俳句クリニック 2008年1月前半分(ドクター:早瀬淳一)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。


1月と2月の担当ドクターは早瀬淳一です。
<プロフィル>
 早瀬淳一です。佐賀県出身。昭和33年生まれ。O型。神戸市中央区在住。趣味は、街歩き、山歩き、外国歩き。「モノ」が語る俳句、「あ、いわれてしまった」という俳句、さりげないけれどおかしい俳句、などが好きです。時々、「兼題」を出してみますので、よろしければ、作ってみてください。当季雑詠でももちろん結構です。それでは、一緒に楽しみましょう。


ドクター早瀬の診断
2008年1月15日

(1)鏡割もっとも膝に力入れ  未知(50代,男)
(2)路地裏のヒーロー達やあばれ独楽
(3)朝顔のまだまだ余白残りしか
(4)ロボットを親方と呼ぶ白狐
(5)鍋焦がし父は南瓜を煮てゐたり
(6)風呂吹のかすかに海の香りかな

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 未知さんはすごい作句数ですね。時に、自選して、しぼって投句するのも、勉強になると思います。
(1)もっとも力入れ、が説明。
(2)切れているので独楽がヒーローとは読まない。
 小さい子一人一人がヒーローですね。共感できる。最近はこういうシーンがなくなっただけに。
(3)朝顔とはこういうもの。
(6)好きな句。派手な措辞はないが、とても詩がある。因果でつながっていない。佳句。

(1)きのう今日そしてあしたの残り福  遊雲(70才以上,男)
(2)千年の都の井戸や初点前
(3)大寒の清水坂の活断層
(4)ヒュルルルル帰り支度か寒太郎

 去年の1月9日、右も左もわからぬままに初めて俳句教室の門をたたいて1年たちました。百の鉄砲も数打ちゃあたるで2年目はがんばろうと。クリニックの先生にはご迷惑だろうけれど。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(3)これが一番いいですね〜。大寒に活断層がよく響いている。清水坂がどこかわからないが、「活断層」に力があるのでこの場合は、気にならない。このように、季語と、ぶっきらぼうなモノを、ぽんと提示する方法が一番成功しやすい。
(1)日記として。
(2)「千年の都」が既成の言葉なので、月並み。初点前そのもので、発見がない。

横書きの真白きノートや春ちかし  くらら(60代,女)
 はじめまして。沢山の投句で早瀬さんの寝る時間がなくなりそうです。遠慮しながら出します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ご配慮、ありがとうございます。苦しみかつ楽しんでいます。字余りなので、「横書きの真白きノート春ちかし」。春近し、とはまずまずの取り合わせ。歳時記の、最初は気に入った季語を拾って、取り合わせの試みをしてみてください。

朝市や泥つき大根人気者  ねぎよしこ
 よろしく。稔典先生の深夜便、分かりやすく魅力的でした、次が楽しみです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
深夜便、聞いてみたいです。泥付き大根はいかにも人気者で、想定内。少し違った角度から詠んでみてください。

(1)傾ぎたるぼろ犬小屋にふゆ桜  沖人(70才以上,男)
(2)「今何処と」電話で探す宵戎
(3)足けられ痛みに耐えて宵戎

 早瀬ドクター、よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)いい景ですね〜。ぼろ犬小屋だけど、作者の犬への愛情をすごく感じる。ふゆ桜のまわりが暖かい感じ。
(2)日記として。
(3)そこまでして、御利益を求めている姿の悲しさ、おかしさがよく出ている。

(1)凝らす目に冴ゆるる夜の獣たち  うさぎ
(2)枝先に時雨の重さありにけり
 ドクターの診断は的確で、勉強になります。しかし、実力不足で、推敲となると、難しいですね。(1)このあたり、すごい勢いで、開発されてますが、まだ、鹿、兔、狸を見ることが出来ます。(2)2−3日、暖かくて、雪ではなく時雨となりました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ありがとうございます。読み違えも多いと思います。 (1)凝らす目に冴ゆる、が自分の動作の説明になってしまった。文語は「冴ゆ」が終止形で、連体形は「冴ゆる」。 (2)時雨の重さがうまい。時雨を重いと言った例は見たことがない。

大根の葉裏にぜったい悔いがある  北野元玄(男)
 「万物の霊長として大根煮る」についてはやはりキビシイ指摘をいただきましたネ。万物の霊長が使い古されて、これ以上料理しようがないのかな・・。「大根煮るもっと跳べとか言われても」―霊長としてもお手上げですね。さて、上句は「だいこん」と読んでください。「ぜったい」が澄子風ですので類想感の少ない「大根のやはり葉裏に悔いがある」としてみたが、これは大変つまらない。
ドクター早瀬の診断と処方箋
大根の葉としては、意外な展開。これまであまりない詠み方で少しおもしろい。「ぜったい」はいらないのでは。あまりに作者の押しつけがきついと読者の反発を買う。

(1)新年会半襟の色決め兼ねて  しんい(女)
(2)荒磯のライトアップぞ初景色
 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)半襟というのは、きものの下に着る長襦袢(じゅばん)の、襟の部分に掛ける別布のこと。ということを初めて知りました。勉強になる。新年会の弾んだ気分が出ている。
(2)豪快な初景色ですね。ぞ、は、や、でも。

一月の水で洗ひし朝の顔  栗太郎(60代,男)
 ドクター早瀬ご指導ありがとうございます。先日の「大根ずし」は金澤名物で、大根に鰊の切り身を挟んで麹で漬けたものです。毎年暮れに友人が送ってくれます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
思ったより手のかかった寿司ですね。一度食べてみたくなりました。水道水も一月の水は少し特別のように感じる。まずまず。

(1)雪晴れて葬に向かへる人の列  文の子(60代,男)
(2)寒星や吾が戒名を授かりし
(3)雪の朝鴉の声の飛びかひし

 色を詠まずに、色を読んでもらいたいのですが如何でしょうか。宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)葬に向かへる人の列、は葬列ですんでしまうので、言葉がややもったいない。葬列に、雪晴れしているのは、しみじみと空気の澄んだ感じはマッチしている。
(2)戒名を授かり、死後はあの寒星になるのか。俳句としてできている。

(1)湯の中にひとつ浮きたる柚子のあり  小口泰與(60代,男)
(2)眼間を飛び出づ禽や霜柱
(3)枯柳怒れる早瀬ありにけり

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)柚湯のことだけをわざわざここまで引き延ばして俳句にしてしまうと、逆の意味であほらしさ(失礼)おかしさが出てくる。
(2)禽は飛び出てくるもの。
(3)えっ?私はそんなにいつも怒っているのか?と一瞬びっくりしましたが、速い川ですね。枯れ柳と早瀬は少しおもしろい。しかし、複雑な読後感。

(1)全開の門より七ハン笹子鳴く  茂(女)
(2)春風やメトロノームを調整す
(3)春の雪高値の響く花市場
(4)菜の花や書き取りテスト満点に

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)やや田舎の古めいた門を全開にしてナナハンが出ていくところに、かすかな笹鳴きが聞こえる。対比の妙。佳句。「全開の門よりナナハン笹子鳴く」
(2)春風が少し吹いてきた。何か楽器でもやろうか。気分のいい句。
(3)春寒なので花の値段が高くなった、と理屈になった。
(4)も含めて、取り合わせがなかなかうまくいっている。


(1)一冬の声閉ざしたる瀑布かな  未知(50代,男)
(2)滝に滝壺なかりけり滝朧
(3)如月の滝寂光の中にあり
(4)大滝に獣の目ある二月かな
(5)わが胸に滝ひとつある余寒かな
(6)山吹の流れてきたり造り滝

 ご教示を。 ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)冬自体の声、というところにやや新しみがある。
(2)滝壺がない滝とは相当小さい滝?そこに滝朧がイメージしにくい。
(4)これが一番好き。二月の滝とは、確かに中に獣の目がありそうな気がする。佳句。
(5)胸に滝があるのはおもしろいが、下五と響かない感じ。

(1)耳痒く薺打つ手のままならず  沖人(70才以上,男)
(2)粥草や一輪車の子つれもして
(3)夜廻りや服着た犬の従えり

 どうぞ宜しくお願い致します。 ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)耳痒く、が理由そのもの。俳句は絶対に理屈でつながったらいけない。
(2)粥草と一輪車は、少し不思議でいい感じ。「もして」がすっきりしない。「粥草や一輪車の子ついてくる」
(3)「夜廻り」が冬の季語。犬君、ご苦労様。


2008年1月14日

家庭菜園らしき大根畑かな  けいこ(60代,女)
 兼題にて1句。分かりずらいでしょうか。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「大根」と家庭菜園や、農村、おでんの脇役、茶の間はまず思いつくもの。そこから離すのが俳句。

(1)去年の神ひそと御座る靴の中  草子(60代,女)
(2)冬薔薇臥しては起きる蔓の業
 仕事始めの日、出勤する夫を見送り「初仕事古神居座る靴の中」というのがすぐ出てきましたが、自分なりに推敲してみました。(2)は冬バラの剪定をしなら、強い生命力に感服!  よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)去年の神がなんと靴の中にいらっしゃるというのは、意外性があっておもしろい。ひそと、は言い過ぎ。「去年の神居座っている靴の中」
(2)蔓の業がわかりにくい。臥しては起きるも、硬い表現。

大根買う映画を観ての道すがら  れい(70才以上)
 ずっと大根で考えていますが、むずかしいです。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「大根」で考えると、すぐにおでん、大根畑、鍋物、などに行ってしまいがち。そこが難しいのでしょうね。大根と映画はいい感じ。「大根買う映画のはねて人数多」

(1)白無垢に身をつつみし娘(こ)雪の朝  文の子(60代,男)
(2)お転婆の白無垢すがた春の雪
 1句前の「雪の朝」の感慨が実感になると思いますが、現時点では掲句です。
(3)初富士を映して湖(うみ)の明けやらず
 大根はこれまで意外と見ていませんでした。週末にでもどこかで見ようと思います。それまでは雑詠でご容赦ください。掲句宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)白無垢と雪の白が重なり、息苦しい。
(2)白無垢を着てもお転婆な女性は個人的には好き(笑)。「お転婆の白無垢姿春の雪」
(3)明けていないのに、初富士を映している、というのは謎めいていて、意外といいかもしれない。

(1)山風や下仁田葱のまるまると  小口泰與(60代,男)
(2)北風を束ねて強し赤城山
(3)大根引く農婦に日矢の当たりをり

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)下仁田葱はよく知らないが、たぶん名物なので、まるまるは当たり前では?兵庫県では、岩津葱が太く甘くておいしい。
(2)何が強いのかわかりにくい。
(3)大根を引くのは農婦。

(1)初明かり回廊満たす靴の音  茂(女)
(2)高階のポタージュスープ三日かな
(3)脳トレの夫の傍ら毛糸編む

 何時も丁寧なご指導有り難う御座います。三日にフランス料理をご馳走になったのですがこの様な句になりました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ありがとうございます。そう言って頂くと、力が湧いてきます。
(1)回廊は日本ではなく、西欧のどこかのような、不思議な感じがある。が、俳句としては、もう少し手がかりがほしい。
(2)高層ホテルのレストランか。が、高階が言葉として無理。ポタージュスープがわりと庶民的でいい感じなので、高階を一工夫。
(3)毛糸編むほうが、脳のトレーニングになりそう。少しくすっとする。

(1)二月空滝の音細く現るる  未知(50代,男)
(2)寒戻る抱き合ふあとの造り滝
(3)亀鳴けば滝に宿りし日の光

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)二月空、という言葉は少し無理。冬に滝の音が細いのも あたりまえ。
(2)抱き合ふあとの、が大胆でどきりとする。せっかくどきりとしたのに、造り滝でがくっとなった。
(3)亀が鳴く(鳴いたとしたら)か細い声と、やせ細った滝に宿った日の光が微妙に響いていて、なかなかよろしいのでは。

(1)画家に髭なし俳人の髪七日  きなこ(50代,男)
(2)中年の背に青葱の垂れるかな
(3)もういいよあいつのことは牡丹鍋

 よろしく、ご診断下さい。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)少しおもしろいが、なぜ7日かよくわからない。
(2)中年の背中は青葱がたれるんだよ、という句意になればおもしろい。「中年の背は青葱の垂れる場所」
(3)牡丹鍋でのセリフとしてはまずまず。が類想感。

(1)凍空に一塊の吐息かな  うさぎ
(2)点滴のしたたるごとの寒さかな
(3)北風をかき混ぜながら鬼ごっこ

 的確な診断で大変勉強になります。(3)は鬼ごっこが答えになっていると言うパターンでしょうか? その辺がよくわかりません。宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ありがとうございます。そう言って頂くと、やりがいがあります。
(1)一塊の吐息がまるで生き物のように中空をうごめいているよう。凄みがあって好きだが、単に吐息が見えるだけと取られるとつらい。
(2)ごとの、が説明。「点滴のしたたるごとき寒さかな」点滴を寒さにたとえるのは新しい。
(3)鬼ごっこはそんなもの。


2008年1月13日

(1)大根引き畦に笑ひし赤子かな  豊田ささお(男)
 遠い思い出です。どうでしょうか?
(2)笑う児の両手に余る泥大根
 大根の句はこれでおしまいにします。「谷津田」ですが、わたしのほうでは、谷の田んぼはサコタといいます。「ヤツダなにそれ?」で通じません。共通語ではあるかと思ったんですが・・どうやら、関東方面の方言でしょうか?
ドクター早瀬の診断と処方箋
 サコタ、はさすがに知りませんでした。でも新しい言葉を覚えるのはうれしいですね。
(2)は少し言い過ぎ。
(1)の方が好き。しみじみと、大地の豊穣、子供の誕生を、祝いたくなる。

(1)大根は白いピシャッとひっぱたく  汽白(40代,男)
(2)月虎よ渾身のこのアイスラッガー
 あけましておめでとうございます。三宅ドクター、ありがとうございました。早瀬ドクター、また、よろしくお願いいたします。月虎さん、ありがとうございます。月虎風もたのみます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
(1)大根は白い、と当たり前のこと。そこに唐突に誰が誰にかはわからないが、ピシャッとたたかれた。状況はわからないが、何かおもしろい。人によるのだろうけど。
(2)マニアックですね。2人で楽しんでください。

(1)寒に入る道着で走る女子高生  沖人(70才以上,男)
(2)酒を断つひそかな誓い寒に入る
(3)ふらふらと老いのゴルフや寒に入る

 「大根引く」の句にアドバイス有り難う御座います。引き続き宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)私の近所に弓道場があって、白い袴姿の男女の高校生がよく歩いています。凛々しさに思わず見とれてしまいますね。女子高生のけなげさが出ていて、まずまず。
(2)そうですか、としか。
(3)老いだから、ふらふらは当たり前。意外な展開がほしい。

(1)七草粥一つ足りなくて大根葉  ねぎよしこ(70才以上,女)
(2)まあなんとミニミニ大根初膳に
 元旦の句有難う御座いました。よろしくおねがいします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「七草粥一草足らず大根葉」。日常ではよくあることですね。
(2)「まあなんと」は俳句では言わない。その気持ちを、モノで詠むことによって読者に感じ取ってもらう。

(1)川のみず川へ放水出初式  文の子(60代,男)
(2)初富士や選手の影が先導し
(3)初詣ことしかぎりの娘の添ひて

 兼題に今気付きました。これからトライしますので、本日は新年の句でご指導の程お願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)川の水をわざわざ吸い込んで川に放水していることに、ややおかしさを感じる。少しおかしい、と思ってもらえれば、俳句は成功。
(2)前にできる影が先導するのは当たり前。
(3)日記としてはいいのでは。次の兼題を出しますが、「大根」でも作ってください。

(1)寒月の 漂底穿つ 静寂かな  山本葆博(70才以上,男)
(2)寒朝の 朝焼ける空 群雀
(3)晨朝の 街走りぬく 小正月

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「漂底」がわからない。
(2)寒朝に朝焼けるのは同じことを言っていることになる。群雀も想定内。
(3)「晨朝」は法要ですか。イメージがわきにくい。
 全体に難解な語が多いようです。俳句は、誰でも知っている言葉で、誰でもわかるように書くほうが。よほどの意図がなければ、ふつうは、間はあけません。

キャスターのしたり顔かな大根切る  れい(70才以上,女)
 キャスターが大根を切っているように取れるのでは?とちよっと心配しています。ご指導よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 キャスターがしたり顔なのは、意外と当たり前。むしろ、「キャスターがしたり顔して大根切る」のほうが少し意外で笑えるのでは。でもやはり苦しいですね。

(1)忘れ田のがんじがらめや冬の草  小口泰與(60代,男)
(2)樽酒の五臓六腑や榾明り
(3)寒烏一声放ち地を統べる

 早瀬先生、寒烏の句「山に落つ日を率いたり寒烏」を「遠山に夕日率ゐる寒烏」と推敲しなおしてみました。よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)がんじがらめ、が答えを言ってしまっている。田に冬の草も当たり前すぎ。
(2)樽酒と榾明かりはとてもいい景。薪の燃える暖かさに、樽酒がとてもおいしそう。「五臓六腑」は既成の言葉なので使わない方が。
(3)類想。「遠山」句としてはできているが、景が平凡。

(1)白波の太き牡蠣舟かもめ連れ  茂(女)
(2)金粉をプリンに乗せる小正月
 女正月は余り使わない方が良いと耳にした事がありますが。ご指導お願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)よく知らないが、牡蠣舟がかもめを連れているのは当たり前?「太き牡蠣舟」がわからない。
(2)一月一五日は一段落ついて女が休めるので「女正月」。小正月と違って、意味がかなり入りますね。金粉をのせたプリンは華やかで女正月に合いそう。

(1)去年今年冷めたスープを温める  うさぎ
(2)白きもの降りて清めし年初め
(3)新玉の朝に牛乳買いに行く

 元旦は雪となりました。こちらでは、クリスマスに全力投球してしまうので、お正月はぼんやり過ぎてしまいます。宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)中七下五がもの足らない。少し驚きがほしい。
(2)雪が降って清めるのはあまりに当たり前。雪と年初めも季重なり。
(3)さりげないが、この句が一番いい。ふつうの牛乳が特別おいしい味に感じる。
 素直に詠むのは結構ですが、読者が少しあっという句がほしいですね。

天才は風呂吹き大根なら食べる  北野元玄(60代,男)
 名句?でしょう。「船団」最新号のあざ蓉子さんの俳句に触発されたのか、昨夜ふっと出来上がりました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「なら」に作者の意図、意味が出過ぎてしまった。作者がおもしろがりすぎた句は、他人にはおもしろくないことが多い。

(1)宝くじはずれ大根おろし蕎麦  ポリ(50代,女)
(2)虎落笛ユニットバスの宇宙船
 ご指導ありがとうございます。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)はずれたら、やけで贅沢しそうになるが、ここはぐっとこらえて、大根おろし蕎麦が泣かせる。よろしいのでは。
(2)「虎落笛ユニットバスは宇宙船」。少しおもしろいが、お風呂が宇宙船というのは、意外と思いつきそう。


2008年1月12日

潮騒や明けの明星さえざえと  しんい(女)
 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 潮騒に金星はとても気分がいい。が、明星がさえざえは芸がない。もう一工夫。

初茜さす山小屋の二重窓  涼(70才以上,男)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 初茜と山小屋はありそうだが、二重窓がいい。目に見えるようでとてもリアル。まずまず。

(1)レコードに針置く仕草御来光  未知(50代,男)
(2)滝壺のなき滝見あぐ滝朧
(3)山吹の流れて来たり造り滝

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)仕草、がいらない。「レコードに針置いていてご来光」LPがまたブームになりつつあるのでしょうか。懐かしい光景。
(2)滝が3つは苦しい。もう少し交通整理を。
(3)「造り滝」は造園で人工的な滝?ややなじみのない言葉。

風呂吹きや一滴の汁残らざる  豊田ささお(70才以上,男)
 大根という言葉を省いて見ましたが、いかがでしょう・・・。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「風呂吹き」で十分伝わると思います。せっかく「や」で切っているのに、後半が大根汁の描写になってしまった。風呂吹き、から近くない遠すぎない、すてきなものを連想してみてください。

仕事始め小さな石けんそのまんま  岡野直樹(40代,男)
 見たまんまの句です。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「石けんが仕事始めの位置にあり」

大根煮て駅伝ランナーと共にあり  千鶴子(60代,女)
 お大根を煮ながら箱根駅伝を見ました。そのまんまです。よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 取り合わせはいいが、もう一工夫。やんちゃな俳句でもいいのでは。「駅伝にまじって走る葉大根」

(1)東京のネオンの海に寒昴  茂(女)
(2)二拍子のテンポまちまち初稽古
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ネオンの海とは空?その明るい空に寒昴は見えるのだろうか?海の上なら、「東京のネオンの海や寒昴
(2)初稽古の子供のかわいらしさがよく出ている。

(1)遅らせし出勤老母(はは)と薺粥  文の子(60代,男)
(2)山消ゆる同時放水出初式
(3)悴みしとはスタートのミスショット

 今日より仕事はじめ、連れて作句はじめです。掲句宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「遅らせし出勤」が説明。
(2)出初め式で放水は当たり前。放水で山が消えるのは説明。
(3)文法が少しおかしいが、悴みとはゴルフのミスショットなんだよ、というのは意外な定義の仕方で、おもしろい。

(1)白鳥の足のきれいを書き留める  仁(60代,男)
(2)シリウスに育てられてる大根かな
(3)よく笑うキリスト論者と大根干す

 ドクター早瀬、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)足がきれいと言ってしまうと、読者はそれ以上想像できない。「書き留める」も不要。白鳥の足から、別のものを連想してみてください。
(3)キリストと大根とはおもしろい。好きな句。それも、よく笑うキリスト論者とは、どんな人なんだ?
 「よく笑うイスラム教徒と大根干す」とか、いろいろできそう。

(1)兼題に大根畑を探し行く  えんや(70才以上,男)
(2)鴨の尾の動き極まり川に入る
(3)湯たんぽを弄びたる足裏かな

 大根畑はありましたが一句も出来ず(笑)どうか宜しくお願い申し上げます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)兼題は、吟行でもできますが、むしろ家に帰って夜の方がおもしろい句ができますよ。
(2)動き極まり、がややわかりにくい。もう少し具体的に。
(3)そのまま。

(1)蔦役は大根役者の七代目  北野元玄(60代,男)
 湯島の白梅もそろそろですね。
(2)あらたまを言祝ぎ今年誰が死ぬ?
 これを言われた人は長命だそうです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)よく意味がわからなかった。ごめんなさい。
(2)「黄の青の赤の雨傘誰から死ぬ」(林田紀音夫)を思い出した。後半の急な展開が不気味さをよく出しているのでは。


2008年1月11日

(1)閉づ店の増ゆる大路や冬ざるる  しんい(女)
(2)あらたまの虚空沖より闇ほどく
 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)閉店の数が増えるのは寂しいもの。そこに冬ざるる、追い打ちで寂しすぎる。もう少し、ほっとできるものを考えてみてください。
(2)何とか景色はわかるが、手がかりが沖だけでは苦しい。全体にぼんやりとした抽象画のようになった。くっきりとしたモノを配したい。

愛がある春の七草おすそ分け  kikumi(60代,女)
 お世話になります。「愛媛産の七草 愛がある」スーパーで求めた七草のパっクに書いてありました。パくりかな?お向いの一人暮しの方や、娘たちにもあげました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 愛がある春の七草までは少しおもしろい。おすそ分け、でがくっとなる。七草をおすそ分けするのは想定内。もう一工夫。

(1)外に出づや東を染めし冬の朝  小口泰與(60代,男)
(2)片隅の大根を引きて日の暮れて
(3)凍土を割りて大根を引きにけり

 早瀬先生、よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)外に出づやは、説明。朝は東が染まるもの。
(2)何気ない、いい風景。「片隅の大根引いて日の暮れて」

「ちりとてちん」みながら大根サラダかな  れい(70才以上,女)
 「日常に戻りて大根サラダかな」のご指導有難うございました。本当にそうでした。それでこのように直してみました。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ちりとてちん、は全く見ていないのでイメージがわかない。誰もが知っているものしか、俳句では伝わらない。

(1)新春の天地展きしワルツかな  未知(50代,男)
(2)侍はみんな素足や寒稽古
(3)役員に目くばせをして初笑ひ
(4)煮鰈の骨しゃぶりつつ年迎へ
(5)祖父よりも祖母似か大根の如し
(6)みちのくのクジラベーコン包みかな

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(6)これが一番好き。ふつうはやや寂しげで寒い感じのみちのくが一挙に親しみやすく、楽しげなところに思えてくる。
(1)天地展、がよくわからない。
(2)意外性がない。
(3)役員といっても、40代くらいの魅力的な女性のように思える。(やや失言)
(5)誰が祖母似かわからない。

(1)まっさらな大根(だいこ)の心召し上がれ  うさぎ
(2)大根の鍋に蓋してしずこころ
(3) ねぎ乗せて自転車ジグザグ商店街

 宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(3)これが一番好き。ねぎが自転車に乗って商店街をぶらぶらしている感じで、おかしい。
(1)こういうもてなしを受けてみたい。
(2)しずこころが、全部いってしまった。

(1)乗合わす葉付き大根いや太き  豊田ささお(男)
 「雲なびく大師の池の大根炊き」は、雲なびくがとってつけたよう・・とのご診断でした。実景は湯気が池のほうへなびくところだったですが、うまくつかめませんでした。朝靄ぐらいでもよかったでしょうか?掲句は乗り合いタクシーでも電車でもよろしいかと・・実際はもらった大根でした。
(2)空海の独鈷持つ手にさす初日
 「初日影大師の池のひかりけり」、「初日影」と「ひかりけり」は、たしかに近いですねえ・・・指摘されるまで気付かないのです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)いい風景ですね。田舎の乗り合いバスのよう。大根が知らん顔して、乗っているような気がする。「いっぽんの葉付き大根乗り合わす」
(2)独鈷のモノをあまり見たことがないので実感がわいてこない。渋い雰囲気はあるが。特殊な言葉は、句会の時には損するかも。

キリストのみことば大根の辛味ほど  さわくるみ(女)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 キリストと大根の取り合わせは意外で新鮮みがある。が、キリストの言葉は鋭いので辛み、というのは理屈。俳句が広がっていかない。この二つの言葉で、別の俳句を作ってみてください。

(1)餅八個食べて星へと帰りけり  草子(60代,女)
(2)餅八個食べきり家人泥となる
(3)老いたれど餅の八個の面子かな

 夫は普通の”人”ですが若い頃は10個も食べたそうです。正月になると異星人と暮らしているのかも・・と思ってしまいます。食べた後は”寝正月”となります。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)但し書きを読まないと状況がよくわからない。
(2)これは、俳句が説明。因果になっている。
(3)これが一番よろしいのでは。餅八個たべて面子と思っている子供っぽさがほほえましい。

(1)霜解けの日射しすなわち神からか  仁(60代,男)
(2)大根が第九のごとく庭にあり
(3)ジーンズのばぁちゃんがいて大根引
(4)目鼻立ち崩して吾の大根かな

 早瀬ドクターはじめまして、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 初めまして。
(1)霜解けの日射しがきらきらしているので神からか、と思うのはありそうな発想。
(2)大根が第九とはすごい発想ですね。おもしろい。
(3)「ジーンズのばあちゃんが引く葉大根」

(1)箱根路を繋ぐたすきの年初め  浅葉洋(70才以上,男)
 箱根駅伝の、母校と仲間、青春を繋げ走る姿に感激です。
(2)庭隅に葉音消えずの冬柏
 『葉守の神が宿る木』と言われる、散らないままの枯れ柏を眺めての句です。ご高評をお願い致します。6日掲載の添削ありがとう御座いました。大変勉強になりました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)駅伝は私も好きです。掲句は報告になっている。何か一つ意外性がほしい。拙句「駅伝の最終走者雪となる」
(2)消えずの、が苦しい表現。「庭隅に葉音の消えぬ冬柏」冬柏がいい感じですね。


2008年1月10日

(1)こうべ垂れ鈴の音聞くや大祓  玉白石(50代,男)
(2)とりあえず青菜とじゃこのおろし和え
 早瀬ドクター、よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
(1)大祓の報告に終わっている。
(2)さりげない、食べ物俳句でこれはこれで。おいしそうですね。ただ、新し味にはかける。

(1)憎き奴良顔なりし大根引く  きなこ(50代,男)
(2)はればれや男四日の無精髭
(3)初風呂の古魔羅沈んでおりにけり

 よろしく、ご診断下さい。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)憎い奴ほどハンサム、というのはよくあること。意外性がない。
(2)四日という微妙な日の感じは出ているのでは。
(3)風呂に沈んでいるのは当たり前。すこし下世話では。

(1)大鍋にたっぷり煮つめブリ大根  未知(50代,男)
(2)手返しの間の取り難し餅を搗く
(3)世界中飢餓の無かれやねずみ年

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)誰しも思いつく情景からでていない。
(2)餅を搗くのは、そういうもの。
(3)これだと標語になります。
 辛い評になりましたが、有名な俳句をたくさん読んで、俳句の雰囲気を感じ取ってみてください。

万物の霊長として大根煮る  北野元玄(男)
 早瀬淳一さま。お正月ですから、大見得を切ってみましょう。本年もよろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 お久しぶりですね。よろしくお願いします。茶の間やおでんから離れているところは、いいですね。万物の霊長、が既成の言葉なのでやや意外性がない。どうせならもっとぶっ飛んだらいかが。

(1)富士形に口紅を引く今朝の春  茂(女)
(2)初東風やゆらリふらりとエコ袋
 何時も的確なご指導有り難う御座います。飛躍の言葉が思いつかず四苦八苦です。よろしくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)女性ならではの発想で、おもしろく読みました。朝に引く富士型の口紅が、おめでたくさわやか。
(2)下5でくすっとさせられる。が、エコ袋は毎回買い物に持って行く布製の袋では?それではゆらりとはしませんね。

(1)年の夜畳のへりの塵つまむ  うさぎ
 母がよくこんなことをしてました。
(2)松の内折り目正しき紬かな
(3)数え日や母の紬の糸を抜く

 宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)何かおまじないでしょうか。大晦日の夜にわざわざ塵をつまんでいることに少しおかしさを感じる。
(3)袂の糸を抜くのは、仕上げのこと?和装にうといので、意味するところが把握できませんでした。

(1)お降りや墨絵ぼかしの杉の山  さくら(女)
(2)おしゃれ好きの友の賀状は古代文字
 あけましておめでとうございます。宜しくご指導下さい。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 おめでとうございます。
(1)おさがりだから雨で山が墨のように見えるのは当たり前。お降り、と杉の山を少し違うようにしたものを取り合わせてください。
(2)下5が意外な展開であっと思わされる。友達のしゃれっ気が楽しい。

(1)凍鶴や一塊の息の中  うさぎ
(2)雪夜には子に戻りたし石地蔵
 ドクター三宅の診断:(凍鶴の一塊の白い息)は内容が不明瞭、(雪夜泣く子に戻りたし石地蔵)は、泣かなくてもよいのでは?と言うことで、推敲しました。如何でしょうか?
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)誰の息かわかりにくい。鶴が白い息を吐くのも、作者の息の中に鶴がいるというのも、考えにくい。
(2)これはこれでよろしいのでは。1句の中に2つの動作が入らない方がいいと言うことですね。

(1)初詣実生の松を持ち帰り  岡野直樹(40代,男)
(2)年賀状我が人生を計りけり
(3)子供らと初めて敲く餅配り

 (3)の「初めて敲く」は無理かなあと思いつつ。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)初詣と実生の松、やや近いが、意外と思いつかない取り合わせ。気分もいい、まずまずの句では。
(2)年賀状を積んだ高さで人生を計るというのは、理屈で、俳句ではもっともやってはいけないこと。
(3)餅配りで、たたく、という状況がわからない。その地方の風習だろうか。

(1)対岸の煙横揺れ初仕事  茂(女)
(2)冬温し早得切符予約せり
(3)泊つ船に波の音無き淑気かな

 今日はとても暖かな日でつい来月のお誘いに乗ってしまいました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「横揺れ」がややうるさい感じ。「対岸の煙が昇る初仕事」
(2)早得切符」に弾んだ気持ちがよく出ている。「冬温し早得切符購入す」
(3)淑気とはこういうもの。


2008年1月9日

(1)突堤に四股踏む仕草松の内  未知(50代,男)
(2)星は流れて星と知り剥落期
(3)焼鳥や恋も国家も飛んでをり

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)松の内に突然突堤で四股を踏む唐突さが滑稽でおもしろい。「突堤に四股踏んでいる松の内」
(2)星の寿命で剥落期か?剥落期の言葉もその解釈も難しい。
(3)これも笑ってしまった。やけくそ感がいい。確かにうまい焼き鳥があれば恋も国家も「そんなのカンケーネー」

(1)われの名の和の一文字筆始  藤原有(70才以上,女)
(2)大根むく新しぺーじ開くごと
(3)ひげ根ある大根旨しと後ろより

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)自分の名前が「和」の一文字だというところに、清清しさ、誇りのようなものを感じる。いい筆初めの景。
(2)「新しいページのように大根むく」
(3)後ろよりが説明。

見にござれおらが谷津田の雪化粧  豊田ささお(70才以上,男)
 初茜2句へのご診断有難うございました。去年の明日は雪が積もりましたが、今年は上天気みたいです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 一茶風の世界。田舎のおおらかさ、楽しさの雰囲気はある。「谷津田」といわれても、知っている人にしかわからないのでは。

(1)橋の先亡父いるよな冬霞  岡野直樹(40代,男)
(2)大晦日水鳥が銀波を滑る
(3)短日に夕空を拭く大掃除

 お正月には時間があるので、気に入ったものが作れると思ったのですが。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)亡父という言葉は、感傷に流れやすいので難しい。案外、類想になってしまう。
(2)散文になっている。「大晦日」と「水鳥」も季重なり。
(3)これが一番いいです。夕空を拭く、に詩情がある。「短日や」と切ったほうがいい。

(1)去年今年気分一新綱をしめ  稲冶増彦(男)
(2)光琳にひかれもとめし歌留多ひさしぶり
 どうぞよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
(1)去年今年で、気分一新するのは誰しも。綱を締めの状況もよくわからない。去年今年は状況なので、そこになにか「モノ」を考えてみてください。
(2)字余り過ぎ。「光琳の歌留多」でつくってみてください。

(1)大根おろす逢わねば遠き人となる  さわくるみ(女)
(2)置き去りの大根の葉の立ちあがる
 この冬、柚子大根(漬物)にはまっています。もちろん私の手作り、ほとんど毎日のように作っています。
(3)肩凝りのひどき一日大根たく
(4)句友いて句敵のいて大根かな

 アドバイス、ありがとうございます。大根と向き合って何日間、大根がますます好きになりました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 大根は本当に飽きない不思議な食べ物ですね。煮詰まってしまいますので、そろそろ次の兼題を出します。
(1)逢わねば遠き人となるのはあたりまえだが、大根との取り合わせで、当たり前のことを言ったおかしさの効果が出た。
(2)地味な写生だが、不思議な光景。いわゆる、「物をよく見た」写生。佳句。
(3)日常をよく書けているが、類句あり。
(4)これも類句。

(1)大根引月の面へよろめきぬ  遅足(60代,男)
(2)大根を引き月面へよろめきぬ
 どちらが良いでしょうか?どちらもダメかな?
ドクター早瀬の診断と処方箋
 大根を引くと、気がつくと月面でよろめいた気がした。おもしろい発想ですね。
(1)滑稽な状況をわざわざ(1)のように「おもて」と気取って言ったほうがおもしろい。

(1)二世帯の設計図未だ引く大根  茂(女)
(2)北風の帯膨らませチェックイン
 兼題の大根を出句して見ます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)大根とのおもしろい取り合わせですね。二世帯住宅のことだと思うが、「二世帯」では少し無理がある。「大根引く二世帯住宅設計図」として、あとは読者にゆだねては。
(2)北風の帯膨らませ、がややわかりにくい。

(1)富士隠す微塵もなけれ今朝の春  せいち(60代,男)
(2)初富士のその裾の裾やつと吾
 早瀬ドクター、宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくおねがいします。
(1)隠す微塵もなけれ、が全部を言ってしまった。
(2)富士の裾はありふれているな、と読んでいくと、最後にあっと驚かされた。意外な着地でよろしいのでは。「初富士の裾のまた裾われとなる」

(1)大根畑葉っぱのパーの並びをり  草子(60代,女)
(2)婿の箸進む大根の溜り漬け
 始めまして。句材に出会ったときのうれしさ、俳句らしく整えたときの悦びの後、いつも推敲で苦しみます。特に文語文法など。をり?たり?けり?・・・この句は”並びをり”としてみました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 はじめまして。すこし苦しいから、俳句は楽しいのでしょうね。
(1)だいこばた、と読む。が、語感、リズムがよくない。「大根の」でいいのでは。葉っぱのパー、がいい。大根がかわいい感じ。
(2)大根の溜り漬け、が渋い。それだけでご飯が進みそう。婿さんとのいい関係が読み取れて、まずまず。


2008年1月8日

大根引く畦駆け抜ける女子高生  沖人(70才以上,男)
 はじめまして、宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 大根と女子高生はおもしろいですね。畦駆け回る、は表現として少しうるさい。一案。「大根を一心に引く女子高生」

(1)引き立ての大根並ぶ無人店  岬(60代,女)
(2)不揃ひの大根並ぶ無人店
(3)引き抜きて見れば大根小さきかな
(4)大根の少し肩出す土の上

 友達の家庭菜園、お寺の近くの山道を思い出しながら詠んでみました。よろしくご教授をお願いします。「端正な大根並ぶスーパーに」は如何でしょうか?
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)(2)「選挙カー過ぎて大根無人店」など、まったく別のものを入れてもう一工夫してください。
(3)(4)最初は写生でいいと思います。が、そこはスタート。人と違ったものの見方、小さな発見がほしい。

(1)山に落つ日を率いたり寒烏  小口泰與(60代,男)
(2)冬ざれや天を制する鳶の群
(3)空風の行く手さえぎる秩父峰

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)山に落ちる日は落日または夕日なので字数がもったいない。烏がひを率いる把握はまずまず。
(2)天を制する、も(1)と同じで擬人。擬人は主観なのでそこに行かないで描写したい。

(1)軒下に縄を抜けたる大根かな  えんや(70才以上,男)
(2)宝引きのはずれて泣かぬ子となりし
(3)鴨の尾の動き速めて池に入る

 明けましておめでとう御座います。2度目のご診断となります。どうか宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)平明な写生で、リアルでありながら、味わいがある。佳句。「軒下の縄を抜けたる大根かな」
(3)これもしっかりとした写生。安定感がある。よくできていますので、時にそこから脱却した句も作ってみてください。

ぶり大根ほど良く炊けてにぎやかに  kikumi(60代,女)
 宜しくお願いします。お造りも良いですが、大根小芋と炊いたの人気が有りました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。ほかほかとした茶の間の様子が浮かんできます。やや平板になっているので、ひねって、「家族皆ぶり大根のようになり」

おでん屋の主役となりぬ大根かな  稲冶増彦(70才以上,男)
 はずかしながら、俳句を勉強しようと思っていますが、おもうように作句できません。よろしくご指導ください。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 大根は、汁を吸って脇役的なもの。しかし実は案外主役なんだよ、というところに少しおもしろさがある。大根、とくるとおでんはだれでも思うもの。そこからスタートでいいですが、次に、何か違うものを思いついてください。それがいわゆる「ひねる」ということですね。

(1)千六本に大根揃わず猫を見る  ポリ(50代,女)
(2)風船の地球儀小脇にお正月
 はじめまして。どうぞよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)千六本がわからず、家内に聞くと、こんなのです、とすかさず手元の大根を切って出してくれたので驚いた。うまく切れないいらいらが、猫が出てくることでくすりと笑わされる。
(2)好きな句。小脇に、が説明。風船の地球儀のあるお正月、ではいかが。

(1)大根をほめて両手にもらい来る  悠(60代,女)
(2)足裏に弾む玉砂利初詣
 おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
(1)くすりと笑えて、まずまず。貰ってきたのが、大根という華やかでないところがいい。
(2)初詣とは、こういうもの。一工夫ほしい。

抱かれ来し犬と目が合い初握手  藤原有(70才以上,女)
 はじめまして。どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。さりげない光景で、和みますね。まずまずでは。下5がそのまま続いてしまうので、お元日、くらいに少しはなしたほうが。

錆びつきし関節軋む流氷来  しんい(女)
 よろしくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 流氷が錆び、軋む関節とは、新しい表現で、その冒険心に敬意を表します。錆びつき、と軋む、がややくどい感じ。


2008年1月7日

雲なびく大師の池の大根炊き  豊田ささお(男)
「梅一輪山里の井戸にぎわいぬ」ご診断有難うございました。「にぎはひぬ」を上5に置くということですね・・文語体の場合は旧かなでないといけませんでしょうか?兼題さっそくチャレンジしてみました。宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 文語を新かなで書く人もいます。人によりますが、私は、文語は旧かな、かなと思います。大師の池の大根炊き、で雰囲気は出ている。が、雲なびく、がとってつけたよう。全体に立体的な景がほしい。

(1)とし迎え香り新たに野水仙  浅葉洋(70才以上,男)
(2)この大地息吹一発蕗のとう
 おめでとう御座います。始めまして。水仙が一杯咲く中、日溜りに蕗のとうの芽を見つけました。宜しくご指導の程お願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 おめでとうございます。よろしくお願いします。
(1)は既出?
(2)この大地息吹一発、が蕗のとうの答えになっている。つまり、説明はいけません。ふきのとうから発想する、やや違ったものを考えてください。

この暮れも大根ずしで年を越し  栗太郎(60代,男)
 明けましておめでとうございます。下手の横好きで俳句をやっております。今年は少しまじめにとはおもっておりますが・・・
ドクター早瀬の診断と処方箋
 あるかないかわからないが、大根ずしという質素なものでひっそりと年を越すのは悪くない。俳句的空間がある。暮れ、と年を越しが重なり。

日常にもどり大根サラダかな  れい(70才以上,女)
 今年もよろしくお願いします。大根はむづかしいと思いましたが、兼題があると言うのも手がかりがあって面白いとも思いました。この句はあまりにも当たり前だと思いますが。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 題からの発想は、とてもいいエクササイズになると思います。大根サラダが日常なので、同じことを言ってしまったことになる。大根サラダ、で意外なものをあわせると素敵な句になりそう。兼題で難しいのは、イメージがその言葉に引きずられるところにあります。

(1)性愛の眩しかりけり葉大根  未知(50代,男)
(2)冬薔薇昼の真上のネットカフェ
(3)初雪のジュラ紀駅より便り来る

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)性愛という生の言葉をぶつけるのは、かなり覚悟がいる。読むほうがまぶしく感じる。
(2)ネットカフェの脇に咲く冬薔薇に悲しさ、おかしさを感じる。昼の真上、がわからない。
(3)ジュラ紀駅という発想はおもしろい。ジュラ紀は氷河期でしたか。そこに初雪というのも笑える。

(1)銀粉を指に残して冬の蝶  うさぎ
(2)凍蝶の絹糸の足擦りあわす
(3)冬の蝶生きるというを吾もする

 ドクター早瀬様、はじめまして。俳句歴1年未満です。宜しくお願いします。大根は、もう少しお時間ください。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 はじめまして。どんどん作ってください。兼題は思いついたときに。
(1)冬の蝶が指に残して行ったのが銀の粉。詩があるが、類想もありそう。思い切って、銀粉になってしまった冬の蝶(一案)
(2)凍蝶の足は細そうなので絹糸は想定内。
(3)最近は、格差社会とかワーキングプアとか、人間が冬の蝶みたいですね。

初日浴び富士連山の奥に座す  三郎(70才以上,男)
 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
 初日と富士山の取り合わせは何千とあるので、いかに思い切り類想からはずすかが勝負。奥に座すのが、作者か山かわかりにくい。

(1)大根漬く父は卆寿を過ぎたるや  遊雲(70才以上,男)
(2)大根洗うよい1年だったとだったと思う
(3)風呂吹きや男は愚痴をこぼさない

 大根はうまい。漬物でも、煮物(かしわに限る)も、風呂吹きもゆず味噌で。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)大根を漬ける日常の中に穏やかに年を重ねることが調和してる。が、調和しすぎることは、俳句を平板にしてしまう。
(2)後半の感慨が、誰しも思いつきそうなものになってしまった。
(3)後半が、そのままではあたりまえ、ひっくり返して言うと、男の女々しさを言う、よくある手になる。このつくりは難しい。

おでん種だいこの味で親父の腕  浜っ子(60代,男)
 ドクター早瀬。多作ですが少投句です。よろしく。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 多作・少投句、いいですね〜。たくさんの中から自選することで、ご自分の句を客観的に見ること、選句の訓練になります。言いたいことはわかります。が、大根でおでんでは、世界が狭い。大根と少し違う視点がほしいのです。〈寝違への首のいちにち大根煮る  杉浦典子〉

(1)初御空ちょっと御縁の此の世かな  きなこ(50代,男)
(2)爪先のスリッパ垂れリ狐罠
(3)初厠魔羅三重に防御せよ

 三宅ドクター、お蔭様で益々句作りが楽しくなりました。ご診断ありがとうございました。早瀬ドクター、はじめまして。よろしくご診断下さいませ。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いいたします。
(1)初御空を見ての感慨としてはまずまずでは。自分がこの世にいるのも、他人との出会いもちょっとご縁ですね。
(2)よくわからない。
(3)魔羅、は魔物か?厠と掛けたのなら、下に落ちすぎる。全体にすこし難しい硬い言葉が多いようです。


2008年1月6日

(1)稲穂の妓当たりくじ読む発売日  稲冶増彦(70才以上,男)
(2)おでんのコンサートマスターは大根
 新年明けましておめでとうございます。はじめたばかりです。よろしくご指導くださいませ。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 あけましておめでとうございます。
(1)稲穂の妓、がわからない。
(2)言いたいことはわかる。少しなるほどとも思える。が、残念ながら、理屈に終わっています。おもしろい俳句をたくさん読んで、発想を真似ながら、たくさんおつくりください。

初日影大師の池のひかりけり  豊田ささお(70才以上,男)
 二日目にしてやっと朝陽を拝み、一日遅れの初日の出に感じ入ったものです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 静かな感じは出ている。が、初日とひかりけりが、同じことを言っているのが残念。

(1)架け枠に日のあまねしや懸大根  しんい(女)
(2)矍鑠と七種打つ手皺深し
 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)日のあまねし、で暖かい感じは伝わってきて、それなりにいい光景。架け枠の「架け」と懸け大根の「懸け」の重なりが気になる。
(2)かくしゃくだから老人、だから皺深しはあたりまえになってしまう。矍鑠の字も難しすぎるのでは。もう七草かゆの季節ですね。

(1)木々の彩とりどりの中山眠る  岬(60代,女)
(2)木々の彩失いて山眠りをり
 車窓より遠くの山を見ていると枯木立の中にも彩とりどりの風景があり、少し電車が進むと古代紫一色彩のない山もありました。よろしくご教授ください。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 とりあえず見たものからつくる、というのはいいと思います。が、季語の説明をしてはいけない。どちらの上5中7もある程度季語の中に織り込み済み。「山眠る」という景色を見たところで、そこから連想なり、まったく違うものを配することで、句を作ってみてください。あまり主観的にならないように。

(1)初シャッターちから授かる初明かり  浅葉洋(70才以上,男)
(2)年迎え香り新たに野水仙
 明けましておめでとう御座います。元日は天候に恵まれ初日の出がきれいでした。宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 謹賀新年です。こちらこそよろしくお願い致します。
(1)シャッターと初明かりは意外な取り合わせで、とても好き。初明かりのようなおめでたいものとは、シャッターのような 無愛想なものがいい。「初」が二つで重なり。
(2)景色、香りは清清しく、気持ちのいい句だが、「年迎え」と「水仙」が季重なり、「年迎え」と「新たに」が近い言葉。違う色の言葉を持ってきたい。

(1)取り敢えずつっかけ履いて初日の出  茂(女)
(2)お元日慌てなくとも小雀よ
(3)裏口で山茶花時雨の傘閉じる
(4)寒月のやがて山の端町の朝

ドクター早瀬の診断と処方箋
 全体に淡白な詠みぶりで、これはこれでひとつの俳句の行きかた。
(1)さりげなくていいが、類句はありそう。
(3)山茶花と時雨が季重なり。どちらかに整理を。
(4)町の朝が説明。

極月の河馬水中を足早に  慈英(50代,男)
 ご指導宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 河馬は意外に早いらしい。極月(師走)だから、河馬も走る、ととられてしまったら理でつながってしまうが、ここは河馬が救っている。いい12月の風景。


2008年1月5日

(1)初茜昨日の池を染めにけり  豊田ささお(70才以上,男)
 謹賀新年です。今朝、初日の出を拝みに行きましたら、雲が厚くてはるか上のほうが青空で定刻をすぎてから、上天気になりました。池がちらと染まりましたけど・・
(2)初茜鳥篭を出るタイミング
 昨日「鳥篭の中空っぽに」というのを作りましたら今日坪内先生のを初日から載せられてありました。類似性に唖然としました。で〜やむを得ずこんなのを作りました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 謹賀新年です。
(1)「昨日の池」というところに新年といってもやはり昨日の続きなんだ、という俳諧味を感じる。
(2)初茜が鳥篭を出るタイミングなのか、初茜のなか、鳥が鳥篭を出るタイミングなのか、読みに迷うところ。でも、鳥篭を出るタイミング、はおもしろいフレーズ。

風の日は風の音聞く大根たく  さわくるみ(女)
 大根、大好きです。この冬は柚子大根にはまっています。一日おきに作っていますが、家族にも好評です(*^^)v
ドクター早瀬の診断と処方箋
 風の日は風の音聞く、のフレーズ詩があっていいなあ。「風曜日」があればいいですね。中7が用言なので下5は体言止めにしたい。「 風の日は風の音聞き柚子大根」とか。

(1)昨日より今日より明日去年今年  遊雲(70才以上,男)
(2)幸せは追わず求めず去年今年
(3)真っ直ぐに素直に生き来去年今年

 新年おめでとうございます。よろしくご指導ください。昨年の1月に70の手習いの俳句を始めやっと1年たちました。先ずは年の始めに。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 おめでとうございます。よろしくお願いします。
 とてもお気持ちはわかります。「去年今年」は、来し方行く末への感慨を呼びやすい言葉。そこへ行くと月並みになってしまう。郷愁と離れたことを言うのが俳句。でも、70歳での俳句の出発にとても清清しいものを感じます。末永く!

(1)元旦や一村なべて深眠り  ねぎよしこ(70才以上,女)
(2)三が日富士(おやま)まかせのくらしかな
 おめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)大晦日は夜更かしする事が多いので、元旦の朝の静けさは格別のものがある。その静かさを「一村なべて深眠り」という言葉で表現した事で、何か古い民話のような効果が出た。
(2)三が日、料理も掃除も何もしない。ただ、富士山の見守るままに静かに過ごすという意味だろうか。やや句意に解りにくさがあるが、お目出度さは充分伝わってくる。

(1)カーナビにまかせておりぬ冬木径  しんい(女)
(2)別珍の足袋郷愁を掻き立てむ
 早瀬ドクター、初めまして。どうぞ宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
 カーナビと冬木径の展開はおもしろい。中7が一工夫ほしい。一案。「カーナビのとおりに行けば冬の森」

(1)初烏姿は見えぬ西の空  茂(女)
(2)邦楽を背に数の子の合いの手よ
 おめでとう御座います。とても静かな新年です。未だ西の空が暗い内に初烏の声が聞こえましたが。残念ながら姿は見えませんでした。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 あけましておめでとうございます。
(1)元旦の朝の雰囲気がにじんで、まずまずでは。
(2)数の子の合いの手よ、がわかりにくい。競うように箸で取り合うということか。邦楽と数の子も近く、苦しい。


2008年1月4日

ジーパンに穴あいている大根引く  さわくるみ(女)
 はじめまして!!早瀬先生、どうぞよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ジーパンと大根の取り合わせは賛成。大根が所帯じみなく感じる。大根というとどうしても庶民的な生活に連想が行く。そこから離れた句を期待したい。一案。「ジーパンに穴開いていて大根煮る」

カラオケの調子はずれや睨み鯛  多弁(60代,男)
 酒が入るとカラオケです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 調子はずれや、で全部を言ってしまっている。 カラオケの順番を待つ、くらいのさりげない言い回しのほうがいいのでは。

枯蟷螂そろそろ孫の欲しいころ  kikumi(60代,女)
 枯れは色になり蟷螂は卵を抱いて越年?春を待つとか季語知りました。長女13年孫なし、二女に今年こそ?は親の欲目ですね。つたない句ばかりでしたが、ご指導有難うございました。来年も宜しくお願い申し上げますm(__)m
ドクター早瀬の診断と処方箋
 枯蟷螂は滅んでいくイメージ。そこに再生の孫が出てくると、どうしても因果でつながってしまう。枯蟷螂、から意外な展開を考えてみてください。

金屏風しつらへおわり大根煮る  涼(70才以上,男)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 金屏風しつらへおわり、の状況がよくわからない。だれでも一読句意がわかり、かつ感心する平易な俳句が理想。でも難しい。

去年今年いえいえ今日は禁酒です  岡野直樹(40代,男)
 思いついたままですみません。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 このような軽い独白もたまには宜しいのでは。どちらかといえば、川柳。去年今年、が立ち上がってくる「物」を発見してみてください。

(1)風花やマリアの処女を疑へり  未知(50代,男)
(2)寒雀晴れたる空の翻る
(3)うれしきやほうれん草の根の赤し

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)風花とマリアはいい感じ。処女を疑う、といわれてもうーん、としか。
(2)晴れた空は翻るように見えるのでは。
(3)ほうれん草の根の赤し、は俳句的な物言い。うれしき、という感慨の方向へは、行かないほうが。

(1)第九終ふ拍手と咳の止まずして  文の子(60代,男)
(2)寒の入うばぐるまより犬の貌
 明けましておめでとうございます。
 早瀬ドクターには1年半前丁寧にご指導頂き有難うございました。「紫陽花の褪せて海辺の白き町」は転機になりまして、以来まず新聞TVに載り、昨年は句会の後のプロの選(月1回、句会終了後に或る俳人が作者不詳のまま選考)で巻頭4回、第2位2回となりました。一方で早瀬ドクターに見ていただきたい面白い句が全くなくなりました。もう一度現代の俳諧味にトライしたいと思います。2ヶ月間どうぞよろしくお願い申しあげます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 お久しぶりです。「紫陽花の褪せて海辺の白き町」は今読んでもいい句だと思います。
(1)「咳」にやや俳諧味あり。が、詩がない。
(2)「乳母車」と漢字でいいのでは。これは、日常の一瞬を捉えたひとつの俳句のかたち。いつもの自分のパターンを少しずつ崩して俳句を作ってみてください。

君はアと僕はオと言うカシオペア  月虎
 汽白さんのファンです。カシオペアの句おもしろそうなので、汽白さんふう?につくってみました。できたでしょうか?
ドクター早瀬の診断と処方箋
 船団の特集で、「池田澄子風の句を作る」という企画があった。誰かの句風を真似るというのは、おもしろい句が出るかもしれない。「カシオペア」は季語ではないのでは?間違っていたらごめんなさい。上5中7が自分だけの世界で、ややわかりにくい。

初雪や波三角に寄せてくる  茂(女)
 初めましてどうぞ宜しくお願い致します。今朝初雪が降りました。見たままの句です。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よろしくお願いします。
 最初は見たままからの出発。初雪の寒波に、冬の海に三角の波が立っている。情景はよく理解できる。が、それ以上のものがない。せっかく「や」で切っているのだから、ご自分の過去の記憶でも結構なので、中7下5にはっとするものを。

(1)仕事始珈琲入れて貰いたり  未知(50代,男)
(2)御用始狐を首に巻きながら
(3)鐘の音は鐘の音として去年今年

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)せっかくコーヒーを入れてもらっているのだから、「貰いたり」は重い。一案。「珈琲の香りの仕事始めかな」
(3)「去年今年」に鐘の音はそのまま。「去年今年」に意外なものを取り合わせてください。

梅一輪山里の井戸にぎわいぬ  豊田ささお(男)
 早瀬ドクターお世話になります。問わずもがなの幼い質問ばかりするかもしれませんがご寛恕のほどを・・・。掲句の梅は去年の実景ですが、この夏イノシシに思い切り掘られてどうやら、命終えたかもしれません。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 また、よろしくお願いします。
 「にぎわいぬ」でもいいが、文語体なので、「にぎはひぬ」と。上5で切って読むと、早春、梅がぽろりと咲いて井戸端に思わず人が集まった、という景でなかなか。