この一句・2006
2006年3月2日

遠き野火見てゐる牛の長睫毛    (季語/野火)

丸山哲郎

 牛の表情がきれいだ。瞳には野火が映っている感じ。この句は著者の新句集『羞明』(角川書店)から引いた。1922年生まれの哲郎は飯田蛇笏、飯田龍太の父子に師事、先年、『飯田蛇笏秀句鑑賞』を出している。この人、兵庫県丹波市柏原の出身だ。私は同地で行われる俳句ラリーの審査などで何度か同席させていただいた。
 哲郎は例年、司馬遼太郎の追悼句を作っている。「荒野より何の煙ぞ遼望忌」「夕棚雲西は霾る遼望忌」など。司馬遼太郎の忌日は「菜の花忌」と呼ばれるのが普通だと思うが、「遼望忌」と呼ぶこともあるのだろうか。ちなみに、遼太郎も哲郎も現在の大阪外国語大学の出身である。

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