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言葉を探る−バックナンバー
月刊「e船団」 「香りとことば」2019年8月号

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酢を飲めば……?(すをのめば……?)

 先月、「食べる酢」(左)と「飲む酢」(右)をご紹介しましたよね。


 左の「食べる酢」はグミで、おいしい、と、先月ご報告しました。
 で、こんどは「飲む酢」を、マニュアル通り4倍に水で薄めて飲んでみました。
味は、そうですねえ、おいしいからまた飲みたい、という味では、残念ながら……。
 でも、味の他に、もうひとつ、気になったことがあります。「食べる酢」には酢酸が入っていないようなんですね。
 「飲む酢」の方も、原材料名に「」とか「酢酸」とかは入っていません。
 言い訳にすぎませんが、「食べる酢」も「飲む酢」も、容器はとてもきれいなデザインなのですが、表示の部分が読みにくくて確認があとまわしになっていました。その、透明な紙に白い文字で書かれた表示(下図中央)を、はがして、こんな風に(↓)黒い紙に貼り付けてみたら、やっと読めました。


 原材料名に「ゆず果汁(愛媛県産)、果糖ぶどう糖液糖、りんご酢、はちみつ(国産)」とあって、「酢酸」とか、「米酢」とかは使われていません。たしかに、リンゴ酢には酢酸が多量に入っているようなので、酢酸が入っていることは間違いないのですが。

 念のため、遅れ馳せながら広辞苑で日本人の酢の常識を確かめてみました。こうです。

す【酢・醋・酸】
3〜5パーセントの酢酸(さくさん)を主成分とする酸味のある液体調味料。醸造酢と合成酢がある。


 で、この、常識通りの「」も飲んでみるか、と思って、近所のスーパーで買ってきました。いろいろありましたが、ブルーベリーが好きなので、「ブルーベリー 黒酢 ストレート」を。1リットル入り、1本268円+税。


 甘さ控えめ、ほどよい酸っぱさで美味しいんですが、飲み終わった後、ちょっとお水がほしくなる感じ。
 右のカップに入っているのが1回分、100グラムで、これを1日に5回飲むように指示されています。左の容器は1L入りで、つまり、2日分ということ。うーん、これは続けるの、大変じゃないかなあ。

 容器には「届出表示」として、「 本品には食酢の主成分である酢酸が含まれています。酢酸には肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されています。内臓脂肪が気になる方に適した食品です

 と書かれていて、更に、「 本品は事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません

 とあり、その下にホームページのアドレス(1)が示されていて、訪ねてみると、「お酢ドリンク」というページもあって、私が買って飲んでみた「ブルーベリー 黒酢 ストレート」も出ています。

 そんなこんなで、要するに、「脂肪が気になる」人が飲んだとしても、効能が国によって保障されているわけではなく、まあ、ぶっちゃけた話、飲んでみないとわからない、余計な脂肪が減ってスッキリしたら儲けもの、という感じをうけました。

 で、やっと先月お約束した「食酢と健康とその効用」(2)なんですが、そこにはこんな図が出ています。(赤いアンダーラインは私が入れたものです)。

 著者は(株)中埜酢店正井博之という方。この図は、私たちが食べた炭水化物、ここでは澱粉、がどのようにエネルギーとして利用されるのかを示した図なんですが、理論は難しすぎて私の手に負えないので、私流に言わせていただくと、体内でブドウ糖まで分解された澱粉は「グリコーゲン」あるいは「脂肪」として蓄えられる。グリコーゲンは必要に応じてもとのブドウ糖に戻り、エネルギーに変換されるサイクル、つまり(A)コースから(C)コースに入ることができるけれど、食べ過ぎて脂肪になってしまった場合はどうやらそこでたまったしまう、ということのようです。そして、残念ながら、ここでは、このいわば余計な脂肪が、このサイクルへの酢酸の参加によって燃える、とか、消える、とかいうことは述べられていません

 この報文が書かれてから45年あまり、やっと企業がその責任において「脂肪が気になる人は試してみてください」と言えるようになった、ということのようなのですが、さて、ヒトが自分の体に蓄えすぎた脂肪をひょい、と体外に出せる日は、いつくるのでしょうか? では、また来月。(中原幸子)

【参考文献】

(1)mizkanホームページ:http://www.mizkan.co.jp/
(2)正井博之著「食酢と健康とその効用」(日本醸造協会雑誌71(5)、1976年)


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