この一句・2005
2005年4月6日

朝ざくら閻魔堂まで十二段    (季語/桜)

平沢陽子

 夜桜だと閻魔堂までの12段が怖い。朝ざくらだからとっとと登る。「おはよう、閻魔さん」という気分だ。
 今日の句は作者の第3句集『茫茫』(日本詩歌句協会)から引いた。陽子は1933年茨城県生まれ。「畦」にいたが、今は「萌」の副主宰である。「はんざきや夕日しばらく山の上」「身の内にわが影しまふ花の昼」「首長き少女が佇てば小鳥来る」などが『茫茫』の秀句。
 佐高信さんから『政財界メッタ斬り』(毎日新聞社)をもらった。中に神戸のユーハイムにふれた箇所があり、紹介されているユーハイム社長の言葉がすてきだった。菓子作りに必要なのは3つのS、すなわち、スモール、スロー(ゆっくり)、スタディ(着実)だという言葉。これ、俳句にもあてはまりそうだ。
(坪内稔典)


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