2018年12月16日

焼芋(やきいも)

 蒸気の笛を鳴らしながら、おじさんがやって来る。屋台を停めて店に入ると、別々の二品を「ラーメンライス」と一息に言うのがおじさん流。ほくほくの焼芋を売るその人は秋田の人で、うちの店のラーメンを美味しそうに食べる。父や母の作ったラーメンが誰かを温めている、そのことが嬉しく誇らしく、私は店の奥で息をひそめながら、おじさんがスープを飲み干すまで見届けていた。
 農閑期の季節労働を指していた「出かせぎ」は、今では季節や国境を越えて存在するようになった。コンビニの店員の名札に異国の名を見つけると応援したくなるのは、きっと、あの時の焼芋が恋しいせいだ。
(高田留美、「船団の会」会務委員)


トップへ戻る [今週の季語]・[新季語拾遺]バックナンバー