俳句クリニック 2007年10月後半分(ドクター:えなみしんさ)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。


ドクターえなみの診断
2007年11月3日

そら豆はそら風として現れる  裸時(30代,男)
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 何か変な句だな〜とは思うでしょうが、そこでイメージが涌かずに通り過ぎてしまうのではないかと思います。原因は「そら風」という言葉が焦点をむすばないからだと思います。読む人の事を考えて、ひとりよがりにならないように気を付けることも大事です。あれっ、これは最初の頃のハナシにもどりますね〜(^_^;)ゞ。
・・・・・・・・ ☆・・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・
 これで最後の句のようです。みなさん、2ヶ月ありがとうございました。主に能力のモンダイで、誤診もたくさんあったと思いますが、自分にとってムリなく受け入れられる所だけ参考にしていただけたら幸いです。
 自戒をこめて振り返ると、上手で立派な句よりも、人間くさい句、楽しい句に好感を持ったようです。また、自己陶酔を感じると、少し引いてしまう自分を感じました。わたしも同じような傾向の句を作りがちなので、気をつけようと思います。長丁場でしたが、楽しみながら句を考えていきたいという目標がほぼ適えられたのは、みなさんのお陰です。いろいろ勉強させてもらいました。今はちょっとホッとしています。寒さに向かいますが、みなさんお元気で!機会があったら、また、お目にかかりましょう。では、三宅さんにバトンタッチです。

(1)じーじーじー外耳炎みみず鳴く  子帆(30代,女)
(2)エナメルの踵直して冬支度
(3)クリームを垂らしたような空さやか

 初診です。よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)楽しい句だと思いますが、外耳炎なので、みみず鳴くというのが、分かりやすすぎると思います。せめて、「じーじーじー」をオヤッと思うような擬音に変えてみたらいかがでしょう。
(2)最初の句もそうなのですが、最後の季語がその前の答えになっていて、最後に「な〜んだ〜」という終わり方なのです。季語を変え、「冬うらら」とか「冬の町」などとしてみると、句の意味に広がりがでます。
(3)「クリームを垂らしたような」が工夫なのですが、なるほどね〜という域まで行っていませんね〜。

(1)倒れたる稲輝けり露幾千  穂波(女)
(2)倒れたる稲輝けり露一顆
 9月の初めに台風が過ぎた後、目にした光景です。(1)は田んぼ全体、(2)は一本の稲の様子です。最近になって自分の句の欠点が見えてきたのにどう改めたらよいのか分からず、なかなか投句できないことが続きました。今回も「切れ字が2つ」で「答えをそのまま書いている」のかもしれませんが、具体的な改善策が自分では分かりません。よろしくお願いいたします。ドクターえなみ、2ヶ月間ありがとうございました。またご指導いただける機会を楽しみにしております。
ドクターえなみの診断と処方箋
 う〜ん、わたしも風景を見ても何も作れないことがほとんどなので、えらそうな事を言う身にありません。初心の頃は、575になって季語が入れば何でも面白いのですが、その内知恵がついて、いい句とそうでない句を見分けるようになる。そうなると、自分の句がつまらない句に見え、句ができなくなるというのが、ひとつのパターンではないか。そういう時に、技術的に細かい所に入りこまない方がいいでしょう。俳句は作らなくても死にませんから、その内、ふつふつと俳句が作りたくなれば作ればいいでしょう。そうならなかったら、それまでの事でしょう。でも、そんな事を考える人は、きっと俳句に戻るような気がします。解決策は、ふたつでしょう。底5が余分なので取ってしまう。倒れた稲がどう輝いいていたかだけを詠む。もうひとつは取り合わせ。現在も取り合わせなのだが、田の中での取り合わせなので(1)(2)とも、変わらないような気がする。小口泰與さんがとても上手なのですが、「近い物」と「遠い物」とはっきりと取り合わせる。例えば、遠くの山、湖など。そこまで行かなくとも、離れたところにある建物や神社など。しかし、この取り合わせは平凡に終わってしまう可能性がある。そこで、倒れた稲から生まれたイメージと取り合わせる。たとえば、生まれた子供、ぴかぴかに光る靴、新任教師とか、いじめられっ子とか、出船とか、竿竹屋とか、ヘルメットとか、おもいがけないものと組み合わせる。こうなると見たたままというより創作になりますが、それも俳句でしょう。う〜ん、長くなるのでこの辺で。多少でもお役に立てたらいいのですが(^_^;)ゞ

秋の蝶聖歌かすかな日曜日  藤井茂子(女)
 えなみドクター 2ヶ月間ご指導有り難う御座いました。
ドクターえなみの診断と処方箋
 「聖歌かすかな日曜日」というのは、聖歌がかすかに聞こえると言うことでしょう。立ち位置があいまいなのか、少し意味がくみ取りにくかったです。聖歌が冬の季語というのも、すっきりしませんでした。では、また!

(1)木枯しのシャッター通りスケボーが  文の子(60代,男)
(2)未だ孫に負けぬ駆けっこ冬日和
(3)サロベツや原野へ鷹の逆落つる

 2ヶ月間総ての句を丁寧にご診断頂き有難うございました。心より御礼申しあげます。と同時に、期末から期初にかかったため作句ペースが落ち、折角の機会を活かせなかったことが心残りです。最後は冬の句3句と致しました。宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)漫然としているような気がしました。シャッター通り、スケボーどちらかに絞りたいところです。おそらく575にならず、この語順になったのだと思われますが、そのバアイは、シャッターを省くのかと思われます。
(2)自分の事を詠んでいるので、孫俳句ではないが、句材がやや甘でしょう。
(3)「逆落つる」がなるほどな〜と思いつつ、意味は分かるが感覚的に弱いと思いました。原野とサロベツは、ダブっているところがあるので改良できるのではないでしょうか。では!

婿殿が誉めてくれたり栗おこわ  kikumi(60代,女)
 現実過ぎですが、10月の終わり色んな意味で作りました。娘がとりに来て、アーうまい!と旦那が、メール来ました。夫より嬉しいです。言いませんのでネ!お出会いありがとうございました。又の日に宜しくお願い申し上げます。
ドクターえなみの診断と処方箋
 栗おこわで、いろんな事がうまく行ってよかったですね。一般的には、うれしいな!という句、ただし、わたしはその婿殿を知らないので、どういう事が解決できたのかまでは知る由もない。日記として句なのでしょう。またお目にかかれるのを楽しみにしています(^_^;)ゞ

(1)乾杯のグラスの音と金魚草  蓉子(50代,女)
(2)造船所から冬靄のビルの町
 適切なご診断ありがとうございます。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)金魚鉢をださないで、金魚を詠む方法は発明と言えるでしょう。冴えてますね〜。
(2)「から」があいまい。造船所から冬靄が出ているとも取れるし、造船所→冬靄のビルの町へ移動したとも取れる。難しかったです。では!お元気で!

晩秋や森の祭りの真ん中に  豊田ささお(70才以上,男)
 えなみドクター・・予告では今日までご担当ということでしたので、出さないつもりでしたが、すべりこみで、ご診断を・・・ほんとうに有難うございました。またの機会が待たれます。
ドクターえなみの診断と処方箋
 たとえば「台風の真ん中」というのは分かりやすいが、「森の祭りの真ん中」というのは、かなり難解。そもそも「森の祭り」というのが分からないので、その真ん中もわからないのでは。それでは、また!

(1)露天湯に銀河とともに浸りけり  小口泰與(60代,男)
(2)たたなはる秩父の嶺々や泡立草
(3)噴煙は南(みな)や秋のきりん草

 えなみしんさ先生、二ヶ月間真摯なご指導を頂き、心より感謝申し上げます。俳句という文学に染まって、はや、三年が経ちましたが、なかなか思ったことが表現できず、悪戦苦闘の毎日ですが、はえなみ先生のご指導のおかげで、かすかに明るさが見えて参りました。人生の最終期に俳句に出会え、また、はえなみ先生のご指導を頂き、大変にうれしく感謝申し上げます。有難う御座いました。時節柄いっそうのご自愛をお祈り申し上げます。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「露天湯に」は工夫の言い方ですね。これなら五文字に収まる。いい感じの句ですが、やや平凡か。
(2)「たたなはる」は「幾重にも折り重なる」の意、山を修飾するなんですね。教えられてばかりです。
(3)「秋のきりん草」という花があるのですね。南(みな)はポピュラリティがあるのでしょうか。写真などを見て作句されているのでしょうか、少しムリに作った風景のような感じを受けます。
 小口さんは、言葉の豊富な方なのですが、あまりそれに頼らず、懐刀とか黄門さまの印籠として使われたらいかがでしょう。効果的な時だけ、ぴりっと使うのがいいのでは。遠近の句は薬籠中のものですが、古めかしい句になりがちなので取り合わせるものに工夫されるといいのでは。「赤蕎麦の花へ花へとカメラマン」のような発見の句ができるといいですね〜。またお目にかかりましょう。お元気で!

(1)一粒はうそをつきたる葡萄かな  未知(50代,男)
(2)語られぬ軍神のこと露の玉
(3)ひつじ田に出稼ぎの火ののぼりけり

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)なるほどと思うが、実際は数粒が嘘をついてるので、複数にする方が実感に近いか。一粒にしぼった方がいいか。難しいところ。
(2)わたしの知識圏外の句材でした。
(3)う〜ん、分かりません。

(1)いくつかの地方のことば花盛り  藤(10代,男)
(2)廊下より爪きる音や冬の夜
 時季はずれですが、宜しくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)よそ者になったつもりで観察する作り方です。ここでは言語学者になっているのでしょう。外国人になって観察したり、子供になって観察すると別の言葉がでてくるでしょう。変な言い回しになるので面白いが、花見の熱が冷めてしまうのがつまらないかも。
(2)昔の家は、障子一枚で仕切られていたので、こういう事もあったか。だとしても爪切る音が聞こえるというのはオーバーかも。

(1)起こし絵のように茅葺き銀木犀  遊雲(70才以上,男)
(2)思いっきり秋ゆったりと流れけり
 とうとう最後の日になりました。2ヶ月って早いですね。この2ヶ月丁寧な、そして楽しいご指導有難うございました。又いつかどこかで。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)本やカードを開くと、風景や建物が立ち上がる。あ〜いうのを「起こし絵」というんですね。知りませんでした。「起こし絵のように茅葺き/銀木犀」と切れているのでしょうかね。難しかったです。
(2)そういう気分、よ〜分かりますが、句としては普通でしょう。 以上です。またお目にかかりましょう。お元気で!

(1)10円の平等院も秋の暮  藤(10代,男)
(2)訳もなくぶつぶついふてこそおでん
(3)鼻水をしゆるしゆるさせて言ふ本音

ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「10円の平等院」いいですね。「も」が句を弱くしているか。「10円の平等院や秋の暮」の方が俳句っぽいが、気取ることじゃないので気取りすぎか。「10円や/平等院に秋の声」なども変で面白い。季語も動きやすいところ。まずは、「秋の暮」は悪くないでしょう。
(2)「ぶつぶついふてこそ」の言い回しが面白いな〜、ひらかな表記をおいかけて意味が浮かび上がってくるのも面白く読みました。
 ひとつ、表記で間違いやすい事。「言ふ」は、ハ行で四段に活用します。「〜て」となるときの動詞は連用形ですから「いひて」が正しい。しかし言いにくいので言いやすい発音に変化します。これを、音便(オンビン)と言います。関西では「いうて」(ウ音便)、関東では「いつて」(促音便)となることが多い。このような動詞は、思ふ、会ふ、追ふ、などがあります。「〜て」の「〜」に「ふ」が来ることはない。つまり「ふて」とはならないので、注意です。
(3)「しゆるしゆるさせて」のオノマトペが面白いと思います。最後で「本音」とネタばらしをしてしまうのがどうだろう。感じさせるくらいにできたらもっといいな〜と思います。藤さんは、この2ヶ月、文語俳句だけでなく口語まで巾を広げていて、良い感じです。楽しんで俳句を続けてくださいね〜。

(1)天高しそこにいるのは父ですか  岡野直樹(40代,男)
(2)団栗も洗濯されて目を回し
 前回で最後のつもりでしたが、もう一度お願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)珍しく口語ですね。父には、自分の父と、神の意味をこめているのでしょう。言い方がワザとらしい(失礼)と感じてしまいました。
(2)とても面白い。内容が面白いので、この散文チックを言葉で伝えやすいように俳句的にした方がいいのではないか。「団栗や洗濯されて目をまわし」というような事なのですが(笑)。他の言い方もあるのではと思います。


2007年11月2日

(1)秋暁や昨夜の議論のうすうすと  えんや(70才以上,男)
(2)ケーキ屋のような釣具屋鳥渡る
(3)新古参睦びて秋の金魚かな

 24日にもう最後と云いながら又もや投句申し訳御座いません。どうかご診断の程宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)夜長が前提にあって、徹夜の議論という事なのでしょう。すこしうがった句のように思えました。
(2)「ケーキ屋のような釣具屋」は面白いと思いました。釣り具屋なので、魚を連想する。そこに「鳥渡る」は、不協和音なので、他の季語をさぐりたいと思いました。
(3)おお、金魚句!テーマは面白い。言い回しが苦しいんですね〜。大改造でないなら、「新参古参むつみて秋の金魚かな」とか、「新参も睦みて秋の金魚かな」でしょうか。では、これにて〜(^_^;)ゞ

怪我癒えし猫を放すや鳥わたる  れい(70才以上,女)
 大変お世話様になりました、有難うございました。いつかまたよろしくお願いします、どうぞお元気で・・・
ドクターえなみの診断と処方箋
 放した猫が、渡る鳥に、とびかかる。という文脈ですが、う〜ん、そういう狙いが読み取れるかどうか。もしそうなら、「鳥渡る空や/快癒の猫放す」とか「大空に猫を放すや/鳥わたる」のようなSFチックな句になるんでしょうかね〜。れいさん、またお目にかかりましょう。お元気で〜。

どんぐりがころころ叫ぶゼッコーチョー  玉白石(50代,男)
 子供のような句ですが、よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 まともに答えると、ゼッコーチョーと書かずに、その事を伝えるようにした方がいいという事でしょうか。「ゼッコーチョー」を活かすとしたら、それなりの伏線が必要で、この仕掛けでは成立していないと思います。

(1)野仏の観音さまや秋桜  未知(50代,男)
(2)渋柿を擂りて貼れよと道祖神
(3)海草にまじる琥珀や初しぐれ

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)観音が野仏だと珍しいのかな〜
(2)何に効くのかは分からないが、「渋柿を擂りて貼れよ」という句材がおもしろい。道祖神のひとことにしては、句材も嘘っぽくなるので、ここは村のおばばの言葉のようにしたいところ。
(3)絵空事でしょうね〜、やはり。

露の玉魔女の吐息はピンク色  多弁(60代,男)
 駄句にお付き合いいただきありがとうございました。次の機会には少しでもマシになっていよう、と思っています。
ドクターえなみの診断と処方箋
 前回の診断などは、自分で読み返してみて意味不明。伝える技術がまだまだ未熟。わたしもマシな俳句と、マシな診断ができるようになれたらいいと思っています。「露の玉」は先週まで「今週の季語」で蔵前幸子さんがコメントを書いていましたね。この句は、言葉が盛り沢山でイメージが集中できていないように感じましたが、多弁さんの句は、発想が明るくて良いと感じます。そこんとこは、大事にされるように祈っています。

(1)爪先の上がらぬ歩み初氷  文の子(60代,男)
(2)ネクタイの竹下通り冬の朝
(3)解体の跡の槌音冬木立

 未だ早いのですが冬を詠みました。よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)う〜ん、ちょっと意味不明です〜。
(2)わたしの友人が原宿に住んでいて、その人の通勤風景などはこのようなものだと思いました。「ネクタイの竹下通り」という組み合わせが、一応、成功していると思いますが、全国的にどこまで有名なのかは不明です。季語は動くかも知れませんが、これはこれで成立している。
(3)槌音、ツチオト。久しく聞かない言葉で忘れていましたが、「復興の槌音」などの言葉は、地震などの度に目にしていたのでしょう。「解体の跡の槌音」が、モゴモゴしています。声に出して読まれるといいでしょう。

元妻の歌うボサノバ後の月  玉白石(50代,男)
 今年の十三夜はとてもきれいでした。よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 そうとう変な句で、あれこれ考えます。推理はいろいろありますが、いずれにせよ(当時はどうであったかは分からねど)今はボサノバを聞いているのですから、深刻な状態ではないということでしょう。「後の月」がさりげなくフォローしていて、謎を深めている。しかし、分からん句です(笑)

コーヒーのすこし濃い目に夜長かな  芳江(70才以上,女)
 有難うございました。お元気でご活躍くださいませ。
ドクターえなみの診断と処方箋
 コーヒーを濃いめにして、眠らないで長い夜を楽しむという事でしょうか。漢字表記や、テニヲハを変えると、またニュアンスが変わってくる。「珈琲を少し濃いめの夜長かな」などはどうですか。芳江さんもお元気で。またお目にかかりましょう。

杖持たで踏みしむ足に秋の蝶  由利子(70才以上)
 お世話様になりました。またお目にかかれる日を楽しみにしております。
ドクターえなみの診断と処方箋
 こちらこそ、ありがとうございました。杖なしで歩けるようになってください。お元気で。

坂道やふとふり返る金木犀  郁子(60代,女)
 ご指導楽しみにしています。
ドクターえなみの診断と処方箋
 これは素直すぎる。香りにふりかえるという句材(俳句のテーマ)そのものが平凡なので、さらに細かいことにこだわってみるとか、変わった言い方をみつけるとかしないと印象的な句にならないです。

空高く話の火種飛びかいて  れい(70才以上,女)
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 「話の火種」というのは、よからぬウワサといような意味ですので「空高く」とは、折り合いが悪いような気がしますが(笑)。たぶん、それを意識的に句にしているのでしょうが、その意図が伝わるのかどうか。

晩秋のときはるかなる森の声  豊田ささお(70才以上,男)
 えなみドクター・・ひょつとすると、この句が今月診ていただける最後かと思いますので、まず、御礼を申し上げます。鈍感な私をよく我慢してお導きくださいました。心底より有難うございました。晩秋の森というのは、特別な感慨がありますが、まぐまのようなそれをどうあらわせばよいか・・弄り回した挙句が掲句です・・
ドクターえなみの診断と処方箋
 自然にたいするオノノキがあり良い句だと思います。多少ですが、自己完結していて、人を寄せつけない冷たさを感じます。しかし、この句は、これで簡潔しているでしょう。「帰るのはそこ晩秋の大きな木(坪内稔典)」。

(1)あらたまの紅さしそむる富士の綺羅  しんい(女)
(2)霊峰の裾まで晴れて年新た
 この二ヶ月間、本当に有難うございました。ご指導を胸に刻み精進し、又、お目にかかれる日をお待ちしております。賀状に俳句をと・・・十年早いかしら m(__)m。よろしくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
 人に「俳句を始めた〜」と言いふらすと、やめられないくなる。当然、年賀状などにも、どんどん書くのが良い。ことしは、さっそくやってくださいよ〜。
(1)(2)年賀状に書いてある俳句ですから、どんなんでもいいのですが、掲句では、自分で作った俳句ではなく、誰かサンの俳句を写したと思われてしまいますよ。ヘタでもいいから、オリジナリティのあるものを。会ったときに、話題になるともっといい。良くあるのは干支ですが、例えば、ことしの抱負などを句にするといいのでは。

(1)行く雲もへその緒の有初しぐれ  未知(50代,男)
(2)へその緒を持ちて嫁したり初しぐれ
(3)研ぎださる琥珀に虫や初しぐれ

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)言葉だけの世界で、感知できず。
(2)「嫁したり」がこなれの悪い言葉。
(3)「研ぎださる琥珀に虫」が何と言って良いやら。馴染みのない世界なのでイメージわかず。「研ぎださるる」と連体形になっていないことも、意味の伝わりをにぶくしているのでは。

七つ道具腰に理容師秋の暮  藤井茂子(女)
 二ヶ月間本当に丁寧なご教示感謝致します。次回お目にかかる時まで少しは向上してます様に、又その節は宜しくお願い致します。有り難う御座いました。 今日の句は又車窓からはじめて目にしたものですが、ごく普通の事でしょうか?若い理容師さんたちが全員ウエストポーチの様なものを腰に付け店内をきびきびと行き来しておられました。
ドクターえなみの診断と処方箋
 藤井さんに教わったことのひとつが、興味を持ってモノを見れば、どんな事でも俳句になるのだな〜という事です。この句も、女性にとっては当たり前のように目にする風景かも知れませんが、弁慶の七つ道具になぞらえていて面白いと思いました。季語がどうか、これでは、五条の橋で待ち受けているようではありませんか〜(笑)

冬紅葉動脈探しているような  裸時(30代,男)
 最後の週となりました→どこかでお会いできるとよいですね→
ドクターえなみの診断と処方箋
 「冬紅葉/動脈探しているような」、裸時さんにしては、普通すぎる句材、しかも「〜ような」があいまいで、感心できる句ではありませんでしたよ〜。さて、お互い「船団」のメンバーなので、きっとどこかで会うことがあるでしょう、お元気で〜(^_^;)ゞ


2007年11月1日

先頭は誰鋭角に鳥渡る  しま(60代,女)
 ご診断お願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 「先頭は誰/鋭角に鳥渡る」。「先頭は誰」がややあいまいですが、ふたつの具体性が、渡り鳥を活写していると思いました。藤井茂子さんの「中列のあたり乱れる渡り鳥」を併せて、絞り込んだ具体性が、句の手がかりになると考えます。なお表記は「先頭はだれ/鋭角に鳥渡る」の方がわかりやすいのではないでしょうか。

(1)子らと来て踏み切り前の月眺め  岡野直樹(40代,男)
(2)鰯雲西の空にてお釈迦の手
 長い間ありがとうございました。何とか作り続けよう、という気持ちを持ち続けよう、というところでございます。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)日常の幸せとは、そういう物だろうな〜と思う、素直で、好感のもてる句です。岡野さんの句の根底には、ちゃんと自分があって、それがいいところだと思います。
(2)「お釈迦の手」と身近なものとして捉えているのが新鮮でした。ただ西方浄土を言っているので、季語が空回りでない方が良いと思います(現在、具体的には浮かんでいませんが)。次の機会がありましたら、またお目にかかりましょう。お元気で!

(1)体温のようなエレベーターホール  汽白(40代,男)
(2)どこへゆくハンドバッグをもち妻は
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)エレベーターホールは、言われてみると、いろんな人がいろんな目的で集い、それもエレベーターが来るまでの束の間。不思議な空間です。体温のようなエレベーターホール、胎内のようなエレベーターかも。
(2)日常でアタリマエになっている事が、ある日、アタリマエではなくなることがある、と言うような感覚に襲われる句。ハメルーンの笛吹男にあやつられ、どこかに姿を消してしまうのかも知れませんね〜。怖いですね〜(^_^;)ゞ

かなずちがおしゃれになるので霧の海  裸時(30代,男)
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 ず〜っと読んできて、変な句だな〜と思うと、だいたい裸時さんです。この句、明るいのが取り柄ですが、全く分かりませんでした(笑)

青みかん群青色の空の下  れい(70才以上,女)
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 気持ちいい風景ですが、「空の下」では平凡でしょう。

(1)今抜きし秋大根をもらいけり  芳江(70才以上,女)
(2)冴え冴えと余白の藍や栗名月
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)さりげない句ですが、ライブ感があって好きです。余談ですが、この句、報告ですが、こういう句は報告句とは言わないでしょう。「今抜きし」の「今」が、その時の感覚を蘇らせてくれるからだと思います。
(2)すいません、これはわたしの理解力のなさ。「余白の藍」が理解できませんでした。

(1)暮れなずむ空に泡あわし十三夜  由利子(70才以上,女)
(2)枯れ伏せどなお命あり淡みどり
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)表記の問題ですが、「泡あわし」を「泡があわい」と読んでしまい句意を読み取るのに苦労しました。「淡々しい」なのでは。言葉の乱立。「十三夜」自体は、十三夜の月の事のある空の事を言っているので、その事を頭に入れて整理し直す必要があると思う。
(2)俳句は、読んで伝える(口誦性とも)ものなので、調べの良さを考えながら作るといいと思います(というか、そうでない句は作っていても楽しくないのでは)。掲句は、575になってますが、上5がごにょごにょ。

(1)石畳菊と花桶たずさえて  郁子(60代,女)
(2)ワイドビユー十六夜の月手の中に
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)墓参りの情景だと思いますが、清々しくて、好きな句です。墓参りといれてないのが好感。
(2)「ワイドビユー」が入った句を初めて見ました。「十六夜の月手の中に」の句意がわかりにくく、気分に流れ勝ちか。しかし、新鮮なものを目指している心意気が良いですね〜。

(1)満月の意のまま交わす赤ワイン  うさぎ
(2)桟橋に月を残してサヨウナラ
 ドクターえなみに診ていただけるのも、あとわずかと思うと寂しくなります。ご指導有難うございました。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「意のまま交わす赤ワイン」が変な文脈で、満月の高揚した気分を伝えており、良いと思う。
(2)わたしへの挨拶句として頂きます。ありがとうございました。お元気で。

野分雲割って朝日は全き円  穂波(女)
 9月の初め、台風が来る直前に見た光景です。よろしくお願いします。「切花の息」の句へのコメント、3つのうち一番地味なものを評価していただいて、ありがとうございました。ドクターのコメントは、具体的でユーモラスなので、この2ケ月、ずいぶん励まされました。みなさんへのコメントも参考にさせていただき、入門書や好きな句を読み返しました。また少し句が作れそうになってきました。もしかしたらもう1回投句できるかもしれませんが、間に合わないといけないので、今回、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
ドクターえなみの診断と処方箋
 また俳句を作る気持ちなれたら、素晴らしいことです。前回の句ですが、推敲前の「ひと粒の切花の息秋すずし」は、「ひと粒の」に目がとられ、「切花の息」にたどりつかなかったようです。余分な語句が焦点をぼかすことがあるのだな〜と感じています(鑑賞力のモンダイもありますが)。掲句、マッタキエンが潔い気分を表現していると思います。穂波さんの決意を感じて清々しいのですが、それを考慮に入れないと、句としてはありがちな部類かも。しかし、そもそも俳句は評価されるために作るのではなく、「自分の思ったこと、したことを記録しておきたいという本能」が俳句の原点ですから、こんな事を言うのが野暮天というものです。また、お目にかかりましょう。

(1)夜勤明け初物の柿ひとつ買ふ  蓉子(50代,女)
(2)七夕や隣りの席の忘れ傘
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)句材は良いと思いますが、柿がどうでしょうか。うまく言えないのですが、柿は東京でも通り道に木が植えてあったりして眺めていますから、「初物感」(変な言葉ですが)が薄いような気がします。
(2)軽い句ですが、ユーモラスでいいと思います。

ショパン聴く午の深さや酔芙蓉  けいこ(女)
 後もう少しですが、宜しくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 「午の深さ」に虚をつかれました。「午」ウマは、真夜中をネズミとする時間の事でもあり、昼の12時。その言葉だけで一句が新鮮になっていて感心しました。酔芙蓉も深い知性を感じさせ、適切です。あと、数日ですよ〜(^_^;)ゞ

(1)数匹のこぼれて鰯雲流る  文の子(60代,男)
(2)扉無き門柱聳ゆ今朝の冬
(3)川止めのありける川や鳥渡る

 10・26のご診断有難うございました。「鳥渡る川止めありし大井川」を推敲しました。宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「鰯雲」だから「数匹のこぼれる」で、言葉の上ではつじつまがあっているのですが、やや実感にとぼしい気がしました。窮屈な読み方にも、問題があるのかもしれません。全くたとえですが「流れ」をとり「数匹をこぼしてゆけり鰯雲」のように、ゆったりとさせた方がいいようです。
(2)文の子さんの句は、言葉がパンパン、満員、ぎっしりですね〜。ちょっと読む気もおきないです(笑)。もうひとつは、必要ないところで難しい言葉を使わない方がいいでしょう。漢字を減らし、カナも上手に使うといいでしょう。もっと、わかりやすく、それでいて深く、新鮮にとなったらサイコウですが。以上は、この句だけのことではない、ということで、この句はパスします。
(3)「川止めのありける川」と、川がふたつでうるさいのでは。というか、川止めがあった川という句材だけで詠む限度かも。文の子さんは、「どう詠むか」の方に頭が向かい気味ですが、「何を詠むか」という発見にエネルギーをそそいた方がいいのでは。おそらく、「こんな事が俳句になるのか〜」というような体験をされるといいのでは。次のドクターの三宅さんは、そういう俳句の名人ですから、いろいろ試して診断を仰ぐといいのではと思います。


2007年10月31日

切っ先を見る目するどく菊の花  雀子(60代,男)
 ご指導ありがとうございました。先生のご健勝をお祈りしております。なお、ピトンは岩登りで使うハーケンの意味で使いました。
ドクターえなみの診断と処方箋
 前回のピトン、全くの勘違いでした、失礼しました。切れに関する診断はまちがっていないので安心しました。掲句ですが、「切っ先」が何の切っ先かわからないので、それを「見る目するどく」も分からないのでは。菊なので似合うのは、日本刀かとは思いますが。

(1)霧の中こつと現るななかまど  小口泰與(60代,男)
(2)藁塚の揃ひて南に倒れけり
(3)日をつれて池に浮き立つ紅葉かな

 よろしくご指導願います。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「霧の中」から「こつと現れる」という演出が効いている。真っ赤に色づいたななかまどを、どう表現したらいいかと思案にくれたことを思い出すと、この句がそのひとつの答えになっているのかも。
(2)「揃ひて南に」が、大きな風景をイメージさせます。上質の写生、学ぶこと多しです。
(3)水面に紅葉がふえてくるということでしょう。やさしい言い方で、このように表現されたのがスゴイと思います。「池に浮き立つ」が一番の手柄。「日をつれて」が時間的経過。全くムダのない表現です。

(1)もみづるや肩に食ひ込む旅鞄  しんい(女)
(2)猫舌も何の其のなり河豚雑炊
 よろしくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)面白いのですが、ちょっとありがちな情景かと思いました。旅行鞄を「旅鞄」とするのは、それほどムリを感じさせる言い方ではないので、使わせてもらおうっと!
(2)河豚と猫舌という句材が平凡なのでは。「何の其の」ナンノソノとは言うが、「何の其のなり」という言葉は案外いいんじゃないかと感じました。

宣誓の雄叫び五人天高し  玉白石(50代,男)
 学校の体育大会の光景ですが、さて…… よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 宣誓の雄叫び」が当を得ていると思います。五人が具体的に情景をイメージさせます。ここで季語を「運動会」などとしては説明になってしまうので、「天高し」で成功していると思いました。

(1)寒雀飛ぶや蛤御門より  未知(50代,男)
(2)寄合のあとは酒酌む十三夜
(3)柳散る皇居外苑廻る顔

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)歴史的事実もあるが、名前の印象で「蛤御門」が効いていると思う。
(2)これは口調が非常に良い。落語の二番煎じを連想した。
(3)これは、なんてことない句でしょう。

川沿いの白壁公舎秋の夕  藤井茂子(女)
ドクターえなみの診断と処方箋
 いわゆる写生句ですが、風景の切り取り方が適切なのでしょう、清潔感のあふれるたたずまいをイメージさせます。また「白壁公舎」がシブイが、クリエーティブ。知事の公舎なのでしょうか。

晩秋の森へよたよた蝶がゆく  豊田ささお(70才以上,男)
 もうほとんど後がありませんねえ・・・船団風にあこがれて、結局まねできないのを納得しつつある今日この頃です。
ドクターえなみの診断と処方箋
 保守と革新というハナシを聞いたことがあります。「保守」とは過去の中にすばらしいものがあると考え、「革新」というのはこれから先にすばらしいものがあると考えるということだったと思います。革新は、ある時は稚拙のようにも見える、失敗も多い。しかし、わたしは革新でいたいと思う。といいつつ、革新的な句など、ほとんど作っておらず、恥ずかしい〜のですが(^_^;)ゞ。そう考えると、掲句は革新ですね、どう考えても(笑)。「よたよた行く」が情けないばかりで、外してしまっていると思います。

(1)新蕎麦や武骨な手より打ち出され  千鶴子(60代,女)
(2)赤とんぼ共に駆け行くゴールまで
 どうぞよろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)無骨というと男をイメージしますが、それだけではまだ弱いと思います。無頼という言い方もあります。また、多趣味な手、無趣味の手、多忙の手、いけめんの手、無口な手、雄弁な手。自分で、どっきりするまで考えてみてください。
(2)ほほえましいが、頭で作った句だな〜と思えてしまいます。

(1)長き夜や夫婦それぞれ違ふ趣味  せいち(60代,男)
(2)秋深し一部ごとにある時間
(3)吸い込まれそうな空より桐一葉

 えなみドクター、ありがとうございました。推敲の余地あると思われる句については、アドバイスを参考に推敲を試みます。またの機会にも宜しくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)たくさん詠まれている句材で、難しそうですね。「夫婦それぞれ違ふ趣味」の目のつけどころは面白いと思うのですが、違っても、夫婦なので共通点がある、などのつながりがあると、いい句になるのでは。季語違いますが、「人それぞれ 書を読んでゐる 良夜かな /山口青邨」などは参考になるのでは。
(2)「一部」が本の第一部なのか、ビデオの第一部なのか、それとも夜そのものの第一部なのか不明です。
(3)「吸い込まれそうな空」を入れて、なんとか(失礼)575ですが、口調が悪いですね〜。全くゴロだけのたとえですが「吸い込まれそうねあの空桐一葉」のように、声を出して読み、そのシラベをチェックする事も大切。そういう事から良い句が生まれる事もあると思います。

骨と骨胸と胸との眠り草  裸時(30代,男)
ドクターえなみの診断と処方箋
 「骨」は、いろんな暗号が含まれていて興味深い。「眠り草」も不思議な草。「骨と骨」はイメージがわくが「胸と胸」が文字合わせなのかも。不思議な雰囲気のある句でした。


2007年10月30日

(1)片に灯の入(はい)る燈籠秋黴雨  文の子(60代,男)
(2)紅葉づれし欅の先や青き空
(3)十三夜約せし人の現はれず

 宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)寺社俳句ということもあって、古めかしい句だな〜と思います。
(2)う〜ん、ずいぶん堅苦しい句で、青空もいかめしい。
(3)「約せし人の現はれず」などと言わないでも「待ち人来ず」と言えばいいと思います。文の子さん、もっとすっきり詠むことを考えた方がいいのでは。

ポケットに秋思がひとつ銀ボタン  けいこ(50代,女)
 先回の「ポケットに残る秋思や雨催い」を推敲してみました。まだ結社にも所属していない初心者ですので先生のご指導が唯一の勉強の場です。宜しくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 俄然、言葉の流れが良くなりましたね〜(^_^;)ゞ。もうすぐ三宅ドクターが始まります。お稽古を続けらるよう祈っています。

(1)覆ひくる落葉の壁や九十九折  小口泰與(60代,男)
(2)朝靄の白駒池の紅葉かな
(3)夕間暮れ雁の数をば問ふてをり

 よろしくご指導願います。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)日光いろは坂の紅葉のころは、こんな風景が展開するのでしょう。「覆ひくる」が工夫の言い方で、適切。
(2)これは、もの足りない。
(3)句材も、言い方も古めかしい句という感じです。

(1)つゆくさやわかるるといふはじまりも  蓉子(50代,女)
(2)ゼラニウム女の視線冷ややかに
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)う〜ん、山本さんへの返歌のようで照れますね〜。いかにも女流という詠み方、お上手な句ですね〜。
(2)ハッとさせられる句。ゼラニウム、迷われたと思いますが、成功です。感心しました。

(1)秋天へ一気に上るロープウエイ  岬(女)
(2)山頂に誓子の句碑や秋深む
(3)千尋の紅葉の谷やロープウエイ

 ナイスアドバイス何時も有難う御座います。この間の土塀のように的を絞って町での吟行をしたいと思います。これは先日三重県の御座所岳に行ったときに詠みました。前にケーブルカーでアドバイスを頂いていましたがこの様な乗り物を詠むのは難しいですね。直下150mで怖くて景色を見る余裕は余りありませんでした。
ドクターえなみの診断と処方箋
 ハハハ、怖くて下が見れなかったんですか〜。この3句を詠んだのは吟行ではなく、ただの旅のようですが、吟行ではこのような句がたくさん生まれるように思います。しかし(1)ロープウエイは、このようなものですし、(2)は山頂に句碑があったという報告にすぎません。
(3)わずかに「千尋」に工夫の跡があります。これは自戒をこめてですが、人が見逃してしまうような何かが詠めると、いい句が生まれる可能性があるのですがね〜。

(1)二番目の悩み打ち明け鳳仙花  れい(70才以上,女)
(2)その色を着てみたき色秋なすび
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)という事は1番目の悩みがあるということで、思わせぶりで面白い言い方だと思います。鳳仙花も、ある日、弾けて種が飛ぶ、また爪に色をぬって遊ぶ女性に縁のある花、適切だと思います。
(2)茄子紺といいますが、その事を言わずに、こう読んだ。「その色を着てみたき色」には感服しました。

(1)折り伏して秋草あわれ日の曇り  由利子(70才以上,女)
(2)落ち葉きて路に描く絵を彩れる
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)俳句的な魅力のある言葉が並んでいますが、どこにも焦点が当たってないような感じを受けます。特に「日の曇り」が効いていないのでは。「折り伏して秋草あわれでありました」の方が、まだイメージが浮かぶのではないでしょうか。
(2)この句は、落ち葉が道に絵を書いているということでしょう。その事をシンプルに詠まれるのがいいと思います。「路に描く絵を彩れる」がいじりすぎでしょう。

(1)秋の風涼し温しと揺れ動く  郁子(60代,女)
(2)秋澄みて月は雲母(きらら)となりにける
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)暦と気候のずれは、昔からあったようですね。「あかあかと日はつれなくも秋の風」この句も、秋になったはずの8月末に金沢で詠まれた句だそうで、実際は、とても暑い日のようです。郁子さんの句は、良く分かって実感があるのですが、秋、夏、春の季語が入っている。秋の季語だけでなんとか詠めたいいと思うモノです。
(2)月が雲母になったと思うかどうかは、その人の感性ですから、なるほどと思う人も、そうでない人もいるでしょう。わたしは、実はあまりピンときていません。でも、あの半透明で薄くはがれる雲母は秋っぽいな〜と思います。

(1)アナウンスにふと旅心秋信濃  芳江(70才以上,女)
(2)秋の蝶少なき花のひとりじめ
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)誰に俳句を見せるのか考えて言葉を選んだ方がいいですよ。わたしには「アナウンス」と言われても全く伝わらないので。村の、施設の、ラジオの?
(2)いい句材だと思います。「少なき花」が言葉足らずのように感じます。「〜ひとりじめして秋の蝶」なカタチが安定するように思うが上5がまとまるかな〜。

学舎に児の来るけはい野分後  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 「学舎に児の来るけはい/野分後」。野分後とその前に何の関連もないように思えます。つまり季語の選び方が適切ではないと思われます。

(1)塵と化す星の果てなる命かな  未知(50代,男)
(2)東の塔に隠るる十三夜
(3)松島は舟の水脈あり月の海

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)そうかも知れませんが、大きくかまえすぎで共に考える気がしない。
(2)「ひんがしの塔にかくるる十三夜」と開けば、雰囲気ある句かも知れませんが、そこまでの句でしょう。
(3)何の事やら。

とことんまでとんがるつもりとうがらし  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
 「とことんまでとんがるつもり/とうがらし」。前半は一般的な事で、とうがらしを取り合わせた、と読めないこともないのですが、「と」の音で繋がっているので、前半はやはり「とうがらし」の事でしょう。一読して面白いな、たのしいなと思ったのですが、とうがらしが尖るとはどういう事だ〜と思うと、さほど意味はなく、そこまでの句だと思います。


2007年10月29日

幽けくも餅撞く兎昼の月  雅(50代,男)
 車を走らせながら、ほぼ満月に近い昼の月が東の空に見えました。 昼の月には珍しくはっきりと見えましたので、感激しました。
ドクターえなみの診断と処方箋
 うさぎが餅をつく、あるいはつかない辺りの連想は、平凡。感激を自分の感覚で新しい言葉にすることが大事だと思います。頑張りましょう。

(1)名にし負ふ竜頭ノ滝の紅葉かな  小口泰與(60代,男)
(2)ひつじ穂や十指を伸ばし深呼吸
(3)谷あいの三文店や山葡萄

 よろしくご指導願います。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)(2)手慣れた句で、お上手ですが、古めかしい句。
(3)「三文店」とは?興味あります。

三毛の背に 弧をかくむくげ 月明かり  漣鈴(40代,女)
ドクターえなみの診断と処方箋
 猫の背中に月が槿の影を落としている。言葉が目一杯入っているわりに、やわらかく自然に情景を描いていると思います。あとは描かれた情景の好みですが、「月明かり」のポエジーさが、わたしにはちょっとワザとらしく感じられました。

(1)恋やつれといわれてみたき恋の猫  蓉子(50代,女)
(2)駅裏の八百屋のラジオ朝寒し
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)珍しく平凡です(^_^;)ゞ
(2)東京の桜新町にはサザエさん通りがあって、そんな町の風景が目にうかびます。ラジオは、手仕事をやりながら聞けるメリットがある。ラジオを詠んでみたくなりました。

ボクを待つお色直しのコナラの木  豊田ささお(男)
 えなみドクターいつもありがとうございます。この句はまだ診ていただけましょうか?あのマツボックリの句ですが、俳写にしてみました。お見せできないのが残念・・か・・幸いか?ですね。
ドクターえなみの診断と処方箋
 リスのパイナップルですね(^_^;)ゞ。う〜ん、ボクというのもお色直しも、ちょっと不明です。覚えていたら、又ということで、お元気で。

(1)蟹といふ兎と駁し今日の月  文の子(60代,男)
 一月戻りますが、宜しくお願い致します。
(2)十三夜うさぎの跳ねることもなく
 昨日が十三夜と聞きました。満月には見えなかったのですが。宜しくお願い致します。
(3)名月や吾うさぎ年君かに座
 前の句と同じ発想ですか、1日3句までの決まりに従い別にお送りします。宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「駁し」がむつかしすぎますよ〜。バクスル、反論する。漢検準一級です。特別の人しか分からない言葉で俳句を作るのはやめましょうよ〜。
(2)きれいな十三夜でした。さて、兎が餅をつかない、はねていない、などは、すでに言い尽くされた事で句にならないと思います。
(3)文の子さんの俳句力なら、選句能力もかなりあるはず。面白い句や、判断に迷う句を送っていただくといいのでは。この句はつまらないです。

内弁慶べそかき神輿かつぎをり  しんい(女)
 内弁慶の子が・・・と言う意味なのですが、省略のつもりですが、これって3段切れ?よろしくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
 意味は分かるから大丈夫です。べそかきはいらないかも知れません。「大みこし内弁慶がかつぎをり」のようなのはどうですか。

(1)コスモスの赤赤白黄ハイタッチ  えんや(70才以上,男)
(2)捨猫を月夜に戻し泣く子かな
(3)メモ紙の裏を読んでる長き夜

 2ヶ月間大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。寒さも日に日に募ります、風邪など召さないようにご自愛ください。(3)は「メモ紙の裏は財形秋ともし」では?
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)カタカナが多いので軽い句になりますが、なによりも新しい詠み方をしようという気持ちが素晴らしいです。
(2)う〜ん、泣ける句ですね。「月夜に戻し」が月に戻すように感じられてポエジー。
(3)掲句は、口がごもごもする。すっきり詠めるはず。「財形」の句は、たぶん唐突すぎて意味不明。意味が分かっても面白くないでしょう。「赤信号向かひに句友夏帽子」の頃からのお付き合いでした。またお目にかかりましょう。お元気で!

(1)秋なすび娘のぐちを聞くために焼く  未知(50代,男)
(2)早々のあとの余白やそぞろ寒む
(3)マンホールより金管の音冬に入る

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)未知さんなら575にできるのを、ワザと字余りしている。くだけた感じがでて、こういう句も悪くないのでは。
(2)句としては、分からなくもない。が、何の早々なのかが分からないと、感情が入りにくい。
(3)音大などの近くでは、こういうことがありそう。面白い発見です。発見したから→冬に入る、のように感じられる。ここは動詞のない季語の方がいいのでは。たとえば、冬隣とか、24節季とか。

(1)指先に刹那に解けし彼岸花  うさぎ
(2)ホスピスに三度訪ねし柚子沁みる (3)友逝きし朝に変わらぬ天高し
 ドクターえなみ、ビギナーの俳句に丁寧にご指導、ありがとうございました。 (1)は直したものです。昨日、フロリダの友達から、悲しい知らせが届きました。こういうことが、俳句になるとは、2月にはじめたときには、考えても見なかったと思います。(3)天高し 又は 秋の空?
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「指先に刹那に解けし」ものは何だったのか。このままでは「彼岸花」としか読めないが、それでいいのですか。としたら意味不明。実は、別のものが「解けし」で、彼岸花と組み合わせた句だと思うのですが。
(2)「柚子沁みる」が変わってますね。きっと何か意味があるのだと思いますが、それが伝わってきません。
(3)友の死を詠み覚えておくのは意味ある事です。季語は、その時のものを入れると記録にもなります。友が逝っても日常は変わらないということでしょう。友を思い、友に近いモノ。花の名前などはいかがですか。

(1)正社員積み木を突いて月長い  裸時(30代,男)
 裸時ワールドにようこそ→僕のページは少数ではまるタイプなのかと思います(^^;
(2)立あおいイナセ男のメッカです
 「メッカ」が死語になりそうかもです(^^;
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)三段切れ(2)全く分かりません。この句、23日に送ってもらったのですが、見落としていました。と言っても、大した事書いてないのですが〜(^_^;)ゞ


2007年10月28日

(1)苔庭の金明孟宗竹の春  岬(60代,女)
(2)雨けぶる勇の歌碑や木の実落つ
(3)茶の花の咲く川原や流れ橋

 先日京都八幡市にある松花堂にある史跡のお庭を拝見したときに、竹幹が金色で周りが明るかった竹を見て、かぐや姫の物語を思い出しました。よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)これは人によるのでしょうが、残念ながらキンメイモウソウでかぐや姫を想像する事ができませんでした。せめて、「姫」とか「竹が輝く」などのキーワードが欲しかった。そうなると、苔庭がいらなくなるでしょう。
(2)吟行で句碑があると必ずそれを詠む人がいますが、そばにある木を詠み込んだり天気を詠み込んだりするだけの、ほんとワンパターンです。それなのに、必ず一人や二人、そういう句を選ぶ人がいるので、俳句をやめたくなっちゃうのは、こういう時です〜(^_^;)ゞ
(3)やわたの流れ橋、興味深いですね〜。この句上手に出来ていますが「茶の花の咲く川原や」が、流れ橋と何の関連もなく、物足りない気持ちになります。吟行などだと、側にあるものを詠み込むのが自然なので、こういう句が多くなる。難しいところです。

(1)青山へ夕べの大きな秋の虹  遊雲(70才以上,男)
(2)十月の眼鏡の奥の光るもの
(3)行く秋の宇治十帖を探ねけり

 生活的には11月は「晩秋」ですが、来月8日はもう立冬。佐々岡が去り、セパ2リーグ堅持の功労者・古田も去り。私的には弟が亡くなり。
ドクターえなみの診断と処方箋
 ご不幸がおありで、お気の毒です。しかし、いずれは自分もあの世に行くことや、夏の次は秋がきて、四季が巡っていくことはわかっているのですから、これも定め。健康に留意し、毎日が楽しく充実したものであるように祈っています。
(1)人生いたるところセイザンあり。「夕べ大きな」で7文字で整えると口調がなめらなです。
(2)自らの感慨を詠んだ句でいいと思いつつ、良くを言えば「眼鏡の奥の光る」が常套句なので、そこまでかも。
(3)きれいにまとまったが、物足りない感じです。

輪になってすするカニ汁浜の秋  玉白石(50代,男)
 えなみドクターの診断、興味深く読んでおります。提出句は、蟹汁を振る舞うという地域のイベントの際のもの。報告句でしょうか。よろしくご診断を。
ドクターえなみの診断と処方箋
 う〜ん、報告にも、聞きたくない報告と、楽しい報告がありますね〜。この句は、報告だとしても、面白い報告だと思います。しかし、考えることはその情景しかなく、その後に心にフツフツと詩的感興がわくことがない。つまり、楽しい報告句でしょう〜(^_^;)ゞ

人違いで肩叩かれて秋思  藤(10代,男)
ドクターえなみの診断と処方箋
 俳句の本に「季語の説明はするな」というのがあったと思いますが、この季語は、こういう事です〜というのが俳句になっているのを指します。この句がそれにあたるのかも。12文字を、もう少し分かりにくくする(結果としてですが)か、季語を変えるのが良いのでは。

(1)二輪車のその子逝きたる夏の雲  蓉子(50代,女)
(2)夏雲や死はあっけなく知らさるる
 水田少年の死を知ったのは、朝刊からでした。家庭的にあまり恵まれず、これからという少年の早すぎる死を悲しまずにいられませんでした。
(3)骨壷のあまりに軽く水葱の花
 水田少年の死を悼む思いで作句したのですが、句会で、有名な句の類句と言われがっかりしました。水葱は今はあまり見られない草花ですが水田君のことを詠みたくてあえて季語にしました。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)自句自解がついてしまうと、無心で読むのと変わってしまいます。小さい子があの世に行き、それを悲しんでいる事は伝わったと思います。「夏の雲」が適切です。
(2)わたしも月曜日、後輩の思いがけない死を知りました。お葬式に行かずでしたが、心の中で手をあわせました。ここでも「夏雲や」の明るさ、大きさが効果的だと思いました。
(3)「軽く」と連用形になっていますが、悲しみを伝えるなら「軽し」と切り、強い意志を伝えるべきだと思います。「骨壷のあまりに軽し/水葱の花」。

(1)秋薔薇や少女りりしく現はるる  文の子(60代,男)
(2)晩秋の暮初むる町単車の灯
(3)オルガンに多彩な音色虫集く

 宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)ワンピースなどを着た賢そうな少女を想像し、面白く思いました。底5自発の「るる」が効いているのかな〜。「現れる」と、どう違うか、むつかしくてわかりません。
(2)いい句材ですね。言葉ががちゃがちゃして、それが都会っぽい気もしますが、「暮初むる」と「灯」がダブっているようにも感じます。もう少しすっきり詠む方法があるような気がします。
(3)郷愁の句、昔の小学校の音楽室、日暮れで、木造の窓の外に虫がすだく。「オルガンに多彩な音色」と感情をこめずに言ったのが成功していると感じました。

(1)松手入新幹線が空っぽだ  仁(60代,男)
(2)饒舌な妊婦の走る文化の日
(3)朝顔の顎出しきって奔流へ

 ドクターえなみ、 久しぶりに診断お願いします。  やっと秋らしくなってきました。この一ヶ月余り拙句をご診断いただきましてありがとうございました。お褒めのことば有り又厳しい指摘ありでこれらを参考にして楽しんでいきます。 先日17、18、19日とディズニーに行ってきました(孫のお守り役)私は4回目ですので1日ぐらいは何とか抜け出して「モナリザ」でも行ってコーヒーの一杯もと予定をくんでいましたけれどかみさんに許してもらえず残念でした。 又、いつかの機会にお会いできますのを楽しみに・・ありがとうございました。 次は三宅ドクターとのこと三宅ドクターも忙しい方ですね11月3日は現代俳句のパネリストですね。
ドクターえなみの診断と処方箋
 句会のことは残念でした。HPには、その次の予定なども書くことになっていますので、気が向いたらいつでもお越しください。
(1)変な句ですね〜。こういう句は好き嫌いあるでしょう。ちなみに私は好きです。みんなが松手入に忙しく、新幹線に乗る人がいなくなったなどは、ナンセンスギャクじゃないですか〜!
(2)こういうのはシニカルというんでしょうか。「饒舌な妊婦」というのが面白く、それが「走る」、しかも「文化の日」とは。いや〜、恐れ入りました。
(3)これも何やら面白そうですね〜。「奔流へ」の言い回しが並ではできない。「顎出しきって」が、種が割れてでてきた辺りか、新芽が背伸びしている辺りか、鉢植えで一本だけ成長が早いのか、いろいろ取れる。17文字しかないので、説明不足はいたしかたなし。むしろそれを逆手に取ってヒントを与えて後は読み手が膨らまして楽しむのが、俳句なのでしょうね。3句とも、すごい!(もうすぐ終わりなので、大サービスしているワケではない)。

(1)猫二匹屋根の上行く秋夕焼  ポリ(50代,女)
(2)秋日和えらいこっちゃと靴磨く
 ひらがなで書くのか漢字で書くのかで、すっかり句の雰囲気が変わるのですね。「うすみどり」も「飲みこむ」もおっしゃる通りだと思います。2ヶ月間いつもわかりやすく教えていただきありがとうございました。
ドクターえなみの診断と処方箋
 何でもいいので、ひとつでもお役にたてれば、こんなにうれしいことはないです(^_^;)ゞ。
(1)とぼけた味がある句で「三丁目の夕日」のようですね〜
(2)わたしの友人に「えらいこっちゃ」が口グセの人がいます。その人は毎月がえらいこっちゃで、もうすぐ「11月になって、えらいこっちゃ」というに決まっています。この句は、その人の事を思い出したので、ものすごく面白かったです。「靴みがく」という全くカンケーないことが入っているのもグーです。

(1)秋深し一筆描きの墨彩画  しんい(女)
(2)朝戸出や背戸の白萩散り止まず
 えなみドクターにご指導頂けますのもあと数日ですね、よろしくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「一筆描き」には、パズルめいたものを感じます。もしかしたら、一気に書き上げたということかも知れません。辞書を見ると、筆先を離さずにかきあげることも「一筆描き」なので、これでいいのかも知れません。これが伝わりにくいのがひとつ。もうひとつは季語があまり効いていないような気がします。
(2)白萩は、こないだ谷中の経王寺で見ました。白いだけに、こぼれると気になる。さて、後半は名調子(常套句かも知らないが)なのですが、朝戸出アサトデがむつかしいのと、声にだすと調べがわるすぎる(読んでみてください)。まずは、上5を考え直すといいでしょう。

(1)蓑虫やことに古りたる丸太橋  小口泰與(60代,男)
(2)そよ風や池にたゆたふ夕紅葉
(3)木犀の香に片時の淡し夢

 よろしくご指導願います。
ドクターえなみの診断と処方箋
 どれも、手慣れた句でお上手だとおもいますが、古めかしい句という気もします。
(3)の「片時の淡し夢」は、ロマンだと思います。小口さんは漢字で書けるものは皆漢字にされているようですが、言葉のニュアンスや並び面をみてカナ表記も併用されるといいと思います。「木犀の香にかたときの淡き夢」などと。

天高しぽきぽき折れるビルの屋根  茫茫(50代,男)
 勉強させていただいております。しんさ氏の担当がこの十月とともに終わるということで、そのまえにいちど健康診断をお願いいたします。『屋根』の措辞、やや不健康なように思うのですが(笑)。
ドクターえなみの診断と処方箋
 一度目は、あまり面白くなかったが、二度目に読むと面白く思うことや、その逆の事もある。読み返してみると、適切でない診断もある。俳句の測定軸が日々動いている(成長しているとも)こともあるし、体調や家庭の平和状態などで読みがぶれる。ということで、茫茫さん、当たるも八卦ヨイヨイで、聞いてください〜(^_^;)ゞ
 この句、句意がむつかしかったです。空にそびえている高層ビルがぽきぽき折れるという事なら、屋根はいらないのでは。新宿から見えるNTTのビルのような屋根があるビルが頭にあるのか。伝える方も、伝えられる方も、ちょっと不消化かも。良ければもう一度、お越しください。

(1)ふるさとに来ればなまりし赤のまま  未知(50代,男)
(2)学友に逢ふもさくらのもみじかな
(3)角に立つ秋ゆうぐれの赤ポスト

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「赤のまま」の「まま」が、ふるさとに来て昔に帰ってしまう事を伝えて効果的です。淡々とした詠み方も好感です。
(2)「学友に逢ふ=さくらのもみじかな」の断定で、俳句らしい伝え方です。さくらに「同期の桜」の連動があり、すこしクサイ気がしますが。
(3)季語の場所が中7の頭という変わった句。「角に立つ」のがポストとも自分とも読め、それが面白い効果をあげていると思います。


2007年10月27日

栗ごはん皮むき競う親子かな  茜(50代,女)
 はじめまして。ご指導よろしくおねがいします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 はじめまして。こちらこそよろしく〜。さて、栗をむくのはタイヘンにやっかい。わが家では「くりくり坊主」という便利グッズで剥いているようです。さて、この句は茜さんの実体験かもしれません。逆に言うと、実際にあったことの報告になってしまっているような気がします。 何を感じたのか、何が面白かったのかなど、自分の心が動いた瞬間にフォーカスを絞り込む必要があるようです。

ひつじ田や山まで届く朝日影  多弁(60代,男)
 「山の芋伸びろサンバのところまで」は、地中をどこまでも行けば地球の裏側「ブラジル」へ届くでしょう?
 やりすぎでした。
ドクターえなみの診断と処方箋
 サンバの句、ブラジルかな〜と思ってしまった。「ブラジルだな」と分かれば面白い。しかし、説明がなく読むわけなので、分かるか分からないか、面白いか面白くないかはは微妙なんですね〜(^_^;)ゞ
 さて掲句、ひつじ田と、山と、そこに届く朝日の影と、構成が複雑に感じました。

(1)下戸同士ブラックジョークの秋の夜  藤井茂子(女)
(2)言い訳は喉で蓋する秋の暮
(3)途中下車してまでくぐる秋のれん

ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「下戸同士ブラックジョーク」というのが、酒飲みのブラックジョークとどう違うかわからなかったです(笑)
(2)「喉で蓋する」という言い方が、さほど面白くはなかったです。
(3)名古屋では大甚、大阪では明治屋、京都は赤垣屋。実際に途中下車していく居酒屋があるので、現実的な事と感じてしましました。「してまでくぐる」が大げさな言い方だからでしょうか。

(1)右脳の楽しきところ十三夜  北野元玄(60代,男)
(2)野菊咲くイイクニツクロウ野郎ども
 ご無沙汰しております。(1)は「みぎのう」と読んでみてください。(2)はイイクニツクロウ鎌倉幕府の捩りです。野郎どもを冒頭(上七)に出すことも考えておりますが・・。残念ながらもうお別れですね。いろいろ有難うございました。また、近いうちにお目にかかれればと思っております。
ドクターえなみの診断と処方箋
 お久しぶりです。これを書いている段階で、残りあと1週間です。俳句の面白さって、どこまで許されるの〜という問いかけを北野さんにしていただいたような気がしています。これからも、おつきあいください。
(1)「右脳の楽しきところ」が一般的に共有された認識になっていないことと、言われてもこの文がきっかけになり意識が表面化することもないと思うので、分からないのでは。
(2)おもしろいことも、タイミングが悪いと受けない。この句のようなところにイクニツクロウと入っても面白いとは思えない。以上、久々の診断なのにきびしい言葉で申し訳ないです(^_^;)ゞ

(1)人参は同じことの鉄の箱  裸時(30代,男)
 「死の海」いただきました(^^。確定してやれやれです→(^^;
(2)いわしぐも柱の裏に煙ある
 句会の帰り道に浮かんだ句です→携帯のメールでパソコンに送りました→ ドクターえなみの診断と処方箋
 確定して、わたしもうれしい(笑)。
(1)人間の感じたことや考えたことと言葉は対応していないので、感じたことに近い言葉を選ぶのはなかなかむつかしい。これは、夢を言葉で伝えようとすると、言葉になったものは、すでに夢の中と違っているというような事だ。しかし、これも、まずイメージがあってのハナシ。まず、イメージをしっかりと思い出す。次に、それを近い文章で定着するということか。この句、3段切れっぽくて、頭がボーッとしてくる。
(2)わたしも歩きながら、句を思いつくことがある。家に帰りさっそく文字にしてみると、575とほど遠かったり、唯我独尊の句でがっかりする。この句もその手では。「いわしぐも柱の裏に雲がある」なら、とりあえず分かることは分かるが。

(1)目玉から流れる雨や秋の鹿  うさぎ
(2)撫子の牛の舌に巻き取られ
(3)乳飲み子に桃の匂い少しして

 このあたり、かなり開発が進んでいますが、ぽつぽつと取り残された林には、鹿がいます。宜しくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)鹿は目もつぶらずに秋の雨の中にいる。それは悲しみの涙のようですし、仏さまの慈悲の涙のようでもあります。もしも、わたしがこの句の作者なら辞世の句候補にしたいようないい句です。大事にされるといいでしょう。
(2)面白い詠み方です。上5や、底5の字足らずは緊張感が出て面白いときもあるが、中6は、ゴロが悪いだけの時が多いと思います。雄牛、雌牛、仔牛など、一文字足したらいかがでしょう。
(3)実際にそうだったんでしょうか。この句も発見というか、クリエーティブな匂いがして、とてもいいですね〜。「桃の匂いの」として中7にしたいと思います。

(1)火の粉追ふ幼子ゐたり年の夜  蓉子(50代,女)
(2)生まれるも死ぬるもおんな八重桜
 この句女の業なまなましいので、しまってあったのですが、・・・・ご診断おねがいします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「女の業なまなましい」とありますが、どの辺がそうなのでしょうか。そもそも「火の粉追ふ幼子」とは何の事だろうか。気持ちが奥にあって、言葉が空回りしているようですよ(^_^;)ゞ
(2)記憶をたどると、徳富蘆花の不如帰がテーマになっているのだろうか。蓉子さん、絶対に自己陶酔ですよ。失礼ですけど、歌謡曲の文句のようで全く面白くない句だと思います。(すいません)

(1)新蕎麦の辛きがうれし飛騨路かな  えんや(70才以上,男)
(2)コスモスの赤きに触れて通院す
(3)しぐるるや肩に傘ある陶狸

 「蕎麦汁のからし奥飛騨道の駅」を推敲しました。どうぞ宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)推敲は成功。「道の駅」を取ってすっきりしました。旅心がさわぐ気持ちのいい詠みっぷりです。
(2)通院路にコスモスが咲いているんでしょう。う〜ん、変な文脈なので、逆にジッカンがあります。
(3)こういう風流は、昔のお年寄りの句のようです(笑)

(1)津軽野の水の澄みけり開墾碑  未知(50代,男)
(2)梟や聞き耳たてる不動尊
(3)十和田湖の底の底まで水澄めり

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)安定した句だが、いかめしい感じの句でなじめません。
(2)不動さまだったり、羅漢だったりして、ある種のパターンでは。
(3)「底の底まで」に力がなく、イメージがわかない。

(1)木犀の一挙に開き遠汽笛  しんい(女)
(2)居酒屋も我が家も秋刀魚づくしなり
 いつも有難うございます。噛んで含めるようにご指導下さり、感謝でいっぱいです。まだまだですが、推敲で(1)は後半をガラリと(2)は言葉を整理?のつもりですが、お願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「一挙に」が入って、木犀に表情が生まれました。これとの取り合わせですが「遠汽笛」もあるでしょう。わたしにはやや唐突と感じられました。しかし、ねらい目はいいと思う。この調子です。
(2)すっきり詠めていてとてもいいですね?。しんいさんもこの句が出来たときカイカ?ンがあったのではないですか。おめでとう!


2007年10月26日

(1)押し出して投手の孤独鰯雲  文の子(60代,男)
(2)鳥渡る川止めありし大井川
(3)マンションの灯(あか)り幾室秋の暮

 10/22のご診断有難うございました。「灯に集(つど)ふ虫無し闇を集(すだ)く虫」の季語は「虫」のつもりでした。掲句宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)むつかしい句材ですね〜。「押し出して投手の孤独」は、どう考えても詩的とは言えません。ひとつは、「〜して、〜だ」という文脈が説明的なのかも。別の考え方ですが、季語を入れないつもりで、押し出しと投手の孤独で作られると、もしかしたら何とかなるかも。当たるも八卦的な診断ですが(^_^;)ゞ
(2)「大井川川止めありし鳥渡る」でも(文字面は変ですが)でも成り立ってしまう句で、読んでいて意味が流れる。「大井川」がいらなのでは。
(3)素直な句ですが、プラスなにかがないと、これだけの句になってしまうと思います。

十月の薄暮をいそぐ湾岸道  蓉子(50代,女)
 ご診断ありがとうございます。山肌の句あわてて送ったようで、竹の春が秋になってしまいました。以後確認してから送信いたします。よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 竹の秋の句、考えてみたら「あたたかい」が春の季語ですから、季語が来ること自体が複雑にしてしまうかも知れませんね〜。掲句はドライブの句。なかなかに難しい句材を上手にまとめられたと思います。

(1)黒船に開かれし地の秋桜  浅葉洋(70才以上,男)
(2)手打ちそば花の国にて秋を喰う
 近所に「久里浜花の国」があります。秋日和に誘われ満開のコスモスを見に行きました。頂上で自慢の蕎麦を東京湾を見下ろしながら食べました。辛口のご高評をお願いです。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「黒船に開かれし地」が、観光パンフレットのような言い方。俳句は詩である。ポエムである。こう思って、自分なりの言い方や感じたことを盛り込むのがいいでしょう。
(2)「花の国」というのが、コメントを読まないと分からない。これもまた事実の報告だけの句。何を感じたのか、何が面白かったのかなど、自分の心が動いた瞬間にフォーカスを絞り込む必要があるようです。自然と辛口になってしまいました(^_^;)ゞ
(1)百万のコスモスの影あわてけり  小口泰與(60代,男)
(2)栗笑むや遥かな湖へ九十九折
(3)コスモスや今朝の榛名は靄に揺れ

 よろしくご指導願います。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)たぶん、コスモスに風がふいて揺れた瞬間を詠まれたのだと思います。いい試みですが、句意を読み取るとっかかりが弱いのでは。「百万」は、はずしたくないし、う〜ん、「影の」くらいでしょうか、はずせるのは。いい句になりそうな気がします。
(2)名調子という句。「栗笑むや」の擬人化が軽くていいのですが、好みがあるとしたらここでしょう。
(3)春は霞、秋は霧。靄(字がちいさくて読めないかも、モヤです)は、季語になっていない。この句は、切れが入っていますが、説明調でいまいちでは。

暗号はカミヒコウキだ新酒飲む  裸時(30代,男)
ドクターえなみの診断と処方箋
 面白い句ですね〜。考えてみれば「暗号」というのは、いろんな所にある。道を歩くとき、電車に乗るとき、俳句の季語も暗号だ。そういうものがカミヒコウキに書いてあり秋風に乗り飛んでいる。カタカナ表記も、暗号っぽくていいですね。新酒飲むも、句を楽しくしているし、意味の広がりを持たせています。

(1)朝寒のトースト焼けていたりけり  未知(50代,男)
(2)哲学の道を歩めば木の実降る
(3)銀杏散る一千年の高みより

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)軽い句ですが、ジッカンがつかめる。朝寒の季語が生きています。
(2)取り合わせの句ですが、地名を変えれば幾らでもできてしまう。つまり、一句としてのまとまりが弱いのでは。
(3)「一千年」の具体性はいいと思うのですが、ストンと言葉が入ってこないのは、大きくかまえすぎたからかも。

折り取られ雲に挨拶するススキ  豊田ささお(70才以上,男)
 しばらく怠けていました。というより気楽に作れなくなって・・後しばらくですが、よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 そういう時は、作句力が向上したのだと、いいように思えばいいのですよ〜(笑)。さて、江戸時代の風流人のような句。「雲に挨拶する」という擬人化がワザとらしいのでは。


2007年10月25日

床払い開くとばかり山茶花の  kikumi(60代,女)
 ありがとうございます。夫の膝関節損傷6週間、今日でギブスが取れました。私のは、食あたりの様で、検査も異常無しでした。私事で済みません。
ドクターえなみの診断と処方箋
 いろいろと大変でしたね〜、まずはおめでとうございます。「床払い」という言葉は、ラッキーな事に無縁だったので、忘れていました。語順が適切でないようで、意味をくみ取りにくい句になっているようです。「山茶花も祝つてくれる床払い」「山茶花の咲き初めたり床払い」などでしょうか。

コスモスやモジリアーニの女たち  玉白石(50代,男)
 ドクターの診断、楽しみに読ませて頂いています。足りないものは何でしょう。よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 画家や美術品を詠み込むときは、瞬間的にせよ、句を作る人は、それについてくわしくなっている事が多い。ところが読む方は、あまり詳しくないので、句意をくみ取るのに苦労する。これがひとつのパターンかも。モジリアニ〜パリの画家〜首の長い女〜色男〜、こんなところが共通の認識では。掲句は「首が長い女」と関係があるのかも、分かりにくかったです。「モジリアニの女の顔の案山子かな/阿波野青畝」。

秋の日のぽえむとなりて降りそそぐ  えいこ(50代,女)
 今年の残暑は一段と厳しく長かったので秋の日差しが本当に優しく感じられます。
ドクターえなみの診断と処方箋
 ここ2〜3日、そんな気がする日がつづいています。句としては「ぽえむとなりて」が甘いと思います。つまり普通です。「えくぼとなりて」では意味不明、「微粒子となり」では説明的か、「シャワーとなりて」ではどうかなどと考えてみたらいいかも知れません。句になるかどうかは微妙ですが。

(1)空の空その空の空揚雲雀  未知(50代,男)
(2)台風の目のなかにあり牛の群れ
(3)金色のボタンおちけり秋はじめ

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)空が4回、揚げひばりが段々遠くなるように聞こえて印象的でした。
(2)「台風の目のなか」の句はいろいろありますが、「牛の群れ」は悪くないと思います。まだおだやかかも。
(3)季語がどうでしょう。「落ちる」と「はじめ」が不協和音っぽいかも。ちょっと考えたが、季語は、なかなかに難しいです。

(1)どこかしらカルピス応援菊揺れて  裸時(30代,男)
(2)柿全て柿の中の夢にある
 ふと思いつきました→柿のことが気になっています→
(3)冬ごもり御三家空を飛んでいる
 若旦那とくれば御三家かなぁ!?
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)まず、非常にゴロが良い。次に「カルピス」と「菊」の取り合わせが面白いと思いました。わたしは、カルビスを飲みながら応援している運動会で、菊が花壇に咲いている情景を思ったのですが、他の人はどんな風に思うか聞いてみたいと思います。「どこかしら」が、単に「どこか」とも「どこかしら?」とも取れる。それじゃ、どうしたらいいのかは、作った裸時さんのイメージが決めることでしょう。
(2)言いたいことが、言葉になってないような。隔靴掻痒な感じです。
(3)御三家と来れば、水戸、尾張、紀伊。郷ひろみ、西城秀樹、野口五郎、これは古い(笑)。若旦那は御三家ではない。空を飛ぶと言えば、シャガールの絵で、恋人やバイオリンが空を飛ぶ。御三家が空を飛ぶのは虚をついて面白いと思う。


2007年10月24日

ひざおしり雀つぎつぎ蛤に  汽白(40代,男)
 こんばんは。よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 「雀海に入りて蛤になる」は、10/18の毎日「余録」欄で紹介されていました。稔典先生の「季語集(岩波文庫)」からの引用とありました。汽白説によれば、雀がハマグリになるだけではなく、膝やお尻もハマグリになってしまうわけですから、タイヘンな事です。この句、11月1日の句会に出していたら当然いただく句になっていたでしょう。もったいなや、ありがたや(意味不明)

(1)降り止みし雪雲ひとの恋しかり  蓉子(50代,女)
(2)花疲れそのまま真夜の雨聞きて
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)蓉子さんの世界、やわらかい言葉でいいと思います。「降りやみし」がわたしの好みです。
(2)真夜、まよは、わたしの辞書にでていない。真夜中のまよなので、いいと思います。こちらも雰囲気のある句ですが「〜て」で終わっていて、あとに77をつけたい気分がする。「聞きぬ」で締めるか、別の方法をさぐるか。

(1)竿先に子の靴干して小鳥来る  せいち(60代,男)
(2)スキップの上手に出来て小鳥来る
(3)首回し肩を回して小鳥来る

 宜しくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)昔どこかで見たような、懐かしい風景で気分が良くなりました。
(2)悪い句ではないのですが、残念ながらスキップは良く出てくる句材だと思います。
(3)ストレッチしているのでしょう。「首まわし肩まわしして小鳥くる」の言い方の方がゴロがいいような気がしました、ご参考までに。

晩秋野炊きつけ拾ふ友が顔  ラン(70才以上,女)
 粗忽な私に丁寧に教えてくださりありがとうございます、友人が落ちてる木々を拾ってきてうれしそうでしたので、、。
ドクターえなみの診断と処方箋
 短歌なら「炊きつけ拾ふ友が顔」の後に77がついて、その内容を伝えることができます。俳句は77がないので、その後がないことを頭に入れて作る必要があります。「友が顔(がうれしそう)」とまとめないで、他の言い方にするか、他のところに目をつける必要がありそうです。「晩秋野」バンシュウノなのかバンアキノなのか、いずれも詩的ではないでしょう。「秋げしき」「秋の夕」「秋びより」などのシンプルな季語が良いと思います(作る句によりますが)。

(1)白波の立つや川辺の彼岸花  文の子(60代,男)
(2)石投げのはねて彼岸や曼珠沙華
 「対岸へ石投げする子曼珠沙華」を推敲しました。宜しくお願い致します。
(3)内定の顔揃ひけり今年米
 「内定の眩しき瞳今年米」を推敲しました。宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)(2)ともですが、季語とのマッチングがあいまいになり、よけいにごちゃごちゃしてしまったのではないでしょうか。この句の推敲は、言い回しのレベルより前に立ち返る必要があると思います。
(3)良くなったと思います。こうなってみると、季語が近く、内定の顔の説明になっているかな〜と思います。

(1)父残す胡桃手にのせくるくると  豊純(70才以上)
(2)この道もコスモス彩る散歩道
(3)曼珠沙華ふんわりふわりと風に乗り

 先生ご診断有難う御座いました。もっともだと思いました。ほんとうに勉強になりました。有難う御座いました。叉三句送ります。宜しくご診断お願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
 多少でもお役にたてば幸いです(^_^;)ゞ
(1)「父残す胡桃」が舌足らずでしょう。正確には「父の残した胡桃」です。「手にのせる」の「のせる」がなくてもいいので、それで句 になるでしょうか。父上も手に胡桃を載せていたとも詠めますが、それを句にされる手もあると思います。
(2)これだけでは平凡な句です。何か思ったこと、興味があることをプラスする必要がありそうです。
(3)曼珠沙華が風に舞っているというでしょうか。ピンと来ませんでした。

(1)浮雲を山懐に秋の朝  小口泰與(60代,男)
(2)雲間より奇岩の山や杜鵑草
(3)雨降りて凛と咲きたる赤き蕎麦

 よろしくご指導願います。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)句材に新鮮さがなく古めかしい句だと感じます。
(2)杜鵑草(ほとどぎす)は、秋の季語。ゆり科の花。見たことがあるような気がします。これも、ちょっと古めかしい句と感じます。
(3)「〜して〜とたる」の文脈が説明的な感じでした。

(1)野分かな大河を渡る牛の群れ  未知(50代,男)
(2)炎天下川に飛び込む裸の子
(3)耕人や朝の祈りは地の祈り

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)以前、ジッカンがないと診断ずみ。
(2)当たり前の風景。
(3)美文にすぎないのでは、これもジッカンがない。

(1)爽やかや今日も知ってる子に出会う  藤(10代,男)
(2)秋晴れの誰かが呼んでいる予感
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)いいテーマだと思うのですが、もの足りないのは季語が説明的だからだと思います。たとえば「踊り」とか「金魚すくい」とか「焚き火」のようなアクションだったら、情景がもっとはっきりしたでしょう。
(2)これも季語が物足りないと思います。たとえば「コスモス」とか、「マフラー」とか、「破れ蓮」などです。まだ甘いかも知れませんが。


2007年10月23日

蒼空に白線二本秋の晴れ  岬(女)
 雲のない空一面に飛行機雲が二本の線を残しながら飛んで行きました。雲が見えなかっただけに、二本の白い線が鮮やかに目に残りました。
ドクターえなみの診断と処方箋
 岬さんの句で説明すると「破れ土塀/あはいあはいのこぼれ萩」のような作り方(組み合わせの句、取り合わせの句)を目指すといいと思います。前回の句は「青空の雲」だけで作ろうとして、この句は「空の飛行機雲」だけで作ろうとしている。この作り方では、よほどのいいまわしがないと、誰が作っても同じ句になってしまい、岬さんも作りがいがないと思いますよ〜(^_^;)ゞ

(1)風呂桶を左手に帰る月夜かな  えんや(70才以上,男)
(2)大木の傘より降りし虫の声
(3)元常務専務も逝けり曼珠沙華

 いつもいつも懇切丁寧なるご診断有難う御座います。駄作ですが、どうか宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)一読、虚をつかれ面白いですね〜。なぜか右手でないのがいいのですが、それは右手が順手で、左手が逆手のように感じるからでしょう。ただし、「左手に帰る」は8文字。ゴロが悪い。「左手に持つ」ではどうでしょう。「弓手(ゆんで)」という言い方もありますが、左手の素直な感じはでないでしょうね〜。
(2)「大木の傘より降りし虫の声」。大木の下で雨宿りをしていたという情景でしょうか。「降りし虫の声」の関係もあいまいです。
(3)そうとう変わった句ですね〜。えんやさんの実感なのでしょう。あの世なので彼岸花としたいところですが、抹香くさくなるので、曼珠沙華でいいと思います。常務と専務が同時に出てくる豪華?な句で、面白いと思いました。

(1)童話めく葡萄畑や春の月  蓉子(50代,女)
 「童話めく糸瓜畑の良夜かな」が原句ですが、ご診断お願いします。
(2)忘却といふさびしさや万年青の実
 えなみドクターの診断もあとわずか、と思うと寂しいです。ほめて頂いたり、辛口のコメントありで、とても勉強になりました。本当にありがとうございました。またご教示いただけることを願っております。
ドクターえなみの診断と処方箋
 蓉子さんの句には、いろいろ感銘を受けました。遡って読むと、ずいぶん読み違い、勝手読みもあると思いますが許してください。これからも、元気で俳句を続けてください。
(1)「童話めく葡萄畑」はいいですね。グリムとかイソップとか、外国の童話をイメージするので、糸瓜畑をしのいでいる。「春の月」は、まだ動くような気がします。夜で葡萄畑だと、わたしは葡萄泥棒を連想しますが、夜がいいのでしょうかね〜。
(2)この句の作り方。「忘却といふ=さびしさや」という断定は、以前の「思い切ることとは=萩の月明かり/蓉子」その他にあり、教えられたことのひとつです。わたしへの挨拶句のようにも読め、寂しくなります(^_^;)ゞ。「万年青の実」は、「万年」と入っているので、赤い実と合わせてこの句にぴったりだと感じました。

(1)青柚子の種薄緑手の凹み  ポリ(50代,女)
(2)秋の夜急いで飲み込むご飯かな
 ご指導ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)最初は、半切りの柚子が手の平に乗っている情景を思ったのですが、種がひとつだけ乗っているのかも知れません。「手の凹み」の視点はいいとおもいます。「青柚子の種薄緑」が面白かどうかですが、わたしにはイマイチでした。ここだけで漢字が6文字。漢字で書けても、全部を漢字で書く必要はないのです。「青柚子の種うすみどり手の凹み」などはどうですか。青と、みどりの対比もすっきりするのでは。
(2)急いで飲み込むそのワケは?急に友達から電話があったから、出かける時間が迫ってきたから?それを想像させようという句ですが、あまり思い当たらないので、ちょっとちょっと唯我独尊(ひとりよがり)かも。「急いで飲み込む」も「急いで飲みこむ」の表記の方がわたしは好き。

(1)川底を鮭の流れて来たりけり  未知(50代,男)
(2)流鏑馬の弓手を矢手にしぐれけり
(3)老杉の空は秋なり瑞巌寺

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)川底を流れてきたことだけに絞り込んだことが、逆に川の透明感や岩肌なども連想させ、よいと思いました。
(2)「弓手を矢手にしぐれけり」は、なかなかの名文句ですが、言葉だけの世界で実感が伴わないのでは。
(3)気持ちいい句ですが、やや定型かも知れません。

(1)失楽の我やとんぼに囲まれる  千坂希妙(50代,男)
(2)木を抱けば秋冷神気に抱かれたり
(3)母いまさず太き太き桔梗の根

 よろしく。
ドクターえなみの診断と処方箋
 初めまして、千坂さん。
(1)失楽園は、流行語にもなりましたが、「失楽の我」が分かるかどうかでしょう。分かる人には、面白いかも。わたしはピンと来ませんでした。
(2)大きな木に手を回して、気を感じている風景です。「秋冷神気」がどうでしょうか。こうこう大げさな言い方をしないで伝えられたらいいのですが。
(3)「母いまさず」という言い方を初めて目にしました。この言い方と相まって「太き太き桔梗の根」が、たくましかった母親を偲ぶ表現になっていると思います。もう少し力が抜けると、もっといいのですが。

(1)猫じやらし遊具のとんと用のなく  小口泰與(60代,男)
(2)秋ばらや街にわらべの声の無し
(3)雲間より紫紺の山や竹の春

 よろしくご指導願います。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)おそらくですが、愛犬がねこじゃらしと遊ぶので、オモチャがいらないという事でしょう。前書きに、「愛犬〇〇才」などと書いてから詠むような作りだと思います。
(2)「街にわらべの声の無し」に季語をつけた句でしょう。季語が響いていないように思います。
(3)近景と遠景の組み合わせの句ですが、風景がごちゃついているのではないでしょうか。

蜻蛉来る寝転んでいる杉丸太  豊田ささお(70才以上,男)
 えなみドクターいつもありがとうございます。残り少ないですがよろしく・・。「蜻蛉来る・・」もこれでおしまいにします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 なぜか頭に入ってこないと思ったら「蜻蛉来る/寝転んでいる/杉丸太」と三段切れっぽいからでした。たぶん「寝転んでいる」のは私なのだと思いますが、底5にかかってるとも読めて、それがすっきりこない原因では。これを書いている時点では、あと1週間ほどになってきました〜。

(1)無花果やキリスト様にはなれません  建吾(70才以上,男)
(2)赤い羽根つけて閣僚らしき顔
(3)秋うらら羽根を休めた風見鶏

 初めまして。これでも俳句と云えますか?先生。
ドクターえなみの診断と処方箋
 どうも、初めまして。俳句かどうかの境界線とは、その句を読んで詩的感興を受けるかどうかなんでしょう、大ざっぱですが。
(1)何やら面白そうですが、意味が不明。アダムとイブが禁断の木の実を食べてから、恥というものを知り、前を無花果の葉っぱで隠すようになったというのが、旧約聖書の頭の方のハナシですが、それと関係があるのだろうか〜(^_^;)ゞ
(2)「閣僚らしき顔」というのは、閣僚がそれらしい顔をしているということか、それとも普通の人が閣僚らしいのか。赤い羽根の偽善的なところを読もうとしてるのだと思いますが、不消化か。
(3)これも前の句の流れからして、政治批判のように思えますが「羽根を休めた風見鶏」は、さほど面白くないのでは。不発に終わってしまったと読みました。

(1)秋逝くや死にたい病の女あり  娯魔如(60代,男)
 生きた病だと思います。
(2)鳥渡る旅立つ友に妻子無し
 6歳の時からの友人の句です。
(3)コスモスや風コスモスのように吹け
 亡夫の句「コスモスの中に居るらし子らの声」が好きです。
ドクターえなみの診断と処方箋
 娯魔如さん、初めまして。
(1)「死にたい病の女」の人は、「死にたい死にたい」と口走るのでしょうか。「ため息病」とか「たいくつ病」の人ならいるかな〜。俳句的には「秋逝くや」でない季語がいい。「秋逝くや」では、「死にたい病の女」を説明してる。その逆の「天高し」のようなとか、「チューリップ」とか、あくまで例ですが、全く違う季語の方が17文字で面白くなります。
(2)「妻子無し」は寂しい気もするが、それも人の生き方。わたしは、こういう風には考えませんよ〜。
(3)亡夫とは?「コスモスの風/コスモスのように吹け」の方がいいのでは。コスモスと風の組み合わせは、割とありがちかも知れませんが。「コスモスの中に居るらし/子らの声」。これはふたつのモノの組み合わせの句で、コスモスから受けるやさしさが伝わってきてわたしも好きです。

のど渇き月まで飛んでくブラジャーか  裸時(30代,男)
ドクターえなみの診断と処方箋
 視覚的な句ですね〜。なんでのど渇きなのか、良く分からないのですが、裸時さんとは2ヶ月のお付き合いなので、面白く感じる、というか許せる範囲というか。すでに、裸時ワールドにとりこまれているのだろう。


2007年10月22日

(1)外人はちょっと柿なポジションか  裸時(30代,男)
(2)ぽつねんと木の心浮き秋ホタル
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)不思議な文章で、意味不明。何か原文があるのだろうか。例えば「外国人は(普段から)ちょっと直接的なポジションをとる」などの。なんでこんな文章になるのか、アンビリーバボーです。
(2)「ぽつねんと木の心浮き/秋ホタル」。一応はふたつに切れている、木の心浮きが、わからないよ〜。

(1)秋水に切花の息沈みたる  穂波(女)
(2)水澄みぬ切花の息五つ六つ
(3)切花の息の沈みて天河原(てぃんがーら)

 先日は「木犀&クラリネット」の句へのコメント、ありがとうございました。好きなもの同士の組み合わせだったので、何とかまとめたかったのですが、今シーズンは時間切れになりそうです。「ひと粒の切花の息秋すずし」の推敲句をお送りします。よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 自分への課題がいくつかあるのは、生活のハリになっていいのではないでしょうか。楽しみながら俳句を作られてください。「切花の息」が新鮮でした。(1)が圧倒的にいいと思います。それが秋の水にしずんでいると、率直に述べたのも、すばらしい発想です。日頃から花に親しんでいる方でないとできない句だと感心しました。

森の径松ぼっくりは芯ばかり  豊田ささお(70才以上,男)
 17日のご診断、稔典さんの本音や子規の話など、ありがたく大変参考になりました。で、今回はリスになった気分で気楽に一句です。リスの食べ残しをエビフライといいますが、芯にしました。
ドクターえなみの診断と処方箋
 「リスの食べ残しをエビフライといいますが・・・???」ということで調べてみました。確かに松ぼっくりをリスが食べたあとは、エビフライのようなカタチになることを写真で確認しました、100ヘーです。この句が物足りないのは、そういう事が頭にあったからなんですね〜。こういうのは写ハイが便利、写真の横に「松ぼくりリスの残したエビフライ」とあれば分かるんですが、残念ながら文字だけではムリかも。

(1)灯に集(つど)ふ虫無し闇を集(すだ)く虫  文の子(60代,男)
 「虫集(すだ)く灯を飛ぶ虫の二つ三つ」を推敲しました。
(2)太閤を露けく祀る社かな
 「太閤を祀り露けき社かな」を推敲しました。
(3)木の陰の群落曼珠沙華明り
 公私ともバタバタしているうちに2週間経ってしまいました。ドクターに診て頂くのも残すところ2週間ですがどうぞ宜しくお願い申しあげます。掲句「群生や木陰を曼珠沙華明り」を推敲しました。宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
 ご無沙汰でした、カラダを壊されたのかな〜と気にかけていました。
(1)「灯に集ふ虫無し闇を集く虫」、漢字と平かながほぼ一文字ずつ繰り返す句で、ルビがないと意味が取りにくかったと思います。季語は、「火蛾」ですが、なぜこの句のような事なのか(火がないからか〜)、残念ながら理解できませんでした。
(2)言い回しにムリがなくなったと思います。
(3)う〜ん、言い回にムリはなくなりましたが、同じあたりを回っている感じがします。声をだして読んでみると「群落」が説明的なのかも知れません。

(1)こほろぎにこがるるこひのあるそうな  蓉子(50代,女)
(2)山肌の日にあたたかく竹の秋
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)大人の句で、情感たっぷりで感心しました。「蟋蟀にころがるこひのあるそうな」くらいでもいいのでは。「あるそうな」は「あるさうな」かも知れません。
(2)きれいな情景だと思いますが、句としてはいまいちかも。

(1)爽やかや次々流れ白い雲  岬(女)
(2)白雲の流れの速き秋の空
(3)白雲の流れゆるりと天高し

 崩れ土塀で褒めて頂いた後白雲は・・多少不安ですがよろしくお願い致します。人を待っていてふと空を見上げると雲が結構早いスピードで流れています。 しばらくして友達が来て又空を見上げると今度はゆっくり流れていました。雲の流れは風に吹かれて動くのでしょうか?
ドクターえなみの診断と処方箋
 空を眺めている、高い空だ。雲が流れている、白い雲だ。つまり「空と雲」で秋を読もうとされていますが、これだけでは、どんなに頑張っても、新鮮な句は生まれないと思いますよ〜。地上の対象物を出すのがイヤだとしても、感じたこと、見えたもの、何かをプラスする必要がありそうです。「しばらくして友達が来て又空を見上げると今度はゆっくり流れていました。雲の流れは風に吹かれて動くのでしょうか?」この辺りの感慨が句になると思うのですが。「あ そうかそういうことか鰯雲/多田道太郎」。

(1)奥利根の湯の香あふれし吾亦紅  小口泰與(60代,男)
(2)曙や消え行く月を見てをりぬ
(3)朝顔や何時も真向ひ赤城山

 よろしくご指導願います。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)吟行に出てきそうな、安定した句だと思いました。新鮮さはいまいちでしょう。
(2)和歌のような美しい世界ですが、ややきれいごとかも。
(3)「みすずかる信濃の空の赤き蕎麦」以前の小口さんの句ですが、遠近を組み合わせて詠むのがホントにお上手だと思います。この句は、「何時も真向ひ」が工夫でしょう。前回の診断にも書きましたが、副詞、形容詞、やまと言葉の名詞など、もうすこし平かなも利用されたらいいのでは。ここでは「朝顔やいつも真むかひ赤城山」などもあります。

秋の風むかし呼ばれていた仇名  藤(10代,男)
ドクターえなみの診断と処方箋
 昔のあだ名を何かの拍子にふと思い出して、あんな事もあったんだな〜と、物思いにふけっている図か。秋の風なので、ちょっと苦い思い出なのでしょう。面白いと思いました。

三日月のかけらのような星一つ  藤井茂子(女)
ドクターえなみの診断と処方箋
 三日月が細ってしまったのは、星になったからというドリームです。個人的には月は丸いのに、星は金平糖型、そこら辺は、どうなってるのだ〜と思いましたが、理屈っぽすぎますね〜(反省)。


2007年10月21日

鰯雲海の方からやって来る  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
 イワシ雲なので、海から来るということかと思いますが、「お〜い雲よ〜」という詩心が駄洒落で減点になっているように感じます。わたし駄洒落が好きですが、俳句にはあまりなじまないようです。駄洒落ではなく、ダブルミーニングは和歌の世界では昔からあるようです。「大江山いく野の道の遠ければ、まだふみも見ず天の橋立」の「まだ踏みも未ず」「まだ文も見ず」などです。こういうのは、俳句にもいくつかあるようですが。

(1)流星のカケラこめかみ直撃す  うさぎ
(2)天の川背筋に沿って流れ落ち
 真砂女の桃の句には鳥肌が立つような迫力を感じました。真砂女さんのこと、もっと知りたくなりました。ご指導有難うございます。
ドクターえなみの診断と処方箋
 鈴木真砂女と打ち込んで検索してみてください。真砂女さんの波乱の生き方と共に、たくさんの凄い句に出会うと思います。銀座の居酒屋「卯波」は、女主人がいないまま、今も健在です。
(1)直撃する「こめかみ」が適切で、美しい句になっていると感じます。
(2)これも、カラダの部分を使った句。目のつけどころが良い。「背筋に沿って」がややもたついているかも。「〜背筋に流れ落ち」という文脈にする手もあるか。

(1)マンモスの音がどしどし秋の風  汽白(40代,男)
(2)むなもとは妻の真中天の川
 こんにちは。よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「どんどん」ではなく「どしどし」で一句と言うことでしょう。汽白さんに、どしどし励ましの手紙を送ろう〜(^_^;)ゞ
(2)たぶん、この後に「天の川背筋に沿って流れ落ち/うさぎ」が掲載になっていると思います。背中と胸、面白い偶然(意味のある偶然をジャスティニティと言う)です。「むなもとは妻の真中」というフレーズが、意味がないようで実存感があり、汽白さんを感じました。

別るゝも また えにしかな 秋時雨  山本葆博(70才以上,男)
 娘に第二子生まれ、しばらく子守に駆り出されて居りましたが、 愈々、此処、西ノ京を離れ、奈良高の横、佐保媛伝承地、狭岡神社裏の、自宅へ、引き上げようと思っています。えなみ先生には、短い間でしたが、毎々懇切丁寧、的確、示唆に富む、コメントを有難う存じました。小生今後の、作句指針と致したく存知居ります。末筆ながら、先生の今後益々の、ご活躍を、こころより祈念申し上げます。何時か何処かでまたご縁ありましたら、その折は、宜しくお願い申し上げます。
ドクターえなみの診断と処方箋
 こちらこそ、いりいろ教えていただきありがとうございます。きっと、もうこの文章を読めない環境なのだと思います。奈良、不退寺の東、狭岡神社との事ですから、いつか訪ねてみたいと思います。心にしみる句、ありがとうございました。お元気で。「えにしとは巡りくるもの草もみじ しんさ」

ポケットに残る秋思や雨催い  けいこ(50代,女)
 数ヶ月前ネンテン先生とお話させて頂きなんとなく分かったような気になったのですが、やはり俳句は難しいです。そして池田澄子さんの句大好きです。
ドクターえなみの診断と処方箋
 そうですか、ネンテン先生と〜。目指すものがあるのはありがたいですね〜。掲句ですが、季語がどうでしょう。秋思と同じような事を伝えていると思うのですが。ポケットなので「残る」がいらないかも、たとえば「秋思がひとつ」とかはどうでしょう。

岩壁のピトン響くや空澄めり  雀子(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 ピトンとは、釣りの竿受けなんですね〜。釣りの世界はからっきしですが、「ピトン響く」という感覚、新鮮に受け止めました。「や」「り」と切れ字ふたつなので、「岩壁のピトン響いて空澄めり/」とか、「岩壁のピトン響くや/空澄みて」などのように、切れ字はひとつの方向に持っていかれるといいのではないでしょうか。

(1)野分中大河を渡る牛の群  未知(50代,男)
(2)高飛びをきめる赤い毛皮の女
(3)崩れつつ盛り上がる波冬隣

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
 17日の回答に「実感のない、言葉だけの世界に入り込んでしまう事も避けたいことだと思います」と書きましたが、そういう事になっていると思います。
(1)は、すさまじい風景と書くこともできますが、言葉だけの世界だと思ってしまいます。
(2)は、特にそう感じます。
(3)は、写生句ですがもの足りなく思います。


2007年10月20日

(1)フラダンス芸術祭や婆主役  ねぎよしこ(70才以上,女)
 「芸術祭フラダンスに熱中ばあば達」を直しました。先生のダンスさぞ光った事と思います。隠れたファンが出来るでしょう。句のご教示感謝しております。沢山あって頭の回転凄いです。
(2)満月光消えた年金照射せよ
 今月最後の句です。私のとらぬ狸の皮算用の句です。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)満員列車のような俳句です(笑)。なにしろ17文字しかないので、言いたいことはどれかひとつに絞った方がいいですよ。それから、フラダンスは残念ながら今のところ季語ではないので、ひとつ季語を入れましょう。
(2)う〜ん、むつかしい。「消えた年金照射せよ」とは?もう少しやさしく言ってもらうと助かるのですが(^_^;)ゞ

微熱の手そっと後ろに秋思かな  藤井茂子(女)
 迷句を度々送信してしまい申し訳御座いません。ご迷惑をお掛けしておりますが残り半月をどうぞ宜しくご指導お願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
 そうですか、あと半月になったんですね。寂しくもあり〜、ホッとしてうれしくもあり〜です(^_^;)ゞ。藤井さんの句を楽しみにしています。「微熱の手」とは「額に添えて熱を感じた手」と読んだのですが、それとも手自体が熱いのだろうか。どっちに読んでも「そっと後ろ」のポーズが伝わってこない。後ろ手に組んでいるのでしょうか。もう少しで、とても良い句になりそうですね〜。

茅葺の旧本陣やばつた飛ぶ  しんい(女)
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 「茅葺の旧本陣や/ばつた飛ぶ」。前回の句と比べると余分な言葉がなくいい方向に向かっています。ただし、前半の文も、後半の文も、普通の文で、しかもその二つが並んでいるだけなので、面白い句にはなりません。ここから先どうするかは長くなりますが、ふたつの方向があるでしょう。
(1)前半と後半の組み合わせを、オヤッと思うものにする。たとえば「夜を徹し道路工事や/ばった飛ぶ」「廊下にたたされている/ばった飛ぶ」のような方向です(例です)。前半を決め、季語を変える方法もあります。
(2)句の材料はこのままで、表現に何かオヤッと思う何かを盛り込む方向。前半を変えて「留守番の旧本陣や/ばった飛ぶ」、後半を変えて「茅葺の旧本陣や/ばつた死ぬ」など。句としての善し悪しではなく、方法として考えてみてください。少し分からない所が残っても、それは読む人の楽しみにために取っておくと考えて作るといいでしょう(まるで、自分に言い聞かせているような文章だな〜、クソッ(^_^;)ゞ)

(1)旅人もへその緒になく初しぐれ  未知(50代,男)
(2)松島の松の音する初しぐれ
(3)俤や海より上の初しぐれ

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
 六代目圓生さんの「蒟蒻問答」には、永平寺を訪れた芭蕉がでてくる。坊さんがいぶかしく思っていろいろ尋ねるが「“すす風を忘れたまふないつまでも”、“古池や蛙飛び込む水の音”と言いながら、飄然と去ったと言いますが。何のこってすかあたくしにはちっとも解りませんで。えー、…ヘヘッ。こういう事を演って見ろってんで教わっただけでございますが…。」という箇所があります。実は、未知さんのこの3句を見てそのことを連想した。煙にまかれたような句です。こんな所でご勘弁ください。

(1)雪暗やつながらぬまま受話器置く  蓉子(50代,女)
(2)ほうたるはひかりのかずのひとさそふ
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「雪暗(ゆきぐれ)」という季語が使われているのを初めて見ました。不安定な気持ちが詩的に詠まれていると感じました。映画の1シーンのよう。
(2)蛍は、たくさん詠まれているのでとても難しい。それにも関わらず、蛍の幻想的なシーンを良く詠まれていると思います。蛍ですから、一文字か二文字を漢字にする手もあるかも。意味もしっかりした句なのでここまでカナ表記でイメージの方に寄せなくてもいいと感じます。

(1)眼間に往合の稲空紫紺  小口泰與(60代,男)
(2)秋の暮我を見詰むる老いし犬
(3)倒れ臥す稲に乗りたり黒き猫

 よろしくご指導願います。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)眼間(まなかひ)、往合(ゆきあい)、空紫紺(そらしこん)。漢字テストのような句でした〜(^_^;)ゞ。「眼間に往合の稲/空紫紺」と言う遠近の対比だと思うのですが、表記も含め、もう少し分かりやすく伝えることを考えてはいかがでしょう。(まなかひ)(ゆきあい)は、やまと言葉のニュアンスですから、紫紺のような漢文とは違う。ひらかな表記もよろしいのでは。
(2)「我を見詰むる」ところから万感の思いが伝わってきます。
(3)面白い風景だと思います。猫は上手に乗れているのかな〜(笑)

山門を潜りて見上ぐる秋の空  えいこ(50代,女)
 先日、石田波郷がよく訪れたと言う深大寺へお蕎麦を食べに行って来ました。深大寺蕎麦が有名で、お蕎麦屋さんが何軒も軒を連ねてます。美味しかったです。
ドクターえなみの診断と処方箋
 深大寺の蕎麦いいですね〜、良く見ると吟行の一団がかならずいます。手に俳句手帳を持っているので分かる(^_^;)ゞ。軽いスケッチ句と読みました。「潜り見上ぐる」で7文字になります。「潜りて見上ぐ」の言い切りのカタチでも7文字です。できるときは定型にはめた方がいいでしょう。

信楽の狸誘ふ寝待月  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 ちょっと古めかしい句だな、と思いました。

前死海エナメルシューズに露の玉  裸時(30代,男)
 確定するまでいろいろ推敲をしてみます→ほめられて嬉しかったです(^^
ドクターえなみの診断と処方箋
 確定するまでやるんですか〜(^_^;)ゞ。「前死海」は言葉としてこなれていないのでは。意味は違うが「死の海」はどうだ。「死の海のエナメルシューズ/露の玉」では。(何でこんな事考えてるのか、ふと疑問に思えてしまったが〜(^_^;)ゞ)


2007年10月19日

緩やかに曲がった坂道猫じゃらし  れい(70才以上,女)
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 素直な表現だと思いますが、なにか物足りない感じがします。きっと「緩やかに曲がっている」から穏やかな感じなのでしょう。坂の表現に個性が欲しい気がします。「朝顔の双葉のどこか濡れゐたる/高野素十」。何もないようでも、何か発見できる(こともある)。自分に向かって言っているのですが(^_^;)ゞ

チューリップ植える私に春よ来い  岡野直樹(40代,男)
 チューリップを植えました。思いついたままで、すみません。
ドクターえなみの診断と処方箋
 球根を植えると、こんな気持ちになるのは分かる気がします。思いついたままとのことですが、こういう句もあっていいのでは。読む身としては、少しグチっぽさを感じてしまいましたが(^_^;)ゞ

草の花犬に生まれてよかったか  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 犬が草の花にたわむれている風景でしょう。それを見て、ふと犬の出自を考えた。もしかしたら、自分の出自も考えたのかもしれません。池田澄子さんの「じゃんけんで負けて蛍に生まれたの」がありますが、事は、実に哲学的でもある。それをサラッと読ませているのは、「犬に生まれてよかったか」と、犬に向かって話しかけているスタイルだからでしょう。季語も良いと思いました。

(1)古池のぬれて蛙の上がりけり  未知(50代,男)
(2)朧とは花の中にて死ぬことか
(3)猫の恋花をふみふみ忍びくる

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)蛙が濡れるのではなく、池の方が濡れているのが面白い。しかし、実感を伴わない句です。
(2)う〜ん、これも未知さんらしいか。言葉を持て遊んでいるだけなのでは。
(3)悪くはないと思うのですが、なんだかパラフィン紙の向こうの世界を見ているような気がします。

(1)茶を立てる音の途切れし夜長かな  藤(10代,男)
(2)黙々や蟹を食らひし運動部
(3)若葉風線対称のにきびかな

ドクターえなみの診断と処方箋
(1)茶の湯というやつをイメージしているのでしょうが、古めかしい句という感じがします。
(2)おっと!思いがけない句でした。「黙々や」の上5は、変でいいですね〜。発想の原点が、蟹を食べるときは無口になるという事でしょうか。もしそうなら、運動部がわけを分からなくしていると思う。それとも、対戦相手を食べる運動部という発想だったら、蟹ではない方が(兎、狼、羊、などか)いいと思います。
(3)にきびが線対称というのが面白いです。季語もいいと思う。頭に感じが6文字で視覚的に線対称がぼけているかも。「若葉して線対称のにきびかな」などとするのはいかが。

朝に手が乗ってるように赤い羽根  裸時(30代,男)
ドクターえなみの診断と処方箋
 俳句の分類では「ごとく句」、比喩、たとえの句です。赤い羽根が「朝に手が乗ってる」ようだと言うのですが、イマイチ分からない。比喩ですから、あんまり近すぎても面白くないが、もう少しだけフォーカスがあった方がいいと思います。裸時さんのイメージがあるのだと思いますので、その周辺をあれこれさぐってみてはいかがでしょう。

山の芋伸びろサンバのところまで  多弁(60代,男)
 よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 口語で命令形で、元気があって好きなタイプの句なのですが、サンバとは、あのブラジルのサンバですか。ちょっとイメージがつかめませんでした。


2007年10月18日

(1)とんぼとんぼ今日も気ままに茜雲  遊雲(70才以上,女)
(2)人は天にそして地上に虫の声
(3)村祭北ではもう初雪と

 10月始めに弟が亡くなりやっと一段落、で、投句します。明日はわが故郷のお祭です。今は「山国さきがけフェスタ」などという今様の名前になりました。
ドクターえなみの診断と処方箋
 魁なので秋田かと思ったら、京都山国神社のお祭りなんですね。
(1)「とんぼとんぼ」のリフレインが、呼びかけている実感があり、ホッと息をつく句だと感じました。
(2)弟さんを詠まれたのでしょうか。ほんとうにご愁傷さまでした。その事を別にしても、大らかな詠みっぷりでよろしいのでは。
(3)この後に77をつけたくなります。「北ではもう初雪と」の言い方がゆるい感じです。

山の家薪の香りのおちこちに  ラン(70才以上,女)
 山に転居し、薪を燃やします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 ランさん、山の家とはうらやましい。冬支度で、薪があちこちに積んであるのでしょう。「山の家に転居」と最初に書いてあると思って句を作られたらいいと思います。そうすれば「山の家」と入れない分、他の事がいえます。俳句はいろんな事が言えないので、結果として「山の家かな〜」と想像してもらえばいいのです。また、「薪(まき)」は季語ではないようなので、季語を入れることをおすすめします。

(1)ぽとと落ち転がぬ木の実蹴転がす  せいち(60代,男)
(2)拾ひやる誰も拾はぬどんぐりを
(3)大暴れ後(のち)いさぎよき木の実独楽

 宜しくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)意味をつかむのに苦労しまし(笑)。「転がらぬ」でしょうね。「けころがす」も読みにくかったです。動詞が3つもあって、焦点が定まらない印象を持ちました。
(2)気持ちは分かります。言い方がちょっと大げさな感じです。ささやかな事ですから、もう少しさりげなくとか、暖かくしたらどうでしょう。
(3)目のつけどころがいいですね。「大暴れ後いさぎよき」のように擬人化するのではなく、「ひっぱれる糸まっすぐや甲虫」「羽割っててんたう虫の飛びいずる/共に高野素十」のように主観をまじえない写生句にできたらスカットするでしょうね〜。

(1)秋の旅レストランなる奥の蔵  しんい(女)
(2)献立に秋刀魚多かり藍のれん
 よろしくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)蔵がレストランになっているのでしょう。ただそれだけの事では面白くないと思います。たとえば、茸パスタが名物だとか、マスターがハンサムだとか、なにか心が動いた事を盛り込みたいものです。たとえばですけど、「蔵の中きのこパスタを食べにゆく」とか、そんな方向です。
(2)「藍のれん」が余分です。「献立に秋刀魚多かり」の部分だけを、どう詠むかに集中すると良いと思います。メニューが多くて選ぶのに困ったとか、サンマづくしでうんざりしたとか、珍しいサンマ料理があったとか、そんな事ではないですか。ふと思いついたのですが、「ばか、はしら、かき、はまぐりや春の雪/久保田万太郎」「缶詰ですます昼餉や春の雷/鈴木真砂女」参考になりませんか(^_^;)ゞ

(1)花野にてあなたも私も行き過ぎる  ポリ(50代,女)
(2)秋の昼ピプペプピプペゲーム中
 わかりやすく教えていただきありがとうございました。今回もよろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)なにやら面白そうですが、もうちょっと手がかりがないとイメージがわきそうもない。
(2)ちょっと唯我独尊(ひとりよがり)。カタカナだらけも読みにくいです。

(1)秋麗鯉の口元全開に  藤井茂子(女)
(2)秋冷や断層写真五十枚
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)男だからそう思うのかも知れませんが、口元全開はちょっとエッチだったり、だらしなかったり感じます。だから「鯉の口元全開」が、ユーモラスで面白い。漢字だらけなので「秋うれい」とされてはいかが。
(2)断層写真を詠みたかったのでしょう。五十枚も含め、実感が伝わってきませんでした。あまりそういうモノを見ないからでしょうか(^_^;)ゞ

(1)雨を秋と聞くことありて瑞巌寺  未知(50代,男)
(2)赤とんぼ小さき子のをりおくれがち
(3)独楽まはしまはしてよける車かな

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)もってまわった言い方だと感じます。
(2)赤とんぼ、小さき子、わたし、誰かが「おくれがち」なのか分からないが、情景はいい感じです。「遅れがち」の表記の方が意味を掴みやすいのでは。
(3)「よける車かな」が意味不明でした。


2007年10月17日

蜻蛉来る担ぐに重い杉丸太  豊田ささお(70才以上)
 今日の一句ネンテンさんのは、痛烈なことばでしたなあ・・「詩情に熱がない」これは、イタイです。私などは丸ごと炎上してしまいました。でも作らないケマセン。で、「蜻蛉来る残照淡き谷の底」の直しです。
ドクターえなみの診断と処方箋
 稔典さんは「モチーフは停滞」と書いています。「モチーフ」は何気なく使っているが、意味を考えたことがなかったので調べて見ました。「絵画/彫刻/小説などにおいて表現の動機となった中心思想」という事で、英語のモチベーションの文芸版と分かりました。
 俳句は作らなくても死ぬことはないので、病床でうごけないとか、戦争中で小説にする時間がないので、せめて俳句で伝えたいなどの状況でなければ「俳句にしたい、俳句で表現しなければならない!」という気持ちにはなかなかなれないところがやっかいです。稔典さんも、「もちろん、人ごとではなく、私なども目下、同じような状態にある」と書き添えてあります。これは作者への心配りであると同時に、稔典さんのホンネでもあると想像しました。
 これは稔典さんの講演で知ったことですが、子規は、線香をつけて消えるまでに何句作れるかという遊びや、一つの季語で何十句も作る遊びをやったそうです。みんなで集まってワイワイとやりながら、面白い句が生まれることもある。俳句は自分の記録であると同時に「遊び、楽しみでもある」と考えることもできます。また苦しい時に「俳句に救われた」というような事もある。ひとり旅も俳句があれば楽しいと言うことで「旅のお供」でもある。また考えてみたいと思います。掲句ですが、「担ぐに重い」という言葉が良く理解できないです。無理に景色を作ったような気がします(つけたしの様な診断で失礼)(^_^;)ゞ

(1)いろかたちこれも花かや吾亦紅  けんじ
(2)せめてもの土産焼き芋蔵の街
(3)萩の穂のそよぐ湖畔やぶらり旅

ドクターえなみの診断と処方箋
(1)花はそれぞれに自己主張してますよね〜。素朴な思いがうまく575になっていて面白いと思いました。
(2)「せめてもの」が良く効いています。それが焼き芋というのもユーモラス。「蔵の街」というと川越でしょうかね。あそこ芋が名物でしたよね(^_^;)ゞ
(3)あまり大げさなことではなく、小さな旅心が素直に感じられよろしいのでは。

(1)破れ土塀あはいあはいのこぼれ萩  岬(60代,女)
(2)崩れたる土塀に紅の乱れ萩
(3)白萩や崩れしままの大土塀

 京都の真如堂と言う大きなお寺の傍にずーっと崩れたままの土塀があり時々その土塀をスケッチに来ている人もいます。その場所を素直な気持ちで詠んでみました。よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 こういう言い方は失礼かと思いますが、これがいままでと同じ岬さんか〜!と思うほどいいです。「破れ土塀」との取り合わせが効果をあげているのでしょう。
(1)「あはいあはいの」のひらがな感覚が新鮮でした。
(2)しっかりした句。
(3)今度は、萩にフォーカスを当てた。これも悪くないでしょう。

(1)蒼穹に日がな一日萩を掃く  えんや(70才以上,男)
(2)二三日ひがなこぼれし萩を掃く
(3)風止みてなほ絡みあふ萩の花

 どうか宜しくお願い致します。
ドクターえなみの診断と処方箋
 3つの句は、同時に詠まれたと思うので、比較で診断します。
(1)蒼穹を配したので、大きい風景になっていますが、まだ新鮮味に欠けているようです。
(2)「二三日ひがなこぼれし」が重なっているように感じます。
(3)すこし教訓めいたものを感じ、それがマイナスに思えます。萩は、秋の七草、代表的な季語で俳句はいっぱいある。新鮮さがどうでるかを考えられたらいいのではないでしょうか(それがとても難しいのですが)(^_^;)ゞ

(1)赤蕎麦の花へ花へとカメラマン  小口泰與(60代,男)
(2)まさをなる池に落ちたり丹波栗
 よろしくご指導願います。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)植物園に行くと、一眼レフを手に、アマチュアカメラマンが写真を撮っている。どれもほぼ同じに映るんだろうな〜と滑稽に思いながら、わたしもスナップをする。そんな風景。「花へ花へと」の後、「むらがる」が省略されているが、わたしは「落ちてゆく」とも補って読んだ。文脈から、シニカルな気持ちが伝わってくる。赤い蕎麦の花という特殊性も、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のようでイメージが膨らむ。快作!だと思う。
(2)池にまさをな空が映りこんでいるのだ。丹波栗の音まで聞こえてきそう。実は、わたしも空が映り込んだプールに飛び込む句を作ったことがあり、共感した。

(1)猫の目の細うなりたる日向ぼこ  未知(50代,男)
(2)行く秋や八百八島うすれゆく
(3)翁忌や松に音ある瑞巌寺

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)診断ずみ。
(2)いい古された描写で感心しません。
(3)未知さんの作句法は、言葉をいじって組み合わせて作ることが多いように思います。これは否定されることではないのですが、この句の「松に音ある」のような常套句になることは避けたい。もうひとつは、実感のない、言葉だけの世界に入り込んでしまう事も避けたことだと思います。

(1)四つ角のシティホテルの秋御膳  藤井茂子(女)
(2)大銀杏ラリー歓声横手より
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)以前に「四辻のシティホテルの秋御膳」で診断ずみですよ〜(^_^;)ゞ
(2)横手よりラリー観戦をしているのか、横手より選手が現れたのが文脈が読めません。「横手より」は、横手から、の意味だと思いますが、右寄り、左寄りの、寄りとも取れるのは、文脈が整理されていないからでしょう。


2007年10月16日

(1)節分にさいなまれてる湯が煮える  裸時(30代,男)
(2)おしゃれして走りまわると小式部よ
 小式部は見た感じこっけいかもしれません(^^;
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)「節分にさいなまれてる」「さいなまれてる湯が煮える」、どっちも面白いが、どっちも普通の言い回しではない(文脈ずらし)。従って前者、「節分にさいなまれてる」の後に来る五文字は、もう少し近い言葉で文脈のずらしを少なくする方向がいいと思う。後者を取るとしたら、その逆で、前に来る五文字を同じようにするのがいいと思う。
(2)小式部は、小紫ともいい、秋に紫式部よりも小さな実をつける。写真をみたが見分けがつかないだろうと思った。これは、花ではなく小式部内侍を母の和泉式部が叱っているとも読める。小式部内侍と言えば、大江山(百人一首)ができたいきさつが有名だが、裸時さんは、そういうことを頭に置いて作ったのだろうか〜。裸時ワールドで、思わぬところにイメージが膨らんでしまっただけなのか(たぶん、そうだろう)(笑)

(1)一粒で存在感のスズメウリ  kikumi(60代,女)
(2)山淑実私も少し彩りで
 お世話になります。どんどん作る様にと、アドバイス頂きでしたが、体調少し悪く、検査などして思うように作れずでした。私事m(__)m 正岡子規、病の床で沢山の句が?ネンテン先生の教えですが。見習わなくては!我が家のカラスウリ、ムカゴ実がつかず。店先で鉢植えのスズメウリ (1個)見つけました。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)知りませんでした、スズメウリ。雀売りではなく、雀瓜。ツタ科でカラスウリよりも実が小さいのでこの名があるそうです。ところで俳句、「一粒で存在感」という表現が難解。植物とも分からないものが、難しい言葉で説明されていて、ますます分からなかった。たとえば、「〜その名もスズメウリ」のように名前を句材にする手もあるかも(思いつきですが)(^_^;)ゞ
(2)山淑実は、普通は「実山椒」と言うと思います。「私も少し彩りで」の後の省略が大きすぎるようです。わたしが主語のときは、わたしと入れないのが普通です。体調を壊されているようですが、ご自愛のほど。

ベッド空く間なき西日の四人部屋  蓉子(50代,女)
 ご診断ありがとうございます。切絵の上5あたためておきます。
ドクターえなみの診断と処方箋
 「ベッド空く間なき/西日の四人部屋」。意味はこう切れます。病院にお見舞いに行くと、なんだか落ち込んでしまいそうな情景。こういう情景を句にした事がまずすごい。次に「ベッド空く間なき」という、ちっともきれいな言葉でもないし、状況説明のような、俳句にはなりそうもない事にフォーカスを絞り込んんだ事がすごい。ついでに「西日の四人部屋」で無理なく季語を入れている。きちんと定型。このような事でも俳句になるのだと、ほんと〜に感心しました。ありがとうございます。

(1)道づれはしぐれにたのむ翁の忌  未知(50代,男)
(2)しぐるゝや廊下音せぬ瑞巌寺
(3)猫の目の細うなりたる日向ぼこ

 ご教示を。
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)奥の細道で、曽良が体調を壊して旅から離脱した辺りを重ね合わせているのかも知れません。その事を考えないと「道づれはしぐれにたのむ」は、全く存在実感のない言葉でしょう。時雨忌を知ってる人には、翁の忌ともちかすぎるでしょう。
(2)瑞巌寺は、松島にある臨済宗の寺。言葉はきちっと入っているが、内容を感じません。
(3)これは、良くあるタイプの句ではないでしょうか。

(1)鰯雲昔の僕につなげてる  岡野直樹(40代,男)
(2)天高し会議が終わるまで待って
 作り続けようとしても、思い浮かばない日が続いています。よろしくお願いします。
ドクターえなみの診断と処方箋
 作ろう作ろうと思うほど作れなくなるものです。わたしもよ〜く分かります。たぶん、自分が持っている単語や文脈などが空回りしているのでしょう。こんな時は、自分の外に出ることが必要です。ひとつは初心の頃に刺激を受けた入門書を読む、もうひとつは好きな作家の句を、なぜこの句を作ったか、どういう構成になっているのかなど考えながら読んでみるといいかも知れません。いつまでも今の自分だったら、今の自分の俳句しかできないでしょう。とは言っても、俳句は作らなくても死なないのであせることはありません。句会などがあれば、いい句でなくてもそれなりに準備はできる。その内、また俳句モードになれるとラクテン的に考えることも大事(以上、わたしの事でもあります)(^_^;)ゞ
(1)「昔の僕につなげてる」がぼんやりしてます。言い当ててない。
(2)「会議が終わるまで待って」も、言葉が空回りしてます。あせる必要はちっともありませんよ(^_^;)ゞ

(1)金比羅の下段に腰を秋の空  藤井茂子(女)
(2)秋祭りもぐら叩きのスコアかな
ドクターえなみの診断と処方箋
(1)前回の推敲句。「下段」になにか意味があるのでしょうか。たとえば3階席はチケットが安いので、通人が行く。座敷席は、お金に余裕のある人やお忍びの人が行くとかなどです。「下段に腰を」に思いを込めたのかも知れませんが、物足りない感じです。(2)これは、前回診断ずみ。

とんぼうに行くべき道をたづねけり  藤(10代,男)
ドクターえなみの診断と処方箋
 前回の推敲句ですね。言い方が深刻ではないですか。言い方というよりもとらえ方が、と言った方がいいかも知れません。わたしは一茶をあまり知らないのですが、「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」のような、軽さとか、オチャメがあってもいいのではないでしょうか。たかが、とんぼ一匹に話しかけているのですから。