季節の窓
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No.6


  7月 4日(土)
松本秀一さんのアトリエ訪問


  7月5日(日)
坪内ネンテンさんと松野で句会


7月4日(土)

 松本秀一さんのアトリエ訪問

(レポート:藤野雅彦・山本みち子/フォト:おおさわほてる・中原幸子


 関西からの参加者は、新幹線と特急「しおかぜ」で瀬戸を渡り、あるいは伊丹から飛行機で松山へ。松山の方たちとともにマイクロバスで宇和島へ。沿道には合歓の花が咲いてる。

 道の駅・みまにバスを停め、近くの松本秀一さんのアトリエへ向かう。

 農機具庫の2階のアトリエへ、鉄の階段を上る。松本さんのあのメゾチント(銅版画)はこのちょっとごみごみしたアトリエから生まれるのだ。


 松本さんが持っているのは、1メートル以上もありそうな柄をつけた、長〜い鉛筆。篆刻をしている野本さん(写真左)は特に興味津々のようだ。

 松本さんは心の花に所属する歌人でもあり、2012年には歌集『男の子のやうに日差しのやうに』(水仁舎)を出版されている。そして、私たちは、松本さんの版画がそのままはめ込まれている特装版を見せて頂いたのだ。
 写真ではとてもホンモノの美しさをお見せできませんが……。


余り苗ひとりで植ゑてゐる夕べ
     水やはらかく土のしづまる  秀一


 窓の外は山並を背景として青々とした水田が広がっている。


 アトリエを出て松野へ向かう。松野へ着くともう夕方だ。早速、懇親会の「長太郎」へ。肉じゃがや南瓜の炊いたん、胡瓜もみ、そしてお刺身などテーブルいっぱいにご馳走が並ぶ。


 これで2000円はリーズナブルだ。きっと松山のメンバーが店と上手に交渉してくれたのに違いない。お蔭様で飲んで食べて会話も弾む。そして、それぞれ宿舎へ送ってもらった。松野には全員が泊まれる宿が無いのか、夫婦3組は成川渓谷保養センター。男5人は「あざみ野」、女性11人は3組に別れて「やなせ」「蕨」「さむそん(作夢村)」と4軒の民宿に泊まる。


7月5日(日)

坪内ネンテンさんと松野で句会

(レポート:藤野雅彦・山本みち子/フォト:おおさわほてる・中原幸子


 朝、山々は霧に包まれ、鴬がしきりに鳴いていた。
 

 それぞれの宿を出発。揃って句会場芝不器男記念館へ。ここは芝不器男(明治36年〜昭和5年)が生まれ育ったところだ。


 小1時間記念館を見学の後、いよいよ本日のメーンイベント・句会ライブがネンテンさん谷さやんさんの司会で始まる。句会にはご当地の「」所属の方たちなど多数参加されて賑やかになる。


 司会進行はネンテンさん谷さやんさん。(↑)(↓)


 こちら(↓)は会場風景。


 出句は全部で102句。以下、選ばれた句を見てみましょう。

坪内稔典選
 梅雨の窓三角形になりたがる谷さやん
 茄子曲る胡瓜も曲る闇深し河野けいこ
 青柿を見上げ不器男の話して中原幸子

谷さやん選
 予土線は狭霧草むらネムの花坪内稔典
 青田又青田雨雨雨青田小西昭夫
 桃の実や祖父は正吉目黒の生まれ河野裕子

会場入選句(清記番号順)
 アトリエは二階青田の窓四つ渡部ひとみ
 青田風沖にロシアの船が行く植田かつじ
 昼顔や不器男のパイプ残されて岡本亜蘇
 夏草の闇の吐息の甘酸っぱ陽山道子
 青田青田しおかぜ5号松山へ長谷川博
 梅の実のこんなに甘く香るとは小西 昭夫
 捩花の明日といふ日を知らざりき松本秀一
 旅鞄黄色い朝顔咲いたかも小川弘子
 梅雨冷えのわたしときどき遺失物野本明子
 落人も見たかもしれぬ合歓の花村上栄子
 松野へと西施の合歓を追いかけて山本みち子
 夏草や二分遅れの駅時計 布 久光
 あおあおとわたしを吸うて夏の霧中原幸子
 朝の雨ジューンドロップより街道へ尾崎淳子
 家の匂い人の匂いのある青田東 英幸
 夏霧や千人分の米作る河野けいこ
 今日だけは無口になるの桃を剥ぐ 河野裕子
 風鈴と不器男にそっとお辞儀する小川弘子
 あじさいのそれは気分なことの白野本明子
 いくたびも鰻の値段聞きにけり植田かつじ
 どくだみの白エッチングの一閃村上栄子
 にはとりはとぶかとばぬか青田風 山本みち子
 万緑を溶かして四万十川蛇行せり布 久光
 ここがかの不器男の家か苔の花藤野雅彦
 四万十川を串差しにして夏列車布 久光
 瀬戸の海越えて来たのか夏の蝶藤野雅彦
 炎天下吾もミミズも魂ひとつ 山下楽鳳
 三間米は一番かつおは三番尾崎淳子
 皐月伴(とも)肩寄せにけりポッポの湯芝  天
 雨蛙雨の匂いの今日の色中居由美
 折込を広げて剥くや夏蜜柑谷きよし
 アトリエの窓は青田と山脈と 坪内稔典
 ぐんぐんと滴育ってゆく緑雨中居由美
 メゾチント静かな光青田波陽山道子
 七月四日松本秀一は線だ中原幸子
 夭折の不器男涼しく語られし布 康江
 川音を連れ去ってゆく夏の霧 東 英幸
 跣足はだしぽっぽ温泉シュッポッポ長谷川博
 ひるがほに近くて遠き海の色松本秀一
 あれは富士(とみす)山ではない合歓の花谷さやん
 まくなぎの眠くからんで道の雨谷さやん
 友十人駅弁買ってA列車 陽山道子
 風薫る名ガイドさんおやじギャグ長谷川秀子
 十薬や道ある限り雨の中岡本亜蘇
 梅雨寒や万年筆の細き文字谷きよし


 12時に句会ライブを終える。

 昼食は、との町の「たる井」。前日、バスのなかで注文をしていた、鰻定食、鮎定食、てんぷら定食をいただく。



 そして、ティータイムはTODAY’S GALLERY



 一路松山へ。もう一泊する人以外は帰路に就く。

 全日空ホテルに泊まった8人は、ねんてんさんの提案で朝6時半から松山城の城山に徒歩で登る。昨夕も〈遠山に日の当りたる枯野かな 虚子〉の碑まで急な石段を登っており、なまった足腰には結構きつい。

 朝食をすまし、タクシーで砥部へ向かう。小雨の中を窯元を見て回る。砥部には約60の窯元があるが、最近は若者たちの今風なやきものも多い。陶板の道はけっこうな上り坂だ。登り切った所に伝統的な砥部焼の「梅山窯」があり、それぞれに品定めをする。「冨そば」で昼食をとり松山へ。特急しおかぜで帰る。

 この度は松山句会の方々に大変お世話になりました。
 ありがとうございました。



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