
| 週刊:今週の季語 バックナンバー 2005年1〜3月 |
|
2005年3月27日 沈丁花
最近、自転車にばかり乗っている。前は歩いて行っていた所でも、スーイッと行けてしまうから。だけど、ぽかぽか陽気のこの季節は別で、ゆっくり歩いて行こうかなっという気分になる。で、歩いてゆくと、あっと思う。この香り、沈丁花だなと思う。思ったあたりを見回すと、少し後方にこの花がある。大体いつも二三歩過ぎた所で香るところが、なんとも憎いなぁと思う。 (黒田さつき (船団の会 編集部)) 2005年3月20日 黄水仙
萩焼の抹茶茶碗を使いこなす内に茶碗の底が何とも得がたい色に染まった。そのことを「萩の七化け」といっていると聞く。そこで、使用するにつれてさまざまに変化する不思議さを持つ萩焼の窯元を突然訪ねることにした。 (藏前幸子(船団の会 編集部)) 2005年3月13日 土筆
『広辞苑』で土筆を調べると、異称として「つくしんぼ。筆の花。古称、つくづくし」と書いてある。土に刺した(生えた?)筆というイメージは誰にも思い浮かぶ。でも、最初にこの字を当ててみた人はさぞ得意だったろう。日常で筆を使うことのめっきり減った現代でもこの表記は変わらず使われている。そうして僕のように愉快に感じている者もいる。 (笠 学(船団の会 編集部)) 2005年3月6日 豌豆の花
日本の春は太平洋からやってくる。今年、私の春はベランダからやってきた。
昨年の11月上旬に生まれて初めて作物の種をまいた。豌豆の種5粒。そんじょそこらにある種ではない。ルーツはツタンカーメン王凌の副葬品だったという代物。俳人ふけとしこさんからの賜り物だ。その花が2月の中旬から咲き出した。「美」はまさにこの色(ワインレッド)にあり、この形(蝶形)にある。葉に覆われていた蕾がゆっくり展開していく様を日々飽かず見つめている。そして今日、最初に咲いた花が枯れ、緑色の莢が出てきた。縁は紫色だ。紫の莢がツタンカーメンのエンドウの特徴なので、いずれ全部紫色になるのだろう。実を収穫したら……正真正銘の初物でお赤飯だ。豌豆の花が春を連れてきた。 (岡村和子(船団の会 編集部)) 2005年2月27日 春の土
約25キロの「春の土」をビニール袋から取り出し、ピアノ線で7キロくらいを切り取った。残りはまたビニール袋に戻して、丁寧に空気を抜き、口をゴムバンドで止め元の場所に戻した。切り取った約7キロの「春の土」をテーブルに置いてしばらく眺めた。ちょっと赤みを帯びた土で、荒めの珪砂を含んでいる。今度はそれを練るのだ。始めは冷たかったけれど、もう「春の土」なのだから体温を奪うほどの冷たさではない。左手で土を押さえ、それを中心に右手で外側から回すように、反時計回りに回しながら練ってゆく。練った形が菊の花に似ているから菊練と呼ばれている。程よく練れたら弾丸の形に整えて終了。 (小倉喜郎 (船団の会 編集部)) 2005年2月20日 入学試験
受験シーズンまっただ中である。模擬試験の結果が返ってくる度に、一喜一憂する
な、自業自得だ、と叱咤してきた我が家の受験生も、先日挑んだ。発表までの3日
間、吐きそうだとのたまっていたが結果は○。ほっ。しかし本命の試験日は来月であ
る。その日、母は別の高校で試験監督をして採点もする。複雑な心境だ。本人が一番
大変なのは承知しているが、家族も結構しんどい。田舎の祖父母がお守りを送ってく
る。洗濯物を干しているベランダ越しにお隣の奥さんが、ねぎらってくれる。ゴミを
出しに行くとお向かいの奥さんが案じてくれる。みんながエールを送ってくれる。息
子よ頑張れ! (尾上有紀子(船団の会 編集部)) 2005年2月13日 堅雪(かたゆき)
春めいてくると日中の気温が上がって積もった雪が融けかかり、夜にうんと冷え込むと表面が堅くなって凍りつく。 (岡 清秀 (船団の会 編集部)) 2005年2月6日 山笑う
春にはいろんなことを思い出します。大学に落ちたこと、教師になれたこと。可愛がってくれた、恩師と夫の父が急逝したのも春でした。 (朝倉晴美 (船団の会 編集部)) 2005年1月30日 煮凝り
2月4日が立春。先日、春告げ魚の呼び名で親しまれているメバルを釣りに行った。淡路島辺りに船をだしたが、身に覚えのないほどの貧果だった。何とか四、五匹持ち帰り、煮付けにした。ほこほこと旨かったので大ぶりのメバルの身をほぐし、煮凝りにした。まだまだ、春は遠いけれど、花菜漬けを添え、やわらかに酒を楽しんだ。 (南村健治 (船団の会 編集部))
2005年1月23日 牡蠣(かき)
僕の冬の好物といえば、なんといっても牡蠣だ。あのミルキーでジューシーな味わいと、独特の食感。今、思い出しても涎が出てきそうなほど好きである。 (徳本和俊 (船団の会編集部))
2005年1月16日 風邪
犬と猫を一匹ずつ飼っている。犬の名前はモモ、猫はシロで、どちらも雌である。二匹とも、とても寒がりでモモは昼間、外にいるのだが風が強くて寒い日は玄関の中に入れてほしいと泣き叫ぶ。もちろん夜は家の中で眠るのだ。シロは冬の間、居間のホットカーペットの上で、ごろごろと過ごすのが日課である。私は今、風邪気味で咳が出て、ぐずぐずとした日々を過ごしている。なかなか治らない原因のひとつは、夜中にシロが寝室に入ってくるのだが、上手に障子を開けても閉めないからである。何回か注意したが聞いてくれない。閉め方を教えても、どうも覚える気がないらしい。何かいい対策を考えたい。 (小枝恵美子「船団の会」編集部)
2005年1月9日 雪
朝、雪の音で目覚める、・・・・といって、どんな音かおわかりだろうか。雪は積もってしまうと全ての反響を飲み込んでしまう。だから、雪の朝はとても静かなのだ。靴音も人の声も、くぐもった白い壁に吸い込まれて消えてしまう。 (わたなべじゅんこ (船団の会編集部))
2005年1月2日 初日の出
数年前、生駒山の山頂で初日の出を迎えようと思い立った。朝5時ごろ家を出て近鉄生駒駅からケーブルカーに乗り込み山頂へ。山頂は遊園地(現在は冬季休園)になっており、いろいろと遊戯施設がある。日の出までの時間、寒さをこらえるべく体操したり歩き回ったりしているうちに予定の時刻がきた。ところが、東方の矢田丘陵の上に雲がかかってなかなか太陽が顔を出さない。もう出ているはずなのにと、やきもきしながら待つうちに、ついに出た。ぴかりと一閃、あとはぐんぐん光量が増し、お日様登場。あの瞬間はやっぱり感激の一言である。寒さでつらかった思いも吹き飛んで、幸せいっぱいの気分だった。 (水上博子 (船団の会 編集部)) |