2018年9月16日

台風(たいふう)

 「今夜、台風が直撃する」という日、買い出しに出掛けた。沖縄でのこと。しかも、今回の台風は大型で移動速度が遅いらしい。スーパーに着くと、商品を満載したカートが行き交っている。どの人も嬉々として、何日分だろうと思うほどの食料を買っていく。流れに身を任せながら、娘に「お祭りみたいやな」と囁くと「それくらいでないと、やってられへんねん」と冷静な答え。この地に慣れてきたということか。
 その晩、本当の嵐の洗礼を受けながら、昔の人を思った。自然の力を目の当たりにした時、歌い叫ぶ人や、 踊り狂う人がいたに違いない。たがを外して身を守る本能。どうやら、この状況で眠り続ける娘にも備わっているようだ。
(高田留美、「船団の会」会務委員)


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