俳句クリニック 2007年11月前半分(ドクター:三宅やよい)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。

11月と12月の担当ドクターは三宅やよいです。
<プロフィル>
 神戸生まれ。
 結婚して二十数年。鹿児島から東京まで全国を転々。
 現在は練馬区在住。
 句集『玩具帳』(2000年、蝸牛新社)。

 アバウト、おおざっぱなO型性格。
 一日を終えた夜、みなさまと俳句の旅を楽しみたいと思っています。
 どうかよろしくお願いいたします。

ドクター三宅の診断
2007年11月15日

星飛んで木の根を囲む埴輪たち  穂波(女)
 散歩していたら、近くの中学校で、不思議なものを見つけました。校門のそばに植えられた木の根元を囲むように、高さ20センチほどの埴輪が15個くらい、置いてあるのです。木にプレートがかかっていましたが、文字が薄くて読み取れませんでした。その埴輪と、10月の終わりに見た流れ星を組み合わせたら、この句になりました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 ああ、なるほど。
 情景の説明がなくとも、面白い句だと思いますよ。木の根を囲んでいる埴輪が実景でもいいですが、地中に埋まっている埴輪が木の根をぐるりと取り囲んでいる景もまた、いいですね。いい句だと思います。

水平の地に水平に冬霞  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 水平だけではちょっと景が見えにくいですね。具体的な地名や場所を持ってこられても。

ホットレモン私の鏡のあんなこと  裸時(30代,男)
ドクター三宅の診断と処方箋
 うーん。ちょっと「あんなこと」に想像する手がかりがなさすぎのようにも思います。

(1)久保柿は次々齧って捨てたんだ  千坂希妙(50代,男)
(2)柿暖簾姉さんかぶりに白髪見ゆ
(3)紀州にててかてか頭柿を売る
(4)紀ノ川を行けばまたもや寺と柿
(5)廃業の米屋の熟柿てんてんと

 柿をテーマにしましたが・・・
ドクター三宅の診断と処方箋
 いいですね。どんどんテーマを決めて作ってみてください。子規の1題10句のようなものですね。
(4)が好きでした。尾道もお寺が多くて坂の上から見るとほんとに寺の屋根、と柿といった感じ。
(2)姉さんかぶりをとれば白髪、といった展開なのでは??

(1)初紅葉レインコートにくまのみみ  ポリ(50代,女)
 「秋の雨レインコートにくまのみみ」を直しました。
(2)ぬいぐるみまっすぐ前見る冬初め
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)よろしいのでは。
(2)まっすぐ見るなら「前」はいらないでしょう。

(1)妻の顔小さくなりし紅葉山  えんや(70才以上,男)
(2)放し飼いせぬ約束の仔猫来る
 一年振りです。どうぞ宜しくお願い致します。季節外れの仔猫の句、孫が貰ってきました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 お元気でお過ごしですか?
(1)いいですね。しみじみと奥様の顔を眺められている心持が伝わってきます。紅葉山もいいです。

(1)美しく炭を継ぎたり翁の忌  未知(50代,男)
(2)星屑やいのちの果てを炎へ尽くす
(3)薔薇寺に出入りの人や初しぐれ

 ご教示を。薔薇寺は松島の瑞巌寺に隣接した円通院のこと。今、夜、苔なす紅葉づれの庭をライトアップしています。11月20日頃までか。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)「薔薇寺」ステキな名前のお寺ですね。「出入りの人」はそこに仕事で出入りする人なのか、たくさんの「人の出入り」なのか、ちょっと迷いました。


2007年11月14日

冬耕の終へし畑や秩父絹  しんい(女)
 濃い茶色で一面、とてもつややかに見えましたので・・・。宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 なるほど。秩父絹は衣服の裏地によく用いると辞書にありました。土の色と調和していい感じですね。

(1)ストライクゾーンぴしゃりの秋の恋  茂(女)
(2)マシュマロのココアの浮き実ふゆ隣
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)ストライクぴしゃりときまり、とか言葉を少し整理されてみては。
(2)ふわふわとあったかそうですね。

(1)四人ゐて四隅照らせり石蕗の花  文の子(60代,男)
(2)自転車の白き灯のくる冬来る
 「孫来(きた)る泥付き葱の到来す」について「両方とも「来る」を中心に展開しないほうが句の幅が広がる」とご注意頂いたのですが、掲句は如何でしょうか。中7は連体形、下5は終止形なのですが。
(3)退いてなほ輝ける師や柿落葉
 昨晩文化勲章受章を機に退官された恩師を囲む会がありました。退くと落葉が近いでしょうか。宜しくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 リフレインの効果的な場合と、うるさくなる場合とケースバイケースですね。
(2)の場合だと「灯のほの白く」とか、言い換えてみての表現と比べてみて、やはりここは「来る」をリフレインで強調するほうが冬を迎えた自分の実感に沿う、と納得されるのならそれで形を決められていいのではないでしょうか。
(3)そうですね、輝かしく退官されたのなら、違う季語でも、

(1)アンドロイドAえさほいさっさB  汽白(40代,男)
(2)月曜に彼女にあって林檎かな
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんばんは。よろしくお願いいたします。
(2)月曜の彼女に、という感じで、あと一週間バリエーションを変えて作ってみると面白そう。

(1)雨去りて白樺林紅かえで  小口泰與(60代,男)
(2)あらたうと秋雲染し朝ぼらけ
(3)晩酌はお猪口二杯や長き夜

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)ごくごくさらりと詠まれていますが、長き夜を過ごす、気分がよく出ているように思います。

星飛んで木の根を囲む埴輪たち  穂波(女)
 散歩していたら、近くの中学校で、不思議なものを見つけました。校門のそばに植えられた木の根元を囲むように、高さ20センチほどの埴輪が15個くらい、置いてあるのです。木にプレートがかかっていましたが、文字が薄くて読み取れませんでした。その埴輪と、10月の終わりに見た流れ星を組み合わせたら、この句になりました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 ああ、なるほど。
 情景の説明がなくとも、面白い句だと思いますよ。木の根を囲んでいる埴輪が実景でもいいですが、地中に埋まっている埴輪が木の根をぐるりと取り囲んでいる景もまた、いいですね。いい句だと思います。

水平の地に水平に冬霞  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 水平だけではちょっと景が見えにくいですね。具体的な地名や場所を持ってこられても。

ホットレモン私の鏡のあんなこと  裸時(30代,男)
ドクター三宅の診断と処方箋
 うーん。ちょっと「あんなこと」に想像する手がかりがなさすぎのようにも思います。

(1)久保柿は次々齧って捨てたんだ  千坂希妙(50代,男)
(2)柿暖簾姉さんかぶりに白髪見ゆ
(3)紀州にててかてか頭柿を売る
(4)紀ノ川を行けばまたもや寺と柿
(5)廃業の米屋の熟柿てんてんと

 柿をテーマにしましたが・・・
ドクター三宅の診断と処方箋
 いいですね。どんどんテーマを決めて作ってみてください。子規の1題10句のようなものですね。
(4)が好きでした。尾道もお寺が多くて坂の上から見るとほんとに寺の屋根、と柿といった感じ。
(2)姉さんかぶりをとれば白髪、といった展開なのでは??

(1)初紅葉レインコートにくまのみみ  ポリ(50代,女)
 「秋の雨レインコートにくまのみみ」を直しました。
(2)ぬいぐるみまっすぐ前見る冬初め
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)よろしいのでは。
(2)まっすぐ見るなら「前」はいらないでしょう。

(1)妻の顔小さくなりし紅葉山  えんや(70才以上,男)
(2)放し飼いせぬ約束の仔猫来る
 一年振りです。どうぞ宜しくお願い致します。季節外れの仔猫の句、孫が貰ってきました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 お元気でお過ごしですか?
(1)いいですね。しみじみと奥様の顔を眺められている心持が伝わってきます。紅葉山もいいです。

(1)美しく炭を継ぎたり翁の忌  未知(50代,男)
(2)星屑やいのちの果てを炎へ尽くす
(3)薔薇寺に出入りの人や初しぐれ

 ご教示を。薔薇寺は松島の瑞巌寺に隣接した円通院のこと。今、夜、苔なす紅葉づれの庭をライトアップしています。11月20日頃までか。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)「薔薇寺」ステキな名前のお寺ですね。「出入りの人」はそこに仕事で出入りする人なのか、たくさんの「人の出入り」なのか、ちょっと迷いました。


2007年11月13日

(1)栗きんとんひとつ残して落ち着かず  けいこ(50代,女)
(2)花野へとまわすハンドル頬に風
 はじめまして!三宅ドクター宜しくお願いします。「まわす」は「まはす」でしょうか?
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いいたします。
(1)栗きんとんって、お正月のおせちのでしょうか?それともお饅頭??落ち着かずとまで言わなくても。
(2)ハンドルまわす、の語順でも。気持ちよさそうですね。

柿の皮くるくるくるり嬰が舞ふ  さくら(女)
 少し無理があるでしょうか、宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 嬰(みどりご)でしょうか。たしかにちょっとムリがあるような。なるべく身近な言葉を使われてみては。

(1)無月類しゃべりまくって丸いお茶  裸時(30代,男)
 「落ち葉降るきゃしゃな仮面が並んでる」は、ホームページに俳句を載せているので華奢は難しすぎると思ってひらがなにしました→中学生ぐらいの子を想定しています→
(2)世の果てに転がすえんぴつ墨とんぼ
(3)現実な症候群にハゼ跳ねる

 箕面は朝晩の温度差が激しいです。風邪気味です。
ドクター三宅の診断と処方箋
 箕面は山際のあたりでしょうか?いよいよ紅葉のいいシーズンですねえ。
(2)世の果てに、が大げさな言い回しなので、えんぴつはトンボ鉛筆、と少しはずしてみても。
(3)「現実な症候群」??

秋蝶の肩のあたりを怪しむる  きなこ(50代,男)
 小春日和の今日、裏山を歩いて一句でした。よろしくご診断下さい。
ドクター三宅の診断と処方箋
 今は山歩きをするのに、とてもいい季節ですね。11月と思えば秋蝶がひらひらと飛んでいるのが、少し不思議な印象があるのでしょうね。「怪しむる」の言葉がちょっと強すぎるように思うので、小春、蝶を生かして作ってごらんになればいかがでしょう。

さざなみはさざなみとして梅擬  豊田ささお(70才以上,男)
 梅もどきで、もう一句おおくりします。ご診断よろしくお願いします。実は私どものまちの自然公園に逆様池という池がありその畔にウメモドキの木が2本あります。これらで、俳写を作りたいのですが・・・
ドクター三宅の診断と処方箋
 さざなみとさざなみの繰り返しを句に入れるのはいいですね。さざなみはさざなみ呼びて梅擬 なんて今思ってしまいました。

天高し上から覗いて見てみたい  岡野直樹(40代,男)
 ぽつりぽつりですが、よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。上から覗くと何が見えるのでしょう。上から覗いてみたいという気持ちを、もう一押し具体的な対象物を絞ってみてください。

しぐるるや喝采止まぬ歌謡ショウ  茂(女)
ドクター三宅の診断と処方箋
 「歌謡ショウ」と表記したことで、立派なホールの有名歌手のショーではなくてちょっと落ちぶれた感じが出ていいですね。

桃色の骨でまたがるオートバイ  遅足(60代,男)
 「花びらの影に花びら菊日和」は「花びらの影の花びら菊日和」の方が良いですね。診断ありがとうございます。桃色の骨、で作ってみようと、考えました。でも季語がないと、なんとなく納まりが悪い気がします。「桃色の骨の集まる年忘れ」の方が句として成り立っているのでしょうか?あるいは、まだ、桃色の骨を生かしていないかも。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「桃色の骨の集まる年忘れ」こちらが面白いですね。いろいろと想像させるものがあります。私の骨はもうちょっと色あせてるかも。

(1)田舎町の11月の円き空  さくら(女)
(2)お城めく病院建つや文化の日
 宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 十一月の円き空っていいですね。ここの部分を生かすのに上五の言い回しを少し工夫せれてみてはいかがでしょう。

(1)3.14159もう立冬  北野元玄(60代,男)
(2)神の留守鬱の字正しく書けました
 「3.14159もう立冬」は「サンテンイチ ヨンイチゴーキュウ」と分けて読んでみてください。
ドクター三宅の診断と処方箋
 なるほど円周率ですか。ただ、読み手が575のリズムで読んでくれるぐらい親切かどうかはわかりませんね。
(2)欝という字が書けました、ぐらいでも。

園児バス待つ間の日課山茶花掃く  なごみ(70才以上,女)
 よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 いい情景ですね。惜しむらくは言葉が多い。山茶花掃く園児のバスを待つあいだぐらいでも。


2007年11月12日

秋日差しお布団花も咲きました  kikumi(60代,女)
 団地、マンションの窓辺です。明日は立冬、日差しが貴重ですね!宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 面白いですね。いっせいに布団が干しだされますものね。「お布団花」と名詞化されるよりお布団の花とひらいて、とか、少し言い回しを工夫されるといいかもしれませんね。

冬雲雀喪服の時しか逢わぬひと  れい(70才以上,女)
 季語が適切でしょうか?また中8になっていますので大いに悩んだのですが、ご指導をよろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 うーん。歳時記をみると空高く舞い上がる春ひばりと違い川堤の斜面や田の畦をチョロチョロして春とは対象的だとか。確かにたまに顔を合わすのは葬式だけと遠方の親戚だとそうなりますね。冬雲雀でもよろしいのでは。(珍しい季語ですね!勉強になりました)

熟れ柿や伸縮鋏のばしみる  しんい(女)
 11/7の「柿もぎに伸縮鋏伸ばしきる」を少し変えてみましたが、大差ないでしょうか。宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「伸ばしきる」が伸縮バサミを思い切り伸ばした柿の枝の高さがよくわかりますね。

(1)秋北野ゴルゴンゾーラカルパッチョ  千坂希妙(50代,男)
(2)かなかなをかねかねと聞いておる
(3)多言して酒不味かりき寺の秋

 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)の気持ちもよくわかりますが少し説明っぽいですね。「寺の秋」がちょっと古い。
(2)はオヤジギャグのようですが、思わず笑ってしまいました。私にもそう聞こえるかも。

(1)松島は仏のにほふしぐれかな  未知(50代,男)
(2)ジパングを目指す舟あり桃青忌
(3)片しぐれ点字を舌に読みにけり

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)手が不自由ということでしょうか?
(1)(2)少し古い印象なので現在風に置きかえて詠んでごらんになればいかがでしょう。

水底に姥の屍か鴫の立つ  きなこ(50代,男)
 よろしくご診断下さい。
ドクター三宅の診断と処方箋
 うーん。ちょっと気持ちが悪いですね。中七違うものを斡旋されてみられればいかがでしょう。「姥の屍か」の「か」はなくとも。

梅もどき乗り出して見る池暗し  豊田ささお(70才以上,男)
 11月句会があり、「猫と居て晩秋の森はるかなり」は、誰も採ってくれないなか、主宰が「猫膝に・・」と直して丸をくれました。掲句は、席題を帰宅してからつくったものです。不器用で席題がいつも難関です。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「猫膝に・・」と直された主宰、さすが、という印象です。猫のぬくもりがより具体的に森との距離感もぴたりと収まっていますね。「梅もどき」の句、材料が多いようなので、中七か下五かどちらかにポイントを絞られてみてはいかがでしょう。

小春日のたまに賢き寝言かな  藤(10代,男)
ドクター三宅の診断と処方箋
 ちょっとおかしい。賢い寝言ってどんな寝言です?教えてほしい〜。

じゃがいもにバターたっぷり大満足  浜
 はじめまして、定年で東京から西宮の浜へ。俳句は古いです。よろしく。
ドクター三宅の診断と処方箋
 はじめまして。西宮の浜に戻られたのですね。うらやまし〜。私も関西に帰りたいです。下五の「大満足」がちょっとダメ押しのように思います。別の言葉を考えてみられてはいかがでしょう。

(1)ビル裏に煙草のにほひ十二月  文の子(60代,男)
(2)研修は安眠時間あきのへび
 宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)がいいですね。タバコ族が固まってビル裏でタバコをふかしている景がまざまざと浮かんできます。その景を「にほひ」と持ってこられた点がいいと思います。


2007年11月11日

(1)効能の多き温泉文化の日  せいち(60代,男)
(2)捨て難き女の勘や文化の日
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 文化の日を題に作るのは難しいですね。温泉を取り合わされるなら、「効能の多き」と置かれるより、温泉の待合室とか湯船での景とかを描写されてみられればいかがでしょう。

彩雲のたなびく武甲今朝の冬  しんい(女)
 よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 武甲は武甲山でしょうか?もしそうなら富士山ほど有名ではないので、わかりづらいかもしれませんね。

(1)娘より女房が綺麗返り花  遊雲(70才以上,男)
(2)この世には 欲 色 無色 柿紅葉
(3)冬服や去年のはずれジャンボくじ

 こんな「返り花」や「柿紅葉」はどうでしょう。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)ステキな奥様。ごちそうさま。
(3)衣替えのポケットから出てきたのでしょう。冬服、が時を連想させるので去年とかぶります。オーバーとかコートより、とかでもいいかもしれませんね。去年なしに、単にはずれくじが出てきただけでも。俳句は事実を正確に書き留める必要はないので、そのあたり鷹揚に表現されてみてはいかがでしょう。

藍色の沖から暮るる冬の海  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 綺麗な情景ですね。ただ、この景色はたくさん詠まれているでしょうから類句は多いかもしれません。

秋冷や空を染めつつ大落暉  由利子(70才以上,女)
 「秋冷や宙にひろがる大らっき」とどちらがいいか迷いましたので、よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 秋冷や宙にひろがる大落暉 でいいのではないでしょうか。

(1)ルノア−ル観るたび違う秋心  三郎(70才以上,男)
(2)パソコンの打ち込み終えし石蕗の花
(3)陽だまりの落葉も軽くフルート音

 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)がいいですね。フルート音とまで言わなくてもフルートだけでその音色は想像できすでしょう。ちょっと語順をいじって、「フルートや」と上五に持ってこられてみてはいかがでしょう。

冴え冴えと妻に暈ある余白かな  北野元玄(60代,男)
 妻に後光が射して見える瞬間が多くなってきたと感じています。
ドクター三宅の診断と処方箋
 さぞすばらしい奥様なのでしょうね。妻に暈がある、という発見は面白いのですが、最後の「余白」の部分が跳躍不足のようにも思えます。

(1)秋ばらのふふみし瑞枝空真澄  小口泰與(60代,男)
(2)鶏頭の一糸乱れず直立し
(3)女神湖の水面に育つ紅葉かな

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
 ちょっと言葉が硬いですね。瑞枝、真澄ふふみし、と三拍子ものものしい言葉が続くと息をぬくとこがなくて、緊張してしまいます。普段着の言葉でどうぞ。

(1)中年や降るともなくて降る黄葉  未知(50代,男)
(2)ストーブを囲むいつもの顔と顔
(3)枯葉散る前の寂けさ好きやねん
(4)ぼうたんの一つの色に焚きにけり
(5)こもごものこと思ひ出す焚火かな
(6)衿立てて荒磯に立ち尽くすなり

 ご教示を。以前の句:水角鞘御刀子柿熟るる=みずつのさやのおんとうすかきうるる:
ドクター三宅の診断と処方箋
 読みを教えていただきありがとうございます。ちょっとどこかで見たようなフレーズが多いですね。
(4)がいいですね。 (6)はちょっとキザ。

手のひらに一期一会の落ち葉かな  うさぎ
 外は、小春日和! 明日は冷え込み、雪がちらつくそうです。冬の季語を勉強しなくちゃと、あせります。
ドクター三宅の診断と処方箋
 ああ、もう立冬ですね。季節と伴走しながら、季語をつかんでいってくださいね。手のひらにある落ち葉はいいのですが、一期一会はちょいと余分な説明のように思います。思い入れはさらりとながして、あっさりとつないでみられてはいかがでしょう。

(1)赤えんまデボチョリンリンああぱーと  裸時(30代,男)
(2)心臓とイナズマが落ち眠る森
ドクター三宅の診断と処方箋
 ダダではありませんが、意図しない言葉は魅力的な衝撃力がないと。ちょっとそこまでは届いていないようです。(2)で言えば、心臓の落ちる森、は私としては引かれるものがありますが、句は焦点が絞りきれずもどかし印象が残ります。


2007年11月10日

紺菊や万年筆を落した日  豊田ささお(70才以上,男)
 「猫と居て晩秋の森を遠くに」へのご診断有難うございました。今日の句会兼題が晩秋です。「・・森はるかなり」で出してみます。
ドクター三宅の診断と処方箋
 紺菊、小さな青い小花をいっぱいつける菊でしょうか。万年筆のインクの色とのうつりがいいですね。感じのいい句だと思います。

(1)小春日や聞こえるやうにひとりごと  藤(10代,男)
(2)向日葵と補助輪のある自転車と
 時季外れですが宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)が感じいいですね。補助輪のついた自転車、でもいいのでは。「と」ではなく、上五は切れをきちんと入れたら構図がはっきりするように思いました。

古希まじか檸檬ころころ胸のうち  多弁(60代,男)
 三宅ドクター始めまして。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 胸のうちにレモンころころ、なんて面白いですね。古希をまじかに迎える心持として、ステキです。私も前向きに年をとらなくっちゃ、っと思いました。

琺瑯の白い水差秋深む  穂波(女)
 ドクター三宅、お久しぶりです。またご厄介になります。どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いいたします。琺瑯の水差しと、ふかまってゆく秋の季感が調和しています。いい句だと思います。

(1)立冬や一病息災草を引く  悠(70才以上,女)
(2)夫と行く哲学の道秋惜しむ
 よろしくおねがいします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)すらりと詠まれていて、いいですね。川沿いの哲学の道も今は紅葉を迎えている頃でしょうか。行ってみたくなりました。

そよ風に散らすコスモスルサンチマン  きなこ(50代,男)
 三宅ドクター、はじめまして。よろしくご診断下さい。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いいたします。そよ風に散るコスモスになぜルサンチマンがくっつくのか、ちょっとわからなさが残ります。コスモス、とルサンチマンの組み合わせを句の柱に持っていらっしゃる心積もりでしたら、もう一歩工夫のほしいところです。

(1)昴いま昏きビルの上(へ)ふゆに入る  文の子(60代,男)
(2)木枯しのシャッター街に花輪出づ
(3)児のこゑが泥付き葱の到来す

 11/5ご診断の「孫来(きた)る泥付き葱の到来す」を推敲しました。宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)「が」ではなく「や」ではっきり切らるとより句意がはっきりするように思います。
(2)「花輪出づ」がちょっとわかりませんでした。

格子戸の茶屋にたためる時雨傘  しんい(女)
 よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 京都あたりの風景でしょうか。実景であってもちょっと古びた感じがしますね。

(1)風は千瞳は一万薔薇百万  千坂希妙(50代,男)
(2)クモも虎コオロギ閻魔トンボ鬼
 俳句と言えないかも・・・
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「千の風」のパロディでしょうか。そのほかにも歌謡曲満載ですね。名詞の列記も面白くヒットすることがありますが、もう一押し工夫が必要かも。


2007年11月9日

(1)里の径色づき気づく式部の実  浅葉洋(70才以上,男)
(2)潮の気を吸いて裂き割る海桐の実
 宜しくお願い致します。海が見える田舎の住んで居りますので、山野に自生する草花に出会い、はっとする事があります。そんな2つの秋の実を見ての愚作です。ご高評を。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそ、よろしくお願いいたします。
 海が見える田舎。いいですね。過密都市に住んでいるので、つくづく海が見たいと思うこの頃です。
(1)(2)ちょっと、言葉が多いですね。俳句は単純さが命。言葉を惜しんで、一番効果的に働く語を入れ替え、入れ替えためしてみてください。(1)色づき、きづく、と動詞を二ついれなくとも紫ふかく、とか式部の実がある状態だけに表現をしぼっても。 (2)も吸いて、と裂き割るのどちらか一つにしてみてはいかがでしょう。

(1)海峡をなんなく越へる山紅葉  未知(50代,男)
(2)月を待つ刈田の芽にも霜の花
(3)日の丸に寄書きのあり曼珠紗華

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)出征兵士の寄せ書きを思います。曼珠紗華との取り合わせが日の丸の赤に通じるところがあって句の雰囲気を高めているように思いました。
(1)はちょっとわかりませんでしたが、落ち葉でしょうか?

(1)木道に寄り添ひ生ゆる草紅葉  小口泰與(60代,男)
(2)わき道に入るや眼間ななかまど
(3)奥利根のへつりの道や夕紅葉

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)生ゆる、は付け足されなくとも。
(2)の眼間はどういう意味なのでしょう?

瀬戸小島紅散らす秋の航  雅(50代,男)
 初めまして。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんにちは。こちらこそよろしく。
 瀬戸内海には小島が多いですね。おだやかな海を数々の島を眺めながら船でゆくのは大好きです。紅が散るのはなぜなのか、ちょっとわからなかったのですが、島の紅葉でしょうか?

(1)松茸や風のそわそわ遊び来る  茂(女)
(2)コンビニに人の吸われて山紅葉
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)面白いですね。「に」より「へ」が好みではありますが。山紅葉との取り合わせもいいです。

ガソリンも値上がりしたと炬燵だし  kikumi(60代,女)
 おひさし振りです。又お世話になります。カーぺット、石油ストーブ、電気ストーブ、色々有ります。老体二人、節約せねばと、炬燵出しました。何が安くあがるのでしょうか?
ドクター三宅の診断と処方箋
 うちは、カーぺットですけど、出勤前に切り忘れて留守番犬があったまっていることがよくあります。まったく倹約って難しいですね。ガソリンが高くなって、確かに大変なのですが、その感慨をそのまま俳句に当てはめると報告や意見書みたいになってしまいます。コタツに二人あったまっていらっしゃる何気ない風景を俳句になさってみては?

(1)秋の雨レインコートにくまのみみ  ポリ(50代,女)
(2)あくびして帽子をなおす暮の秋
 お世話になります。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)可愛い子供のレインコートでしょうか。雨とレインコートですから、ちょっと上五を工夫されてみてはいかがでしょう。

電線の目に付く町や文化の日  茂(女)
 はじめての町でやたら電柱と電線が目につきました。これでは台風のとき大変だろうなと老婆心ながら眺めてしまいました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 いったん目に付きだすと、気になりますね。そこに俳句の焦点を当てるのでしたら、もう一歩表現を工夫なさってはいかがでしょう。例えば、張り巡らす、たわむ、いろんな言葉があると思います。


2007年11月8日

(1)透明なたぬき十円食べだすよ  裸時(30代,男)
 ささやかにとういのは難しそうです(^^;
(2)純水がどこまでいってもソリの前
(3)純水がどこまでいっても青写真

 ソリの前がいまいちだったので推敲してみました。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 確かにソリの前より、青写真がいいですね。ただ、ちょっと抽象的でもう一歩想像しにくいところに不満は残ります。
(1)はごめんなさい〜、お手上げです。

(1)地下鉄の出口ひまはりつぎつぎと  藤(10代,男)
 地下鉄の出口に向日葵が連なっている光景は現実的に想像しにくいという意見があったのですが、如何でしょうか?
(2)秋高し5グラム分のカルシウム
(3)元旦や先づはあくびをする仕事

 時季外れですが宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)出口「に」ご助詞を入れたら、句意がはっきりするように思います。暗いところから上がってきての向日葵のはっとする明るさを効果的に使いたいという意図はよくわかります。

(1)行く雲もへその緒あれや初しぐれ  未知(50代,男)
(2)行く雲も空の花なり初しぐれ
(3)あれこれと思ひめぐらす焚き火かな
(4)灯をまとひ鼬は海に還るかな
(5)生きてをりたる軍神や冬の菊

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
 「行く雲」と初しぐれはどちらも天候ですから、取り合わせとして動きがないので、中七がつなぎの説明っぽくなってしまいます。身近にあるもので思い切ったものを取り合わせてみられればいかがでしょう。

冬不意に冬連れて来て冬になる  北野元玄(60代,男)
 早口言葉になってしまいましたね。これは裸時さんとの合作です。2ヶ月間よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
 冬のたたみかけが効果的というよりちょっとくどいようにも。例えば不意に冬連れて来られて冬になるでもいいわけで、ほかにすっきりとした言い回しがないかどうか考えてみてください。

(1)ビッグバンそのころ秋で山椒魚  千坂希妙(50代,男)
(2)青い目が柿の皮むく寺の庫裏
(3)秋立ちぬ小指を立てて歩くべし

 よろしく。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)宇宙でビッグバンが起こっているとき日本では秋でサンショウウオがいたよ、ということでしょうか。
(3)小指をたてて歩く理由なく面白いです。

(1)人声も水音も近き暮の秋  蓉子(50代,女)
(2)子守り柿からすの声のひとしきり
 宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「も」の連続にしてひっくるめてしまうより人声と水音近き、という形で表現されてみてはいかがでしょう。

冬に入る何も変わらぬ昨日今日  れい(70才以上,女)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 うーん。言いすぎですね。何も変わらないのは誰にとってもほとんどそうだと思いますが、言ってしまえば、おしまいということで。

みちのくの五車線道路深雪晴れ  茂(女)
ドクター三宅の診断と処方箋
 「五車線道路」て初めて見ます。片道三車線とかはよく言いますが、反対向きの車線もあわせて表現されているのでしょうか。車がいない広々とした道路と深雪晴れとの取り合わせがいいですね。

落ち葉降るきゃしゃな仮面が並んでる  裸時(30代,男)
ドクター三宅の診断と処方箋
 情景はとてもよくわかります。「きゃしゃ」は「華奢」の表記でもいいように思いますが、いかがでしょう。


2007年11月7日

それぞれに街の秋へとイエスタデイ  汽白(40代,男)
 えなみドクター、三宅ドクター、また、よろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 よろしくお願いいたします。
 多分わかれたあとの情景だと思いますが、それぞれが、と、ちょっと助詞を変えられてみてはいかがでしょう。

目を細め猫も見ている冬薔薇  れい(70才以上)
 よろしくおめがいします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 猫は目をよく細めますが、薔薇に満足して目を細めているというように擬人化してとられるのは、ちょっと平凡なように思います。

(1)ふるさとや心ますぐに秋天へ  千鶴子(60代,女)
(2)秋うらら野仏坐素や畑の道
 どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「ますぐ」は「まっすぐ」のことでしょうか。
(2)坐素がわかりませんでした。

一輪車に今朝の野菜や薄もみじ  蓉子(50代,女)
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 うーん、少し言葉が多いですね。「今朝の野菜」を具体的なものを考えてみられてはいかがでしょう。

(1)参道に宇治茶の香り秋惜しむ  悠(70才以上,女)
(2)コスモスのささやく道を露天湯へ
 よろしくおねがいします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)はいかにも秋らしい情景なので、季語をずらしてみると新鮮味が出るかもしれません。
(2)ささやく、と表現されなくとも。

(1)押し出しの投手の孤独いわしぐも  文の子(70才以上,男)
(2)解体を終へて槌音ふゆ木立
(3)秋ばらやことに凛々しき少女なる

 えなみドクターに診て頂いた3句を推敲しました。宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)孤独まで言ってしまうといいすぎのように思います。
(2)解体を終えし槌音、という意味にとっていいのでしょうか。

(1)灯をまとひ胡蝶は月に還るかな  未知(50代,男)
(2)着信の灯に名のあれや初しぐれ
(3)軍艦のはらわたになる海鼠かな

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2) がいいと思うのですが、文体がちょっと古めかしいように思います。「着信の名前の光り」とか、されてみてはいかがでしょう。

(1)そばすする音笑われて寺の秋  千坂希妙(50代,男)
(2)火事場からさんまのような人出たり
(3)遠山を見んが為にはみかん山

 はじめまして。よろしく。
ドクター三宅の診断と処方箋
 はじめまして、よろしくお願いします。
(2)なんだか、とても面白い句ですね。さんまのように、ほっそりとがった人が出てきたののでしょうか。この火事場もぶすぶす、もう火の消えたあとのように思えます。

(1)柿もぎに伸縮鋏伸ばしきる  しんい(女)
(2)外人の遍路姿や木守柿
 「遍路」は春の季語なのですが、許されますか?よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 歳時記を見ると「遍路」を季語としたのは、虚子以来、それも大正末以来のことらしいです。遍路は一年中あるでしょうけど、巡りやすい春に多いことから季語になったのでしょうか。季感は「木守柿」にあり、句が分裂した感じはしないのでよろしいのではないでしょうか。

(1)風を聴く山頂に居り夕紅葉  小口泰與(60代,男)
(2)山風をもたらす池や蔦紅葉
(3)ふかんせり覚満渕の草紅葉

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)がいいですね。山頂で風に耳をすましている気分に、夕紅葉がよく映えています。


2007年11月6日

(1)檸檬レモン青春切符の旅に出る  遊雲(70才以上,男)
(2)久々の同窓会や返り花
(3)同情もせずされもせず柿紅葉

 よろしくお願いします。三宅さんの名と句は「船団」誌上で拝見しています。8日は立冬ですが、紅葉もまだ先ですし気分はまだまだ秋が続きます。
ドクター三宅の診断と処方箋
 よろしくお願いいたします。
(1)「青春18切符」でしょうか。どこで乗り降りしてもよいのですよね。檸檬レモンの繰り返しは「レモンレモン」でも面白いかもしれませんね。
(2)(3)はちょっと常套的なので、もう少し冒険されてみてはいかがでしょう。

(1)生垣を漏れ射す夕日石蕗の花  せいち(60代,男)
(2)石蕗の花日の当たるとこ陰るとこ
(3)鯖雲や半透明の紙買うて

 三宅ドクター、宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)がとてもいいです。紙の質感と鯖雲の調和がステキです。
(1)は「漏れ射す」の複合にしなくても漏れる、か射すか、どちらかでいいのではないでしょうか。少し字面がこみいっているように思います。

(1)モネ展へ楪の花にほふ道  蓉子(50代,女)
(2)暮方に訪ふ人多き神無月
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)楪の花の匂いにモネ展に行くなんて素敵ですね。新国立美術館の展覧会の情景でしょうか?

まだ青き柚子を浮かべて一番湯  れい(70才以上)
 ありふれているかと思いましたが、よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 今日、八百屋さんの店先であまりに黄色がきれいでつい柚子を買ってしまいました。青い柚子もいいですね。一番湯とつきすぎかなという点が惜しいように思いますので、ちょっとずらしてみても面白いのでは。

(1)自転車の灯の青白し冬きたる  文の子(60代,男)
(2)立冬や水着の跡ののこりをる
 愈々11月になりました。
(3)青空や欅のさきの紅葉づれて
 えなみドクターに見ていただいた句を推敲しました。宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 多分、文の子さんは自分が目撃されたものをそのまま言葉として定着させる方向で句を作っていらっしゃるのでしょうね。その点で、何も申し上げることはないのですが、(3)の場合だと「欅のさき」は、「梢」だけでも用が足りるでしょうし、言葉を惜しんで、読み手が、想像できる余地をおおまかに残されてみてはいかがでしょう。

(1)ボジョレーの赤深まりし鳥渡る  うさぎ
(2)シナモンにリンゴとバター秋の声
 はじめまして、ドクター三宅! インディアナから参加です。俳句歴は、1年にもなりませんが、”今始める人のための俳句歳時記”を片手に勉強中です。
ドクター三宅の診断と処方箋
 はじめまして、わっ、遠い。インディアナはどんな天候ですか?またいろいろ現地報告いただければ嬉しいです。
(1)(2)ともに、やっぱり日本と景が違うのだろうな〜と思える俳句ですね。赤ワインの色と渡り鳥の取り合わせがいいです。(2)は、名詞の並列になっているようなので、どれか中心を決められてみては?

(1)青蜜柑親の欲目の定かなり  小口泰與(60代,男)
(2)炭焼の黙の火なりし秋日澄む
(3)霧深しダムと決まりし渓谷よ

 よろしくご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
(2)の景がいいですね。ただ、「黙の」とつけられなくても炭焼の火だけで充分なように思います。

猫と居て晩秋の森を遠くに  豊田ささお(男)
 猫と森は、遠いようで近いですがいかがでしょう。初句は「晩秋の森はるかなり」・・・でしたが、心持と合わない気がして、掲句としました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 最初の形がいいように思います。心持と合わないようでしたらすらりと読み下しできるよう、少し語順を整理されてみてはいかがでしょう。

(1)霜月の初日の雨を黒土に  茂(女)
(2)大祖母の酒の一吹き渋の柿
(3)いつもとは違う道行き銀木犀
(4)新酒干す父の選びしブローチを

ドクター三宅の診断と処方箋
 全体にちょっと材料が多いように思います。
(1)は霜月の雨、だけでも(3)の「行き」はなくてもという形で言葉をなるだけ少なく単純に整理されてみてはいかがでしょう。

(1)月いくつ落ちてや露しぐれ  未知(50代,男)
(2)みずうみのみず在りし日や楡もみじ
(3)水角鞘御刀子柿熟るる

 ご教示を。正倉院の水牛の角の鞘に入れられたナイフの前で。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)がいいですね。惜しむらくは読み方がよくわからないのですが熟れてゆく柿との取り合わせが効いています。


2007年11月5日

(1)秋風の賢く吹ひて東京都  藤(10代,男)
(2)催眠のかかりしやうにねこじやらし
(3)秋晴れを裸眼で受けて旅路かな

ドクター三宅の診断と処方箋
(3)秋晴れを裸眼で受けて旅路かな、の句が実感があって面白いです。まぶしい秋晴れに顔をあお向けている様子。旅路とよくマッチしてますね。

(1)小春人プロテインむくむっく筋  裸時(30代,男)
(2)人参は淋しいことの鉄の箱
 三宅ドクターまた診断をお願いします→増俳のほうも楽しく読ませていただいています。よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 拙文を読んでいただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。
(2)人参、鉄の箱の関係が面白いですね。ただ、中七のつなぎにもう一押しほしいところです。

(1)暁光に露おく甍きらめけり  しんい(女)
(2)秩父路の戸毎に灯る柿明り
 よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 少し材料と言葉が多いように思います。
(1)暁光はあかつき、でもいいのでは?
(2)灯る、と柿明りはどちらかに絞られたほうがすっきりするのではないでしょうか。

銀木犀自転車押して上る道  茂(女)
ドクター三宅の診断と処方箋
 よく景が見えます。坂道を自転車押してとなさらなかったのは、自転車の重さを表現したかったのでしょうか?

花びらの影に花びら菊日和  遅足(60代,男)
 影ではなく陰か?翳か?意味から言えば陰でしょうが・・。また、影に、か、影の、か?診断をよろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 花びらにうっすらと花びらの重なりが映っている感じから言えば私は「影」がいいな、と思います。きれいな情景ですね。「の」とやわらかくもってくると視点がじっと一点に絞られる感じではなく抽象化されるようで、また印象が変わりますね。

(1)十三夜「待っています」と約せしを  文の子(60代,男)
(2)固まりしままの兎や十三夜
(3)孫来(きた)る泥付き葱の到来す

 えなみドクターにご診断頂いた句を3句推敲しました。宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(3)の「泥付き葱の到来す」の部分がいいですね。ただ孫来る、と両方とも「来る」を中心に展開しないほうが句の幅が広がるように思いました。

(1)その先は天と思ほて芒原  蓉子(50代,女)
(2)フラッグの振らる間近の薄かな
 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)その先がどこをさしているのか、誰が天と思っているのか、(2)フラッグは旗?雰囲気はあるのですがちょっと情景が読み取りにくい点が残念です。

夕暮れのすこし明るむ冬薔薇  れい(70才以上,女)
 三宅ドクターお久しぶりです。またお世話になります。どうぞよろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 お久しぶりです。どうかよろしくお願いいたします。
 夕暮れになってかえって薔薇が明るくなるなんてステキですね。着眼がいいと思います。

(1)あやとりの両手パッチン日向ぼこ  さくら(女)
 意味不明でしょうか、ほうきができるのですが。姉妹の”びっくりあやとり”冬苺二人で遊ぶのです。 (2)あつあつの鯛焼きを食ぶ二人して
 よろしくご指導お願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)がいいですね。あやとり、という言葉だけで以下説明されている事柄は読み取れますよ。読み手によってほうきか、橋か、はたまたゴムかはいろいろでしょうが。

(1)沈黙といふ了解やびわの花  未知(50代,男)
(2)早々と山妻寝入るそぞろ寒
(3)訳なしに死ねぬ軍神曼珠沙華

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
 少し句が説明的なように思います。
(1)の〜といふ了解(3)訳なしに死ねぬという部分ですが、「沈黙」と「びわの花」の取り合わせ。「軍神」と「曼珠沙華」の取り合わせでつなぐ言葉を考えてみられてはいかがでしょう。

晩秋の森に時間をおいてきた  豊田ささお(70才以上,男)
 三宅ドクター 10ヶ月ぶりぐらいでしょうか?相変わらず進歩のない句作りに明け暮れていますが、よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 お久しぶりです。どうかよろしくお願いいたします。
 発想が面白いですね。おいてきたのはどんな時間でしょう?若い日の初恋?それとも〜なんて想像しちゃいます。


2007年11月4日

初夏を正方形のやうに恋  藤(10代,男)
 時季はずれですが宜しくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 初夏を正方形のような形に思うのか、正方形のように四角四面なプラトニックラブなのか、ちょっと句意がわかりにくいですね。直喩の場合、はなれているもので発見があれば読み手にも伝わるのですが、ちょっとそこまで届いていないように思います。

(1)秋の雨ひとりで食べるトムヤムクン  ポリ(50代,女)
(2)内側の腕時計見る小鳥来る
 去年お世話になったポリです。相変わらずの調子ですが、どうぞよろしく。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんにちは。お元気ですか?
 2句とも感じのいい情景だと思いますよ。トムヤムクンと秋の雨。ちょっと手首を返して見る仕草と小鳥。いい取り合わせですね。

(1)鳥渡る箱根の関の復元し  文の子(60代,男)
(2)神苑の烏(う)の縄張りへ飼はれ鷹
(3)小波の寄せては返し秋櫻

 三宅ドクターお久し振りです。俳句を始めてそろそろ4年になりますが、ドクターにはこれで4回目と最もご指導頂いています。今回もどうぞ宜しくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
 もう4回目ですか!早いものです。
 好きなのは(3)です。コスモスの揺れるさまと海の小波でしょうか。風でゆれるコスモスというより、海とコスモスの取り合わせと想像できます。 (1)(2)は少し古めいている感じです。

(1)蔵元の新酒ふくいく黒格子  しんい(女)
(2)木の実降る狭き階札所寺
 三宅ドクター、進歩しておりませんが、又、よろしくお願い致します。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)「ふくいく」と言われなくとも新酒はフルーティで馥郁とした味わいのあるもの。新酒と黒格子は感じがいいのでこの部分を生かしてみてはいかがでしょう。

(1)冬薔薇ビートルズ聞く昼下がり  蓉子(50代,女)
(2)炭を焼く手のつややかに九十翁
 三宅ドクターはじめまして。7月にこのクリニックへ投句してから4ヶ月が過ぎますがその間に俳句が生活の一部になってきたように思います。これからもよろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 よろしくお願いいたします。
(1)感じのよい句ですね。冬薔薇とビートルズの取り合わせがいいです。

(1)十六夜や遠のく汽車の明かり追う  三郎(70才以上,男)
(2)天高し富士の山頂風自在
(3)落ち葉香の深さ増しけりけものみち

 よろしくお願いします。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こんにちは。少し言いすぎの感があります。
(1)追う (2)自在、の部分です。 (1)なら「明りかな」ぐらいでおさめても。いいのではないでしょうか。

(1)紅楓をひたすら撮す九十九道  小口泰與(60代,男)
(2)一沼と蓮沼覆ふ霧の音
(3)霧の中バスもろともに九十九折

 三宅先生お久しぶりです。少しも俳句が上達しておりませんが、よろしく二ヶ月間ご指導願います。
ドクター三宅の診断と処方箋
 お久しぶりです。お元気ですか。また、よろしくお願いいたします。
(1)(2)ともに材料が多いように思います。俳句は絵や写真とは違って情景を描写するのではなく言葉ですから、思い切ってピントを絞ってみてください。

秋深し絃のさわりの息づかい  茂(女)
 はじめまして。宜しくお願い致します。息切れしそうな句作で御座いますが、クリニックを知って今年の三月からお世話になっております。ご教示で少し俳句が楽しくなりました。
ドクター三宅の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いいたします。
 「絃のさわり」というとバイオリンか何かでしょうか。さわり、息づかい、秋ふかし、とちょっと感覚的な言葉が並んでいるので情景が見えるよう作ってみられたらいかがでしょう。

(1)秋風の通りすぎけり土偶の目  未知(50代,男)
(2)堰切って泥鰌堀する秋の暮
(3)たましひはいかにとなるや鰯雲

 ご教示を。
ドクター三宅の診断と処方箋
(1)がいいと思います。ただ土偶の目を風が通りすぎるのは春夏秋冬の風それぞれあるわけで、空虚な土偶の目、ということで秋風を選ばれたのでしょうか。   埴輪の目色なき風を通しけり 工藤弘子
という句がありますので、ご参考までに。

泥棒のやうに寮長ふゆのあさ  藤(10代,男)
ドクター三宅の診断と処方箋
 うーん。直喩が、ちょっとわかりにくい。寮長が泥棒のようというと、こそっと朝帰りということでしょうか?