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俳句クリニック 2007年4月前半分(ドクター:岡野泰輔) 「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。
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ドクター岡野の診断
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2007年4月15日 (1)方言のパズル埋めゆく鳥雲に まりあ(40代,女) (2)一年生脚もつれつつ回れ右 (3)深呼吸ふわと浮き立つ桜かな 「花冷えのしずかに開く児童ドア」は「・・・自動ドア」です。すいません。(つまらなくなるでしょうか?)3番改作でもないのですが、樹まるごと飛び立つような雰囲気を考えてみたのですが。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)始め、分かりませんでしたが、クロスワードパズルですね。うまく埋まったときの快感と、非生産的な行為が鳥雲の遙かな感じに合っています。 (2)この通りですが、説明的に過ぎます。 (3)もしそのようなモチーフなら、桜の樹がまるごと飛び立つ、そのままの句をつくられたらいかがでしょうか。掲句は悪くないですが、それを聞いてしまうと不満。 自動ドアは、書いてから、もしやとは思ったのですが、児童ドアが妙に面白かったものですから。もちろん、自動ドア、これでいい句だと 思います。 (1)チューリップひらく好きだな雨の跡 汽白(40代,男) (2)「ゆでようか」ぬる「はい」なまずぬるなまず こんばんは。よろしくおねがいいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)雨の後でなく、雨の跡となると、そこはどこ?と気になってくる。チューリップではないような気がする。と、律儀に読んでる私は作者の術中か?語調は好きだな、と言っておこうか。この「好きだな」はチューリップに掛けて読むほうが面白い。 (2)この超柔軟体の文体が絶妙。ぬるぬるの二人の会話もおかしい。これはやりましたね、嫉妬します。 (1)ふられたかさっと炒める春キャベツ せいち(60代,男) (2)サラダには千切ればいいか春キャベツ よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 両句とも、男、(お父さん?)のさっぱりさ加減と春キャベツの飾らないおいしさが程よく調理されています。 (1)はそれ以上ごちゃごちゃ言わない(言えない)俳句の強みが発揮されています。 (2)ほんとにそれがいいのですね、春キャベツは食べてよし、俳句にしてよし使えるやつです。 (1)石削(はつ)る時々春の川を見て 彩貴(40代,女) (2)鶯や石工の鑿を石の上 宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 仕事中の石工を見とめられた、よいところを見ておられます。両句ともいいですね。 (1)お上手です。中七以降現場が彷彿としてきます。言葉がさりげなくていいです。 (2)石工の、と一見説明的ですが、石の上と相俟って効果をあげています。今、わたしが迷っているのは、「鑿を」の「を」です。「を」を削って七音におさめても、意味的にはほとんど同じ。ただ字余りになっても、この「を」が効いているような気もする。この句での唯一に近い対象物―鑿の存在感がじりじりと増していくような。すいません、修行中なもので、歯切れ悪いです。 (1)行く春や粥をつくりて連れの膳 三郎(70才以上,男) (2)山笑うみちのくの風温かし (3)名残雪急ぐ後ろに添えかかる 前回の「散る花に添えるごときやなごり雪」、二重季語をけずりました。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)連れの膳がよくわかりませんでした。連れ-奥様か、お仲間、粥をつくってさし上げたのでしょうか?行く春と粥でいい雰囲気はあるのですが着地点が取りきれていませんので。 (2)山笑うという大きな、いい気分の言葉があるのですから、後半はもっといろいろ工夫したいところです。現状はあまりにも平凡です。 (3)これも着地点、添えかかるがこの句になると、もうひとつ不明になります。読者は急ぐが、散り急ぐ花であるとは、分かりりませんので。この辺、推敲していく過程で自分ひとりが分かっている場合がありますので要注意です。 龍太逝く俳聖の星ぼし濁世を照らせ ねぎよしこ(70才以上,女) 下手の横好きですがよろしく御指導下さい。 ドクター岡野の診断と処方箋 自分は上手いと思っている人は少ないですよ、そうでもないか?さて御句は、全体のつくりが大袈裟すぎて、言葉がしゃっちょこばっています。龍太へのお気持ち、あるいは龍太の俳壇的イメージがそうさせる?地下で龍太が苦笑していると思います。その代表は俳聖、そうは言ってないですが、龍太が早くも俳聖に列した雰囲気。濁世という漢語の斡旋も句を角ばらせるのに一役買っています。等身大の言葉で龍太を捉え、追悼してください。 (1)剪定の鋏の音やそちこちに しんい(女) (2)剪定や脚立の下の声高に (3)埋立てや昔を偲ぶ汐干狩り 宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 剪定の(1)はまあまあ。落ち着いた住宅街の昼の感じ。(2)のほうが景がはっきり見えます。 (3)埋立てや、の詠嘆は大胆です。昔を偲ぶはストレートすぎて句がここで終わってしまいます。ここは言わないでおいて、分かってもらえるような句作りにしましょう。 種蒔くやみんなみんな燃えるごみ 濡衣(女) ご診断有難うございました。病歴3年。「思いつくまま、しゃべり過ぎ」の自覚症状があります。このままでは危険でしょうか。苦いお薬、大好きです。 ドクター岡野の診断と処方箋 自覚があるうちは大丈夫です。そのうち自覚がなくなります。私は大丈夫です、あ?これが危ないのか? 種蒔くときから、美しい花(果実)を飛び越えて、滅びのことを考えている、いや、滅びをいち早くそこに見てしまう性向といいましょうか。その虚無を救うのは、みんなみんなという、やけっぱちな口語体の諦念、しかも燃えるごみという日常の規則性。とてもいいですね、好きな句です。人間もよく燃えます。因みにウチのほうは月、水が燃えるごみの日です。 ピンボケの女(ひと)が好きよと蛙鳴く 春雪(70才以上,男) あまり理屈っぽい女性よりも・・・・。 ドクター岡野の診断と処方箋 おおむね、賛成です、おおむね。ピンボケの女が好きです、と、ご自分で言われたらいかがでしょうか。蛙に言わせずに。 (1)見上げると下向きに咲くさくらかな 浅葉洋(70才以上,男) 「見上げる目下向きに咲く桜かな」を4月10日付けの添削で、この様にしまし た。目から鱗が落ちました。有難うございました。 (2)開花時期外れても行く花見かな 明日、横須賀より長野(松本、上田城)の花見に行きます。今年位花見の時期が難しいのは稀のようです。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)このままですと、普通にすっと通り過ぎてしまいそうで、ひっかかりがないですね。今、困っています。見上げるのがいけないのかもしれない、突然ですが(笑い)。見上げるという視点と、下向きとみる視点が違うのですね。桜を見上げるのは普通ですから、視点を桜の方からに、一元化するのはどうですか?下向きということは、地上の人のいる方へということですよね。 (2)いいですね、、羨ましい。 春おぼろ課題曲へと邁進す 藤井茂子(60代,女) ドクター岡野の診断と処方箋 季語が合っていないように思うのですが。滑稽味を狙っておられるのでしょうか? (1)朧闇テールライトを呑み込みし うさぎ (2)ネクタイを緩めし客や春の宵 (3)車座に女ばかりや春の宵 診断いただいた作品の推敲はかどらず、新しい作品送ります。宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)とてもよくわかる映像です。上手に言葉を選ばれていると思います。 (2)この客にいろいろなキャラクターを想像でき、それなりに面白いです。春の宵という漠とした季語でもいいにですが、ここが変わると、客のイメージもずい分変わります。 (3)この春の宵は活きていますね。ざわめきが聞こえてきそうです。 2007年4月14日 座蒲団に残るおいどや花曇 きなこ(50代,男) よろしくご診断下さい。 ドクター岡野の診断と処方箋 なるほど、なるほど、花曇とはなかなか便利な季語だなあと思いました。 頂きの高き鉄塔鳥帰る 雀子(60代,男) よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 高き鉄塔だけ、でこと足りる気がします。重複してかえって妙な感じになっています。 (1)自転車の子のあとを追う張る日傘 遊雲(70才以上,男) (2)自転車は宙へ飛び出す月朧 (3)目覚ましも心もオフに春眠す 昨日は、俳句を始めようと1月から通いだした、月2回の「寺子屋」の日でした。兼題は「自転車」(投句は1つ)。いくつかつくったうちの2句ですが。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)の方が地に足のついた表現で、よくわかり悪くないです。春日傘ひとつで、きらきらした春の日差しを感じてしまいます。 (2)こちらの方が表現としては、文字通り飛んで面白いのですが、このままですと、どうしても映画『ET』を思い出してしまいます。 (3)目覚ましも心もオフに、という言い方、発想は散文のもの。うまいこと言えた、と思ったときは、気をつけてください。 (1)砂埃あびて昼飯芝青む 小口泰與(60代,男) (2)繁華街ひとり静の咲きてをり (3)遊園地幾つ回るや春休 よろしくご指導願います。 ドクター岡野の診断と処方箋 実はあわただしいこの季節の気分をよく捉えておられます。 (1)行楽地などでよく実感します。ごく普通に淡々と詠まれているので、芝青むが鮮やかです。 (2)ほっとするのですね。繁華街のところ、手っ取り早い言葉ですが、他にあればと。 (3)お疲れ様です。やれやれ、というところだけに終わってしまっています。 藤の花咳にぎやかに一人の夜 豊田ささお(70才以上,男) ただいま風邪でダウン中です・・・ ドクター岡野の診断と処方箋 咳を素材に、ただでは風邪をひかないところが、さすがですね。藤の花もあってなにやら華やか、咳にぎやかと、自嘲、鼓舞されていますね。お大事に、ご自愛の程を。 (1)ストイック飛んで地震で春岬 裸時(30代,男) (2)盆梅になりたい骨がポキポキと ドクター岡野の診断と処方箋 (1)ストイックが軽すぎる、といっても、そういう言葉の重量を全部奪ってしまおうというのが戦略なら、意味ないか。調子のよさも後押しして地震も軽く、春岬のように明るくなりました。 (2)梅枝と骨のアナロジー、といっても、追認しているだけで、何か言ったことにはならないですね。盆梅に注目したところが作者の好みか。 (1)喧嘩して海に来たれり柏餅 学(50代,男) (2)黄泉といふ母の膝なり蓮華草 (3)水門に潮留まりて春の月 (4)保育器の拳の開ききる泉かな ご教示を。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)遠い日の追憶のような、ただ来たれりで、一定以上の距離を感じてしまい、子供にしてはどうなのかと思ってしまいます。 (2)ぱっと見ると総ての言葉がひとつの世界を志向しているようです。「黄泉といふ母の膝なり」はそれほど分かりやすい表現ではありません。作者の提示しているものに直接触れ得ないようなもどかしさを感じます。 (3)この句が一番いいです。言葉がそれぞれの場所にかちっと決まって、余韻もあります。 (4)座五の泉かなという把握がとてもいいと思います。 腕伸ばしシンクロスイムチューリップ 岡野 直樹(40代,男) ふたつ全く同じ形で並んでいたのが印象に残ったのですが、どうでしょうか。お願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 面白いと思います。チューリップは大体整然と植えられているように思いますし、ご説明のように二つでなくても、団体のシンクロにも見えます。興味深いのはシンクロを導入することで、水のイメージがチューリップに重なって現れたことです。 (1)花筵トントン叩き蟻追う子 えんや(70才以上,男) (2)花筵ひらくムーミン現れる (3)ムーミンもイルカもいたり花筵 花見に行きました。どうか宜しくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (2)も(3)もムーミンのとりかたで、悩みました。リアルなムーミンというとおかしいですが、あの映像で知っているムーミンがそのまま花筵の上に出現する。そう思うと奇妙な味は(2)のほうです。・・・というふうに読もうと思いたいのですが、それでも私には分かりづらい句です。 妃殿下の記念日よりの春日傘 藤井茂子(60代,女) ドクター岡野の診断と処方箋 すいません、皇室に疎いので、記念日がなにを指すのか分かりません。それが分かったとして、春日傘はやはりささないとなあ、というのはあります。 (1)花冷えや一塊のキリンあり うさぎ (2)春陽の中に猫とモーツワルト (3)深鍋に浮き沈みつつ春キャベツ 「花冷えや首をすくめしキリンかな」の推敲です。猫とモーツワルトはシンプルに直しました。キャベツは今日の新作です。ご指導お願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「一塊のキリン」 それが「ある」という。数頭のキリンをモノとして捉えています。大胆ではありますが、「あり」はやはり違和感ありです。 (2)全体が漠然としてしまいました。芝居のト書のようです。猫かモーツァルト(曲、音)のどちらかを動的にされたらいかがでしょう。猫とモーツァルトの醸し出す駘蕩たる春の感じ、一貫して求めておられるイメージはわかるのですが。前にも書きましたが、駘蕩に拘ると煮詰まるかもしれません。 (3)「浮き沈みつつ」がどうかなあ?自動的に、あるいはキャベツの意志でそうなっているようです。浮きか沈みかどちらかにするとか、工夫の余地はありそうです。 2007年4月13日 べその子をあやすブルの子花の雨 煙(60代,男) はじめまして。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 こちらこそよろしくお願いいたします。なかなかいい光景ですね。べその子、ブルの子で軽快なリズムをつくっておられます。ブルの子という省略表現が疑問かとも思いましたが、私はいいことにします。 (1)春雷やかすかに甘きかぜ薬 笹(50代,女) (2)春雷や帰らぬ犬にハガキくる (3)ロシュフコオ付箋書き込み花の雨 岡野先生はじめまして。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 こちらこそよろしくお願いいたします。 (1)本当にそうなのでしょうが、甘きという感覚が、よく春雷と響き合っていますね。 (2)こちらは同じ春雷でも、ドラマが効きすぎて、これまた本当のことなのでしょうが作り事めいて聞こえてしまいます。 (3)面白いです。花の雨もいい離れ方です。三段切れか、ロシュフコオが書き込んでいるようなことになってしまいますのでロシュフコオに、とか助詞で付箋と繋げたほうがいいと思います。どんな箴言に付箋がついたのかな?若い頃読んだ文庫本を本棚に捜しましたが見つかりませんでした。 (1)双こぶ駱駝の右目がつぶれて鰯雲 北野元玄(60代,男) (2)ホーミーの発声練習稲光 異国の丘については、反対意見も多いでしょうが、小生としてはむしろ異国の丘の歌を思い出してもらう意図がありました。上2句、荒っぽい句ですが。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)(2)とも荒っぽいどころか、いいじゃないですか。 (1)ただ、ある事実を述べただけなのに、なぜ俳句として魅力があるのだろうか?駱駝だからいいのか、それも双こぶだからいいのか、右目とことわっているのがいいのか、もちろん、つぶれているのはいい。それに配して、この鰯雲の遙かなこと、これらのすべてが俳句―詩を生んでいる。自分でもはっきり解っていないことを書いてます。右目がの「が」はないほうが定型感は増します。それがいいかどうかは判断保留です。 (2)実際に聴いたことはありませんが、モンゴルの茫茫とした草原が浮かんできます。これも稲光が効いていますね。 (1)塩味の利かせ過ぎやも豆ご飯 しんい(女) (2)うぐひすや水車はひかり散らしをり いつも有難うございます。(2)は「春の風水車はひかり散らしをり」でしたが、即きすぎでもったいないとの事でしたので、少し離して季語「動物」から選んでみましたが、お願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)これはこのとおりにしか読めない。つまりここに述べられていることがこの俳句のすべて。いわゆる余情とかが皆無です。 (2)水車から離すと少なくとも、空間的には広がりますよね。要するに切れの効果ですよね。ただ、うぐいすかなあ?というのはあります。一幅の絵に収まりすぎでは? (1)菜の花のいよよ明るき今朝の雨 小口泰與(60代,男) (2)芽柳や水切り石を探しをり (3)まさをなる空を支えし白木蓮 よろしくご指導願います。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)いいですね。「明るき」が菜の花と雨にもかかって、ある春の気持ちいい一瞬を捉えています。 (2)これもいいじゃないですか。切れもぴしゃっと決まって、すっきり気持ちいいです。 (3)こちらは、青空と白木蓮、きれいですが、ありがちなので、どこかに新鮮な要素が欲しい。それは素材でも、言い方でも―つまり見方でも。 紅雪はあわれたわわれ闇を吸う 裸時(30代,男) 黄砂が降りかかった雪が桜色になって紅雪ともいうらしいです→面白そうなので俳句にしてみました→ ドクター岡野の診断と処方箋 いや、知りませんでした。紅雪ですか。「紅雪はあわれ」はいいですね。「たわわれ」はないんじゃないでしょうか。たわわの命令形?雪がたわわというのも、ちょっとね、詩以前の問題として。紅雪はあわれ―闇を吸うは、なにかあると思います。 (1)菜の花や秩父連山靄の中 小口泰與(60代,男) (2)釣り餌も独りで付けし春休 よろしくご指導願います。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)一応、春らしくて、しかも大きな景ができています。しかし、読者の興味は惹かない。以降が全く平凡な叙景に終わっているから。菜の花はとても春らしくて、句材としてはとても魅力ある花です。菜の花の名句、佳句はごまんとあります。菜の花や、ときたら新しい展開を期待するわけです。そこで皆さんいろいろと工夫し苦労されるのではないでしょうか。厖大な菜の花句の歴史にささやかであっても、新しい1ページを書くぐらいのつもりで作句されることをお勧めします。 (2)釣りに詳しくないので、独りで付ける、ということがその世界で特殊なことを指すのかどうか解りません。釣り人は元々ひとり、というイメージがあります。餌も、というからには他にもあるのか?等々疑問がいっぱいです。 初蝶はゆるせるむすめゆるせるの 裸時(30代,男) ドクター岡野の診断と処方箋 座五の「ゆるせるの」はむすめの独白?それだとあまり広がらない。もう一人のむすめの陳述?それだとむすめと言うか?要するに、そこが不満、座五の陳述は作者だといいのだが。とかくむすめは意外なものを許し、また許さない。その意味では、許す対象として初蝶はまとも。 過去帳を開いて花の香を焚く 藤井茂子(60代,女) ドクター岡野の診断と処方箋 森閑とした堂内に花の香が、字面でも、華やぎを漂わせます。過去帳の中にも、華やぎの人が。いろいろ想像させていいですね。読んでいるうちに、寺院の周囲の桜も見えるような気がしてきました。この季節と花一文字の力です。 (1)カーテンのドレープたわむ春の猫 ポリ(50代,女) (2)雨上がり苺を食べる昼下がり ご指導なるほどと思います。今回もよろしくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)たわんだのは猫のせいですか?カーテンの動きで、猫を表現しているのがいいと思います。カーテンのたわむでも同じことなのですが、ドレープが、ゆったりしたたわみ(変な表現ですが)の感じを出していて、よく働いているのだな、と思いました。 (2)何気ない瞬間を俳句にしようという、姿勢には共感します。上がりと下がりの左右対称(横書きの場合)が気になり、句としては損をしていると思います。昼下がりを変えたいですね。 花散るや樵の子らの昼ごはん 豊田ささお(70才以上,男) 今日、雑木林クラブでした。ちょっと風邪気味で頭の中は春昼のままです。 ドクター岡野の診断と処方箋 樵の子らは、クラブの皆さんですね。子ら、がどうかな?桜と樵がなんとなく頭の中で交差しないのです。ぜんぜん別の世界のような気がして。雑木林クラブという前提を抜きにすればです。 煙突の美術大学に遠足 裸時(30代,男) 煙突を作っている美大生がいるかもしれません→ (^^; ドクター岡野の診断と処方箋 煙突状の美術大学があるだろうかと考える。医科大学はないな。工科大学はあるな。というわけで、超高層、巨大、煙突学園都市を想像してもよい。煙突がサンドイッチ持って遠足という図は考えたくないです。 2007年4月12日 (1)新入児せんせいあのねさゆりです さくら(女) (2)ゆれ続く赤ちゃんポスト雲雀鳴く いつも有難うございます。「見晴るかす田舎町にも黄砂かな」を「見晴るかす日本国じゅう黄砂かな」と推敲してみましたが、宜しくご指導ください。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)平仮名にしたのは、効果をあげていると思います。 (2)ゆれ続くの比喩が、概念的です。赤ちゃんポストを俳句に料理するのはなかなか難しいところです。チャレンジは買いますが。見晴るかすの句は、日本中だと、オーバーすぎて、面白くないです。「にも」が問題でした。町でも、村でも、盆地でも、平野でも、人間が立って見晴るかすことのできる視界が黄砂につつまれている、その景がいいと思ったのですが。 さくらどき地球はいつもここら辺 多弁(60代,男) さくらは長持ちしていますね。 ドクター岡野の診断と処方箋 これは、よろしいのではないでしょうか。大きくて、ゆったりしていて、一発で憶えます。最近はさくらがずれ加減、地球には、ずっと回っていて欲しいのですが。 (1)とうふ屋の湯気に包まれ初ざくら 穂波 (2)花の雨まもなくパンの焼きあがる (3)朝ざくら駈け出す靴の新しく (4)雪催い映画はジャズではじまれり 先日はアドバイスありがとうございました。(1)(2)は「桜並木パン屋とうふ 屋湯気二本」を改作しました。(3)(4)は新しい句です。時期遅れの雪の句で済みま せんが、先日こちらでは雪が降りました。また「紙飛行機」の句は検討中で、近いう ちに投句出来ればと思います。よろしくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (2)がいいです。雨にけむる桜と、香ばしいパンの匂いが素敵です。 (1)はそんなすごい湯気なのかなあ、という感じ。すいません現場知りません。 (3)駆け出すも新しい靴も、それほど効いていない様な。朝桜とはなにか違う感じです。 (4)こればっかりは、その映画を観ていないのでコメントできません。、、と、そういうつくりになっています。 (1)薬草刈るウランバートル医学校 北野元玄(60代,男) (2)岩塩の一塊ごとにゲルの秋 本格的な長い冬になる前に、モンゴルでは生活面でのいろいろな準備が必要です。塩田から岩塩を氷の塊のように切り出してきて各家庭(ゲル)へ配達している人がいました。因みにモンゴルの岩塩は甘みがあって日本人にも好まれています。また、モンゴルは伝統医学が盛んで、西洋医学と両立させています。ウランバートルの国立大学には所謂医学部と伝統医学部が並立されております。後者では針灸のほか薬草園も素晴らしいものがあり、立派な病院を持ち入院患者も受け付けています。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「薬草刈る」の刈るは現地の感じがわかる表現です。もうすこしクセをつけたいです。 (2)岩塩という素材は魅力的なので、ゲルの秋が気になります。説明を聞かないと意外に分かりにくいでしょう。 おむすびのホイルたためる花見かな 智弘(30代,男) 宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 さりげないですね、枯れてますね。花見と言わないほうが、よくはないですか?桜かな、ぐらいでどうなのでしょうか。 (1)揚げ雲雀そこから明日見えますか 遊運(70才以上,男) (2)桜咲く平方根の2を開く (3)目が合いて欠伸呑みこむ春の昼 「京の女」は言われてみるとひとりよがりでした。後から少し離れて見るのとは大分違います。京は日曜日で朝寝をしようと思いましたが、そんな時に限って早く目がさめる・・。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)いわゆる軽口ですね。こういうのも含めて俳句ですが、気をつけないと広告コピーっぽくなってしまいます。 (2)機知の句、うまくできています。どこかで、誰かが、既につくっていそうな気もします。そういう範疇の句です。 (3)いかにも春の昼の感じ。目が合って認め合っている二人がいいですね。 荷をほどく息子京都は花冷えて 香珠 この「て」は変ですか? ドクター岡野の診断と処方箋 変ではないと思います。旅からか、里帰りか、とにかく帰ってきた息子というのがあって、それ以上言っていない(言えない)俳句のよさがあります。 (1)革靴の浮き足立って入学す 藤井茂子(60代,女) (2)高階に番鳥寄る春の昼 ドクター岡野の診断と処方箋 入学とは、小学校だろうか?そう読みたいが。ただ、この「浮き足立つ」は小学生には不適当なような。むしろ新入社員のようだ。そうなると、入社だが。 (1)長閑なリ埃被ったベンチあり うさぎ (2)長閑なリ埃のベンチに指の跡 (3)芝刈り機ダンデライオンの頭刈る (4)春埃積もりし猫の額かな ひげ光る昼寝の猫や春埃、長閑なりどちらのベンチに座ろうか と タンポポの推敲です。春先は猫も埃っぽい?気がして念入りにブラシングしたくなります。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)(2)埃被ったベンチは無人のベンチの表現としては普通で面白くない。空いたベンチ二つという数が面白いのでした。まとまるかどうかは別ですが。 (3)面白いと思います。この手があったか、と思いました。 (4)ひげ光る、のほうが、まだよいです。上の句、猫の額は自分できれいにしています、猫は。 2007年4月11日 うららかやおにぎり2個で山に入る 雀子(60代,男) よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 分かりますし、気持ちいい状況ですが、単純すぎませんでしょうか。「うららか」が以降をなぞっただけのようにみえるので、そう思うのかもしれません。この場合、2個は二個のほうがいいです。 垣根より三毛の子猫も入学す 多弁(60代,男) よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 かわいくて、よろしいのではないでしょうか。ある種の、典型的な語り口のような気もしますが。 (1)春色の靴の行き交う礼拝堂 うさぎ (2)籠いっぱい卵集めし春兆す (3)色染めの卵一列うららけし 窓からは、陽春が輝いて見えます。しかし今年は、記録的に寒いイースターになるそうです。宜しくお願いします。 (4)佐保姫の文届きたりインデアナ (5)指先に露と消えし春霰 先週は春が来た!と思ったら、昨日は霰が降りました。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)〜(3)は海外詠としてのイースターの季節感がよく出ていると思います。特に(1)春色の靴がまだ寒いはずの礼拝堂によく映えていいと思いました。 (4)佐保姫自身が来ないと本当の春はこないのではないでしょうか。 (5)うるさいこと言えば、露は典型的な秋の季語で、霰と(それも春の)同居するのが問題。でもインディアナ、寒くて大変ですね。 高階に番鳥寄る春の昼 藤井茂子(60代,女) ドクター岡野の診断と処方箋 不思議な句です。高層ビルの高層階と解釈すればいいのですか?それとも、ただ高い建造物?そこに番鳥が寄るという、不思議な感覚です。作者が中空に浮揚している感じすらあります。 (1)風光るぎゅっと握る結び飯 うさぎ 「春の川ぎゅっと握る結び飯」の推敲です。 (2)朧夜はヤギのチーズと赤ワイン 「朧夜はヤギのチーズと赤が好い」の推敲です。 (3)襟元にワインの染みや春の宵 ドクターの診断、大変勉強になります。有難うございます。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)風光る、によって、時制が握る現時点にぎゅっと集約されました。それによって、結び飯の実在感がぐっと増しました。 (2)なんでもないことですが、意味は前句と同じで、共感しやすくなりました。 (3)時が春の宵だけに余計な詮索をしてしまいます。危険な状況。でも、だらしないといえば、だらしないですね。私もよくこぼします。 (1)花冷えのしずかに開く児童ドア まりあ(40代,女) (2)影漂ふステンドグラス永き日の (3)力抜きさくら淡々咲きいづる ありがとうございました。3番、桜もそれ自体をつくることは苦手ですが、やってみました。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)はっきりと解らないものの、不思議な魅力があります。児童ドアとはそもそもなにか?花冷えも力を発揮しています。 (2)「影漂ふ」が曖昧なのですが、永き日の感じではあります。ステンドグラスでどのくらいの建物を想像するかで、世界は大きく違いますが、個人の住宅と、とりました。 (3)力抜き、と、淡々、のダブリが惜しいような。 (1)人生の意味を説く人四月馬鹿 きなこ(50代,男) (2)象の前友と握手や春の昼 (3)指さきを浸けて花冷え湯の茶碗 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)この人、文字通りのアホウになってしまい、ストレートすぎて、この季語の気分を損なっているような気がするのですが。 (2)象の前で友人と握手をした、というまるで他人には価値のない報告の、その価値のなさが春の昼の気分をよく表わしていると思います。もちろん象も一役買っています。 (3)「花冷え」「湯の茶碗」がどうも納得できませんでした。 (1)草餅や畦の匂いを仏間まで 豊田ささお(70才以上,男) 少し気分を変えてみました。 (2)桜散る何故にちるなど聞きやるな (3)花びらは散り敷かれてぞ夢を見る 良寛の向こうを張るなど、むこうみずですが・・・ ドクター岡野の診断と処方箋 (1)ぴったり決まってますね。匂いか香りで迷うところです。 (2)(3)では(2)のほうが好きです。歌謡のような調子ですが、そこがいいのかもしれません。確かに散ることに過剰な意味を載せるのは厭ですものね。(3)の独断にはそれほど説得されませんでした。 竿入れて流れに戻す山桜 智弘(30代,男) 宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 渋い、渋すぎる、そのお年で、ずい分老成しているなあと感心しきりです。私など、このような場所に行ったとしても、絶対にこうはつくれないでしょう。どうぞ、風雅の誠を極めてください。 (1)花雲にスズメを払うヒヨドリの 菊美(60代,女) (2)吉野行き電車見送る花の道 お世話になります。言葉の並べ方が難しく。近鉄南大阪線沿線、大和川堤防の花見てます。メジロは追わないのですが、スズメをばたばた追い払います。ヒヨドリにしたら雀は異端児かな?鳥かな? ドクター岡野の診断と処方箋 (1)花の雲として、上五、一旦切ったらいかがですか?まず言葉として花雲よりきれいですし、これでも、鳥たちの姿や声は桜に重なってきます。切れを入れると、桜のボリューム感が増してきますし何より一句の世界が厚みを増してくるような気がするのですが。 (2)現状は散文的だと思います。「吉野行き電車」という長い言葉をうまく活かせるといいのですが。花の名所行きの電車を花の下で見るという、ちょっと妙な感じ、うまくいくと、そこが面白いのですね。 (1)恋猫の恋を語らじショーケース えんや(70才以上,男) (2)春しぐれ牛舎の匂ふ軒の下 いつもご指導心より御礼申し上げます。先日の「どつこいしょカバン下ろして春休み」の「どつこいしょ」も下ろすと他のものも見えます、の意味がちょっと判らず、どのように解釈したらよいのでしょうか。又、二句宜しくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 まずご質問から―荒っぽい書き方で失礼しました。カバンを下ろす、腰を下ろす、そのようなとき、どっこいしょ、と言うのは、いわばお決まり、お約束で、つまらないな、と思いました。 すから「どっこいしょ」も下ろす=句から削る、という意味でした。すいません、わからないですよね。他のものも見えます、とは、そのときの状況で、周りの景色とか、季節のこととか、いろいろ言えるかなと思ったわけです。「どっこいしょ」のような口語を効果的に使っていくのは、大いにありですが、あまりにも使い古されている文脈ですと、俳句をとてもつまらなくしてしまいます。 (1)とても面白いところを見つけられました。言葉に過不足ないです。売れ残っている仔がとくにかわいそうです。 (2)春しぐれとそのような匂い(臭い)は実感するところです。俳句らしくてよろしいのではないでしょうか。 2007年4月10日 (1)ウエディングドレスのお前八重桜 せいち(60代,男) お呼び出ない! こりゃまた失礼致しました。 (2)春の闇手帳の中の走り書き 尚、前回「愚誕節」は「万愚節」の大きな間違いでした。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)八重桜が何かを揶揄しているのか?お前とは誰か?このふたつが確証がないので何ともいえません。無責任ですいません。 (2)この取り合わせは面白いですね。なにか、只ならぬものを感じます。春の闇の朧な暗さが活きています。 (1)花冷えや首をすくめしキリンかな うさぎ (2)北風の戻りし堤にスミレかな (3)すれ違う傘に桜の蘂散りて 今朝は雪混じりの雨となりました。春の気まぐれに振り回されてる感じです。よろしくご指導ください。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)これは、やりすぎです。首をすくめなくても花冷えにキリンは十分寒そうです。 (2)堤にの「に」は要らないです。(3)せっかくですから、蘂降りてのほうが情緒があります。傘だから、よけいに。なんかお芝居みたいですけど、格好いいです。 (1)黒々と古木そちこちひこばゆる しんい(女) (2)春の風水車はひかり散らしをり (1)は「黒深き」迷ったんですがやっぱり…。少し変えてみましたが、似たり寄ったりでしょうか。宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)うーん、本当に黒々してたんでしょう。前回よりはましですが。古木の古木たる姿の形容なのでしょうが、もっといい言葉ありそうな。 (2)中七以降は、きれいで、かつ、動的でいいと思います。春の風が、以降の内容とダブッているようで、もったいないです。 影置いてサッカーボール春の潮 裸時(30代,男) 「丸で側サッカーボール春の潮」を推敲してみました→ ドクター岡野の診断と処方箋 影置いて、にペナルティキックの時、そっとボールを置く仕草を見てしまいました。そうなるとその影には強烈な夏の日差しが欲しくなります。影だけで、虚のボールでいいと思います。昔、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の『欲望』(blow up)という映画がありました。そこで虚のテニスしてたっけ。 (1)ステップは秋子やぎは屈託顔 北野元玄(60代,男) 「ステップの羊は秋の屈託顔」が元句です。少しは詩的になったのでは? (2)秋蝶が越える異国の丘の墓地 ソ連に抑留されてシベリアで強制労働に就かされた兵や、モンゴル各地に十数か所建てられている慰霊塔および墓地。そのような前提を知らなくてもわかってもらえるような俳句にしたいと、努力して作っているのですが・・。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)元句よりいいと思います。ステップは、子やぎは、と二つの「は」が破調の中のリズムと秋と並列にされた子やぎの頼りない感じを出しました。屈託顔が言い過ぎて、語呂も悪いです。 (2)前提の事は分からずとも、俳句として解るし、十分自立しているのではないでしょうか。モンゴルシリーズと銘打てば、「異国」は要らないと思います。異国の丘の〜という歌を思い出してしまって、得策ではないような。国境まで越えてしまえば、面白いですね。 (1)花たわわ降りてラッシュの九段駅 文の子(60代,男) 4/6のご診断有難うございました。いずれの句も大変勉強になりました。掲句「花 日和降りてラッシュの九段駅」を推敲しました。次の句以降も推敲句です。「春眠の ウェーブ起こる会議かな」は季節を梅雨に替えたいと思いますので、今回は取り下げ ます。 (2)フルートの独奏続き桃の花 「フルートの独奏続き春隣」を推敲しました。 (3)フルートの独奏続き桃の花 「フルートの独奏続き春隣」を推敲しました。 (4)蒲公英や脚太き馬鄙を駆け 「東風の里脚太き馬駆け抜けし」を推敲しました。「鄙」に拘っていますが、如何 でしょうか。 (5)ペンギンの遊ぶパレード鳥帰る 「ペンギンがパレードの華鳥帰る」を推敲しました。 (6)臥せる子をあやせし影絵春障子 「臥せる子の紛るる影絵春障子」を推敲しました。 (7)梅の蕊アルトにをのこ一人居し 実景です。楽団はプロ、コーラスはアマの組合せだったのですが。 (8)ロ短調ミサも後半クロッカス 掲句は4/6のご注意を踏まえ元句を作り直したものです。宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)たしかに花見時のすこし鬱陶しい感じになりました。 (2)春隣よりはいいです。ここから先は好みで分かれますが、もっとフルートの音色に合うものがあれば。 (4)蒲公英は脚太き馬に付き過ぎという人がいるでしょうが、東風の里よりはいいです。せっかく里を外したのに、鄙ですか?蒲公英と脚太き馬で十分、都会だと思う人はいないでしょう。馬の太い脚が目の前を駆け抜けていく映像は捨てがたいものがあります。 (5)私はテレビだけで、実際に見たことはないのですが、パレードそのものの描写ができませんか? (6)これで紛れはなくなりました。(7)桜蘂降るはありますが、梅の蘂も使うのですね。確かに我が家の紅梅の蘂が先週あたり地面を埋めていました。「アルトにをのこ」という珍しい事態に梅の蘂が照応しているのでしょうか?梅の蘂だけですと、情感も薄い、何とも中途半端なものですが、そのようなことを含意されているのでしょうか? (8)荘重、荘厳、長大、まあそんな形容で語られやすいこの曲も、後半、ということは一時間三十分過ぎぐらいだろうか、そのような聴覚体験に、可憐だが取るに足らない印象もあるクロッカス、取り合わせとしては、とてもいいと思います。平凡なクロッカスがとても印象的になっています。 (1)待つ心待たずに桜咲きにけり 紫雲 (2)まだまだと待つより早く咲く桜 (3)花開け早く開けと急す風 初心者です、ご指導宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)(2)待つ心とは早く咲いて欲しいと心待ちにすることではないでしょうか。それがあるだけに、言わんとするところは、分かるのですが、待つの繰り返しが煩雑で(そこが工夫されたところなのでしょうが)すんなりと伝わってきません。贅沢なもので、今年のように開花が早すぎると、それはそれで不満が残るのですね。おっしゃりたいことを正確にいうのは、俳句より散文-エッセイの領分です。「自分が思っていたよりも、ずっと早く咲いてしまった」ということは言外に感じてもらうより手がなさそうです。といっても難しいですよね、俳句は自分の心のなかに起こった微妙な事柄を正確に説明しようとすると、とても不自由な道具だということが解ります。逆に単純な言葉と言葉の出合いが、自分でも思ってもみなかった心理を表現してくれることがあります。 (3)一転今度は開花を急かすわけですね。風は普通、花を散らすものという理解があるので、少し奇異にかんじます。 (1)富士山を出湯に浮かべ春うらゝ 浅葉(70才以上,男) 友人が西伊豆に旅し、富士の絶景の写真を送ってきましたので。 (2)見上げる目下向きに咲く桜かな 桜は殆どが下向きに咲くのを知りました。 (3)夫々に春を歓ぶ色の花 色々な草花たちが一斉に咲きだしました。何時も適切なご高評感謝しています。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)正に、絶景の温泉、露天でしょうかね?気をつけなければいけないのは、絶景すぎることです。富士山と湯、うっかりすると銭湯になります。富士山と出湯で個性的にするのは、なかなか難しいですよ。 (2)そうですか!そういえば、そうなのか。見上げる目と、わざわざ目までいう意図がわかりません。多く桜が下向きに咲くということと、多く、人間が見上げるということ、この二つのことは、上手く料理すれば、面白い句になるかもしれませんね。目とまで、いわなくても、いいでしょう。 (3)このとおりで、春のすべての花に言及していて、大きすぎ、一般論になっています。どこかに、個別的、あるいは個人的な、取替えのきかない事柄を持ち込んでみましょう。 一山に浮雲置いて桜散る 藤井茂子(60代,女) ドクター岡野の診断と処方箋 絵のようです、こういう句があって、いいと思います。浮雲のところ、他の雲の表現もあると思います。 (1)目の玉の落ち着きなくて春闌ける 鴻之助(50代,男) (2)一女出て一男残り花の冷え 桜が咲いたと思ったら、ほんとに寒い花冷えとなりました。また、よろしくお願い します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「目の玉の落ち着きなくて」が本当に落ち着かないです。その目の見ている先が気になるが、明かされることはない。単独で落ち着きないと怖いことになる。俳句は総て言い切る必要はありませんが、ここまで宙吊りのままですと、入っていけません。従って「春闌ける」も単独で闌ですから句全体には貢献していません。 (2)春は色々と変化の季節。中七まではなかなか気の利いた措辞ですが、「花の冷え」としたことに、ある屈託のダメ押しを読みました。この冷えが句全体に意外に強く響いています。それがいいことか、どうか? 亀鳴くや三色ペンで描く心臓 濡衣(女) ドクター岡野の診断と処方箋 いいですね。句会で出たら真っ先にいただいてしまいます。そういうインパクトをもってます。結構三色ペンで描いた心臓がきれいです。黒赤青、よりも黒赤緑にしたい。心臓なんて素人は中々描かないものですが、この人は描き慣れているとみました。サラサラとスピード感と味のある線で。「亀鳴く」はこう使え!みたいな句です。 ガラス拭く山に春めく色を見て 悠(70才以上,女) 何時も添削ありがとうございます。直してみましたがどうでしょうか。 よろしくおねがいします。 ドクター岡野の診断と処方箋 ほとんど同内容ですが、山を見るのではなく、山の変化する色に気づく、視線の直接性のようなものが表現されたと思います。 (1)花の昼読経の僧の白き顔 さくら(女) (2)新入生先生あのね小百合です 宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「白き顔」で困りました。像が結ばないのです。色白?青白い?若い僧だなあ、というのは、わかります。ここで青年僧の表現がぴったり嵌れば、花の昼といい取り合わせで、素敵だと思います。 (2)1、新入生小百合が先生に自己紹介をしている。先生の視点。2、これは無理筋っぽいが、新入生が担任の先生の名は小百合であることを報告している。新入生だけが作者の言葉で、後は小学一年生の助詞を省いた片言で構成している。こういうやり方があったんですね。俳句の可能性を教わりました。 新入生とか、最後の「です」でやはり妥当なのは、1、の先生の視点ですかね。 暴走者ちょっと止まって花の雲 裸時(30代,男) 「暴走者」推敲してみました→原付で走っていたら花の雲が見えました→街路樹の桜でした→ ドクター岡野の診断と処方箋 これは、わかりやすい。わかりやすい=平凡、ではないですからね。原付では寂しいので私は、ヘルスエンジェルスみたいなハーレー、刺青男を想像してみました。色彩的にも黒とピンクで決まっています。花の雲というおおらかな言葉も、革、金属、ガソリン、等の質感といい相性のような気が。暴走者の手柄ですね。 2007年4月9日 (1)タンポポに添い寝するなり幼き子 うさぎ (2)手鏡に映つる桜の散りにけり (3)変わらぬはヨシノチェリーの香りなり 桜満開! 後は、散るのみ。宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)いい句です。「幼き子」がわたしには不安定に聞こえます。どうしてなのかなあ?吾子、男の子、女の子、なら安定するのです。別に、この幼き子が誰であるかを問うているのではないのです。「幼き」に想定されている価値、(純真無垢とか)を読者が強要されている感じがしてしまうのです。大げさですね、過敏症です。 (2)手鏡に映しただけなのに、平凡な桜が違って見えます。手鏡の中で散っているのがいいです。 (3)吉野桜?わざわざカタカナにした意図がわかりません。まあ、どちらにしても内容のない句。 (1)花満つる千鳥ヶ淵や職を退く 健歩(60代,男) (2)朧夜の街の細道職を退く (3)ひもすがらただ大桜見て居りぬ 2年前まで2年間俳句をやらざるを得ない職場にいましたが、異動になったら作らなくなってしまいました。退職するに当たり、思い出して作ってみたのですが、なかなかまとまりません。 ドクター岡野の診断と処方箋 どうぞ俳句を楽しんでください。 (1)退職にあたっての挨拶句で、お勤め先が千鳥ヶ淵近辺にある、と、読んでしまいましたが?花満つるは満願ですね。 (2)前の句の堂々振りに比べて、こちらは寂しい。細道が。 (3)れは、これでいいですが、「ひもすがら」のところ変えてみると、もっといいと思います。 散る花に添えるごときやなごり雪 三郎(70才以上,男) 季語重ねのようですがよろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 おっしゃるとおりで、季重なりに、気にならないものもありますが、この場合は、とても気になります。花(桜)も雪も元々強い、その季節を代表する季語ですから。(名残の雪は春ですが)しかもこの句では、両方主役を張っています。主役は一人に。 (1)はるのあめ真珠のピアスゆれており ポリ(50代,女) (2)花曇サッカー少年キックする ご指導ありがとうございます。今回もどうぞよろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)春の雨と真珠は悪くないです。きれいな一場面を切り取りました。 (2)これもいい風景です。「キックする」は芸がない、野球少年球を打つ、みたいなものです。 出雲路の四月四日の斜め雪 藤井茂子(60代,女) 快晴でお花見気分一杯の山陰行きでしたが にわか雨に始まり霰、吹雪、横殴りの雪と半日で気温は真冬並みと、驚きの連続になりました。最後には夕虹迄ついてました。 ドクター岡野の診断と処方箋 上五の出だしから、中七までとても面白い展開です。斜め雪、おっしゃっている吹雪ですか?雪斜めでも。 花冷やオセロゲームの白勝ちぬ 慈英(50代,男) ご指導宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 とてもよいと思います。花冷に新鮮な景がつきました。パタパタと白に変わっていく動きまで想像させて、それがいいですね。白色が、この時の寒さを感じさせてくれます。 蒲焼の飯に滲みたる春愁ひ きなこ(50代,男) よろしくご診断下さい。 ドクター岡野の診断と処方箋 蒲焼に春愁をぶつけたところ、大胆な句に感じます。ご飯に滲みる春愁ははじめて聞きましたので、面白いかなとは思うのですが、その愁いのありかたは、私には解りません、共感もできませんでした。 幾たびも見上げるさくら天城の湯 玉白石(50代,男) 下五に悩みました。よろしくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 座五のどの辺で悩まれたか分かりませんが、「湯」がすこし散漫にさせているかもしれません。 「幾たびも見上げる」というフレーズ中心に考えると、お湯に入ってるより、歩きながら、登りながら、のほうが感じが出るような。 (1)海中を探してくれよ日永人 裸時(30代,男) よろしくお願いいたしますm(_ _)m (2)初蝶を飲んで正解赤信号 なんだか迷走してきました→ ドクター岡野の診断と処方箋 体調にもよりますが、今回うまく読めません。まだしも、(1)ですかね。日永人は暇そうでどこまででも探してくれそうです。 (2)は不味そう。赤信号がまた謎。 散り桜ほつほつ風の心地好く しんい(女) 「散る桜ほつほつ風のありやなし」の下五を変えてみたのですが、お願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 まず上五ですが、「散る桜」のほうがいいですね。座五は難しいところですね。これだとまだ前回のほうがよかったかも。 (1)終業日兄妹で持つ大手提げ 岡野直樹(40代,男) (2)てんとう虫草の小道を裏表 (3)吹くな風やれ降るな雨花が泣く 心に留まったものを材料に作っているのですが、俳句になってこないのか、と思い つつ。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)これはかわいい風景です。 (2)いいところを見つけられました。「草の小道」が本当の道とやや紛れます。 (3)これは皆が思っていることです。それをストレートに五、七、五、に収めただけです。少なくとも、風か雨、どちらかひとつにしましょう。「花が泣く」も極めて手垢のついた表現で、このような言葉はできるだけ避けましょう。 (1)春の虹古いお寺の古女房 北野元玄(60代,男) (2)れんげ草空飛ぶ円盤発着地 出張で、少しご無沙汰いたしました。本日いつもの船団風(?)俳句を出しました。次回から、またモンゴル俳句をよろしくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「春の虹」とそれ以降が感覚的にすれ違いを起こしているように、私には感じられます。お互いに干渉し合わないというか。 (2)このれんげ草の場所が発着地と特定されてしまって、世界を狭くしてしまいました。せっかくの円盤なので、季語との間に空間とか、ゆらぎが欲しいです。 2007年4月8日 (1)春の波兄を飲み干す占い師 裸時(30代,男) 推敲してみました。「春の闇」「春の波」どちらもつきすぎかもしれないのですが、どちらが良いのか迷ってしまいます→ (2)春の庭兄を飲み干す占い師 またまた推敲してみました→ ドクター岡野の診断と処方箋 闇、波、庭、では一見何気ない「庭」が私は好きです。白昼の出来事として読むと一番静かで、一番怖い。 黄沙降り子供達キャッチボールかな らん(70才以上,女) 眼をしょぼつかせながら、嵐の中の元気な子達に黄沙の洗礼が、子供も自然と一体です。 ドクター岡野の診断と処方箋 状況は分かりました。黄沙降る、と一回切ったらどうでしょうか。子供達キャッチボールかな、なんか歯切れが悪いです。語順等考えられたらいかがでしょう。 (1)ぽつぽつと目覚めし路地のタンポポや うさぎ (2)長閑なりどちらのベンチに座ろうか (3)追い越しし肩に桜の花弁かな ご指導宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)問題はないのですが、平凡ですね。 (2)ベンチが二つ空いている、そのことは「長閑さ」のいい舞台です。「座ろうか」としたため、「長閑さ」は半端になってしまいました。 (3)いいところを見ました。 (1)幼子のはしゃぐ銭湯花疲れ えんや(70才以上,男) (2)菜の花に子が浮いてゐる肩車 (3)触るなと書かれて虎魚売られけり 早、虎魚が店頭の生簀にひょんな貌して沈んでいました。宜しくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)花疲れしているのはおそらく作者。はしゃぐ幼子と完全に分裂。これは取り合わせとはいわないでしょう。 (2)いいですね。 (3)これも面白い、これはこれでいいですが、「売られけり」のところ、他にも検討の余地あります。 (1)競いあう京の女と桜かな 遊雲(70才以上,男) (2)紅しだれ京の女も着飾りて (3)艶やかに京の女も紅しだれ 平日にもかかわらず街は桜と人が一杯。日なかは大半が女性。 ドクター岡野の診断と処方箋 「京の女」とざっくり言ってしまって、すっかり大味になってしまいました。京都に限らず、ここに描かれている女性観は極めて、ステレオタイプ。(1)がその典型。京の女が悪いわけではなく、そのくらい大づかみに言うのだったら、もっと個性的な女性把握が欲しい。 見晴るかす田舎町にも黄砂かな さくら(女) 宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 見晴るかすは高いところに立って、遙か遠くまで見渡している、というとても気持ちのいい言葉です。その言葉と黄砂ですからそもそも合わない。上手く作れば、アイロニーになるかな?というところです。この句にもすこしそのにおいを感じます。黄砂は多分、地形の条件を除けば、平等にやってくるので、「田舎町にも」は効いていません。高いところから眺めて(国見)、ひとつの町、地方が黄砂に包まれている、という大景はいいと思います。 (1)紅梅の白き土塀にとも移り 小口泰與(60代,男) (2)田楽や湯飲を包むたなごころ (3)変わり玉含むや定か風光る (4)菜の花や今朝の榛名は靄に居り よろしくご指導願います。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「とも移り」がわかりません。 (3)「定か」がわからない。何が定かなのか?多分変わり玉だろうが、その変わり玉の何が定かなのか?この辺、符牒のように言葉をつかっていませんでしょうか? 孕み猫先頭切って朝桜 藤井茂子(女) ドクター岡野の診断と処方箋 面白い光景です。朝桜としては珍しい。 2007年4月7日 春昼や薬缶を焦がしをりにけり 豊田ささお(男) 3日が句会でした。掲句が仲間からは好評でしたが?「春やいま巨木の下に寝転びぬ」は、景は大きいけど春やいまがいけないといわれましたが、納得できていません。ドクターのご教示をよろしく・・・ ドクター岡野の診断と処方箋 掲句は具体的な「薬缶を焦がしをりにけり」がいいですね。春昼の感じではないですか!俳味があります。「春やいま」は、それほどいけないとは思いません。全体が大作りなので「春やいま」ぐらい大雑把でも可。語感は新しくないですけど。 花の昼男の作るオムレット 慈英(50代,男) ご指導宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 色彩的にも明るくて、とてもいいと思います。さて、休日に男子厨房の図です。この句では、昼、男の作る、オムレット、が大方の読者に「うん、わかるわかる、美味そうだ」との了解-共感をつくるでしょう。この男子厨房俳句も普通になって、ほんとうは「男」を出さないほうがいいのですが、この句の場合難しいですかね。 四月馬鹿絹こし豆腐の中の中 裸時(30代,男) ドクター岡野の診断と処方箋 もともと、豆腐は鎹打っても効かない、頼りないやつですが、かわいそう。罵倒されても、全く手応えのない超柔構造を「中の中」に感じました。 チューリップ前へならえは得意です 玉白石(50代,男) 新学期が始まりました。よろしくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 正に新学期で、その感じは出ていると思います。チューリップも実に似つかわしい花です。新学期の子供と、チューリップの整然とした花壇が両方見えていいですね。 (1)桜満つ遺影微笑むとき悲し えんや(70才以上,男) (2)奥能登のさらに奥へと山桜 いつも適切なご指導深謝いたします。能登は昨年家内とドライブした時詠んだものです。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「微笑むとき」の「とき」が変ですね。遺影がいきなり微笑んだみたいで、ホラーです。 (2)感じはわかります。「山桜」の位置を考えてみてください。冒頭いきなり山桜を見せる手はありませんか? (1)ウィンドウズビスタの画面月おぼろ 文の子(60代,男) (2)立春の大和路空を五重塔 (3)梅林の紅一木や遠見富士 (4)春眠や目覚まし止めてなほ響く (5)春眠の車内携帯鳴り止まず 宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)新しい題材で何かできそうですが、中途半端に終わっています。おぼろで、使い勝手のことを言っているのでしょうか。 (2)「空を五重塔」の言い方は面白いと思います。如何せん立春、大和路、五重塔では句が新鮮になりようがありません。 (3)紅一木も遠見富士も言葉を節約した結果、せせこましいことになりました。せっかくの大景が感じられません。 (4)(5)とも説明的にすぎます。 (1)きっかけは湘子の本や春朧 小口泰與(60代,男) (2)地響きを巻き上げ吹くや春嵐 (3)けぶり立つ火の山斑雪なりにけり よろしくご指導願います。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)湘子が春朧とどう響くのか私にはわかりません。益荒男振りの湘子の内に感傷は認めるのですが、朧の亡羊は見えません。文字どおりきっかけをつくってくれた、その時のことも、今となっては、朧である、ということですかね。 (2)地響きを巻き上げるという表現が疑問です。巻き上げるのは普通、雪か埃。比喩としたら無理があります。春嵐にしても凄すぎませんか? (3)けぶり立つ火の山の重複が気になります。「斑雪なりにけり」は言葉としておかしいです。 寄り合つて寄り合つてこそ菜の花や 雀子(60代,男) よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 菜の花にそういうところあるでしょうか?桜なら分かりますが。ただ、そのように断定されてしまうと、そうかな、と思ってもしまいます。「こそ」と断定した強みですね。 (1)筍や最寄の駅の道はるか 藤井茂子(60代,女) (2)鳴り物を大ぶろしきに桜の日 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)最寄り駅が遠い、ということではないですよね。そこが紛らわしい。 (2)江戸期の句みたいで面白いです。どうせなら「さくら哉」とでもしたらいかがでしょう。 (1)ゆきずりの雲引き止めん春の月 うさぎ (2)見送りし友は朧の影となり (3)朧夜はヤギのチーズと赤が好い 「朧月」の推敲です。 (4)恋猫の耳傾けしモーツワルト 「春休み部屋には猫とモーツワルト」の推敲です。 (5)春の川ぎゅっと握る結び飯 「小春日やぎゅっと握る結び飯」の推敲です。 よろしくご指導くださいませ。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)俳句というより、古歌の世界、「ゆきずり」が品がないかと。 (2)「見送りし」の代りにもっと効果的な言葉を。 (3)いい感じですね。赤がどうか?わかるのですが、赤ワインではだめですか? (4)猫はいいのですが、恋猫はモーツァルトどころではないようですが。 (5)やはり、結び飯を握っている、その時点の話にしたいですね。 2007年4月6日 竹飯をぱきと割りけり木の芽どき 豊田ささお(70才以上,男) 「竹飯をばきと割りたし春の昼」を推敲しました。こんなところですが・・・ ドクター岡野の診断と処方箋 よろしいのではないでしょうか。春の昼でもいいです(すいません)。むしろ木の芽どきが微妙に竹と重なるような気がします。それにしても、「割りけり」の「り」の繰り返しの響きが竹にぴったりです。 (1)増殖のクライマックス人さくら まりあ(40代,女) (2)春雷の後の晴天納骨す ありがとうございました。前回の鳩は生かすこととします。週末一気に咲いた桜のあわあわとした先端を見ていたら、一番のようにつくりたくなりました。片仮名ゆるいでしょうか?よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)人も桜も今や増殖のクライマックスである、と、その捉え方が観念に聞こえます。「増殖」という言葉も一役買ってます。「増殖」よりも、せっかくあわあわとした先端と表現されているのですから、そこを中心につくられては? (2)いいですね。気持ちを表す言葉を排除されて、春雷と晴天だけ。読者はその景に入っていけます。 (1)春浅し選挙カー走る激戦区 豊l純(70才以上) (2)春めける今日告示かな旗青し (3)春一番頑張ろうの声響きけり 前回はどうも有難う御座いました。参考になりました。叉三句送らせて頂きます。ご診断くださいませ。 ドクター岡野の診断と処方箋 いずれも選挙を題材にしていますが、大きな問題は三句とも見事に季語が取替え可能だということです。まず選挙についての見聞があって、そこに、春の字が付いただけです。選挙の題材は大いに結構ですから、まず、そこにご自身で俳句的発見をしてみてください。それらは多分、季語と不可分、あるいは季語と詩的な緊張関係、対応関係をもつものです。御句はいずれも選挙についての平凡な報告にすぎません。いろいろ言いましたが、(3)が辛うじて季語が働いています。 (1)鵯騒ぐ御陵神社や落椿 せいち(60代,男) (2)愚誕節当て字の並ぶスポーツ紙 よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)この御陵神社とは延岡市にあるものですか?(調べました)。行ったことがないので、なんとも。とはいえ、京都をはじめ各地にある、非業の死を遂げた貴人の御霊を祀る御霊神社なら、にわかに、鵯が騒いだり、椿が落ちたりするのも、さもありなん、と。ついでに、鵯は秋季らしいですが、一年中いるし、気にしません。 (2)愚誕節がわかりません。従って鑑賞できません。万愚節のこと? (1)花日和降りてラッシュの九段駅 文の子(60代,男) 「駅降りてからのラッシュぞ花日和」に駅名を入れました。 (2)フルートの独奏続き春隣 「フルートの独奏春を待ちもして」を推敲しました。 (3)東風の里脚太き馬駆け抜けし 「里の春脚太き馬駆け抜けし」を推敲しました。 (4)ペンギンがパレードの華鳥帰る (5)臥せる子の紛るる影絵春障子 (6)春眠のウェーブ起こる会議かな 宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)千鳥が淵か靖国神社ですね、地名は読者の想像力をその場所へやすやすともっていってくれます。そのことの功罪はありますが、俳句の有効な手段ではあります。私の好みでは、「ラッシュ」に対して「花日和」はやわすぎます。桜のもつ、過剰さとか、重さとかが配置されないかな、と思いました。 (2)ここでは春隣が概念的、大きすぎるような。もっと、体感的といいますか、感覚に直接響くような季語を探されては、と思います。それによってフルートの音をもっと響かせてください。 (3)「東風の里」も「里の春」も残念ながら似たようなものです。カタログから抜いたような言葉で「脚太き馬」の実在感に拮抗し得ていません。言いすぎました、そんな大げさなことではなく、現状が、やはり安易に見えるということです。「東風の里」の特に「里」のせいかもしれません。「東風」だけだったらまだ許せますね。「里」を入れることで俳句的衣装を纏ったかのような思い込みがありはしないか?との邪推をしております。 (4)人気の旭山動物園ですね。よく分かって、鳥帰るも悪くありません。「ペンギンがパレードの華」がなんといっても、新聞記事みたいです。その「華」たる様子を活写してください。 (5)春障子に子の影絵はなかなかいい情景ですが、「紛るる」で文字どおり紛れてしまいました。お子さんが風邪かなにかで、臥せていらっしゃるのか?それだと、影絵になるか? (6)ユーモラスですが、誇張が過ぎて、というか、ずれているような。ウェーブは極めて動的なものですから。 眼しょぼしょぼ生まれし異郷の黄沙かな らん(70才以上,女) 黄沙が物凄い嵐にのってやってきて孫の目がしょぼしょぼ、洗濯物に、自転車に、でも生まれ故郷の匂いがします。 ドクター岡野の診断と処方箋 俳句は原則一人称なので、これだと、らんさんの目がしょぼしょぼしていることになります。孫の目しょぼしょぼ、というところですが、言いたいことはそこではなくて、お生まれになった大陸(そこは何処か?上海?大連?)から黄沙がやってきて、辛い、でも懐かしい匂いが、このあたりではないですか?これだけで、もいろいろありすぎて絞らないと大変ですね。とりあえず、かわいいお孫さんは捨てましょう。お孫さんを活かす場合は、ただ黄沙だけに。あと、「しょぼしょぼ」は俳句には難しい言い方です。 (1)春の闇兄を飲み干す占い師 裸時(30代,男) (2)爆破的冷したコーン冴返る ドクター岡野の診断と処方箋 (1)兄は常に不幸である。闇の占い師が不気味である。 (2)こちらの方が好き。冷やしたコーンだからポップコーンではないのか?ただ爆破があるからな。とにかくこの「爆破的」というキーワードが総てにかかって、特に「冴え返る」に効いた。 (1)黒深き幹のそちこちひこばゆる しんい(女) (2)花の雲高層ビルの玻璃越しに 宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「黒深き」は本当にそう見たのかもしれませんが、読者には伝わりません。見たものを、見たとおりに伝えるのは工夫が要ります。不可能な場合もあります。見ることは、作句上のある切っ掛けにすぎないこともあります。 (2)高層ビルといっているので、どうしても高層階からの視界を想像します。面白い視角ですが、見え方として「花の雲」が曖昧かもしれません。 (1)思い切り背筋伸ばして四月かな 悠(70才以上,女) (2)春愁やまた閉店のチラシ来る (3)パンジーの鉢を並べて無人駅 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)四月は、諸々の出発の月なので、このようにして、「さあやるぞ」とばかりに自らを鼓舞することはあります。素直です、素直すぎて、俳句としては、少し屈託がほしくなります。 (2)昨今、日本中がこうですね。この場合、春愁が意味上ストレートで句を浅くしました。 (3)無人駅で人を感じる。パンジーの鉢がよかったです。よいところを見つけました。 (1)啓蟄や野に軽トラも湧き出でて 香珠 季節が外れてしまいましたが。 (2)正子さん一人静が咲きました 一人静が咲く場所を、ひとつだけ知っています。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)虫のようにトラックが湧くというのが面白いですね。字数を収めるために、「軽トラ」という短縮表現がいいかどうか?「野に軽トラックも」と字余りにしてしまう手もあります。やはり「トラック」より、「軽トラック」がいいですね。 (2)いいですね。単純な内容が、まさに一人静ですね。正子さんでいいです。 2007年4月5日 (1)出不精の妻を誘ひ春祭 小口泰與(60代、男) (2)のどかさやチワワを包むたなごころ よろしくご指導願います。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)奥様を春祭りに誘われる、ということ自体は春の句としてよいと思います。出不精かどうかは、他人のあずかり知らぬところで、説明臭が出てしまいました。 (2)ひらかなにして、柔らかさを出しました。いっその事チワワ以外全部ひらかなは? (1)花冷えや何回くしゃみまたクション 菊美(60代,女) (2)亀もなき美人の句会晴れ渡り お世話になります。亀も鳴くんですよね。呼吸してるんですものね。自分主体に考えてました。美男子、美人の皆さんですのに、花粉症無事に終わるかと思いきや、黄砂?スーパーのひんやり感にくしゃみがでてきました。上手く作れません。宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「またクション」でダメを押されているのだと思いますが、最後だけ急にオノマトペがでてくるのが疑問です。何回クションまたクション(よくないですが)、とか、何回くしゃみまたくしゃみとか繰り返しのリズムも考えてみましょう。 (2)亀は鳴かないんです。季語集をご覧になってわかるとおり、古歌からきた古い季語です。架空のことという前提でつかいますから、(というと失礼になりますが、それだけではない)ご自分も含めて堂々と美人を名乗るのが数段よいです。ということで「亀もなき」は「も」と「なき」のひらかな表記がまずく、前回の「亀鳴くや」のほうがよいです。 カラフルなレシピをめくる菜種梅雨 藤井茂子(60代,女) ドクター岡野の診断と処方箋 それこそカラフルな景で、いいと思いました。ただ、カラフルと言ってしまうのは安直です。 (1)心よりも肉が美味なり夜半の春 きなこ(50代,男) (2)春昼やエゴン・シーレの女追う 「春昼のシーレの花粉狂女追ふ」の推敲です。よろしくご診断下さい。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)どうしても意味深に読んでしまいます。心との対比が平凡。肉だけでいかれた らどうでしょう。 (2)白昼夢のような感じもあって、このほうがいいですね。道具立てが減って、すっきりし、イメージがひとつにまとまってきました。フルネームにしたのも成功です。 西行には及ばずながら花の下 豊田ささお(70才以上,男) 「春昼や納屋から出ない筵旗」へのご指導有難うございました。自分も結局農を捨てた人間として思いがありすぎて冷静になれないところです。それにしても今年の桜・・ソメイヨシノより山桜のほうが早く咲いてしまいました。 ドクター岡野の診断と処方箋 西行を出すのでしたら、及ばずながら、とまで言わない方がよいのでは。西行に倣う、乃至、対抗するぐらいの気持ちでいかがでしょうか。農に対する思い、わかりますといったら言いすぎですね。受けとめます。 コーヒーと花見団子のティータイム タロー(30代,男) 宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 ティータイムの内容がコーヒーと花見団子、それだけ。俳句の世界がテーブルの上から少しも広がっていきません。テーブルの外の世界をここに持ち込むと、俳句が豊かになります。 丸で側サッカーボール春の潮 裸時(30代,男) ドクター岡野の診断と処方箋 サッカーボールに側面はない。投影図では丸、耐水性はあるが、耐塩性は未確認。以上、確認しました。側サッカーとは側室達の無聊を慰めるために、一時期流行ったもの、(今日でいうフットサル)。つれづれなるその日常を思えば、春の潮はよい付き方。 (1)新しい顔とデスクや四月なり 遊雲(70才以上,男) (2)うれしさもさみしさも秘め四月来る (3)旅立ちもゆく人もあり四月馬鹿 (4)今日もまだ衝撃と畏怖四月来る 新年と新年度、季節の移ろいと人の動き。今日の新聞を読んで。 ドクター岡野の診断と処方箋 たしかに四月はこのような季節です。(1)(2)は概説的で、もう一歩具体化、個性化が必要です。 (3)旅立ちとゆく人が重なっているように思いましたが。また、四月馬鹿はこの表記疑問。まだ、万愚節か。 (1)地球儀をゆっくり回す春の昼 ポリ(50代,女) (2)春昼やめがね頭にさがしおり ご指導ありがとうございます。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)春の昼らしいですが、「ゆっくり回す」にすこし疑問。春の昼に近寄りすぎました。ここを個性化してください。 (2)これも春昼がいいですね。「頭のめがね」でなく、「めがね頭に」としたのがいいと思いました。 菜の花や錆びたバケツにウエルカム 藤井茂子(60代,女) ドクター岡野の診断と処方箋 気持ちは分かりますが、ウエルカムと無理矢理五音に延ばすのもどうかと思います。 暴走者とキャットフードと落ち椿 裸時(30代,男) 裸で走ると捕まります(^^; ドクター岡野の診断と処方箋 三つの名詞、三大話ですね。これだと言葉の乱数表で、無限に句ができることになります。三者の内二者が文としての関係をもつと、読者はそこから読み(鑑賞)に入っていけるのではないでしょうか?勿論、名詞の羅列で文意を伝える手法もありますが、これはそうなっていない。 2007年4月4日 風そよぐ花の門出のそれぞれに なごみ(70才以上,女) 長い間お休み致しました。御指導宜しくお願い致します。夫は退職後の第二の職場も退き第三の人生に、孫達は大学、小学校にと進みました。 ドクター岡野の診断と処方箋 花のときは、新しい出発のときでもあるのですね。「花の門出」というところ、成句じみてきこえ、桜の印象がすっかり後退してしまいました。 (1)春めきし山を望みてガラス拭く 悠(70才以上,女) (2)梅の宮古木の梅の咲きそろう (3)回るすし皿積み上げて春の宵 (4)爽やかや園内めぐる車椅子 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)平板です。「ガラス拭く」を頭にもってきたらどうでしょう。そうすると、「望みて」は要らなくなりますね。 (3) 回転寿司の俗と春の宵の雅の対比は面白いと思いますがが、掲句はあまりピンときません。「皿積み上げて」がつまらないのかな。回転寿司の回ることだけ言ったらどうでしょうか? (4)「爽やか」は秋ということになっています。いい季語を見つけてください。 春風や山羊さん近づき子等はしゃぐ らん(70才以上,女) 御指導有難うございます、春の凛とした冷たい空気を表現したいのですが、、。 ドクター岡野の診断と処方箋 早春の冷たい空気感ということでしょうか?そうだとしたら中七以降が違いますね。この中七以降は仲春の暖かい空気を感じてしまいます。実際に早春の冷たい中で、山羊と子供の交歓を見たとしても、俳句の言葉でその全体は再現できません。限界があるのですね。 (1)山里の大鯉のぼり孫を迎ふ 岡野直樹(40代,男) (2)土だんご卒園の庭の置きみやげ 「卒園の置きみやげには土だんご」どちらがまだいいか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)ある風景と状況は想像できます。山里、鯉のぼり、孫、と組み合わせとしては新鮮ではありませんから、どこか省略して、そこで工夫しましょう。山里が省略の第一候補です。 (2)どちらかといえば、この「土だんご卒園の庭の置きみやげ」のほうです。倒置されているぶん、主題と思われる土だんごの印象が強いからです。ただ、どちらも散文的です。 (1)初蝶やキャベツ畑のつづく径 しんい(女) (2)散る桜ほつほつ風のありやなし 宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)初蝶やと詠い出した割には後半がなんでもなさすぎませんか?作者がどこを詠いたいのかが見えません。 (2)俳句らしいかたちにはなっていますが、ありやなし、のような言い方が句をつまらなくしています。 (1)ひいふみとトンネルぬけて花見かな さくら(女) (2)一山に浮き立つ如し山桜 ご診断宜しくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)面白いのですが、最後が?桜そのものの印象的な姿を詠ったらどうでしょうか。川端流にいうと、トンネルぬけて花の国になりますね。 (2)わかったようでわかりませんでした。 (1)春愁の大言海を引きにけり 学(50代,男) (2)真砂の影の動きたる泉かな (3)父禿げて母の縮みて桃の花 (4)松島のしぐれてきたり熾明かり ご教示を。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「大言海」から海を、引きから潮を連想します。春愁との取り合わせは素敵だと思います。 (2)「父禿げて」と「母の縮みて」の措辞のレベルが合ってないので、まとまりがありません。それにしても、「禿げて」は嫌ですね。一方「母の縮みて」はこのようなとき聞き飽きた感があります。 千年の花に涙のひとしずく 藤井茂子(60代,女) 桜はうれし涙特に悲しい涙を全部栄養にしているような気がします。 ドクター岡野の診断と処方箋 桜はそのような感慨を人に抱かせる花なのかもしれません。大と小の対比ですが、映画の惹句のようになってしまいました。 (1)八重椿うっかりひょんと落ちにけり 鴻之助(50代,男) (2)一つ目の鐘打ち出され春の夕 まだ、結社に入っていませんので、句会の経験もありません。ドクターの診断だけ が頼りです。(1)は、辞書で「うっかりひょん」を見つけ、さっそく使ってみまし た。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)いい言葉を見つけられましたね。この言葉だけで、椿が落ちるとき、我々が抱くある感じをとても上手く言い当ててくれたような気がします。「うっかりひょん」はしばらく耳に残ります。 (2)堂々とゆったりして、いいと思います。中七、「出され」と連用形でゆるい切れですが、終止形ではっきり切るよりは、ゆっくりと朧に暮れていく春の夕によく合っていいと私は思います。古格を感じます。 2007年4月3日 (1)取り込みしシーツに絡まる子猫かな うさぎ (2)テーシャツの君抱き止めし万愚節 (3)小春日やぎゅっと握る結び飯 こんにちわ!猫とモーツワルトは、日向ぼっこでもしながら、考えて見ます。とにかく温かくて、気持ちがよく、シャボン玉で遊んでいたら、夫に笑われた。(娘は部屋でCPゲームしてました。) ドクター岡野の診断と処方箋 (1)気持ちのよい句です。「取り込みし」のところ、少し説明ですが、この場合必要ですね。 (2)万愚節とこの若々しさがとてもよく合ってます。人間―この愛すべき、愚かなる生きものよ、とでもいうところでしょうか。 (3)「ぎゅっと握る」がもっと引き立つ上五がないでしょうか。 ゴリゴリと薬の写真麦青む 裸時(30代,男) ドクター岡野の診断と処方箋 鑑賞、 解読に抗う方向へと言葉が構成されているような気がします。「薬の写真」は見事になにも喚起しません。愛想なしです。それでも俳句であり続けようとする「麦青む」がひとり悲しい。 蕗の香や白みその椀ぬたの鉢 玉白石(50代,男) よろしくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 句意は明解で、おいしそうでいいのですが、椀と鉢を目の前に、さあ、といって出されたようで、想像力を参加させる手掛かりとか、余白がありません。 菜殻火で燻せる魚群五稜郭 智弘(30代,男) 宜しくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 魚群と五稜郭でつまずきました。魚群というと海中を想像します。菜殻焚の煙はどこ?五稜郭は公園になっていて、たしかタワーもあったな、などとよけいなことまで考えてしまいました。 つちふるや魚の目には泪なし 雀子(60代,男) よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 芭蕉のパロディ、中七を工夫して、やはり魚の目には泪にしておいたらどうでしょうか?花粉症の魚です。 着替えするショーウィンドや木の芽晴 多弁(60代,男) 桜満開近し、「花見で一杯」にいってきます。 ドクター岡野の診断と処方箋 街も春を装うわけですが、季語はもっと考える余地があるように思います。 (1)風光る花咲き橋の渡り初め さくら(女) (2)春宵やしりとりをして父を待つ いつも感謝です。報告に終わってますか。よろしくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)花咲き橋は固有名詞ですね?きれいな名前だからいいです。「渡り初め」はその橋のことを知らないので中々共感しにくいです。 (2)妙にかわいいです。このような春宵も悪くない。 竹飯をぱきと割りたし春の昼 豊田ささお(70才以上,男) わたしのアウトドアライフというようなものは、ザンネンながらええかげんです。イノシシもマッタク居ない平和な盆地でした。10年前までは・・・それが今では、国営公園なんてイノシシの放し飼いしてるようなことに・・どうしてこうなったのか?そこがわたしの原点かもしれません。 ドクター岡野の診断と処方箋 割りたしではなく、割ってしまった方がよいような。春の昼でなくてもいいのですが。 (1)つくづくし鞄を畦に家遠し 小口泰與(60代,男) (2)寄り添ひて眠るチワワや春嵐 (3)百二百薔薇の赤芽のあえかなり (4)蘆牙や風の騒立つ利根河原 岡野先生にご指摘を受けました「畦駆ける雉の鋭声や朝ぼらけ」の件ですが「鋭声=(とごゑ)」と読むと学研の古語俳句辞典に載っております。例句として「葦切りのをちの鋭声や朝ぐもり」(水原秋櫻子)等があります。よろしくお願い申し上げます。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)鞄を畦に、が意味が取れませんでした。 (2)春嵐の感じではないですね。 (3)百二百も数えてしまってはあえかではありません。 (4)あしかびやかぜのさわだつ、読めました(汗)。瑕はないが、普通です。 ※「鋭声」はありがとうございます。また読めない言葉があったらお聞きします。その辞典買おうかな、きっと難読語たくさん載っているのでしょうね。 春の雷数字を押すと儲かるぞ 裸時(30代,男) 「白木瓜と数字を押すと儲かるぞ」を推敲してみました。難しい季語はやはり背伸びだったかもしれません。 ドクター岡野の診断と処方箋 今度は並列でなく、上五で切れていますので、読者が参加できそうです。季語がにわかに働いてきたようです。いろいろ読めて面白いです。 天麩羅は海老に牛蒡に朧月 玉白石(50代,男) ちょっとごたごたしてますかね。よろしくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 月まで天婦羅になったようですね。油と朧月は合わないような。 (1)カルメンの一点見据え春怒涛 藤井茂子(60代,女) (2)雪洞の等間隔に弥生来る (3)ビルを抜けお初詣での花の朝 (4)花の道それてあの道行きしまま (5)春雨や透明傘にビル迫る (6)春雷や夜半の不意討ち蕾にも 何時も楽しみに出句致しております。夕べの雷にすっかり目が覚めました。よろしくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)いかにもカルメンという感じです。春怒涛がカルメンには新鮮です。 (2)雪洞が雪山か茶の湯かわかりませんでした。どちらも経験がないもので。 (3)花の朝がわかりません、さくら?とするとお初詣とは?お初天神?悪くない句ですが、お初詣ででつまずきました。 (4)その人は誰ですか?あの道、行きしまま、など思わせぶりです。 (5)面白い視角です。 鳥山の再び崩れ春疾風 星次(40代,男) 岡野先生、はじめまして。ご指導よろしくお願い致します。 ドクター岡野の診断と処方箋 はじめまして、こちこそよろしくお願いいたします。いいですね。きりっと締まった俳句らしい俳句ですね。「再び」がある時間、見続けている作者を感じていいと思いました。 2007年4月2日 (1)紙ひこうき空をつないで花便り 穂波 (2)朝ざくらパン屋とうふ屋湯気二本 (3)桜並木パン屋とうふ屋湯気二本 アドバイスありがとうございました。(1)は「紙飛行機あっという間に花だより」の中七を推敲しました。(2)(3)は上五を決めかねている状態で申し訳ありませんが、迷っている間に桜の見ごろが終わってしまうかもしれないので、2句送らせていただきます。ご指導よろしくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)空が出てきたので文字通り上五とつながって、平凡になってしまいました。やはり上五で軽く切って、花を中心にあっさりと言うのがいいと思います。紙ひこうきは後にくる文字にもよりますが、紙飛行機の表記が私は好きですが。 (2)(3)では(3)でしょう。(2)朝ざくらはパン屋とうふ屋につきすぎ。それよりも三段切れと湯気二本が気になりました。二本は煙突みたいです。こういう街に住みたいですが。 (1)休業の貼り紙のあり春の雪 学(50代,男) (2)下北を走る電車や木の芽風 (3)千年を山に眠りて滴れり (4)ビル割って走るハイウェー蛍烏賊 (5)茶の花や研究室の老ひた助手 (6)言葉の束にマッチ擦り野火になる ご教示を。 ドクター岡野の診断と処方箋 (4)割って走るの措辞はいかにもハイウェーの感じです。蛍烏賊にまでスピード感がうつり面白くなりました。 (5)茶の花は茶人好みの渋い花、老ひた助手の物語によく似合っています。 (6)内容と破調の何気なさが不思議な緊張感を生みました。よろしいのではないでしょうか。 (1)(2)(3)は可もなく不可もなくの平凡な句。 残り鴨湖にプコプコ揺られおり 岡野直樹(40代,男) 琵琶湖の畔で詠みました。よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 「 湖にプコプコ揺られおり」が全部言ってしまって散文的です。プコプコという表現も片仮名表記とともに適当でないような。 黄色い花わんと溢れて春休み 香珠 よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 「 わんと溢れ」がいいですね。菜の花ほか、春に咲く黄色い花々のボリューム感あふれています。「黄の花の」と五音に収めてみるのは?と思いましたが、このままのほうがいいですね。 (1)手を振れば揺れて答えし朧月 うさぎ (2)めがね拭き見直したれど朧月 (3)おぼろ月韓流ドラマに涙して ぼんやりと記憶の底に消えてしまうような平凡な日常を、朧月に託しました。平凡過ぎますか? (4)冴え返るさざ波騒ぐ椀のなか 「さざ波」+生まる、寄りし、起きし、浮きし、沸きし、あふるる、光る、いろいろ考えました。波が騒ぐと「騒々しい」かなとも思いましたが、ちょっと切ない「胸騒ぎ」が伝わればと思いました。 宜しくご診断ください。 ドクター岡野の診断と処方箋 消えてしまうような平凡な日常から、どうぞ詩をすくい取って俳句として定着してください。 (1)(2)がその方向なのかもしれませんが、まだ半端。 (1)振れば、揺れて、答えし、の動詞三連打で朧月らしい空間が無くなってしまいました。「答えし」とってみてどうなるか? (2)「たれど」が朧月の説明になってしまいました。もっとも「めがね」ですと説明臭から脱するのは難しいかもしれません。 (3)騒ぐ、沸きし、あふるる、だと大げさです。「さざ波」で胸騒ぎは感じてもらいましょう。生まる、寄りし、あたりでどうでしょうか。 春愁やメール弾く指ピアニッシモ きんぎょ(女) よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 弾くようにメールを打つとなると、とても流暢な様子が想像され、ピアニッシモは難しそうですね。春愁だからでしょうか?アンダンテ等、速度標語はどうですか? 夜桜に二人の光の幸子さん 裸時(30代,男) よろしくお願いいたしますm(_ _)m ドクター岡野の診断と処方箋 単純なようでいて、幸子さんの読みが分かれます。 1、二人の光(希望etc)であるところの幸子さん。 2、二人の所有するところの(好きなetc)光の幸子さん(通称) 3、二人は『光の幸子さん』というパフォーマンスをする。(踊りか?) 無理筋かもしれませんが、3と読みたいです。いずれにしても、このような場合、この幸子さんの命名にかかってきます。掲句は悪くないです。 (1)啓蟄や届きし包み解きてをり 小口泰與(60代,男) (2)山かずら斑雪とともに消えにけり よろしくご指導願います。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)この包みの中身を分かりたいです。 (2)そいうものなんですね。斑雪が消えやすいものなのでどうか? (1)中空に淡き半月寒き春 藤井茂子(60代,女) (2)春の雲ちちんぷいぷいねだりおり ドクター岡野の診断と処方箋 (1)「半月淡き」のほうがいいかも。「寒き春」は別案を。淡きと合わないような。 (2)中七、座五が主体と対象で行為の分裂があって落ち着かない。ねだる子にちちんぷいぷいなら分かるのですが。 (1)備前焼の大壷ありて花見かな 学(50代,男) (2)風の門あたりに鴨等固まれり (3)闘争を語れば熱し蜆汁 (4)補聴器を外せば聞こゆ春の声 (5)鏡には真っ暗な猫菜種梅雨 (6)惜春や石段登る大年寺 ご教示を。 ドクター岡野の診断と処方箋 まず、 風の門、大年寺を知りません。 (1)「大壷ありて花見」が釈然としませんでした。 (3)蜆汁では熱くならないのでは?というのは言いがかりです。問題は「熱し」にあると思われます。 (4)分からないのがもどかしい。雑音がなくなるということ?春の声とは比喩ですか? (5)これはいいですよ。しかし、真っ黒ではなぜいけないのか? 2007年4月1日 (1)花辛夷ひらきぬ鳩は目をつむり まりあ(40代,女) (2)蓮如忌の波のしぶきを浴びてをり ありがとうございました。花辛夷と鳩は一番のように改作しました。よろしくお願いします。2番、予定をキャンセルできず、春の嵐に見舞われた江ノ島での句です。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)これだと鳩の居場所は気にならないですね。目をつむりもいいと思います。ただしこの鳩は生きていますが。 (2)いいと思います。言われなければ、北陸の海を思わせます。 亀鳴くや心美人の句会かな 菊美(60代,女) お世話になります。「光る春くろしおはるか大和路も」は、はるか<関空特急>、くろしお<和歌山>、大和路<奈良>、行きたいところの電車です。「うきふねに(宙船)のリたい様な春がきた」はうきふね<宙船>(tokioの曲)、アレンジ行進曲でした。説明しないといけない駄目な句ですねm(__)m ネンテン先生の毎日文化センターでした。 ドクター岡野の診断と処方箋 「心美人」が私はいただけません。文字通りの美人ではいけないのですか?亀も鳴いているんですよ。 (1)ちぐはぐな服を着ている春の宵 ポリ(50代,女) (2)みみたぶを引っぱってみる花の昼 拙い句をていねいにみていただきありがとうございます。今回もよろしくお願いいたします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)春の宵はそういうこともあるなと思わされます。どうしちゃったんですかね?いいと思います。 (2)花の昼はいろいろあるところです。両句とも、とりとめないことを具体的行為で表現している。いいですね。 若木には負けじと咲きし老桜樹 栗太郎(60代,男) いつもご指導いただきありがとうございます。 ドクター岡野の診断と処方箋 「負けじと咲きし」まで言わないほうが。樹なしで老桜だけでも。 夕遍路アンモナイトの粒消える 裸時(30代,男) ドクター岡野の診断と処方箋 夕日を浴びて粒子がキラキラしている。同時に古生代の奇怪な軟体動物が一瞬現れました。「消える」の効果か?遍路も意外に効果的。 (1)北窓を閉めてモンゴル恐竜館 北野元玄(60代,男) (2)恐竜の尾骨うろうろ秋のゴビ モンゴル第4弾です。彦星の本家がモンゴルだとは知りませんでした(笑い)。ゴビ砂漠彦星只今デート中に推敲します。ありがとうございました。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)ほとんど死語となった季語をモンゴル恐竜館というごついところにもってきた面白さでしょう。 (2)実際に尾骨が砂漠を彷徨っているようです。秋のゴビがどうも。無季ですがゴビ砂漠にしてしまう手もありかと。 (1)浮石や雪代山女逃したり 小口泰與(60代,男) (2)春めきて私服になりし職場かな (3)たんぽぽに小犬のじやれて朝の風 よろしくご指導願います。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)釣り人ならではの視点だと思いました。 (2)その職場の慣行が分かりませんので。 (3)平易ですが平易すぎて。 (1)春昼や納屋から出ない筵旗 豊田ささお(70才以上,男) 昔なら一揆もんだけど、、と、おおだんびらで弱小農家切捨ての農政を思いながら・・風呂の中で作りました。まだ春昼です・・・ (2)保存樹に空狭すぎる春の昼 しつこく春昼です・・4月3日が恐怖の句会ですので・・よろしくお願いします。 ドクター岡野の診断と処方箋 (1)春昼で 緩和されているものの、筵旗に過重負担をかけるのはどうかと。もっと、あっさり言う手はないですか? (2)ここでは保存樹と、とりたててことわる意味はないですね。そうすると逆に余計な読みを誘発しそうです。具体的になんの樹か分かった方がいいですね。 |