俳句クリニック 2007年7月後半分(ドクター:星野早苗)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。


ドクター星野の診断
2007年7月31日

なめくじや塩投げぬ日の気の弱り  ひさがき
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。倦怠感でしょうか、分かる気がします。

(1)高層の花氷はドン重力圏  裸時(30代,男)
(2)犬小屋が夏小屋に見えるそんな夜
(3)人格がいっぱいあります鮫の肌

ドクター星野の診断と処方箋
(1)花氷をドンに見立てたのはいいのですが、「重力圏」は重いからという答えを明かしてしまいます。
(2犬小屋が涼しそう、ということでしょうか。
(3)「鮫の肌」は「鮫肌」とは違うと思います。となると読めませんでした。

(1)夕日見て夏の月見て帰り来る  蓉子(50代,女)
(2)飛魚の眼とらえし空のはて
 魚市場ではじめて見た飛魚の眼はまだ生きているかのように群青色に澄んでいました。「飛魚の目は空の果てとらえしか」としたほうが解りやすいでしょうか?よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「帰り来る」の主体がわかり難く思います。曖昧な句の魅力もあるのですが。
(2)一般的には「飛魚の眼(を)とらえた空の果て」とも読める句です。解決策としては「空の果てとらえし眼飛魚の」くらいしか思いつきませんが、「群青の飛魚の目に空の果て」とすると、群青の飛び魚の目に空の果てがあるよ、という風に伝わるのではないかと思います。

陸奥のグラジオラスの孤高かな  多弁(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「陸奥のグラジオラス」は大雑把な表現ではないでしょうか。「孤高」も言い過ぎのような気がします。

(1)白南風やビターの入りしチョコレート  ひかり(60代,男)
(2)炎天を喘ぎつ登る男坂
 はじめての診断、ちょっと不安です。よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)共素直に詠んでおられますが、これだけでは句になり難く思いました。
(1)直すなら「ビターの効きし」。
(2)「男坂」は急坂のことですから「喘ぎつ登る」は不要です。

(1)踊の輪フォークダンスとなりにける  文の子(60代,男)
(2)手の甲にメモせし跡や白槿
 「手の甲にメモせし跡や梅雨しとど」を教えて頂いた季語の中から掲句としまし た。 雨蛙の良さが良くわかりませんでした。もう少し勉強してからと致します。
(3)細身なる娘(こ)の声低し雨蛙
 私の雨蛙は掲句ですが如何でしょうか。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「なりにける」の感慨が読者に伝わりません。
(2)いいと思います。
(3)「細身なる」がどうしても言いたいのであれば「細身なる娘の話声」。「低し」は言い過ぎではないでしょうか。また、「蛙」と「声」も取り合わせとしては近すぎます。

(1)奥草津チャツボミ苔の夭々と  小口泰與(60代,男)
(2)山霧の流るる音色黄菅咲く
(3)白樺を霧の往来百合咲けり
(4)合歓咲くや坂東太郎満々と
(5)夕焼の浅間わけても朗々と

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)見てみたく思いましたが、このままでは報告です。
(2)流れる音が聞こえそうなほど山霧が濃いのですね。「流るる音や」とされるといいと思います。
(3)「霧の往来」…いいと思います。
(4)「坂東太郎」は利根川の異名ですね。いいと思います。
(5)「朗々と」は明るいさま。「わけても」は不要だと思いました。

(1)蚕しぐれを聴きて主の消へにけり  未知(50代)
(2)初茄子のみだれみだるることばかな
(3)親の逝き子の去りて知る秋の声
(4)父の日や一番星は西の空
(5)てのひらに河童のあそぶ秋の暮

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「蚕しぐれ」は蚕が桑の葉を食む音でしょうか。「主の消へにけり」は分かるようで分かりません。
(2)具体的に何を指すのか分かりませんでした。
(3)一般的な表現にとどまっています。
(4)いいと思います。
(5)いいと思います。

(1)油蝉山田の上に昼の月  豊田ささお(70才以上,男)
 こちらは梅雨明けということで、油蝉が鳴いています。ご教示を・・・。
(2)油照り郵便ポスト空のまま
 梅雨明けと大暑が同時でした。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)いいと思います。油蝉が鳴き出してもまだぽかんとしている山田(村)の様子が伝わってきます。「昼の月」のこういう使い方もあるのかと感心しました。
(2)油照りの郵便ポストへの着目はいいのですが、これだけでは句になりにくく思いました。

(1)鮎の川越えて岳父に初見参  岡野直樹(40代,男)
(2)新築の一畳半の芝を刈る
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)意味は分かりますが「初見参」はこなれない表現です。なるべく漢字熟語は使わない方がいいと思いますが、洒落っ気を残し「見参す」でいかがでしょうか。
(2)「新築や」と切ると、「一畳半」の俳味が生きると思います。

(1)こんな日にひょっこり小さき守宮かな  藤井茂子(60代,女)
(2)いと重きソファーに小さき守宮逃げ
 台風開けにソファーを移動させて掃除してましたら、子どもの守宮がいて吃驚でした。逃げ足も速く下五は「居り」「来る」から「逃げ」となりましたが宜しくご指導お願い致します。
(3)魚屋に一声掛けて夏帽子
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「こんな日」が読者には分かりません。
(2)「いと重き」は不要のように思いました。
(3)いいと思います。

(1)蟻二匹ここは私の小学校  岡野直樹(40代,男)
(2)プールの子水中眼鏡大人びて
 小学校の、夏休み特別水泳教室のお迎えに行きました。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)いいと思います。子どもの素直な良さがよく出ています。
(2)「プールの子」は「水中眼鏡」で分かりますので、取り合わせでふくらみを持たせてはどうでしょうか。


2007年7月30日

(1)宿題に追はるる晩夏孫ら来て  文の子(60代,男)
(2)退任の自由にも飽き晩夏光
 「晩夏」を2句作りました。この6月の株主総会で退任した友人が何人かいます。いずれは私もと思い掲句をつくりました。「任退きし自由にも飽き晩夏光」と迷いましたが、宜しくお願い致します。
(3)ゆすらうめチャイルドシートきつしと言ふ
 「晩夏かなチャイルドシートきつしてふ」を推敲しました。教えていただいた季語の中で、私には「ゆすらうめ」がピッタリでした。下が字余りですが「ゆすらうめチャイルドシート窮屈と」より良いように思います。如何でしょうか。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「宿題に追はるる晩夏」と、「孫ら来て」との関係が分かりません。普通に読むと、宿題に追われているのは作者ですが、そこへ孫達も来て(さらに大変なことだ)ということでしょうか。或いは、孫達が来て、孫の宿題に作者も追われている、ということでしょうか。後者だとすると「孫の来て」。
(2)「退任の」で良いと思いますが、「自由にも飽き」は、やはり本人でないと説得力がありません。
(3)いいと思います。ゆすらうめとチャイルドシートはよく合っています。チャイルドシートを嫌がる幼児の言葉「きつし」を聞き逃さなかったことがお手柄ですね。「窮屈」ではいけません。

(1)居住まひを正してをりぬ瑠璃簾  小口泰與(60代,男)
(2)端居にて手酌の酒を酌みてをり
 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「居住まひを正してをりぬ」の中身を知りたく思いました。
(2)全体が「端居」の報告にすぎないように思います。

夕焼や小さく畳むマイ バック  夏海(60代,女)
 マイ・バックはエコ・バックとも言いますが、意味が伝わるでしょうか?
ドクター星野の診断と処方箋
 「マイ・バッグ」で良いと思います。エコ・バッグとまでいうと、押し付けがましさが出てしまいますね。「マイ・バッグ」で、いつも自然に持ち歩いているのだということが読者にも伝わると思います。ブランド物のエコ・バッグなどでなく、普通の袋物をいつも普通に持っておられる女性の句だと思いました。

エコロジーとは何ばあちゃん雲の峰  北野元玄(60代,男)
 この句、散歩がてらの祖母に小学生の孫がフィロソフィーとは何のことかと尋ねている様子がでていますか。
 (余談です。「蝌蚪の尻尾」の2句についてのコメントありがとうございました。おっしゃるとおり2つの俳句の意図する方向は違います。ただしピーターパン・シンドロームについてはまったく考えておりませんでしたので、そのようにも読めるのかと驚いております。消しゴムで「蝌蚪の尻尾」を消すとうまく詠めたと勝手に悦こんでいますが、あるいは類句があるかもと心配しています。)
ドクター星野の診断と処方箋
 「エコロジー」を祖母に聞くのはありがちな設定かもしれません。「もったいないばあさん」なども幼児番組でキャラクター化されている時代ですから。機智の句ではあっても、詩情の感じられる句を目指していただきたいと思います。

(1)人群れの背はしらじらとして花火  やすぼう(男)
(2)花火待ち丘は静かに媚帯びる
 よろしくお願いいたします。勿論、三鬼の句は、大好きであります。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)写生だとしても「しらじらとして」に意味が付きすぎてしまいます。「として」を御一考ください。
(2)「媚帯びる」は作者の独創的な感受ですが、こなれない表現ではないでしょうか。

罰なんてどこにも無くて草苺  裸時(30代,男)
 僕は無神論者です→
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。罰がなくて代わりに草苺があったのは発見です。罪もなかったのかも知れませんね。

(1)十薬の押し寄せてきて農馬絶ゆ  未知(50代,男)
(2)広報の隅まで読みて日短か
(3)秋の太陽が照りきて目玉焼
(4)目開く鶸やあの世より日の照りて
(5)火のごとく孤独もちきて冬の月

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)真偽はともかく、良いと思いました。押し寄せてきて…思わず納得させられてしまいます。
(2)いいと思います。
(3)(4)(5)作者の思いが、読者には伝わりません。

(1)休日に腰板の黴見上げいて  岡野直樹(40代,男)
(2)斥候蟻菓子くず尋ね畳渡る
 新築六年目なのですが。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)これだけでは句になりがたく思いました。
(2)畳を渡った蟻を「斥侯蟻」としておられるのですから、「菓子屑尋ね」は不要です。

CDのテープ擦り切れ返り梅雨  藤井茂子(60代,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 報告にとどまっています。

(1)もういない人のようだわ百日紅  ポリ(50代,女)
(2)戻り梅雨どうしてだろう犬くさい
 ご指導ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「わ」の接尾語は女性を特徴付けるものですが、その意図がよくわかりませんでした。「です」ではいけませんか。
(2)事実としてもこれだけでは句になりません。

(1)噴水の翼ひろげて空つかむ  未知(50代,男)
(2)髪梳くに足りる力の戻りけり
(3)苗植うる一株ごとに闇根付く
(4)葉桜や味噌の天地を返したる
(5)赤い紐巻かれてゐるや秋の声

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(4)がいいですね。


2007年7月29日

(1)七歳の孫に手引かれ富士登る  遊雲(70才以上,男)
(2)生命線さらさら伸びる山の夏
(3)愛宕から比叡の山へ大西日

 やっと来週あたりから梅雨もあけそうですが、季語の上ではあと18日もすれば秋という難しい時期です。今日は、朝日先生の『いけず』を祝う会でした。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)内容はよくわかるのですが報告にとどまっています。
(2)良いと思います。「さらさら」は川のせせらぎや風、葉ずれの音を連想させ、爽やかです。
(3)説明的です。
 朝日彩湖さんの『いけず』私も楽しく拝見致しました。感銘句は、
  朧の夜地下鉄が越す東山
  ふしだらに生きてますねん草の餅
  春の雨嵯峨野に少し借りがある
  カサブランカ愛とは誓うものですか
  祭鱧京大卒で花板で
  ヒロシマや昨日も明日も酒を飲む
  鰯雲やさしいことは取り柄じゃない
  駅前はかつどんにして天高し
  黄落やまだ半袖の似合う道
  元サヨク今おばさんのなまこかな
  大旦ぽこんと鶏を産む卵
  冬晴れや犬それぞれに名前持ち
などなど。関西団塊の世代の俳句だと思いました。

オカリナのきらきら星や夏の川  和
ドクター星野の診断と処方箋
 「夏の川」を「天の川」にしてしまいたいところです。そうでなくても「きらきら星」はやはり夜を連想させますね。「夏の川」を御一考ください。

アゲハチョウあなたの羽根に抱かれて  菊美(60代,女)
 宜しくお願いします。ラジオ深夜便〜芋虫教?宗教がありとのお話でしたが、アゲハに会うと良いこと有ると、聞いたこと有り、嬉しいのですが、改めて知ることができました。
ドクター星野の診断と処方箋
 「アゲハに会うと良いことがある」とかつて聞いておられたことが改めてラジオで確かめられたのですね。こういうときのちょっとした感動は私にも経験があります。その何となく嬉しい気持ちを表現するのに俳句はぴったりの器です。その時の心の弾みがそのまま句になればいいのですが…。

大空や蝿が思案の栗毛の日  多弁(60代,男)
 「栗毛の日」は「旅立ちの時」という意味で使ったのですが、そのように読めないでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
 「大空」に「蝿が思案」はとてもいいと思います。 この二つだけで充分面白いので「栗毛の日」まで持ちこむ必要は無いと思います。

(1)目にはさやかに見へねども秋の声  未知(50代,男)
(2)梅雨空や小さくなりし縫いぐるみ
(3)バス停は個人の名なり明易し
(4)初茄子を鉢植に売る漢かな
(5)松島の海をつんざく花火かな

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)同じ内容の和歌がありますね。本歌取りのようですが、成功しているとは言えないようです。
(2)良いと思います。「や」は「の」に替えられても。
(3)「個人の名」を明かされたほうが良いのでは。
(4)(5)「売る」「つんざく」にやや乱暴な印象を受けました。

カヌー漕ぐ子らの手んでに夏の川  センリ
ドクター星野の診断と処方箋
 夏の川で子ども達がてんでにカヌーを漕いでいる …という句意ですね。「子らのてんでに」を「子らはてんでに」にされる方が、分かりやすいのではないでしょうか。

(1)土用芽や新入社員巣立ちをり  小口泰與(60代,男)
(2)夕虹や吾が産土はわか浄土
(3)青蛙先導せりやドッグラン

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)いいと思います。「をり」は「けり」でも。また、「をる」のニュアンスも面白いかもしれませんね。
(2)やや概念的ですが、いいと思います。「わか浄土」は「吾が浄土」に。
(3)報告にとどまっています。

(1)蝉ひとつ頭上をよぎる長談義  豊田ささお(70才以上,男)
 一連の「台風の句」へのご診断ありがとうございました。たしかに、「や」を安易につかいすぎていました。注意したいです。
(2)カラビナとロープで探すカブトムシ
 ちょっと判りにくいでしょうか?この世には、大げさな人も居るという話です。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)以前同じ内容の句があったと思いますが、今回の句は「長談義」が座五に来たことにより、その内容があまり気にならなくなりました。いいと思います。
(2)「カラビナ」が分からないのですが、報告にすぎないように思います。

(1)唾つける膝の擦り傷梅雨の闇  未知(50代,男)
(2)八月の闇より声のしたるかな
(3)苗植うる一株ごとの闇があり
(4)みちのくの闇より生るる野ばらかな
(5)みちのくの闇を食ひたる海鼠かな
(6)秋灯の即ち闇の深さかな
(7)あがりこの闇に棲みたる胡蝶かな

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(5)(6)が良いと思いました。


2007年7月28日

夏蜻蛉プールの飛沫かわしけり  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 面白い発見だと思いますが、「夏」「蜻蛉」「プール」と季語が三つも重なってしまいました。「夏」だけでも省略できるよう、表現を工夫してみてください。

里山に淡き横雲酸芙蓉  煙草(60代,男)
 早朝散歩の日々、のうぜんや芙蓉の花に癒されています。今朝は北攝津の山裾に薄い横雲があり、早速句作に挑戦しました。
ドクター星野の診断と処方箋
 「里山」は村全体で守ってきた、入り会い地でもある山のことですね。いい風景だと思いました。

(1)若き僧うぐいす色の紗の衣  豊純(70才,以上)
(2)あやかりし七夕の日の華燭の典
(3)あかあかと夕日は海に半夏生
(4)母の日の電子辞書手に眺めいて
(5)俳句会駄句を小脇に花菖蒲
(6)夏句会駄句をぶら提げいそいそと

 先生こんばんわ。又六句送らせて頂きますご診断下さい。俳句の句はどちらが良いでしようかお尋ね致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(5)(6)はどちらも「駄句」という語を省いて、作りなおす必要がありますね。また、句会に句を持っていくのは当たり前のことですから、(4)と合わせて「辞書」か「電子辞書」を持っていくことにされてもいいと思います。

(1)腹這ひの俄かサーファー土用浪  文の子(60代,男)
(2)黒ずみし舗装路えごの花垂るる
(3)踊の輪外つ国の振り混じりたる

 7/16のご診断有難うございました。丁寧にご教示頂き大変勉強になりました。斡旋する季語についてはお示し頂いたものを参考にしてもう少し考えます。7/10に投句してから、全く時間が取れず、お礼が遅れましたことをお詫び申しあげます。久し振りの投句ですが宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)語順を入れかえると動きが出るように思います。「土用波俄かサーファー腹這ひに」。「土用波」はまだまだ考える余地がありそうですが。
(2)「黒ずみし」に魅力を感じません。「舗装路えごの花垂るる」はいいと思います。
(3)いいと思います。

夏草やグランド一礼球児入る  雅(50代,男)
 「三者懇」の拙句、ご教示ありがとうございました。今回の拙句では、「グランドに礼」とすると字数があうのですが、「一礼」が言いたくて字余りになりました。如何でしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
 「グランド一礼」はこなれない表現です。「一礼をして球児入る」ではいけませんか? 「グランドに礼」とすると三段切れになりそうです。「夏草の」となりますね。

(1)本湿気るにおい放てり柿若葉  鴻之助(60代,男)
(2)砂利道の先行く鴉麦の秋
 俳句をはじめて1年、俳句クリニックで初めて診断をいただいたのが、昨夏の星野ドクターからでした。また、よろしくご指導をお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「本の湿気るにおい」と「柿若葉」は、本の積まれた室内の暗さや停滞感と戸外の柿若葉の明るさや生命感とのコントラストがいいのですが、それを「放てり」は曖昧にしてしまうように思います。
(2)これだけでは句になり難いように思います。


2007年7月27日

玉虫や裏返りつつ描く虹  豊田ささお(70才以上,男)
 公園の自販機の横に落ちていたと誰かが玉虫を拾ってきました。まだ生きていました。腹まで玉虫色でした。高山市の茶の湯の森美術館に「玉虫の茶道具」というのがあるそうで・・いつか見にいきたいです。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。玉虫は最後まで玉虫、裏も表も。御句には、玉虫の業のようなものを感じました。死んでからも厨子や茶道具として残る場合もありますしね。余談ですが、玉虫を箪笥の引出しに入れておくと着物がふえるといいます。

(1)真蛭にぐいぐいぐいの真窓に  裸時(30代,男)
(2)青田風魔人に見える女の子
 「目を凝らす隣魔人の青田風」を推敲してみました→
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「真蛭」「真窓」は言葉遊びでしょうか。
(2)女の子が魔人のように見えるのか、魔人には女の子が見えるのか、迷います。

古椅子の木目の奥の白夜かな  穂波
 「プール開き」の句へのコメント、ありがとうございました。先生のおっしゃるように、俳句でしか表現できないことはささやかなことだから、私にも始められ、続けていけるのだと思いました。新しい句をお送りします。よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 北欧の椅子でしょうね。いいと思います。「白夜」は俳句的には「はくや」と読むそうです。

待ち合わせ左衛門橋に夏の雨  汽白(40代,男)
 おはようございます。よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「待ち合わせ」は「待ち合わす」に。いいと思います。

(1)河骨や浮沈の多き暮し向き  しんい(女)
(2)落人の里かなかなの谺して
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「浮沈の多き暮し向き」が大雑把な表現です。
(2)静けさが感じられ、いいと思いました。

(1)夕立あと海見下ろせる観覧車  蓉子(50代,女)
 ご指導ありがとうございます。「・・海をまじかに・・」とまようのですが。
(2)半丁を分けて子と母冷奴
 演歌調ですがどうでしょうか?
(3)七月の雲置きかわる迅さかな
 台風4号一過の雲の異様な怪しさに引き込まれてしまいましたが、句にすると思ったようにはいきません。よろしくおねがいします。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)がいいと思いました。雲の動きが目に見えるようです。
(1)(2)は報告にすぎないように思います。


2007年7月26日

ゴ−ヤ植う実ある花芯の萌黄色  さくら(女)
 日よけにとゴ−ヤを植え毎日眺めていて大発見、花だけの花芯は黄色、実のある のは黄緑色でした。中7最後、「の」、「は」、で迷いました。宜しくご教示お願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 「の」で良いと思います。ただ、「ゴーヤ植う」は過去のこと、「ゴーヤ咲く」で良いのではないでしょうか。

(1)夏花火薄めく昭和引き寄せる  三郎(70才以上,男)
(2)夏祭りそろいの下駄の音やかろし
 よろしくおねがいします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)内容は良くわかるのですが、「薄めく」は無理な表現です。また「夏」は不要。
(2)「や」で切る必要を感じませんでした。「そろいの下駄の音かろし」で良いのでは。

(1)直進の台風隣家で右に逸れ  北野元玄(60代,男)
 こちらが無事ですむと、天災で被害を受けた方々には申し訳ないような気がします。
(2)緑陰からころがり出でた知恵の輪
 ころがり出でた知恵の輪は別の俳句でも使いました。小倉喜郎さんからはたいして評価は得られなかったかと・・。「梅雨空というさりげない怠惰かな」は小生としてもかなりうまくできたかなと思っておりましたので、7/18のコメント有難うございました。しかし、小生としては「かな」を使わないで、現代口語だけで俳句にしたいのです。何かご助言をいただければ幸いに存じます。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)それだけでは句になりません。
(2)「〜からころがり出でた」がかなりくどい表現なので「知恵の輪」では物足りなく感じました。
 お訊ねの句は「かな」が似合っていると思いますが、開き直るなら(1)「です」、自由律なら(2)何も付けない(字足らずにする)、でしょうか。

(1)餓鬼どもの来ぬ裏山を梅雨菌  せいち(60代,男)
(2)夫婦にもそれどれ秘密水中花
 (2)は、類想があるような気もしますが? 宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「餓鬼どもの来ぬ」が「梅雨菌」の説明になってしまいました。
(2)「それぞれ」がややくどく感じます。「夫婦にも秘密ありけり」で良いのでは。「水中花」はよく合っています。

炎天をこれでいいのかと行けり  佐藤 忘八(40代,男)
 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。生きることの深い喩のように読みました。

(1)上州の嶺々の高さや立葵  小口泰與(60代,男)
(2)七夕や下駄の騒めく中心街
(3)折節に届きし野菜千日紅
(4)遠峰の朝日をろがむ泉かな

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(3)がいいと思います。「嶺々」は「ねね」と読むのでしょうか。
(4)「をろがむ」は少し大げさではないでしょうか。

長談義頭上をにいにい蝉渡る  豊田ささお(70才以上,男)
 小さな句会の八月兼題が「蝉」ですが、掲句は、苦し紛れの一句です。
ドクター星野の診断と処方箋
 「長談義」が具体的にイメージできませんでした。

大阪を遠く祇園祭かな  慈英
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 「大阪を遠く」どうするのか分かりませんし、語調も整いませんね。


2007年7月25日

額紫陽花角曲がるまで目の端に  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 額紫陽花の鮮やかな青は確かに目を引くのですが、それだけでは句に成り難く思いました。

台風の折れていること紙挟む  裸時(30代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 「紙挟む」が分かりませんでした。

地震つづく避難所ぐらし熱帯夜  なごみ(70才以上,女)
 中越沖地震で被災された方は大変ですね。他人事とは思えません。明るい季語をもってくるほうがよいのでしようか。ご指導よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 当事者でなければ「避難所ぐらし」は分からないのではないでしょうか。原則として、俳句は報道されたことを題材として作るものではなく、ささやかでも身の回りのことを題材として作っていただきたいと思います。

(1)銭葵ここにアパートあったはず  毬藻子(60代,女)
(2)祖母に似る爪の形や銭葵
 ご指摘、ありがとうございます。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)誰もが思い当たる景で共感度の高い句だと思いました。ただ、口語俳句だとしても「ここにアパートあったはず」はあまりに冗漫ではないでしょうか。表現を工夫する必要がありそうです。
(2)悪くはないのですが、「〜に似る〜」は俳句界では常套句のように思います。

(1)短夜やアルプスのぼり万国旗  三郎(70才以上,男)
(2)児のねむりかすかに揺れる鳳仙花
(3)たずねればお国言葉や冷奴

 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)がいいですね。ただ、「子どもがねむり、鳳仙花がかすかに揺れている」 という内容なのか、「子どものねむりがかすかに揺れている。鳳仙花よ」なのか迷いました。個人的には後者がいいですね。

台風や鼻歌で来るバイク便  豊田ささお(70才以上,男)
 こんなふうだといいなぁとひそかに思いつつ、昨日は思い切り雨に叩かれました。(因みに私は車といえばバイクしか乗りません、乗せてもらうことはありますが)
ドクター星野の診断と処方箋
 「や」で大きく切れているのですね。台風の影響で空が曇ってきた、そこへ鼻歌まじりのバイク便で届け物が…、というところでしょうか。いいと思います。


2007年7月24日

(1)水草を宿とす蛭の身を縮め  えんや(60代)
(2)天漏れの跡そのままに夏座敷
(3)駅前も裏も知らぬ子夏休み

 いつも大変お世話になり嬉しく存じます。前回ご診断頂きました、「カーナビに県境を知るみどり中」を、そのまま句会に提出しましたらところ、ドクターのご指摘の通り、即、谷若葉の添削されました。いつも適切なアドバイス有難う御座いました。
ドクター星野の診断と処方箋
(3)が面白いと思いました。よほど田舎の子なのか、塾通いなどで遊べない子なのか、または、堅物で駅の近辺などには近寄らない子なのか、或いは祖父母の家に泊まってその町を探険中の子どもなのか。いずれにしても、夏休みで、駅前の繁華街や裏通りにも少しはなじみができたのでしょう。

(1)はるかへと消ゆる蛍火忍び草(追悼の句)  しんい(女)
(2)ビストロのスープの香り青豌豆
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)追悼句としては、内容があまりにも一般的ではないでしょうか。これでは、お悔みのことばと変りません。句まで作って悼む相手なのですから、追悼句こそ、作者と亡くなられたその方、二人だけにしか通じない内容の句も許されるのだと思います。勿論、その上で、残された家族の方々の慰めになれば言うことはありませんが。
(2)青豌豆のスープなら分かりますが、当たり前ではないでしょうか。

油蝉砂利石の雨かわきおり  藤井茂子(60代,女)
ドクター星野の診断と処方箋
 雨が乾いて油蝉、いいと思います。砂利石も風景としてよく合っています。

青い芝あるはずの穴焼き付けて  裸時(30代,男)
ドクター星野の診断と処方箋
 残念ながら内容が掴めませんでした。

(1)夜店の灯ひよこの影の伸び縮み  うさぎ
(2)待つ宵の開くを待たずに別れきし
 季語もよく理解できないビギナーです。宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「ひよこの影の伸び縮み」は幻影的でいいと思いますが、「夜店の灯」が種明かしになっていて少し残念。
(2)「待つ宵」は待つ宵草ですね。内容は分かるのですが、頭の中だけで作ったような弱さがあります。

-いいなも-の店見つけたり梅雨晴れ間  さくら(女)
 いいなも-は、良いの方言です。よろしくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 説明されれば内容は分かるのですが、やはり伝わりにくい句かも知れません。その店で「いいなも」と作者が実際に言った場面を切り取って句にされた方が、方言も生きるのではないでしょうか。


2007年7月23日

(1)夏霧の中におりけり国境  未知(50代,男)
(2)陸と羽をうたわけざまに夏の山
(3)自転車の風切ってゐる土手涼み
(4)忙しなや皐月の森の鳥の声
(5)山の端の雨に濡れゐる野ばらかな

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「夏霧の中におりけり」はいいと思いますが、切れるとしても「国境」とは合わないようです。「ありけり」ではいけませんか。
(2)「うたわけざま」が分かりませんでした。
(3)「風切っている」自転車と「土手涼み」の関係がよく分かりませんでした。
(5)いいと思います。山際だけ降ることはよくあります。リアリズムの句として読みました。

(1)蟇蛙二尺跳ねたりブルドッグ  小口泰與(60代,男)
(2)頭より鮎食つてをり浅間晴
 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)残念ながら報告に終わっています。
(2)いいと思います。「浅間晴」は造語かもしれませんが、大らかな風景が感じられます。「頭より」は「頭から」でも。

(1)梅雨あけぬ夕陽ケ丘に朝日して  千坂希妙(50代,男)
(2)お葬式それにしても蚊はいつ寝るのだ
(3)ポプラの葉あひるのしっぽかばの耳
(4)遠太鼓西瓜ごろんと南瓜へ
(5)はきものを揃えてみたり夏の宿

 お世話になります。相変わらず進歩がありませんが、いつかジャンプしたいと願っています。よろしくご教示ください。
ドクター星野の診断と処方箋
 俳句は「物の味方(フランシス・ポンジュ)」です。句風は前衛でもポスト・モダンでも何でもいいのですが、まず物の地平にまで降りていけるかどうか。実践的には、「遠太鼓」なら遠太鼓で10句作り、その中から1句だけ残す方法をお勧めします。毎回こればかり言いますが、10句作れば、自然に物に寄り添った句ができるように思います。

大文字麻痺の海まで飲み込んだ  裸時(30代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「麻痺の海」が分かりません。


2007年7月22日

蒼穹や台風さりしムスビ山  豊田ささお(70才以上)
 台風は大きな被害を出しましたが私の近所では雨だけで、その雨も累積100ミリぐらいで物足りないぐらい(罰があたりましょう)
ドクター星野の診断と処方箋
 「ムスビ山」が実在なら、昔話のようでいいかもしれませんね。

(1)呼気青く留まれ夏の君来る夜  やすぼう(男)
(2)濁り河月映さずも月とある
 よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)内容を盛り込みとも見えますが、言いたいことを言いきった清新な作品。いいと思います。

(1)消しゴムで消す蝌蚪の尾と胸の火を  北野元玄(60代,男)
 この句は小生の原句です。下5の表現に生生々しさを感じており、まだまだ推敲の余地もありそうです。
(2)消しゴムで蝌蚪の尻尾と消える僕
 この句は若い友人が添削してくれた句です。(1)に比較して数段良くなったようです。「僕」という表現ができる若さがうらやましいなと感じています。上の2句についてコメントをいただければ幸いです。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)は「胸の火」という切実なものを何らかの理由で消したい、と言う内容でしょう。その際「胸の火」を「蝌蚪の尾」と同列に置き、若さからの脱出願望も読み取れます。
(2)は「蝌蚪の尻尾」を消したら「僕」自身も消えてしまった、という内容で、(1)とは全く逆の方向性をもつように思います。大人になりたくないピーターパン・シンドロームの句でしょうか。

都会の子べそかき神輿担ぎをり  しんい(女)
 都会の子が…「が」助詞の省略のつもりですが、切れてしまいますか?宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 省略は構わないのですが「都会の」が説明的です。せっかくの「べそかき」という発見が「都会の子」だからと一括りにされると、その子の個性が消えて面白くありませんね。「都会の」の部分をいろいろと考えてみて下さい。


2007年7月20日

(1)日が暮れてようやくお目覚め守宮どの  遊雲(70才以上,男)
(2)羅を纏いて女厚化粧
(3)向日葵の百万本の広さかな

 今日のOB会句会の兼題は「守宮」でしたが難しい。歳時記でも守宮の生態を句にしたものが多い。「羅」の句は「羅や議長の声の透き通る」が元の句です。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)守宮の生態の中でも、写生や発見の余地はまだまだあると思います。
(2)元句の方がいいですね。「羅の議長」とされるとより分かりやすいと思います。新しい女性像ではないでしょうか。
(3)いいと思います。雄大な景色ですね。

(1)夕焼けは別れる時にゃマニッシュで  北野元玄(60代,男)
 マニッシュ(独)はマニアックのことです。‘夕焼け’と‘別れ’はつきすぎですが、マニッシュであると突き放してみたのですが・・。
(2)夕焼けるアコと名乗った人のこと
 上5ははじめは「夕焼けや」としておりました。「や」を忌避したいのですが、「夕焼ける」ではどうでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)は作者の意図が伝わりません。
(2)「夕焼ける」でよくなったと思います。

(1)台風や直撃を待つ田んぼ  豊田ささお(70才以上,男)
 さっきまでなぜかこの欄だけが立ち上がらず投句できませんでした。初めての経験でしたが、復旧して安心しました。台風4号が迫ってきています。
(2)台風や待ちかねている大師池
 不謹慎でしかも芸のない一句であいすみません。早明浦ダムは、95パーセントの水位とか・・・しかしながら、日本一の溜め池は やっと52パーセントです。災害要らない水欲しい・・・です。
(3)台風や恋人のごと待つ戸板
 過去最強の台風といわれる今回の台風に、厳重に準備したつもりの戸板、しかし庭の菜園や、横の小川は無防備です。でもいまは、待つだけです。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)(3)ともに、「や」で切れる内容ではありませんので「を」が自然です。

葛饅頭座して短き脚の脛  夏海(女)
 葛饅頭の庶民性?を活かしたいのですが。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思いましたが「脚の脛」がややくどい表現です。「脛である」「脛持ちぬ」「人の脛」など、いろいろ考えてみてください。

毛虫焼く古表札の罅目立ち  しんい(女)
 「毛虫焼く葉裏に及ぶ四つの目」の推敲句ですが離れ過ぎでしょうか、お願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
 よくなったと思います。「毛虫焼く」と「古表札」はよく合っています。が、「目立ち」はやや言いすぎでしょうか。「ひび割れて」でよいと思います。

夏座敷エビに似せたり精進揚げ  センリ
ドクター星野の診断と処方箋
 面白い精進揚げですが、作句の動機としてはそれだけでは弱いです。

やまおだまき男の壷に恋をする  ねぎよしこ(70才以上,女)
 はじめまして。下手ですが、若々しい星野先生よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 「男の壷」が分かりませんでした。

台風の見せてね助骨ヒットミイ  裸時(30代,男)
 ヒフミヒットミイ。
ドクター星野の診断と処方箋
 「ヒットミイ」の自虐は目を引きますが…。「台風の肋骨見えて」で下五を考えられてはいかがでしょうか。


2007年7月19日

(1)古墳の空に声通り揚雲雀  未知(50代,男)
(2)一山に蝉のなきけり梅雨晴れ間
(3)空港に降り立て見れば夕立かな
(4)地を這ひたる松の上にや夏リフト
(5)天までも昇る向日葵折れにけり
(6)自転車のおばちゃんすぎる夏真昼

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「古墳の空」はとても良いと思いますが、「声通り」は「揚雲雀」に含まれています。「古墳の空に揚雲雀」の上五を考えてみてください。
(2)形を整えるとすれば「一山の蝉なき始む」でしょうか。
(3)(4)(5)(6)は発想がまだ俳句モードに入っていないように思いました。

(1)フルートの「アルルの女」緑陰に  郁子(60代)
(2)行き先を求めて揺れる葛のつる
(3)染み一つ思い出たぐる更衣

 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「緑陰」と「アルルの女」、いいと思います。
(2)「のつる」は不要です。
(3)「たぐる」は言いすぎではないでしょうか。

(1)散しける野ばらの紅や猫のみち  由利子(70才以上)
(2)傘の内しばしを共に夏の蝶
(3)雲の峰稜線かぎる日の光

 いつも有難うございます。ご講評楽しみです。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(2)がいいと思います。
(1)「散らしける」にひっかかります。
(3)分かるようで分かりません。

(1)ふにゃふにゃの電信柱しけたせい  汽白(40代,男)
(2)行水のおわった光ゆれている
 いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「ふにゃふにゃの」は「しけた(湿気た)せい」だ、という断定は面白いです。
(2)いいと思います。「のおわった」を「をすませた」とされても。

京訛り仏蘭西訛り川涼し  多弁(60代,男)
 診断よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。「京訛り」は舞妓さん、鴨川の橋での一齣、或いは川床涼みでしょうか。

(1)緑なす連山の襞梅雨晴間  小口泰與(60代,男)
(2)山翡翠や雪渓削る水四度
 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「緑なす」と「梅雨晴間」、どちらか一つでいいのでは。
(2)「水四度」の断定を面白いと思いました。(四度の水が一番体積が小さく、重いのですね)評価は分かれるかもしれませんが。

(1)木下闇江戸の苔むす一里塚  えいこ(50代,女)
(2)向日葵の茎逞しく空に立つ
 11日の診断有難うございました。峠かな が良いと思うのですが自分なりに推敲して見ました。如何でしょう。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)逢坂の関からは離れてしまいましたが、いいと思います。「木下闇」を山林の樹木や鳥にしてもいいかもしれませんが、いずれにしても「江戸の苔」がお手柄です。
(2)内容はよく分かるのですが「茎逞しく」は「向日葵」に含まれていると思います。

(1)ポーチュラカ白雪姫が目をさます  ポリ(50代,女)
(2)到着の電車短くなる真夏
 「パソコンの」の句で一字変わるとこんなに違うのかと驚きました。ご指導ありがとうございます。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「ポーチュラカ」の音韻が可愛らしく、内容と合っていると思います。毒林檎を食べた「白雪姫」は夏に目覚めたのですね。
(2)本当なら面白いのですが。

(1)声高に微分積分冷奴  藤井茂子(60代,女)
(2)高階の通路に蝉の野分朝
(3)羽田へとロック確かめ落とし文

ドクター星野の診断と処方箋
(1)「冷奴」がこの場面にそぐわないように思いました。
(2)「蝉や」と切ると、驚きが伝わります。
(3)どんな場面か、イメージが掴めませんでした。


2007年7月18日

(1)みんみんとその日暮らしに鳴きにけり  未知(50代,男)
(2)月行きの汽車待ってゐる無人駅
(3)定位置に据へたる生飯や秋の朝
(4)久々にふるさとに来て天の川
(5)鉄鈴の地の音なれりみちのくは

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
 (2)(4)(5)がいいと思いました。ただ、どの句も一句目にできた句ではないでしょうか。「無人駅」「に来て」「地の音なれり」などは他の表現も考えてみてください。

目を凝らす隣魔人の青田風  裸時(30代,男)
 隣人の恐ろしい顔です→
ドクター星野の診断と処方箋
 隣の人を恐ろしい魔人だとすると、「青田風」が分かりません。「青田風」を見えない「魔人」とするほうが、素直な句になりそうです。

(1)埋もれゆくトロッコ軌道山清水  せいち(60代,男)
(2)夏料理四万十川の風を添へ
 宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 二句とも夏の景が目に浮かび、いいと思います。

(1)梅雨深し禁酒の夜を母へ文  慈英(50代,男)
(2)散髪を済ませて祭見物に
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)よいと思います。
(2)お祭りに出かける前に散髪を済ませるのは礼にかなっていると思いました。ただ「見物に」はやや他人事です。見物であってもそこに居れば祭の参加者ですから、見たもの、聞いたもので読者を誘ってほしいと思います。

時間雨量五〇ミリの梅雨家震ふ  雀子(60代,男)
 昨年初めて投句して1年経ちました。あまり進歩しておりませんがよろしく。
ドクター星野の診断と処方箋
 こういう表現も面白いのかもしれませんが、普通は漢字熟語はなるべく少なく、「一時間五十ミリ降り家震ふ」 ですね。

手術日を決めに行く日の白日傘  sa(50代,女)
 宜しくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 きっぱりとした白。いいと思います。

(1)梅雨空というさりげない怠惰かな  北野元玄(60代,男)
(2)梅雨空というさりげない怠け者
 「夕凪や三者面談折り合わず」の「夕凪や」の扱いについてのご教示、有難うございました。や、かな、けり、などを使わないと決めるとこれはこれでかなり作句を狭めてしまいます。上の2句について、「怠惰かな」を忌避しようと「怠け者」に替えてみましたが、「怠惰かな」の方が数段上等に感じられて、悩ましいところです。何かヒントをいただければ幸いです。
(3)梅雨空というややさりげない怠惰
 追伸です。やや軟弱ですが、「怠け者」よりは好いのではないでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
 三句の中では(1)がすっきりしていていいと思います。

(1)万歩計小雨に濡るる凌霄花  しんい(女)
(2)不揃ひの棘いたはりて初胡瓜
 宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)凌霄花は意志の強そうな花ですが、小雨に濡れる場面は発見ですね。
(2)初茄子はよく知られていますが、初胡瓜もいいと思います。

初蝉の廊下に響く三者懇  雅
 初めまして。よろしくお願いします。「三者懇」は「三者懇談会」の略ですが、俳句に使えるでしょうか。
ドクター星野の診断と処方箋
 俳句に使えない言葉はないのですが、省略語は伝わるかどうかが心配ですね。また、結社によっては認められない言葉(例えば「携帯」など)もあるようです。「三者懇」は通じると思うのですが。

(1)梅雨晴れ間西洋野菜ほろにがく  豊田ささお(70才以上,男)
 私のところだけ雨がよけていくようで、大雨は他所ばかりです。(災害は怖いですが・・)
(2)朝の月ぼうと見ているキャンプの子
 台風4号が近づき合宿の子らは戦々恐々です。というのは嘘、子どもは、怖いもの知らずです。ただ昔のように子らだけで、自由にキャンプなんて場面はなくなりました。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「西洋野菜」というぼかせた言い方が魅力的でもあり、物足りなくもあり。
(2)「見ている」は「見ており」でも。


2007年7月17日

(1)駅頭につばめの声とアナウンス  郁子(60代)
(2)いつの間にえのころ刈り新興地
 お久しぶりでございます。またよろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)いいと思います。
(2)字足らずでしょうか。「えのころを刈り」「えのころ刈られ」でいいと思いますが、「いつの間に」は言わずもがな。字数が惜しいと思いました。

(1)しばらくは蝶と歩むや風涼し  由利子(70才以上)
(2)雲の峰崩れつつまたもりあがる
 またお世話になりますよろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)(2)とも、いいと思います。

商店街こえてプール開きの声  穂波
 星野先生、初めまして。穂波と申します。独学で俳句を作り始めてほぼ一年になります。こちらへは去年の九月からお邪魔するようになりました。「俳句と俳句でないものの違い」がまだよく分からず、特にどの句をご指導いただくか選ぶときに迷います。2ヶ月間、どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。地方の町の商店街。プール開きの声は小学校から、と読みました。平日の穏やかな町に子ども達の声が、ストレートに夏来るを伝えますね。
 「俳句と俳句でないものの違い」に迷われるのは、とても良いことだと思います。俳句は戦後、第二芸術と否定され、正岡子規でさえ、いずれ滅びるものと考えていたようです。それでも俳句、俳人が絶えなかったのは、考えると不思議なような気がします。やはり、俳句でしか表現できないような(ささやかな、微妙な、或いはつまらない?くだらない?曖昧な?)ことがあるのかもしれません。その意味でも、この句は俳句らしくていいですね。

(1)梅雨の月バスタブの湯は森の色  毬藻子(60代,女)
(2)泣きながら貝は砂吐く梅雨の月
 前回のアドバイス、ありがとうございました。またまた、よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)いいと思います。雨で色鮮やかになった森が、同じく雨に洗われた空に輝く月に照らされているようで、ファンタスティックですね。
(2)「泣きながら」の貝の擬人化に魅力を感じませんでした。

(1)テレビ欄チェックしながら水羊羹  れい(70才以上)
 添削を有難うございました。そのとうりだと思いました。「朝刊に目を通し終え水羊羹」をこのように推敲してみましたが、如何でしょうか?
(2)キレイ事捨てる齢や紫陽花忌
 「オレンジのローソクの灯や紫陽花忌」もこのようにしてみました。よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「しながら」を「している」と切ると俳句になります。句意は全く同じ、水羊羹を食べながら…です。
(2)「キレイ事捨てる齢」が、分かりません。

(1)夏の月雲間に漂える弛緩  北野元玄(60代,男)
 先月末の6月29日は旧暦5月15日でした。梅雨空が続いていましたが、雲間から満月を見ることができました。今年の当地の梅雨は大変です。
(2)生命線伸ばして虹の弧を描き
 今年は雨が大変ですね。ちょっとはお日様と虹を見たいものです。この句、まったくの机上での作です。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)上五中七と気持ち良く読み下すなかで、「弛緩」は一般の感覚からあまりにもかけ離れています。
(2)いいと思います。前後入れ替えても。

一鉢の鬼灯買えば雨上がる  三郎(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思いますが、「買えば」は、因果律とも見えます。「買うて」あるいは「抱え」など、自然な表現を考えてみてください。

(1)みつ豆や猿ブランドの少女服  小口泰與(60代,男)
(2)源流の波の起伏や夏妙義
(3)ひなげしや雲の風呼ぶ子持山
(4)夏つばめ紺の絣の田んぼかな

 よろしくご指導願います。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「猿ブランド」が一般的でなく、句意が伝わりません。
(2)「夏妙義」が分かりません。
(3)いいと思いますが、「雲の風呼ぶ」の「の」は、主格か所有格か迷いました。
(4)いいと思いました。ありそうでない表現だと思います。

草抜きて土の香りやあらたなり  浅葉洋(70才以上,男)
 宜しくご指導の程お願いいたします。今頃の時期の雑草の伸びには閉口していますが、草取った後の土を見ると、清清しい気持ちになれます。
ドクター星野の診断と処方箋
 実感があり、よくわかる内容の句です。ただ「草抜きて土の香りや」が感動の中心なのか、「土の香りの新たなり」が中心なのか、作者自身も迷っておられるような表現です。前者であれば、「あらたなり」は捨て、「ゆすらうめ」「鳳仙花」など、その場面の景色を眼前させるようなものを、後者であれば上五を「草抜くや」と切るとよいと思います。
 実感があり、よくわかる内容の句です。

(1)戻り梅雨右手ぶるりん回しおり  藤井茂子(60代,女)
(2)梅雨茸のひそひそ生まれ夜会かな
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「ぶるりん」が必要かどうか迷います。
(2)ファンタジーとして読みました。

とうすみや高台寺よりねねの道  涼(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
 いいと思います。街中ですが石畳の道、とうすみ蜻蛉がお手柄です。

(1)鉾建ての荒縄締めるヘルメット  遊雲(70才以上,男)
(2)初生りの茄子仏前に供えけり
(3)読みかけの恋愛小説七段花

 日常と非日常、散文と韻文、俳句モード=詩心。難しくないといっても、意識をすればこんがらかる。何しろこれまでの人生71年、ままならぬ浮世の風に生きてきたからか。何はともあれ今日10日はもう「鉾立て」、雨の降りしきる中で。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)ストレートで良いと思います。
(2)「供えけり」を省略すると、「猫と居る」「雨を聞く」「ニュース読む」など作者の日常を描くこともできそうですね。


2007年7月16日

物干しに辿り着きたる苦瓜(ゴーヤ)かな  えいこ(50代,女)
 日よけに植えたベランダのゴーヤ、収穫も楽しんでます。
ドクター星野の診断と処方箋
 そのままの句ですが「辿り着きたる」がユーモラス。「物干し」も簡便で屋根の上にあるようなものを思わせますし、「苦瓜(ゴーヤ)」もいいですね。

(1)夕立のあとは鎖骨の艶やかさ  きなこ(50代,男)
(2)馬瀬川の一石となり梅雨曇
 塩見先生ありがとうございました。星野先生はじめまして。よろしくご診断下さい。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「鎖骨の艶やかさ」は「鎖骨は艶やかである」という前提がないと無理な表現ではないでしょうか。 「鎖骨の艶やかに」であれば、「自分の(或いはみんなの)鎖骨が艶やかになった」ようだよ、ということで、やや強引ですが分かります。
(2)「一石となり」がよく分かりませんでした。

(1)夏蜜柑大きく割りて青春す  未知(50代,男)
(2)煙突の刺さってゐるや夏の空
(3)雁首を並べてゐるや夏休み
(4)夜辺の雨ふふみて傾ぐ牡丹かな
(5)月行きの汽車待っている無人駅
(6)島々の百鬼寄り来て翁の忌

 ご教示を。
ドクター星野の診断と処方箋
 自在に言葉を操作して、句をかたち作ってゆく力をお持ちの方だと思います。それだけに、ささやかな実感をこめたストレートな句作をめざしたいものです。今回の「夏休み」シリーズの中では、(1)の「夏蜜柑大きく割りて」にいちばん共感できました。「青春す」を、「五人かな」など、若者の実際の様子をあらわした表現に替えると、出来あがって来るのではないでしょうか。

(1)足を組む美しき人冷房車  れい(70才以上)
(2)食前酒冷えたトマトの入日色
 よろしくお願いします。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「美しき人」を考える手立てが「冷房車」だけでは、答えは「涼しげ」だけで、面白くありませんね。
(2)「食前酒」の色が「冷えたトマトの入日色」というだけであれば、トマトの実体が失われます。入日色のトマトが目の前にある句の方が作者の意図とも良く合っているのではないでしょうか。

(1)紫陽花を手毬のごとく撞いてをり  えんや(70才以上,男)
(2)恐ろしや栄螺かち割る己が腕
 毎回、適切なアドバイス深謝致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)紫陽花を活けるのに苦労しておられるのでしょう。或いはファンタジーの句でしょうか。「撞いてをり」を言いすぎとする見方もあると思いますが、ここでは、対象への没入感を評価したいと思います。手の中にある紫陽花の毬がよく見える句です。
(2)詩情が感じられませんでした。

(1)喫茶店(カフェー)出て抱きしめらるる熱帯夜  蓉子(50代,女)
(2)花デイゴ少女のようにときめいて
 ありがとうございました。今回は少し昔のことを思い出して・・・。やはり無理があるでしょうか?
ドクター星野の診断と処方箋
(1)良いと思います。ただ喫茶店をカフェーと読ませるのは難しいかもしれません。と言って「カフェー」だと句が軽くなるとお考えのようですので、ここは大胆に「劇場」や「ホール」などとされると良いと思います。いずれにしても、冷房の効いた空間から熱帯夜へ、抑制の効いた行動から情熱的な行動への転換が鮮やかに描けた句だと思いました。
(2)ときめきの実体の無いのが残念です。

(1)晩夏かなチャイルドシートきつしてふ  文の子(60代,男)
(2)順路逸れ谷間密かに濃紫陽花
 「順路より逸れて谷間の濃紫陽花」を推敲しました。
(3)手の甲にメモせし跡や梅雨しとど
 「手の甲にメモせし娘梅雨しとど」を推敲しました。宜しくお願い致します。
ドクター星野の診断と処方箋
(1)「てふ」は「といふ」の短縮された形ですので、文法的には合っているのですが、少し対象を遠く感じさせます。世間ではこう言っているよ、というニュアンスですね。小さな子が「きついよ」と今、言ったのなら、「と言う(ふ)」とする方がよいのではないでしょうか。子どもの成長を感じさせる佳句だと思いましたが、「晩夏かな」は内容に合っていないように思います。ここは、「ゆすらうめ」や「柿若葉」など、車の窓から見えた生命感のあるもので、この句の主人公である幼児をアピールしてください。
(2)「谷間」「密かに」は互いに近すぎるように思いました。「谷間に出会う」などあっさりした表現でよいのではないでしょうか。
(3)良くなったと思いますが、やはり「梅雨しとど」が句を重くしています。対象が娘(女性)であることを感じさせるようなもの、或いはその方の人柄や動作が感じられるものをいろいろ考えてみてください。句に広がりが出ますし、読者にも想像する楽しみができます。例えば「白槿」、「雨蛙」、「夏燕」など…。個人的には「雨蛙」がいいと思うのですが、どれも魅力的で迷いますね。