この一句・2002
2002年7月26日

すももの樹陽が差しこんでフランス船(季語/すもも) 

若森京子

 昨日に続いて句集『韓藍』(花神社)から引いた。すももの木に日が差し込んで、その木がフランス船のように見えるということか。だが、木でなく樹、日でなく陽と書いているのはどういうことだろう。それに、フランス船とはどんなものなのだろうか。表面的には分かる気がするが、読めば読むほど分からないことが増えてくる。
 「寒菊をよぎる六人静電気」「冬の葬列なにか投げられた純白」。この2句はこの句集の最初の頁にあるもの。京子の句の難解さを分かってもらえるだろうか。「寒菊を」の句では「六人」が難解。「冬の葬列」の句は、その葬列の感じが「なにか投げられた純白」のようだ、というのであろう。とすると、この感覚はよく分かる。もしかしたら、さきの句の「六人」も、たまたま6人だったのか。ともあれ、今日の句のイメージははっきりしない。だが、洒落た朝の感覚が書きとめられているようであり、その感覚に私は共鳴する。
(坪内稔典)


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