1)帰る時空撓らせて鳥たちよ  学(50代,男)
(2)春一番ときには横なぐりの雪
 ご教示を。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)「撓らせて」とうまく言った、言い過ぎたようです。俳句の表現は平明な表現の方が説得力があります。
(2)事実はどうあれ、季語を生かすことを心がけましょう。


2007年2月19日

古書店にでんでん太鼓土匂ふ  さくら(女)
 古本屋に昔懐かしいでんでん太鼓も売っていました。
ドクター小倉の診断と処方箋
 古書店、でんでん太鼓、でかなり土の匂いがしてくるので、句が小さくなってしまいます。座5に別の季語を入れましょう。「春の風」など土から離れましょう。俳句は立体的に。

(1)返り花道を一筋間違へて  文の子(60代,男)
(2)屋上はオーナーのもの干蒲団
 宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)まずまずですね。即き過ぎているほど即いていますね。でも歩いている感じがよく出ています。
(2)オーナーとは誰でしょう。唐突でした。

吟ずれば言葉軽くも水温む  豊田ささお(70才以上,男)
 おはようございます。今朝は、一転寒くなりました。
ドクター小倉の診断と処方箋
 「も」をとりましょう。〈吟ずれば言葉は軽く・・〉のように。季語の動詞が少し気になるので、名詞に換えてもよいでしょう。

七分咲きもうこの辺が落としどこ  北野元玄(60代,男)
 昨年、小倉ドクターに拙句「一分咲きして春嵐に戸惑へり」を平凡と一刀両断されました(18/4/4)。あとで「七分咲きまだ決めかねることのあり」と変えておりましたが、現代口語にして、上記としてみました。たぶん、何が問題で何をどう決断したのかを具体的に詠めと言われそうですね。まあでも、短い俳句ではこの辺が落としどころのようで・・。
ドクター小倉の診断と処方箋
 確かに俳句を作ることはある意味落しどころを探ることです。時には具体的なものが出なくてもそれはそれで雰囲気とか味とかが出ることがあります。この句はそれを感じることができないところに問題があるでしょう。その最大の原因は「七分咲き」にあります。あまりにも意味的につながってしまっています。季語を再検討すべきです。私ならば〈桜満開もうこのへんが落しどこ〉とします。

囀りや牛乳瓶の音かろし  小口泰與(60代,男)
 よろしくご指導願います。
ドクター小倉の診断と処方箋
 「かろし」をとりましょう。絶対にとりましょう。

畑走る有刺鉄線花菜風  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 俳句ではよく有刺鉄線が出てくるのですね。ちょっと危険な匂いと、蝶などとの対比です。この句は畑ですからあまりその危険な匂いは出ていませんね。ちょっと俗っぽくなってしまっています。別に俗っぽいことが悪いのではないのですが、有刺鉄線が私の中では消化不良を起こしています。

水底の真空呪文蟻行くよ  裸時(30代,男)
ドクター小倉の診断と処方箋
 盛りだくさんですね。水底に真空を見るのは納得です。そこに呪文が、蟻が出てくるとお手上げになってしまいます。水底に呪文+蟻、で真空を表す。或いは、水底に真空+蟻、で呪文を表す。

荒星に支点力点作用点  星次(40代,男)
 先日はご指摘ありがとうございました。
ドクター小倉の診断と処方箋
 よくわからないのですが、その面白さが出そうで出てない句のようです。荒星とは木枯らし吹く寒い夜の星ですね。それと梃子の原理を組み合わせたのはユニークですが、ここから想像が膨らまないのです。「に」に問題があるのかな。この「に」に意味を感じてしまうからかもしれません。

(1)門辺より轍はじまる蕗の薹  春雪(70才以上,男)
(2)陽炎の思わぬ速さやハイウエイ
 先生、ご指導下さい。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)季語が効いていないのではないでしょうか。
(2)こちらは季語の説明に近い。


2007年2月18日

竹魚篭に春のにがさを持ち帰る  きなこ(50代,男)
 渓流釣りに行ってきました。よろしくご診断下さい。
ドクター小倉の診断と処方箋
 以前の句のように思いますが、独活を持ち帰るでよいのではないでしょうか。作りすぎは禁物。

(1)春愁や空のボールは落ちてくる  学(50代,男)
(2)春眠といふ狼の群れ来たり
(3)春耕の畝のひとつが歪みけり
(4)辞すべきや其のとき庭に藪椿

 ご教示を。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)春愁に陥れば当たり前のことに考えさせられるという典型的パターンですね。そのあたり既視感があります。
(2)春眠という狼に無理があるように思いました。ちょっと勇ましすぎる春眠ですね。
(4)其のとき、は不必要。
(3)シンプルですが実感が出ていますね。

海老蔵の静御前の指朧  菜月子
 歌舞伎をみた印象を句にしましたが、役者の名前を使ってもいいでしょうか。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 役者などの固有名詞はその人物の雰囲気だけの句に陥りがちです。この句もそうなっているようです。俳句は詩の創作ですから、作者独自の目を感じられなければ平凡になってしまいます。菜月子さんが感じられない。

なにをする庭の木瓜見て語りかけ  三郎(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 俳句はここからスタート。上5、下5に木瓜の花を置き、しっかり切れを入れて、ちょっと俳句らしくしてみましょう。そしてこの句と比べ推敲を重ねましょう。

鶺鴒やサーファーになって飛び去りぬ  雀子(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 「や」は基本的にはそこで切れますから、サーファーになって飛んだのは作者か?なんて思われてしまいます。鶺鴒の話ならばやはり「鶺鴒の」にすべきでしょう。ただ、鶺鴒がサーファーとはピンときませんでした。

楼蘭に佇つことも無く地虫出づ  涼(男)
 宜しくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 遥か彼方の砂漠に埋もれた王国を思う気持ちと、春の訪れとの取り合わせですね。ちょっと興味をそそられますね。楼蘭とはどのようなものであったのか。異邦人が行き交う活気ある街だったのでしょうか。この句非常に難しいのですが、季語の効きが弱いように感じます。他の季語も試してください。春だけでなく他の季節も含めて。

(1)引き潮のほそき地響き冬の蝶  文の子(60代,男)
(2)脚太き馬の流鏑馬里の春
(3)横向きし流鏑馬の的春疾風

 因果律というご指摘を想定しつつも、疾風に拘りました。宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
(3)まずまずですね。確かに季語が流鏑馬と即きすぎているようです。
(1)「ほそき地響き」がわかりません。作者と読者に温度差が生じそうですね。
(2)そもそも流鏑馬を俳句にするのはなかなか難しそうですね。その一部を切り取って俳句にするのがよいかもしれません。「馬の流鏑馬」あたりは推敲しなければなりませんね。思い切って「脚の太い馬」+「春」だけで良い句になりそうです。

(1)山風のいよよ吹きけり春障子  小口泰與(60代,男)
(2)尺八のジャズを奏でし春の宵
 よろしくご指導願います。
ドクター小倉の診断と処方箋
(2)尺八でジャズを奏でるのは素敵ですね。ただそれを俳句にするのはなかなか難しそう。これは実際の演奏を聴いたほうがよさそうです。

Gジャンの釦の鳴れり春浅く  香珠(40代,女)
 難しいです。
ドクター小倉の診断と処方箋
 Gジャンと春浅くはいい取り合わせですね。ただ釦が鳴るのがいまひとつピンとこない。映像につながらないのです。「鳴れり」を考えましょう。

梅二月看護学校受験生  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 なぜ「梅二月」とするのかが疑問でした。受験も季語ですからせめて「二月」はとりたいものです。


2007年2月17日

(1)水温む冷えたコーヒーかき混ぜぬ  豊田ささお(男)
(2)春浅し鋸の目を起こしをり
 「春浅し鋸を磨る太き指」へのご診断有難うございました。鋸について少し考えてみました。「駆ける子の靴煮える音・・」は、やはり違和感がありましたね。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)水とコーヒーではあまりにも近い。それも温かい、冷たいの話ではね。
(2)こちらはわかりやすくなりました。俳句の表現はシンプルに。問題は内容ですから。

(1)二月尽申告済ませ空の藍  さくら(女)
(2)子狐が森から出るや朧月
 先日の子が眠る、眠る子や、の使い方よくわかり納得致しました。ご指導有難う御座いました。今回の「出るや」はこのままでいいのでしょうか。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)申告はこの時期に多いので季語を少し考える必要がありますね。植物などがよいかもしれません。
(2)実際に見られたのかもしれませんが、童話的でありますね。物足りないのは童話や絵本でよくありそうなシーンだからではないでしょうか。事実から創作へと進んでください。切れ字「や」はそこで意味と流れが切れ、余韻をつくります。そして次の世界へと進みます。またとても強い切れでもありますから慎重に。この句の場合などはそれほど強い切れは必要ないかもしれません。

(1)芝焼きの火が風を呼び火を追へる  悠(70才以上,女)
(2)白梅や孫の合格望む日々
(3)紅白の梅ほころびて里静か

 何時もありがとうございます。よろしく。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)よくわかるのですがちょっとうまく言い過ぎましたね。俳句ではうまく言うことが返って平凡になったりもするから難しい。この句がそうなのでしょう。既にこの感覚は我々の中にあるのだと思います。
(2)(3)「望む日々」「里静か」が当たり前。必要ありません。

(1)梅の香や甘口もあり辛口も  栗太郎(60代,男)
(2)港町見下ろす丘の梅見かな
(3)連れ合いと一本さげて梅見かな

 昨日の休日に近くの岡本梅林に家内といってきました。 ドクター小倉の診断と処方箋
(1)酒のことかなとも思いますが、何の話かがわかりにくいですね。
(2)(3)どちらも事実の報告的です。俳句は創作ですから、もっと詩を意識してつくりましょう。

木道を歩み会釈や春の色  小口泰與(60代,男)
 よろしくご指導願います。
ドクター小倉の診断と処方箋
 私にはあまり経験がないのですが、木道を歩いているとお互い知らない人でも会釈をするものなのでしょうか。なぜこの季語を選ばれたのかが疑問ですね。湿地帯を行くのであればそれなりの季語がありそうですね。

草萌や麒麟の爪は割れてをり  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 まずまず面白い句ですね。季語と合って麒麟を間近で見ている感じがよく出ています。ただ「割れている」は本当に割れているののか、偶蹄であることを言ったのでしょうか。私は後者ととりました。

(1)立春やトラ猫のヒゲ生え変わり  菜月子
(2)志賀君の目が躍ってるウサギ帽
(3)答弁を終えて晴れ晴れ黄水仙

 猫のヒゲは確かに生え変わります。季節ははっきり覚えていませんが、立春とあいそうな気がします。この間の魚の塩焼きランチはご指導のように、魚でよくなったと思います。ありがとうございました。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)トラ猫の髭が生え換わることは季節の変わり目でもあるかもしれませんから、季語と近いものがあるかもしれません。この近さをよしとするか、少し距離をとるかが推敲のしどころでしょう。
(2)(3)目が躍る、晴れ晴れ、を言わずにおきましょう。


2007年2月16日

春の朝  Eる月西に 淡くあり  清水 進(70才以上,男)
 俳句にアルハベットはダメですか?この反対はDる月なのですが・・。
ドクター小倉の診断と処方箋
 この場合はダメですね。残念ながらアルファベットにする意味がわかりません。

東風を呼ぶハードカバーの詩人論  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 東風と詩人論を直接つなげたろころが良いか悪いか。私は上5で切るべきだと思います。

(1)ひばりよひばり眼はずせば見失ふ  ささ奴(50代,女)
(2)ふはふはのロールケーキや春めけり
 「春めくやロールケーキののの字さえ」の「のの字」を抜いてやり直しました。ロールケーキが好きなので俳句にしたいです。よろしくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(2)私が始めて作ったロールケーキはスポンジが厚く、ふわふわではありませんでした。30点のできでありました。しかしケーキはふわふわが当たり前。俳句でわざわざ言う必要はありません。まして春めいているのですから。

春めくや水菜しゃきしゃき辛子和え  山田武嗣(30代,男)
 どうぞ宜しくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 春めく、水菜、はともに春の季語。水菜はシャキシャキが命、つまりは当たり前。俳句は無駄をなくすことが必要。推敲は重なりや無駄を削ぎ落としていくことでもあるのです。

白猫の直ぐに立つ尾や梅一樹  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 俳句は映像を作ることだと考えます。この句の場合であれば、尾の説明をするのではな、キッパリと言い切る方がよいでしょう。つまり尾が立っている猫と梅を取り合わせましょう。

竹林の風の微かや春浅し  小口泰與(60代,男)
 よろしくご指導願います。
ドクター小倉の診断と処方箋
 やはり説明的ですね。「微かや」がそれにあたります。また竹林を漠然と捉えるのではなく、もう少し焦点を絞りましょう。

今夜また卑弥呼と遊ぼ建国日  北野元玄(60代,男)
 マラソン走句は実に凡句であったにもかかわらず、2/12の懇切なご指導ありがとうございました。「給水点枯れ井戸脇の菜花畑」になおし、これから推敲を続けます。昨日は紀元節(建国記念日)でした。昨年は伊勢神宮に、今年は宇佐神宮に参詣いたしました。宇佐神宮では白梅が咲きはじめていました。八幡様に卑弥呼のリベンジがなりますようにと祈りました。
ドクター小倉の診断と処方箋
 あまり卑弥呼が生きていないように思います。女王である卑弥呼ですから、建国というのも近いものがあります。もっと卑弥呼と意外なところで意外な作者との関係を作り上げなければならないでしょう。

(1)夢覚めてほっと息つく二月かな  ポリ(50代,女)
(2)手の動きぼんやり眺む二月かな
 ご指導ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)どんな夢を見られたのか。それがわからない。作者しかわからないのです。
(2)これも同じように、作者の心のうちが具体的には見えてこない分、句としては魅力を欠いています。

海風にタカラジェンヌや花ミモザ  浜っ子(60代,男)
 あたたかな春、表現したい。若き日音楽学校の生徒は憧れの的。
ドクター小倉の診断と処方箋
 その憧れの気分そのままに出してしまいましたね。もっともっと具体的に、自分の表現で表現したいものです。

(1)如月の夜もてあましカプチーノ  うさぎ
(2)節分をテレビで見て知るインデアナ
 ドクター診断:周りにある物、人とで俳句をつくりましょう。うさぎ:いかがでしょうか?
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)夜をもてあまし、がよくわからない。わからないというのは作者が見えてこないということです。理解はできますが、もう少し具体的にもてあましていることを表現しましょう。
(2)ここから俳句がスタートします。テレビで見て知ることはどうでもよく、その知ったことを俳句にしましょう。或いはテレビそのものも句材です。

(1) 蕗のとうほろ苦き味ほしいまま  浅葉洋(70才以上,男)
(2) 蕗のとう地の温もりを授かりて
 日溜りに蕗のとうが頚を出しています。早春の味が大好きです。 ご高評を宜しくお願い致します。
ドクター小倉の診断と処方箋
 季語にすべて含まれています。それが季語なのです。

(1)寒烏賊の軟骨を引き出していく  穂波
(2)春寒しいかの軟骨探り当て
(3)早春のいかの軟骨光るかな
(4)ヴィヴァルディのトリルに応え百千鳥

 先日はご指導ありがとうございました。4句お送りいたします。(1)から(3)は「寒烏賊の光の軸を引き出しぬ」を推敲しました。(4)は新しい句です。よろしくお願いいたします。
ドクター小倉の診断と処方箋
(1)が良いですね。特別飾る必要もなく、寒烏賊の軟骨を引き出しただけですが、具体的で、刺身が見えてきますよ。日本酒かな、やっぱり。
(2)トリルが難しいですね。私にとっては。

蝌蚪の紐結んでみたき誘惑に  涼(70才以上,男)
 宜しくお願いします。
ドクター小倉の診断と処方箋
 実際に結んでみましょう。俳句ですから。

(1)朧月ゲームの中のピロリ菌  裸時(30代,男)
(2)山葵頃男の骨が見つかった
(3)大根と小骨流れて泳いでて

 今日食べためざしは苦かったけどおいしかったです→
(4)つぶやきの小骨流れて春眠す
 小骨の句を推敲しました→
ドクター小倉の診断と処方箋
 どの句もここからスタートという感じですね。俳句は直感と推敲が大切だと思います。発想は直感的であり、その後いかに俳句の中に収めるかは論理的思考を必要とする。つまりは右脳と左脳の両方を活用することです。句会で高得点を取ることがよいとは限りませんが、全く入らないのは俳句としては問題があるといえるでしょう。その原因のひとつは、直感だけに頼り、その結果独善に陥ったり、表現が稚拙であったり、突飛であったりします。そのあたりのバランスを計る事が推敲です。