2020年4月5日

桜(さくら)

 東京では3月上旬に開花宣言が出され、春分の日は5分咲きといったところだった。しかし、今週は新型コロナの影響で自粛が呼びかけられ、井之頭公園のベンチは座れないようテープが張り巡らされた。桜が咲いたと聞くと、心が浮き立って今年の花を見たくなるのはこの季節が進学、進級、就職と人生の区切りになっているからか。
 「様々なこと思い出す桜かな」芭蕉の句をあげるまでもなく、幼稚園のとき親に抱き上げられて見た桜、入学式のとき正門に咲いていた桜などなど、今までに出会った桜がその年に見る桜と重なって思い出される。「桜は来年も咲きますから」と、どこかの知事が言っていたが、今年は「見られなかった桜」が東京の人の胸に刻み込まれたことだろう。
(三宅やよい、「船団の会」副代表)


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