この一句・2005
2005年4月10日

喪の帯を締め合つてゐる桜かな    (季語/桜)

黛まどか

 喪服の女たちとピンクの桜が対照的だ。ふと、「極道の女たち」という映画などを連想した。喪服の女は日常を越えた感じがするからだろうか。
 今日の句は句集『花ごろも』(PHP)から引いた。この句集の桜の句には次のようなものがある。「花冷のくちびるをもて黙らさる」「君が手の膝にありたる花疲」「サーカス小屋たたまれてゐる桜かな」。どの句も映像的できれい。やや通俗的なシーンが描かれているが、それはそれで大事な要素である。読者との通路がその通俗的なところにあるから。ちなみに、桜を待ち望み、花見を楽しむのも生活上の通俗。通俗は個人と他者を結ぶ大事な要素である。そのことにもっとも敏感な俳人がまどかかもしれない。
(坪内稔典)


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