この欄へのお便りをお待ちしています
言葉を探る−バックナンバー
月刊「e船団」 「香りとことば」2019年2月号

 ※ページが正常に表示されない場合は、こちらを参照してください。

梅玉(うめだま)

 松、とくれば、次は梅、と思ったのですが、梅といえば、香り=花、という連想がフツーで、梅の花の香りについては、すごい対談を2015年8月号でご紹介済みなのですね。こちらです。
 他にも、梅に負んぶや抱っこの回がたくさんありますが、でも、そういえば、梅の木って、ソロバンの球になるんじゃなかったっけ、と、うっすらとした記憶が蘇ってきました。中学生の頃ソロバンを習っていて、検定試験も受け、3級まで行ったのに挫折したのですが、私が就職したての1960年代は、まだ電卓も普及していなくて、3級程度の腕でも職場で結構重宝したものです。

 で、ネットで検索してみたら、「そろばんの珠と枠と軸の材料について」というサイトがありました。(1)

 ソロバンの材料の条件が書かれています。
珠材について : そろばんの珠として適している要件は、(1)重い (2)割れない (3)伸縮がない (4)量が豊富、で、この要件を満たしている物は少ないです。
そろばんは計算器具であり、そのため、速算、即ち、珠を速く確実に動かすため重すぎるのも、軽すぎるのも適しません。
速算に向く珠は、樺、柘、柞です。


 あれ? 梅は入ってないですね。でも、取り上げられてはいるのです。
日本産。樺より少し軽い。江戸、明治時代に多く使われました。

とあります。

 おしまいに「球材の名称」という欄があって、
 樺(1)、備後柘(2)、薩摩柘(3)、縞柘(4)、中国柘(5)、柞(6)、黒檀(7)、青黒檀(8)、紅木(9)、紫檀(10)、梅(11)、牛骨(12)、椰子(13)、陸南(14)、白檀(15)

 と、並んでいます。私は半分ほどしか読めませんでした。皆さんはいかがですか? 答はこうです。
(1:かば)、(2:びんごつげ)、(3:さつまつげ)、(4:しまつげ)、(5:ちゅうごくつげ)、(6:いす)、(7:こくたん)、(8:あおこくたん)、(9:こうき)、(10:したん)、(11:うめ)、(12:ぎゅうこつ)、(13:やし)、(14:りくなん)、(15:びゃくたん)

 ずいぶんいろんな種類の材料が使われています。でも、私がソロバンを始めたころ、父が「上等のソロバンは象牙の球や」と言っていましたが、このリストに象牙はないですね。いま、ワシントン条約などのこともあって、ソロバンの材料として簡単には使えなくなっているのでしょうか?

 それはそれとして、こんな梅玉のソロバン、売られています。(2)


ヴィンテージ算盤初代永台17桁梅玉(V-174-0011)≪限定商品≫
販売価格 756,000 円
不世出の名工、初代永台(エイダイ)の82歳の作。ニスを使わないトクサ仕上げ。永台特有の無駄をそぎ落とした端正な外観は、我が国そろばん史上の頂点と言える。枠を薄く軽く仕上げることにより、玉の弾きが一層安定感を増してくる。玉の重さがビンビンと伝わってくる安心感が、弾き手の集中力を高めてくれる。このクラスの名工の短い桁のそろばんはたいへん珍しく、遊び心満載の贅沢品です。


 75万6千円! オカネの問題じゃないのかも知れませんが、これでは恐れ多くて弾く気にはなれません。

 象牙のも、ヴィンテージものはありました。サスガ(!)な値段です。1,620,000円!

 で、ですが、まあ、あの、例えば大阪城公園の梅林は、
大阪城二の丸東部分にある約1.7万平方mに約1270本の梅が植えられている。梅の種類は早咲きから遅咲きまで約100品種揃っているので、1〜3月と長い期間、梅の花を楽しむことができる。

とのことですが、この梅たちの幹の曲がりくねりかたを見ると、

ひらたくより

 とても柱にはなりそうもなく、ソロバンの球とはまた、よくも見つけたり、という用途だと感心します。

 ところで、花はいい香りを放って、私たちを楽しませてくれますし、実は実で梅酒や梅干しになって食生活を豊かにもしてくれ、それぞれ特有の香りがありますが、幹ってどんなニオイなんでしょうか?
 例の、「香料」の特集号「葉・根・幹・樹脂の香り」(3)にも梅の木の切り口の香りって出てないのです。幹がなかったら立ってられないのに、みんなこんなに無関心でいいの? って感じです。
 「正しい梅の剪定の仕方!」(4)というページを見ると、梅の剪定の最適期は9月ごろらしいので、こんど剪定が行われるころに大阪城公園の梅林に行って、品種ごとに枝の切り口を嗅いでみることにしましょう。
 梅見といえば花、と決まってるようなモノですが、梅の木嗅ぎというのもオツなものかも。乞うご期待。(中原幸子)

【2月1日追記】
 今月も読者の方からうれしいメールを頂きました。こんな卒業記念、羨ましいですね。
 「『梅玉』とは何のことかと思ったら、そろばん玉とは驚きました。
 大阪城公園の梅林に触れられていましたが、あれは『大阪府立北野高校の卒業生(六稜同窓会)が開校100周年事業として、22品種、880本を大阪市に寄付した事で、昭和49年3月に開園』と大阪城公園のホームページにありました。私も少額を出したような記憶があります。」

【参考文献】

(1)そろばんの珠と枠と軸の材料について(http://www.maruho-soroban.co.jp/material.html)
(2)雲州堂「ヴィンテージそろばん」(http://xc528.eccart.jp/n556/item_detail/itemId,106/)
(3)「香料」編集事業委員編「香料」No252(日本香料協会、2011年)
(4)「正しい梅の剪定の仕方!」(https://s.webry.info/sp/hige-oyaji.at.webry.info/201001/article_7.html)



トップへ戻る