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俳句クリニック 2007年12月後半分(ドクター:三宅やよい) 「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。
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ドクター三宅の診断
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2008年1月3日 (1)目瞑るもありし師走のコンサート 文の子(60代,男) (2)かはたれを黄の鮮鮮(あざあざ)と冬至の温泉(ゆ) 今日が最後の日となりました。2ヶ月間ご親切にご指導賜り心より御礼申しあげます。併せましてお健やかに新年をお迎えになられますよう祈念申しあげます。掲句よろしくお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)目瞑る「もありし」の部分は「目を瞑り時もある」、という意味なのか「観衆の中で目を瞑る人もいる」ということなのか、そのあたりの句意をとりかねました。 (2)「かはたれ」時と冬至の湯の取り合わせは、色彩的にも雰囲気もとてもいいですね。「黄の鮮鮮(あざあざ)と」が描写よりも、その雰囲気を細かく注釈する具合になってしまっていますので、中七の繋ぎを再考されてはいかがでしょう。 拙い診断にお付き合いいただきましてありがとうございます。また、次回お会いできますことを楽しみにしております。よいお年をお迎えください。 (1)読みかけの量子力学冬の朝 ポリ(50代,女) (2)振り向くと笑顔のオレンジ初氷 「冬の朝量子力学読んでいる」「振り向くと笑顔のオレンジ冬帽子」を少し直してみました。アドバイスありがとうございます。お世話になりました。どうぞお元気で! ドクター三宅の診断と処方箋 二句ともポリさんらしい句になりましたね。たくさん作って、たくさん捨てて、楽しい句をいっぱい作ってください。また、お会いできるのを楽しみにしています。よいお年をお迎えください。 (1)虎落笛利根も揺れ起つ厩橋 小口泰與(60代,男) (2)三山も雪を賜はり風痛き (3)仕事師の仕事始めの焚火かな 三宅やよい先生、二ヶ月間親切丁寧なご指導をたまわり、そのうえ添削までして頂きましたこと、大変にうれしく感謝申し上げます。また、ご指導をたまわります事を期待して、御礼の挨拶とさせて頂きます。有難う御座いました。良いお年をお迎えください。 ドクター三宅の診断と処方箋 どうかお元気でお過ごしくださいませ。また、次回お会いできますことを楽しみにしております。 (3)仕事の言葉の繰り返しと仕事師が囲んでいる焚き火が自然でよく効いています。この句が一番好きです。 日だまりにポインセチアと電子辞書 玉白石(50代,男) 今回はあまり投句できませんでした。次年度は心機一転とまいりたいところですが……。よいお年を!! ドクター三宅の診断と処方箋 また、お会いできるのを楽しみにしております。どうかよろしくお願いいたします。 日だまりに置かれているポインセチアと、そのそばにある電子辞書が、とてもよい情景を作っています。感じがよくていい句だと思います。 (1)勝ち負けの思案あれこれ霜夜かな 沖人(70才以上,男) (2)天神の梅干貰う年用意 (3)病得し人を見舞うや冬の鳶 気持ちを取り直しやってみます。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)天神の梅干、それぞれの天神さんでよく売っていますね。年用意より年の暮と時期を限定されるぐらいでもよろしいように思いますが、いかがでしょう。 良いお年を。 (1)駅ビルの二階で待つと年の夜 茂(女) (2)礼状の小躍りするやクリスマス 二ヶ月間ご指導有り難う御座いました。 ドクター三宅の診断と処方箋 また、お会いできる日を楽しみにしております。 (1)誰を待っているのでしょうね。只事のように思えますが、年の夜がよく効いていると思います。 良いお年をお迎えください。 (1)持ち寄りの食材鍋に山初め 豊田ささお(70才以上,男) 「冬の影落ち葉模様の・・」へのご教示有難うございました。以後心して作ります。といいつつ、また、元の木阿弥かもしれませんが・・今回のは説明に終わっているでしょうか・・。 (2)伐るべきか伐らざるべきか山始め 2ヶ月間の今日が最終日、大変お名残惜しゅうございます。またのご指導をお待ちします。山始めでもう一句おねがいします。 (3)梅一枝谷のはじめのひとしずく また見たまま俳句に落ちたかもしれません。が、三宅ドクターのおかげで、俳句の形が少し見えてきたような気がします。ありがとうございました。お元気でご活躍を・・・。 ドクター三宅の診断と処方箋 拙い診断をお聞き入れいただきましてありがとうございます。どうかお元気でお暮らしください。また、お会いできる日を楽しみにしております。 (1)鍋に、より「料る」ぐらいで、あっさり表現されてみてもよろしいのではないでしょうか。 (3)いいですね。、白梅が一輪咲いたようすが「谷のはじめのひとしずく」と、傾斜する日当たりのよい場所に植えられた梅が次々と咲き始めてゆくようで。 (1)何もかも忘れてしまふ秋の暮 未知(50代,男) (2)潮騒の音に出でたるさざえの身 (3)みづうみに落ちゆく石や冬籠 (4)せめてもや玉紙の陽とよろ昆布 (5)蔵王権現背に押し付けて春神輿 (6)円空の神を掘り出す冬の月 ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)具体的な情景が浮かぶように作られてみてはいかがでしょう。 (3)上五と中七が冬籠の説明のようになってしまっているように思います。 (1)山風に雀犇めく冬田かな 小口泰與(60代,男) (2)オカリナの風に収まり枯芭蕉 (3)冬日浴び襞すつきりと榛名富士 よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)風に雀が犇く情景がどういう情景か、もう一歩説得力にかけるようにも思います。犇く→ひしめく、でもよろしいように思いますが。 (3)山襞までよく見えているのでしょうか、襞が見えるのでしたら「襞くっきりと」、でしょうし、山裾にのびる稜線が延びているのなら「裾すっきりと」というように表現されてみられてはいかがでしょう。 年越の闇に吐息は残り居り 悶朗(50代,男) よろしくお願いします。毎年近所の寺が除夜の鐘を打ち出すと庭に出て「ああ、今年も終わりだなあ」と一人溜息をついてしまいます。 ドクター三宅の診断と処方箋 50代になって年の終わりがしみじみと感じられます。たくさんの人が庭に出て、除夜の鐘を聞いているのかもしらませんね。居りは、おり、とひらがな表記でもよろしいように思いますが、いかがでしょう。 (1)柳ヶ瀬の帝王父は冬銀河 きなこ(50代,男) (2)にらめっこされて好日寒の鯉 (3)冬風に乗りて来迎招き猫 (4)ピンホールカメラ新品冬の虹 (5)少年の顔に黄葉の染むるなり ドクター三宅の診断と処方箋 (4)ピンホールカメラと冬の虹の取り合わせがいいですね。 (5)これも好きです。少年の顔に照りかえる銀杏の明るさがいいですね。 2008年1月2日 蒸籠より皿へと冬至南瓜の黄 慈英(50代,男) ご指導宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 なかなか面白い情景だと思いますが、南瓜という答えをちょっと伏せておいて、「蒸籠より皿へとうつす冬至の黄」という表現でも、いったい何の食べ物を移したのかな、と楽しいかもしれませんね。 (1)特急を待つ鈍行や凍ての夜 岬(女) (2)特急を待ちいるホーム凍ての夜 寒い冬の夜特急が来るのを待っていて何となく淋しく物悲しくなった気持ちを詠みました。もう今回最後だと思いますが味のあるコメントを有難う御座いました。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。 ドクター三宅の診断と処方箋 ありがとうございます。拙い診断しか出来ませんでしたが、またお会いできるのを楽しみにしております。 鈍行の中で特急を待つのは実景でしょうけど、少し説明っぽくなるので、ただ特急がホームを過ぎてゆく情景だけでもよろしいように思います。「特急のすぎゆくホーム」といったところでしょうか。 詳しく情景を抑えるよりも、もの悲しくなった気持ちだけに焦点をあてて、瞬時をとらえてみられてはいかがでしょう。 柚子風呂の柚子と戯れ小半時 桐子(60代,男) 年甲斐もないひと時でした。 ドクター三宅の診断と処方箋 ころがしたり、ほうりなげたり、ゆっくりお風呂に入られたのでしょうね。小半時が少し古風なので、くだけた調子で表現されてみてはいかがでしょう。 (1)けふ限り娘(こ)とつれだちし初詣 文の子(60代,男) (2)裸木の瘤しょうねんの力こぶ 元句は「裸木や少年ちから瘤ほこり」です。ご指導いただいたのは、裸木が近いということですから掲句は×と思いつつもお出ししました。 (3)子の脱ぐはばんざいの形(なり)ふゆ欅 24日にご診断いただいた「万歳といひ服ぬぐ児冬けやき」を推敲しました。宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)そうですね、裸木の瘤がちょっと直接的すぎて連想の余地がないので、冬木の芽、ぐらいで少し抑えられてみてもよろしいのでは。 (3)ちょっと言葉がまだこみいっているように思われます。 (1)雀来て僅かな紅葉散らしおり 浅葉洋(70才以上,男) 僅かに残った紅葉が風もないのに散っていました。見上げると、雀達が何やら大騒ぎしています。 (2)泥落とす大根の肌まぶしけり 小さな家庭菜園ですが、何とか大根が採れました。小さな収穫です。ご高評をお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)雀「来て」と「散らす」と二つ動詞を重ねるよちも雀を寒雀、とか小雀、とかにされてみてもよいように思います。 (2)まぶしけり、とつなぐなら「泥落とし」にされてみてはいかがでしょう。 (1)蟹食べて前世は蟹のきみとぼく 玉白石(50代,男) (2)蟹喰べて海にいとこのいるような 北陸・三国にて。よろしくお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)前世が少し強い言葉のように思いますので、いつか、と未来にぼかしてみたり、昨日、と過去に設定されてもよいように思いますが、いかがでしょう。 冬ざれの街に花咲くダイオードー うさぎ クリスマスは終わりましたが、イルミネイションは大晦日まで残すところが沢山あります。 宜しくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 ああ、ダイオードのクリスマスイルミネーションの華やかさがよくわかります。きっと新年のカウントダウンも人が集まって賑やかに行われるのでしょうね。 (1)裸木の梢はなれぬ白き雲 れい(70才以上) (2)退院の1日延びて冬日暮る よろしくお願いします。今年ももう暮れますが、良いお年をお迎えくださいませ。 ドクター三宅の診断と処方箋 ありがとうございます。どうかお元気でお暮らしくださいませ。 (2)少しもの淋しい句ですが、早くも暮れてしまう冬日の心細さとよく響きあった句で深く心に残ります。 冬の月スイスホテルの怒り肩 慈英(50代,男) ご指導宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 スイスホテルはその様子に特徴のあるホテルなのでしょうね。擬人化されているのだと思いますが、スイスホテル、だけでその様子が読み手にわかるといいのですが、よく知られてホテルなのでしょうか。 (1)真ん中の消え落ちてゐる冬の虹 せいち(60代,男) (2)冬虹の消ゆ立話してる間に 2ヶ月、早いものですね。今回三宅ドクターに看てもらうのはこれが最後かな?ありがとうございました。では(月並みに)どうぞ良いお年を・・・。 ドクター三宅の診断と処方箋 ありがとうございます。良いお年をお迎えください。 (1)冬虹のまんなかあたりのカーブが欠けている様子が、冬虹の淡さとマッチしていますね。ちょっと説明的になりますが「少し」と程度を入れられてみると、よりリアリティが出るように思いますがいかがでしょう。 寒卵殻に身の付く午前二時 きなこ(50代,男) よろしくご診断下さい。 ドクター三宅の診断と処方箋 うーん。午前二時がどうでしょう。下五の語呂がいいせいか、この時間帯はよく俳句に登場するのですが、必然性のある句は少ないように思うので、そのあたり使うときには注意!ですね。「殻に身の付く」は、卵の白身が殻に少し残っているのでしょうか。それともこの卵はゆで卵についた殻?卵の様子がすんなりわかりにくいところがあるように思います。 2008年1月1日 (1)冬木立そびらに高く風見鶏 岬(60代,女) (2)縁結び祈るカップル宮小春 (3)冬凪や貨物ひしめく中埠頭 ルミナリエを見に神戸に行きました。神戸生まれの三宅ドクターにご教授をお願いします。何時も的確にポイントを教えて頂き有難う御座います。 ドクター三宅の診断と処方箋 懐かしい情景の句が並んでいますね。 (1)北野町の異人館ですね。風見鶏はドラマから有名になりましたね。「そびらに高くは」冬木立をバックにしているということでしょうか。それとも冬木立で切れるのでしょうか。そのあたりが少しわかりにくいように感じました。 (2)生田神社でしょうね。縁結びを祈っておみくじでも引いているのかも。 (3)この情景が一番好きでした。凪だからこそ、ゆらゆらと舫っている貨物船がひしめいている情景が生きてくるように思います。 在りし声耳離れずに年惜しむ しんい(女) 二ヶ月間、色々と有難うございました。どうぞよいお年をお迎え下さいませ。 ドクター三宅の診断と処方箋 こちらこそありがとうございました。不十分な診断しかできませんでしたが、またお会いできるのを。楽しみにしております。 今年も懐かしい人との別れがありました。寂しさと同時に新しい年に、新しい出会いがあることを楽しみにしたいと思います。よいお年をお迎えください。 では。 (1)逃げ腰のチワワの瞳虎落笛 小口泰與(60代,男) (2)久々にお降りたまはり寒椿 (3)駄菓子屋に集ひし子等の息白し (4)山吹雪き里は山風たまはりぬ (5)常しなへ果せぬ夢や冬の蝶 (6)明時(あかとき)の自ずと凍てる下駄の音 よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)「逃げ腰」なのはチワワが虎落笛に恐れているのでしょうか。 (2)「御降」は元日に降る雨または雪ですから、久々という出だしはどうでしょう。寒椿との季重なりも上と下が分裂してしまうように思います。 (3)駄菓子屋に集まる子供の情景と白息ではなく、ほかのものと取り合わせてごらんになればいかがでしょう。 (1)海鳴りのどこぞに連れてゐかれけり 未知(50代,男) (2)夜の更けててのひら厚き塩汁鍋 (3)そば打ちの巻きが入りし大晦日 (4)妻の声高に出てゆく年の暮 (5)雪ふるや川に流るるアイヌ悲歌 ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)ショッツル鍋ですか。てのひら「厚き」、は食べる人の掌の描写でしょうか。熱いショッツル鍋と響きあうところもあり、 よろしいですね。 (3)「巻き」が入る、とは、もう終わりとテレビの収録なんかで合図することを言っていらっしゃるのでしょうか。そば打ちの巻き、の句意を少しとりかねました。 マンドリンの音色はずめる聖夜かな 蓉子(50代,女) 音色は省略したほうが良いでしょうか。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 そうですね。 マンドリンを演奏する描写でしたら、指のはずめる、でしょうし、マンドリンにあわせて踊るなら、子供はずめる、でしょうし、いずれにしても音色でない言葉を置かれるほうが、情景に広がりがでるように思います。 (1)駅伝は青春まっすぐ前を見る 遊雲(70才以上,男) (2)山国はすべて灰色雪の中 (3)枯れ木には枯れ木の夢がありにけり 今日25日は終い天神、ようやくに晴れ大変な人出でした。そして今年最後の句会でした。2ヶ月ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。 ドクター三宅の診断と処方箋 ありがとうございます。また、お会いできるのを楽しみにしております。お元気で。 (1)確かに駅伝はみんなまっすぐ前を見て走っていますね。ただ、「青春」がまっすぐ、というのでは、青春という言葉を飾る説明になってしまいますので、ただ駅伝の様子を表す意味で使われるだけでよろしいように思います。 (1)窓越しに猫と戯る小春かな えんや(70才以上,男) (2)東京よりもらい物とて酢茎来る 二ヶ月間、ご指導有難う御座いました。心より御礼申し上げます。どうか良いお年をお迎え下さい。 ドクター三宅の診断と処方箋 どういたしまして。またお会いできるまでお元気お過ごしください。 (2)東京から送られてくる酢茎 には何となく面白みがありますね。ただもらい物とて、のあたりはいらないように思いますが、いかがでしょう。 (1)織りの里錦召しまま初の雪 草子(60代,女) (2)木枯らしや遊び心を知らぬもの (3)小春日やちょっと秘め事打ち明ける "織りの里"とは明石縮みで有名な越後十日町です。紅葉残る里に初雪が綺麗でした。よろしくお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)「錦召しまま」なのは人ではなくて織りの里、この土地全体に雪が降っているということなのでしょうね。 (3)秘め事、を具体的に表現されると親しみが増すようにも思います。 (1)それぞれにあるがままなり浮き寝鳥 うさぎ 意味不明でしょうか? (2)そぞろ寒鎖骨の窪みに沁み入りし 伊達の薄着とよく言われます。または、「鎖骨のくぼみより沁みる」も考えました。 宜しくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)「あるがまま」が浮き寝鳥の格好なのか、それとも雪が降れば雪が降り積もるままに、雨が降れば雨に打たれるままに、ということなのでしょうか。そのあたり、ちょっと漠然としているように思えました。 (2)クボミまで言われなくても、寒さが鎖骨にしみこむ、という程度でもよろしいのではないでしょうか。 (1)冬将軍煉瓦作りの煙突に 茂(女) (2)急げとて月の導く降誕祭 月と降誕祭では強すぎるでしょうか。余りにも夕べの月が綺麗でしたので。 ドクター三宅の診断と処方箋 本当に煌々と輝いていましたね。急げ、という言葉と月が導く、双方ともに強いのでちょっと演出過多のようにも思います。 2007年12月31日 (1)もぎたてを十個もろうて柚子湯かな 桐子(60代,男) 冬至の日、近所の方に庭植えの木から取れた柚子をいただき、柚子湯を楽しみました。 (2)柚子みんなお尻をみせて冬至風呂 湯船に浮かぶ柚子、へたの方が下向きで、お尻の方が上向きであることに気づきました。当たり前といえば当たり前ですが。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)きどらない口調がいいですね。この柚子湯は新鮮でよく香るように思えます。 (2)柚子みんなお尻をみせて の部分は面白いと思うのですが、最後が冬至風呂だと正体を明かしたようになってしまいますし、柚子、と冬至でちょっと季語もダメ押しになってしまいます。、このあたり工夫されてみてはいかがでしょう。 (1)蟻の列ジュラ紀層より続きをり 未知(50代,男) (2)パンジーの子育て日記買ひにけり (3)番小屋の干鱈を炙るかもめかな (4)太陽の蘇りたる柚湯かな (5)遺髪をば川に流して去年今年 (6)冬の夜の文字の寄り合ふウェブ日記 ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)なんだか可愛くて面白い句ですね。パンジーや、と上七できっちり切れを入れられてもよいように思います。 (4)冬至から日の長さが伸びることを思えば少し理に落ちるようにも思います。 (6)パソコンのブログ日記などの様子がよくわかって面白いですね。文字寄り合ひし、といった形で少し短縮されても。 (1)言うだけは言ってみようかイヴだけど 北野元玄(60代,男) (2)冬晴れやパバロッティの首と肩 2ヶ月間ご苦労様でした。そして、有難うございました。ご本、楽しく読ませていただいております。来年もよろしくおねがいします。よいお年を。 ドクター三宅の診断と処方箋 ありがとうございます。楽しんでいただければ幸です。 (2)パバロッティのがっしりとした首と肩、そしてあの太くてよく響く歌声は冬晴れにぴったりですね。 (1)真つ新な銀杏落葉踏みにけり 小口泰與(60代,男) (2)水けむる村の睦し道祖神 (3)竹林に和みし日差し室の花 (4)山風に水洟湧きてとびにけり (5)司馬遷の史記を糧にし年忘 (6)霏霏と降る雪にしじまを深うせり よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)まっさらな、と読むのでしょうか。ひらがなで表記されてもよろしいのでは。 (2)睦し、はむつみし、でしょうか。それは道祖神が村に対して、それとも村人同士が、というあたりがちょっとわかりにくいです。道祖神が、というのであれば村に親しき、でしょうし、村人がむつまじいのであれば「村睦み合ひ」といったところでしょうか。句意をはっきりさせられればいかがでしょう。 (1)旭屋にちょっと立読み暮早し 慈英(50代,男) (2)ソプラノの緋色のドレスクリスマス ご指導宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)旭屋、紀伊国屋とくれば本屋とわかるので、続けて「立ち読み」と平凡にまとまってしまうようにも思えます。 (2)ドレスの色がクリスマスと直結する色なので、違う色をもってこられればいかがでしょう。 (1)微笑みて門限はいつ雪女 岡野直樹(40代,男) (2)葉牡丹は一月生まれ笑窪の子 (3)年の瀬や仮面夫婦もおいしいな 歳時記を眺め続けて、なにやら変な気持ちが出てきたかな、と言ったところです。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)会話調にされるのでしたら門限をいつ帰るのと、と言い換えられても。 (2)「は」ではなく「や」と、いったん上に切れを入れられて、取り合わせの句にされてはいかがでしょう。 (3)少し意味をとりかねました。 (1)糸をひく筧の水や松の内 豊田ささお(70才以上,男) 「寝転べば胸に降り積む落ち葉かな」頂きですね。有難うございました。掲句、平凡かなと思いつつも・・・ (2)鳰の朝黄金の池に遊ぶかな 口調良く覚えやすい・・これがが大切ということ、染み入りました。で、掲句はいかがでしょう・・・。 (3)十二月八日に生まれ戦わず 開戦日に生まれた妹も66歳です。坪内先生はバースデー4月22日ですか・・何か因縁めきますね。因みにワタシは12月23日でした。もう年は欲しくないですが、勝手にやってきますねえ・・ ドクター三宅の診断と処方箋 23日がお誕生日とのこと、おめでとうございます。 (1)実景でしょうが、もう一押しほしいところですね。糸をひくは筧の水の描写でしょうが、おっしゃるように少し常套的な表現のように思えます。 (2)朝日に光って水面が輝いているのでしょうけど、黄金の池が少しおおげさかもしれません。 冬至湯や湯気の向こうに友の顔 浅葉洋(70才以上,男) 昨夜の冬至は真冬並みに寒く、例年のように柚子湯に入り、身体を温めました。何故か湯煙に向こうに、亡くなった友や、遠くにいる友の顔が浮かび上がりました。御高評を。 ドクター三宅の診断と処方箋 そうですね。冬至の柚子湯は懐かしい思いがあります。浅葉洋さんの懐旧の思いのこもった句ではありますが、俳句では風呂や、鍋の湯気の向こうに懐かしい顔が見える句はけっこう沢山ありますので、顔ではなくて、手とかひじとか、身体の一部にされると、常套的でない実感が出てくるかもしれません。 数え日や宅配便の駐車灯 玉白石(50代,男) よろしくお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 あっさりとよろしい句ですね。街の角によくオレンジのランプをともして宅配便の車が停まっていますね。「宅配便」の部分を会社の固有名詞を持ってこられても、現代の味が出て面白いように思います。 (1)短日や洗濯物も乾かさず 岡野直樹(40代,男) (2)昨年もここにいたぞと水仙花 (3)先が緑の上靴を干す冬うらら 歳時記を眺めながら、頭で作った感じです。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)「同じところに」ぐらいでもよろしいのでは。 (3)うーん。気持ちはわかりますが、少しこみいっていますね。先が緑の上靴を干す、の部分を、省略を効かせて簡略化されてはいかがでしょうか。 (1)社会鍋われ鰻屋に行く途中 きなこ(50代,男) (2)ダダイスト蒲焼食ぶも十二月 (3)なまず屋のとんかつ食すテーゼかな 日々、鰻が食べられる幸せ、感じています。 ドクター三宅の診断と処方箋 ちょっと全体に昭和のはじめごろの古い雰囲気があります。「社会鍋」「ダダイスト」「テーゼ」という言葉がそういう方向に引っ張るのでしょうね。そういう句の作り方もいいとは思うのですが、ちょっと新鮮味を出すのに、今のものと取り合わせるとか、句の中心をもっとずらしてナンセンスの度合いを深めるとか、試みられてはいかがでしょう。 2007年12月30日 パスポート妻のも入れて年用意 多弁(60代,男) 正月はハワイで!気持ちだけでも。 ドクター三宅の診断と処方箋 いいですね。気持ちだけでも、ということは実際にはハワイにはお出かけにならない空想句ということでしょうか。どんどん作ってみてください。 (1)杉苔の白山茶花の散りてあり 沖人(70才以上,男) (2)山茶花の東司の脇に散りもして (3)お土産をもとめる庫裏に隙間風 (4)下がり松裾持ち上げて冬の雨 (5)カラカラと吹かれ集まる枯れ葉かな (6)万両の万の閑けさ一休寺 「霜掃ける」の句に嬉しい処方箋を戴き励みになります。引き続き宜しく願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (3)庫裏でお土産を販売しているのでしょうか?もとめる、は自分の立場でしょうけど、隙間風に焦点をあてるのでしたら、そこに店がある、ということに重点を置かれて「並べし」ぐらいの表現でもよろしいように思います。 (4)「裾そ持ち上げる」のは着物を着た婦人でしょうか?もしそうなら、取り合わせるものが、下がり松が古風なので別のものが良いように思いますがいかがでしょう。見立ての句のようにも読めてしまいますので。 (6)万と一の対比をねらわれたのでしょうけど、中七の万の静けさ、が少し大げさになっているように思いました。 (1)ポインセチア鉢にシーサ添えてあり 藤原有(70才以上,女) (2)年の暮れ組立式の机買ふ ドクター三宅の診断と処方箋 (1)小さなシーサーが植え込みの下の部分に置かれているのでしょうか。かわいらしいですね。添えて、というのはプレゼントとしてもらったという意味も含んでいるのかもしれませんが、置いてあり。ぐらいのさらりとした描写でも。 (2)組立式の机をご購入になったのは事実でしょうけど、もう一味何かほしいように思います。 (1)自転車を押し登りつつ冬ざるる 岡野直樹(40代,男) (2)年の暮れ賞味期限は一昨年 (3)年の末洗車に精出す若和尚 よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)押し「て」登りつ、と助詞を入れられてみてはいかがでしょう。 (2)単なる報告に終わっているように思います。 (3)精出すの部分を具体的な行為で描写されてはいかがでしょう。 (1)砂巻いて打ち寄せる波冬薔薇 茂(女) (2)母も来た砂丘の足跡冬の風 初めて鳥取砂丘に行って参りました。 (3)大輪の花買うており冬至かな ドクター三宅の診断と処方箋 (2)母も来た、の部分を生かすなら、足跡まで言われなくてもよろしいのでは。双方追憶の部分に入りますので。どちらかに視点を絞られるといいと思います。 (1)ネットカフェ小窓に添える冬薔薇 未知(50代,男) (2)風やみて光となりぬ雪虫は (3)家計簿のぼあぼあなりし年の暮 (4)夢よりも速く流るる師走雲 (5)禁断の木の実なりけり薬喰 (6)大年のすする音ある夜更けかな ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (3)家計簿がぼあぼあしているというのが面白いですね。「なりし」と表現すると一年間使いこんで、12月だからこれだけ傷んでしまったよ。と少し理屈っぽくなるので、そのあたり、ただ、ぼあぼあの家計簿がある。という表現でいいのではないでしょうか。 (5)「禁断の木の実」が少しおおげさですね。 (6)蕎麦をすする音と「すする」が繋がることを期待しての言葉だと思いますが、連想の広がりがもう一歩「大年」の枠から離れていないように思えます。そのあたりご一考を。 (1)モシモシの電話はリンゴ小さきひときれ 草子(60代,女) (2)草もみじ這う子と蛙の目玉かな (3)掴んでは落ち葉降らせる力足 こんにちは!一年ぶりの検診?にお邪魔致しました。一月に無事孫が誕生いたしました。”孫俳句”に陥りがちにならぬよう気をつけているつもりですがどうでしょう。 ドクター三宅の診断と処方箋 おめでとうございます!お孫さんを見ていると毎日が楽しいでしょうね。お気持ちはわかりますし、「孫と猫の句にはろくな句がない」と言う人には言わせておいて、評価されるかどうかは別にして、どんどん作られるといいと思いますよ。 (2)はいはいする子供と蛙が顔をあわせてるということでしょうか。 (3)一生懸命落葉を降らせる様子がわかりますね。ただ、これは力足がすぐ小さな子供を連想させるかどうか、この句からだけではわかりにくいようにも思います。 (1)着ぶくれて長蛇の列の人となる えんや(70才以上,男) (2)開店に着ぶくれの列動き出す いつも拙い句に懇切に診断頂き有難う御座います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)は自分を中心にした句(2)は少し突き放して外側から自分が並んでいる情景を描写した句になりますね。それぞれに焦点ははっきりとしていると思います。続けて、着ぶくれの人を意外なところへ連れ出して作ってみられるとまた違った味わいの句ができるようにも思います。 (1)今年また はや時雨忌となりにけり 山本葆博(70才以上,男) (2)去年今年 日常底を生くるのみ (3)あれこれも 心次第か 去年今年 (4)晩年や 唯我独尊 去年今年 (5)生も死も 一時の位 去年今年 ご多忙の折恐れ入ります、宜しくご指導ください。 ドクター三宅の診断と処方箋 すべて今の心持を句に託していらっしゃるのだと思いますが、情景が見えにくいです。心情を託すには俳句は少し身近すぎるのです。去年今年の季語にあわすには、何気ない普段の習慣や仕草を気負わず表現されると、一年を締めくくる季語が際立つように思います。 小春日や茅の根っこをかんでみる 豊田ささお(70才以上,男) 「障子閉め ・・・暮れ早し」は季語が近すぎるとのご指摘ありがとうございました。気をつけているつもりがつい・・・。この句、ちがやをツバナともいいますが、根が甘かったという幼児体験です・・・。 ドクター三宅の診断と処方箋 ちがや、ツバナの根は甘いのですね。私は食べたことはありませんが、きっと幼い日の遠い記憶が噛んだ味や匂いからよみがえってくるのでしょうね。小春日がいい感じです。 2007年12月29日 (1)冬ざるる比叡の山のカレーかな 岡野直樹(40代,男) (2)冬ざれやローラースケート手を握る (3)冬ざれの鉄橋下のキス一つ よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)(3)がいいですね。このカレーはあったかくておいしそうですし、鉄橋の下で交わすキスも冬ざれの景色とよく似合っています。 (1)雪の城なぜ妻はななめのかたち 汽白(40代,男) (2)ひとみしりカシオペアからの光年 いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)雪の城は座五に持ってこられた方がよいように思いますが、いかがでしょう。 (2)「カシオペアから一光年」のように、具体的な数字を持ってこられればいかがでしょう。 (1)階段を登る口笛「枯葉」かな 玉白石(50代,男) (2)櫨桜紅葉且つ散る校舎裏 よろしくお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)階段をなくしても、「枯葉」の口笛が登ってくる、という情景で充分通じるし、雰囲気があっていいように思いますがいかがでしょう。 (2)実景でしょうけど、少し材料が多いように思います。 家に灯を点す仕合せクリスマス 藤原有(70才以上,女) はじめまして。ご指導よろしく願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 こちらこそはじめまして。よろしくお願いいたします。 素直に作られていますね。確かに家に灯がともっているのを眺めると幸せな気分になりますし、クリスマスらしい情景です。クリスマスでいくつか句を作ってごらんになるといいと思います。 平成の尺寸死語に鯨減る なごみ(70才以上,女) 「空っ風」の句の診断有難う御座いました。亡母が鯨尺を使って着物を縫ってくれていた事や、牛肉の代わりに鯨の肉でステーキをつくってくれたことを想いだしました。 ドクター三宅の診断と処方箋 思いはわかりますが、句全体で下の説明の意図を読み取るのは難しいように思います。「母の遺愛の鯨尺」「鯨肉のステーキほうばる」とか、それぞれに言葉を分けて句を作られてみてはいかがでしょう。 (1)冬の朝量子力学読んでいる ポリ(50代,女) (2)振り向くと笑顔のオレンジ冬帽子 寒くなりましたね。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 冬の朝、と量子力学の取り合わせはいいですね。繋ぎの部分でもう一歩工夫がほしいところです。 (2)振り向くと笑顔のオレンジ ここまでの部分はとてもいいです。オレンジは冬帽子の色なのでしょうが、その形容ではなくて、振り向いた顔がオレンジ、という形で、下五を別のものとの取り合わせを考えてみられればいかがでしょう。 (1)焼芋や指輪の似合う男おる きなこ(50代,男) (2)うなぎ屋を出て木枯らしを見送りぬ (3)草虱付けて股旅猫の尻 よろしく、ご診断下さい。 ドクター三宅の診断と処方箋 それぞれに面白いのですが、ちょっと言葉を最後まで言わずに飲み込んでほしい部分が少しずつあります。例えば、 (1)おる、といわずに焼芋や指輪の似合う男かな、と切ってもいいでしょうし、 (2)うなぎ屋を出て木枯らしの吹き抜けりと言い切っても、 (3)は股旅の部分。はなくても。 強調したい部分を言わずに読み手へ手渡されてもよろしいのではないでしょうか。 (1)羽子の市竹とパイプの矢来なる 文の子(60代,男) (2)今昔ぞ羽子板市のミニと褄 (3)羽子板市むすめの巣立ち決まりたる 日記句なのでしょうが、丁度羽子板市に行った12/18に司法修習卒業試験の発表があり、合格した旨の連絡を貰いました。私にとっては、季語は動かないのですが、一般には如何でしょうか。結婚が決まったという読みでも季語と合うと思いました。宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 日記句は日記句でいいと思います。自分の大切な記憶なのですから。ただ鑑賞の対象としての俳句は、日記とはまた別なようにも思います。自分の思いと俳句の表現と、その兼ね合いをどこで折り合いをつけるかはそれぞれの作り手だと思いますので、その点についての講評は差し控えさせていただきます。 (1)夥し雀ざわめく寒烏 小口泰與(60代,男) (2)落葉道風去りしじま深きかな (3)止まりては紡ぎし言葉冬落暉 (4)群れをなす鳶の乱舞や北颪 (5)寒暁のししま育む田んぼかな (6)真民の無限の愛や寒薔薇 よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)夥しいのは寒烏でしょうか。雀もまたざわめくほど多いのでしょうか。そのあたり、言葉がどこにかかっているのか曖昧です。 (2)「しじま深き」(6)「真民の無限の愛」のあたり言葉が現実から離れすぎている印象があります。もう少し身近な言葉で表現されてみてはいかがでしょう。 (1)パーサーの早口に慣れ冬の星 茂(女) (2)時雨るるや会話途切れぬカフェテラス (3)草原の真中に冬の虹おぼろ (4)冬温し台車取っ手に番鳩 (5)冬将軍煉瓦の欠ける煙突に ドクター三宅の診断と処方箋 (4)台車の取ってに番の鳩が乗っているのでしょうね。かわいらしい情景ですね。まさに冬ぬくし、といった感じでこれが一番いいと思いました。 (5)冬将軍が煉瓦の欠ける煙突に来たということでしょうか。ちょっといいさしの印象があります。もう少し具体的に景が見えるものが煙突に来たほうがいいかもしれませんね。 (1)義士像の四十七態北風の中 慈英(50代,男) (2)虎落笛カラフト犬を眠らせる ご指導宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)赤穂浪士の像が47体それぞれの格好をして置かれているということでしょうか。討ち入りはそれだけでも冬の情景ですので北風は少し着きすぎのようにも感じます。 (2)これも寒さが追い討ちをかけるようですので、カラフト犬ではなくて普通の犬でも充分なように思います。 2007年12月28日 (1)ストーブの入れては切りし十二月 未知(50代,男) (2)酢なまこの噛んで噛まれぬ御仁かな (3)てっちりや樺太見ゆる島にゐて (4)白鳥や空の蒼さに染まらずに (5)初市や飴切り音の韻きけり (6)茶の花やバナナは舟のかたちにて (7)風花や満蒙かけし記者をりて ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (3)がいいですね。樺太にてっちりがよく効いています。ふぐといえば下関が名産ですが、北方でも獲れるのでしょうか。 (6)「バナナは舟のかたちにて」この部分はいいと思うのですが、茶の花との取り合わせがもう一つなように思います。上五をもう一押し考えてみられてはいかがでしょう。 一日に一錠服し去年今年 蓉子(50代,女) よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 淡々と日を送るさまが素直に詠まれているように思います。数字が効いていますね。 雪夜泣く子に戻りたし石地蔵 うさぎ 週末の雪は泥雪、堅雪と変わりました。雪の上の子供たちの足跡を見てたら笠地蔵の話を思い出しました。 ドクター三宅の診断と処方箋 雪、今年はまだ見ていません。初雪はいつかな楽しみです。「子に戻りたし石地蔵」この部分を生かすのに、雪との取り合わせはいいと思うのですが、泣かなくてもすんなり、いい景色になると思うのですが、いかがでしょう。 (1)走り根の左右に凛と草さんご 沖人(70才以上,男) (2)あと二三廻りたいんじゃ暮易し (3)冬の夜のすっごき風に目覚めいる 宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)この情景よくわかります。わかれた根の左右に草さんごが生えている情景だけでも俳句になりますね。「凛と」と形容がなくてもよいようにも思います。 木枯らしやみかんも黴を被りける 鷹鵬(20代,男) 実家から送られてきたみかんに黴が生えていたので、悔し紛れに一句詠んでみました。ご指導よろしくお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 下宿なさっているのでしょうか。よほど悔しかったでしょうか。木枯らしも、みかんも季語ですし、黴は六月の季語ですね。それぞれが俳句ではそれなりに重みを持った言葉なので、そのままの情景を詠まれても言葉が分裂してしまうのです。現実と俳句の17文字の世界は次元が違うので、現実から発想しながらも少しずらすことが必要になります。そのあたりを考えてみられればいかがでしょう。 (1)ユリカモメ朝日にきららぺたる踏む kikumi(60代,女) (2)ヒヨドリの一声高くほしがきも お世話になります。 朝刊「季節のたより」、ネンテン先生の随筆と楽しく拝見させて頂いてますm(__)m。大和川にもユリカモメなど来てます。自転車止めると、エサでもくれるかといっせいに飛んで来て乱舞です.暫らく様子伺う2、3羽います。ヒヨドリも南天の見が目当てですが、干し柿に喜びです。狙われて? ドクター三宅の診断と処方箋 (1)大和川にもユリカモメが来るのですね。こちらではお台場でよく見ます。自転車でさっそうと川べりを走っていらっしゃるのでしょうね。 (2)ほしがきも、の「も」がよくわからないのですが、干し柿を欲しがってということであれば、「ほしがきに」でしょうか。 (1)川涸れてとんと滑りのなかりけり 小口泰與(60代,男) (2)蒼天や雪の浅間の晃晃と (3)蒼空にはづみて消ゆる龍の玉 よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)「とんと滑りのなかりけり」の部分がよくわからなかったです。 曲がり家に冬あたたかや陶芸展 多弁(60代,男) 里山ハイキングに出かけたとき、大きな曲がり家が保存されており、その土間で、趣味の陶芸作品が展示されておりました。 ドクター三宅の診断と処方箋 曲がり家の中の陶芸展 その情景を思うだけでも感じがいいですね。繋ぎの言葉を「に」にしてしまうと、ちょっとつながりがわかりにくいので、曲がり屋自体があたたかいという印象でしたら「の」でいいのではないでしょうか。 (1)トラトラトラや真珠湾に浮上せり 未知(50代,男) (2)大和心に咲きたるや山桜 (3)駅伝の山登る白息欲しや ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)(2)少し戦争の句としては常套的な表現になってしまっているように思います。 (3)山登る白息欲しや の部分はとてもいいと思いますが、駅伝の、と冒頭で言ってしまうと以下が説明っぽくなってしまうようにも思います。そのあたりご一考を。 (1)冬ざれて肩をもがれし榎かな 豊田ささお(70才以上,男) 「短日や片付けもせず・・」へのご診断ありがとうございます。どんな片付け・・ですか?考えます。掲句は、昨日の実景です。実は私日本一のため池の近くに住んでいて池の畔の榎が大好きでした。太枝2本付け根から伐られました。桜を植えて榎を邪魔にする人の気持ち・・わからなくはないですが、もうちょっと考えて欲しかったなあと嘆くばかりです。「手をもがれ叫び続ける冬榎」も考えましたが、生過ぎるようでやめました。最近両生類の生息場所がつぶされたり、樫の木が伐られたり、と、心やすらぐ老年は来ませんねえ・・ (2)冬ざれの池を見下ろす大榎 気を取り直して、堂々とした日の姿を詠んでみました。ここで「冬の影落ち葉模様のあたたかさ」というのに付いてお尋ねです。季重なりですが、冬のほうが重いのでいいかなと・・ご教示を・・ ドクター三宅の診断と処方箋 (1)実感がこもっていて痛々しいですけれどよい句だと思いました。大きな樹は見るだけでも気持ちがせいせいしますよね。私も近くに好きな大ケヤキの樹があってちょっと気持ちが落ち込んだときなど、その下のベンチに寝転がって空を見上げます。 (2)そうですね。「冬の」とつけられなくともいいのではないでしょうか。最後に「あたたかさ」がついているので、少し焦点がぼけるようにも思います。そのあたりご一考のほど。 2007年12月27日 (1)雪つもる昭和にありしクー・デター 文の子(60代,男) (2)三寸の歩幅はごいた市に群る (3)半月の煌と羽子板市の裏 昨晩は羽子板市に行きました。宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)回顧の句としてちょっとストレートすぎるようにも思います。 (3)羽子板市の裏(の路地)ということでしょうか?そのあたりが少しわかりにくいように思いました。 舞鶴に蟹喰ふ十二月八日 慈英(50代,男) ご指導宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 舞鶴は復員兵の帰ってきた場所ですね。それと十二月八日が双方ともに戦争を想起させるものなので、どちらか一つに焦点を合わせられたほうがいいように思います。 (1)熱燗のあては京菓子理系です 北野元玄(60代,男) あては酒の肴、つきだし(関東弁)の関西弁だと思うのですが、当てる漢字は当て、宛て、充てなどのうちどれが適当でしょうか。でも、趣味の悪い俳句ですね。 (2)日向ぼこ「悪性じゃないんだけれど」 「悪性じゃないんだけれど」もうこれは日常会話ですよね。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)そうなんですね。東京で「あて」と言って通じないようです。やっぱりひらがな表記でいいのではないでしょうか。最後の理系です。がよくわからないです。この部分は会話の一部?それとも辛党、甘党でなく理系というオチなのでしょうか? (2)何が、悪性ではないのでしょうか? 謎の部分が、読み手が推量するのに手がかりが少なくて、やや重荷になっているように思います。 (1)くさめにもそれぞれ癖のありにけり 沖人(70才以上,男) (2)寝違えし痛みが寒さ呼びにけり (3)みねみねの鉄塔の突く冬の天 宜しくご指導お願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)「にも」と強調するとくしゃみ以外にもそれぞれに癖はある、ということを考えさせますが、それがちょっと理屈っぽくなるように思います。くしゃみに限定して、その特徴というのか、癖を具体的に書かれてみるとよいように思います。 (2)寝違えた痛さより、頸が、とかで表現されてみてはいかがでしょう。 凍鶴(いてずる)の一塊の白い息 うさぎ 今年2度目の積雪(20センチ)となりました。水鳥と冬景色を俳句にしました。 ドクター三宅の診断と処方箋 この凍鶴(いてずる)は一羽でしょうか。それとも群れでいるのでしょうか。湯気が立つように息を吐いているのかそのあたりが、不明瞭です。あと、白い息そのもが寒さを表しているので、凍鶴の凍る感触に近いものがありますので、ちょっと内容が分裂してしまう恐れがあります。その点に留意されてもう一工夫されてはいかがでしょう。 (1)ロボットを親方と呼ぶ去年今年 未知(50代,男) (2)牛の尻ひとつ叩きて初荷かな (3)雪かきを了へて始業のチャイムかな ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)職場にあるロボットを親方を呼んでいるのでしょうか。ちょっと面白いようにも思いますが、去年今年の季語にあまり必然性が感じられないようにも思います。もう少しそのあたりを考えてみられればいかがでしょう。 (1)ダイオード青色が眼に沁む聖樹 菜月子(女) (2)シミついた卒業証書小春かな (3)「おはよう」の声が大きな冬帽子 三宅先生、はじめまして。どうぞよろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 こちらこそよろしくお願いいたします。 (1)ダイオードがクリスマスツリーの飾りに使われているのでしょうね。少し句の調子を整えられて「青が目に染む聖樹かな」と最後は切字を使ってみてもよろしいのでは。 (2)小春の光に昔の卒業証書を出してきたのでしょうか。シミついた以外にも古びた感じを出す表現を工夫されてみてはいかがでしょう。 (1)時雨るゝや、アンパン一つ抱え込み 豊田ささお(70才以上,男) 一昨日の晩のわが実景です。参加賞がパン1個という催し(仕掛け人はワタシというオチです) (2)訪ふ人も絶えし谷津田や松の内 今日の稔典先生の日刊この一句にドクターの「あるときは走ってみたい海鼠です」があり、さすがすごいと・・嗚呼俳句たかが俳句デモ俳句は真似できへんでなあと、思いつつ気の早い句をつくりましたが・・(1月句会の兼題が松の内です)宜しくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 お褒めいただきありがとうございます。 (1)抱えこみ、がちょっとわかりにくいですね。アンパンは参加賞、ということでしょうか。俳句は事実の報告以上に文芸でもありますから、17文字の中で上手に嘘をつくことも大事です。嘘をつくほうが自分にとって真実味が増すこともありますから、(2)の松の内の兼題は、いろいろ想像を膨らませて考えてごらんになればいかがでしょう。 2007年12月26日 来し方をたぐりよせたる炉火明かり しんい(女) 宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 少し全体が抽象的です。その思いはしんいさんには見えているかもしれませんが、受け手側には「来し方」は見えませんので、物に託して思いが具体的にわかるかたちで表現されてみてはいかがでしょう。 (1)木枯らしや真紅のケトル手に重し 茂(女) (2)ビル谷間やっと見つけた冬の星 (3)黙々と大草原に冬の雨 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)木枯らしと、真っ赤なやかんとの取り合わせ、なかなかいいです。新鮮な印象があります。 (2)「やっと」がどうでしょう。 凧揚げる空の中心空がない 北野元玄(60代,男) 意味が分かるでしょうか。またそれ以上に、詩情が感じられるでしょうか。ところで、凧は夏5〜6月の季語であると聞いておりますが、新年の季語としては使えないのでしょうか。 ドクター三宅の診断と処方箋 凧は春の季語ですが、季語ではなく、正月にあげる凧を表したいのであれば、その時期を限定する言葉が必要かもしれませんね。空の中心に空がない、という部分については正直よくわからないです。詩情というのは自分で演出しようと思っても、押しつけになってしまう部分が出てきてしまうので難しいです。俳句を作る場合は意味よりも受け手側の想像力にまかせる部分が大きいので、そのあたりは数多く作って、句会などで受けての反応を見ていくことで自分が表そうとしているものがどの程度まで読み手に受け取ってもらえるのかはかる尺度になるように思います。 (1)裸木や少年ちから瘤ほこり 文の子(60代,男) (2)鎌倉や法話セットの紅葉狩 よろしくお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)裸木がちょっとあとのフレーズと近いですね。少年が小さな力瘤を懸命に出している様子は、着眼としていいと思います。この部分を生かすのに「裸」という言葉は入らないほうがよろしいのではないでしょうか。 (1)風花や満蒙かける汽車ありし 未知(50代,男) (2)ホットケーキ花の香りがしてをりぬ (3)黒潮の荒ふ流れの朧かな (4)山々に木を打つ音や秋深し (5)きび畑やハーモニカ吹く病める児は (6)おほてらのまろきはしらの月夜かな (7)頬白のこずゑの先にをりにけり (8)寒椿白きシーツの干してあり (9)雪よふれふれ林檎の香してをりぬ ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)このホットケーキはおいしそうです。食欲をそそりますし、夢がありますね。 (4)(5) (6)このあたりは、もうさんざん詠まれて古びた情緒になっています。 (1)葉の色を少し貰いて花八つ手 沖人(70才以上,男) (2)マフラーの巻き方孫に教えられ (3)葱までも一緒に貰ういさざかな (4)友の吐く戯れ言白き息の中 (5)冬鴉くろひと色を誇りとし (6)くさめしてよっこらしょうと腰上げり 宜しく診断をお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)どこに葉の色をもらうのでしょう。花八つ手の白っぽい花の部分でしょうか。もらう対象をどこに置いていいのか少しわかりにくいです。 (3)イサザは琵琶湖に住む固有種のようですね。飴煮にするとおいしいらしいですね。私も関西にいるとき食べたかもしれません。ねぎも一緒につけてくださる、というところがいいですね。 (1)さっぱりと大空掃きたる芒かな 鴻之助(60代,男) (2)日向ぼこ思案のままの石仏 よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)芒を箒に見立てていらっしゃるのでしょうか。面白い視点ですね。 (2)少し石仏の表情がそのままという印象で、もう一歩捻りがほしいようにも思いました。 (1)冬の夜のグリム童話は怖い! 遊雲(70才以上,男) (2)撞木町今宵は雪となりにけり (3)蒸かしいも大学ノートの走り書き 「冬の夜の」と「撞木町」の句は、とある句会で出しましたが選句されませんでした。そのため選評はありませんでした。何がだめなのでしょうか。なお、撞木町の句の「今宵」は12月14日です。 ドクター三宅の診断と処方箋 「グリム童話は怖い」とまでいわれると、俳句という器を使って意見や感想を述べることになってしまいます。俳句は短いですから、連想の片端を提供して読み手に読み取ってもらえるかどうか、という遠慮深い文芸でもあります。そう考えると(2)も少し報告のようになってしまった部分もあるかもしれません。 お正月待つ座布団の日向ぼこ えいこ(50代,女) 初めまして 深大寺の境内に沢山の赤い鶴の絵がついた座布団がほしてあって、もう直ぐお正月といった風情でした。見たままですが 季重なりでしょうか? ドクター三宅の診断と処方箋 深大寺、いいですね。私も大好きな場所です。いつでもあそこに行ったときにはおそばを食べて植物園を歩きます。お正月待つ、を入れると少し材料が多くなるので、下の部分の説明にある「赤い鶴の絵」の部分を生かして、「鶴飛びし座布団ずらと日向ぼこ」というように作られてみても、おめでたい風情が強調できるように思いますがいかがでしょう。 子と入る湯船の上に星凍てて 岡野直樹(40代,男) あまり芸がないなぁと思いつつ。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 露天風呂でしょうか。素直な句ですが、同工異曲の作品はたくさんあるので、温泉の名前など固有名詞を入れるなどちょっと独自性を出されてもよろしいのではないでしょうか。 2007年12月25日 (1)山茶花や物思うのはいつも朝 玉白石(50代,男) (2)ふむふむと頷くが癖日向ぼこ 三宅ドクター、お久しぶりです。よろしくお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 こんにちは。お久しぶりです。 (1)少し「物思う」部分が抽象的ですね。 (2)なんだかこれうなずく人の表情まで見えそうでいいですね。日向ぼこた効いています。何気ないベンチや縁側で話し込んでいるのでしょうね。 (1)東京の三越で買ふ褞袍かな えんや(70才以上,男) (2)生簀より出され戻さる蟹もをり どうぞ宜しくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)面白いですね。東京の三越と限定されたことで、ぼってりしたドテラが生きるように思います。 (2)「もあり」ではなく、「であり」と一匹の蟹に焦点をあてられてみてはいかがでしょう。 市バスにも小型乗り合い町師走 岬(60代,女) 京都駅で初めて小型のバスを見ました。行く先が利用者が少なくて小型にしたのか多くて臨時便なのか分かりませんが珍しく思いました。 ドクター三宅の診断と処方箋 少し言葉が入り組んでいるように思いますので、季語、言葉など省略が可能でないかどうか工夫されてみてはいかがでしょう。例えば師走は12月、極月などと言い換えられますし、市バスはバスだけでも意は通じると思いますので、一例ですが、「極月の小型のバスに乗り合いし」のように縮めることも。一案、二案といくつか作って一番いいのを選ばれるとよいように思います。 (1)北山の北よりけふも時雨来ぬ せいち(60代,男) (2)夕時雨磨き丸太のほの紅し 宜しくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)磨かれた丸太がほの紅いという情景はとてもいいですね。ただ時雨との取り合わせが、ちょっと時代がかっていて古さがありますので、取り合わせの季語は現代的なものがよいように思います。 楢落ち葉寝転び居れば降り積もる 豊田ささお(70才以上,男) 「栗鼠飛ぶや・・」の句へのご診断有難うございました。短日ではムリだってのがよく理解できました。水洟、あかぎれ・・自分的には水洟でしょうか・・1月句会に出してみようかと思います。 ドクター三宅の診断と処方箋 掲句は少し言葉がおおいですね。もう少し言葉を省略されてすっきりさせてみられればいかがでしょう。省略の決め手は口調よく、覚えやすいことではないかと思います。 (1)聖堂に秋の日差しぬディスマスク 未知(50代,男) (2)海つなぐ津軽海峡雪ばんば (3)生まれんとする子の力曼珠沙華 (4)岩海苔や男鹿半島の届きたり (5)津軽野や三日三晩の雪のあと (6)擦りし母の踝や初しぐれ ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)聖堂にあるデスマスク、とは誰のものなのでしょう。磔刑像のキリストなら、ちょっと大げさな気持ちもしますが。 (2)海つなぐ、の部分が海峡はすべてそうでしょうからあまり効いていないように思います。 (6)踝と擦る状況と初しぐれ、が少しわからなさが残ります。 (1)藪柑子葉越しの紅の息づかい しんい(女) (2)冬ざるる風颯々と切通し (3)冬ざれや閉店ふゆる商店街 宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 緑の葉っぱごしに見える赤く小さな実がかわいらしいですね。紅の息づかい、擬人法を使われるより、赤の実がのぞいているというだけでも、充分気持ちは通じるように思いますが、いかがでしょう。 (1)寒日和長き橋よりエアポート 茂(女) (2)懺悔などしたくはないが木の実落つ (3)黄昏を眼下にパリの冬に着く (4)一枚の枯葉舞う先シャングリラ ドクター三宅の診断と処方箋 (1)長き橋より、というのは長き端をわたってからエアポートに着くということでしょうか、それともそこからエアポートが広がるということでしょうか? (3)雲の上からパリの街が見えるともう夕暮れの景色だったということでしょうか。面白い視点ですね。 (1)冬落暉臼つきてより神秘なり 小口泰與(60代,男) (2)枯葉舞ふとぎれとぎれの雲の道 (3)北颪瀞場の波のおどけをり よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)雲がまっすぐに流れているのでしょうか。枯葉と雲、と視線の先が一緒なので、取り合わせとして違うものをもってこられれば句の幅が広がるようにも思います。 2007年12月24日 (1)才有りていびつな人と河豚つつく 千坂希妙(50代,男) (2)他愛なき鶏の喧嘩日向ぼこ (3)雪催い独り言する外科医かな ご指導有難うございます。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)鶏の喧嘩は人間の喧嘩と違い他愛ないものでしょうけど、上五にその言葉を置かれると全体の説明になってしまいます。ばたばたととか、くくくく、とか、擬音語か何かを持ってきてさらっと作られてみてはいかがでしょう。 (3)雪催の雰囲気はよく出ているように思います。 森に寝て落ち葉越しなる空の蒼 豊田ささお(70才以上,男) 「大地の窓」関係の句をまた作ってしまいました。 ドクター三宅の診断と処方箋 少し漢字が多いようにも感じられるので、「蒼」は普通の青の表記でも。 (1)足の上にもみじ且つ散る香嵐渓 えんや(70才以上,男) (2)雪吊のボレロ奏でる闇夜かな よろしくおねがいいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)雪吊がボレロを奏でる という発想は面白いと思います。ただし闇夜があまり効いていないように思います。雪吊りがけっこう重いので、もっと軽めの言葉をもってこられても良いように思いますがいかがでしょう。 夕時雨劇場前の赤信号 れい(70才以上) いつも有難うございます。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 時雨に赤信号のうつりがいいですね。劇場前ということでわびしさの中にも華やぎのある赤信号です。いいと思います。 (1)大滝の水の眠るや寒入り 未知(50代,男) (2)みちのくの裏も表も雪しまく (3)冬の慟哭聞こゆ落魄の街 ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 少し自然描写が大上段に振りかぶりぎみのように思いました。もう少し身近な言葉で、具体的な景に即して詠まれると共感の度合いが大きくなるかも。 (1)まっすぐに朝日さしくる冬薔薇 悠(60代,女) (2)小春日やもう後十歩試歩の杖 何時もありがとうございます。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)朝日を受けているのは冬薔薇でしょうか。もしそうなら、「まっすぐな朝日を受ける冬薔薇」のように一続きにされたほうが句意が取りやすいように思います。 (2)後半の漢字が混みいっているようにも思いますので、「後」は「あと」とひらがな表記にされるといかがでしょう。 (1)あきらめてあきらめてあきらめて秋 きなこ(50代,男) (2)木の実噛む舌にこびとの白スプーン (3)ちちろ虫をんな眼をだす床蒲団 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)あきらめてがこのぐらいあるのもユニークですが、ちょっと何も情景が見えてこないのが残念です。 (2)うーん。「舌にこびとの白スプーン」がどういうことなのか、ちょっと想像しかねました。 (1)子ははしゃぎ老いは着ぶくれし素足かな 三郎(70才以上,男) (2)木枯らしや一人暮らしの姉のこと (3)まるしかく剪定すんで冬日和 よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)素足なのは老人なのでしょうか。「はしゃぐ子に老いは着膨れ素足かな」ということに解釈したのですが、いかがでしょうか。 (3)刈りたての庭の木々の様子でしょうね。冬日和によく似合っているように思います。 冬靄のもやもや孔雀飛んでゆけ 岡野直樹(40代,男) なぜか孔雀が出てきました。言いようがなくて済みません。 ドクター三宅の診断と処方箋 孔雀が出てきたのは面白いのですが、飛んでゆけ、の部分でもう一押しほしいところです。孔雀は飛ばない鳥だけに、ここでそれを出すと発想を遠くに飛ばすよりもダメ押しになってしまいます。 (1)ばんざいと言ひ服ぬぐ児ふゆ欅 文の子(60代,男) (2)三ツ星をかむりし杉の聖夜かな (3)窓際の冷えいやませりウォームビズ 12/13のご診断有難うございました。「何気ない動作を句の中に入れることで、読み手の共感をさそうことができる」と伺い勉強になりました。掲句宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)子供の服を脱がすときによくみる形ですね。中七に動詞が二つ重なっていますので、ばんざいの形に脱がす冬欅 これは一例ですがちょっと省略せれてみても。 (2)背の高い木が三ツ星を冠っているという発想は面白いですね。 (1)山々の貌違えたる朝しぐれ 沖人(70才以上,男) (2)吹き上がりやがて落ち葉となりにけり (3)洛中に次々寄するしぐれ雲 (4)緋の袴呉れてやりたし花八ッ手 (5)嬰児なら泣くのが仕事花八ッ手 (6)花八つ手ジャランジャランと鈴真似る 診断宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)朝しぐれに山々の表情がいつもとは変わってみえるということでしょうか。しぐれの句は京都が本場なだけに、今までの情緒を越えて作るのは難しいですね。思い切って現代的なものと取り合わせてごらんになると新鮮味が出るかもしれません。 (4)いいですね。いかにも八つ手に緋の袴は似合いそうです。八つ手の句ではこの句が一番いいです。 (1)一斉に鋭声発せり寒からす 小口泰與(60代,男) (2)冬座敷居住まひ正して居りにけり (3)久々に友に遭ひたり冬の蝶 (4)遠山の襞すつきりや空っ風 (5)日めくりの残りすくなや懐手 (6)源泉の湯の練れてきし空っ風 よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)居住まひを正す。と冬座敷の結びつきがちょっと近すぎるようにも思います。もう少し離れた季語を選ばれてみてはいかがでしょう。 (5) (6)すっと季節が詠みとれる素直な句ですね。このお湯はとても身体があったまりそうです。 2007年12月23日 大枯れ野よりはみ出して津軽富士 多弁(60代,男) 診断よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 大枯れ野は「大枯野」でよろしいのでは。「はみ出す」のはどうはみ出しているのでしょうか。縦にぽこんとかぶせるように見えているのでしょうか。それとも頂上あたりが少しはみ出して?その見え方が少し気になりました。 (1)霜の庭くろねこゆるり横切れリ 沖人(70才以上,男) (2)遺構掘る番屋の陰に霜きらり (3)今朝の霜遺構の上につつましく 診断宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 遺跡を掘っている様子でしょうか。どの霜も情景がよくわかるし、句の中で季語がよく生かされているように思います。くろねこがゆらりと横切っていく句が特に好きです。 (1)ちちははの無き子となりてクリスマス きなこ(50代,男) (2)壁に耳くぶくぶと啼く冬の母 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)少し哀しい句ですね。ちちははは、父母と表記されてみても、上五で読めるのではないでしょうか。 (2)「くぶくぶと啼く冬の母」の部分はとてもいいと思うのですが、壁に耳 がどうでしょう。少し理に落ちるというか、説明のようにも思います。 (1)折からの朝日いただく寒薔薇 小口泰與(60代,男) (2)埋火や往時を今に文の事 (3)公職も全て降りたり枇杷の花 よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 少し全体的に句が固いように思います。 (1)朝日いただく、(2)往時を今に、(3)公職を、のあたりをもう少し噛み砕いて、平易な言葉遣いで考えてごらんになればいかがでしょう。 (1)お袋のいさめしものや懐手 未知(50代,男) (2)すいとんを食ひて了へたり寒稽古 (3)あくとりの御玉のすくふ夜寒かな (4)新聞に筆を走らす寒稽古 (5)ファンファーレの着信音や寒稽古 (6)初春や紅茶の湯気の立ちし部屋 ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)すいとんを持ってくると、一挙に古めいてしまうように思います。寒稽古、自体が時代がかった季語ですので、そのあたりが難しいですね。 (1)と(3)もその意味であと一歩現代を映し出す工夫がほしい。 (5)は着信音だけで携帯電話とわかりますが、ファンファーレだと、今から勝負、ということで、これも寒稽古にはどうかな、とやや不満が残ります。 (1)風呂敷でふんわり包む冬の虹 遊雲(70才以上,男) (2)風花や少し遅れて来る夕刊 (3)露天風呂四肢を伸ばせば冬の月 昨日は園田学園まで俳句バトルを見に行きました。初めてでしたが頭が疲れるほど面白かった。帰りにルミナリエによったけどものすごい人出でした。こちらは身体がぐったり。 ドクター三宅の診断と処方箋 頭と身体がぐったりなった一日だったわけですね。 (1)包めないものを包む発想はいいですね。この句が面白いと思います。 2007年12月22日 水面から鼻出し眠る近江富士 岡野直樹(40代,男) 「眠る近江富士」で季語になっているでしょうか。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 近江富士が「三上山」のことだとか。各地に富士山があるのですね。ただ山眠る、はそれが成語の季語なので、ただ擬人化された表現になってしまい、季語的な働きは期待できないように思います。 (1)凍星や子に先立たるてふ便り 文の子(60代,男) 12/10「夕星の仄か茶梅は白極む」の茶梅は山茶花でホトトギスの歳時記にあったので使いました。12月に入り年始欠礼の葉書が沢山きます。その中の1つですが、「てふ」が文法上良いとしても俳句の場合は不適切とも聞きます。「逆縁となりたるたより冬の星」も考えたのですが。宜しくお願い致します。 (2)すすり泣く声とも濡れし落葉ふむ (3)白線を越えしホームの日向ぼこ ドクター三宅の診断と処方箋 山茶花の名前ですか。それは失礼しました。勉強になりました。「逆縁となりたるたより冬の星」、平易な表現でこちらのほうが私はいいと思います。たよりは知らせでも。 (3)白線を越えしホームというのは向かい側のホームでしょうか、それとも白線を越えて線路側ぎりぎりに日向ぼこをしているということでしょうか。その点が少しわかりづらいように思いました。 観覧車吸い込まれゆく冬銀河 浜っ子(60代,男) よろしく。 ドクター三宅の診断と処方箋 観覧車をしたから見上げられての情景でしょうか。大観覧車でしょうね。冬銀河がよく効いています。 (1)霜掃けるグリンキーパー影長し 沖人(70才以上,男) (2)大橋をくぐり抜けしかゆりかもめ (3)薄味にかぎると小蕪炊きにけり 診断宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)面白い情景だと思います。グリーンキーパーってネットで調べると別名「芝生のスペシャリスト」だとか。天然芝のメンテナンスをする人のことを言うのですね、初めて知りました。そのグリーンキーパーが黙々と霜を掃くのもいいですし、その情景を「影長し」と表現されたのにも静かに心動くものがあります。 (1)コンサートの音合はせ待つ枯葉なか 藤原有(70才以上,女) (2)寒林のイルミネーション見てをらず はじめまして。コンサートの句は、東京ミッドタウンの野外スージの様子を詠みました。この句もその時のものですがアドバイスよろしくお願いいたします。 ドクター三宅の診断と処方箋 野外コンサートはいかがでした。コンサートが始まる前の音あわせは、期待感がふくらんできて、雰囲気があっていいものですね。コンサートと枯葉なか、と両方とも大づかみ、で少し景がばんやりしていますので、例えば「弦楽の音あわせ待つ枯葉かな」というように、情景を具体的に絞られてもいいように思いますがいかがでしょう。 (1)友逝きし喪中のはがき雪蛍 未知(50代,男) (2)暁の海に入りぬ寒稽古 (3)雪原の動き始めしもの達よ (4)いっせいに翻りけり川千鳥 (5)白鳥や空の蒼さに染まらずに (6)ガラス戸の中より見ゆる冬薔薇 ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (5)うーん。牧水の歌を思い出しますね。他に連想させる句や歌があるのもいいのですが、その場合は元歌、元句がはっきりわかる形で、それをなおかつ反転させる作りにされるほうがいいように思います。 (1)塀際の陽を浴びている冬の蜂 豊田ささお(70才以上,男) 「つかの間の陽を浴びている冬の蜂」をなおしてみましたが、直しになっているでしょうか? (2)森に寝て胸にはらはら落ち葉受け 日曜日に雑木林クラブがあり、昼食に船団75号のエンジンルームでの中原さんのご提案にヒントを得てキャベツ鍋風打ち込みうどんなるものを作って食べましたら大好評でした。その後ネイチャーゲームで落ち葉に埋もれる「大地の窓」というのをやりました。初句は「埋もれ身や落ち葉透かしに空見上げ」もうひとつ「寝転べば胸に心に降る落ち」「・・胸に降りつむ落ち葉かな」迷い多き句作の状態そのままですが、よろしくおねがいします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)迷ったときはまずは実景近くに立ち返られることも一方法だと思います。 (2)一つの主題を焦点にいくつか作った句をまぜられて作られるのもいいと思いますよ。この中では「寝転べば胸にふりつむ落葉かな」がいいですね。 (1)冬紅葉この土地のもんなめんなよ 北野元玄(60代,男) 取り合わせがもうひとつ。 (2)お土産は足の胼胝(タコ)だけ神帰る いよいよ神無月が終り、霜月に掛かりました。この句、「早く踏め」のあとには出したくない駄句ですが・・。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)そうですね。この土地のもんなめんなよ、はちょっと生な言葉のように思います。「この土地」の地元の言葉など、入れられてみればいかがでしょう。 (2)長旅に疲れる→足の胼胝、それがお土産と理屈で繋がってしまう言葉はそれ以上広がりがないので、少しつまらないのです。読み手に探す楽しみ、想像する楽しみをうまく隠してみられればいかがでしょう。 (1)花金に銀杏落葉を踏みしめる 吉井流水(60代,男) (2)灯火をつつむ銀杏黄葉かな (3)診察の台より銀杏黄葉かな 銀杏黄葉で連作してみましたがいかがでしょうか。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)「花金」は花の金曜日、という意味でしょうか?省略した言葉ですっと意味の通るときもありますが、ちょっとわかりづらいようにも思います。 (3)窓越しに見えたのでしょうか。視点が面白いと思いました。 2007年12月21日 (1)直角に尻ふりあげて池の鴨 しんい(女) (2)みちのくや酢牡蠣好みてほろ酔ひぬ (3)山越えの曲がりくねたる冬木中 (4)うすら日をこぼして峡の冬木かな 宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)直角に、は確かにそうでしょうが、尻ふりあげて、だけでも情景は想像できますので、省いてもいいかなとは思います。 (3)曲がりくねるのは、山越えの道でしょうか。それなら道の曲がりて、とか曲がりぬ とか句意を鮮明にされるといいと思います。 (1)人生のどう転ぶ年末ジャンボ 未知(50代,男) (2)渋柿の渋の味しむ年の暮 (3)柚子入れて漫画読みつつ火吹きかな (4)黄葉の骨現るる欅かな (5)還らざり父酔ひまたも開戦日 (6)シベリアの白樺白夜白鳥来 ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (3)柚子入れて漫画読みつつ、は風呂の中の情景なのでしょうか。それに対して、火吹きかな、は薪で炊いている風呂釜のそばの人の様子なのでしょうか。出来るなら座五は少し風呂から離されたほうが、ちんまりまとまらなくていいように思いますが、いかがでしょう。 (6)白の字面の連続がいいですね。 (1)日の光蘇りたり柚子を湯に 未知(50代,男) (2)潮寒の手を焙りけり昼の飯 (3)日のさしぬ殺すよろこび蠅一つ (4)アコーディオン弾きの銀杏落葉かな (5)お守りは張り子の虎や石蕗の花 (6)月面に没む地球や葉大根 ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (4)アコーディオンと銀杏の取り合わせはいいですね。少し言葉を削いで、この二つが際立つように仕立ててみられればいかがでしょう。 (1)雪催ひ市長選挙の近きかな 小口泰與(60代,男) (2)慎ましき山茶花の蘂紅ほのか (3)掌に乗りし小犬や霜柱 (4)切りとりて桶に満ちたる寒薔薇 (5)身ほとりの煩はしきや十二月 (6)雪雲や長き廊下の診療所 よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)「慎ましき」の部分はいらないように思います。 (6)雪雲の重さと診療所の長い廊下が響き合って実感があります。 (1)山茶花や義理も情けもこぼれ散る 豊田ささお(70才以上,男) 先日の句会に「山茶花や浮世の義理のぼろぼろと」を即吟でだしましたが、かすりもしない無反応で、・・掲句のようにしましたが、まだ推敲途上です。今後の指針をよろしく・・ (2)めぐりきて水なき水辺柿たわわ 「短日・・・」の句は、やはりむつかしかったです、・・ほかの兼題でもむつかしいですが、近頃特に語彙の少ないことに焦っています。 (3)障子閉め表戸閉めて暮れ早し この句は瞬間を射止めていないからダメでしょうか・・ ドクター三宅の診断と処方箋 (1)義理も情けもない、ことと山茶花の散る様子をかけていらっしゃるのでしょうけど、俳句は事柄を説明したり、理屈を好まない性質があります。 (2)めぐりきて、の部分をもう少し具体的に表されるといかがでしょう。 (3)閉め切ってしまう行為と暮れ早しの季語が近すぎるのが残念ですね。 (1)冬灯し今日より時差の旅つづく れい(70才以上) (2)冬の月昼と夜との顔のあり いつもありがとうございます。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)時差の旅、は遠いところへ飛行機で旅行するという意味なのでしょうか。そらならば陽を追う旅とか、表現をちょっと工夫されてもよろしいのでは。 (2)ちょっと平凡でしょうか。 2007年12月20日 (1)お揃いのマフラーそろってVサイン 鴻之助(60代,男) (2)白文字の「止まれ」浮きくる冬入日 よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)おそろいのマフラーの色や形などに注目して詠まれれば、より情景が鮮明になるのではないでしょうか。 (2)道路に書かれた文字でしょうか。面白い着眼だと思いますが、浮き出る、という強い表現より、入日が当たっているぐらいでもよろしいようにも。 (1)読めもしない本を五冊買う師走 岡野直樹(40代,男) (2)踊り終え琵琶湖をぐるり山眠る 以前ご指摘いただいて、「山眠る琵琶湖をぐるり輪になって」を直してみました。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)読めもしない本、が少し回りくどい表現のように思います。例えば積ん読とか、ある言葉を活用されればいかがでしょう。 (2)踊り終え→眠る、と因果関係ができあがってしまうと面白くないです。この部分、上五をもう一度考えてみられればいかがでしょう。 (1)寒雀喰ふて慙愧の足残る きなこ(50代,男) (2)まる虫を摘まみ少女になりし妻 (3)菊人形うらは見世物小屋出口 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)妻がまる虫を摘む、という措辞はいいですね。少女にならなくとも妻は妻のままでも良いように思います。 (3)見世物小屋、この頃はなくなりましたが、私が小学校低学年のときにはお祭りにはつきものだったように思います。 (1)真昼間の猫の目にふる時雨かな 未知(50代,男) (2)焼きたてのパンの匂ひや落葉踏む (3)人骨に楔の痕や寒椿 ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)犬や猫の瞳に海や雨脚がうつる俳句はわりと多いので、ちょっとここが捻りどころかもしれませんね。 (3)少し不気味です。 (1)冬薔薇の曉の涓滴きらめけり 小口泰與(60代,男) (2)何となく老いし二人の炬燵かな (3)業界の行く末見えず雪催ひ よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)何となく、が少し物足りないように思いますが、全体的にある雰囲気は出ていていいと思います。向かい合って炬燵に入っている、というだけでも句になるように思いますから、そのあたりで表現をもうひと工夫されてみてはいかがでしょう。 (1)カチカチとシャーペンを振る冬到来 ポリ(50代,女) (2)どの辺が五次元かしら冬うらら ドクター三宅の診断と処方箋 (1)「カチカチ」はシャーペンを繰り出す音でしょうか。ちょっとありがちな擬音語なので、もう少し効果的なオノマトペを考えてみられてもいいように思いますが、いかがでしょう。 (2)少し抽象的ですね。 (1)十二月八日日本は捩れをり 遊雲(70才以上,男) (2)開戦日祖父の自慢の銀時計 (3)開戦日安保を知らぬ子供たち あの日、今は亡き父が6時のニュースを聞いてあたふたと出勤したのをよく覚えています。 ドクター三宅の診断と処方箋 そうですか。きっとお父様にとっては大変な一日だったことでしょうね。 (2)明治の男の人たちはまだ着物も多く、ぱかっと蓋を開けて見る懐中時計をもっていたように思います。その景が浮かびます。 2007年12月19日 短日や片付けもせずお気楽に 豊田ささお(70才以上,男) 堂々巡りの果てに行き着く気楽な場所とでもいいましょうか・・・今の心境です。 ドクター三宅の診断と処方箋 正直なお気持ちでしょうけど気持ちの表白で、少し具体性がないのが残念です。どんな風に片付けもしないのか、景が見えるように仕立てられてみてはいかがでしょう。 追い討ちの高額医療空っ風 なごみ(70才以上,女) 七・五・三と紅葉の句、添削有難うございました。石油の値上から、諸物価の値上げ、高額医療制度と、厳しい現実です。空っ風が、兼題ですが無理ですね。 ドクター三宅の診断と処方箋 そうですね。世相を表す言葉を俳句で使うと、どうも生になりすぎて難しいように思います。加えて空っ風→世知辛い世の中、という流れで意味が出てしまいますので、苦しいところですね。 帰り道言葉をつなぐ冬の月 多弁(60代) よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 冬の月が、二人並んでかえる帰り道の話題になっているということでしょうか。言葉をつなぐ、という部分をそう解釈しましたが。間違っていたらごめんなさい。 (1)紅葉寺児の靴下の落し物 せいち(60代,男) (2)見上げては二月堂描く冬紅葉 宜しくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)ときどき靴下やら小さな靴が、かたっぽだけ落ちていることがありますね。抱っこされている子供を思わせますね。紅葉寺との取り合わせがいいですね。 小春日や走塁にわく子等ゴゴゴ 稲治増彦(70才以上,男) はじめまして、どうぞ、よろしくご指導ください。小生、恥ずかしながら、今ごろになり、はじめました。 ドクター三宅の診断と処方箋 思い立ったが吉日です。どうぞ、俳句をお楽しみください。 「ゴゴゴ」の部分が応援団が応援に使う掛け声なのか、それとも子供たちが塁を蹴ってゆく様子を擬音語で表されているのか、面白いと思いつつそのあたりが少し不明瞭に思えました。 2007年12月18日 (1)暮れぎはの冬満月の色やさし しんい(女) (2)まなうらの妣の微笑みちゃんちゃんこ (3)花八つ手閂の錆深みをり (4)草木染のコツを授かり四温晴 宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)妣は亡くなった母という意味の言葉なのですね。単に母だけでも、「まなうらの」の部分がありますので、しんいさんの思いは伝わるように思いますが、いかがでしょう。 (4)草木染のコツってどんなことなのでしょう。ちょっと興味があります。 (1)北颪皇帝ダリア大揺れに 小口泰與(60代,男) (2)寒犬の戻りし身体濡れそぼつ (3)黄葉散る運動広場風の舞 (4)寒暁のまばゆき日の出山紫紺 (5)草枯れや犬の遠吠えあえかなる (6)真贋の決まらぬ壺や夜半の冬 よろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)ダリアの種類でしょうか。皇帝ダリアとは、赤くて立派な品種なのでしょうね。 (3)「黄葉散る→黄葉舞う運動広場」にされると、後の部分で補えるように思いますので、下五を再考なさってはいかがでしょう。 (1)神々は死刑廃止の是非論じ 北野元玄(60代,男) (2)手土産は汚れ物とか神帰る 神無月もそろそろ終わりそうです。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)うーん。ちょっと理屈っぽいように思います。 (2)手土産が汚れ物、というところが、どういうものを想像していいのかとまどいました。 靴跡の上のくつあと霜の橋 吉井流水(60代,男) 始めまして。よろしくおねがいします。漢字が続くのであとの靴跡をひらがなにしました。 ドクター三宅の診断と処方箋 雪の日とか、霜の降りた土の上を何人もの人が行き過ぎたのでしょうね。「靴跡の上のくつあと」はとてもいいと思います。霜の橋とは、霜が降りて真っ白になった橋という意味でしょうか?多分橋は冷えやすいので、霜が目立つのでしょうね。 テキサスに生まれし教師おでん酒 慈英(50代,男) ご指導宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 何気ない句ですけど、テキサスに生まれた教師とおでんを飲みながらのお酒、という情景が良いですね。 2007年12月17日 (1)老妻に今日も勤労感謝の日 えんや(70才以上,男) (2)人並みに猫叱られて十二月 (3)勢(きお)ひ剥ぐ十一月の暦かな (4)てのひらに重さ確かめ蟹を買ふ 「蟹を選る女は何度も吊り上げて」を推敲しました。どうか宜しくお願い申し上げます。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)猫が叱られているようすと十二月の取り合わせは、いいな、と思うのですが、「人並みに」が余分のように思います。このあたりを推敲なさってみればいかがでしょう。 (4)具体的な情景が的確に表されていると思います。いいですね。 (1)黄葉の透ひて明るき欅かな 未知(50代,男) (2)若ければだれでもよかれ年男 (3)若水を汲むにも井戸のなかりけり (4)十円の恋のかたちや吾亦紅 (5)ホルモン焼くガードの下の昭和かな (6)青首をさらし大根抜かれけり ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)(3)少し理におちたつくりになっているように思います。 (4)は十円の恋の形が具体的にわからないように思います。 すんなりと句は沢山おできになるようなので、今度は言葉の置き方に注意されて、より丁寧に作られてみればいかがでしょう。 (1)冬わらび木漏れ日受けて輝けり 岬(60代,女) (2)木漏れ日を受けて明るき冬わらび 京都御所の中の植え込みの下に目立たないような蕨を見つけましたが丁度日を受けてそこが明るく感じられました。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)がいいですね。庭の隅にあって目立たない蕨も岬さんの目にとまったことで、一躍明るみをおびたようで、印象ぶかいです。 (1)自転車のカゴにもみじのプレゼント 岡野直樹(40代,男) そのまますぎるなあと思いつつ、替えられませんでした。 (2)小春日や授業の頭は夢十色 また「鳥渡る」は考えたいと思います。 (3)楼門ともみじが朱と紅燃え比べ 見たままです。よろしくお願いします。 (4)黄色三赤二の賑わい落ち葉かな 公園に行くと、落ち葉が混ざり合ってきれいでした。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)プレゼントまでいわなくても、かごにひらりと入るだけでも充分なように思います。 (2)居眠りを言い換えられているのでしょうけど、何を想像しているのか、何を夢見ているのか、ちょっと具体性にかけるように思います。見たままのものだけでは句にならないところがあります。俳句は17音の言葉の世界ですから、その中で生かす情景、言葉をもう一歩考えてみられればいかがでしょうか。 (1)123まずは体操12月 kikumi(60代,女) (2)師走来て昨日と変わる心がけ お世話になります。前回のJKは、ジャケットです。(洋裁用語、SK<スカート、 OP<ワンピース)仕事柄つい自分だけのことで、済みませんでしたm(__)m 。弥生人良いですね。ありがとうございます。今回も、川柳のような?宜しくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 洋裁用語だったのですか。高校の家庭科以来とんとご無沙汰で、勉強になりました。 (1)123の表記と分けて月の表記は十二月とされると、すんなり落ち着くように思いました。 (2)うーん。どんなふうに心がけが変わったのでしょう。ちょっと標語、っぽくなってしまうので、師走になってかわる具体的な情景をさらりと描写されるだけでも。 (1)仙台は駅弁多しはらこ飯 未知(50代,男) (2)糸痕のずれる絞りや辻の花 (3)一本の枯木になりし月日かな (4)ひといきに剥けが真白き曲がり葱 (5)暁のさして飛び立つ沼の雁 (6)悪がきを吊るしてをりぬ柿のれん ご教示を。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)糸痕がずれて白っぽくなっているのでしょうか。辻の花、は具体的な花の名前を持ってこられてはいかがでしょうか。 (4)剥けば真白き と、「が」ではないほうがよろしいのでは。 (1)冬晴れや腰痛忘れ列の中 茂(女) (2)焼きたてのパンの呼び込み初時雨 (3)冬霞右斜交いが神の島 (4)お手玉に小さきほつれや寒の針 (5)階段に一灯の有り冬の宿 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)おいしそうですね。焼きたてのパンの匂いがしてきそうです。初時雨との取り合わせが効いていますね。 (4)お手玉の小さなほつれへの着目はとてもいいと思いますが、それに寒の針と持ってこられると、だからつくろうのよ、とせっかくの部分が理由になってしまいます。座五の季語をもう一歩考えてみられればいかがでしょう。 2007年12月16日 (1)家裏はすぐに唐橋時雨めく 蓉子(50代,女) (2)石鹸に異国の香り冬珊瑚 季語が難しく、これではどうでしょうか。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (2)とてもいいと思います。石鹸の固く硬質な質感と、香のある感触が冬珊瑚の季語とちょうど釣り合っているようで感じがいいですね。 (1)雪雲の深く静にひろげをり 小口泰與(60代,男) (2)怯えたるチワワの尾っぽ虎落笛 (3)丹念に磨くカメラや寒牡丹 三宅やよい先生、「枯はちす」の句を添削して頂き有難う御座います。今後ともよろしくご指導願います。 ドクター三宅の診断と処方箋 こちらこそよろしくお願いいたします。 (3)この句の漢字がいいですね。丹念に磨く場所をレンズに限定されてみても、寒牡丹との取り合わせが綺麗に映えるように思います。 白星や黒星混じる忘年会 茂(女) ドクター三宅の診断と処方箋 これってお相撲さんの忘年会でしょうか。星取表などおもいだしてしまいました。白星、と黒星、負け組み、勝ち組という言葉の言い換えだとすると、ちょっと理に落ちる部分があるように思いますが、いかがでしょう。 (1)不細工なひねくりまんじゅうはつもうで 裸時(30代,男) (2)レッツゴー咳を伸ばして遊ぶこと よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)不細工な、がもったいないですね。ひねくりまんじゅうにつなぐのに、もう少しいい言葉があるように思いますが、いかがでしょう。 (1)粕汁や紅鮭色の日暮れ時 慈英(50代,男) (2)悴むや爪を五色に彩りて ご指導宜しくお願い致します。 ドクター三宅の診断と処方箋 (1)「紅鮭色の日暮れ時」がおもしろい表現ですね。少し漢字の表記が多いので、紅鮭色の日が暮れて、とされてもいいかもしれませんね。 (1)冬ざれをコバルトブルーの列車貫く 岡野直樹(40代,男) (2)冬ざれの鉄橋渡るコバルトブルー モノクロの景色の中を、鮮やかな色彩の列車が鉄橋を渡って行きました。それを詠みたいのですが。よろしくお願いします。 (3)熟れ切ったトマトのようなモミジかな 色のイメージがこうだったのですが。よろしくお願いします。 ドクター三宅の診断と処方箋 そうですね。正確さをきすのにコバルトブルーといわなくても、コバルトの列車貫き冬ざるる、ぐらいでも。 (3)ちょっとモミジの色の説明になってしまったようですね。 (1)冬晴れや湖の辺に押す車椅子 岬(60代,女) (2)湖の辺に車椅子押す小六月 この間琵琶湖に行ったときの風景です。見たままの景しか詠めません。余裕が出来ればユニークな句が詠める様になるでしょうか? ドクター三宅の診断と処方箋 見たままの景でいくつも書き留められるのもいいと思いますよ。ただ、俳句は写真をとったり写生をするのとは違う、言葉の世界ですから、その17音の中でちょっと嘘をついたり、ゆがませたりすることも必要になってきます。例えばクローズアップでもいいわけですから、車椅子に句の焦点を当てたければ、全部の景を入れないで、車椅子の車輪にひっかかる仏の座、とか、枯れ草、とか一点に集中して詠まれてもいいと思いますよ。そうやって視点を移しているうちに句が多彩になってくるように思います。 |