|
俳句クリニック 2008年4月前半分(ドクター:中谷仁美) 「e船団」のドクターがあなたの俳句を診断したものです。
|
| 5月と6月の担当ドクターは中谷仁美です。 | |
| <プロフィル> 淡路島生まれ。小学校教師をしています。 大関琴光喜とハシビロコウという鳥が大好き。 苦手なことは、片付け。 新米ドクターですが、よろしくお願いいたします。 | |
|
|
|
ドクター中谷の診断
|
|
2008年5月15日 (1)ぷらぷらと折り畳み傘五月憂し 茂(女) (2)揚羽蝶すかし模様の椅子の庭 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)上の五七、「ぷらぷら」がとってもいいと思います。このオノマトペがあれば「憂し」はなくてもアンニュイな感じは十分伝わると思います。 (2)静かな雰囲気を持った句だと感じました。揚羽蝶と椅子、存在感がありますね。素敵な句です。 (1)草を抜く抜かぬときょうだい喧嘩かな 豊田ささお(70才以上,男) 「わが庭の花咲き満ちて死ぬばかり」の推敲ですが、ドクターのご指導に添えられ そうにありませんが・・「死ぬばかり」を「薄暮かな」ぐらいでも・・・ (2)黄鶲の隠れしあたり黄色なる いつも的確にご診断頂き深謝です。キビタキでもう一回なおしましたのでお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)「わが庭を花咲き満ちて薄暮かな」は美しいですが、庭の手入れをめぐる大人のきょうだい喧嘩という題材がなんともおもしろくて(すみません・・・)なんとか俳句になったらいいのになと思っています。意味は少し違ってきますが、「草取り合戦」「草刈バトル」など、名詞化してしまうのもひとつの方法かと思います。いかがでしょうか。 (2)先日の句より洗練されたと思います。「黄色なる」という言い方、最初は若干ひっかかたのですが、余韻が残っていいかもしれないなと思っています。かわいい句です。 (1)夕顔や源氏絵巻の巻かれゐて 学(50代,男) (2)若人のうたすたれをり花りんご (3)白玉や農地を捨てしままなれど (4)花辛夷痩せたる土地の民なれば (5)ラムネ飲むマンボズボンのままの足 ご教示を。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)夕顔と源氏絵巻はどうしてもつきすぎてしまいます。「巻かれゐて」というところは面白いと思うので、季語の部分、源氏物語の世界から少しはなれたものを持ってこられてはいかがですか。 (2)「若人」と「花りんご」、島崎藤村の詩を連想させる取り合わせですね。このうたというのは、一般的なSONGの歌でしょうか、もしくは詩歌のうたでしょうか。抽象的な観念の世界からすこしはみ出したほうが読者が世界を共有しやすいと思います。 (3)(4)似たようなつくりになっているのですが、取り合わせのよさは(3)のほうかと思います。 (5)今もあの頃とかわらない、ということなのだと読みました。マンボズボンとラムネ、象徴的な小道具です。 さいているどのクローバーもきいろ 汽白(40代,男) 朝倉ドクター、ありがとうございました。中谷ドクター、はじめまして。よろしくお願いいたします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。はじめまして。よろしくお願いいたします。クローバーといえばシロツメクサのイメージが強かったので調べてみると、黄色い花が咲くクローバーもあるのですね。この句の場合、ひらがな表記と字足らずが幼い、たどたどしいイメージを与えていてそれが成功していると思います。黄色い花が咲くクローバーを発見したちょっとした驚きでしょうか。かわいい句です。 (1)片影の土塀の町や人あふれ 岬(60代,女) (2)境内に泳ぐや百の鯉のぼり (3)杜若堀を狭めて乱れ咲き はじめまして添削お願いします。先日近江八幡に行ったときに詠みました。連休最後の日で初夏を感じました。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。初夏らしいさわやかな連休でしたね。 (1)町に「人あふれ」というのでは、ありきたりすぎる気がします。上の五七がさらっともとまっていますので、結句にインパクトのある語を持ってくるといいと思います。 (2)「百の鯉のぼり」はいいフレーズです。句に数を入れるとイメージが鮮明になります。豪快な光景ですね。「泳ぐ」という語は鯉のぼりに対して平凡すぎるかと思いますのでここはひと工夫ほしいと思います。 (3)「堀を狭めて」というのが説明的かと思います。様子はよくわかるのですが、もう少し詩的な表現のほうがこの句に合います。「乱れ咲き」というのも岬さんならではの言い回しを探されたほうがいいと思います。 (1)風薫る主席和上に見参す 山本葆博(70才以上,男) (2)明易や和上主席を慈しむ (3)唐國の主席渡るや鯉幟 初めまして、宜しくご指導賜わります様お願い申し上げます。胡錦濤主席、訪日の評価は兎も角、我が国二千年来の隣国最高指導者の来奈、唐招提寺参詣にちなんで三句、誠に平凡ですが、ご多忙の折申し訳ありません。宜しく願いあげます。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。胡錦濤主席の来日は、連日テレビや新聞で大きく報道されていましたね。時事詠三句、拝読いたしました。今ちょうど社会科で日本の歴史を教えていて、もうすぐ奈良時代に入ります。今回のニュース、山本さんのような見方ができるのだなあと気づかせていただきました。時事詠って、時事にすばやく対応して俳句にすること自体にひとつの価値があると思います。添削なんてしていいのかと少々戸惑いますが、よろしくお願いいたします。 (1)「主席」と「和上」、尊称が並ぶのが面白いところです。固い印象もこの場合心地よく思います。最後が見参すと終わっているので、句のリズムに変化を持たせるためには初句の「風薫る」を体言の季語(例えば青嵐など)にしたほうがいいかなと思いました。 (2)「明易や」、ここは季語なのに「明」という国のことばかりを考えてしまいます。これはもしや山本さんの作戦でしょうか。 (3)スケールが大きな感じがしていいと思います。うまい取り合わせだと思いました。「唐」とわざわざ言うことでなんともドラマが生まれます。鯉のぼりも元は中国の話ですね。 2008年5月14日 亀の子の一直線に海めざす しんい(女) どうも散文調で・・・宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 上中下どれもが助詞でつながっていて、しかも最後が「めざす」と終わると、やはり短文となってしまいます。ここは、どこかで切るか体言止などを活用してください。海を「○○海」と固有名詞にするなどもひとつの方法かと思います。 (1)夏桜幾そたび来し小布施かな 小口泰與(60代,男) (2)雲の峰仙台駄菓子積まれをり (3)沢蟹の逃げ足早し鄙の宿 よろしくご指導願います。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)懐かしい感じです。「夏桜」というのもいいですね。 (2)仙台駄菓子の存在が効いています。雲の峰と積まれている駄菓子の遠近感がありますね。 (3) 「逃げ足早し」というのはそのままの表現になってしまっているので、ここに工夫をすると、「沢蟹」と「鄙の宿」という素材がよりいきてくると思います。 (1)はつ夏や吾子が差し出す初名刺 更紗(女) 「はつ夏や」を「はつ夏の」とした方が良いでしょうか? (2)あかつきの気が動き初む若葉揺れ (3)青と白二分の空の新樹かな (4)はつ夏やモップ並め干す石の塀 石壁を磨き終わったモップが2本立ち並んで干されていました。原句を「石塀に並め干すモップ夏はじめ」ともしてみましたが前回質問させて頂きました様に「切れ」と季語の「上五」か「下五」で迷います。季語も的確か宜しくご指導お願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)かわいい句ですね。私個人的には「はつ夏の吾子」というフレーズ、好きです。何もかもが新鮮な幼子なのだなあと思います。でも、どちらでもいいと思いますよ。 (2)「動き初む」と「揺れ」は意味が近すぎますので一句の中に共存しないほういいと思います。 (3)色彩が美しい、五月ならではの句ですね。 (4)この場合は、初句に「はつ夏や」ときたほうが、取り合わせになるのでいい気がします。結句に「夏はじめ」だと、上の五七が「夏はじめ」のためにある感じになります。 つばめ反転板塀の突き当たり 涼 中谷ドクター、宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 つばめ反転という始まり方、勢いがあっていいと思います。ただ、ここに「塀の突き当たり」としてしまうと当たり前の句になっています。初句のインパクトが大きいので突飛な発想はいらないのですが、もっとよい続きがあるような気がします。突き当たり以外に、反転の理由をいくつか合わせてみてください。 (1)片影を出る少女らの脚鳩逃げる きなこ(50代,男) 「片影を出る少女らの脚ガード下」を推敲して、ですが・・・。 (2)夏来るぐるんと蛸の裏返り (3)子供部屋見る窓越しのチューリップ よろしく、ご診断下さい。 ドクター中谷の診断と処方箋 (1)字余りが気になります。題材が多いのでいっそのこと結句は脚に焦点を当ててしまったらいいのではないでしょう。 (2)おもしろい句です。蛸を料理する母の姿を思い出しました。蛸自身が水の中でひっくり返っていると読むのが自然なのかもしれませんが。 (3)似たような発想の句が最近もありました。この句の場合は、「見る」がなくても「窓越し」だけでいけそうです。たとえば「窓越し赤いチューリップ」とするなど、色を加えると句の情景が広がると思います。 (1)夏来るどうだ腕ひしぎ逆十字 ポリ(50代,女) (2)網棚に張子の虎置く立夏かな アドバイスありがとうございます。今回もどうぞよろしくお願いいたします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)大胆な句です。なんだか腕がむずむずします。ただ、言葉が長いので下がどうしても重くなります。なんとか中をきちんと七に収めたいところです。「どうだ」を別の掛け声にできないものでしょうか。 (2)おもしろい発想です。この句、「かな」と終わるよりも「立夏」と体言止で終わるほうが「虎」の持つ雰囲気に合う気がします。語順を入れ替えるなどご検討してみてください。 2008年5月13日 (1)校舎窓校長みてゐる桜かな えんや(70才以上,男) (2)黄金週間果て金婚の旅に出づ (3)登校の鴨のごと横断する 7日の句評有難う御座いました。大変参考になりました。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)校長が窓の外を見ているのですが、桜も校長を見ているような感じですね。 (2)「金婚の旅」と言えば「出づ」はなくてもいいと思います。その代わり地名を入れるなどリアリティを持たせてはいかがですか。 (3)かわいい情景ですが、「鴨」だと字足らずとなるのが気になります。 (1)たらの芽を揚げて早目の夕餉とす 藤原 有 (2)雨含む薔薇一本の手に重し (3)藤の昼あと2ページを惜しむかな はじめまして、どうぞよろしくご指導お願いいたします。 ドクター中谷の診断と処方箋 初めまして。よろしくお願いいたします。 (1)山菜のおいしい季節ですね。ストレートすぎる表現なので、早めの夕餉という部分にひとひねりあるといいかと思います。 (2)薔薇と手がクローズアップされた、落ち着いた印象の句です。「重さ」の一語に意味の深みを感じます。 (3)好きな本、読み終えたいけど読み終えたくない、そんな気持ちかと読みました。こんな時が私にもあります。藤の昼と読書は合いますね。 (1)みちのくや緑雨にけぶる金色堂 しんい(女) (2)退院し新茶味はふ二人の居 (3)おもむろに金扇使ふ薪能 宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 3句とも情景がよくわかる句ですね。 (1)美しい句です。ただ、みちのくと言わなくても「金色堂」といえば自ずから中尊寺が思い浮かびます。 (2)「味はふ」、思い切って「うまし」など、味覚で喜びを表現されたほうが思いが伝わると思います。 (3)薪能の説明のようになって、「おもむろに」という驚きが活きていない気がします。「薪能」を初句に持ってきて七五で情景を語ってみてはいかがでしょうか。 横縞の太いや細い夏が来る 慈英(50代,男) 初めまして。ご指導宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いします。 夏らしい素敵な句です。「太いや細い」というぶっきらぼうな表現がおもしろい!確かに、横縞の服ってマリンルックの必需品ですね。色々な太さの横縞が街にあふれている、そこを夏の句に仕上げた発想がいいと思います。私がもし服やさんなら、慈英さんに書いていただいて店先に掲げたい句です。 (1)アオガエル半眼に見る救急車 豊田ささお(70才以上,男) 「アオガエル眠い半眼蛇を見る」の推敲です。半眼、眠いように見えますね。そして蛇は揃いすぎていると・・・まったく気付きませんでした。 (2)千年の三本杉や青田風 6日に句会があり、「千年の三本杉と青田風」で出句しましたら、誰も拾ってくれませんでした・・で、少し変えてみました。 (3)千年の大杉の空五月来る 単に「五月来る」を使いたかっただけの句ですが。何か響くでしょうか・・・句会では「大杉の天辺までも五月来る」を句友が出していました。主宰のいわく「俳句はプラス思考、マイナス思考は駄目」。このことにいつも反感を覚えつつも、ついていっている始末です・・。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)「眠い」を省いてすっきりしました。救急車、だいぶ離れましたね。人間世界のあわただしい様子を半眼で伺う達観したアオガエルといった感じですね。いいと思います。ちょっと大胆ですが、たとえば「夜のキス」などロマンチックなものを持ってきてもいいかもしれません。参考までに。「半眼」って想像が広がるよい言葉です。 (2)推敲後のほうが句が引き締まっていてよいと思います。 (3)「五月来る」って、力強くていい表現ですね。「千年の大杉の空」と取り合わせることで相乗効果があります。俳句におけるプラス思考ってどういう意味かと色々考えてしまいますね。自分の思いや考えを作品にすること自体が、プラス思考の行動なんじゃないかなと思ったりもします。 (1)空高く父こそ作れ鯉のぼり 藤尾(50代,男) (2)散る花の転び止まるや貝めきぬ (3)電線の黒き単音寒烏 かかり結びなど言葉使いは正しいでしょうか? ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)かかり結びの形としては問題ないと思うのですが、意味がとりにくいのです。お父さんが鯉のぼりをつくるのかなと考えてみましたが、お父さんが鯉のぼりを揚げるというのが自然かと思います。いかがでしょうか。 (2)散った花びらが貝のように見えたということかと思いますが、二句目で「や」と持ってくると切れてしまって意味がつながりません。花を転び止まるというのも、もう少しスマートな言い方がありそうです。ご検討ください。 (3)みたてが楽しい句ですね。「黒き単音」といわず、七音の部分で具体的にドレミの音を使ってメロディーを作ってみたらいかがでしょう。もっと楽しい句になりそうです。 空っぽの拳五月の水に解く 遅足(60代,男) アスパラが季語とは知りませんでした。ありがとうございます。下五がうまくないように感じています。あるいは、上五かな?診断をよろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。遅足さん。 上手くいかないとおっしゃっていますが、私はこの句いいなと思います。拳とともに何かしらの思いも水に解いているのだろうなあと想像しました。 気になる点、しいて言えば拳に込められた意味を想像しにくいところでしょうか。でもこのほわっとしたところがこの句の魅力かとも思います。 (1)五月雨やフェスティバルの花の塔 茂(女) (2)指きりのシニアの指に風光る (3)両膝に擦り傷の跡夏に入る ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは、茂さん。 (1)中七の字足らずが気になります。「○○フェスタの」「○○祭りの」など具体的な名称を持ってくるなどしてはいかがでしょうか。 (2)「指きり」に「風光る」はいい取り合わせです。ただ、シニアの指というのが抽象的かと思います。指の描写を細かくしてシニアの手であることを表すなどの工夫があればよいと思います。 (3)こけてしまってもがんばれる、前向きな気持ちがある句だと思います。「夏に入る」持ってきたのがよいと思います。 (1)藤の花蜜吸う蜂の羽の音 どんぐり(男) (2)藤香る有りや無しやの風に乗り (3)くたびれて藤棚の蜂眺めけり (4)ひとけない寺の藤棚ゆらぎけり 人気のない池のほとりの藤棚の藤が静かにゆらいでいました。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。先日どんぐりさんの雉の句を拝見した後、連休に実家(淡路島)に帰りましたらなんと、家の近くの田をてくてく雉が歩いていてケーンケーンと鳴いていました。 今回の四句ですが、 (1)藤の花、蜂、羽音と句がにぎやかすぎるように思います。羽の音をオノマトペで表してみるなど緩急をつける工夫が必要かと思います。 (2)「有りや無しや」というところが面白いですね。 (3)「くたびれて」という表現が直接的過ぎて、句全体が短文的になっています。藤棚の蜂を見て癒されたなど視点を変えて考えてみてはいかがですか。 (4)実家近くに大きな池があって、そこに大きな藤の木があり水面に藤の花が映っておりました。まさにこの句のような情景でした。言いたいことは良く分かるのですが、作品としてはひとひねりほしいところです。ご検討ください。 2008年5月12日 五月風樹の先揺らし空を切る 弓絃葉(60代,男) 始めたばかりです。よろしく。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 五月の風がさわやかですね。「空を切る」という表現、いいと思いますが、句全体が風の説明になってしまっていてもったいないと思います。風ともうひとつ、題材を取り合わせてはいかがでしょうか。 (1)四月尽温泉しも童の兄妹 文の子(60代,男) (2)温泉にメタボリックの父子四月尽 5/7に俳句は読みやすいことと承りながら読み難い句で申し訳ありません。ただ、温泉を「ゆ」と詠んだ句は「裸子をひつさげ歩く温泉の廊下 虚子」、「温泉の神に燈をたてまつる裸かな 蛇笏」等多々あります。 (3)子らの乗る小さきエスエル蝌蚪の紐 5/7のご診断有難うございました。「苑走る小さきエスエル蝌蚪の紐」は中7で切る取り合わせで、公園をミニSLが走っていました。ドクターが診断される取り合わせの距離感からすると不適当なのかとも思いますが、掲句は如何でしょうか。宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 文の子さん、こんにちは。 温泉を「ゆ」と読む件、例句を引いてくださったのですね。先日の評にも私見ですとお断りしましたが、あくまで私が作句する際に考えていることです。ドクターの一意見としてご参考までにと思い書かせていただきました。 (1)「しも」が気になります。日常の語に置き換えられたほうが分かりやすいかと思います。 (2)思わず想像して笑ってしまいました。この父子、似たもの親子の男版ですね。「四月尽」というのがのどかでいいですね。 (3)すみません、私の読み方が悪かったのですね。「子らの乗る」とされるとSLそのものであるとはっきりわかります。「小さきエスエル」の字余りなのですが、「ミニSLや」とするなどはいかがでしょう。中七ではっきりと切れれば、この取り合わせでいいと思います。 (1)蓮の葉に水玉コロコロ雨上り 丸山俊郎(50代,男) (2)光秀も散り際見たかや蓮の花 「光秀もガラシャと見たかや蓮の花」の推敲です。蓮の花が三日で散るのを詠みたかったのですが。 (3)蓮の葉を頭に童家路駆け 「蓮の葉を傘に俄の雨をさけ」の推敲です。よろしくお願いします。 (4)だぼだぼの詰め襟歩く入学式 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)かわいいですね。確かに蓮の葉の水の玉はコロコロですね。あえて字余りを解消するとしたらコロリでもいいかなと思ってみました。 (2)リズムを考えると「見たか蓮の花」でいいと思います。 (3)推敲された句のほうが、誰が、というのが明確になっていて読み手がイメージを持ちやすくなっていますね。 (4)題材はいいと思いますが、このままでは短文のようになっていて洗練されていません。「入学式」を初句に持ってきて結句はきちんと五音で終わるほうがまとまりがいいと思います。ご検討ください。 しだれ柳水面に影を揺らしけり 悠(70才以上,女) ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 柳と水面はよくある取り合わせなので、それを挽回するためには、影の部分の表現に個性を発揮する必要があります。「揺らしけり」とせず「○○○の影」など、影の描写を細かくしてはいかがでしょう。 (1)園丁の薔薇切る音に驚けり 吉井流水(60代,男) 薔薇はしおれるかけたら切ってしまうのです。そのままですが。 (2)新緑や堰より落ちる水しぶき 水しぶきが今ひとつかと思います。よろしくおねがいします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)「驚けり」という直接表現をひと工夫されてはいかがでしょうか。 (2)確かに「水しぶき」というのはそのまますぎると思います。また、新緑と水しぶきもイメージ的に近すぎると思います。「落ちる水しぶき」の部分、思い切って、たとえば光や音に関する語を使って表現するなどの工夫が必要ですね。ご検討ください。 (1)卯の花や少女の手足長かりし 小口泰與(60代,男) (2)冷酒や上社下社の古伝あり (3)さえずりや親族集ひて諏訪の酒 (4)見下ろすや葦の芽激し諏訪の湖 (5)春宮の万治の仏若楓 (6)春宮と秋宮訪ふや百千鳥 よろしくご指導願います。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)卯の花と少女のイメージが合っていると思います。ただ、手足が長いというのは月並みな発想かと思います。ぜひ小口さんならではの切り口で少女の姿を語ってください。 (2)お酒と神社と古伝というのはつきすぎかと思います。神社の日ごろはなんでもないものに焦点を当ててみたら面白いと思います。 (3)親族の宴会の様子がイメージできます。「さえずり」を持ってきたことが成功しています。 (4)「激し」という語が一句の中で強すぎる気がします。 (5)「の」が2つ続いていることで、「仏」の説明になってしまいます。「春宮に」ではいかがでしょうか。 (6)体験をそのまま五七五にしている気がします。表現にひとひねりが必要かと思います。 (1)薫風や床に広げる纏り絎 更紗(女) (2)初夏やサプリメントのからからと (3)床拭きの鼻歌交じり風薫る 中谷先生はじめまして。細かい診断拝見しております。大変勉強になります。 (1)原句を「薫風の床に広げる纏り絎」「纏り絎広げる床や風薫る」ともしてみましたが違いが良く分かりません。(2)の原句も「夏初めサプリメントのからからと」ともしてみましたが。「切れ」について、又季語を「上五」か「下五」に置く場合の違いについて、ご教示よろしくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。新米ドクターですがよろしくお願いします。 (1)(ア)薫風や床に広げる纏り絎、(イ)薫風の床に広げる纏り絎、(ウ)纏り絎広げる床や風薫る、と、三句並べて読んでみると、(ア)(イ)は「纏り絎」に焦点が当たっていますが、(ウ)は「床」に焦点が当たるつくりとなっています。床に風薫るというのは月並みな感じがするので(ウ)は面白味に欠けるかと思います。(ア)(イ)の違いは、初句で切れているかどうかですね。(イ)は「薫風の床」と下に続いて、上五七がすべて「纏り絎」にかかっていますね。更紗さんの選ばれた(ア)は、「や」と切れることで意味的にも句にリズムが生まれています。いかがでしょうか。 (2)「初夏や」とはっきり切って正解だと思います。「からから」というのもいいですね。 (3)初夏の心地よい床拭きですね。さわやかな句です。季語の場所についてですが、これは句によると思います。私自身どうしているかというと、正直なところ直感的なもので決めているので、すみませんが、うまく説明できません。今回のように色々組み合わせて、何度も声に出して読んでみて、しっくりくるのが更紗さんの句となると思います。 (1)芽柳やマラソン人のすれ違ふ 学(50代,男) (2)桑の実の口をしてゐる子供らよ (3)早乙女の今宵限りや泥落とし ご教示を。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)この句「人と」とすべきではないでしょうか。助詞ひとつで句の印象は大きく変わります。 (2)おもしろい句です。「桑の実の口」というぼやかした言い方に、味なのか色なのか、色々想像がふくらますね。 (3)早乙女と泥落とし、分かりやすすぎる句かと思います。ひとひねり必要ではないでしょうか。 妻持てり都をどりの皿にじゃこ きなこ(50代,男) よろしくご診断下さい。 ドクター中谷の診断と処方箋 都をどりではお菓子のお皿がもらえるのですね。都おどりは夏の季語、じゃこについてですが、「ちりめんじゃこ」が春の季語になります。この場合共存は避けたほうがいいですね。ほかに何か乗せてみてください。また、都をどりの皿に、似つかわしくないものが乗っているということに焦点を当てるのであれば、「持てり」とまでは言わなくても「妻」という語があればいいと思います。 2008年5月11日 新緑のうねりのごとくハイウェー 仁(60代,男) 中谷先生、こんばんは。ご指摘の一言一言が僕にとっては、よきにつけ、悪しきにつけ句の向上(無理かな)につながればと診断を楽しみにしておりますのでどうぞよろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。私もまだまだ勉強中の新米ドクターなのですがどうぞお付き合いくださいませ。お願いいたします。 今回の句、情景がよくうかびます。ハイウェイと新緑というのはさわやかな取り合わせですね。ただ、結句の字足らずが気になります。また、「のごとく」の部分、なくてもいいと思うのです。「新緑のうねり」で一旦切ってハイウェイについてもう少し情報を足してもいいと思います。ご検討ください。 金管の不敵な音色祭の灯 しんい(女) 宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 どの金管楽器だろうかと色々想像してみました。不敵な音色といえば、トランペットでしょうか。「祭の灯」という終わり方、ふんわりといいですね。この句では、二句目の終わりが体言ででいったんここで句が切れますが、このつくりだと音色、祭の灯、と2つのものをならべたような印象になります。「金管の音色は不敵祭の灯」としたほうがつながりかたが自然ではないかと思います。いかがでしょうか。 都会にも右も左も春紫苑 あさ女(60代,女) 初めてのアドバイス興奮しました。なれないですいません。宜しくご指導お願いいたします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。こちらこそ、よろしくお願いいたします。 「都会にも」についてですが、「右も左も」と続けるのならば「にも」というのは適切ではないと思います。ここは「都会」という漠然な場所ではなくもう少し狭い範囲で限定できる語句を持ってきたほうが句のイメージがつきやすくなっていいと思います。 (1)菖蒲湯のしょうぶ頭に巻く子かな えんや(70才以上,男) (2)校庭に馬車の過る日卒業す (3)花菜香を両手に掬ふをとこかな どうか宜しく、お願い申し上げます。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)「菖蒲湯のしょうぶ」というところ、同じ語を2度持ってくるのは十七音という短い中ではもったいないと思います。菖蒲湯と言わなくても、「子がお風呂の中で菖蒲を頭に巻いている」といえば菖蒲湯とわかるはず。表現の工夫をしてみてください。 (2)私も学校に勤めていますが、校庭を馬車が過るなんて、どんな学校なのだろうとびっくりしました。唐突な印象があるので、もう少し、読者が読み解く手がかりが必要かと思います。 (3)花菜香に「掬う」ともってきたところがいいと思います。「をとこ」については迷うところです。「おんな」では当たり前ですが、「をとこ」とするとひょっとすると作りすぎかもしれません。ほかにぴったりくる語がないか探してみてください。 夜まではバケツに浸けて菖蒲風呂 翡翠(かわせみ)(30代,女) 中谷ドクター初めまして。4月から俳句を始めたばかりです。お風呂に菖蒲の葉を入れるまで、バケツに入れて置きました。という意味なのですが、ちょっと説明的でしょうか?診断宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。4月から始められたなんて、ルーキーですね。 この句、着眼点はいいと思うのですが、表現がストレートすぎるかと思います。たとえば、菖蒲を擬人化して菖蒲がバケツの中でお風呂タイムを待っていると見るなどひとつの事象を視点を変えてみると違う詠み方ができますよ、きっと。一度ご検討ください。 (1)吹流し町に土俵のありにけり 学(50代,男) (2)夏場所や肩に川風吹かれをり (3)ビル街の休日つづくつばくらめ (4)舌に読みこむ点字本燕の天 (5)かたつむり分かつ国あり陸と羽に (6)神の子と生まれてきたり子どもの日 ご教示を。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)相撲関係の句にはついつい熱くなってしまいます。土俵ってこんな詠み方ができるのだなあと目からうろこです。 (2)いよいよ夏場所ですね。「肩に川風吹かれをり」よりも「肩川風にふかれをり」の方が意味を考えるとよいのではないでしょうか。 (3)そんなビル街ならつばめも大活躍できますね。 (4)破調というのは成功するのが難しいと思います。「舌に読みこむ点字本」というのがわかりにくい表現です。 (5)陸と羽という分かち方がすんなり分かりません。読者が作品世界に参加する手がかりとなる語が必要かと思います。 (6)季語「こどもの日」に対して「神の子」というのはありきたり過ぎる気がします。思い切って季語を変えるべきかと思います。 五月雨や越後平野のすみずみへ 茂(女) ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。日本列島を雲のすぐそばから見下ろしているようないい気持ちになります。越後平野というのもいいですね。五月雨という季語が活きる一句だと思います。 (1)落第のをとこへ傾ぐチューリップ きなこ(50代,男) (2)花の雲写生少女のみつからぬ 中谷ドクター、はじめまして〜。よろしくご診断下さい。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。 (1)「落第」という響き、懐かしい青春という感じがします。ドラマのある一句です。「傾ぐ」という語が効いています。 (2)なんだか最近世の中こわい事件が多いですね。春の景色の中にまぎれてしまって見つからないというのならいいのですが。「みつからぬ」がストレートすぎる表現であることが、そこまでほんわかとしていた作品世界を少し邪魔している気がします。ご検討ください。 (1)母の日を妻の日ととる愚妻かな 大川一馬(70才以上,男) (2)父の日や父を超えしは齢のみ (3)兼題に背中押されて草むしる (4)草取りの余得なるべし茗荷の子 始めまして、後期高齢者です。ご指導のほどどうかよろしくお願い申し上げます。(1)は少し川柳ぽかったかなと思っていますが、(2)は背筋を伸ばしています。(3)と(4)は「草取り」を兼題に頂いたので。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。初めまして。どうぞよろしくお願いいたします。 (1)大川さんがおっしゃるように確かに川柳っぽいと思います。「愚妻」の語によって皮肉度が増します。「母の日は妻の日」としてしまって「○○を買う」など、具体的に妻の日の行動を続ければいいのではないでしょうか。そのほうが、読み手の想像が広がります。 (2)読み手によってさまざまな思いを抱く句かと思います。「父を超えしは齢のみ」ようわかるのですが、表現が硬い気がします。もう少しやわらかい印象にできたらさらにいいのではないかと思います。 (3)俳人ならではの句ですね。俳句をするものにとっては、なんとも面白い一句です。「むしる」というのがいいですね。 (4)「草取り」と「茗荷の子」は季重ねになってしまいます。また、「余得なるべし」というのは理屈っぽくなります。ご推敲ください。 2008年5月10日 (1)こどもの日デイサービスの送迎車 遊雲(70才以上,男) (2)根には水葉には太陽みどりの日 (3)ちっちゃいが小便小僧風薫る 今年の「初夏の集い」のシンポの司会ご苦労さんです。楽しみにしてます。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。初夏のつどい、今から緊張しております。がんばります。 (1)こどもの日と、デイサービス、対照的なものを取り合わせておられるのですが、分かりやすすぎると、読み手にとって想像する余地のない句になってしまいます。季語を変えるなど、取り合わせにひと工夫必要かと思います。 (2)これも(1)と同様に分かりやすすぎる句になっています。 (3)小便小僧と「風薫る」というさわやかな季語の取り合わせがユーモラスです。この句では「ちっちゃいが」の理屈っぽさもどことなく滑稽でいいと思います。色彩感のある句です。 (1)メーデーの列うねらせて本社前 せいち(60代,男) (2)安全旗社旗その先に鯉幟 (3)地球儀の傾き加減夕薄暑 中西ドクター、よろしくお願いします。「開運橋」よくある名前の橋かと思います。私は若い頃、盛岡の開運橋から冬の岩手山を望んで良い所だと思ったことがあります。(1)は、ちょっと古い時代のものです。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。 私が写真を撮ったのは山形県鶴岡市の開運橋です。3月でしたが山々にはまだ雪が残っておりました。今回の3句、どれも魅力がありました。 (1)なにか大きな力が列を「うねらせている」のでしょう。メーデーという季語にストレートに体当たりしたような句だと思います。古い時代のものだということですが、テレビのドキュメンタリーのワンシーンのようですね。 (2)面白い見方ですね。こんな発想、私にはまったくありませんでした。安全旗が一番にきたところが、サラリーマンっぽさがでていてどことなく皮肉っぽさがありいいと思います。 (3)この句もとても素敵です。スケールの大きな句です。夕薄暑という季語がぴったりきています。 (1)麦の秋窓掛けの色変わりけり 小口泰與(60代,男) (2)吟詠の初心忘れぬ白蘇枋 (3)水切りや親に従ふ子の雀 (4)横雲を嶺々従へし若楓 (5)トロッコの音のころがる初夏の昼 (6)火の山の斑雪なりけり桐の花 中谷仁美先生、ご親切なご指導有難う御座います。早速、推敲させて頂きました。「鈍色の空を突きぬく紫木蓮」を「鈍色の空を彩る紫木蓮」に、「柳絮やチワワの蹠やわらかし」を「柳絮やチワワの蹠あたたかし」と致しました。よろしくお願い申し上げます。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 今回の六句の中では、(5)の句がとてもいいと思います。「音のころがる」というところが、うまい表現です。 (4)も「従へし」と「若楓」の力強さがよいと思います。 (1)「色変わりけり」のところ、どう変わったかを具体的に言うほうが効果的です。濃くなった、薄くなった、白くなったなど。 (2)初心と白蘇芳、いいと思います。「忘れぬ」とあえて言わないほうがいい気がします。たとえば「吟詠の初心はいつも白蘇枋」など。 (3)「親に従う」ということは、「子の」は言わなくてもわかります。不必要な語を見極めることが大事です。 (6)斑雪と桐の花、おっしゃりたい情景はよくわかるのですが、やはり季語が2つであることが気になります。ご検討ください。 ご推敲された2句、チワワの句は「あたたかし」としてよくなったと思います。紫木蓮の句は、イメージとしてはよいのですが「空を彩る」というのはありきたりの表現になってしまっていると思います。小口さん独自の表現を思い切って出されたらいいと思います。 (1)こうのとり舞ひ降り来たり田植唄 学(50代,男) (2)少しだけ大人になりしソーダ水 (3)夕暮れに雛の嘴見ゆ浮巣かな (4)大陸の風吹ひてをりアロハシャツ (5)東雲に紅こぼしたり月見草 ご教示を。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。五句拝見しました。(2)がかわいらしく、ノスタルジックな句でいいなと思いました。子どもが自分でこそっと買って飲んでいる感じです。 (1)「舞い降り来たり」説明しすぎである気がします。オノマトペを使うなどの工夫が必要かと思います。 (3)言わなくてもいい言葉は省く、という考え方で行くと、たとえば「見ゆ」と言わなくてもくちばしが見えることはわかります。省きすぎると句がぷつぷつ切れてしまうという危険性もありますが、この場合見ゆがないほうがすっきりする気がします。 (4)「吹いてをり」はなくても「大陸の風」というだけで風が吹いていることは伝わります。その代わりにアロハシャツに具体性を持たせて続けてはいかがでしょうか。色、様子、模様など。ご検討ください。 (1)キビタキの隠れおおせぬ黄色かな 豊田ささお(70才以上,男) 目の前2メートルのところにキビタキが舞い降りてツツジの葉陰に隠れました が・・それまで美しい声しか聞けなかっただけに感動でした。 (2)春暑し獣の糞(まり)の太くあり 「囀りや落日森を染めにけり」へのご診断ありがたく・・しかし、森をそめにけ り・・ありきたりでしたか・・自分では気に入っていたのですが・・えてして自分が よいと思うフレーズはうまくないということのようですね。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 うーん、囀りの句の件、難しい問題です、私も自分でこれはいい表現!と思った時 にかぎって人に誉めてもらえません。「森を染める」というのは確かに素敵なフレーズなのですが、「落日」と組み合わさると、言いすぎになってしまう気がするのです。しかし、好みの問題もあるので、豊田さんもいろいろご検討くだされば幸いです。たよりないドクターですみません。 (1)かわいい句です。「黄色」とぼやかした表現がいいと思います。ただ、「隠れおおせぬ」が少々説明的かもしれません。 (2)思わずにやりとしてしまいました。「暑し」が獣の暑苦しさを増幅させています。 (1)伊良湖から夏風邪つれて帰りけり 仁(60代,男) (2)噴水のてつぺんに何もなく風 中谷先生、よろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)風邪を擬人的に扱われて面白いと思います。さらに推敲されるとすれば、夏風邪が自分について帰ってきた、という見方をしても面白いと思います。 (2)この句、いいですね。夏の気持ちよさがでていて良い句だと思います。 (1)白無垢の川舟流し緑映ゆ 悠(70才以上,女) (2)両岸の若葉迫りて川下る 朝倉先生ありがとうございました。中谷先生はじめましてよろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。 (1)瀬戸の花嫁ですね。白と緑、美しい取り合わせですが、色以外のところに着目したほうがこの句のイメージが広がるのではないでしょうか。 (2)これは短文のようになってしまっていてせっかくの感動が少し説明的です。「川下り」と上五に持ってきて、情景を続けたほうがいいのではないでしょうか。若葉が自分に迫ってくると、擬人的に考えたほうが面白い気がします。 (1)少年の笑みに応へる夏帽子 勇平(70才以上,男) (2)風五月源氏千年書架にあり (3)おほでまり群れ沈みをり夜の底 俳句を始めて3年目。なかなか初心者の域を脱せません。よろしく、診断ください。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。 (1)「夏帽子」とすることで、帽子をかぶっている人への想像が膨らみます。私は少年よりも少し年上の女性を想像しました。先生でもいいかもしれません。さわやかな句です。なんとなく寺山修司の短歌「海を知らぬ少女の前に麦わら帽のわれは両手をひろげていたり」を思い出しました。 (2)これもさわやかな句です。五月の風と源氏物語はなかなかいい取り合わせです。 (3)おほでまりと夜の底、合いますね。ただ、群れ沈みおりというのは説明的すぎるような気がします。句全体が抽象的になっているのでどこか具体的なイメージを持つ手がかりとなる言葉を入れたほうがいいと思います。 (1)主なき蜘蛛の囲風に破れゆれ 丸山俊郎(50代,男) (2)大の字に寝転ぶ座敷風涼し 田舎の実家にて。 (3)白鱗のキラリと鋭し泉川 水汲みに行ったときの光景です。 (4)影ゆらりランプ灯るや避暑の小屋 キャンプにてよろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。 (1)今回の4句ではこれが一番好きでした。破れゆれ、というのも寂しさをさらに強調しているようです。 (2)気持ちのよさそうな句です。ただ、大の字、座敷、風涼しというのはありきたりな感が否めません。下五の取り合わせをひと工夫されてはいかがでしょうか。 (3)「キラリ」と「鋭し」、これはどちらか片方で十分伝わります。 (4) 「ランプ灯る」、「灯る」と言わずに灯っていることが伝えられたらいいのではないかと思います。「ランプ遮る」とか「ランプをよぎる」などでしょうか。うーんこれでは丸山さんの思いとは違うかもしれません。言わなくても分かることはなるべく省いて表現することが大事かと思います。ご検討ください。 2008年5月9日 放り上ぐ落ちてはくるな春の石 しま(60代,女) 宜しくお願いいたします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。 俳句は言葉の世界をつくるものなので、作品世界で多少不思議なことが起こってもいいと思うのですが、この場合、「落ちてはくるな」というのは無理があると思います。また「放り上ぐ」で句がプツンと切れてしまっているので、ここはつなぎ方に工夫が必要です。 (1)住職の目高の話しにおどろきぬ 仁(60代,男) (2)山頭火目高といつしよに棲んでゐた 中谷先生、よろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 (1)どんな話だったのか気になります。「の」「に」と助詞が続くと短文のようになってしまうので、「に」は省いて、「おどろきぬ」も直接表現を避けたほうがいいと思います。 (2)ストレート過ぎという印象があります。下五を体言止め(例:○○の家)とするなど変化をつけてみてはどうでしょう。 蕨採り真紅のクーペ通りすぎ 茂(女) 早朝蕨採りに出かけた横で老夫婦が真っ赤なクーペをオープンカーにしてブ〜ンと行きました。思わずへぇ〜とみとれてしまいました。 ドクター中谷の診断と処方箋 茂さんのコメントを読んで私もへぇーと思いました。そんなドラマの1シーンのようなことがあるのですね。実景だけにこう詠むしかないかもしれないのですが、「蕨採り」と「真紅のクーペ」の取り合わせは俳句としては作りすぎの感があります。難しい・・・。真紅というのがドラマチックすぎるのかもしれません。 マンションはペット禁止か小亀飼ふ しんい(女) 宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 ペット禁止で亀を飼うというのは面白味に欠ける気がします。「マンションは」と言ってしまうのも説明的すぎかもしれません。ここは、「家主に内緒」とか何とか、説明的にならずに上五七を表せるといいのではないかと思います。 (1)藍染の夏服旅の2日目に れい(70才以上,女) (2)曜日なき二人暮しや夏はきぬ *朝倉先生お世話になりまして有難うございました。どうぞお元気で・・・。中谷先生、はじめまして。どうぞよろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 駆け出しドクターですがよろしくお願いいたします。 (1)夏服とせず、具体的な名称(例えばTシャツ)などとしたほうがよりリアリティが増します。旅行で何日目に何を着るか、と考えるのって楽しいですよね。 (2)「曜日なき二人暮し」という表現がいいと思います。私はのんびりとのどかな生活を想像しましたが、読み手によって受け取り方に違いが出る句ですね。「や」として一旦句を切っているところもいいと思います。 初夏やをみなは腕にエロスもつ 涼(男) 宜しくお願いいたします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。 いかにも男性の句。しかし私の好きな句です。「をみな」という語によって「エロス」にもどことなく格調が生まれています。 (1)ハルジオン急に褒められうつむいて ポリ(50代,女) (2)掃除機が絨毯吸い込む春の暮 どうぞよろしくお願いいたします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いしいたします。 (1)「ハルジオン」と「うつむいて」がつきそうでつかないところがもどかしいのではないかと思うのです。もっとしっくりくる花があるような気がします。 (2)「絨毯吸い込む」が字余りなのですが、そのせいか説明的な響きになっています。表現にひと工夫あるといいと思います。ご検討ください。 わが庭の花咲き満ちて死ぬばかり 豊田ささお(70才以上) 昨日、72歳の兄と70歳の妹が大喧嘩をしました。他人様が見たらたわいもない庭作りのことで、妹は雑草も虫も敵にしないという兄が気に食わないのです。で、・・こんな句になりました。「死ぬばかり」が、生過ぎると思いましたが。 ドクター中谷の診断と処方箋 「死ぬ」という語が唐突すぎて読者に言いたいことが伝わりにくいと思います。「庭作りのことできょうだいげんか」という単純なモチーフでつくってみてはいかがでしょう。 2008年5月8日 仰臥してヒゲ研ぐ猫の春うらら 岡野 直樹(40代,男) 「仰向けに寝転ぶ猫の春うらら」が先にできたのですが、こちらの方がいいかなと思い直してみました。よろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 「ヒゲ研ぐ」と入れたほうが断然おもしろくなっていますので私も岡野さんのご意見に賛成です。仰臥してという言い方、なんだがえらそうな猫ちゃんを想像しました。楽しい句です。 野良仔猫目と目が合ふて追ふ気失せ 雅(50代,男) 実景なのですが、野良仔猫で分かりますでしょうか。飼い猫ではないと言いたかったのですが。 ドクター中谷の診断と処方箋 野良仔猫でわかると思います。「合ふて」と「追う」、並ぶと声に出したときに読みにくさがありますので、推敲するとすれば下五かと思います。ぜひご検討ください。 (1)御油の宿抜けてコンビニさくら餅 仁(男) (2)花筏夢ちりばめて大海へ 中谷先生、こんにちは、診断よろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)ちょっとワルいことをしているような楽しい句です。具体的な地名を入れるのがよいと思います。 (2)きれいな情景なのですが、「夢ちりばめて」というのは甘すぎるかと思います。また「大海に」と続けることで抽象的な印象になってしまいます。「ちりばめて」という語がありきたりなのでこの五音を使って夢の中身や誰の夢なのかなどを具体的にあらわすといいのではないかと思います。ご検討ください。 (1)晩婚の君に幸あれ百千鳥 春雪(70才以上,男) 26日に愚息が結婚式をしました。晩婚だけに人一倍幸せを祈りました。 (2)照れながら金婚祝ふ二輪草 愚息の結婚と同時に突然「金婚の入刀も・・・・」と司会者から紹介がありました。よろしくご指導ください。 ドクター中谷の診断と処方箋 春雪さん、息子さんのご結婚おめでとうございます。二句拝読して、私も幸せな気持ちをわけていただいた気がします。こんな思いのこもった記念の句に私が意見を申すのも失礼な気がするのですが・・・クリニックですのでお許しくださいませ。 (1)上五七すっきりとしていていいと思います。「百千鳥」、たくさんの人に祝福されている感じが出ますね。これでもいいと思うのですが、つきすぎかという気もしますし、季語の印象が淡すぎる気もしました。一度ご検討されてもいいかと思います。 (2)そんなイベントがあったのですね!この句では「照れながら」が直接的かと思います。「二輪草」字面も花のかわいさもいいと思います。 (1)あをあをとそらにありけりつばくらめ 学(50代,男) (2)身の程を鉈で削ぎたる大根汁 (3)花菖蒲借景として東山 ご教示を。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)命令形でぶっきらぼうな言葉遣いが魅力です。「そらにありつけ」なんておもしろい発想です。ひらがな表記も効果的です。 (2)結局は大根汁のことを言うのに身の程、鉈と大仰で、そこが句の魅力になっています。ただ「削ぎたる」は言い過ぎかと思います。 (3)「借景として」というのは説明的な気がします。ご検討ください。 春の夜に光る源氏の一ページ あさ女(60代,女) 初心者です。宜しくお願いいたします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。 光る源氏という言い方は分かりやす過ぎます。また、春の夜と源氏は近すぎる取り合わせなので避けたほうがよいと思います。「源氏の一ページ」というフレーズを残して違う季語をもってきてはどうでしょうか。しかし、源氏ってどんな季語を持ってきたらいいのか迷いますね。魅力的な題材ですが難しいと思います。がんばってください! 2008年5月7日 (1)暮れなずむ鴨の瀬音や床初め 遊雲(70才以上,男) (2)風薫る上野に御座す菩薩かな (3)鉢植えの鉢より大きく白牡丹 はじめまして、よろしくお願いします。で、中谷仁美さんって、昨年12月9日の園田学園の俳句バトルに行ってはりましたか????。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。園田学園の俳句バトル、吹田東高校チームに助っ人として参加しておりました。 (OBではないのですが。)遊雲さんも来られていたのですか? (1)鴨川を「鴨」というのは読み手にはわかりにくいと思います。「鴨川」と「瀬音」「床初め」は一句の中にあるとつきすぎになってしまいます。川床を詠むには、川から離れた見方をしたほうがよいと思います。 (2)上手くまとまっています。でも欲を言うと落ち着きすぎかとも思います。今のかたちだと、上五七が素直に下五にかかるので、語順を変えるなど変化をつけてみてもいいのではないでしょうか。ご検討ください。 (3)牡丹の元気な姿が目に浮かびます。ただ、「鉢植えの鉢より大きく」というところ、やや説明的かと思います。ひと工夫してみてください。 (1)ゼロ続くスコアボードや鳥帰る えんや(70才以上,男) (2)五月来る厠にあかり要らぬ朝 拙い句ですが二ヶ月間宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 よろしくお願いいたします。 (1)つまんない試合に鳥までも帰ってしまったのか、と読んでみました。ちょっと意味が出すぎる季語かもしれません。もう少し意味の離れた季語ではどうでしょうか。 (2)日常の感覚がなんとも俳句的な気がします。こんなところで夏を感じるのもいいですね。 (1)花の下カシオペイアと腕組んで 仁(60代,男) (2)夏の雨景勝地から始まりぬ (3)ひまわりは大笑いして花つくる 中谷先生、よろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)カシオペイアってもしかしてエンデの『モモ』に出てくるかめのことでしょうか。違っていたらごめんなさい。星座のカシオペアにしても、おもしろい発想です。 (2)夏の雨の始まりなんて考えたことがありませんでした。景勝地とせず具体的な地名を入れたほうがいいのではないでしょうか。発想を変えて外国でもいいかも しれません。 (3)ひまわりと大笑い、納得の取り合わせです。この句、好きです。 (1)漣のあやなす影や水芭蕉 文の子(60代,男) (2)春の湖出湯の音に波和せる (3)彩のくに香を敷きつむる芝桜 (4)苑走る小さきエスエル蝌蚪の紐 (5)温泉(ゆ)を隠す塀は対岸山女宿 (6)潮の香を載せて江ノ電夏来る 宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 六句拝見いたしました。(3)がいちばん良いと思いました。「彩のくに」という素敵な語を選んで成功しています。今回は近すぎる言葉をお使いになっていることが気になりました。(1)だと漣と水芭蕉、(2)だと湖、湯の音、波(6)では潮の香、江ノ電、夏。句にしたい情景はよくわかるのですが、あまりにもわかりやすく素直すぎる表現は句の魅力につながりません。ご検討ください。 (4)見立てが楽しい句ですね。ただ、苑走るというのは、正確には苑の池の中を泳ぐのではないかと思います。「苑の池小さきSL蝌蚪の紐」ではいかがでしょうか。 (5)私見ですが、よほどの理由がない限り「○○と書いて△△と読む」、この場合「温泉と書いてゆと読む」というのはあまりお勧めしません。俳句の一番の魅力はわかりやすく読みやすいことだと考えています。 (6)先ほども触れたのですが、私も昨年江ノ電に初乗車をして、こう詠みたい気持ちよくわかります。ご推敲くださいませ。 雉の声耳に残りし野焼き哉 どんぐり(男) 雉の姿が見られなくなって久しいですね。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 雉、先日動物園で見ました。最近自然の中では確かにあまり見なくなりましたね。そのまますぎる感もありますが、美しく懐かしい景色かと思います。 (1)わたくしをリリーと呼んで五月果つ 茂(女) 自己紹介でリリーと呼んで欲しいと言った方がありました。風薫るでは付き過ぎの様で五月果つにしてみましたが宜しくご指導下さいませ。 (2)山躑躅登竜門の道はるか (3)信号の青に飛び出す街薄暑 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)「五月果つ」でいいと思います。ただ、このままだと、茂さんの意図どおりに伝わらない可能性が。「誰かが私をリリーと呼んだら、五月果つ」という読み方が可能ですね。作者の手を離れて俳句が一人歩きをするのも俳句の楽しさですが、正確に伝えようとするなら上の五七にひと工夫が必要かもしれません。 (2)「道はるか」という表現が距離感をあらわすにはあいまいすぎます。「まだ見えず」など思い切って主観の入った言い方にしたほうがいいような気がします。 (3)さわやかな句です。信号の青と「薄暑」がいい。ぴったりくる季語をお選びですね。 (1)万緑や六角屋根の浮御堂 しんい(女) (2)花婿にひかる涙や新樹光 (3)菜の花や潮の香廻す観覧車 中谷ドクター宜しくお願い致します ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。よろしくお願いいたします。 (1)「六角屋根の浮御堂」では、説明のようになります。語順を入れ替えるなどの工夫が必要かと思います。 (2)「花婿」「ひかる」「新樹光」はどれもイメージ的に近すぎる語の取り合わせですので、作りすぎの感があります。句にしたいイメージはよくわかるのですが、さりげなく仕上がるひと工夫を。 (3)「潮の香廻す観覧車」いいですね。淡い色彩感のある句です。 (1)火の山の襞を削りし雪消かな 小口泰與(60代,男) (2)利根川に水切りせるや春の風 (3)火の山へ鳥の飛びけり紫荊 (4)まつすぐの風を受けをる穂麦かな (5)松籟やひとひら散りしチューリップ (6)利根川の瀬音高きやつくつくし よろしくご指導願います。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。 (1)「火の山の襞」ダイナミックでいい表現です。ただ、雪消を最後に持ってくると、上の五七がすべて下五にかかってしまって、俳句としての面白味に欠けます。「雪消」をなんとかして上五に持ってきてはどうでしょうか。 (2)「切りせる」という言い方が気になります。この場合春の風を表現するのに水を切るというのは適切でしょうか。ご再考ください。 (3)ただ「飛びけり」というより飛ぶ様子を具体的に表現できたほうが句の世界が広がります。 (4)わかりやすい風景ですが気持ちのいい句です。この場合、「まつすぐの」という素直な表現がぴったりきます。 (5)「ひとひら散りし」は説明的です。「ひとひら」と「チューリップ」があれば散っていることは読者に伝わります。 (6)春の心地よい情景です。つくつくしがいいですね。 アオガエル眠い半眼蛇を見る 豊田ささお(70才以上,男) ちょっと舌足らずでしょうか・・今日、今年はじめてシュレーゲルアオガエルと出会いました。 ドクター中谷の診断と処方箋 豊田さんは句のモチーフをしっかりとお持ちですね。 「半眼」に対して「眠い」というのは言いすぎなので、省いてしまってもかまわないと思います。カエルが蛇を見るというのはありきたりなので、ここではせっかく「半眼」という少し含みのある語を持ってこられたのですから、発想を変えて違うものを見てもいいのではないでしょうか?取り合わせをお勧めします。 2008年5月6日 (1)声かけるまで噴水は揺れている 仁(60代,男) (2)とりあえず茶摘みをしょう昭和の日 中谷先生、よろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 こんにちは。仁さんの俳句の世界ってちょっと肩の力が抜けたような不思議な魅力があります。 (1)恋の句かなと思いつつ読みました。大胆な句またがり、この場合句に躍動感が出ます。声をかけてしまったら噴水は止まるのでしょう、意識の中で。それほどまでの思いがあるということですね、きっと。素敵な句です。 (2)「とりあえず」が絶妙。茶摘みと昭和というつきすぎる2つのものをこの語がうまく離してくれています。無理に昭和らしさを演出している感がありユーモラスです。「しよう」という口語がまたいいと思います。すみません、まったくクリニックになっていない気がしますが、お許しください。 (1)空き家なる蜘蛛の囲風に破れ揺れ 丸山俊郎(50代) (2)光秀もガラシャと見たか蓮の花 (3)蓮の葉を傘に俄かの雨をさけ よろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 よろしくお願いいたします。 (1)「空き家なる」という部分、説明的かと思います。「蜘蛛の囲はからっぽ」という言い方を思いつきましたが、ちょっとした言い換えで句のイメージは大きく変わります。また、「破れ揺れ」というリズムのよい部分を生かすためにも、「風に」ということは言わなくても分かるので省いたほうがいいと思います。 (2)光秀とガラシャが蓮の花を見た、というのはありきたりの発想かもしれません。結句に意外なものを持ってくると句の世界が広がります。取り合わせの力です。ご検討ください。 (3)句にしたいモチーフ、よくわかります。ただ、このままでは短文のようで説明的です。「蓮の葉を傘に」している時点で雨を避けていることはわかりますので、そこからさらに周りの情景を詠むなど、場面を作り出してみてください。 (1)鈍色の空を突きぬく紫木蓮 小口泰與(60代,男) (2)たんぽぽや医師の持ちたる聴診器 (3)柳絮やチワワの蹠やはらかし よろしくご指導願います。 ドクター中谷の診断と処方箋 よろしくお願いいたします。 (1)「鈍色」、私自身俳句で使ってみたい言葉のひとつです。ここでもし白い花を持ってくると、いかにもつくった感じがしてしまうのですが、紫木蓮だと自然な感じがします。ただ、「突きぬく」という語はこの句には激しすぎないでしょうか。紫木蓮は、もうすこしやさしい存在であるような気がするのです。ご検討ください。 (2)春らしいよい句ですね。やさしいお医者様を想像いたしました。たんぽぽと聴診器の取り合わせ、新鮮な感じがします。 (3)柳絮とチワワの蹠という取り合わせ、意外性があってよいと思います。ただ、この場合「柳絮」でやわらかさは十分伝わるので、やわらかしは言い過ぎかと思います。 葉桜やベンチで休む対の杖 三郎(70才以上,男) よろしくお願いいたします。 ドクター中谷の診断と処方箋 よろしくお願いいたします。 とても素敵な風景だと思います。対の杖、私は杖をお使いになるおふたりののどかなデートを想像いたしました。葉桜とベンチはありきたりになりがちな取り合わせですが、ここでは「対の杖」という、読み手の心をひきつける小道具が活きていて、うまくまとまっていると思います。 (1)一坪の貸菜園に茄子の苗 しんい(女) (2)茄子植うる貸菜園に昨夜の雨 (3)山並の稜線蒼し桐の花 宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 初めまして。よろしくお願いいたします。 (1)「一坪」と具体的数値を提示することは句のリアリティを演出してよいと思います。ただ、説明的になることを回避するために「茄子の苗」を上五に持ってきて茄子の苗を主役として組み立てなおしてみてはいかがでしょう。 (2)俳句はリズムが命です。これはあくまで私見ですが、リズムを保つために上と中での破調はある程度は許容しても、下五は定型にはめてきちっと収めるべきだと考えます。「昨夜の雨」ご再考ください。 (3)稜線と桐の花は色彩感がありよい組み合わせです。ただ、稜線といういうひとことで、「山並の」は言わなくても伝わります。変わりに時間や気候などに関するような、一句の世界をより明確にする言葉を持ってくるとよいと思います。 (1)廃屋のリフォームなるや蔦の青 文の子(60代,男) 「リフォームなりし」かなと思ったりもしています。宜しくお願い致します。 (2)トンネルを抜けて葉山の大卯浪 地名は、字面もあって使いました。如何でしょうか。宜しくお願い致します。 (3)繭ごもり児は押入れのなか好み 中谷ドクターはじめまして。句歴4年で、当クリニックには4年前の7月からお邪魔しております。俳号は文月に因んだのですが、当時は陰暦も良く判っていませんでした。2ヶ月間ご指導の程宜しくお願い致します。 ドクター中谷の診断と処方箋 はじめまして。私もまだまだ勉強中ですがよろしくお願いいたします。 (1)リフォームという語、俳句には新鮮ですね。なりしの方がしっくりくるかと思います。 (2)この場合地名がうまく生きていると思います。ただ、トンネルを抜けたら(地名)、波という組み立ては ありがちな発想かと思います。「葉山の大卯浪」というフレーズは魅力的ですので、上の部分をひと工夫されてはいかがでしょうか。 (3)かわいい句ですね!「押入れのなか好み」よりも思い切って口語的に「押入れのなかが好き」の方がすっきりするかもしれません。 今朝の風霊峰よりか鯉のぼり 茂(女) ドクター中谷の診断と処方箋 よろしくお願いいたします。 霊峰からの風と鯉のぼりの2点をポイントに句にされたいのだと思います。風と鯉のぼりは近い存在ですので風の言い方に工夫が必要かと思います。 また、「霊峰よりか」という言い方も気になります。「今朝の」という情報は省いてしまって、霊峰から来た風であることを違う言い方をすると良いと思います。ぜひご検討ください。 草もちやおいしいお茶を作らせる 松風(70才以上,男) ドクター中谷の診断と処方箋 よろしくお願いいたします。草もちとお茶の取り合わせは月並みなのですが、草もちがおいしいお茶を作らせたととると、発想がユニークです。おいしい、と言わずにお茶がおいしいことを言えるといいのではないでしょうか。濃いめである、香りがよい、○○色など、具体的なイメージを持てる表現が句の現実性を作り上げます。 2008年5月5日 囀りや落日森を染めにけり 豊田ささお(70才以上,男) 中谷ドクターはじめまして・・今晩は、船団のこの欄を楽しみに生きるようになってまだ1年半ぐらいです。なかなかふっきれていませんが、よろしくお願いします。29日の夕暮れ、囀り続ける小鳥たちの様子を表現できないかと思ったのですが・・ ドクター中谷の診断と処方箋 初めまして。こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。 囀りと落日、よい風景ですね。ただ、「森を染める」という表現は、ありきたりなので避けたほうがよい思います。今のかたちだと句の中で囀りよりも落日に焦点が当たっているので、思い切って、「落日に」を上五に持ってきて後の七五で囀り続ける小鳥たちの様子を詠むのも、思いを句にするためのひとつの方法かと思います。 目に映る空の広さの花水木 あさ女(60代,女) こんばんは、初めての投函です宜しくお願いします。俳句もPCも初心者です。これで投函できますか。 ドクター中谷の診断と処方箋 ばっちりできています!よろしくお願いいたします。 花水木の本当に美しい季節ですね。この句、青さではなくて「広さ」としたところが良いと思います。ただ、「広さの」としてしまうと上の五七がすべて花水木にかかってしまって、説明的になります。私なら「広さに」とすると思います。思い切って二句切れにしてもよいかもしれません。助詞ひとつで印象は大きく変わります。ぜひご検討ください。 (1)登り着く土筆の村は未来都市 岡野 直樹(40代,男) (2)登り来て目線の上に土筆村 「登り来て土筆の村に着きにけり」の推敲です。よろしくお願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 初めまして。よろしくお願いいたします。 推敲されて2つの句が生まれたのですね。登ってきてやっと着いたという過程の部分を句の中に読み込まれたいのではないかと思いながら拝読いたしました。私は(1)の方がいいなと思います。推敲前と比べて、句に広がりがでました。下の句で大きく句が展開しています。ただ、「登り着く」と最初に言ってしまうと土筆の村が未来都市だともともと知っていて予告したように思えるので、ここは「登り着き」もしくは元の「登り来て」のほうがよいのではないかと思います。(2)は、「目線の上に」が説明的かと思います。この句のように動詞が先に来ると、推敲されたように体言止めで終わるほうがすっきりしていいですね。 (1)夏の夜生命線が動き出す 仁(60代,男) (2)しばらくは唐変木でいる夏日 中谷先生、はじめまして。琴光喜の研究者ですね。僕も地元ですので応援はしてますが、いまいちぱっとしませんねぇ。「花の下岡崎城も琴光喜」。以後、よろしくご指導お願いします。 ドクター中谷の診断と処方箋 初めまして。よろしくお願いいたします。 琴光喜の句ありがとうございます!研究者などとは言えませんが、琴光喜の大ファンでございます。五月場所の番付発表がありましたね。今場所こそは活躍してほしいと願っています。 (1)発想が面白い句です。夏の夜、楽しいイベントがあるのでしょうか。わくわくする気持ちが伝わります。 (2)自ら唐変木でいるなんて面白い。良い句だと思います。ただ、夏日以外にぴったりくる季語があるような気もします。 (1)はくれんや眼間にある榛名富士 小口泰與(60代,男) (2)はからずも雉の鳴きけり通学路 (3)膝に来て見上げしチワワ日永かな 中谷仁美先生、よろしくご指導願います。 ドクター中谷の診断と処方箋 まだまだインターンですが、よろしくお願いいたします。 (1)はくれんと榛名富士との取り合わせはきれいですね。花の質感と榛名富士のイメージが合います。ただ、「眼間にある」というのは言わなくてもいいのではないかと思います。「眼間」響きがやわらかくていい言葉ですが。 (2)私の実家の裏庭にも時々雉がやってきておりました。自然いっぱい、田舎の通学路ですね。「はからずも」は少し説明的かもしれません。 (3)「日永」ののんびりした感覚、春という大きなイメージと対照的なひざのチワワのちいさいかわいらしさが句の中で効いています。 アスパラのような足来る五月かな 遅足(60代,男) 朝倉ドクターありがとうございました。中谷ドクター、よろしくお願いします。アスパラと五月は即きすぎでしょうか? ドクター中谷の診断と処方箋 初のドクターですが、よろしくお願いいたします。 アスパラのような足、という表現が面白いと思います。足の持ち主への想像が膨らみます。ただ、アスパラガスは春の季語になりますので、その分下の5音の部分に時間、曜日、場所などに関わる具体的な語を持ってこられるとさらに句にドラマが生まれると思います。 豆の筋笊にこんもり昭和の日 茂(女) ドクター中谷 初めまして。独りよがりの句で四苦八苦してます。どうぞ宜しくご指導お願い致します。今日は昭和の日でテレビでは盛んにお出かけ日和と言ってますが絹さやの筋取りです。 ドクター中谷の診断と処方箋 初めまして。初のクリニックに緊張しております。どうぞよろしくお願いいたします。 「昭和の日」というまだまだ新しい季語にチャレンジされたのですね。人によってさまざまな思いが生まれる季語だと思います。懐かしい、ほっとする風景の句です。「こんもり」 という語が効いています。ただ、豆の筋、笊というのは昭和色が強すぎるような気もします。現代的なものを取り合わせると昭和の日という季語の新たな魅力を引き出せるかもしれません。ぜひチャレンジしてください。 |