この一句・2006
2006年7月14日

汝が胸の谷間の汗や巴里祭    (季語/巴里祭)

楠本憲吉

 7月14日はフランスの革命記念日。映画「パリ祭」にちなんで日本でも一時、この日にパーティなどが行われ、季語「巴里祭」が誕生した。
 掲出の句は1953年作。作者は以下のようにこの句の誕生を回想している。「昭和28年の東京はいわゆる特需景気で湧き返っていた。銀座のキャバレーでは、『巴里祭』パーティーをイベントとして催し、パーティー券をパー券と称してパーなる男たちに売った。私も買って『銀馬車』というキャバレーへ行った。客の熱気で冷房の効かぬ室内は蒸し暑かった。私の前に坐った『みや子』というホステスの大きく開いたドレスにのぞかれる胸の谷間に一筋の汗が流れ、この一句が生まれた」(『自選自解楠本憲吉句集』)。キャバレーも巴里祭もいまでは思い出になろうとしている。


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