この一句・2002
2002年5月1日

手のひらは元あしのうら山笑う  (季語/山笑う) 

寺田良治

 新潟県の雪梁舎美術館が主催する「雪梁舎俳句大賞」という賞がある。公開の審査によって昨年度の優秀な句集を顕彰するもの。4月29日にあった公開審査で本年度の「雪梁舎俳句大賞」(今回で2回目)に寺田良治句集『ぷらんくとん』が決まった。宗左近と私が強く押し、金子兜太が2番目に、そして黒田杏子、中原道夫も異存はないということでこの授賞に至った。良治は大いに照れて表彰状を受けていた。
 兜太は、この句集は軽い、と評したが、それはやや違うと私は思う。一見して中身が重く見えるまじめな、つまり、生き方や人生を直接的に詠んだ句集よりも、『ぷらんくとん』の方が重い。寺田は、現実とは異なる別の世界を言葉の力によって開こうとしており、それを一見して軽く行っているのだ。ともあれ、これほど笑える愉快な句集はめったにない。
(坪内稔典)


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