俳句クリニック 2008年2月後半分(ドクター:早瀬淳一)

「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。


ドクター早瀬の診断
2008年3月4日

(1)吹く風に川瀬光りて猫柳  小口泰與(60代,男)
(2)丑三つの仔犬の寝言おぼろかな
(3)川からの風のさやぐや紙鳶

 早瀬先生、二ヶ月間ご親切なご指導有難う御座いました。時節柄、いっそうのご自愛をお祈り申し上げまする。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)吹く風に川瀬光りて、が当たり前で、もの足らない。
(2)仔犬、も夢を見るんですね。仔犬へのいとおしさが伝わってくる。ご健吟を。

春光の観音堂のやはらかに  住田羚(40代,女)
 風はまだまだなれど・・光は春の気配して・・。水原紫苑さんなら・・くわんのんどう・・と表記さなるかとも・・。いつも ありがとうございます!
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ。
 春光や、と切られたら。春だから、やはらか、は想定内。少しだけ、意外な方向へ。

(1)ゆるゆると死者も交えて探梅行  鈴木信輔(男)
 「血族は死に絶えてゐて探梅行」を推敲をしてみました。
(2)眼鏡拭くしばしば拭いて春の富士
 「やがて山大笑せんか眼鏡拭く」を推敲をしてみました。
(3)馬事公苑ビッグマックに春の雨
 「はらはらとビッグマックに春の雨」を推敲をしてみました。ご批評を頂くと、自分でわかったつもりだったことが、実は人に伝えるための要件を満たしていないことがよくわかります。大変勉強になります。ありがとうございました。私なりにご批評踏まえて推敲をしてみましたのでご覧下さい。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)推敲後のほうがいい。探梅をする山には、いくさで死んだ侍がたくさん埋まっていそう。
(2)眼鏡拭くしばしば拭いて、がくどい。俳句は単純な物言いに。
(3)この方がいい。馬事公苑とビッグマックがおもしろい組み合わせで、難しい季語の春の雨が成功した。
 俳句総合誌や、単行本も読んでみてください。

(1)春水と遊んでゐたる象の鼻  はるを(60代,男)
(2)花衣小さくたたむ日程表
(3)大空を鳥に運ばる春の土

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)遊んでゐたる、がややもたもた。「春水に遊ばれている象の鼻」
(2)小さくたたむ日程表、がいい。花衣と合わされると、何でもない日程表が、俄然、いい予定表に見えてくる。よろしいのでは。
(3)受け身・連体は「運ばるる」。575になるよう工夫してみてください。

「末吉」を芽吹く柳に結び置く  せいち(60代,男)
 一応挨拶も兼ねての句ですが・・・。早瀬ドクターお世話になりました。また何時か機会があれば、その節も宜しく。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こういうときの挨拶句は、嬉しいですね。ありがとうございます。
 「末吉」と芽吹く柳がよく合っている。結び置く、の止め方もよろしいのでは。俳句を、楽しんでいきましょう。お元気で。

(1)朧夜や光ゆらめく工事燈  しんい(女)
(2)切岸を打つ波おぼろ茜空
 (1)は「や」で切ったら三段切れとなるのでしょうか。ご挨拶済ませたのに申し訳有りません、宜しくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)光ゆらめく工事燈、でひとかたまりなので、三段切れではありません。朧夜、なので、ゆらめく、はわかるので言わないほうが。工事灯は、少しおもしろい。
(2)波がおぼろ、とは少し意外な感じで、いいのでは。おぼろ、と茜空は、状況説明が多すぎ。

風花や夜間工事の坂の道  栗太郎(60代,男)
 今年の冬はいつまでも寒いですね。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 夜間工事、という無機質のモノの、俳句への取り込みの意図はいい。坂の道を単純にされたら。「風花や夜間工事のアスファルト」

(1)朝潮にのりいかなごの舟もどる  悠(女)
(2)いかなごを待つ人あまた室津浜
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)いかなごの舟もどる、という報告が、朝潮、でとてもすがすがしい、いい景になった。よろしいのでは。
(2)これも報告だが、室津漁港を知っているものにとっては、潮の香りが高い。

(1)早蕨や「さいしょはグー」と子らのこゑ  文の子(60代,男)
 〈蕨狩「さいしょはグー」とじゃんけんし〉を推敲しました。
(2)娘らに混じりてピース春の旅
(3)ヒチコック映画のビデオ鳥帰る

 2ヶ月間ご懇篤なご指導を賜り心より御礼申しあげます。ばたばたしていたため折角の機会を充分に活かせなかったことが心残りです。ドクターの益々のご健勝、ご健吟を祈念致しております。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)早蕨のまだ肌寒い感じが、戸外で遊んでいる子らのかわいさをより強くしているよう。
(2)ただ、最初はグー、は俳句ではよく使われた。
(3)ヒチコック映画、と出してしまうと、種明かしになった。
 「長編の映画のように鳥帰る」。変なつながりにするのも、手。こちらこそ、長い間おつきあいいただき、ありがとうございました。今までの自分の殻を破る俳句を作ってみてください。お元気で。

(1)早春のチーズ工房顔洗う  ポリ(50代,女)
(2)春の電車高田馬場へまっしぐら
 2ヶ月間拙い句をていねいにみていただき感謝しています。いつもアドバイスを読むとなんだか伸びやかな気分になりました。ありがとうございました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ぶっきらぼうな評に、存外のお礼をいただき、こちらこそありがとうございます。
(1)顔洗う、が少しおもしろい。攻防の中は雑菌は厳禁なので、手や顔を洗うのかもしれないが、チーズがおいしく見えてきそう。
(2)東京人でないので、高田馬場へまっしぐら、の含意がつかみにくかった。

正座して待つ猫の居て白椿  豊田ささお(70才以上,男)
 早瀬ドクターまだまだと思う間におわかれですね・・たくさんのことを教わりましたが、前のめりに歩く癖で消化不良です。また次の機会までごきげんよう・・ありがとうございました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 皆さんにお名残のお言葉をかけていただき、何か疲れがすーと消えていくようです。ありがとうございました。いわれてみれば、そうか、あれは正座ともいえるか。いわゆる「言われてみれば俳句」。白椿が、猫によく合っている。

(1)青空にむれ飛ぶ鳶や斑雪山  小口泰與(60代,男)
(2)大凧に利根の川瀬の奮ひ立つ
(3)風凪て大凧暇をもてあまし

 早瀬先生、二ヶ月間ご親切なご指導、大変にありがたく厚く感謝申し上げます。また、早瀬先生にご指導いただけることを楽しみに、俳句の勉強をしてまいりたいと思います。本当に有難う御座いました。時節柄、いっそうのご自愛をお祈り申し上げます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、傍若無人な評におつきあいくださいまして、感謝いたします。私も、俳句に癒され、俳句が人生を何倍もおもしろいものにしてくれています。一緒に、楽しみましょう。
(1)青空、鳶、斑雪山が全部同じ範疇、色のモノ。どこかに、違う感じのモノをぽんと入れたい。
(2)大凧に川瀬の奮ひ立つ、主観の、この把握はおもしろい。よろしいのでは。
(3)当たり前になった。

ハムエッグ霧笛の続く春の朝  茂(女)
 今日までドクターに本当に丁寧にご指導戴いて有り難う御座いました。あっと言う間の2ヶ月でした。兼題も楽しく経験させて貰い、又是非ご指導のチャンスがありますように願ってます。今朝はドクターとのお別れの日にふさわしく?霧笛がとても長く長く聞こえました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ご懇切なお手紙、ありがとうございます。わたしも、はっとなる句に出会ったり、勉強したことも多く、時には励みにもなりました。俳句、楽しんでくださいね。
 ハムエッグと霧笛の取り合わせは初めて見た。ハムエッグの湯気が、霧のように見えてくる。何か、いい予感のしそうな句。

(1)人形を畏れて雛を飾らずに  未知(50代,男)
(2)菜の花に生まれて風に嫁ぎけり
(3)天と地を結ぶ泰山木の花

 2ヶ月適切なアドバイスありがとうございました。来年も宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 いい加減な評におつきあいくださり、ありがとうございました。
(1)人形がおそろしい、というのは案外よく思うもの。はっとするものはなかった。
(2)ここまでメルヘンに徹するのも、一つの行き方。その手の句としては、詩情もあるし、まずまず。
(3)泰山木、の有り様は出ているのでは。

(1)チーズすらカマンベールの春歯痛  千坂希妙(50代,男)
(2)へへへへっくしょんおいこら花粉症
(3)富士は鼻琵琶湖は涙花粉症

 またしても自己満足的俳句になってしまったようで・・・。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)チーズすらカマンベール、がわからない。後半はおもしろい。
(2)花粉症への挨拶句。花粉症と友達になっている。
(3)いわゆる見立ての句。富士は鼻琵琶湖は涙、は豪快で、なかなかでは。季語は花粉症でなく、きちんとはめると、いい句になるのでは。

(1)縄跳びの中に入る子の暖かし  未知(50代,男)
(2)地獄に落ちて韮のますます青し
(3)つちふるや目に刺すと書く民となり

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)縄跳びの中に入るのが子供は、やや当たり前。 「縄跳びに飛び込んでくる春の雪」
(2)地獄に落ちて、が観念でわかりにくいが、未知さんらしい。永田耕衣ばりで、おもしろいのでは。
(3)わからない。
 ご健吟を。


2008年3月3日

しなやかに十指あやつる紙雛  しんい(女)
 早瀬ドクター、ご指導有難うございました。兼題で作ることにも挑戦し、出来映えはともかく、楽しい二ヶ月間でした、心よりお礼申し上げます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 楽しんでいただき、とてもうれしいです。ありがとうございます。しなやかに、は言わない方が。逆転の発想で「十本の指を操る紙雛」

春めきて靴先の指むず痒く  栗太郎(60代,男)
 そろそろ持病の水虫が動き出す気配・・・。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 春で、暖かいので、指がかゆい。予想の範囲内なので、変なつながりにしたほうがおもしろい。「春めきて靴先の先っぽ動き出す」

逝きし人偲ぶ日多き二月尽  雅(50代,男)
 告別式、法事など二月は他の月よりも多い気がするので、こんな句を作りましたが、如何でしょうか。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 つい先日、お通夜に行ったところです。この場合は、二月のしみじみとした感じがよく出て、よろしいのでは。とても共感させられる。

(1)大凧の榛名を背負ひ舞ひにけり  小口泰與(60代,男)
(2)湯煙のゆるると流る日永かな
(3)湯に浸かり見上げし榛名斑雪かな

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 小口さんのお住まいを、毎回うらやましく読ませていただきました。雄大な自然、すぐ近そうな露天風呂。いつか、榛名もいってみたいな。ご健吟を。

(1)芹の茎蛭の卵を爪で剥ぐ  どんぐり(男)
(2)老夫婦ほのかに香る田芹かな
(3)年老いて仄かに香る田芹かな

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)芹の茎に蛭の卵があるんですか。それを爪で剥ぐんですか。新しいことを学ばせてもらいました。
(2)の方がいいのでは。老夫婦だから、芹の料理法なんかも心得ている。食卓が楽しみ。

坪庭の灯篭に雨春霞  茂(女)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 坪庭、が慎ましやかで、いいのでは。豪華なガーデンを出されると、腹が立ってくる。灯篭に雨春霞、やや近いが、穏やかになれるフレーズ。

(1)皮ジャンのままでチーズの味のキス  穂波(女)
(2)凍蝶の鱗粉闇に漂えり
(3)塵の闇凍りて幾千粒の星

 (1)は兼題「チーズ」で、考えあぐねてこんな句になってしまいました。(2)(3)は前回に続きニュース23のテーマ曲で作ってみました。早瀬ドクター、2ヶ月間お世話になりました。「国道」の句で、ドクターの暮らしの楽しい一コマと重ね合わせていただけて、うれしく思いました。ありがとうございました。またご指導いただける機会を楽しみにしております。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)チーズの味のキス、は生々しく、どきっとしました。(笑)。季語がないが、ハードボイルドで、味は出ている。おもしろい。
(2)やや、観念のほうにいっている。主観。見たモノを、単純に放り出しましょう。
(3)(2)と似た感じ。
 楽しく、つくっていってください。ありがとうございました。

(1)背伸びして梅の蕾に触れてみし  うさぎ
(2)縁側の日永に紛れ込むうわさ
 宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)気持ちはよくわかるが、やや報告。
(2)縁側の日永に紛れ込む、はとてもおもしろい。うわさ、が人ごとのような感じになった。「縁側の日永に紛れ込むつもり」くらいでは。作者が主人公に。ご健吟を。

春浅し固きチーズに刃を立てて  吉井流水(60代,男)
 最後のクリニックになると思いますがよろしくおねがいします。2ヶ月間ご苦労さまでした。ご指導有り難うございました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそありがとうございました。切るだけの行為だが、刃を立てて、ですこし凄みが出た。ぞくっとした。歯を立てて、くらいの方がいいかも。ご健吟を。

鉦の音にぎやか雪の野辺送り  豊田ささお(70才以上,男)
 だんだんお名残惜しい日数になってきましたが、不真面目なわたしのようなものに も暖かいご助言を頂き有難うございます。あと少しの日、宜しくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 歯に衣着せぬ評にお付き合いいただき、ありがとうございました。媚びても意味がないと思い、あえて、思った通りを傍若無人に書いてきました。他の方も、ありがとうございました。
 にぎやか、と言ってしまうと普通、説明になってしまうが、野辺送りで、普通のつながりではないので、はっとさせられる。また前に戻って、まじまじと読んでしまった。佳句。

(1)紙雛を二人で折りし頃のこと  遊雲(70才以上,男)
(2)妻と二人小さき雛を買いにけり
(3)九十二の母の背中や雛飾り

 いよいよ2月もあと3日でお終い。今年はことのほか雪が多かったけれど。正しく「右向いて左向く間の二月かな」でした。で、今日は「雛」三っつ。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)二人、がいろいろと想像、郷愁を呼ぶ。まずまず。
(2)娘は巣立ってもう家にいないので大きな雛はいらない。小さき雛を、がいいなあ。とても効いている。
(3)老いた母を出すのは、パターン。

断崖の白き灯台海おぼろ  しんい(女)
 宜しくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 断崖の白き灯台、の「白き」が意外にリアルでいい。海は灯台でわかっているので、「朧月」でいいのでは。

雪降り積むテストに眠る子らの上  岡野直樹(40代,男)
 皮肉ではありません。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 テストに全力を出して、疲れて眠りこける子の傍らに雪が限りなく降っている。民話の世界が匂い、おもしろいが、テストに眠る、が少し無理な措辞のよう。

(1)チーズケーキ三個は無理よ豆の花  仁(60代,男)
(2)四月馬鹿チーズケーキが待っている
(3)うすっぺらなチーズの味や五月祭

 早瀬先生、こんばんは、もうおしまいかと思うと残念でなりません。・・それと同時に二ヶ月間あっと言う間でしたけれどご苦労さまでした。毎回の拙句をご親切且つ適確な診断を頂戴し、いい勉強になりました。ほんとうにありがとうございました。
 それでは次の機会を楽しみに、最後の兼題三句で閉めますよろしくご診断お願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 兼題3句はすごいですね。懇切なご挨拶、ありがとうございます。至らない講評を痛感した2ヶ月でもありました。ありがとうございました。
(1)三個は無理、は当たり前。豆の花といういい感じの季語を生かしたい。
(2)四月馬鹿のうそが不発に終わり、バカにされたのだろう。チーズケーキが救い。少し笑える。
(3)うすっぺらなチーズの味、とはなかなかいえない。おもしろい。

(1)四方の春電気コードの絡みつく  草子(60代,女)
(2)春色に染まらぬ一方ありにけり
(3)地図読める夫と並んで雛祭り

 (2)は又もや理の方へ行っているかもしれませんね。実感を句にする難しさかな!デス。ご診断、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)季語と電気コード、おもしろい取り合わせだが、俳人は抜け目なくてたくさん作っています。「冬深し何のコードかわからない」(淳一)とか、多数。
(2)一方、をずどんと何か言った方がいい。
(3)読める、が読むことのできる、か文語で完了形か、読みに迷う。


2008年3月2日

(1)鳥帰る古美術店に羅針盤  文の子(60代,男)
(2)建設の東京タワー鳥雲に
(3)吾娘の背の届く高さに官女雛

 「伸びて背の届く高さに官女雛」を推敲しました。宜しくお願い致します。
(4)一塊と見えてくち四つ燕の子
 2/26のご診断有難うございました。「一塊もくちの四つ見えつばめの子」を推敲しました。宜しくお願い致します。宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)古美術店に羅針盤、はありそうであまり見たことがない措辞。よろしいのでは。
(2)建設の、が説明。
(3)前句のほうがいいのでは。
(4)言おう、言おうとしている感じがする。もっと、単純にきっぱりといえないだろうか。

(1)春泥を見事跳んでるランドセル  えんや(70才以上,男)
(2)春泥を見事跳ぶ子とランドセル
(3)仔猫来て社長の顔して抱かれをり
(4)えらそうな貌して仔猫抱かれをり

 どうか宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)(2)見事、が俳句では説明。単純な分、(1)のほうがいいのでは。
(3(4)季語なし。社長とか、偉そう、といわずに、子猫のちょっとした、意外な様子と、季語で作ってみてください。

(1)利根川の騒立つ日なり冴返る  小口泰與(60代,男)
(2)うららかや裾野のびたる赤城山
(3)猫柳岸辺に雑魚の遊びゐる

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)平凡。
(2)前に出された句にあったような。
(3)知らないような凝った魚が、よく俳句には出てくるが、雑魚、がいい。名のないような魚が、俳句にはとてもよく合っている。

雛飾り私も負けずハイチーズ  kikumi(60代,女)
 お世話になります。38年前のミニ段飾り雛(ケース壊れて段作り飾りました)。ついほころぶ笑み、いつも持ちたいなと思いつつ。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 私も負けずハイチーズ、は楽しいフレーズだが、自分の気持ちを出しすぎた。雛飾りは華やかなものなので、少しさびしい措辞のほうが成功しやすい。

(1)春一番ジレンマの殻ふっとばす  茂(女)
(2)恋文や島へ無尽の春の澪
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)帽子とかでない、変なものを吹き飛ばしているのはおもしろいが、ジレンマの殻、は主観に傾きすぎ。
(2)島へたくさんの船が集まっているのだろう。それは、島に住む、普段あえない思い人への恋文にもなっている。情趣がある。

(1)夜の更けて語り部の如く大火鉢  未知(50代,男)
(2)汗もまた泪のひとつカーネーション
(3)手袋に手を入れてゆく駅の道

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)夜の更けて、は余分。「語り部の如くに座る大火鉢」
(2)泣いてても、これは汗だよ、といっている。カーネーション、も含めて、エモーショナルに行き過ぎた。
(3)手袋に手を入れてゆく、がいい。当たり前のことをあえていうパターンの成功例。

墓石や白き帽子で聞く初音  どんぐり(男)
 「墓石や雪の帽子で聞く初音」のほうがわかりやすいでしょうか?ご指導よろしくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 白き帽子は、文字通り白い帽子。初音を聞くときは白い帽子、というのは、よくわからないが、わかるような気もする。墓石、が句の構造を難しくしている。

(1)かげろふや祖父の面影現はるる  文の子(60代,男)
(2)鳥帰る管制官が離陸許可
(3)短針は長針の影日脚伸ぶ

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)かげろうとか、虹や、霧に、故人が出るのはおきまりのパターン。
(2)切って読むが、鳥に離陸許可を出したようにも読める。おもしろいが、その作為が少し見えて、マイナスポイントをくらいそう。
(3)あまり見たことのない把握。おもしろい。時間の経過の感慨も呼ぶ。

(1)登校の列を見送る雪まろげ  えんや(70才以上,男)
(2)春泥の校庭占めるサッカー部
(3)近道の酒屋の裏の冬薔薇

 二ヶ月間懇切丁寧なるご指導有難う御座いました。 ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ。お元気で。
(1)なるほど、雪だるまではなく、雪まろげ。語感でユーモラスな感じになった。
(2)春泥なので、他の部はいない。それをいいことに、思い切り独占するサッカー部。まずまず。
(3)下世話なところにある、冬薔薇。対比がおもしろい。

(1)岸壁に玉砕のごと冬の浪  悠(70才以上,女)
(2)一つずつ形整え雛飾る
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)岸壁に玉砕のごと、がまさに冬の浪の言い換え。繰り返しを読んでも、俳句を読む楽しみは出てこない。
(2)何でもない描写だが、作者の静かな心境が、行間に伝わってくる。自然な一句。よろしいのでは。

(1)紅梅や日を率ゐる榛名富士  小口泰與(60代,男)
(2)いぬふぐり己の色をあやまたず
(3)いぬふぐり赤城の肌の過たず

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)中6が、リズムを悪くしているのでは。
(2)自然の摂理ですね。
(3)過たず、が観念に止まっているのでは。ここは、あまり主観を入れない方が。

(1)田の口の石取り払ふ春の水  未知(50代,男)
(2)鉄塔はガラス細工や凍て返る
(3)春寒やボクガンバルと云ふ子ども
(4)東京を走りきつたる春一番
(5)夜の更けて語り部の如く大火鉢

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)田の口の石取り払ふ、で田んぼに水を引き入れるのがわかるので、春の水、といわない方が。
(2)は、で定義しない方がいいのでは。「鉄塔のガラス細工や凍て返る」
(3)カタカナ表記がいい感じ。何をがんばるのかわからないが、逆に想像が広がる。
(4)走りきつたる、いう文語が効いている。走るのは当たり前だが、東京がいい。

(1)チーズとパン・ワインの卓や鳥交かる  草子(60代,女)
(2)下萌や山羊の乳飲み夫育ち
(3)トンネルの口に大雪忘れ来し

 あとわずかでDr.の診断も終わりますので急いで兼題を送ります。(1)はチーズからキリストの最後の晩餐へとイメージが膨らみました。山羊のクセのあるチーズを考えていましたら食糧難時代に育った夫と山羊乳のことが浮かびました。(3)新潟から県境を越えると季節がひとつスキップした感があります。よろしくアドバイスいただきたく存じます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 マラソンの、陸上競技場に戻ってきた気分です。
(1)チーズとパン・ワインは個人的には嬉しいが、俳句では焦点を絞りたい。構図は単純に。しかし、今晩、このパターンでワインを飲みたくなってきました。神戸は、(特に東 灘区、灘区)においしいパン屋が多いです。
(2)夫育ち、に夫のメタボのことをさらっとこういったのかと、一瞬吹き出した。
(3)積もった雪を、忘れ来し、といった。俳句的。

(1)亀鳴くや道真公は筆を持ち  はるを(60代,男)
(2)鐘楼の草屋根の草芽吹きけり
(3)春一番吹き飛ばさるる軒雀

ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)亀鳴くや、というぼんやりした季語と、道真公という死んでいる人物を配しても、もう一つ、句が浮かび上がらない。空想は、しっかりしたモノと。
(2)草屋根、草、芽吹き、と同じような言葉が続いたが、春の長閑さを感じさせ、いい気分の句。鐘楼が効いている。
(3)あたりまえになった。

いつからか朝食にチーズ受験生  山法師
ドクター早瀬の診断と処方箋
 リズムが悪い。この手の句は、リズムで読ませたい。「朝食に緑のチーズ受験生」(一例)


2008年3月1日

いくつものこと忘るるも春立ちぬ  れい(70才以上)
 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 70歳でなくとも、私も今年50ですが、本当に感心するくらい、よく忘れます。でも、忘れられるから、人間生きていけるのでしょうね。春立ちぬ、いいのでは。

ボタン雪生まれるあたり近く見ゆ  郁子(60代)
 いつも有難うございます。ご講評楽しみにしております。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそありがとうございます。
 ものをよく見た句。ボタン雪生まれるあたり、は空の遠くのはずだが、近くでぽっぽっと生まれるようだ。1つの発見で、よろしいのでは。

花菜畑抜けて一等三角点  けいこ(60代,女)
 一等三角点は日本に約300ヵ所あるそうですが、その内の一個が我が家の近くにあります。春の日差しを浴びて確かな存在感がありました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 花菜畑抜けて、もいい措辞。一等三角点。いいものを見つけられた。目付の句。取り合わせもいい。佳句。

群青のチーズケーキと紙雛  仁(60代,男)
 診断よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 群青のチーズケーキ、がはっとさせられる。実際にはブルーチーズか青系の材料なのだろうが、チーズケーキが空になった。まずまず。

(1)名残り雪恐竜はもういない  北野元玄(60代,男)
(2)乾酪という字は何だ?鳥帰る
 まるでクイズみたいな句が出来上がりました。この2ヶ月間、いろいろ有難うございました。定例の船団句会に出席できたらといつもそう思っているのですが、なかなか事情が許しません。初夏の集いにはなるべく出席します。必ずと言えない所がつらいのですが・・。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 長いようで短かい、短いようで長かったですね。初夏の集いでお会いしましょう。
(1)名残雪の中に恐竜はもう逃げていったよと、いうのはおもしろい。字足らずは解消したい。「名残り雪丹波恐竜もういない」とか。
(2)何だ、という話題にはなるかも。

其処此処に小さき雪吊り但馬道  悠(70才以上,女)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 其処此処に小さき、が説明。雪吊り、と但馬道でシンプルにつくるか、すこしひねるか。「雪吊りのつぎに雪吊り但馬道」とリフレインで行くか。

電線は綱引きのごと春一番  しんい(女)
 宜しくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 電線が綱引きの綱のように見えるというのは、比喩としては、「はっと」するものがない。「電線で綱引きをする春の雲」かなにか、できないかな。

ずんぐりと古木の幹や梅一輪  茂(女)
 いつも独りよがりの句を丁寧に添削戴いて感謝いたしております。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ずんぐりと、が説明。古木がずんぐりしているのも、いかにもありそう。つまり、誰しも思いそうな把握になった。梅の木の描写ではなくて、梅一輪、を生かして、別のことを言った方が(取り合わせ)。

春愁やチ−ズケ−キをもう一個  あかね(50代,女)
 いつもご診断ありがとうございます。今回も難しくチ−ズを食べてみました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 兼題で食べてみるという行動は素敵ですね。春愁っていつも思うのですが、どこまで本当なんでしょうね。「春愁やチ−ズケ−キを十個食う」ではあんまりか。(笑)
(1)春の夜のカマンベールというチーズ
(2)朧夜のブルーチーズと赤ワイン
 「チーズ」とは以外や以外。句に詠むのは初めてです。季語の選びを熟考するまもなく兎にも角にも。

(1)春の夜のカマンベールというチーズ  遊雲(70才以上,男)
(2)長閑なるチーズケーキの凹みかな
(3)朧夜のブルーチーズと赤ワイン

 「チーズ」とは意外や意外。句に詠むのは初めてです。季語の選びを熟考するまもなく兎にも角にも。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)カマンベールはわりとポピュラーなので、というチーズ、というフレーズが効いていない。
(2) 長閑なる、がチーズケーキと近いので、たとえば、「春の雪チーズケーキの凹みかな」ならおもしろい。
(3)ものすごく酔いそうですね(笑)。

暖かし眉間の皺のゆるびをり  山法師
ドクター早瀬の診断と処方箋
 暖かいのでゆるぶのは、そのままつながってしまう。「 暖かし眉間の皺の盛り上がり」かなにか、読者に、ん?と思わせたい。

春一番少女はチーズケーキすきっ  豊田ささお(70才以上,男)
 「青い鳥青空・・・」やはり失敗でしたねえ〜しかし、ルリビタキが夏の季語というのを歳時記で知り意外な気がしています。気を取り直してチーズに挑戦です。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 少女はチーズケーキすきっ、は、好き、でいいのでは。このことは当たり前なので、句の成否は季語にかかってくる。後半が当たり前なので、飛んだ季語でないと、ふつうのことで詩にならない。


2008年2月29日

四月ばか対角線にチーズ切る  仁(60代,男)
 よろしく、お願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 四月馬鹿だからなにかだましでしょう、と身構える相手に、何の意味のなく、チーズをただ対角線に切る。オシャレなドラマの一場面のようで好きだな。

(1)カーナビに任せて雪の山陰へ  悠(70才以上,女)
(2)炸裂の冬の波濤や風すさぶ
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)カーナビ、は俳句で使うのはおもしろい言葉。雪の山陰に行ってしまったら当たり前。もっと、とんでもないところへ連れて行ってください。
(2)炸裂、冬の波濤、風すさぶ、みんな同じ範疇の言葉。どこかに、遊び心がほしい。

(1)アフガンの人よこの草餅食ふか  鈴木信輔(男)
(2)朧より牛脂のやうなもの毟る
(3)病んでみれば初蝶凄まじく速し

 投句の診断拝見致しました。ありがとうございました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ。
(1)気持ちはわかるが、アフガンの人は悲惨なので、餅食うか、と言ってしまうと、施しのようになってしまう。詩が生まれない。
(2)朧が湿気があるので、さらにべたべたにしてしまった。
(3)病気と、蝶の速さは、本来何の関係もない。が、すさまじく感じるのは、事実ではなく、真実。佳句。

(1)春泥に踏み込みし子の笑顔見ゆ  千鶴子(60代,女)
(2)煩わしこと片付きて山笑う
 どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)春泥に踏み込みし子、まではとてもいい。笑顔、に行くと予定調和になってしまうので、一工夫。「春泥に踏み込みし子の歯は金歯」
(2)煩わしこと片付きて、は山笑う、の気分そのものなので広がりが出ない。少し、ずらしましょう。

(1)粉チーズぱらぱらぱつと花粉症  せいち(60代,男)
(2)二人ともチーズバーガー花粉症
(3)スクランブルエッグあんたも花粉症

 花粉がそろそろ飛び出すと言う。早瀬ドクターは如何ですか?若い頃は何ともなかったのに加齢と共に花粉症の仲間入り。ところで、あまりに安易な句ばかりとも思いますが、宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ありがとうございます。花粉症気味で、やっと文明人の仲間に入ったかのような気がしています。
(3)がいいなあ。スクランブルエッグにかかった胡椒が、花粉のような感じ。好きな卵料理が一致して、花粉症も一致したか。笑える。

海鼠聴く海軍基地の振動音  千坂希妙(50代,男)
 それはさておき日本人はナマコは食べるのにヒトデは食べないのは何故でしょう。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 海軍基地、とあれば、旧日本軍を思ってしまう。時事句なら、「米軍基地」かな。聴く、と直接つなげないで、「潮の満つ米軍基地の海鼠かな」くらいでは。

(1)桟橋に照り映へる春燈の涛  未知(50代,男)
(2)海見へぬ日に海に咲く波の花
(3)海に出て地球動くや夏の空

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)映へる、はおかしい。映ゆ、が終止形で、連体は「映ゆる」。灯火が春の波に映り、きらきらしている。それ以上のものが見えない。
(2)見へぬ、は間違い。見ゆ、が終止形で未然形は「見えぬ」。波の花は海の全面を覆いつくす。だから海が見えないのでは。
(3)既出では。

(1)春の街ブルーチーズの試食かな  けいこ(女)
(2)夫の切るチーズは厚く春の宵
 「夫の切るチーズの厚さ春の宵」を推敲してみましたが…
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「春の街ブルーチーズを試食する」。春になると不思議とブルーチーズやゴルゴンゾーラを食べたくなりますね。共感。
(2)夫の愛をさりげなく、嫌味なく。

ほっこりと人の名浮かぶ花菜漬  住田 羚(女)
 疲れた心を早瀬ドクターに励ましていただいてるコーナーですね! また モノの感じ方も・・ありがとうございます!
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそありがとうございます。
 つきすぎのぎりぎりのところで、とてもいいところを行っている。花菜漬け、が哀しいまでに効いている。こんなとき浮かぶ名前は誰かな。佳句。

仏生会ナチュラルチーズというを食う  仁(60代,男)
 よろしく、おねがいします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 仏生会、は潅仏会、花祭り、ですね。ふつう甘茶、とか来そうだが、チーズの取り合わせはおもしろい。醍醐の故事もありますし。が、というを食う、という言い方からは、もっと変わったものの方がはまるのでは。「仏生会ゴルゴンゾーラというを食う」とか。

(1)春めいて名古屋のメトロ右回り  菜月子
(2)五階ではラジオ体操燕来る
(3)春を待つ田に黒猫のかしこまり

 早瀬先生、俳句のひねりとは視点や取り合わせの新鮮さということですね。ありがとうございました。揚句、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)名古屋のメトロ右回り、は名古屋人でないと状況がわからないが、へ〜そうなのか、と思わせられる。春めくと右回りになる、というナンセンス、不条理さのおもしろさもある。おもしろい。
(2)公園のない都会が多くなった。高層マンションの5階で、地域老人会自治会の集会所があるのだろう。今の世相をうまく切り取った。
(3)月並み。


2008年2月28日

とんちんかん二人の会話春日向  ねぎよしこ
 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 お互いの、会話のキャッチボールのずれを楽しむ穏やかな日常。「春日向会話ますますずれていく」

(1)春が来た そうだ京都へ句集連れ  さくら(女)
 下5がおかしいですか。
(2)カフエ前の バケツに生けらる春大根
 喫茶店の入り口に大きな大根が葉のついたまま飾ってありました。みんなびっくり・・その感動?を句に・・と思いましたが、むずかしいですね。宜しくご指導下さい。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)会話調が楽しい。句集連れ、がいまいち。もっと変なものを連れてほしい。
(2)感動をそのまま表現しようとすると、たいてい失敗する。そのまま放り出す。「ジャズ喫茶バケツのなかの春大根」

(1)穴空きのチーズの中で春を待つ  ポリ(50代,女)
(2)たのみごとざっくばらんに梅の花
 アドバイスありがとうございます。ほんとにそうだなと思います。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 かんたんに信じてはいけませんよ〜(笑)
(1)最近穴あきチーズってあまり見ないですね。むかし、「トムとジェリー」でよく出てきた。チーズの中に入ってみる。その視点の転移はいいんじゃないかな。
(2)梅の花の傍では、頼みごとがざっくばらんにできてしまう。妙に納得してしまった。

寒林の空無に座して実存す  千坂希妙(50代,男)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 実存という哲学の言葉で決着させてしまうと、詩がやせてしまうのでは。なんでもない言葉で作り、そこに哲学を感じさせるのが、詩であり、俳句では。

(1)穴釣りの公魚ぴくり風凪て  小口泰與(60代,男)
(2)夜をこめて雨の育む春の土
(3)穴釣りの公魚跳ね風の音

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)穴釣りの公魚ぴくり、まではすこしおもしろい。風凪て、が下5を埋めただけのようになった。公魚はたくさん作られた題で、難しいでしょうが、挑戦したくなる題ですね。
(2)あたりまえ。

(1)心奥の憂さ凍てゆるむ師の一語  しんい(女)
(2)水温む六角屋根の礼拝堂
 (2)は浮御堂でしたが、礼拝堂に変えてみましたが重ねてお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)心奥の憂さ、は誰しも持っているもの。それを出してしまうと、読者は引いてしまう。師の一語、もそういうもの。答えを出してしまった。
(2)浮御堂、とわからないほうがいいのでは。この方がずっといいと思います。

(1)春光や大型スーパー開店す  茂(女)
(2)鯛焼き器かたんことんと春の音
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)なにげない日常の一こま。大型スーパー、に何を読むか。小さな商店の閉店、街の均一化。ささやかな小市民のショッピングの喜び。読者が試される一句。
(2)個人的には、「春の音かたんことんと鯛焼き器」。好きな句。

(1)春浅し包みのなかの白きチョコ  文の子(60代,男)
(2)携帯にチョコの写真来バレンタイン
(3)バレンタイン書類もて来る女子社員

 昨日お送りしたバレンタインは、後から見てつまらない句ばかりでした。申し訳ありません。一晩考えましたので宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 作った句をしばらく寝かせて、改めて見て、投句すると言うのも、いいかもしれませんね。
(1)包みのなかの白きチョコ、に発見、強さがない。
(2)バレンタインにチョコの写真は当たり前。まったく関係のない、しかもいい写真を。
(3)書類もて来る、が説明っぽい。すきっと。

(1)すべるよう日は過ぎ去りて桃の花  れい(70才以上,女)
(2)礼状の漢字忘れし蕗のとう
 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)感慨に行き過ぎた。桃の花を見て、誰しもも思うこと。
(2)忘れし、と過去にしないほうが。忘れて、くらいかな。ふきのとうがよく効いている。まずまず。

(1)散歩道プレタの小犬クシャミして  郁子(60代)
(2)灯明に揺らぐや蒼きスイートピー
 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)プレタの小犬、がわからない。句会ではわかってもらえないと、とってもらえないので損。でも、日常のささやかな瞬間を俳句にするという心がうかがえる。
(2)揺らぐや、と、や、で切るとつながりがおかしくなる。

(1)地に落ちし楕円の球や春の月  未知(50代,男)
(2)雪原や桜の枝を剪りにけり
(3)行春の川にゐて川一筋に

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)地に落ちし楕円の球、とはラグビーボール?とすれば、字の使いすぎ。でなければ、よくわからない。
(2)ワシントンでもあるまいに、なぜ桜の枝を切っているのだろう。???
(3)「一月の川一月の谷の中」(飯田龍太)。行く春のように、川がやや蛇行しながら一筋に行く。味わいが迫ってくる。


2008年2月27日

春宵やCMのチーズ食べてみる  豊田ささお(70才以上,男)
 お手上げといっても居られず、がんばってチーズでつくってみましたが、いかがでしょう・・。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「評判のチーズを食べる春の宵」。春の宵になると、おしゃれなチーズを食べたくなる。共感。

通りからはぐれし先も雛の市  住田 羚(40代,女)
 浅草橋には お雛様店への 客引きサンもいて・・賑やか・・人ごみを縫うて、目的の手芸店は見つからず・・たそがれ・・、よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 本通りからはぐれてしまった。こんな細い通りに何もないのかな。と、そこにも雛の市。とても好きな句。佳句。

(1)挨拶は明るいですね春の風  山法師
(2)袖先のほつれ見つけし日向ぼこ
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)当たり前のことだが、こうもあっけらかんと言われると、呆けたような妙な迫力が出てくる。何か、怖い一句。
(2)日常句。日記として。

(1)菜の花の畑に野外コンサート  はるを(60代,男)
(2)料峭や目薬頬を伝ひ落つ
(3)鶯の鳴きだしさうな木となれり

 先生の診断で勉強させていただいております。心より感謝いたしております。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 恐縮です。
(1)個人的には「菜の花の畑の野外コンサート」。最近は菜の花畑が少なくなった。菜の花イベント的なコンサートかな。好感を呼ぶ風景。
(2)涙ではない。目薬とわかっているのに、はらはら流れると、妙なもので哀しくなる時がある。これもいいなあ。
(3)思わず鶯が鳴きたくなる木、という把握。おもしろい。

はいチーズあなたはいつもはいチワワ  岡野 直樹(40代,男)
 ふざけているつもりはないのですが、どうでしょうか。よろしくお願いします。私は、町内の天満宮に「山路来てなにやらゆかし菫草」と言う芭蕉の句碑がある、大津市の小関越えの近くに住んでいます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 よその土地を聞くと、どこもとてもいいところのように感じますね。季語がないですね。でも、私のファンの穂村弘の短歌に少しにている。

Uボート一番風呂の下にいる  汽白(40代,男)
 こん晩は。よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 広い銭湯の一番風呂のような。底にUボートがいる気分とはどんな気分だろう。すこしおもしろい。

(1)聖水宗真水派清水派雪水派  千坂希妙(50代,男)
(2)りょうかんしゃままりをまくらにおひるねちゅう
(3)不眠症老イ易クシテ明ケ難シ
(4)花びらで I NEED YOU 桜坂

 模索しとります。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)自分で楽しんでいる感じ。
(2)良寛さんは、こんなものでは。
(4)季語が2つだが、ここまできざに、甘く徹すると、逆におもしろい。

(1)ウィンドウの手描き友禅春隣  郁子(60代)
(2)釜揚げのうどん備前に紅椿
 ご無沙汰しましたがまたよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 あと少しですが。
(1)友禅に、春隣はいい感じ。ウィンドウ、が作者と友禅を遮っているので、実感が薄くなった。
(2)備前も、うどんがおいしいのかな。早春の釜揚げうどん、いいですね。

(1)草萌や赤城の襞に影ひとつ  小口泰與(60代,男)
(2)雪滴チワワ廊下に耳立てり
(3)いぬふぐり土竜の土の続きをり

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)どこかで診断したような気が。
(2)耳を立てているチワワが少しユーモラスで、おもしろいのでは。「立てて」でいいかも。
(3)黒々とした土の盛り上がり、がとてもリアル。まずまず。

(1)黒牛の繋がれてゐる椿かな  未知(50代,男)
(2)はくれんや蜂起の民の集まれり
(3)勿忘草寮を巣立つ日の落書き

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)黒牛と椿はいい景だが、何かもの足らない。眼目がない。
(2)蜂起、古風な言葉ですね。江戸時代の一揆のよう。時代俳句の味わいはある。

蝌蚪生れるどこが腹やら頭やら  豊田ささお(70才以上,男)
 今日ニホンアカガエルの卵塊から、糸くずのような赤ちゃんが生れました。兼題のチーズはマッタクお手上げです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 蝌蚪生れる、の感じは出ている。少し散文になった。切れがほしい。


2008年2月26日

(1)摩耶山を越えて御影に春の虹  栗太郎(60代,男)
(2)白むくの春富士でんとそこにをり
(3)春昼や硝子戸越しのエネルギー

 この前の日曜日の午後、HAT神戸からそれはそれは雄大な虹が見えました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)これはこれで。私の地元なので、とてもよくわかる。(当たり前か)(笑)
(2)でんとそこにをり、はいわずもがな。言葉がもったいない。何か他のモノを。
(3)春昼や硝子戸越し、まで楽しく読んだが、エネルギーでがくっとなった。

春の虹今日の平穏告げにけり  草子(60代,女)
 いつもありがとうございます。「薄氷や今日も電話で生きている」を推敲してみました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ。
 今日の平穏告げにけり、が春の虹の説明。「事」を語る、述べるのではなく、ただ、モノ、風景、を起きましょう。独白でもいいです。

チーズ屋は古書店街を出て右へ  仁
 よろしく、お願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 季語がない。出て右へ、がもったいない。「季語+古書店街のチーズ店」のパターンで。

(1)新草や夜明けの雨の石舞台  穂波(女)
(2)ほうき星氷の笛の音の遠き
(3)寒霞静かの海を渡りゆく

 音楽の印象です。((1)はタイトルの分からない坂本龍一の曲、(2)(3)はNEWS23のエンディングの「to U」)。(1)は2月16日のはるをさんの句と、(2)は2月19日の勇平さんの句と似ているので、お蔵入りにしようかとも思いました。しかし愛着があって捨てられませんでしたので、投句させていただきました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)石舞台の景としては、ややもの足らない。
(2)ほおき星を見て、そのとき聞いた笛の音を、氷の笛ととらえた。おもしろい。
(3)靜かの海、は月の表面ですね。月に水分はないが、寒霞を思う。おもしろい。

(1)伸びて背の届く高さに官女雛  文の子(60代,男)
(2)一塊もくちの四つ見えつばめの子
 元句は「乳呑児をともなひ院の卒業子」です。
(3)子連れまた卒業法科大学院
(4)一斉に金管楽器山笑ふ

 元句は「揃ひしは金管楽器山笑ふ」です。2/20のご診断有難うございました。2句とも気になっていました。夫々推敲しまし たので宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)やっと官女雛に手が届いた。伸びて、が説明。
(2)一塊も、がわかりにくい。
(3)法科大学院は固い言葉だが、俳句には案外おもしろい。他の手で。
(4)やや近いが、山笑う、としては、まずまず。

(1)学燈の付録組み立て雛祭り  未知(50代,男)
(2)勿忘草旅立ちの寮の落書き
(3)大仏のてのひら開く梅の花

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)学燈社ですね。紙のかさこそ言う音が聞こえそう。まずまず。
(2)「旅立ちの寮の落書き勿忘草」では。抒情がある。
(3)空想の世界だが、楽しい。よろしいのでは。

(1)音ありてチワワ耳立つ雪消かな  小口泰與(60代,男)
(2)一筋のタイヤの跡や春の雪
(3)春雪やけふ団欒の群すずめ

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)音ありて耳立つ、は当たり前では。なにか、理屈っぽい感が。
(2)単純な景で、逆に想像が広がる。好きな句。
(3)団らん、といわずに団らんの感じを出したい。

春めくやとろけるチーズにくるまれし  吉井流水(60代,男)
 春よこいの気分でているでしょうか。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 自分がチーズにくるまれ、「食べてください」ということかな?注文の多い料理店のよう。春めいた気分はでている。

(1)根回しの仕掛けを見抜くしゃぼん玉  茂(女)
(2)しがみつくおんぶの背なや春の月
(3)小鼓のしらべ緩めて春の空
(4)老耄の語感好感たんぽぽ草

 ある方に手前共の母も近頃老耄致しましてと話されたときとても言葉に慈愛を感じました。お若いドクターのお考えをお聞きしたくて出句いたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)根回しの仕掛けを見抜く、までがややこしい。俳句は単純でありたい。
(2)大昔のしがみついた背中の記憶か。春の月は、いい感じ。
(3)春なので、小鼓もゆるみそう。まずまず。
(4)おいぼれ、ですか。たしかに、自嘲であれば、好感しそう。語感好感、が直接なので、工夫したい。


2008年2月25日

(1)卒業の誰も応えぬはいチーズ  千坂希妙(50代,男)
(2)鴬にうぐいすウグイスうぐひすもいて
 俳句になってないかも。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)卒業式の後の記念写真か。卒業の、というつながりが少しおかしい。
(2)いろんな色、形のウグイスがいて、こう表現したらおもしろい。でも言葉遊びでもいいのでは。

あの山をブッセは見しか春の色  山法師
ドクター早瀬の診断と処方箋
 カール・ブッセ。若い人は知らないでしょうね。春の色からの回想としては、悪くないのでは。

(1)イエス再臨日の中に降る春の雪  鈴木信輔(男)
(2)老いぬれば眼をぎよろぎよろと水仙花
(3)やがて山大笑せんか眼鏡拭く

 (3)は特にまだ推敲の必要があるように思えます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)日の中に降る春の雪は風花とも違いますね。それをイエス再臨、ととらえた。やや大げさだが、詩があると思う。
(2)老いぬれば眼をぎよろぎよろと、が世の底から目を光らせる老人のようでおもしろい。季語はもっといいものがあるような。
(3)山笑う、の季語で尽きてしまう。

(1)寒の明けナチュラルチーズ丸かじり  勇平(70才以上,男)
(2)姫路城マルチーズの屁陽炎す
(3)草の餅かすかな香あり湖西線

 何時もながら早瀬ドクターの心優しい診断。俳句道8級の小生、初段を目指して精進します。ありがとうございました。謝々!
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、ありがとうございます。
(1)寒の明け、の気分が、叙述なしによく伝わってくる。それは、説明していないから。
(2)姫路城、という場所設定といい、やや報告になった。
(3)早春の琵琶湖の風を感じるよう。湖西線が効いている。

太陽のうらから来たるチーズ食む  遅足(60代,男)
 季語がありませんので「涅槃西まるい時間のチーズ食む」と無理に季語を入れててみましたが、2つは、句として成り立っているのでしょうか?診断をお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)無季だし、太陽のうらから来たる、が想像の範囲を超えていて像が結べない。
(2)この方が、何かしら解釈ができる。涅槃西のなかではチーズはまるい時間だ、というのはそれなりにおもしろいのでは。

ハィ・チーズ病棟からの初音かな  仁(60代,男)
 よろしく、お願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 病棟の、少しほっとできる、ささやかな日常。句としてというより、大切にしまっておきたい、記憶、世界。

三番叟春はあけぼの参天堂  北野元玄(60代,男)
 「春二番瑞穂の国の強心剤 日の本の春はあけぼの目に沁みて」などを考えているうちに三番叟を思い出しました。上句、ア行始まりだけが売りで、まったくナンセンスな句です。ボツにされても一向に構いません。皇居を扱った句についてののコメントをうまく逸らされました。少し残念な気がします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 能は不案内で、三番叟、もよくわからない。三句切れのようでも。解釈できない句でした。

(1)モッザレラの溶け行くように春の宵  うさぎ
(2)朧月山羊のチーズを手土産に
(3)アボカドを潰しながら春に入る

 アボカドはお好きですか?宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「モッザレラの溶け行くような春の宵」。季語が近いが、ぎりぎりセーフかな。モッザレラが効いている。
(2)これも、山羊のチーズがよく効いて、不思議な感じがする。よろしいのでは。
(3)アボカドの刺身にわさび醤油、好物です。字足らず?「アボカドをゆっくり潰し春に入る」

(1)ドーナツもチーズも三毛に春浅し  菜月子
(2)梅咲くや自転車に乗り坊さん来
(3)朝寝してフランスパンとチーズかな

 早瀬先生、こんにちは。チーズに挑戦してみましたが、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)猫好き、猫の僕(しもべ)の様態がよくでている。楽しい一句。春浅し、もいい。
(2)自転車に乗り坊さん来、が平凡。
(3)季語がない。フランスパンとチーズもあまりに当たり前。でも、フランスパンをぱりぱりに焼いて、ガーリックバターを塗るのが大好物の私には、楽しい一句。


2008年2月24日

風邪引きの分からぬ味やチーズ鍋  雅(50代,男)
 体験を思い出して作ってみました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 風邪を引いているから、舌の感覚がない、という説明になっている。でもチーズ鍋ははやりでおもしろいので、再チャレンジを。

(1)三角四角丸チーズ春の朝  茂(女)
(2)さてはさて今朝の主役の蕗の薹
(3)寒卵転がり上手のザ・ストップ

 どれも言葉遊びのようになりました。宜しくご指導下さいませ。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)リズムが悪い。「丸四角三角チーズ春の朝」とても楽しい春の朝の気分がよくでている。
(2)さてはさて、はたいてい余分になってしまうが、後半の蕗の薹でこの言葉のある効果が出ているように思う。
(3)寒卵転がり上手、まではいいが、ザ・ストップがよくわからない。

(1)往き来せるシャッター通り燕(つばくらめ)  文の子(60代,男)
(2)雛祭り畳の部屋に椅子並べ
(3)花筏左右に開き番鳥

 「花筏ほどけて番鳥の道」を推敲しました。
(4)娘(こ)に混じりチーズとピース春の旅
 2/19のご診断有難うございました。沖縄の句計3句ご評価頂き、旅の良い記念となりました。早速兼題にトライしました。宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)昨今の地方不況でシャッターばかりになってしまった。それでも、燕は変わらず、行ったり来たりしている。寂しくも、しみじみとした1句。よろしいのでは。
(2)畳の部屋に椅子並べ、はあるんじゃないかな〜。
(3)次第に水面が静かに現れてくる様子がよくわかる。まずまず。
(4)たくさんのことを入れすぎてしまった。

(1)まつろふて小犬腹見せ春の雪  小口泰與(60代,男)
(2)里山の風の収まる春の雪
(3)さえずりや畑打つ人のをちこちに

 あえて季語を二つ使いましたが如何でしょうか?よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)まつろう、は神棚をまつろう、のように使うと思うが、まつろふて、と後半のつながりがわからない。
(2)確かに春の雪は、風の収まった感じがする。しずかな心象の1句。
(3)畑打つ、はこの場合、季語としての働きは弱いので、重ならないのでは。風景が平凡。

虹色の夢ふくらめる石鹸玉  しんい(女)
 宜しくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 とても優しい句ですが、シャボンの表面は虹色だし、夢と石鹸玉はどうしても近いですね。

(1)ラガーらの叫び忘るる寒さかな  未知(50代,男)
(2)春燈や洞窟にあるマリアの絵
(3)海に出て地球動くや夏の雲

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)叫び、で切るのだろうが、叫びが猛々しいので、寒さを忘れるという風に、理屈でつながってしまった。
(2)洞窟で発見された歴史的なマリア像だろうか。いや、変哲のない洞窟に誰かが落書きしたマリア像のほうがおもしろい。楽しく想像できた。
(3)船で海に出ると、船が動いているが、地球が後ろに動いているように思える。言われていそうでなかった句では。まずまず。

(1)番居なくなつて焚火の良く燃ゆる  せいち(60代,男)
(2)ほほえみは万語に勝る桃の花
(3)こんな日に振られしことよ蕗の薹

 「こんな日」とは解らないのでダメでしょうか。宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ふつうは、番をしてうちわで扇いだ方がよく燃える。が、一人にしてもらってよく燃えている焚き火が可笑しい。よろしいのでは。おもしろい。
(2)ほほえみは万語に勝る、ですべて言ってしまった。読者の想像する余地なし。
(3)「こんな日の」は、俳句では時々使いますよ。そこにうまく気分を乗せればいいですね。振られた日に蕗の薹は、まずまずよく効いている。

(1)春のペニス裸の稚児を抱きとむる  鈴木信輔(男)
(2)血族は死に絶えてゐて探梅行
(3)枯芝に欠片ぽろぽろチーズ割る

 連日で恐縮ですが、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)稚児のおちんちん。言葉のつながりがわかりにくい。
(2)自分のみよりはないということか。わざわざ難しい言い方をした、意図、効果がわからない。
(3)枯れ芝の質感と色は、、なぜかチーズに少し合いそうな気はする。

縁日や夢乗せとばすしやぼん玉  しんい(女)
 宜しくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 縁日とシャボン玉、はいいのでは。夢のせとばす、が言い過ぎで、少し甘くなった。この二つで、読者に、いろいろ考えさせる句にしたい。

こだはりのチーズケーキに春の風  仁(60代,男)
 またまた、むずかしい最後の兼題になりますね。チーズの句なんてウイスキーのつまみぐらいで作ったことがありません。しかし今回は兼題オンリーできましたので最後まで兼題でとおします。一応推敲はして投句はしておりますけれど、もうすこし句を熟成させて推敲する必要ありですね。菜月子さまが言われてたように、又違った一面もみえてくるような気がします。もうすこしで早瀬先生の担当も終わりかとおもいますが、残りの診断・アドバイスを楽しみにしておりますのでよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 兼題オンリー、というのも、すごい。敬意を払います。本当にもう少しですね。近頃は、チーズケーキのみならず、なんでもかんでもこだわり、だらけ。私のお気に入りのチーズケーキに吹く春風。幸せな気分は漂うが、いわゆる、つきすぎになった。


2008年2月23日

(1)新しきスケジュール帖菜の花黄  菜月子
(2)大正の男雛と女雛鉱山の町
(3)峠路のフロントガラス風花す

 早瀬先生、こんにちは。いただくコメントはビタミンのようです。ありがとうございます。ところで、俳句で詠める世界というか、事柄はどんなものと考えたらいいのでしょうか?俳句にはそぐわない題材や気分もあるようなので。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 とても大きなテーマです。入門書をお読みください。お勧めは、「俳句発見」(坪内稔典)「実作俳句入門」(藤田湘子、立風書房)です。
(1)菜の花は黄なので黄はいらない。私も4月はじまり手帳派。気分はよく出ている。
(2)字余りを解消したい。鉱山町、こうざんちょう、でもいいのでは。大正の雛、がいい。
(3)よくわかるが、それ以上のものがない。

(1)平面図立体にして春の家  豊田ささお(70才以上,男)
 「平面図ためつすがめつ春の神」を直しましたが。詩がないかも・・
(2)青い鳥青空の下草青む
 ここ一ヶ月ほどルリビタキの雄を追っかけていました。雌には度々会いましたが、雄にはなかなか・・いつのまにか下萌の季節と思ったら、昨日突然出会えました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)実際に設計図から棟上げがあったのかもしれないし、折りたたみ絵本の家が立ち上がったのかもしれない。いずれにしても、少し不思議な感が出て、おもしろい。
(2)連射が成功する場合もあるが、今回は...

(1)大凧の舞ひたる利根の川瀬かな  小口泰與(60代,男)
(2)窓越しの空の青さや君子蘭
(3)和らかき水流れをり蕗の薹

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)たる、だから連体で次に直接かかる。かかるのは川瀬になるが、位置的におかしいのでは。
(2)青さと、君子蘭の対比はまずまず。
(3)平凡。

葱提げて防犯カメラ作動中  茂(女)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 スーパーの防犯カメラに写る間の抜けた自分の顔を見ることがありますね。ちょっとしたずらしで、なかなかおもしろい。

(1)はらはらとビッグマックに春の雨  鈴木信輔(男)
(2)怪獣の背に棘の列建国日
(3)早春の自転車つややかに来たる

 お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こんにちは。
(1)ビッグマックに落ちる春雨、おもしろい目付。はらはらと、がありきたり。
(2)背に棘の列、が俳句的物言いでおもしろい効果を生んだ。おもちゃの怪獣と遊ぶ大人の自分。建国日、がおもしろいような、難しいような。
(3)つややか、が説明。

(1)春相撲番狂わせやふとん飛ぶ  ねぎよしこ
(2)日当たりの順番たしか解ける雪
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)や、で切ると意味のつながりが少しおかしくなる。番狂わせで布団が飛ぶのは当たり前なので、切れ、を生みたい。
(2)日の当たる順番に雪が解けていく。理屈になっている。理からはなれた不思議な面がほしい。

(1)予報官のイヤリング揺れ春の雲  茂(女)
(2)春の客チーズケーキの黄金率
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)予報士の、でいいのでは。気象予報士も、最近は美人が多くなりましたね。気分のいい一句。
(2)黄金律、は完璧に等分できたということだろうが、ややわかりにくい。もう少し簡単な言い方のほうが。

かけ込みし 淡雪はらう 無人駅  松風
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ふつう、分かち書きはしません。
 かけ込みし淡雪だと、かけ込みしが淡雪にかかり、おかしい。「かけ込みて淡雪はらう無人駅」報告に止まっている。でも、淡々とした叙情はある。

(1)繋がれしままの痩せ犬春浅し  けいこ(60代,女)
(2)夫の切るチーズの厚さ春の宵
 兼題で…。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ふつう犬は繋がれたままなので、繋がれしままの、の意図がわかりにくい。わざと当たり前のことを言って、とても意外な効果があるときがあるが、そうでもないように。
(2)厚さ、で止めるのは俳句的(高さ、距離、など)。ただ、この場合、それがどのくらいの厚さか、わかりたい気がする。解釈にやや困るのでは。

春待たず蕾落ちたり木瓜の花  落雁(男)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 春待たず蕾落ちたり,が叙述、述べすぎ、でもう少し簡潔にモノを置きたい。


2008年2月22日

べた凪の番いの鴨の水脈(みお)光る  豊田ささお(70才以上,男)
 番で、一番に思ったのがつがいという言葉でした・・・で、・・おしどりとかかいつぶりとか今日まで無為に堂々めぐりしていまして、やっと1句です。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 堂々巡りもまた楽しからずや。水脈(みお)光る、がきれいな、俳句的な光景。印象鮮明で、まずまず。べた凪ぎ、がやや説明。

(1)鳥雲に校舎の時計二時をうつ  遊雲(70才以上,男)
(2)白梅の一輪ほどの片思い
(3)研ぐ米の尖がっている雪解水

 「アゴラ(agora)」わかりました。「古代ギリシャの公共広場」。ここは「俳句の広場」。2月7日の京都新聞に、藪ノ内さんの「キオスクの・・・」を「坪内稔典が読む一句」で紹介されていました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 お分かりいただき、ありがとうございます。
(1)「二時をさす」。誰もがいい気持ちになるが、俳句としては、「ある」パターン。
(2)ぽっと咲いた梅。これも、片思いの比喩としては、わかりすぎる。難しいが、意外な比喩を。
(3)米を研ぐ、からやや意外な展開。雪解水で研いでいるようなきがして少しおもしろい。

白鳥の番いの水尾の洲に触れぬ  山法師
 「番」でもう一句、よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 字余りなので「の」はいらないのでは。モノをよく見た俳句。景にもう少し発見、意外性がほしい。でも、読後感よし。

(1)青緑色のブローチ春初め  ポリ(50代,女)
(2)いぬふぐり一番二番にこだわらず
 いつもお世話になっております。兼題で作るのは初めてのことで、難しいながらも楽しいと思います。ありがとうございます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 楽しいんで頂き、こちらこそありがとうございます。
(1)気持ちいい一句。が、青緑色が春初めに近い。もう少し、意外でいい色はないかなあ。
(2)後半はやや平凡だが、いぬふぐり、が効いていて、まずまず。

(1)斑雪嶺に残れる世界地図  沖人(70才以上,男)
(2)眠れないものの戯言雛飾る
(3)紙雛ちょこっと御座す駐在所

 自身番の句に「春風邪に先ず鼻薬、はあたりまえでは。」と評を戴いたが、鼻薬は「小額賄賂」の意味で使いました。意味が通じず己の未熟さを思い知り、残念至極。気を取り直して。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 なるほど。言われてみれば、ですね。句会ではわかったりするのですが。
(1)世界地図、では驚かないのでは。思い切ってもっと意外なものを。
(2)眠れない、だから深夜に戯言言いながら雛を飾る屈託が俳句らしい。まずまず。
(3)駐在所の、もうひとつのかわいらしさの発見。

(1)蕗の薹試練の日々を耐えてをり  Q(60代,男)
(2)Gパンに穴のあきたる吹雪かな
 始めての投稿です。畑の蕗の薹この雪で隠れてしまいました。俳句歴半年です。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 初めての方、歓迎です。
(1)試練の日々を耐えてをり、は誰しも思うこと。そこを言わずにこらえて、蕗の薹とはあまり関係ないことをさらりと言う、のがおもしろい方向。
(2)Gパンに穴のあきたる、は少しおもしろい。吹雪はあまりに寒そうなので「建国日」とか、少し離すとおもしろい。

(1)靴干さる繕ひ終えし竹垣に  しんい(女)
(2)一憂を炎に捨てしどんど焼
 兼題にも挑戦して、勉強させて頂いた二ヶ月間がもう目前に・・・淋しいです。
 (2)の句、時期外れなのですが、纏まらずに模索中だったものですが、お願い出来ますか?「一憂は炎となりてどんど焼」とも。どんどの勢いある火に憂いを消した・・・
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそありがとうございました。もうひとつ、題を出します。
(1)季語がないのでは?でも、干された靴と繕ひ終えし竹垣はとてもしみじみした風景。「春の靴」とでも。
(2)一憂を炎に捨てしが全部を言ってしまった。一部を言わずに読者にゆだねたい。

(1)お水屋の銅の蛇口や春ともし  茂(女)
(2)早春の頬紅の跡おてもやん
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)銅の、がリアルで、芸が細かい。蛇口の錆まで見えるような気が。春ともし、も水が滲んだように見え、効いている。 (2)おてもやん、がどこにいる、あるのかがわからず、句を難しい方向に持っていった。

(1)空ありの立札ありて二月尽  未知(50代,男)
(2)春の端にのぼる地球や寒卵
(3)開拓の子の通学路春寒し

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)空ありの立て札、はぶっきらぼうなとてもいい発見。空、だから、二月尽は近い季語では。もとほんわかした春の季語のほうがいいのかなあ。
(3)北海道開拓使の歴史を髣髴とさせる。余韻があり、よろしいのでは。

(1)冴え返る古美術店の大太鼓  はるを(60代,男)
(2)初蝶や畑に小さきつむじ風
(3)笑つてるごと磯畑の仏の座
(4)ぼたん雪積もるつもりになって来し

 他の方の作品を含めて、早瀬先生のご診断を楽しく拝読しています。このたび、4句になってしまいましたが、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ありがとうございます。
(1)できている句。太鼓の上面につもった埃も見えるような。ぴたりはまっているが、類句、あるかも。
(2)小さき、がどうだろう。初蝶や畑にありしつむじ風、くらいでいかが。
(3)文語であれば、笑つてる、は苦しい。笑ひたる、か。比喩に意外性がない。

会いに行く知られぬ梅の匂い着て  うさぎ
 宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 梅の匂い着て、はなかなか洒落ていていい。知られる、が説明くさい。作者の意図が出すぎた。


2008年2月21日

(1)枝先に春のおとづれ雨光る  山法師
(2)春日差もう四時なのか勘狂ふ
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)春のおとづれ、と言わずに訪れを感じさせるのが俳句の芸。
(2)勘狂ふ、とまで言ってしまうと完全に日記。「午後四時の座敷を満たす春日差し」くらいか。

水温むエステサロンの予約待ち  茂(女)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 予約待ち、ということは予約もすぐに入らない。水が温んだだけで、わーっとエステサロンに殺到する女性心が可笑しい。女性だけでなく、最近は男性のエステ、もあるらしい。楽しい一句。

(1)表札に熊男の二文字梅日和  菜月子
(2)冬波涛鎮めて金の倭王印
 「金印の金の輝き冬波涛」の推敲ですが、難しいです。
(3)十二種の講義要項春の風邪
 報告か、愚痴になっているかも。早瀬先生、中澤の句へのコメントをありがとうございます。寒い日が続きますが、ご自愛ください。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ありがとうございます。
(1)本当にありそうですね。梅日和、でこの人の性格もほんわかしていそうに思える。よろしいのでは。
(2)冬波涛鎮めて、は金の倭王印のことを言ったに過ぎない。つまり、句にずれ、ひねり、がないことに。
(3)十二種類とはすごいですね。新学期の前の期待感と、風邪気味の作者の対比がおもしろい。

面倒な恋の仲立ち春二つ  ねぎよしこ
 他の句評確かな事と、いつも感心して勉強させていただいています。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ありがとうございます。最近、この句評が生活の中心のようになってしまいました。(笑)
 春二つ、の用例は余りありませんね。恋の仲立ち、だから、二つ、で理屈でつながってしまうのでは。でも、なかなか楽しい恋のような感じはする。

(1)キリストは催眠術師春あられ  未知(50代,男)
(2)シーラカンスの子の産みて隠れ野火
(3)野火つけて太平洋の波高し

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)キリスト、をだすと、それなりに雰囲気はでてしまう。キリストは催眠術師、で種明かしになっている。
(2)子を、ではなく、子の、でわからなくなる。隠れ野火、も全体に、難解な方向へ向かいすぎ。
(3)野火から豪快な方向へ行った。リズム、読後感はよろしいのでは。

(1)冴返る荒れ田にひとつ猫車  小口泰與(60代,男)
(2)うららかや手漉きの和紙の靭皮瘤
(3)永き日や我の作りし楮紙

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)まだ春には程遠い感じの田にある猫車。情趣のあるせかいだが、いかんせん、猫車を置くと、なんでもそれなりにいい雰囲気がでてしまう。
(2)靭皮瘤がわからない。でも手漉きの和紙にできた瘤とうららかま日差しがよく響きあっているように。
(3)我の作りし、が説明。

水温む六角屋根の浮御堂  しんい(女)
 宜しくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 六角屋根の、まではいいなあと思って読んだが、浮御堂と答えを提示されると、ややがっかり。浮御堂のかわりに変哲のない建物を置かれたほうが。

お隣の番犬の尾に冬うらら  住田羚(40代,女)
 よく なついてくれてて・・果たして番犬役は大丈夫? 心配です。そんなことを詠みました。よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 お隣、という言葉は俗になりやすいが、この場合は犬の尾とあいまって優しい言葉となった。冬うららもいい感じ。よろしいのでは。

(1)あをによし奈良の山々鳥ぐもり  はるを(60代,男)
(2)裏山に春来たるらし鳴けるなり
(3)ぼたん雪積もるつもりになって来し

 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)和歌ではないので枕詞をまともには使えない。パロディーとか謎々とか、言葉遊びとして使ったほうが成功するのでは。
(2)鳴けるなり、がダメ押しでくどい。季重なりのような感じも。
(3)ぼたん雪がそろそろ本気になってきた。うっすら積もってきた感じをうまく句にした。なかなかの力量。

(1)穴を出る順番待ちの蛇一歳  北野元玄(60代,男)
 昨年の夏生まれました。正確には0.8歳くらいかな。
(2)古書店の二十面相冴え返る
 二十面相の俳句はまだ出てなかったかと・・。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)一歳、まで言わなくても。「穴を出る順番待ちの蛇一列」くらいでは。稔典先生がよく言われる「マンガのような」一句で、楽しい。
(2)冴え返った街で二十面相が高笑いをしているような。まずまずでは。


2008年2月20日

けもの道親指姫か冬タンポポ  ねぎよしこ
 朝零下6度積もった雪もパンパンに凍り、老い二人で雪と闘ってます.一病持ち老ろうくらしや寒を蹴り。よろしく頼みます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 けもの道と親指姫か、けもの道と冬タンポポか、どちらかで一句作られては。三句切れになっています。雪と楽しみながら戦ってくださいね。

(1)乳呑児をともなひ院の卒業子  文の子(60代,男)
(2)貝合せせし異邦人春隣
(3)揃ひしは金管楽器山笑ふ

 宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)院は大学院?なら卒業子、が合わないよう。病院?わからない。
(2)貝合せをする好奇心旺盛な異邦人に好感。春隣も効いている。よろしいのでは。
(3)金管楽器と山笑ふ、はとてもいい感じ。揃いし、が説明。

(1)薄氷やチワワの蹠柔らかし  小口泰與(60代,男)
(2)青空の点となりたる雲雀かな
(3)春めくや川瀬わき立つ風の音

 「どどどどと風の吠えるや頬凍てる」を「どどどどと風の吠えるや玉子酒」に推敲してみました。よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)チワワの蹠柔らかし、は発見性に乏しい。
(2)点となりたる、がありそうであまり読んだことがない。雲雀の潔さをうまくいいとめた。よろしいのでは。
(3)平凡。

三平の湯屋番をきく炬燵かな  くらら(60代,女)
 「湯屋番」は落語の演目です。番は実用語で詩語にはなりにくかったです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 林屋三平を知っている世代には楽しい俳句。三平の湯屋番、がマニアックなので、炬燵の着地が心地いい。詩語を使うのではなく、俗語を詩に転化するのが俳句。

バレンタインデー黴の香のワイン栓  茂(女)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 黴の香、がうまい。黴の香がする位ではないと、ワインも本物ではない。ここは、黴の香、に屈折がうまく現れている。

登下校守りし当番下萌ゆる  吉井流水(60代,男)
 少しつき過ぎかなと思いますがいかがでしょうか。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 私の出勤のときも定年後のご老人の登下校の当番の方がおられます。下萌えと当番がとてもいい感じ。「守る」でいいのでは。

(1)大木の魂降る釿始めけり  未知(50代,男)
(2)綿菓子の箸にからみて春めきぬ
(3)父の情より母の情冬ぼたん

 釿始め=ちょんなはじめ、宮大工の仕事始め。聖徳太子の仏教に基ずく国造りの象徴として、法隆寺や五重塔等の建築物建造の為に、百済の職人を招聘し、正月の仕事始め1月2日が起源。現高松建設(旧金剛組)
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)解説ありがとうございます。まったく知りませんでした。大木の魂降る、がそのままでは。
(2)綿菓子の箸にからまった春はいいですね。
(3)うーん。直球過ぎて、俳句としては難しいのでは。

(1)春の雨甘露となりて幹伝ふ  山法師
(2)鉄棒に光弾みし春来る
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)甘露、が答えになった。
(2)鉄棒と立春はいい取り合わせ。光弾みし、がやや説明なので、工夫の余地あり。

(1)のの字なるねこに譲りし冬日向  うさぎ
(2) 地吹雪の果ての灯火目指しつつ
 サブゼロの日が続きますが、 皆さんの春の俳句を読むと、心が温まります。久々ですが、宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 お元気でしたか。
(1)私もお気に入りのソファを家の猫に譲っています。「のの字なる」がのんびりした効果を出している。
(2)実景でなくとも、境涯句とも読める。

冬バラの目覚め先鋭的ピンク  住田 羚(40代,女)
 余りにも 省略しすぎでしょうか?
 (追伸:お人に教えられて、初めて、いきなり送信してしまいました。ドクター早瀬にご挨拶も出来ずに・・失礼お許し下さいませ。よろしくお願いいたします、ネ。)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 そういう方のご参加、とてもうれしく思います。
 掲句。普通、先鋭的とまで言ってしまうと、言い過ぎ、説明、となってしまうが、この句の場合、そんな感じはしない。なぜか。句またがりの効果と、ピンク、とぷつんと終わっているから。でも、薔薇はピンクでは当たり前なので、「ワイン」とか、変な言葉を入れるとおもしろい。


2008年2月19日

紅梅に夢見る目白でありにけり  豊田ささお(70才以上,男)
 友人のブログに紅梅にメジロガ2羽同じ方向を向いて止まっている写真があり、「これで一句作れ」というのですが目白は秋の季語ですね〜・・で、こんなぐあいですがどうでしょう?
ドクター早瀬の診断と処方箋
 紅梅が強い季語なので、季重なりにはならないでしょうね。目白は、夏の季語という説もあるようです。紅梅の馥郁たる匂いに、夢見る、は付きすぎでは。紅梅と目白にこだわられなくとも。

(1)啓蟄や古楽器の音遠くから  勇平(70才以上,男)
(2)春の朝一番列車の遠音かな
 古楽器はどちらかと言えば秋のイメージ?「番」での句作り、楽しませて頂きました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ありがとうございます。
(1)啓蟄の頃に、古楽器は眠そうな感じでとても合っている。何の楽器だろうか。琵琶、シタール、チェンバロ、といろいろ想像が広がり、楽しい。
(2)残念ながら、類句多し。

(1)冬晴れやカルテに円く脂肪肝  茂(女)
(2)気掛かりの文書き終えてほっと春
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)脂肪肝、笑えないな〜(笑)。円く、がわからない。絵が描かれているのだろうか。「冬晴れやカルテにありし脂肪肝」でいいのでは。
(2)「気掛かりの」「ほっと」は説明。ただ、文と春の季語で、ふつうとは違う言い方で。

(1)好きな子と明日は当番チュウリップ  sa(60代,女)
(2)番さんも田さんも居る春炬燵
 宜しくおねがいします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)チューリップは、わざとチュウリップ?小学生とすぐ思うが、中年男の願望と読むと、笑える。
(2)人名の効果が、あまり出ていないのでは。固有名詞は、誰もが知っているものでないと。

(1)スミレ展番外の香のつよきかな  藤原有(女)
(2)面謁や春の横山大観展
 ご指導どうぞよろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)番外のもののほうが香りが強い、という発見。よろしいのでは。
(2)めんえつ、が難しすぎる言葉。横山大観、にお目にかかると言うことか。や、で切るのもおかしい気がする。

(1)春一番くるまの流れ途絶えると  仁(60代,男)
(2)春うらら遺跡ぽこぽこ番外地
(3)三月のわれの右脳のあはれなり

 早瀬先生、よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)と、がわからない。春一番の風でクルマが途絶えると言うことか。理になった。
(2)モグラが出てきそうで、遺跡ぽこぽこ、はおもしろい。番外地とのつながりがわからない。
(3)自分を嗤う手の俳句。淋しくなる、笑い。

(1)甘藍の茎立ち上がる番外地  草子(60代,女)
 「番」で作ってみましたが甘藍は夏の季語ですね。実際は間引かれた春キャベツです。
(2)薄ら氷や今日も電話で生きている
 一人暮らしのお年寄りのこと。私は「アゴラ」のサイトで・・ですので又よろしくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)網走番外地かな。世間には戻れない、極北の牢獄の地にも甘藍の茎は立ち上っている。余韻の残る一句では。
(2)ら、はいらないのでは。今日も電話で生きている、はすこしナマすぎるか。薄氷と電話でさりげなく作られては。

(1)蕨狩「さいしょはグー」とじゃんけんし  文の子(60代,男)
(2)卒業子袴の下のハイヒール
(3)なほ司法試験残れり卒業す
(4)城壁のざらつきゐたり首里は寒

 沖縄はそろそろ打ち止めにしようと思いますが、宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「さいしょはグー」は俳句でよく見かける。じゃんけんし、も言わなくともわかる。
(2)川柳に近いかな。「スニーカー」でもおもしろいか。
(3)詩がどこにあるかわからない。
(4)首里は寒、の言い切りが心地いい。リズもいいし、まずまずでは。

(1)紅梅のいささか遅く匂ひけり  未知(50代,男)
(2)みちのくの梅の咲くべき闇夜かな
(3)上京や赤っ恥かく野水仙

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)眼目がどこか、わからない。
(2)べき、が眼目。梅が咲いていると思えるほどの闇とは。おもしろい。
(3)よくわからない。

(1)春浅し今朝は東に月のあり  小口泰與(60代,男)
(2)山風に川瀬の起ちて冴返る
(3)雨やさしつぼみ育むねこ柳

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)今朝は東に月のあり、は何ということのない景だが、静かに心に沁みてくるフレーズ。好きな句。
(2)川瀬の起ちて、が大げさだが、俳句としては効果が出ているのでは。瀬が起つくらいの冴え返り。
(3)やさし、ですべて言い尽くした。

明日きっと雪ウオッカを少しだけ  涼(70才以上,男)
 早瀬さま、宜しくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 中6で字足らず。「雪割りウオッカ少しだけ」か「ウオッカに雪を少しだけ」「明日きっと」は余計のような。

春はあけぼの夫に小さい嘘をつき  けいこ(60代,女)
 よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 夫は、つま、と読ませるのかな。小さい嘘、が夫へのささやかな恋心を物語っている。まずまずでは。

またですか切りなき電話日永かな  山法師
ドクター早瀬の診断と処方箋
 誰の電話なんでしょうね。「またですか」で気持ちが出すぎて冗漫になった。「きりのない電話日永にまぎれ込む」


2008年2月18日

(1)池の面に揺るる茶室や春北風  岬(女)
(2)洞大き楓のなほも芽吹きをり
 先日鶴見の花博跡に行って参りました。寒い日でしたが、公園の木々には芽吹いておりました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 私は、もう少し先の季節、家族での岡本梅林公園行きが、恒例行事です。
(1)リズムがよくない。「春北風」を違う季語にされては。でも、茶室が揺れるのは、少しおもしろい。
(2)「なほも」が説明。「洞大き古き楓の芽吹きをり」楓の大木にとても親近感を覚える。

(1)落ちる番気持ちを込めてクリックす  どんぐり(男)
(2)夜もすがら落ちる番きし梅はまだ
 チャットから落ちる番をよみました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)(2)「落ちる番」だけでは、チャットをよく知る人しかわからないのでは。(わたしも)
(1)は季語なし。でも、番でがんばって作ってくださり、ありがとうございます。

葱畑だった白亜の館かな  茂(女)
ドクター早瀬の診断と処方箋
 白亜の館が意味深。成金の家のように見える。とすると、やや皮肉な社会詠か。かな、とあるので、「葱畑なりし白亜の館かな」

(1)春来たる椰子の葉揺るる朱の館  文の子(60代,男)
(2)寒ざくら尚王禅に帰依せしと
 (琉球王尚氏を偲んで)として宜しくお願い致します。
(3)花筏ほどけて番鳥の道
 兼題を急ぎお出しします。昨年作りました。早春には合いませんが、春ということで宜しくお願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)椰子の葉揺るる朱の館、がややゴタゴタしている。朱の館を一語の名詞で言いたい。
(2)尚王が禅に帰依したことは知らなかった。が、いかにもそうだったんだな〜と思える。寒桜の力か。よろしいのでは。
(3)花筏がほどけて、番、がわかりにくい。作者の意図がうまく出ていないのでは。

(1)番傘に「鈴家」と墨書春の雪  せいち(60代,男)
 「鈴家」は字数合わせの創作、こんな時は中8となっても良いのでしょうか?
(2)盆梅や歳旧るほどに艶めいて
(3)寒明ける真ん丸の黄身二つ出で

 宜しくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)創作結構。リアリティがあれば。この場合、成功しているのでは。黒々とした太い文字が見えてくる。春の雪がはまりすぎか。
(2)説明。
(3)寒明けと黄身二つはおもしろい。「寒明けや卵を割れば黄身二つ」

(1)年金の特別便や春の闇  沖人(70才以上,男)
(2)番長と言われて久し春の闇
(3)橋渡る大阪府知事春動く

 本当は 「橋下に」 としたかったが、俳句にならないと思い「橋渡る」としたが如何。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)時事俳句。ぴりりとからしがきいている。闇、がそのままで、川柳に近くなったが、おもしろいのでは。
(2)作者が、老いてなお番長といわれる。面倒見のいい人なのだろう。最初読んだとき、清原と思った。(笑)
(3)橋わたる、は一線を越える、の比喩か。ややわかりにくい。

(1)洋書屋にソナタ流れて建国日  菜月子
(2)番にはならぬ生き方猫の恋
 早瀬先生、いつもご指導ありがとうございます。兼題に挑戦すると、思ってもいなかった句が出てくるものですね。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ。
(1)洋書屋にソナタは違和感がない。が、建国日との関係が難しい。深読みもできそうだし、悩ましい。あまり読者を疲れさせない方が。
(2)これも取り合わせとして読む。番にならないのは、独身女性の生き方。横目で恋猫を見ている。少し、くすっとなり、また少し哀しい。

(1)小半日焚火の番をしてひとり  穂波(女)
(2)金星に石けんの香の雪の暁
(3)寒バラを切る指先に静電気
(4)寒バラの切口に火を付けにけり

 先日はご指導ありがとうざいました。バラの茎の切り口を焼くのは、花持ちを良くする方法の一つです。私も最初はぎょっとしました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)一人、は言わなくてもわかるかも。「小半日焚火の番をしてをりぬ」ひたすら静かな世界。
(2)「金星に石けんの香」に驚いた。これはなかなかすごいのでは。
(4)のほうが好き。サディスティックな、狂気を感じる。非現実感あり。

(1)梅が香や番傘抱へ逢ひにゆく  勇平(70才以上,男)
(2)恋猫や土管の中で寝ずの番
(3)球春来(く)いの一番にネット裏
 何れも川柳のような軽薄な句となってしまいました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)わざとベタをねらったか。時代劇俳句。
(2)「寝ずの番」が言い過ぎ。「恋猫や土管の中の時間かな」くらいでは。
(3)気持ちはわかる。ネット裏で何かおもしろくできないかな〜

平面図ためつすがめつ春の神  豊田ささお(70才以上,男)
 どんな春にしようか・・・神様が考えている情景ですが、下5がどうにも難しいです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 掲句では、作者の意図が伝わらない。平面図、だけでは何の図かわからないし、春の神、は農業、豊穣の神に思える。意味がつかみにくい。

千代田区一番地賢所の梅便り  北野元玄(60代,男)
 番は難しい題ですね。上句は上五が長すぎですが、千代田区も一番地もはずせない と思っています。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 賢所、は皇居のなかのかしこどころか。皇居となると、少し、時事か、社会性を帯びるかも。読みが難しい。

(1)たんぽぽのぽっぽぽっぽの大地かな  未知(50代,男)
(2)春は曙山の端の湧き上がりけり
(3)絵手紙の空輸するオーロラの町

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)「たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ」(坪内稔典)のパロディー?
(2)これも本歌取りですか。2番煎じから超えるのはとても大変。
(3)絵手紙に描かれたオーロラを、空輸ととらえた。少し新しみがあり、おもしろい。


2008年2月17日

(1)春雪を榛名たまはる朝ぼらけ  小口泰與(60代,男)
(2)春の雪庭を賑わすチワワかな
(3)トリマーに抱かれしシーズ春の雪

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(2)庭を賑わす、が説明。でも、春の雪とチワワは好きな取り合わせ。
(3)シーズ、がわからない。

番付のびりは九十梅便り  吉井流水(60代,男)
 「びり」が気になりましたが、ご高齢の方にも春が巡ってきました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 何の番付けかわかりにくい。相撲?長者?長生き?もう少し手がかりを。

(1)おしゃべりとたっぷり番茶余寒かな  あかね(50代,女)
(2)永日の順番にみる河馬二頭
 診断を伺うのが楽しみになりました。今回もどうぞよろしく。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 ありがとうございます。
(1)番茶が題でとても俳諧的。意味がすっとわかりすぎる。たとえば「おしゃべりが番茶になっていく夜寒」とすると、読者が?と少し考えておもしろいのでは。
(2)や、で切りたい。二頭なのに、順番に、が少しおもしろい。

(1)風雪を鳶一直線に帰るなり  千坂希妙(50代,男)
(2)一本の氷柱一枚の薄氷
(3)さざ波の止む日湖凍る時

 日光に旅したところ思わぬ大雪。現地は大変でしょうが私は感激しました。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)実際の光景は美しくて感動しすぎると、かえって俳句を作るのは難しくなりますね。報告に止まる。
(2)あえて氷柱と薄氷のどちらも入れたところにやや新しさはある。
(3)凍るから、波がやむのは当たり前。でも、静かな景を切り取って荘厳な感じは出た。

(1)背番号ぞろ目の三桁春の空  茂(女)
(2)拉麺のもやし山盛り山笑う
 何時も添削有り難う御座います。ラーメンに青々とした葱が山盛りでしたが、葱は冬の季語でもやしに変えました。宜しくご指導お願い致します。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 こちらこそ、ありがとうございます。
(1)おもしろい目付。ぞろ目の三桁、はおもしろいが言い方がくどくどしている。「背番号三三三に春の空」のように、何かの数字を重ねたほうが効果的。
(2)ラーメン、と簡単な言い方のほうが。ラーメンがとてもうまそう。まずまず。

「見てよ見て」こんな大きなボタン雪  えんや(70才以上,男)
 去勢の句すみません(泣)。俳句は詩と心掛けます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 時に謎解き、時に挨拶、詩と限定ではないですが、すみません。こんな大きなボタン雪、がわりとふつうのといかけなので、上5をもっと意外な言葉にしたい。

塗り立ての土蔵明るし日脚伸ぶ  しんい(女)
 宜しくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 土蔵と日脚伸ぶ、は合いすぎるくらいぴったりなので、明るし、くらいでは俳句としては読む楽しみが出てこない。この2つの言葉で勝負なら、他の一面の発見を。

(1)残照に浮き出づ榛名初蛙  小口泰與(60代,男)
(2)榛名にて雲はぐくむや岡すみれ
(3)のどけしや金平糖のつのまるし

 よろしくご指導願います。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)(2)榛名を知らないので、イメージがつかめない。
(3)金平糖も俳句ではよく出てくる。角が丸い、はわりといい発見。のどけしや、は付き過ぎかも。

鴛鴦や番とならぬ面構え  遅足(60代,男)
 番と面を一緒に入れてみました。番も面もムツカシイです。普段は季語でつくっていますから。番の方で診断して下さい。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 おしどりはむつまじい夫婦のイメージ。が、それをくつがえして番とならぬ、だが、理のほうへ行っているように思う。でも、番での挑戦、ありがとうございます。

(1)山の子の絵の出る絵本雪間草  未知(50代,男)
(2)リモコンの手のうちにあり雛あられ
(3)職辞すと決めし日に食ふ蜆汁
(4)うすれひの日の動きたる青き影
(5)鉄棒の前後決まりて春の風

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)絵の出る絵本、は俳句ではよくあるが、それを山の子が遊んでいて、雪間草があるのは、とても懐かしく、いい風景。よろしいのでは。
(2)リモコンの手のうちにあり、の意図がどこにあるか、(感動のありどころ)がわからない。
(3)職辞すと決めし日に食うものとして蜆汁はとてもぴったり。そのときの心境を、いろいろ想像したくなる。
(4)うすらい?青き影はよくある。

出まかせがほんとの事に二日灸  山法師
ドクター早瀬の診断と処方箋
 お灸をよく知らないので、本当のおもしろさがわからないが、前半のことは俳句でありそうだが、この取り合わせで、俄然おもしろくなるのだろうか。解説を聞きたいほう。

雪解けや食われしサギの羽白く  豊田ささお(70才以上,男)
 二河白道・・ご理解いただき有難うございました。掲句は、今日の見たままです。 たぶん鷹に食われたダイサギだということでした。これも食物連鎖ですが・・・
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「雉子の眸のかうかうとして売られけり」(加藤楸邨)の世界ですね。雪解けなので、泥がついて「黒く」となりそうだが、「白く」でサギへの鎮魂となった。よろしいのでは。


2008年2月16日

土筆ん坊一番星の見えるまで  仁(60代,男)
 早瀬先生、今日もよろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 とても省略の効いた一句。つまり、読者の想像が広がる。日が落ちるまでなぜ作者は土手にいるのだろう。季語がよく効いている。

(1)交番はいつも無人で黄水仙  メトロノーム(女)
(2)死語となるアベック半ドン独活きざむ
 近所の交番にお巡りさんは常駐していませんが、いつもきちんと片付いていて、花が飾ってあり、ほっこりした雰囲気が好きです。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)交番はいつも無人で、にやや意外性がない。「交番に飾られている黄水仙」だけでいいのでは。
(2)これも言われてみると、そうだな〜と少しおもしろいが、余韻が残らない。つまり川柳に近い。ものを教える情報の俳句は成功しにくい、ということか。

(1)雪掻きし隣の人は金沢出  岡野直樹(男)
(2)一夜のみわかっていても雪掻きす
 一日で降り積もって、一日で融けてしまった雪でした。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 岡野さんはどこの地方の方でしょうか。こちらは神戸の山側なので、少し積もっても、坂を走る車が怖いです。
(1)挨拶句っぽくていい。いやに手馴れた人だなと見ていると、金沢の人だとはじめてわかった。いい日常句。
(2)日記として。

春寒や乾ききったる畦の土  しんい(女)
 宜しくお願いいたします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
 完全な文語なので、「きつたる」と書く。できた句だが、景にあたらしみがない。この手は何百と詠まれているので、畦の土、のところに意外性のあるものを。

(1)番外だあいつはいつもの春の風  ポリ(50代,女)
(2)梅ほろりはらりぱらりと宅急便
 いつもありがとうございます。よろしくお願いします。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)番外、の意味が捉えにくい。番外だあいつは、で切れるのか。番外だ、で切れるのか。その場合の番外の意味は?わからない。
(2)梅の開花を届けてくれた宅急便。詩がある。

(1)下萌や笑ひ声する石舞台  はるを(60代,男)
(2)水温む百万石の城下町
(3)海底を引くごと若芽引き上ぐる

 いつも、的確なご指導ありがとうございます。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)下萌と石舞台がいい。散策している人の笑い声が、古代人の声のように響く。わたしなら、「石舞台古墳も笑う春の宵」
(2)百万石の城下町、が昔からの形容で、俳句を観光コピーのようにしてしまう。
(3)海底ごと引き上げるという言い方がおもしろい。「若芽上ぐ海の底ごと引き上ぐる」

(1)ビル街に出て大きさやぼたん雪  未知(50代,男)
(2)雪解けの雫ひとつに日の照りて
(3)ひらがなのふくよかな春の七草

 ご教示を。
ドクター早瀬の診断と処方箋
(1)ビル街に出て、が状況説明。牡丹雪の大きさを言うのであれば、や、で切るのもおかしい。
(2)未知さんのいつもの切れ、大胆な比喩がない。散文になっている。
(3)ひらがなの七草はすこしおもしろい。が、切れがないのと、リズムが悪い。

サイレンに呼応する犬春寒し  山法師
ドクター早瀬の診断と処方箋
 「呼応する」が硬い言葉で苦しい。「サイレンにこたえる犬や春寒し」では。でも、サイレンと犬と、早春、何か好きな世界。