週刊:今週の季語 バックナンバー 2005年10〜12月
2005年12月25日

クリスマス

 クリスマスはローマ教会で定められた降誕の祝日で本当のキリストの降誕の日は不明だそうです。日本ではあまり宗教とは関係なく、誰でも祝えるイベントと化しています。
 僕は合唱をやってるのでクリスマスにクリスマスキャロルをよく歌います。クリスマスキャロルは代表的な物に「もろびとこぞりて」や「きよしこの夜」などがありますが、個人的にはエストニアやノルウェーなどの北欧の曲が暖かくて好きです。
 ぜひ皆さんもクリスマスに演奏会を聞きにいって暖かい気持になりながら一句ひねってみてはいかがでしょうか?

(徳本和俊 (船団の会編集部))


2005年12月18日

銀杏落葉(いちょうおちば)

 地下鉄の本町駅の階段を上がると、銀杏落葉が風に舞っていた。この時期の御堂筋は銀杏並木が最後の華やぎを見せている。淀屋橋から心斎橋近くまで27体の彫刻が舗道に立っている。オシップ・ザルキンの「アコーディオン弾き」は、初冬の色合いを奏でており、反対にフェルナンド・ボデロの「踊り子」は肥満の女性が片足を上げているユーモラスな像で、銀杏の明るさを引き立てている。ロダン、キリコ、忠良の像を眺めながら淀屋橋まで歩いた。この日の午後はクロアチアから来たピアニスト、マキシムの演奏を聴いた。中でも、ムソルグスキー作曲の「展覧会の絵」がとても印象的だった。会場を出て歩き出すと、落葉が刻を持ち去るように走り去った。

(小枝恵美子 (船団の会 編集部))


2005年12月11日

竈猫(かまどねこ)

 ネコは家中で一番暖かい場所をよく知っている。炬燵に足を突っ込むと、ムグっと押し返される。中でネコが両前足で突っ張っている。さあ、寝ようと寝室に行けば、電気行火の上でしっかり丸く収まっている。テレビの上、ヒーターの上は当然のこと、最近は名前を呼ぶと、熱帯魚の水槽のうえで「にゃあ」と返事する。いつ落下するかとこちらは気が気でない。
 宮沢賢治の童話に『猫の事務所』というのがある。竈に入って眠る煤けた猫がいじめられる話。最後は獅子の一喝で物語は終わる。大好きなアスランの物語も映画化された。そういえば獅子もネコ科の動物だ。

(わたなべじゅんこ (船団の会編集部))


2005年12月4日

石蕗(つわぶき)

 大阪・道修町の少彦名(すくなひこな)神社の「神農祭(しんのうさい)」に出かけた。この祭は毎年11月22・23日の2日間行われ、町の通りには屋台が所狭しと並ぶ。お守りは笹につけられた小さな「張り子の虎」。日本の薬祖神である少彦名命(すくなひこなのみこと)と、中国の医薬の祖神である神農氏が祀られており、薬業界の守護神であるとともに、人々に神農さんと親しまれ、健康を祈願する参拝客が絶えない。今年も多くの人々で賑わっていて、長々と行列して参拝したことだった。
 あちこちに石蕗が咲いている。黄色い花とつやつやとした丸い葉がとても美しい。三橋鷹女は「つはぶきはだんまりの花嫌ひな花」というけれど、私は大好きな花である。

(水上博子 (船団の会 編集部))


2005年11月27日

蔦紅葉

 紅葉がきれい。明るくなった雑木林の中ではことに“通草の蔦かづら”が気になる。葉が落ちるとその蔓は「どれくらいの大きさかな」など思うのである。趣味の焼き物の“急須の把手”を作るためだ。
 近年、いろいろな蔓で籠を編んだりオブジェを作るのが盛んで、ただで手に入れるのは難しい。ところが近くの散歩道で小さい“通草の蔓”を見つけたものだから、自分にしか判らない目印をつけたい気分だった。でも下刈をされたり、雑木林そのものが無くなったりしてしまった。それで、植木屋さんで“通草の苗”を買った。でもこれも使えるほどには育たないから、もっぱら葉や黄葉を楽しんでいる。わたしの“急須”は把手のないまま飾ってある。

(陽山道子 (船団の会 編集部))


2005年11月20日

冬薔薇(ふゆばら、ふゆそうび)

 冬薔薇という品種があるわけではなく、冬の日ざしの中に咲き出る薔薇の総称だとか。てっぺんに真紅の薔薇が一輪だけ、というケースが多いような気がする。
 「ありがとう」という文字入りの花瓶に挿された薔薇は、無地の花瓶のより先に咲く、という。頼まれてその花瓶を焼いた方からお聞きした話である。 冬は特に効き目があるかも。「お、もうちょっとだな」、「よしよし、綺麗だぞ」、「かわいい!」など、いろいろ試してみたい。「咲くな、バカ」「好きだよ、二番目だけど」なんてイケズなのも。

(中原幸子 (船団の会 編集部))


2005年11月13日

ホットケーキ

 我が家の細君、「立冬だから」と息子らのおやつにホットケーキを焼くという。「ホットケーキ=豪華なおやつ。友達が来たときに焼くもの」、という認識の僕。冬の子供のおやつといえば、酒の粕をあぶり、間に砂糖を挟んでたたんだものをほおばるもんだ、ホットケーキに冬も何もないだろう、とからかって手元にあった『平凡社版俳句歳時記 冬』で調べたら、なんと、冬の季語。しかも「鉄板で丸く焼き、二枚重ねて上にバターをのせ、糖蜜をかけて熱いうちに食べる。手軽に作って・・・」とまで丁寧な説明。見事に月並みな二枚のホットケーキに、40リットルの樹液から1リットルしかとれないというメイプルシロップをかけ、時計の針のようにバランスよく切り分けて食らう愚息らを後目に、頭の中で「そうか、『手軽に』『二枚重ね』なのか・・・」と何度もつぶやくぞよ、父たる我は。
 ちなみに、この季語、例句はまだない。

(塩見恵介 (船団の会 編集部))


2005年11月6日

おでん

 最近奇妙な三角関係に悩まされている。ひょんな事から我が家にリーチがやって来た。シナモン文鳥の彼はめちゃくちゃ可愛い!
 くりくりの丸いおめめに見つめられると、もう「どうにでもして」という気分になる。私の頭のてっぺんからつま先までピョンピョン飛んだり嘴でつつかれたり、されるがままだ。  耳元で囁かれると、「何がほしいの?ご飯、お水、それとも水浴びしたい?」とご機嫌を伺ってしまう。
 けれどリーチが一番愛しているのは私の夫。夫の姿が見えると一目散に飛んで行くし、姿が見えないとそわそわ落ち着かない。私は夫に焼もちを焼いてしまう。
 そろそろおでんの美味しい季節。三人で仲良く食べたいな。三角のこんにゃくははずせない!

(黒田さつき (船団の会 編集部))


2005年10月30日

紫式部

 地方都市の交差点で園児が事故にあった記事に胸が痛みました。加害者は見通しの悪さを嘆いていた様ですが、この記事をきっかけに、私の散歩コ−スの曲り角に点数(百点満点)を付けて見ることに・・・。運転免許証のない私は、交差点を囲むように家屋が建ち並んでいる事にあらためて驚きを感じました。三叉路の一方通行合流地点は、さすがに三角形の緑地帯が有り、又、信号機のある交差点の角地は屋敷跡があり花壇となっています。最近は紫式部がこぶりながらむらさきの実を沢山付けています。赤信号のとき人々はリラックス出来るようですが、花泥棒が増えたとか。  交通安全を願って、曲り角の点数は20点でした。

(藏前幸子(船団の会 編集部))


2005年10月23日

 大阪城公園の植木市で見かけた植木とその値段は、たとえば次のようなものだ。ウメモドキ6千円、ザクロ8千5百円、次郎柿3千円、南天2千5百円。植える庭もないのにのぞいて回ったりして、申し訳ないことをしたけれど、木の名前を覚えるには好都合である。店のお姉さんが、いかがですか、と声をかけてくると、ええまあ、とかなんとか言って、でも、しばらくはそこから離れない。柿は、1メートルほどの細い木に熟れた実が割とたくさんついていた。頼りなさそうに見えて、結構、育つのだろう。それに、もし失敗しても、見方を変えれば、枝つきの柿を買ったようなもので、人気のある植木のひとつなのかもしれない。

(笠 学(船団の会 編集部))


2005年10月16日

紅葉

 「かめぇー」。こどもが大きな声で呼びかけた。目線からすると亀ではない。車道を挟んだ向こう道から、「来ちゃだめー」と女性が叫ぶ。足元には小型犬。ここは小学生の通学路。アメリカフウの並木道。女の子は女の子と男の子は男の子とわいわいがやがや、お喋りが弾んでる。通勤時間を少しずらすとここは親子の通園路。幼子は路上や両脇の樹木の下から何かを見つける名人だ。立ち止まったりしゃがみこんだり、関心の趣くままに道草を愉しむ。
 「左側に寄れッ。道の真ん中歩くなー」。交差点を渡ったとたん、いきなり頭上から大声。私学の男の先生だ。ここからは中学生の通学路。先生は時々チェックポイントを変えるのだ。
 この坂道のてっぺんにあるアメリカフウから紅葉がはじまった。

(岡村和子(船団の会 編集部))


2005年10月9日

秋晴

 陸ガメを飼おうと思って某チェーンのペットショップへ行った。カメならきっと手間もかからず、菜っ葉さえ与えておけば数日はだいじょうぶだろうと思ったのである。幸い菜っ葉なら我が家には売るほどある。それになつくとけっこうカワイイとも聞いていた。長生きもするだろうし。
 流行なのか10種類くらいのカメがいて、それぞれ甲羅の模様が違い、どれにしようかと悩んでしまう。値段は1、2万円だが、中には数万円のものもいる。店員にカメの飼い方を尋ねてみるとずいぶん丁寧に教えてくれた。毎日15分くらいは風呂に入れ、排便を促してやらなければならない。匂いもけっこうきつく、こまめに掃除をしてやらねばならない。水槽にライト、ヒーター等設備も必要だ。ひととおり聞いてから「はあ、そうですか・・・」と店員に言って、すごすごと帰ってきた。秋晴れの穏やかな1日であった。

(小倉喜郎 (船団の会 編集部))


2005年10月2日

 帰宅して郵便箱を開けると、小包の不在通知があった。誰だろう?と思いつつ、もしかして?と差出人を見ると、やはり丹波に住む元上司からの栗だった。バス停にイガ栗がたくさん落ち始めていたので、今年もそろそろかな?と予測していた。
 いつも箱を開けるとお人柄のにじみ出る力強い短い手紙が入っている。田舎のだだっ広い学校で過ごした2年間を思い出す。どこまでも続く田んぼの間を車で1時間かけて通勤した。隣には農業高校の牛が放され、線路は単線と牧歌的風景に囲まれていた。栗を剥きながら(最近は優れモノの「くりくり坊主」という名の栗剥き専用ハサミで剥く)そんな思い出に浸るのである。

(尾上有紀子(船団の会 編集部))