この一句・2006
2006年4月23日

風に落つ楊貴妃桜房のまま    (季語/桜)

杉田久女

 今日の句は久女の代表作の一つ。この落花の豪華さが久女のものだろう。この句は1932年に「ホトトギス」雑詠欄巻頭句になった。
 ところで、近年、虚子の久女に対する態度に批判が多い。私は今、『俳人杉田久女の病跡』(寺岡葵著)を読んでいるが、この本も虚子の作為的な資料調査を難じている。だが、久女を後押しして世に出したのが虚子であることは間違いがない。その功績は大である。虚子を批判する人たちは、小説「国子の手紙」を問題にし、そこに虚子の久女に対する悪意のようなものを見出すのだが、「国子の手紙」が小説であることを見落としたくない。この小説、久女をモデルにしていることは確かだが、でも、やはり小説なのである。


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