この一句・2001
2001年5月28日

郭公はけさ引っ越していてみどり (季語/郭公)

本村弘一

 今、眼前は一面のみどり。そのみどりは、郭公がけさ引っ越して行ってしまった、そのあとのみどり。郭公はいなくなったが、郭公の気配はまだ残っているみどりだ。
 別の読み方も出来るだろう。郭公はけさ引っ越してきた、と読むのだ。そうすると、眼前のみどりは郭公の鳴くみどりになる。
 私は郭公がいない光景の方が好きだ。郭公は気配として存在するのがよい。
 今日の句は句集『だよね』(1996年)から引いた。この句集は弘一の第二句集だが、次のような愉快な句がいっぱい。「つゆ空にふきこぼれてるちびまる子」「そら豆があいさつをする天気など」「炎天を乗り継いでいく鞄かな」「永き日を漕ぎ出していく鼻の穴」。
(坪内稔典)


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