2017年 4月23日

麦秋(ばくしゅう)

 まる裸が似合う人は、ほんとうに美しい人だ。そして、まる裸が最も似合う季節は麦秋である。麦の穂の高みをゆらして渡る風の中に、痛ましいほどに傷つきやすい裸身を置いてみたい気がする。昔、若い詩人が丸善の洋書の山の中にそっと檸檬を置いたように。
 その時、裸身は檸檬のように、一個の爆発的な情熱を内蔵するだろう。

(木村和也、「船団の会」会務委員)


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