矢島渚男の新著『俳句の明日へV―古典と現代のあいだ』(紅書房)に「『古池』の解釈―談話風に―」というエッセーがある。「古池」という芭蕉の時代にはまだ用例の乏しい語に注目し、西行の歌の「古畑」からこの語「古池」を思いついたのではないか、と矢島は類推する。そして、「古池」は春になってまだ冬枯れを残している池であり、この句は「幽玄の句ではなく、むしろ溌剌とした句です」と説く。賛成だ。もっとも、私は「古池」を池としての用途を失って放置された池、と見る(「船団」80号の「古池の句新釈」)。ともあれ、古池の句はわび、さびの幽玄の句として読まれてきたが、「季節の胎動」(矢島)を表現した句として読みなおされてよい。
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