2018年1月21日

冬銀河(ふゆぎんが)

ここ数年一月は学校巡りの旅にでる。
昨年の一月は東京のM小学校を訪れた。
聴覚にハンディがある子供たちの通う私立学校で、
S先生が魅力的に俳句を教えている。
それで訪れた。
S先生は「聾は目の子」と賛嘆する。
聴覚の分を視覚で補うことに優れているので
写生の俳句における感性は
鍛えれば鋭さを発揮するという。
授業も手話、
その中で授業中ににこにこおしゃべりをしている
やんちゃな子同士も手話。
それを注意する先生も手話である。
近くに空港がある学校なので
ときどき飛行機のすさまじい音が聞こえる。
怯えてはっと窓を見ると、
その視線を追って
遅れて子供たちも窓の外を見る。
そして「音が聞こえるって、案外不便なものだな」と
手をひらひらして笑う。
私が紹介を受けたとき、
みんなが両手をあげてひらひらしてくれた。
静かな手話の拍手である。

帰路の新幹線の車窓に
夜空の冬銀河は見えなかったが、
かわりに心の中に
暖かな手話の拍手がきらめいている。
百人の手話の拍手や冬銀河 恵介

さて、今週、東京から静岡を経由する旅。
今年もどんなきらきら星と会おうか。
(塩見恵介、「船団の会」副代表)


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