俳句クリニック 2008年1月後半分(ドクター:早瀬淳一)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。


ドクター早瀬の診断
2008年1月31日

風花や帰りて眼がね曇りゐる  重定克則(60代,男)
 宝塚句会ではお世話になっています。今日はあいにく出席できません。風花の句は難しいです。取り合わせの発想が乏しいのです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、お世話になっています。
 残念ながら、報告に終わっているのでは。風花と眼鏡で、何かいい世界が構築できそうですが...

(1)紅梅や鍬打ち捨てて歩み寄る  豊田ささお(70才以上,男)
 「風花や父母の遺せし・・」へのご診断ありがとうございました。「や」の切れがよくわかっていません。
(2)紅梅や阿波牛とおる畑道
 こんな具合ですが・・・宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)鍬打ち捨てて、がオーバーで、少しくすっとなる。紅梅が咲いているのに、初めて気がついたのだろう。その気持ちの動きがよくわかる。
(2)阿波牛が効いている。暖かい田舎道がよく見える。

(1)水仙や我意を通して独りなり  うさぎ
(2)冬銀河ひとしなみに落ちてきし
 窓の外、何もかもすっかり凍っています。宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)原因と結果。因果でつなげてはいけない。
(2)中6。リズムを整えたい。落ちてきたものもわからない。また、がんばってください。

(1)この恥骨そのあぶみ骨とかセロリ  汽白(40代,男)
(2)ゆうれいの海つめたいアセチレン
(3)妻はいま冬木もうじきはなみずき
(4)とめないでくれ風花をぬくもりを

 いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)確信犯だろうが、やはり恥骨は、脂っこすぎ。もう少し控えめな(?)骨のほうが、セロリと響きあうように。
(2)つめたいアセチレン、がうまくイメージできなかった。でも、冷たい海に漂っている憂愁のようなものは感じる。
(3)私もこんな風に感じることがあります(笑)。
(4)なにか身につまされる叫びのようなものを感じる。
 全体に、新しい試みのように感じました。

悠然と見するが美学水鳥も  文の子(60代,男)
 兼題が替わったことを知りました。週末に推敲しようと思っていましたが、土日とも殆ど時間が無いので、掲句を投句します。古文表示で伝わるのか、現代文表示の「悠然と見せるが美学水鳥も」が良いのか判りません。ご教示賜れば幸いです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 後者のほうがすっと読めるのでは。悠然と見せるのが美学、は作者の定義であり、俳句で定義を提示するのは避けたほうが。よほど意外なものでない限り、読者が見方を強制されるような気が。

芯立ちし葉牡丹鳥になりたくて  くらら(60代,女)
 クリニックは句会とちがって面が割れない。そこでちょっと冒険や、少しテレくさいのも出せる良さがあります。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 いいですね〜。冒険大賛成!
 葉牡丹が鳥になりたい、結構納得させられた。「芯立ちし」がしぶうまい。「我輩は脱いでもすごいレタスである」(塩見恵介)を思い出した。

大根のカゴはみ出してペダル踏む  えいこ(50代,女)
 毎日、寒いですね。診断参考になり、楽しみに読ませて頂いてます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそありがとうございます。
 はみ出すのは、大根では。「大根のしっぽカゴから暮れの道」くらいでは。

(1)風花や城の石垣城の松  北野元玄(60代,男)
 「風花」には悪戦苦闘中です。明日26日(土)BS2の俳句王国の題が「風花」、どんな句が出るか楽しみです。
(2)風花に同じ話を三度聞く
 これで少しものになって来たかなと。話は別ですが、玉白石さんの「なぜ訊くの神戸の空の・・」はよい句ですね。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)城のリフレインがややうるさいかなと思ったが、石垣や松がずーと続いている感じがして、まずまずでは。
(2)抽象的で、モノがくっきりと見えてこない。よって、イメージが結びにくい。

(1)会えば先ず風花のこと話しけり  仁(60代,男)
(2)二人して風花追って野に入り
 ドクター早瀬、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)どういう関係かわからないが、なにかいい人間関係に思える。
(2)野に入り、がいい。童心に返ったのだろうか、不思議な匂いの俳句。このまま、アリスの世界に入り込んで行きそう。

風花のゆきずりに買ふレモンかな  藤原有(女)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 レモンは秋の季語。が、スーパーで買ったレモンだろう、あまり気にならない。風花のゆきずり、というやや突き放した表現がおもしろい効果を出している。よろしいのでは。


2008年1月30日

(1)風花や博士論文最終章  菜月子  早瀬先生、お久しぶりです。よろしくお願いします。掲句は三段切れになってるんだと思いますが、他の言い方を思いつきませんでした。
(2)学食のハンバーグカレー野水仙
(3)釜揚げのうどんの幟寒の内

 食べ物ばかりの句になってしまいましたが、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 お久しぶりです。よろしくお願いします。
(1)三段切れまではなっていないのでは。動詞を使っていないのは、いい感じ。が、下5がやや硬い。「風花や博士論文終盤に」くらいで、少し動きをつけたら。
(2)大学構内の水仙、いかにもありそう。中8と字余りで、ごろが悪い。7文字のメニューを。
(3)ピタッと決まった感じ。はまり過ぎかも知れないが、俳句的風景。

梅さぐる 今日か明日かの ときめきよ  浅葉洋(70才以上,男)
 寒中お見舞い申し上げます。当地今年特に寒いせいか、中々梅が綻びません。いまか、いまかと待ち望んでいる様を詠みました。ご高批評を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 お気持ちはわかるが、ときめき、は入れないほうが。梅の硬いさまをさらりと詠んで、ときめきを出してください。

(1)母の文一文字ごとに星凍てる  茂(女)
(2)自画像やゴッホも聞いた冬怒涛
(3)冬の人終にまみえずノルマンディー

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)手紙の内容が哀しいような気がする。
(2)上5のおき方がおもしろい。ゴッホの故郷のオランダが面した北海に冬怒涛があったかどうかは別にして(笑)、ここまで発想が飛んだことに拍手。
(3)ノルマンディー、は冬は人が少なくさびしい土地のような気がする。不思議な読後感の句。

(1)おもむろに太りし髪膚冬木の芽  小口泰與(60代,男)
(2)夕月をそつと乗せたり薄氷
(3)ゆらゆらと暾の膨らみし冬木の芽

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)(3)冬木の芽の見立て。難しい漢字を使いすぎ。見立て自身もあまりおもしろくない。
(2)いわゆる、やりすぎ、の句。が、ここまで風流に徹すれば、ひとつの典型として、楽しいような気がする。

(1)風花や里行く郵便配達車  さくら(女)
(2)兄の忌や風花の中足早に
 宜しく御願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)いい風景だが、類句あり。
(2)忌の俳句は難しい。読者に感情を強制してしまうから。が、この句の場合、もう忌日の記憶も遠くなって、ただ足早に歩いていて、乾いた感じがしていいのでは。

風花や麻酔の残る糸切り歯  けいこ(60代,女)
 風花2句目です。よろしくおねがいします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 麻酔の気配で、かすかにしびれている歯。そこにかすかな雪の断片。思いを語っていなのにかすかな悲しみも感じる。佳句。

ながむれば幸せばかりサイネリア  kiriko(60代,女)
 先週の「もぐるカモ三角おお尻揃い踏み」ですが、「潜るかも三角お尻一 二 三」(いちにいさん)とはどうでしょうか?サイネリアの花言葉、快活、老人とか、彩り良く咲きそろいの園芸店、寒さも忘れます。老いてなお咲きたいです!宜しくお願いしますm(__)m
ドクター早瀬の診断と処方箋
 もぐるかも、が作者の気持ちをそのまま出してしまって、俳句として読みが広がらない。一二三はいいのでは。難しいですね。ふと、どこにもささやかな幸せがあるのかも。サイネリヤがいい。

(1)ひつまぶし食ひて寝る娘や冬日向  未知(50代,男)
(2)あんぱんに振らるる胡麻や春を待つ
(3)メール打つ指の動きや冬の虹
(4)地下街を巻き込んでゆく春の色
(5)出番待つピアノの椅子や風光る
(6)おかはりは三杯までや雪つぶて

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ひつまぶしを食って寝ているのが、何歳くらいの娘と想像するかで、読者ごとに違う読みができて、なかなか楽しいのかもしれない。
(2)ゴマも春を待っているよう。
(3)取り合わせが離れすぎ。両者の関係がつかめない。
(4)だんだん春物衣料が増えてきた。巻き込んでいく、がやや不自然。

風花の真ん中を行くバイク便  豊田ささお(70才以上,男)
 風花も結構むつかしい題材ですね・・独りよがりでない、でも自分らしい句のあり方をばいつも模索しているといえるほどのこともありませんが。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 風花にいくバイク便は、一つの切り取られた風景。が、風花は大量に降るものではないので、真ん中を行く、は無理がある。

(1)大寒の骸骨のいる準備室  玉白石(50代,男)
(2)風花やたばこ燻らす老教師
 よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)大寒と骸骨は、あまり見たことがない。ただでさえ裸(?)なのに、大寒で特に寒そう。滑稽感が出て、いいのでは。
(2)これはある、世界。ただ、昨今の禁煙ブームで、老教師に寂寞感はある。


2008年1月29日

(1)一九九五一・一七冬鴎  遊雲(70才以上,男)
(2)煌きはつらつらつらららりるれろ
(3)偽りのなき大寒の卵かな

 京都も今日は今冬初めての雪の一日でした。子供のころは運動場で雪だるまなど作れたものです。休みの日ならカメラをもって金閣寺へ急ぐところですが。雪の金閣、被写体としては上々だけど、俳句は難しい。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)575になっていることに感心しました。日付と冬鴎だけのつくり。が、多くを語っている。よろしいのでは。
(2)中7までは何とか。下5が...
(3)偽りのなき、が主観。読みを狭くした。

風花や石一枚の橋わたる  由佳(50代,女)
 初心者には甘いとのお言葉に調子に乗っての投句です。よろしくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 石一枚の橋、が抜群にいい。山あいの小さな清流がありありと眼前に表れてくる。そこに雪。佳句。

(1)風花は危険地帯にのみただよう  仁(60代,男)
(2)風花の片ひとひらの恋慕う
 ドクター早瀬、いつもご親切なアドバイス感謝してます。また今回のおしゃれな兼題「風花」に挑戦します。よろしくお願いします。
 はじめまして、 元玄さん お褒めいただきありがとうございます。なかなか思うような句はできませんが、これからもよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)風花と危険地帯はおもしろい。「風花は危険地帯に集まれり」
(2)風花と恋はつきすぎ。

(1)校長は下手な手品師風花す  沖人(70才以上,男)
(2)温泉を掘り当てたらし大冬木
(3)幅きかす都会育ちの寒鴉

 的確なご指導で楽しくやらさせて頂いております。今回も宜しく。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそありがとうございます。
(1)宴会で隠し芸でもやっているのだろうか。ほほえましい光景。が、近頃の社会情勢で、皮肉のようにも読める。
(2)本当かどうかわからないが、あまり見たことのない俳句。おもしろい。
(3)幅きかす都会育ち、が理屈っぽくなった。

(1)風花や大漁の澪引く船に  茂(女)
(2)風花や麒麟の耳のぴんと立ち
(3)銀世界あればこそ窓拭けり

 丁度風花が舞って参りましたので出句致します。ご指導お願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)これはこれで一つの風景。
(2)麒麟の耳はぴんと立っているので、そのままを詠むのは難しい。成功するときもあるが。
(3)銀世界があるから窓を拭くのだ、あまりつながりがないからおもしろい。

(1)尾の動き速めて池の鴨となる  えんや(70才以上,男)
(2)重さだけ布団に沈み猫眠る
(3)ど真ん中猫に盗られて置き炬燵

 24日の句評有難う御座いました。「鴨の尾の動き速めて池に入る」を推敲してみました。又、孫や猫の句はあまり芳しくないと分かっていても猫を飼ったゆえどうしても猫俳句になります(笑)宜しくお願い致しす。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 猫俳句自体がだめと言うことはないです。
(1)写生としては上々。うまいが、類句がありそう。
(2)重さだけ、が説明。
(3)これも状況を説明している。叙述するのではなく、おかしい光景をモノの提示で。

鉛筆も時計も雪も眠りけり  遅足(60代,男)
 この3つ取り合わせは生きているでしょうか?
ドクター早瀬の診断と処方箋
 雪の夜はいかにもこんな感じがする。とても静かな感じ。まずまずでは。

(1)夕暮れの日矢の強さや雪浅間  小口泰與(60代,男)
(2)霜からの風の強きや朝ぼらけ
(3)綿虫や榛名はやをら雲をのむ

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)夕暮れの日矢の強さや、はそれなりに鮮明な光景。類句はありそう。
(2)霜からの風、はやや意外だが、(1)でもここでも強き、を使いすぎ。
(3)榛名、の地名にイメージがわかない。

(1)折れ曲がる屏風の松や冬座敷  未知(50代,男)
(2)初湯にて尿してをりし嬰子かな
(3)母よりか携帯電話とるイタコ

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)屏風と座敷が同じような言葉。
(2)嬰子なのでほほえましい。俳句ではいいのでは。
(3)最後にあっと言わされた。漫画的で、爆笑もの。母よりか、ガキになるが、この展開にはまいりました。

年新た 雪も新たに 風の花  落雁(50代,男)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ふつうは分かち書きしません。
 繰り返しが成功するときもあるが、新た、を2回はまずい。雪も新たが、風の花の説明。雪と少し違うものを詠んでみてください。

(1)風花やあいつに嘘をつきたい日  遊雲(70才以上,男)
(2)1時間待っても来ぬ奴風花す
(3)風花や子犬と子供と青空と

 もう長浜では「盆梅展」が始まり、一昨日は初弘法で大寒、明後日は「初天神」、 後10日で立春。今日は東京では雪とか。冬やら春やらごっちゃになって季語が豊富。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)風花との感懐としてはまずまず。好意的な嘘にも思える。
(2)やや平凡。
(3)いっぱい出てくるが、なぜかすっきりした読後感。動詞がないせいか。よろしいのでは。

(1)風花やひとりあやとりひもは赤  ポリ(50代,女)
(2)家族写真の木枠飴色冬うらら
 アドバイスありがとうございます。今回もよろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)最後の展開がいい。風花にあやとりもいい感じ。
(2)これも、多くを語っていないのが、俳句的効果を出せた。


2008年1月28日

(1)風花や木々に集まる鳥の群れ  あかね(50代,女)
(2)初咲きの水仙一輪日溜りに
 水鳥では取り合わせが苦しい評でした。ありふれてなくて取り合わせのいいのがなかなか難しいですね。今回はいかがでしょうか?
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)風景に新しみがない。変でもあれっと思わせるような切り取りを。
(2)日溜まりに、が説明で不要。ここは取り合わせを。

(1)風花や風林火山の旗指物  玉白石(50代,男)
(2)風花や女聲合唱「流浪の民」
 よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)風林火山の旗指物、は少しおもしろいが、状況がややわかりにくい。読者が想像したらいいのだけど。
(2)風花に女声合唱はいい感じ。この曲は知らないが、これも、歌を想像できて楽しい気がする。

(1)風花やぶらりと入る古本屋  せいち(60代,男)
 「風花」に付けただけの机上句ですが。
(2)強東風に舫いを直す太き腕
(3)擦り歩く母の手を引き春を待つ

 宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)このくらい、さりげなく詠んだ方が読後感はいい。いい取り合わせでは。
(2)太き腕、が句をよく引き締めている。
(3)擦り歩く、がよく効いている。全体に安定した詠みぶりで、安心して読めました。

(1)大根引ノッペラボウがやってきた  文の子(60代,男)
 「ポケモンのノッペラボウや大根引」を推敲しました。
(2)嫁ぎゆく娘とふたり雪の朝
 「白無垢に身をつつみし娘(こ)雪の朝」を推敲しました。
(3)紅梅や「角がとれた」と言はれける
 「角が取れる」が現代文表記の慣用語なので、掲句にしてみました。如何でしょうか、宜しくお願い致します。1/20のご診断を見逃していました。「子らまろび烏戯(からすざれあふ)れあふ雪の原」です。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ノッペラボウのポケモンもいるのだろうか。よくわからない。
(2)日記として。
(3)「角がとれた」と言はれける、が意外とおもしろくない。紅梅との取り合わせはまずまず。

大寒の蹠に潜む老いの影  雅(50代,男)
 足先から老いることを実感したときにできた句ですが、分かりにくいでしょうか。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 これは、その人自身ではないと、実感がわかないでしょうね。同世代には、共感を呼ぶかも。

(1)指揮棒に一心集め寒昴  茂(女)
(2)大寒の緞帳遅々と降りにけり
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)寒昴との指揮者の位置関係がわかりにくい。野外なのか、室内で外の昴を想像しているのか。
(2)大寒と緞帳は意外な取り合わせで、成功しているのでは。大寒を実感させてくれる。

(1)風花や鞍馬天狗の刀傷  沖人(70才以上,男)
(2)山茶花のよく散る家や九官鳥
(3)先生と呼ばるる人と花菜摘む

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)風花と鞍馬天狗はつきすぎのような気がするが、刀傷がおもしろい。マンガのシーンのようになった。
(2)山茶花のよく散る家や、がうまい。なぜかその家だけよく散るように見える。理由がわからないだけにおもしろい。その家に九官鳥が散らしているようにも。

(1)風花や風を離るる時消えて  遅足(60代,男)
 消えて、という言い方に?を感じています。どこか消化不良ではないでしょうか?
(2)風花や風を離れて消えにけり
 これも、説明みたいで・・・、もっと飛躍した方が良いのでしょうか?よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 そうですね。どちらも風花の説明になっている。つまり、書いてあることは季語の中に織り込み済み。風花の意外な一面か、風花や、としていい離れ具合のものを持ってくるかですね。

(1)穏やかな風に日差しや寒牡丹  小口泰與(60代,男)
(2)枯草に駆け込む雉や空真澄
(3)風花や利根の流れのゆつたりと

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)平凡。
(2)駆け込む雉に、動き、何かいとおしさ、を感じる。まずまずでは。
(3)平凡。

風花の中へと母を見送れり  けいこ(60代,女)
 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 寒いが、風花のせいでいい親子関係に思える。が、なにかもの足らない。

(1)冬山の星を背負ひて巨人来る  未知(50代,男)
(2)ペチカ燃ゆかの満州の日の暮れて
(3)風花やメールに添へて宴の席
(4)雪うさぎ柔き眠りの児童館
(5)冴へて鶏木の上に眠りけり
(6)春風のくすぐりはたる赤子かな

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)巨人伝説の句。ジャイアンツではない(笑)。豪快で、気持ちのすっとする句。佳句。
(2)これも、かつての旧満州の寒さをしのぶ、共感を覚えた。
(3)後半がわかりにくい。
(4)個人的には、「深き眠り」のほうが好き。

(1)風花や空耳に聞く母の言  豊田ささお(70才以上,男)
 70歳をすぎてから、しきりに、母に対してしてきたことの責めがつのります・・・これも先がないことの証左でしょうか?ま、俳句が支えになっていますが・・
(2)風花や谷の田んぼに立ち尽くし
 「水鳥」を詠むときいつも黄金色に輝く朝の池を思い浮かべていました。ただ、それをどう表現するかがわからないままになっています。これはしばらく横へ置いて、次の課題に行きたいと思います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)風花と空耳はやや近い感じがする。思いが俳句にで過ぎているのでは。
(2)こちらのほうが、思いが出ていない分、いい。ただ立ちつくす諦念。


2008年1月27日

さらさらと 気まぐれに降る 時雨かな  落雁(50代,男)
 さらさらととするか、 あるいは、大寒や気まぐれに降る時雨かな、とするか、いずれのほうがよろしいでしょうか?
ドクター早瀬の診断と処方箋
 普通は分かち書きにはしません。
 「さらさらと気まぐれに降る」は季語を説明しているだけなのです。「大寒や気まぐれに降る時雨かな」は、大寒と時雨を「季重なり」といって2つの季語は入れてはいけない。
 「小夜時雨上野を虚子の来つつあらん」(子規)のように時雨ともうひとつは違うものを詠むか、「鍋にすぐ火のきいてくるしぐれかな」(万太郎)のように時雨の新しい発見を詠みます。

(1)風花や見返り求めなくなりし  山法師(女)
(2)毛皮着し臍出しルック前闊歩
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)その心情に共感しました。季語との離し加減もいい。
(2)報告。伝えたいという気持ちが前面に出すぎ。突き放して詠んで、読者にゆだねることが必要。

(1)御降りに狭き島国分かれけり  けんじ(70才以上,男)
(2)小雀の遊ぶ陽だまり水だまり
(3)年新た昭和も過ぎて20年

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)御降りが降っている地域と降っていない地域に、この狭い日本もきっぱりと分かれている。視点はおもしろいが、理の方へ行ってしまった。
(3)昭和も過ぎて20年、は「平成育ち成人に」とかよく出てきそう。

お茶托の漆絵拭う春隣  茂(女)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 春が待ち遠しい季節。明日に心楽しい来客がある。そのために静かに茶托を磨く。いい春隣。が、調和しすぎか。

(1)割けて樹のしずけき白さ冴え返る  文の子(60代,男)
(2)薄き日や野の眠りゐて紅梅花
(3)若者のよちよち歩き薄氷

 1/21のご診断拝読しました。「バーが高いほうが投稿しがいがあるかなと思いまして。」良く判りました。週末にじっくり推敲します。掲句は推敲が足らないと思いますが宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそよろしくお願いします。
(1)割けて、静か、白い、冴える、と形容が多すぎる。読者がイメージを鮮明に結べるように、句の形容は1つにしてシンプルに。
(2)三段切れのようになった。野が眠る、と紅梅は季重なりか。
(3)ジーンズをお尻までずらして歩く若者であろうか。であれば、薄氷はおもしろい取り合わせ。少し意味はわかりにくいが、チャレンジ精神に拍手。

(1)風花や露天湯ことににぎやかに  さわくるみ(60代,女)
(2)雪催カラザしぶとき卵かな
 「風花」は大好きな季語ですが、むずかしいです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)風花に露天湯は思いつきそう。が、風花が舞って喜んだ子供がわいわい言っていそうで、楽しい雰囲気は出た。
(2)カラザしぶとき卵かな、がうまい。取り合わせもいい。「風花や」でもよさそう。佳句。

(1)白鳥の背(せな)に童話が乗っている  北野元玄(60代,男)
(2)枯れ枝のひとつにひとつ詩が芽生え
 上2句はいつもと違ってメルヘンチックでしょう。前回白鳥の悪口を言いましたので、今回はお詫びの気持ちを込めて・・。次から風花を詠みます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)白鳥に童話はやはり予定調和では。いわゆるイメージが近い。
(2)中7は「ひとつひとつに」のほうがすっきりした感じに。俳句に俳句や詩を詠むのは難しいし、禁じ手に近いが、枯れ枝で少し救われた。

(1)大寒にショートカット少しだけ  kikumi(60代,女)
 風邪気味でしたが、やっ回復、先ず身だしなみ〜
(2)ぽとり落つわたし山茶花ひらひらり
 山茶花と椿の見分け方ですが、山茶花の方が華やかな様で?
 お世話になります。もぐるかも、、、ご指摘有難うございます。展開がいつも足りません。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ。
(1)大寒とショートカットはいい取り合わせ。少しだけは説明。中六で字足らず。「や」で切る。「大寒やショートヘアーを選択す」
(2)自分が山茶花になった気分。とぼけた味があって、これはこれで。

(1)雲冥き津軽平野や冬の晴  未知(50代,男)
(2)海鳴りや干鱈炙りて花かるた
(3)冬日向転べば諸手つくかたち
(4)雪降るや柔き眠りのかたまりて
(5)おにぎりを頬ばってをり雪の山

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)雲冥き、と、晴れ、はやはり一致しないのでは。
(2)いい匂いがしてきそう。日本酒でいっぱいやりたい。
(3)転べば諸手つくかたち、が俳句的表現。何の変わったこともいっていないが、何か、おかしい。

(1)赤城より太き風あり日脚伸  小口泰與(60代,男)
(2)抜きんでて中天近き雪浅間
(3)残照の噴煙伸びし初浅間

 早瀬淳一先生、ご親切なご指導感謝申し上げます。早速ですが「瀬頭に刃の氷柱光りけり」を「瀬頭の氷柱光りて空青し」と推敲いたしました。よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 推敲でずいぶんよくなったと思います。
(1)伸ぶ、の「ぶ」はいるのでは。太き風、が発見。日脚伸ぶ、とも響いてこの季節をうまく表した。佳句。
(2)ややオーバーな中天近き、成功しているように思える。
(3)「残照の噴煙」が省略が効いていて、うまい。今回は写生の切れがよかったのでは。


2008年1月26日

(1)せぐくまる背に一声寒鴉  しんい(女)
(2)風呂吹や言葉少なに男主
(3)愛犬と歩を合はせゐて枯野道

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)せぐくまる、がわからない。
(2)男主、がややなじみのない言葉。男の店主か。風呂吹きはいかにも無口に食べそうな気はする。
(3)枯野道を行く、いい風景。一度枯れ野を歩いてみたくなった。

(1)雪景色切り裂くように鴉とぶ  豊田ささお(70才以上,男)
(2)風花や父母の遺せし田畑に
 いまだに、見たままから抜けられないでいます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)雪景色を切り裂くようにとぶのは、寒鴉の中に織り込み済みでは。
(2)風花と亡き父母も近いが、田畑で少しいい感じになった。田畑に、だから「や」できるのはおかしい。「風花は」では。

そこまでの春を迎えに天神さん  うさぎ
 インデアナは氷点下ですが、テレビのニュースですが熱海の梅便りが届きました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 インディアナ州とここ神戸がつながって俳句の話をするというのも、おもしろい。天神さんは行ったことがないが、毎25日、北野天満宮で行われる骨董市。この場合は、1月25日か2月。道真公も春が待ち遠しい。さりげない、いい句。

幽かでも 梅一輪の かぐわしさ  浅葉洋(70才以上,男)
 やっと待望の梅が、一輪ほど咲きだしました。宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 お気持ちはとても伝わる。梅がほころんだときは、思わず鼻を近づけますね。が「かすかでも」「かぐわしさ」を言わないで、読者にそう思わせる、淡々とした詠み方をしたい。

(1)忽然と雪雲わきし榛名かな  小口泰與(60代,男)
(2)明六つの寒鯉定か跳ねにけり
(3)遠山の襞に影あり寒烏

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)榛名という地名になじみがないので、イメージがわきにくい。
(2)定かというのは静かなイメージ。そこに、跳ねにけり、とくるとイメージが分裂してとらえにくい感じ。
(3)襞に影あり、がよく見ている。確かな写生。

(1)大根を大人買いする母はウルトラ  月虎
(2)大根やあしのメンソレタームてかっ
 アゴラ先生、こんにちわ。ちょっとからくちの先生のコメント、いつも楽しく拝見しています。わたしのはちょっとあまくちで、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ありがとうございます。
(1)大人買いは、「幼少期に出来なかった購入(コレクション)に対する夢を、大人になり、経済力がついてから果たす購入の仕方をいう。」へ〜、初めてこの言葉知りました。この場合は、大安売りの大根をがばっと買った母。それをウルトラとはおもしろい。
(2)「てかっ」がいい。大根と足のつきすぎは、確信犯か。

(1)恋ひ恋ひて南天の実の淋しさよ  未知(50代,男)
(2)絶えず湧く水の力やお松明
(3)家並みの格子の古るる淑気かな

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)恋ひ恋ひて、が誰が何を恋しいのかよくわからない。南天の実が淋しいのは、はっとするとらえ方。
(2)湧き上がってくる水の清明さを照らす松明の火も清らかに見える。よろしいのでは。
(3)淑気のとらえ方としては、秀逸。ありきたりでもないし、はずれすぎてもいない。ぴったりという感じ。
 今回は全体に、ぴたりと決まる感じがしました。

(1)笹鳴きやきりりと睨む虚空かな  合(女)
(2)風花や眉間に残す若き日々
(3)会津っぽ無料サービス寒卵

 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)虚空、が読後感をぼやけたようにしている。きりりと睨む、は作者の気持ちが読めてよろしいのでは。
(2)残す、だからもう若くない。しかしとても美しい眉間に見える。風花がよく効いているよう。
(3)キャンペーンのための無料だろうか。いかにも滋養に富んでいそう。会津っぽ、もおもしろい入り方。全体に楽しく読みました。


2008年1月25日

なぜ訊くの神戸の空の冬晴れに  玉白石(50代,男)
 よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 神戸も、広島のような地名になったのでしょうか。何か悲しい感じが漂う。なぜ訊くの、が何をだれが聞いているのか、もう少し手がかりがほしい。

(1)荒海に心鎮めよ野水仙  茂(女)
(2)雨霰言葉の壁に二胡しみる
 昨日は寒いとしか言いようのない日でしたが二胡の演奏会に行ってきました。中国人の指導者と日本人司会者の奇妙なやり取りを聞いて思いついた句です。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 温暖化、がいわれる中、寒さは喜ばなくてはいけないのでしょうね。しかし、私は一番好きな季節は夏。
(1)よ、との呼びかけだから、水仙に心鎮めよ、といっている。水仙は、いつも心静かのように思えるが。
(2)作者が表現したいことがいっぱいありすぎるように思える。読者には伝わってこない。

(1)横柄は白鳥あっち向いてフン  北野元玄(60代,男)
 白鳥は意外にものに動じない、可愛げのない鳥です。
(2)ヘラサギ来る人の名がまた出てこない
 変ですね。ヘラサギのくちばしを見ていると茗荷を思い出すような。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「横柄」と「あっち向いてフン」は同じ。上5を工夫したい。
(2)ヘラサギで、名前を忘れるのは何かおかしい。おもしろい。「ヘラサギ来る人の名前が出てこない」

(1)冬晴れや腹のそこまで深呼吸  悠(70才以上,女)
(2)雪の球投げし小川に浮きしずみ
(3)ランナーへ応援の旗寒の雨

ドクター早瀬の診断と処方箋
(3)これが一番わかりやすく、自然な写生でよろしいのでは。
(1)腹のそこまで深呼吸、はあたりまえ。おやっと思わせる表現がほしい。
(2)何が浮き沈みか、わからない。

(1)病む妻に買ひたる林檎日脚伸ぶ  未知(50代,男)
(2)雪降りていまだ木になる林檎かな
(3)寒晴や林檎を齧る夜叉の舞
(4)折始浮き立つ紙を押へつつ

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)日脚伸ぶ、がよくあっている。いい世界。少し格好よすぎるが。
(2)好きな句。木になる、だから、この林檎は木ではなくて果実。それがしきりに木になろうとしている。雪の降るときは。とても、不思議な感じがして、詩的なものがある。
(3)状況がわかりづらい。
(4)折始がわからない。

初雪や薄化粧して街明り  しんい(女)
 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 初雪で街が薄化粧、というのはあまりにそのまま。が、この場合は、や、で切っているから薄化粧は作者か。少しわかりにくい。街明かり、はいい言葉。

(1)竹馬の先頭は兄川渡る  はるを(60代,男)
(2)獅子舞の胴千切れんばかりなり
(3)早梅のほつほつつるしびいなかな

 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)懐かしい感じがして、まずまず。だれもが共有している郷愁をさらりと描いた世界。が、類句もありそう。
(2)「せんぎれん」なら、言葉がなじまない。「ちぎれん」なら、字足らず。「獅子舞の胴の千切れんばかりなり」として、ちぎれん、と読ませては。獅子舞の様子をよく写している。
(3)吊るし雛と書いて「つるしひいな」、でいいのでは。季重なりだが、この季節の雰囲気は出ている。梅がほつほつ、はよくある言い方。

(1)日向ぼこ靴下を嗅ぐなんとなし  千坂希妙(50代,男)
(2)酒飲めばおかしくなる人日向ぼこ
(3)アスファルトじかに少女ら日向ぼこ
(4)この人は前の旦那よ日向ぼこ
(5)幸せは日向ぼっこの放屁かな

 日向ぼこ5連発、ちょっと臭いでしょうか。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 確かに少しにおいますね。俳句はあまりに雅にいってもおもしろくないし、しもに落ちすぎもだめだし、難しいですね。
(2)たいていの人は、いい意味でも悪い意味でもおかしくなるのでは。
(3)これが、現代の風俗を乾いた感じでさらりと描いていて、秀逸。
(4)日向ぼこで、このセリフをいえる女性はすばらしい。いまでもいい関係が続いているよう。


2008年1月24日

大いなる黄金(きん)の延べ板朝の鳰  豊田ささお(70才以上,男)
 木偶回しの句へのご教示ありがたく・・やっぱり説明に終わっていますね・・いつも「言われて気がつくなんとやら・・」です。水鳥の句もそろそろおしまいにしようかなと・・・
ドクター早瀬の診断と処方箋
 そろそろ次の題をお出しします。  大いなる、とあるので延べ板は実物ではない、湖か池の輝いている様子。朝の湖面の形容としては迫力があり、成功しているのでは。「朝の」はわかるので、「大いなる黄金の延べ板鳰(かいつぶり)」では。

(1)寒烏八犬伝の八剣士  玉白石(50代,男)
(2)口開く鰐の剥製冬銀河
 よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)八犬伝の八剣士は唐突に出てきておもしろい。八犬伝を詳しく知らないせいか、寒烏との取り合わせが、いまいちぴんとこなかった。 (2)鰐の剥製が冬銀河をぽっと吐いたようでおもしろい。こちらは取り合わせとしてばっちりでは。今回は、楽しく読ませていただきました。

(1)タイガーという名の猫や春炬燵  茂(女)
(2)初鼓はっと深空に息をかけ
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)いわゆる「猫俳句」。このくらいの名前では驚かない。また、猫に炬燵は..... (2)「はっと深空に息をかけ」がうまい。澄んだ深空とピーンとした空気がとても感じられて、佳句。

(1)桶蓋の上に萎えたる大根かな  えんや(70才以上,男)
(2)牡蠣飯の匂ひお焦げの隙間より
(3)松過ぎて三日続きの娘の茶漬け

 いつも適切な句評嬉しく存じます。駄作三句宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 そう言っていただいて、うれしいです。
(1)写生としてまずまず。素朴な俳句的風景。
(2)「隙間より」が説明だが、これも食べ物俳句としてはまずまず。「お焦げ」がいい。とてもリアル。
(3)日記として。
 全体におとなしい静かな雰囲気でいいですが、ややもの足らない感も。

(1)寒月やほうとう鍋の太饂飩   鈴木 勇平(70才以上,男)
(2)霜降りてダイヤに化けて消えにけり
 初めての投句です。(2年目の初心者)お願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ。
(1)ほうとうなべ、初めてネットで写真を見ました。今日(20日)のような寒い日には、特においしそうに見えますね。寒月との取り合わせだが、ほうとう鍋には太饂飩が定番なので、俳句としてモノ足らない。
(2)霜の形容としては、ダイヤは少しいい感じ。が、キラキラするものとして想定内。いろいろチャレンジしてみてください。

(1)地球にも 初日のエール エコのうた  木口 孝子(60代,女)
(2)地球への 初日が詠う エコの譜を

ドクター早瀬の診断と処方箋
 地球とエコが出てくると、どうしても理屈でつながってしまい、道徳の匂いがしてしまう。それでは、俳句がやせてしまう。
 それと、よほどの意図がない限り、分かち書きはしません。
 何か、身近なふっと気になる「モノ」を詠んでみてください。

水鳥の岩を濡らして争へり  はるを(60代,男)
 はじめまして、はるをと申します。よろしくご指導下さい。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 はじめまして。よろしくお願いします。
 「岩を濡らして」がリアル。モノをよく見た俳句。水鳥がただ浮かんでいるのではなく、争っているところに、俳句に力が出た。


2008年1月23日

(1)桜草アンパンマンを知ってるかい  玉白石(50代,男)
(2)大口を開けた大鰐春の風
 よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)桜草とアンパンマンはほんわかとしていい感じ。知ってるかい、がうーん。たいていの人が知っているのでは。 一工夫。
(2)大鰐と春の風はぎりぎりセーフのいい取り合わせ。もう少しでつきすぎ。

(1)蝋梅や産地直送便と書く  沖人(70才以上,男)
(2)寒林や吾の前世を知る小径
(3)水鳥や四条大橋阿国の像

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)蝋梅のころの直送便は何だろうか。中身は想像できないが、書いているマジックのさらさらという音が聞こえてきそうな、リアルな感じがする。
(2)意表をつかれた。他の小径ではなく、この小径こそが我が前世を知っている。理由はわからないが、何となく納得させられる。
(3)三段切れのような、ぶつぶつ切れた感じになった。

水鳥と話し始める”ぐりとぐら”  さくら(女)
 いつもアドバイス有難うございます。「水鳥と話し始める女の子」を推敲、絵本の世界にしてみました。少し跳びすぎたかも・・・
ドクター早瀬の診断と処方箋
 知らない人には、何のことかわからないでしょうね。でも、いかにも話しはじめそうなぐりとぐらで、いい世界ではないでしょうか。

(1)水鳥や音符のごとく堰の上に  岬(女)
(2)水鳥や点字のごとく鴨川に
 ユニークな添削有難う御座います。橋の上から見たまま素直に詠みました。添削楽しみにしています。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそありがとうございます。水鳥の比喩として、どちらがいいか。音符はいかにもありそうなので、点字のほうがやや意外。が、点字も想定内。や、で切るのも意味のつながりがおかしくなる。また、チャレンジしてください。

(1)水鳥の脚を急かせる水の下  未知(50代,男)
(2)水鳥の子育て日記付けてをり
(3)水鳥や十三の湊の富士見橋
(4)寒雷や過去に戻して呉れたまへ
(5)蒼穹に牙をむきたる樹氷かな
(6)水鳥の水なるまでの時間かな

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)誰しも思いそうなこと。
(2)本当かどうかは別にして、とぼけた、いい味を出している。俳句的雰囲気。
(4)寒雷との感慨としては少しおもしろい。思わず共感してしまった。
(5)牙をむく樹氷がありきたり。
(6)水なる、がわからない。

(1)冬帽子かぶり直してミスドまで  ポリ(50代,女)
(2)メロンパン片手に携帯かいつぶり
 いつもわかりやすく教えていただきありがとうございます。「水鳥」を入れるはずが「かいつぶり」になってしまいましたが、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ミスドに行くのに、わざわざ帽子をかぶり直しているところに少しおかしみがある。ミスド、マクドなどの言葉を認めない人もおられるが、私はどんどん使ってもいい主義。残らない言葉、句は消えていく。
(2)メロンパンと携帯とかいつぶりがバラバラの感じ。

(1)春立や漢方薬を煎じをり  しんい(女)
(2)旅始たちはだかるは富嶽なり
 いつも有難うございます。(2)1/18診断頂いて、ミスパンチしており・・・宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)立春といっても1年で一番寒い頃。そこに漢方薬を煎じるのは、とてもいい世界。
(2)たちはだかる、が富士山を敵に回しているようで、読後感はあまり良くない。やわらかな、できればユーモアを誘う表現のほうが。

(1)酒旨し赤城颪に我育つ  小口泰與(60代,男)
(2)両裾をゆつたり据ゑし雪赤城
(3)山風にはなるる一羽浮寝鳥

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)赤城颪に育つ、というのはやや面白い。「旨し」は言わない方が。
(2)平凡。
(3)山風が説明になった。1羽だけ自然と離れていく水鳥は、胸を打つものはある。

叫びたきこともあるかや水鳥も  れい(70才以上,女)
 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 うーん。水鳥になりかわっての作者の心情。この場合、俳句としてはあまり面白くない。連想がありそうなものだから。

(1)冬の虹大草原の馬に降り  茂(女)
(2)日のあたるダンプのお札冬の朝
(3)悪筆のいまさらながら山笑う

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)なかなか豪快でよろしいのでは。意表をつかれた。「降り」がうまい。
(2)「ダンプのお札」がわからない。
(3)この手の自嘲は俳句ではいいのでは。山笑う、もうまくあっている。季節、飛びますね。私も早くこの季節になって欲しい。


2008年1月22日

(1)闇下りぬ早や帰りませ白鳥よ  草子(60代,女)
(2)耐震化住宅のはず柚子の風呂
 特に雷混じりの荒れ日は家族も早く帰宅して!と思います。地震への準備はどこまでしておけばいいのか・・・?よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)優しい気持ちはわかるが、「早や帰りませ」は俳句では極力言わない。白鳥を突き放して詠まれた方が。
(2)耐震化住宅、が社会的な言葉で、俳句ではやや意外でおもしろい。のはず、がかすかな不安感をうかがわせて、すこしくすっとなる。

(1)水鳥の朝は黄金の国に住み  豊田ささお(70才以上,男)
(2)水鳥や両手で包む缶コーヒー
 「水鳥や・・」と取り合わせを考えてもイマイチありきたりから出られません。こんなところで、いっこうに飛べませんが・・・
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「こがね」と読む。「黄金の国」がわかりにくい。読者がいろいろ想像したらいいのだが、もう少し手がかりがほしい。
(2)水鳥を見ている池のまわりの、しーんとした感じがよく出ている。両手で包む缶コーヒー、がさりげないがうまい。佳句。

まふらあは風つかまえて花屋まで  くらら(60代,女)
 投句して画面に載ったのは5日後、わぁ〜すごい順番待ち!
ドクター早瀬の診断と処方箋
 行列のできる俳句クリニック。情景はやや平凡だが、まふらあ、の表記が効いている。気分のいい句になった。

(1)浮き寝鳥老後は物を捨てながら  せいち(60代,男)
(2)冬ともし親に見る吾が老いの影
 宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)老後は、死んだ後の整理になるために物を少しずつ捨てていく、という少し寂しい心情に共感。浮き寝鳥の静かさがよく合っている。佳句。
(2)親に見る吾が老いの影、は誰しも思うこと。

(1)知る人に会うこともあり鳰の川  北野元玄(60代,男)
(2)ざっくりと背中のぞかせ真雁来る
(3)昏れ初めて水鳥の声かしましく

 上3句ともに単なる写生句です。当地にも一級河川があり、いろいろな水鳥が棲んでいます。大白鳥も鳰(かいつぶり、にお)も見かけます。しかし、これまで一向に> 私の俳句的食指はそちらには動かず、ただボーっと見ていただけでした。水鳥の題が出されたのを幸便に、これからはもう少し水鳥の俳句も作ってみたいと思っています。渡り鳥にロシア語をしゃべれと呼びかけている仁さんの俳句、とてもうまくて感心しています。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「も」がいい。鳰の川にはあまり人に会いたくない気分で来そう。が、人恋しくなるときもある。そのあたりの微妙な気分をうまくすくい取っている。
(2)ざっくりと背中のぞかせ、が大胆な表現。いままでない鴨で、よろしいのでは。
(3)報告。

(1)雲裂きし日矢の一刺し葱畑  小口泰與(60代,男)
(2)雄叫びのチワワの姿態すきま風
(3)瀬頭の刃の氷柱光けり

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)日矢の中に、雲を裂く、一刺し、の意味はすべて含まれている。日矢と葱畑だけでシンプルに。
(2)姿態は俳句ではなじまない。「雄叫びをしているチワワすきま風」状況がややわかりにくい。
(3)「光りけり」。瀬頭に木の枝が覆い被さっていてそこに氷柱が光っている。「刃」はいらないと思うが、とても景色をよく見た俳句。

学生の水鳥のよう眠りおり  れい(70才以上,女)
 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 学生と水鳥はおもしろい。いっそ「がくしょう」(仏典を学習する僧)として「学生(がくしょう)の水鳥のごと眠りをり」

もぐるカモ三角おお尻揃い踏み  kikumi(60代,女)
 見たままですがm(__)m。長居植物園の池のかも、冷たくないか問いながら、眺めていました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 かもは羽毛で完璧に水をはじくので温そうですね。もぐる、揃い踏み、が説明。カモの三角のお尻はいいので、もう一工夫。

(1)大震災何事もなし蓑虫に  千坂希妙(50代,男)
(2)降る雪やイエスはイエス我は我
(3)煙草に火つけておくれと雪をんな
(4)水鳥と見しペットボトルが流れ来る
(5)降る雪やイエスはイエス我は我
(6)煙草に火つけておくれと雪をんな

 前回の「ミラ」は猫の名でしたが独りよがりを痛感しました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)何事もなし、が説明。震災忌と蓑虫だけでシンプルに。
(2)イエスはイエス我は我、という感慨は、読者には意外におもしろくない。独白ではなく、モノの発見を。
(3)雪女の意外な一面、おかしさの発見の試みに拍手。今回はあまり成功ではないと思いますが、チャレンジを。

(1)境内の蝋梅雨に顔伏せり  しんい(女)
(2)蝋梅の芳香ほのかに朝の雨
(3)和紙の里蝋梅の香を散り敷けり

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)(2)残念ながら報告。
(3)蝋梅の香を散り敷けり、が俳句的把握。和紙の里、と提示するのではなく、和紙が蝋梅の香を敷いている、とした方がおもしろい。

(1)天高し丘に坐れば地球かな  未知(50代,男)
(2)凧の空船は沖行く日本海
(3)新春やうすむらさきの街明けて

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)秋の季語ですね。丘に座れば、地平線が丸く見える。想定内。 (2)「凧の空」がこなれない表現だが、凧でいっぱいの空の感じはする。凧と沖の船だけでシンプルに作った方が。


2008年1月21日

(1)大鍋に鶏がらたぎる去年今年  うさぎ
「去年今年冷めたスープを温める」の推敲。診断は「 少し驚きがほしい」でした。
(2)初鏡発光してる女の子
(3)松過ぎの若狭塗り箸なまたまご

 これでお正月の俳句はお仕舞い! 宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)たぎっている鶏ガラが、何を作っているのかなと思わせる。料理に暗いので、だしとしては当たり前かもしれないが。
(2)少しおもしろい表現。個人的には、「している」を「してる」とするのに抵抗がある。「発光をはじめる少女初鏡」
(3)なまたまご、がやや意外。が、状況がつかめない。

(1)水鳥や点々として一声上ぐ  岡野 直樹(40代,男)
(2)水鳥を眺めて走る白き息
 無理やりかなと思いつつ。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)平凡。
(2)息が走る、というところがやや新しい。ただ、水鳥を見ながら、息では意外性がない。おやっと思わせるものを。

(1)月冴えて灯の落とされし児童館  沖人(70才以上,男)
(2)水鳥の赤組白組ありにけり
(3)なぜぼとけ寒九の水の光りたり

 ドクター 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)児童館はいい句材。月冴えてで夜はわかるので、灯の落とされし、は繰り返しになる。
(2)おもしろい。戦ごっこを今からしそう。
(3)なぜぼとけはわかりにくいので、撫ぜ仏としたほうが。寒九は、寒に入って九日目。やや難しい言葉が使われすぎ。

(1)夕星のややに揺れゐて梅白し  文の子(60代,男)
 1/16のご診断有難うございました。今回初めて佳句を頂きました。ドクターのバーが高くなり、前回に比べ大幅にペースダウンです。掲句「夕星のなどか揺れゐて梅白し」を推敲しました。
(2)雪晴や葬列ながく延びゐたる
「雪晴れて葬に向かへる人の列」を推敲しました。
(3)夕星の発信梅の点りたる
(4)雪晴や白やはらかき柿右衛門

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 バーが高いほうが投稿しがいがあるかなと思いまして。
(1)「ややに」があいまい。もう少し、ズバッと。
(2)葬式なのに、雪晴れが美しい。長く並ぶ人の心をなぐさめてくれるよう。まずまず。
(4)雪晴れに柿右衛門が渋い組み合わせ。良くは知らないが、柿右衛門は白より、色絵が有名では。白もありますか。

昆陽池は水鳥会議開催中  栗太郎(60代,男)
 ドクター早瀬、ご指導ありがとうございます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそありがとうございます。昆陽池に水鳥は当たり前。意外なところに水鳥がほしい。会議開催もよく思いつくこと。人の思いつかないものを考えてみてください。

(1)あふれたるチワワのおもちや冬座敷  小口泰與(60代,男)
(2)冬耕に老いの一徹あらはなり
(3)明時のしじまを破る寒烏

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)チワワのおもちゃがあふれるとは、珍しい。冬座敷とは響き合いそう。まずまず。
(2)おいた父が、止めるのも聞かず頑固に耕している。あらは、が言い過ぎ。
(3)寒烏とはそういうもの。

(1)人恋ふる母のありたり雪催  未知(50代,男)
(2)歳月の畳まれてゐる小雪かな
(3)公魚の連れて日の出の岩洞湖
(4)氷瀑や水のかたちをそのままに
(5)姫始女身は滝に打たれけり
(6)雪降りて獣の目ある雑木山

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)この母は、かなりの老母で、普段あまり話し相手のいない人のように見える。雪催いで、寂しい感じが出た。
(2)佳句。歳月の畳まれてゐる、がうまい、とても俳句的表現。
(4)発見がない。
(6)冬でも雑木山には獣の目はあるのでは。

水鳥の水騒がせて澄ましたる  えいこ(50代,女)
 初めまして。兼題で始めて作ってみました。宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 はじめまして。よろしくお願いします。
 残念ながら、季語の説明です。最初のうちはよくやってしまいます。水鳥をよく見ているところはいいので、そこから少し見方をずらしてみてください。
「潜る鳰浮く鳰数は合ってますか (池田澄子)」


(1)冬の首伸ばす尼僧の片笑窪  茂(女)
(2)嫁ぐ日の長き睫毛や春の雪
 モンサンミッシェルの礼拝堂で高い燭台の蝋燭を消している修道女の仕草がとても美しかったです。宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)首を伸ばす尼僧はおもしろい。が、首伸ばすか、片笑窪か、どちらか一方にすべき。「首伸ばす尼僧が一人冬の朝」
(2)嫁ぐ日は睫が長く見えるのは、発見。作者の心情が読み取れる。

松の内家伝の柚子巻き教はりし  豊田ささお(70才以上,男)
 松の内もあっという間に・・柚子巻きは柚子を芯にした大根巻きのことですが、もう一つ中八になりました。題材に無理があるでしょうか?
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「家伝」だから「教わる」は同じことを言うことになる。「柚巻き」は季語なのかよくわかりませんが、季語なら季重なり。「柚巻きを教わっている日の暮れて」くらいで、いかが。

(1)寒梅や墨痕湿る朱印帳  しんい(女)
(2)冬の梅鎌倉の空透りたり
(3)日脚伸ぶ日矢露座仏の膝のぼる

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)寒梅の頃、寒く、霧で空気が湿った雰囲気は出ている。俳句として、一番できている。
(2)空が透るのは、当たり前では。
(3)日矢露座仏の膝のぼる、雰囲気は暖かくいい。が、日脚伸ぶ、で日矢は同じことを言っている。


2008年1月20日

(1)初御空顎突き出してピカソ展  草子(60代,女)
(2)神木の古りにし瘤や寒に吼え
 いつも的確な診断をありがとうございます。(1)新春の美術展に行ってきました。(2)過疎となった村を訪ねたとき目にした。大きな神樹の存在感ある瘤が忘れられず句にしました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそありがとうございます。
(1)ピカソを見ていると顎が突き出てくるところに、実感がある。よろしいのでは。事実でしょうが、初御空、よりもっといい感じの季語がありそう。
(2)気持ちはわかるが、「寒に吼え」は言い過ぎ。さりげない季語の方が、読者に迫ってくる。

水鳥は指鉄砲の先にいて  由佳(50代,女)
 俳句初心者です。日常のワンシーンを切り取ることができればうれしいなと・・・
ドクター早瀬の診断と処方箋
 初心者の方には、つい甘くなってしまいます。
 「指鉄砲」という言葉はあるのでしょうか。指で鉄砲の形を作ったものだろうか。その先に水鳥がいる。少し子供に返って戯れている姿が、少しおかしい。

目を閉じて見つめ合ってる都鳥  うさぎ
 又は、「目を閉じて君を見ている都鳥」。昔、昔、隅田川界隈に暮したことがありまして、ユリカモメ、懐かしいです。宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 目を閉じて見つめ合う、というところが少しおもしろい。作者の心情が読み取れる。「合ってる」、がやや苦しい。文語で、「眼閉じ見つめ合ひたる都鳥」では。

(1)焼き芋と赤の矢印ラーメン屋  茂(女)
(2)ほろ酔いのセーターに揺れ黒真珠
 何時もお世話になってます。私の句はカタカナが多く困ります。良い方法、教えて下さいませ。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 カタカナおおいに結構では。
(1)ややわかりにくい。赤の矢印がラーメン屋を示しているのだろうか。その前で、焼き芋とラーメンで迷っているのだろうか。少し、おかしい。
(2)黒真珠が物語を生みそう。

(1)子らまろび烏戯れあふ雪の原  文の子(60代,男)
(2)北風や下りとて腰上げつ漕ぎ
(3)ポケモンのノッペラボウや大根引

 3連休は所用と来客でつぶれ、大根に出会えませんでした。遅まきながら掲句宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)中が、「からすたわむれあふ」で大幅字余りでは。
(2)自転車を漕ぐか、何を漕ぐかわかりにくい。腰を上げるのは、登りの時では?
(3)ポケモンの大根引きはおもしろい。ノッペラボウがわからない。でも、全体に、いつもよりいろいろな試みを感じます。

アールヌーボー兄が大根を引く構図  北野元玄(60代,男)
 「ぜったい悔いがある」のぜったいはぜったい必要であると思っていましたが、なくても、あるいはない方がよいのかも知れませんね。ご指摘を感謝します。上句は小生の取って置きの大根俳句です。小倉喜郎さん好みに兄を持ってきました。次から水鳥を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 アールヌーボーと、大根を引く兄の取り合わせは何となくわかるが、「構図」がやや句を難しくしている。句の中に意味のつながりのねじれを入れずに、もう少し、つくりはシンプルに。

(1)寒暁を歩みて川や万歩計  小口泰與(60代,男)
(2)凍土やチワワの蹠温かし
(3)寒昴居住まひ正して居りにけり

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)文の構造的にやや入り組んでいる。と、寒暁、川、万歩計、と三段切れのようでは?寒暁に万歩計がぬっとやってくるとおもしろい。
(2)おもしろいところに目をつけられますね。が、位置関係がややわかりにくい。チワワは、作者の手のひらの上?
(3)中、字余り。

(1)大海の明け初む空の淑気かな  しんい(女)
(2)歌留多読む声ととのへて飾りけり
(3)ゆるやかな秩父連山初日影

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「初む」は下2段活用なので、連体形は、「初むる」。字余りになりますね。淑気とはそんなものなので、意味的にも苦しい。
(2)何を飾るか、具体的に提示したい。
(3)穏やかな初日影。秩父連山が力がある。

水鳥の翔って薄荷の風となる  穂波(女)
 ドクター早瀬、はじめまして。穂波と申します。句歴はほぼ一年、捨てる句が多いこの頃です。また、PCの不調と買い替えのため、しばらくご無沙汰していたので、久しぶりの投句です。ご指導よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 はじめまして。よろしくお願いします。翔っては、「かけって」。字余り。「翔て」でいいのでは。水鳥が飛ぶのではなく、羽ばたきながら水面を疾走するとき、確かに薄荷の香りがしそう。一つの発見。

門口に木偶まわし立つ松の内  豊田ささお(70才以上,男)
 いまも、こうした門付けの風習が残っている地方があるそうです。となると、当たり前すぎますか?
ドクター早瀬の診断と処方箋
 門付けの説明に終わっている。いつもと少し違う門付けを詠みたい。


2008年1月19日

(1)妖精やほうれん草の根は赤し  未知(50代,男)
(2)楽譜の書き込み古りて雪催
(3)円空の神を掘り出す冬の月
(4)書き込みの楽譜の古りて雪催
(5)いっぽんの鉛筆ありて花水仙
(6)老ひらくの恋の火種や冬苺

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ほうれん草の根が赤いのはそのままなので、それと合わせる言葉が難しい。「妖精」うーん。よくわからない。
(2)リズムが悪い。「雪催楽譜のメモの古びゆく」。とても好きな世界。佳句。
(3)類想。
(5)俳句としては安定している。よくはできているが、類句はありそう。

(1)雪だるま七つならんで動きだす  玉白石(50代,男)
(2)お揃いのマフラーきりり双子星
(3)無精髭一日眠る冬の河馬

 よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)状況が少しわかりづらい。雪だるまをトラックで移動しているのか?雪だるまの着ぐるみが移動しているのか? どちらにしても、ややユーモラスで、いいのでは。
(3)無精ひげの自分を、無精なカバに投影する、感じに共鳴しました。

(1)水鳥へリハビリの歩をのばしけり  さわくるみ(女)
(2)水鳥の深く眠りし風の午後
 よろしくお願いしますm(__)m
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)私の父もリハビリの歩行をしていましたので、状況がわかりすぎるだけに、読みが限定されてしまった。でもそれは別として、リハビリの静かな感情は伝わってくる。
(2)水鳥の眠りは、作者の心情。余り多くを語っていないのが、まずまず。

音域はソプラノ君とセリ・ナズナ  北野元玄(60代,男)
 また名句?ができあがりました。作者が面白がりすぎると周りのヒトが引くのはよくわかります。でも、今回も楽しんでます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 リズムがいい。読んでいて何となく楽しくなる。ソプラノの人と野草つみをしていたら楽しいに違いない。

(1)木に石に神の宿りて年迎ふ  せいち(60代,男)
(2)ぽかぽかの日や水鳥のぷかぷかと
 宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)木や石に神が宿るのは、日本人なら共通感覚に近い。俳句にしてしまうと苦しい。
(2)ぽかぽか、ぷかぷかに冬麗らかな感じは出ている。もう少し踏み込みたい。

(1)暁の月もあらはに凍ててをり  小口泰與(60代,男)
(2)山風と供に来たりし霙かな
(3)明時の月の定かや霜柱

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)月があらわに凍っている、というところにはっとした。あたらしみがある。
(2)当たり前。
(3)明け時には、月が特に定かである、というところが発見がある。(1)(3)とも季語が2つあるがどうだろうか。

(1)水鳥やダウンジャケット温温し  あかね(50代,女)
(2)乾杯はオンザロックで冬銀河
 はじめまして。よろしくご指導おねがいします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 はじまして。
(1)ダウンジャケットに水鳥の羽が入っているような意味でつながってしまう。やはり苦しい。
(2)冬で寒そうだけれども、オンザロックにこだわっているところが、かっこいい。男のダンディズムを感じる。まずまず出では。


2008年1月18日

水鳥を射すくめている朝陽です  豊田ささお(70才以上,男)
 水鳥に挑戦してみましたが、見たまんまから広がりません・・・困ったもんです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 朝日が水鳥一点に集中している景はシンプルで新しい。「一点に朝日集める冬の鳥」。

(1)水鳥は雑穀のよう陽はのぼり  仁(60代,男)
(2)水鳥がスキップしてる御一統
 「水鳥の足のきれいは」捨てました。ごもっともな、ご指摘ありがとうございます。「スキップ」に替えてみました。ご診断のほどお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)大胆な比喩。確かに何の鳥かわからない水鳥は雑穀のよう。いい得て妙。陽に当たって、鈍く光っている。
(2)御一統、はわざと硬い表現で滑稽感を狙ったのか。あまり成功はしていないのでは。「してる」も苦しい。このパターンは捨てられたほうが。

菜を洗うそばに水鳥ダイビング  茂(女)
 川で芹採りをして根っこの泥を洗ってる時に鴨の二羽がやってきた実体験です。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 残念ながら、報告。ここからスタート。俳句は詩なので、ある程度説得性はいるけれど、ありえない光景でもいいと思いますよ。

水鳥と話し始める女の子  さくら(女)
 駄句ですね。ご指導下さい。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 水鳥とべたべたに付いていないので、悪くはない。小さい女の子が鳥と話すところにやや意外性がない。女の子、をもう少し冒険しても。

(1)水鳥の描く平行四辺形  ポリ(50代,女)
(2)ひとつずつ冬日をうつすチョコボール
 ご指導ありがとうございます。どうぞよろしく。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)水鳥を少し違う手触りで詠まれましたね。新しい感覚が感じられ、よろしいのでは。意外と、水面を滑った跡が本当に平行四辺形に見えそう。
(2)チョコボールの包みは、きらきら光る緑や赤が多い。そこに映る冬日が少し哀しさをかもした。いい光景。今回は、さりげない詠み振りで楽しかったです。

(1)水鳥やむかし聖書を読みしこと  藤原 有(女)
(2)初詣そこまでといふ神の域
 今夜の
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)読みしこと、は読んだこと、を思い出しているのだろう。べたべたの近い取り合わせにしない意図はよしとしたいが、 逆に遠すぎて手がかりがない。難しいですね。 (2)「そこまでといふ」の「そこ」の位置関係がわかりにくい。

(1)海鳥の低く飛び交ふ初日出づ  しんい(女)
(2)旅始たちしかれる富嶽なりと
(3)年新た師の神髄を守り継ぐ

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)初日の海の臨場感はでている。景にひとつ意外性がほしい。「海鳥の低く飛び交ふ初日の出」。
(2)富嶽がたちしかれる、がわかりにくい。漢字表記のほうが。中6で字足らず。
(3)何の技かわからないが、新年の気分は出ているのでは。


(1)源流は北山の中浮寝鳥  遊雲(70才以上,男)
(2)水鳥や加茂の流れに流されず
(3)ゆりかもめ京都にもある活断層

 加茂川にはそう思ってみると結構いろんな水鳥がいます。でも句にするのは難しい。ありきたりになってしまう。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)事実の報告。
(3)ゆりかもめと活断層はすこしおもしろいが、この句では離れすぎ。どの季語でもそうですが、既成のイメージからいかに離れるか、悩むところですね。

(1)交番の裏窓に凧引っ掛かる  茂(女)
(2)水鳥や黒衣頭巾の男前
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)報告のように読めてしまうのは、切れがないから。でも、交番の裏窓、に何か意味がありそうで、少し社会性俳句の 匂いはする。 (2)黒衣頭巾がややわかりにくい。

(1)縄文の鎮魂の白寒ざくら  沖人(70才以上,男)
(2)寒林に間接照明の夕日
(3)水鳥の覚めて木霊と遊びけり

 兼題の句一句入れて見ました。宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)鎮魂が主観で、俳句が難しい方向へ行きすぎているのでは。
(2)これも間接照明が全部を言っていて、夕日の答え。
(3)これが一番いいのでは。木霊と遊べるのは人間ではなく、水鳥のような気がする。

(1)大寒や 塵もとどめず 磨崖佛  山本葆博(70才以上,男)
(2)寒烏 落暉は山を 崩しける
(3)寒禽の 先頭をきる 身のこなし

 ご多忙の折申し訳ありません。宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)磨崖佛が塵もとどめずは、平凡。
(2)らっき、とは俳句には難しい語ですね。しかし、落日が山を崩すという言い方には驚いた。豪快で、成功しているのでは。
(3)身のこなしを言っていないのが、いい。

ッて知ってる?ミロのヴィーナス大根好き  北野元玄(60代,男)
 1月12日の誰が死ぬ?について、「誰が死ぬ」、とか「誰から死ぬ」などのフレーズは紀音夫の有名句のおかげで本当はこんな場や句会に出しにくいものですが(一度、以前にこのクリニックで大失敗してしまいました)、早瀬さんのようにコメントしていただくとホッとするところがあります。掲句の中七はミロのヴィーナスでも、早瀬淳一でも北野元玄でも何でもいいんです。(ku梍C皀潺蹐離凜・璽淵垢・貳崢靴鵑・・実匸・・凾タいるかな)。現在、っ音便で始まる俳句にこっています。船団誌にもすでに投稿、掲載してますが、誰も注目してくれません。コメントをいただければ幸いです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 試みとしてはおもしろいのでは。だれもしなかった書き方の試みはどんどんするべき。ただ、自分だけの造語はいけないが。 中7下5は、うそでも結構。しかし、ますますぶっ飛んだ方向へ行かれていますね。


2008年1月17日

(1)枯れ草や親指姫か冬たんぽぽ  ねぎよしこ
(2)賀状とゆういのちの灯うすくなり
 今夜の稔典先生の話しっかり聞く楽しみ。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ものが3つも出てきて、それらの関係がわかりにくい。
(2)賀状を自分のいのちに例えるのは、あまり見たことがないですね。でも、うすくなり、で少しさびしすぎる。もう少し明るくいきましょう。 

(1)ロシア語で言ってごらんよ浮寝鳥  仁(60代,男)
(2)白鳥に会うまず髭を剃ってから
 ドクター早瀬、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 どちらも水鳥の既成のイメージから離れようとする努力に敬意を払います。
(1)言ってごらんよ、が鳥に言っているのか、横の人に言っているのかわかりにくい。が、ロシア語が 唐突でおもしろい。
(2)白鳥にあうのに、自分の身辺を整えるというのは、とても俳句的で、おかしい。私の好きな、くすりとなる句。

(1)水底に三角定規花八つ手  玉白石(50代,男)
(2)子等を呼ぶ赤いヤッケの山嵐
(3)胡麻の香や母の伝えし大根炊き

 よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)少し不思議な光景。なにか少し哀しい感じもして、静かな冬の景。よろしいのでは。
(2)赤いヤッケを着た山から吹いてくる嵐?擬人ですか。よくわからない。
(3)大根炊きに、胡麻を入れる地方もあるのですね。

(1)ザル碁とはわがことなり去年今年  稲冶増彦(70才以上,男)
(2)漫画読み光琳かるた出番待ち
(3)干支くぐりして初みくじ二度引く子

 よろしくご指導くださいませ。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)字足らずなので、「なりし」。自分をザル碁に例える気持ちはわかりすぎて俳句としては物足らない。
(2)漫画と光琳かるたにすごい落差があって、少しおもしろい。

(1)小春日やもう後10歩万歩計  悠(70才以上,女)
(2)宮杉の凛々しき影や冬の月
 よろしくおねがいします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)もうあと十歩、の表記のほうがいいですね。小春日と万歩計でもう一工夫。
(2)凛々しき、は俳句では言ってはいけない。

(1)金屏風といふ女の涙かな  未知(50代,男)
(2)海鳴りて干鱈炙りてをりにけり
 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)屏風が渋い冬の季語ですね。中7の頭がつながりが悪いが、女の涙は金屏風だよ、というのはおもしろい。聞いたことがない。 (2)干鱈も渋い。これはこれで1つの冬の静かな景。 

(1)水鳥が尻だけ並べ食事かな  岡野 直樹(40代,男)
(2)名も知らぬ水鳥数多数多かな
(3)水鳥の暮らし羨む出勤時
(4)百二百水鳥数えひた走る

 週に一・二回は、水鳥を横目で眺めながら通勤しているのですが、なかなかつくれないものですね。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 水鳥の句としては、「愛人を水鳥にして帰るかな」(あざ蓉子)の超名句があって作りにくいのですが、チャレンジしましょう。どれもここからスタートの句。写生であれば何か発見がほしい。  

(1)ミラの墓大根漬けの石でする  千坂希妙(50代,男)
(2)水鳥や魚を首で味わえり
(3)あわあわと湯気立つ餅に這う赤子

 はじめまして。よろしくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 はじめまして。こちらこそよろしくお願いします。
(1)ミラの墓がわからない。
(2)やや平凡。首を通る魚に焦点を当てたらおもしろいのでは。
(3)赤子自身も湯気が立っているよう。まずまず。

(1)閉づ店の増ゆる大路や日脚伸ぶ  しんい(女)
 1/11の「閉づ店の増ゆる大路や冬ざるる」、季語を取り合わせると、つい即き過ぎに・・・。「日脚伸ぶ」ではいかがでしょうか。
(2)新年会折の水引梅結び
 「梅結び」の梅、季重ねとなってしまうのでしょうか。宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)このほうがなにか希望がありますね。ちなみに、わたしは、商店街、市場マニアで、よく徘徊します。
(2)梅結びは1つの言葉なので季重なりではないと思います。やや平凡。

(1)松の内墨絵ぼかしの竹と梅  さくら(女)
 前句「お降りや墨絵ぼかしの杉の山」を推敲してみたのですが、やりすぎでしょうか。
(2)飢う昔しのびて餅を食べにけり
 宜しく御願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)わざと松、竹、梅と出されたのですね。言葉遊びとしておもしろい。
(2)飢う昔しのぶのは、教訓めいて俳句としてはおもしろくない。

(1)バーチャルなようでリアルな海鼠かな  うさぎ
(2)諸々の左右を決める冬の星
(3)雲の間の束の間にある寒昴

 宜しくお願いします。く
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)なるほど、海鼠はバーチャルか。言われてみるとそんな気がする。おもしろい。リアルなは当たり前なので、バーチャルに絞って、句にした方がいいのでは。
(2)星が未来を占うのは、よく考えられること。
(3)束の間にある、という言い方が少し変わっていて、少しおもしろい。全体に、作者の観念、思考が入りすぎている。

(1)通院の近道そこに大根畑  えんや(70才以上,男)
(2)杭を打つ音を飲み込む冬の川
(3)年明ける子年三代ありし日も

 いつも丁重なる句評有難う御座います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)通院の人だけが通る路地。大根畑がつつましくいい景。そこに、が不要。
(2)冬の川の描写としては秀逸。冬の川の寒々とした雰囲気がよく出ている。  


2008年1月16日

松の内チャンバラ兄弟まだ来ない  豊田ささお(70才以上,男)
 兼題からちょっとはなれて「松の内」で一句お願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 兼題でなくても雑詠でいいですよ。チャンバラ兄弟、がいまいちわからない。が、多分やんちゃの孫の兄弟なのだろう。かわいい孫を待ちわびる心情が伝わってくる。

水鳥はニベアボディーのうなじかな  汽白(40代,男)
 こんばんは。よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「水鳥は」と来るので、以下は定義。いかに読者の予想を裏切るかが勝負。「ニベアボディー」がいまいちわからない。仕切り直しを。

照準に合ひし水鳥飛び立てよ  くらら(60代,女)
 始めて作った水鳥です。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 照準という硬い言葉は意外と俳句としてはおもしろい。跳びたてよ、が生の言葉でやや苦しい。「照準の中にいつのも水鳥も」。

(1)水鳥の群のとぎれてまま子かな  仁(60代,男)
(2)水鳥が担がれて行く耳鼻咽喉科
(3)水鳥が透明にあつまって静か

 ドクター早瀬、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)群れが途切れたところにままこがいるのは当たり前。
(2)水鳥と耳鼻咽喉科はおもしろい取り合わせ。が、水鳥を担ぐ、というのはやや不自然な表現。
(3)水鳥が透明、は発見。静か、は言い過ぎ。

(1)白熱の党首討論花菜摘む  沖人(70才以上,男)
(2)朝霧に重機しばらく蹲踞せり
(3)まず先に採血を済ませ寒見舞い

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)党首討論との取り合わせとして、花菜積むはまずまず。
(2)重機は山口誓子を髣髴。蹲踞せりが説明。
(3)中8で字余り。を、がいらない。見舞いをしているのに、自分も採血をしているところに、俳諧がある。

(1)禿頭と白髪に抜かる春とほし  文の子(60代,男)
(2)年越せる銀杏のひとは目黄不動
(3)夕星のなどか揺れゐて梅白し

大根が1句もできないうちに水鳥になりました。週末に出会えれば良いのですが。宜しくお願い致します。  よろしく
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)はげの人としらがの人に追い抜かれた。春は遠いな。あまり見たことのない俳句。佳句。
(2)よくわかない。
(3)などか、は不要。などか、と読者に思わせるのが俳句の芸。

水鳥の潜りて静か隠れ沼  風童(50代,男)
 初めて出してみます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 最初の一歩、一緒に寿ぎましょう。 水鳥の潜りて静か、まではいい。隠れ沼がその答えになっている。俳句で答えを言ってしまってはいけない。読者に「うん?」と考えさせるのが、いい俳句。

(1)水涸れし内堀に群れ冬の鹿  岬(60代,女)
(2)空掘にねぐらの小屋や冬の鹿
 名古屋城に行き外堀、内堀共に水がありません。代わりに鹿が遊んでいました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 (1)堀と鹿はあまりない取り合わせ。水涸れしが説明。
(2)もう少しシンプルにつくりたい。「空掘にねぐらをつくる冬の鹿」

(1)それぞれに南を向いて浮き寝鳥  うさぎ
「それぞれにあるがままなり浮き寝鳥」の推敲です。ドクター三宅の診断は、「あるがまま」が、漠然としているでした。 (2)山盛りの蜜柑ほどあるしょうがない
 よろしく
ドクター早瀬の診断と処方箋
 (1)渡り鳥は、冬が終われば北に行く。だが、それぞれがまだ南を向いている。そこに、何か、読者が考えるものがある。 「それぞれが南を向いて浮き寝鳥」
(2)しょうがないの形容として山盛りの蜜柑。おもしろい。

(1)春の海かき玉汁に葛流す  茂(女)
(2)春風やレガッタ後尾紅一点
 春の海を見ると何時も葛粉をのばしたように見えますがつきすぎでしょうか?
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「葛流す」がわからず、妻に聞いてやっとわかりました。とろみをつけることですか。勉強になる。「春の海」を前にしたかき玉汁がおいしそう。
(2)後尾紅一点、がごちゃごちゃしている。俳句はシンプルに。

水鳥や水の浄土をみて帰る  遅足(60代,男)

 水鳥がふっと沈み、浮き上がってくると、なにを見てきたのだろう?と不思議な気分になりました。浄土は、ちょっと老人趣味ですが。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 但し書きを読まないとわからない。でも水鳥が浄土を見てきた、のは、あっと思う。「水鳥が浮き上がるのは浄土見て」。

(1)ふためくは犬に追はれし寒烏  小口泰與(60代,男)
(2)寒烏かしましき孫帰りけり
(3)葉牡丹や終業式の子等の顔

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ふためくとは、慌てふためく?言葉としてやや違和感。
(2)よくある感懐。
(3)子供達の顔が葉牡丹になっている。佳句。