この一句・2004
2004年3月5日

春雷の運ばれてゆく青畳  (季語/春雷)

石母田星人

 「春雷」と「青畳」の取り合わせがすがすがしい。「春雷の」の「の」は軽く切れる切れ字の働きをしているが、春雷が運ばれてゆく、とも読めるので、少しどきっとする。もちろん、どきっとさせることも計算済みいの「の」であろう。
 今日の句は句集『濫觴』(ふらんす堂)から引いた。著者は1955年生まれ。仙台の俳句雑誌「滝」に拠っている。「銀河系宇宙に春の乳歯かな」「美と言ひしままの唇雛かな」「龍天に登り鉄鎖の鳴りにけり」「炎天を一角獣となり仰ぐ」など、彼の句は大胆な構図がとても快い。
 私も同人として参加している短歌雑誌「鱧と水仙」の水仙号(22号)が出た。この号の特集は「墓のうた」。全同人が墓の歌5首を詠み、1頁のエッセーを寄せている。「生みつづけ殺しつづけて青深むたまゆらゆらと地球わが墓」(日高尭子)。
(坪内稔典)


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