この一句・2004
2004年4月5日

ミス卑弥呼準ミス卑弥呼桜咲く  (季語/桜)

茨木和生

 このミス、準ミスは、卑弥呼にしてはやや卑俗という感じ。少し酒の入った花見の女性をミス卑弥呼、準ミス卑弥呼と呼んで戯れているのだろう。この句、邑書林の『現代俳句100人20句』から引いた。作者は1939年生まれ。「運河」を主宰している。
 今日の句から連想するのは、長谷川櫂の「利酒をして佐保姫のごとくなり」。3月はじめ、NHKテレビ「俳句王国」の句会で出会った。私は古いなあ、と感想を述べたが、櫂は、アシスタントの大高翔をイメージして作った、と言った。俳諧の佐保姫は「春たちながらしとをして」(犬筑波集)のイメージが強い。さきのミス卑弥呼に近いのだ。
 櫂は主宰誌「古志」4月号に佐保姫の句をふくむ15句を発表している。「香ぐはしき麹の花や寒造り」「粕汁や一椀にして温まる」「雪のせて比良も伊吹も春の山」。集中のこういう句は、たとえば句会で見たら、私は言うだろう。古いなあ、平凡だよ、櫂さん、と。
(坪内稔典)


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