この一句・2004
2004年3月26日

桜らんまん人知れず人憎む  (季語/桜)

篠崎圭介

 桜の時期になったら読み返そう、と思っていた句集があった。篠崎圭介句集『花』(糸瓜社)。圭介は2月9日に69歳で死去したが、桜の句ばかりを集めた『花』の発行日は3月7日になっている。
 桜の咲いた明るさの中で、圭介は己の心の闇(暗さ)を何度も意識したようだ。「花の昼心中の暗もち歩く」「花に倚るおそろしきこと心中に」など、いずれも桜に暗い心を対置している。
 同県人ということがあって、圭介には何かとお世話になった。圭介は愛媛県の俳句界のトップであり、そういう立場から、県外に出ている復本一郎、村上護、そして私を目にかけてくれた。でも、私の思いでは、圭介は一郎や護びいきであった。そのことは、最近の「糸瓜」誌を見れば分かるだろう。「糸瓜」は2人を強くバックアップした。私は実作者であり、実作者の圭介とぶつかっていたのだろう。
(坪内稔典)


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