この欄へのお便りをお待ちしています
言葉を探る−バックナンバー
月刊「e船団」 「香りとことば」2018年1月号_黒パン

 ※ページが正常に表示されない場合は、こちらを参照してください。

黒パン

 本来の黒パンは、ライムギ粉に野生酵母を働かせて、ライムギのおいしさを酸味で生かして発酵させたライムギパンであるが、日本では、糖蜜(とうみつ)やカラメルで着色したパン、またはふすま(麬)を加えたものなども含めて、色の黒いパンの総称である。イギリスのライ・ブレッド、ドイツのシュワルツブロート、フランスのパン・ドゥ・セーグル、イタリアのパーネ・ディ・セガーレが本格的な黒パンで、ライムギの種類の違いにより、また発酵法によって生成する有機酸が異なるため、酸味とその強さにそれぞれ特徴がある。一般にライムギパンは本生地の一部を残しておいて種とする老麺(ろうめん)法が用いられる。ライムギが加熱の温度と時間に敏感なのを利用して、焼き方も、型焼き、自由焼きのほかに隣接(くっつけ)焼きがあり、焼き込み時間も6〜30時間かけることにより外皮、香味が調整される。またライムギはグリアジンとグルテリンの含量が少なく、コムギのグルテンのような強い粘弾性をもたないので、ライムギパンは気孔率が小さく、口あたりも可塑的な食感をもつ。この膨らみをよくするには小麦粉を加えるが、ドイツではこれを混合パンとよび、ライムギ粉が50%以上のものをライ混合パン、小麦粉が50%以上のものを小麦混合パンと規定している。ライムギは産地によっては飼料にも用いられているが、パンに用いられるものはコムギより製粉歩留りが高く、栄養的にはビタミン、ミネラル、ファイバーなどの補給源としてよい。小麦白パンと違って焼きたてはおいしくなく、また消化も悪いので、「ダウアーブロート」(長もちするパン)としての特徴をもっている。ドイツのプンパーニッケルは世界によく知られた有名なライムギパンであり、フランスのメティーユパンはライムギと上質のコムギを混合したおいしいパンである。 [阿久津正蔵]

【ジャパンナレッジ「世界大百科全書(ニッポニカ)」より】


トップへ戻る