この一句・2001
2001年11月27日

あたたかやきりんの口が横に動き(季語/あたたか)

後藤比奈夫

 きりんは縦に長いという印象がある。そんなきりんの口がもぐもぐとご横に動いていることに作者は気づいた。そして、縦のものが横に動くおかしさにくくっと笑った。以上のような句だ。
 11月24日に「後藤比奈夫七部集を読む」というシンポジュウムが柿衛文庫であった。大阪俳句史研究会の主催。ふけとしこ、朝妻力、安部和子、南村健治がパネラーやコメンテーターをつとめ、私が進行係だった。比奈夫には今日の句のような人をくったおかしい句が多い。それをどのように評価するかがシンポの中心的な話題になった。「蛞蝓といふ字どこやら動き出す」「蛇踏んで見せつまらなき男かな」「水着着てみんながすこしづつ若し」。このような愉快な句は、発想の自在さや大胆さを示している。当年84歳の比奈夫の愉快な句に注目しようではないか。
(坪内稔典)


前の一句 次の一句 記事検索 バックナンバー トップページ