この一句・2001
2001年11月25日

紺青の空と触れゐて日向ぼこ  (季語/日向ぼこ)

篠原鳳作

 日向ぼこの句だが、日向ぼこしながら明るいまっさおな空に触れているのである。この2、3日、まさにこの句のような日和が続き、私は研究室の窓際で、あるいは奈良の薬師寺で、青空に触れながらほかほかと日を過ごした。
 今日の句は復刊になった『篠原鳳作全句文集』(沖積社)にある。亡くなる1年前、すなわち、1935年1月の「天の川」に載った。同時作は「手に足に青空染むと日向ぼこ」。この全句文集は、鳳作夫人の前田秀子を補助するかたちで、川名大と私が編集した。資料を見るために吹田市にいた秀子夫人を何度も訪ねたものだ。
 鳳作の代表作は「しんしんと肺碧きまで海の旅」だが、この句や今日の句などが示しているように、彼はまさに<青の詩人>であった。
(坪内稔典)


前の一句 次の一句 記事検索 バックナンバー トップページ