2017年8月20日

蝉(せみ)

 この夏、初めて蝉の鳴き声を聞いたのは7月4日、期末試験の監督中だった。突如聞こえてきた「ミーンミンミンミー」と振り絞ったミンミンゼミの鳴き声に、生徒たちはクスクス笑い出した。私も思わず吹き出してしまった。それからは待ってましたとばかりに、連日早朝より日暮れまでアブラゼミやクマゼミも加わっての大合唱。8月に入ってからは時折ツクツクボウシも合の手を入れるように鳴く。そうしてお盆前の家族が出払った夕方に「カナカナカナ…」とヒグラシの声が聞こえてきた。逢魔が時。胸がぎゅうっと締め付けられるようだ。何て切ない声。首筋を汗が流れていく。インターホンが鳴り、宅急便屋さんがモニターに映る。印鑑を手に玄関へ急いだ。
(尾上有紀子、「船団の会」会務委員)


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