この一句・2006
2006年3月4日

老人の数は合わずや春の家    (季語/春)

高橋修宏

 老人の数が合わないとはどういうことだろうか。家出したのか、蒸発したのか、消失したのか。ともあれ、春の家のやや神秘で怪奇な感じが面白い。老人が増え、老人ばかりの集落やアパートがある時代だから、老人の数の合わないことにリアリティがある。
 今日の句は句集『夷狄』(草子舎)から引いた。作者は1955年生まれ。鈴木六林男に師事した。富山市に住み、俳句や現代詩で活躍している。この句集の作品では「梟を抱くかたちに身籠れり」「春一番倒れしものはみな不用」「雪解けの村の本屋のカフカかな」などがとてもよいとう思う。イメージがとても鮮明だ。


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