2020年6月28日

夏の窓(なつのまど)

   カント氏の窓半開き揚羽来る    坪内稔典

 何か考えている窓、半開きだから放心の窓かも知れない。ふと、蝶のようなアイディアが浮かんだのかな? 最新の歌集『雲の寄る日』では次の窓が詠まれていた。

   ぽっかりと白雲一つ窓に来た雲は来たとは思わんだろう

 第八句集『ぽぽのあたり』にある「市内バス」という詩では、こんな窓があった。

   窓に頬杖ついている
   そんな頬杖、好きやねん
   たっぷりゆったり海光る

 冬の終わりに始まったコロナウィルス下の生活。家に籠る時間が長いままに夏になった。そういえば自然と繋がることの出来る、窓というものの存在感が大きくなった気がする。窓を通して聞こえる鳥声に敏感になり、日差の移ろいや恵みを改めて思った。季語そのものへ接触する機会が極めて乏しくなったからなのか。一方で人との繋がりは圧倒的にインターネットが増えた。こちらではパソコンの画面自体が、窓そのものだ。
 これからは、稔典さんのブログ「窓と窓」を開ける。会いたいと思えばいつでも会える窓であるところが嬉しい。

(藤井なお子、「船団の会」会務委員)


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