俳句クリニック 2007年7月前半分(ドクター:星野早苗)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。

7月と8月の担当ドクターは星野早苗です。
<プロフィル>
 みなさん、こんにちは。
 俳句という文芸の敷居の低さは、これはもう究極。
 志したその日のうちにできてしまうのがすごいです。
 私はかつてこれに救われたことがありました。
 誰に知られなくても、一句できれば救われる(こともありますよね)。
 俳句生活を共に楽しみましょう。

ドクター星野の診断
2007年7月15日

空梅雨やふられて天を見上げけり  えぐちかずき(20代,男)
 ご指導ありがとうございました。「空梅雨」でいくつか作ってみました。またよろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 どこといって破綻はないのですが、「空梅雨」「ふられて」「天」「見上げ」と一句の中に近い言葉ばかりが並んでいます。これでは短い散文と変らず、読者に読む楽しみがありませんね。
 俳句は、日常生活とふっと切れたところ、または一つの事柄の岸をぽんと突いて出たところでできるので、作者自身にもできてみないと分からない楽しみがあるものです。(その楽しみが読者にも共有されるところが、不思議ですね)発想を得るところで、まず苦労してほしいと思います。「空梅雨」からスタートされるなら、そこから思いきり遠いところに着地することから始められるといいのではないかと思います。

(1)郭公や静寂を破るオートバイ  小口泰與(60代,男)
(2)みつ豆や湖畔に並ぶオープンカー
(3)新馬鈴薯や白妙の犬生まれたり
(4)夕映えや大判小判小判草

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)「みつ豆」と「オープンカー」の取り合わせに、カラフルな艶と透明感を感じました。
(3)「白妙の犬」という表現には疑問もあるのですが、いいと思います。

(1)広島に七本の川夏来る  藤井茂子(60代,女)
(2)四日目のあばたも笑窪漬ける梅
ドクター星野の診断と処方箋
(1)いいと思います。直叙することなく、いろいろな事を感じさせる句だと思います。

濁手の赤絵の余白涼しけれ  慈英
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 「濁手」(にごしで)、「余白」、「涼し」がよく合っています。

(1)久闊の兄の便りや梅雨明ける  さくら(女)
(2)合歓の花異国の少女手習いす
 はじめまして、宜しくご指導お願いいたします。この手習いは、お習字なのですが、これで解るでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
 (1)(2)とも良いと思います。句に切りとっておられる事柄や動作に作者の目の確かさを感じました。

(1)雨の中口開けたまま蝉の穴  豊田ささお(70才以上,男)
 「大雨のニュース流れる蝉の穴」を変えてみました。報告に終わらないということは、思ったより難しいです。
(2)空青く網にかかりし牛蛙
 先日牛蛙とアメリカザリガニを駆除するイベントがありました。親蛙は捕まらず子蛙とオタマジャクシが200匹ほど、子蛙でも15センチはあったでしょうか・・・。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「口開けたまま」はすでに「蝉の穴」に含まれているように思います。
(2)詩情の在り処が掴めませんでした。

太平洋の東と西を泳ぎけり  多弁(60代,男)
 診断をお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「東と西」という措辞が安易なように思いました。


2007年7月14日

(1)蜜豆でみにクラス会おひらきに  れい(70才以上)
(2)日盛りにまな板を干す昨日今日
 平凡ですがよろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「みに」は「ミニ」と片仮名に。また「ミニクラス会」より「同窓会の」の方が、「密豆」とのコントラストが出るように思いました。
(2)「昨日今日」が大雑把で、前半の勢いが損なわれるように感じました。

首くるり浮き人形の赤い口  裸時(30代,男)
 ちょっとホラーかもしれません。
ドクター星野の診断と処方箋
 そうですね。好みが別れると思います。

毛虫焼く葉裏に及ぶ四つの目  しんい(女)
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 「葉裏に及ぶ四つの目」が分かり難く思いました。また、「毛虫焼く」で切れているのであれば、中七からは思いきって遠いものを持ってこられた方が句の内容が広がります。


2007年7月13日

老いてなほ達筆の君君影草  なごみ(70才以上,女)
 七月九日のご指導有難う御座いました。「過去の糸ひとつからませ君影草」を推敲して揚句のようにしました。よろしくおねがいします。
ドクター星野の診断と処方箋
 よくなったと思います。ただ、「君」と「君影草」との重なりが効果的には働いていません。「達筆の書(ふみ)」なども考えられるでしょうか。

(1)愛すると告げてきのうの花衣  みちこ(60代,男)
(2)青葉木菟連れて夜の観覧車
 当季ではないですがよろしく。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「きのうの花衣」であれば、「愛すると告げし」ではないでしょうか。
(2)語調が整いません。

(1)パソコンの前に眼鏡と夏薊  ポリ(50代,女)
(2)腕組みの親指暑しさみだるる
 ご指導ありがとうございます。どうぞよろしく。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「に」は説明的です。「の」と限定すると「眼鏡と夏薊」にピントが合います。「を」とすると、眼鏡をかけた作者と夏薊が通りすぎる感じですね。
(2)句の内容に「さみだるる」が合わないように思いました。


2007年7月12日

七夕の笹をもらうはかつての実家  岡野 直樹(40代,男)
 とにかく作り続けるというところです。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「かつての実家」が分かりませんでした。御実家が引越しをされたのでしょうか。

(1)夕凪や三者面談折り合わず  北野元玄(60代,男)
 昨年は、漢字多用と古語でご迷惑をおかけしました。今では、口語俳句を心がけています。朝倉ドクターと稔典教授から受けた影響が大でした。この句については、上5の「夕凪や」の「や」が気に入りません。
(2)よく見ろよ蚊のここが迷走神経
 「痒いなら掻いてやろうか蚊の背中」を推敲してみました。小生自身はうまくできたと思っているのですが・・。
ドクター星野の診断と処方箋
 稔典氏は確かに「や」は使われませんね。口語は文語より制約が少ないと思われがちですが、「や」「かな」「けり」を使わないのは俳句形式の中ではかなりストイックなことなのです。真性の口語俳句はかくあるべき、と私も思ってはいるのですが。
(1)「夕凪の」「夕凪を」などが考えられます。「の」は主格の「の」ですが、夕凪は〜と言いさして止めるようなニュアンスで、軽い切れが生まれます。「を」は「夕凪の中を」「中で」の意で、船団では南村健治氏が意識的によく使われます。
(2)かなり特殊な場面設定で、共感が得難いように思いました。

(1)折り皺のおおき彦星きらめけり  藤井茂子(60代,女)
(2)何よりも一本が良し水中花
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「おおき」は「多き」か「大き」か迷いました。どちらでもそれなりのニュアンスがあり、いいと思います。
(2)コップの中の水中花。目の付け所が面白いと思いました。

白槿少年兵を見送りし  豊田ささお(70才以上,男)
 星野ドクター、「蝉の穴」の句は、もう少し考えて見ます。いま、こちらも、待望の大雨となり、災害が出そうです。ま、人間の勝手ですが、掲句は、舌足らずかも知れませんが、・・・語彙が貧しくて・・・ご教示をください。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。

すいているどこかがその証は小雪  汽白(40代,男)
 こんばんは。よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 力がうまく抜けているところはいいと思います。

(1)梅雨深しマネキンの髪増えにける  文の子(60代,男)
(2)陰徳を積むる師よひら木の間より
(3)上下に傘交ふ梅雨の交差点

 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 造形的な方向性を持った句だと思いますが、成功しているとは言えないようです。


2007年7月11日

(1)青春の断片匂ふオクラかな  せいち(60代,男)
(2)校庭を真直ぐ抜ける青田風
 星野ドクター、宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「青春の断片」は抽象的すぎます。具体物で表わしてください。
(2)一瞬あれっと思いましたが、田んぼに囲まれた校舎なのですね。いいと思いました。

(1)朝刊に目を通し終え水羊羹  れい(70才以上)
(2)オレンジの蝋燭の灯や紫陽花忌
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「朝刊」と「水羊羹」は音韻的にもいい取り合わせだと思いました。ただ「目を通し終え」はあまりに散文的です。朝刊で目を引いた写真や記事に触れるなど工夫してみてください。
(2)「オレンジの」が蝋燭の炎の色の形容なら不要だと思います。

タバスコの芯のまわりに夏の人  裸時(30代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 丸テーブルにタバスコの瓶が立っていて、注文のピザを待っている人たちがそれを囲んでいるのでしょう。ポップな見立ての句でしょうか。

ががんぼや螺子の弛みし卓の脚  毬藻子(60代,女)
 はじめまして!!船団誌を愛読させてもらっています。発想や取り合わせが魅力的 な句が多く、楽しませてもらっています。私は取り合わせがなかなかうまくいきませ ん。どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 取り合わせの句としてはできていると思います。一つは、思いきって遠いものを合わせておられること、もう一つは具体物と具体物を合わせておられること。一般的にはこれで充分なのですが、御句に物足りなさを感じるのは、感動の中心である「螺子の弛みし卓の脚」が、ががんぼの形容に見えてしまうところです。思いきって「ががんぼ」を捨てると、新しい世界が開けるのではないでしょうか。

(1)ネオン未だ点らず街の五月闇  文の子(60代,男)
(2)天の川渡れり湖に映りしを
(3)鱧料理浅葱の暖簾かかりゐし

 7/5のご診断有難うございました。「涼風や浅葱の暖簾かかりゐし」を推敲しました。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)良くなったと思います。
(2)「湖に映りしを」は不要。湖を船で渡ったことを示す方法は他にいくらでもあります。
(1)ネオンがまだ点らない時刻の五月闇がイメージできませんでした。

木下闇江戸の苔むす東海道  えいこ(50代,女)
 箱根の甘酒茶屋での句です。宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「江戸の苔」という限定がとても面白いと思いました。一方「東海道」には全体の長さをイメージしてしまうので、「江戸の苔むす東海道」は分かりません。「峠かな」「関所かな」など、いろいろ考えられると思います。


2007年7月10日

夕河岸に眼ちひさきうつぼかな  蓉子(50代,女)
 はじめまして。一句できれば救われる・・・同感です。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「眼ちひさき」…いいと思います。うつぼは確かにそんな顔です。

(1)力説すつばめに鳩はホーホーと  忠男(60代,男)
(2)古鞄その日の場所に黴てあり
 よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)「その日」が作者の中だけで閉じてしまっているように思いました。

咲き初めし蓮の花托の淡みどり  センリ
ドクター星野の診断と処方箋
 写生の句として、よく見ようとしておられる意欲を感じました。しかし、この句は一句目の句ではないでしょうか。ここからさらに十句、二十句、と作る中から、ご自身の句ができあがると思います。


2007年7月9日

過去の糸ひとつからませ君影草  なごみ(70才以上,女)
 はじめまして。なごみと申します。ご指導よろしくお願いいたします。兼題が鈴蘭なのですが…
ドクター星野の診断と処方箋
 君影草は鈴蘭の別名として問題はないと思うのですが、「過去の糸ひとつからませ」に実体がないのが残念でした。俳句は抽象的な表現ではなく、ささやかなものであっても具体的な事物で成り立たせる表現ですから、過去を眼前させるようなものをひとつ探してみてください。声、しぐさ、手紙、…何でもいいと思います。

(1)蝉生れて穴振り返ることはなし  豊田ささお(70才以上,男)
 蝉生まれ(成虫になる)としましたが、ここは羽化でしょうか?蝉でしばらく作ってみます。
(2)蝉生れるその柔らかきうすみどり
 蝉生まれるをいくつも作ってみましたが、自選力がない悲しさ、堂々巡りで結局見たまんまになりました。また星野ドクターの厳しいご指摘を期待しています。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)自然に教訓的なものを見出そうとすると俳句ではなくなってしまいます。
(2)「うすみどり」という色への着目はいいと思います。どんどん句ができるのはとてもいいことです。俳句は多作多捨といいます。沢山作って沢山捨てることで、残る一句ができるのです。

(1)カーナビに県境を知るみどり中  えんや(70才以上,男)
(2)乗鞍に夏つばめとは知らざりし
 厳しいご指摘有難う御座いました。頂きました句評を糧に頑張りたいと存じます。今後とも宜しくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)現代的な句ですね。ただ「みどり中」は無理な表現です。初夏であれば「谷若葉」「青葉風」などが考えられますが、当季なら「蝉時雨」などでも。
(2)「知らざりし」を御一考ください。

(1)葉隠れに柿の実なるや落とし文  小口泰與(60代,男)
(2)天そそる奇岩の妙義昇り藤
(3)嬬恋の山懐に蓮かな
(4)たゆたふと流れる利根や蟻の列

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)がいいと思いました。景がくっきりと伝わる句です。
(4)「たゆたふ」は動詞ですので「たゆたふと流れる」は無理な表現です。
(1)(2)は一句に多くのものを詰め込みすぎていると思います。

(1)風鈴や留守居の窓を少し開け  藤井茂子(60代,女)
(2)盆栽の基地より鷺草飛び立てリ
(3)梅雨寒や水遣りバケツぽつねんと

 星野先生どうぞ宜しくお願い致します。3月からこちらで大変お世話になっております。毎日添削のマジックを拝見してるようでとても楽しみです。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)がいいと思いました。
(3)もいいのですが、「梅雨寒や」がやや付き過ぎではないでしょうか。

星雲は物干しの奥冷奴  多弁(60代,男)
 星野ドクター よろしくお願いします。塩見先生の受け持ちのクラスは幸せだなー と思いつつ、俳句(らしきもの)を作ってきました。塩見ドクターありがとうございました。
ドクター星野の診断と処方箋
 二ヶ月間、よろしくお願いします。
 さて、御句、「冷奴」が合っていないように思いました。作者の位置が分からなくなると、臨場感に欠けるようです。季語を考え直してみてください。

留守電に振込め詐欺や浮いてこい  ヒロ
 最近は、高齢者ばかりでなく退職予備軍にも新手の詐欺の手が伸びているそうです。「美しい国」とやらが泣いているようです。悲しい事です。
 閑話休題・・・。こんなのも俳句と言えるでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
 「浮いてこい」はかつて縁日で子どもが掬って遊んだ浮き人形とか。夏の風物として郷愁を誘う季語ですが、上五、中七の内容とは合わないような気がしました。

氷河期の水草育つ炎天下  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 うまくイメージを結べませんでした。

(1)手鏡の向こうを通る晩夏かな  みちこ(60代,女)
(2)少年の心はためき夏終わる
 俳句クリニックヘお邪魔するのはまだ2度目です。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)雰囲気はいいと思いますが、「晩夏」を具体的な事物にすることで、句の印象が鮮明になると思います。
(2)「心はためき」は表現として無理があるように思いました。

(1)梅雨明けるがん細胞と闘おう  遊雲(70才以上,男)
(2)水溜り三つが一つに梅雨の明け
(3)遺憾というニュースばかりやはたたがみ

 初めまして。2ヶ月間よろしくお願いします。私もこの間、林先生に似顔絵を書いていただきました。
ドクター星野の診断と処方箋
 はじめまして。こちらこそよろしくお願いします。私の似顔絵はもう三年も前のものになってしまいましたが、今年も使わせていただいています。林光太郎さんによろしくお伝え下さい。
 さて、御句、在りのまま素直に詠んでおられますが、俳句もひとつの詩の形式ですから、散文の十七文字とは全く違った緊張感が必要です。普段と同じ生活をしていても、句を作るには気持ちを俳句モードに切り替える必要があるのです。そんなに難しいことではありません。よい句をたくさん読まれることをお勧めします。

雨ほたる赤信号にしみわたる  裸時(30代,男)
 どこまで漢字にしようか迷ってしまいます→
ドクター星野の診断と処方箋
 赤信号で雨粒がほたるのように見えたのでしょうか。

(1)紫蘇の香や妻一泊の旅にあり  えんや(70才以上,男)
(2)1尺の足湯の深さ夏の風
(3)父の日の孫に賜る二合瓶

 また宜しくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)がとてもいいと思います。妻の「一泊の旅」の明るさ、軽やかさが「紫蘇の香」で上手く表現できています。或いは御自分の解放感でしょうか。


2007年7月8日

襲い来て吸い付くやから生か死蚊  三郎(70才以上,男)
 これも句になるでしょうか。よろしくおねがいします。
ドクター星野の診断と処方箋
 俳句の長い歴史の中には、言葉遊びの句が流行った時代もありました。(江戸時代のはじめ)現代の俳句には、やはり、現代の詩を響かせていることが大切です。

(1)屋根の角とがってる夏水を飲む  ポリ(50代,女)
(2)戻り梅雨右手を高く上げてみる
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「とがってる」(2)「〜てみる」の表現が気になりました。
(2)「右手を高く上げ」に積極性を感じました。

(1)うちの子は田植えと易が上手です  北野元玄(60代,男)
 「易が」が少し未消化の感じですが・・
(2)口中は冷たくしかもナメクジラ
 2度目の投稿です。よろしくご診断ください。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)が良いと思いました。田植えと易は素晴らしい組み合わせですね。これからの時代は、こうした技能の時代になると思います。

槿垣中庭にある車井戸  豊田ささお(70才以上,男)
 「太腿をなげだしてみる暑さかな」を地元の句会に出しましたら誰も取ってくれなかったのに主宰が絶賛してくれまして、少し句会を見直しているところです。掲句は見たままですが。槿の花と車井戸、何か合うようなきがしています。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。よく合っています。

(1)利根川原赤城眺める涼しさよ  小口泰與(60代,男)
(2)郭公の声をかき消す雨蛙
 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「赤城眺める涼しさよ」だけで充分な気がしました。利根川原と赤城山、二つはつめ込み過ぎではないでしょうか。
(2)内容は伝わりますが。

訃報あり紫陽花の青なお青く  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 訃報に接したとき、目にしたものが心に焼き付くことは確かにあります。素直に詠まれた句だと思いますが、「なお青く」までは言わず、「紫陽花の青見ておりぬ」「見に立てる」などとされると余韻が生まれます。

(1)助手席の寝息や梅雨の高速路  文の子(60代,男)
(2)源泉は低温梅雨の露天風呂
(3)油蝉フライパン火に掛けしまま
(4)順路より逸れて谷間の濃紫陽花
(5)灯籠のひがな灯りぬ五月闇

 灯籠(秋)との季重なりは如何でしょうか。
(6)渇水の村や嶺より天の川
 渇水は季語でしょうか。出来れば季重なりを避けたいのですが。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)内容はいいのですが「順路より逸れて」が散文的です。
(5)季重なりは気になりませんが、「ひがな」であれば「五月雨」とされる方が時間の経過なども感じられるのではないかと思います。
(6)機智の句としてできていると思います。季重なりは気にしなくてもよいと思います。「渇水」という現象は俳句では「旱(ひでり)」(夏)、「天の川」は秋の季語ですが、この句では「天の川」で全体が統べられています。

(1)なすび漬不良品をおじょうずに  裸時(30代,男)
(2)毒見の日空は晴れてる糸とんぼ
ドクター星野の診断と処方箋
 母上がなすび漬けを漬けられたのでしょうか。子どもの立場からの句として読みました。

(1)サンダルの脱げて舗装路油蝉  文の子(60代,男)
(2)老い母に白玉刻み供へけり
(3)鳳仙花児の笑ひ顔妻に似て

 3段切れになるのでしょうか。「鳳仙花妻に似て児の笑ひ顔」と思ったりもしています。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)季重なりですが、あえて使われたのでしょう。いいと思います。
(2)「老い母」「供へ」という言葉使いに無理があるような気がします。
(3)鳳仙花と笑ひ顔の取り合わせはいいと思いました。ただ「〜に似て」と言う必要は感じません。


2007年7月7日

(1)沙羅の花拈香に雨降り注ぐ  しんい(女)
(2)菜園や棘いたはりて初胡瓜
(3)定番の酢のやはらかき胡瓜揉み

 星野ドクター、宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)拈香という言葉を始めて知りました。沙羅の花とあいまってしめやかな雰囲気のよく伝わる句だと思います。「拈香に雨降り注ぐ」が作者独自の把握です。
(2)「菜園や」(3)「定番の」はなくもがなの表現で、字数が惜しいと思いました。

梅雨じめり河原に草の生えそめし  えいこ(50代,女)
 今月からドクター星野さんですね。「河原にも草の生えにし梅雨じめり」を推敲してみました。宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
 さて、御句、状況はよくわかるのですが、「梅雨じめり」と「河原に草の生えそめし」の間に意味の上で切れがなく、散文的だと思いました。俳句には、ここにささやかな飛躍か発見がほしいのです。

空梅雨を歩けば校舎の遠さかな  えぐちかずき(20代,男)
 はじめて投稿させて頂きます。俳句を始めて間もないですが、ご指導の程よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 「校舎の遠さ」が作者の感動の中心だと思いますが、その答えを「空梅雨を歩いたからだ」と種明かししてしまっています。「空梅雨や」と切る方法もありますが、一般的には一句に「や」と「かな」両方は使えませんから、いろいろ考えてみて下さい。
 また、何句も作るうちに、思いがけなく作者自身もはっとするような句ができることがあります。一日五句とノルマを課してでも作ってごらんになると、俳句と俳句でないものとの違いが分かってきます。二十代の若さは大きな財産です。是非作り続けていただきたいと思います。

(1)ほのかなる香水の香ぞ昇降機  小口泰與(60代,男)
(2)高みより落ちしチワワや五月闇
(3)大沼に火影だちたる躑躅かな
(4)白樺の木立分けたる躑躅かな

 よろしくご指導ねがいます。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)大沼に惹かれました。
(4)白樺の明るさもいいですね。

サンキライ丸く収まる夏至団子  菊美(女)
 お世話になります。塩見先生に朝から団子のおやつ?興味津、、、と。田舎では、夏至の頃から農閑期になり、夏至団子を作ります。雨が降ると、農業も休み団子があり子供の頃でした。今も作ると思います。そんな一人思いの句でした。サンキライ< サルトリイバラ<イゲの葉(方言?)といいます。つるりとした葉が一番良いみたいです。料理番組ではない!m(__)m
ドクター星野の診断と処方箋
 夏至団子、おいしそうですね。ただ、サンキライの葉を使うということが決まっているのなら、上五には全く違うものを持ってこられた方が、一句に広がりが出ると思います。

七月や僧のつぶやく海きれい  藤井茂子(60代,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 僧が「海きれい」とつぶやいたのか、僧のつぶやいている海がきれいなのかまよいました。

イタダキマス廃校に泊まる子らの朝  豊田ささお(70才以上,男)
 廃校になって一年後の小学校の校庭で、子ども会キャンプがありました。児童農園の跡が草茫々で、「ああ」ため息です。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。「朝」を「夏」にかえると季語が入ります。なお、イタダキマスは「いただきます」とカギかっこを用いた方が自然でしょう。

(1)朝顔やそんなに急いで何処に行く  豊純(70才以上)
(2)朝顔や何を求めて登り行く
(3)朝顔の数で始まる花談義
(4)母の日の電子辞書手に暖かし
(5)俳句会駄句ぶらさげし夏ひばり
(6)思い出をたどりたたみぬ衣更え

 塩見先生二ヶ月間お世話になりました。叉お会いできたら宜しくお願い致します。そ れではお元気でさようなら。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)が良いと思いました。しかし、母の日は夏、暖かは春の季語で一句に同時に使うには無理があります。別の表現を考えてみてください。


2007年7月6日

日日草待つ便りなき最終便  れい(70才以上)
 またお世話になりますよろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「待つ便りなき」とはいいながら、最終便の配達時刻までは、切実なものではなく、もしや誰かから、という気持ちが心のどこかにあるものですね。日日草の咲く庭も句の背景としてよく合っていると思いました。

(1)せみ塚や緑滴る山の寺  悠(70才以上,女)
(2)万緑を独り占めして大鳥居
(3)田植え終えさとう錦の甘さかな

 またお世話になります。さとう錦はさくらんぼです。よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)立石寺に芭蕉の短冊を納めたせみ塚があることを始めて知りました。聴覚的な「しずけさや〜」の句とあいまって、視覚的な「緑滴る」が素晴らしいと思いました。

干し昆布揺りかごからバスへ  裸時(30代,男)
 星野先生またよろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 難解ですね。

笹ゆりの清楚な気持ち年重ね  菊美(女)
 塩見先生 お世話になりました。心の花を咲かせながら、又一つ年重ねます。ありがとうございました。今後とも宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「清楚な気持ち」とは言わずに、それを読者に感じ取ってもらえる表現を工夫してみてください。

(1)青鷺の時に一本足となり  藤井茂子(60代,女)
(2)母の忌の赤き満月六月果つ
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「時に」は、「時々」「たまに」の意ですね。写生の句としてよくできていると思いました。
(2)強いイメージのフレーズが三つ重なっていて、印象がひとつにまとまりませんでした。

曵き方の父子よく似た汗の顔  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 お祭りの一場面でしょうか。父と子の汗の顔が、似ていた。普段さほど似ているとは思われない父子でも、一生懸命な表情がそっくりだったのでしょう。「汗の顔」が効いていると思いました。

夏草や亡き人はみな恙なく  遅足(60代,男)
 「夏草の内緒話の盛りかなかな」は、たしかにプラスの方向ではなくマイナスですね。愚痴や策略の匂いがしだしているので、閉口するタイプの世界です。という診断 はよく分かります。草葉の陰で、亡くなった人たちが、生きている人間たちの悪口を 囁きあっているうちに、陰謀が芽生えてくる様な句になっていますね。亡き人たちにはおとなしくしていただきましょう。いつも的確で丁寧な診断をありがとうございます。
ドクター星野の診断と処方箋
 いつのまにか異界に入りこんで授かった名句だと思います。

大雨のニュース流れる蝉の穴  豊田ささお(70才以上,男)
 今年の梅雨は、異常なんてことばで追いつかない現象があります。洪水の隣が旱というような・・・四国なんて前線が上がり下がりするたびに下品な言い方ですが「ちびっとるだけ」です。
ドクター星野の診断と処方箋
 「大雨のニュース」と「蝉の穴」の取り合わせの句ですが、報告に終わっているように思いました。

(1)蚊の背中ひふらぼんこぼーりぼ  裸時(30代,男)
(2)夏海があみだくじの涅槃図
 友人の手伝いもあって推敲してみました→。塩見ドクターありがとうございました(^^
ドクター星野の診断と処方箋
(1)蚊の背中への注目はいいと思いますが、オノマトペはリズムがとれませんでした。
(2)「夏海」と「涅槃図」(春)の並置には無理があります。

白花の夾竹桃と少年兵  豊田ささお(70才以上,男)
 塩見ドクターまだまだと思ううちに、お別れですね。再会を楽しみにしています。有難うございました。
 星野ドクターお久しぶりです。まったく進歩のない私ですが気長くおつきあいください。
ドクター星野の診断と処方箋
 お久しぶりです。二ヶ月間よろしくお願いします。「白花の夾竹桃」と「少年兵」はよく響き合っています。良いと思います。


2007年7月5日

(1)ひまわりに会う少しだけだけど酔う  汽白(40代,男)
(2)三たびよたびななほしてんとう雨降り出す
 塩見さん、ありがとうございました。星野さん、よろしくお願いいたします。(あいたいー気持ちがーままーなーらーむー♪)
ドクター星野の診断と処方箋
 汽白さん、お久しぶりです。二句ともリズムはいいのですが、意味からの逃げ腰が残念です。

(1)老鶯に仕切り直せりパーパット  えんや(70才以上,男)
(2)遊技場の駐車場よぎる大暑かな
 29日のご診断誠に有難う御座いました。12日の句会までに、ご指示を参考に推敲したいと存じます。いつも丁寧なるご診断厚く御礼申しあげます。
ドクター星野の診断と処方箋
 こんにちは。塩見さんと交替しました星野です。二ヶ月間よろしくお願いします。
(1)(2)ともに残念ながら発想がまだ俳句モードに入っていません。普段の生活から少し離れたりずれたり浮かんだりするところに俳句的な視点が潜んでいます。具体的には「老鶯」なり「駐車場」なりで十句二十句と作ってみられて、五,六句目辺りから句が見えてくるものです。

夜よりも昼が寂しい夏休み  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 真夏、住宅街などで人通りの絶える時間帯が確かにあり、心象だけでなく夏休みの一面を言い当てておられます。

朝靄に人影やさし花菖蒲  宮本笑子(50代,女)
 三田市にある永沢寺にて、花菖蒲を写そうとレンズを覗くと、遠くに人影がちらちら動き、初めは少し邪魔に感じたのですが、そのうち妙に愛おしくなり、詠んでみました。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 一般的には「人影やさし」は言いすぎなのですが、文章を読ませていただくとこれでいいように思いました。「人影動き」「人影遠き」「人影のあり」などのあっさりした表現も考えられます。

(1)藍色の皿に白玉桂川  文の子(60代,男)
(2)手の甲にメモせし娘梅雨しとど
(3)涼風や浅葱の暖簾かかりゐし

 星野ドクターお久し振りです。ドクターに診て頂くのも3回目になりました。どうぞ宜しくお願い申しあげます。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。クリニックも長く続けて来られる皆さんのお蔭で句会のようになってきましたね。
(1)藍と白。涼しげで良いと思います。
(2)忙しい看護婦さんたちが手の甲にメモしておられるのは何度か見たのですが、「梅雨しとど」はやや言いすぎでしょうか。また、「メモせし」は時間的に遠すぎる気がします。
(3)「涼風や」が一句の結論になってしまっています。結論は言わないという我慢が必要です。

(1)空蝉や湯宿に集ふ古き友  小口泰與(60代,男)
(2)水玉の塊り落ちて湯滝かな
(3)雷鳴や上州大地振動す

 星野先生、お久しぶりです。これから二ヶ月間よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
(1)空蝉の斡旋に新味を感じましたが、報告に留まっています。
(2)「湯滝」が無理な表現で、説明的です。
(3)概念的ではないでしょうか。

梅雨曇「星の会」へと支度せり  藤井茂子(60代,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 「星の会」という素敵な名前の会があるのですね。或いは天体観測会かもしれませんが、夜には晴れて星が見れそうです。いいと思いました。

(1)えーらっしゃい!鯊三匹で百五円  北野元玄(60代,男)
(2)椎の木青葉腎臓はマイナスイオン
 星野早苗さま、初夏の集いでは、いろいろお話ができて楽しい嬉しい時間を過ごさ せていただきました。有難うございました。時々小生の駄句を診て下さい。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)えーらっしゃい!の勢いは買いますが予定調和に終わってしまいました。後半の飛躍を期待します。
(2)読解の手がかりが掴めませんでした。
 初夏の集い、お疲れ様でした。お顔と名前が一致するのは楽しい瞬間ですね。

(1)夏の海もう一本の煙立つ  裸時(30代,男)
(2)夏の沼今一本の煙立つ
 海と沼どちらが良いでしょうか悩ましいところです(^^;
ドクター星野の診断と処方箋
 断然海がいいですね。

文机に刑事コロンボのやうな蠅  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 文机の蝿は執拗に何かを問いただしに来るのでしょう。いいと思います。