
| 週刊:今週の季語 バックナンバー 2008年7〜9月 |
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2008年9月28日 さつまいも
造船マンから畑の人に変わった父から、さつまいもが送られてきた。なかなか立派なさつまいもである。近頃はもぐらや猪、鹿まで畑を荒らしに来るようで、畑仕事も大変らしい。母との二人暮らしなのだから少しだけ作ればいいのに、種は残せないからと1袋全部蒔き、育てるのが楽しいからと大量に作っては送ってきてくれる。いも類は長期保存ができるが、段ボール箱いっぱいのさやえんどうやピーマン、きゅうりなどは足が速く、送料の方が高くつくだろうと思うが、どうやら送るのも楽しみのひとつらしい。家族だけでは食べきることができなくて、ご近所に配り歩くことになり、おかげでコミュニケーションがとれる。私は天ぷらやパウンドケーキにして食べたが、お隣はさつまいもごはん、お向かいはスイートポテトにしたらしい。ところで、子どもの頃は芋床という大きな木箱の中に籾がらが入っていて、その中で芋がごろごろと保存されていた。ふとあの籾がらの感触を思い出した。 (尾上有紀子(船団の会 会務委員)) 2008年9月21日 秋祭(あきまつり)
ポーン、ポーン。ポン菓子屋の米を破裂さす音が村中に響く。やがて、笛と太鼓の音が聞こえ、村の人々が集まって来る。裃に陣がさを被った男たちに曳かれた地車(だんじり)の太鼓を二人の青年が敲く。派手な青色の着物を纏い、地面まで届くほどの白くて長い襷と鉢巻をして、大きな身振りと勇ましい掛け声で敲く。手にしている撥は繰り返してきた練習の血で赤く染まっている。地車は鎮守の杜へと向かい村人が続く。本殿に「ねりこみ」が奉納され、境内では餅まきが始まる。数字の書かれた餅を競って拾い合う。一等は布団。餅まきが終わり、お神酒を口にするとそれぞれが帰っていく。ポン菓子屋も屋台を仕舞う。故郷の秋祭は終わった。 (岡 清秀(船団の会 会務委員)) 2008年9月14日 鵙の声(もずのこえ)
ある朝、私を呼ぶ声がする。過ぎた季節をひきずって溶けたように怠惰な私を。「もうすっかり秋ですよ。しゃきっとしなければいけませんよ」 (山田まさ子(船団の会 会務委員)) 2008年9月7日 虫時雨(むししぐれ)
民宿に着いた。明日、山に登る予定。夕食後麻雀開始。窓先に民家の藁葺きの屋根。涼しい風。裏手の山の斜面は虫時雨。がちゃがちゃがちゃ、リーンリーンリーン、すーいっちょん。ぶっ通し四時間運転してきた僕への慰労が趣旨の麻雀だから僕に勝たせてやると、年長のUさんの御託宣。その気になってほろ酔い加減のまま大胆にプレイしていたら、早速振り込んでしまった。麻雀となると実に真剣になってしまう人が一人居る。五時間経過。負けがこんでいる。眠い。夜も更けてきたのに、明日の山登りのことはすっ飛んでいるようだ。がちゃがちゃがちゃ、がらがらがら、リーンリーンリ−ン、すーいっちょん。もーいっちょん。 (宮嵜 亀(船団の会 会務委員)) 2008年8月31日 秋の海(あきのうみ)
和歌山県海南市のマリーナシティへ車を走らせた。ヨットハーバーを過ぎ、橋を渡り、イタリア風の建物が立ち並ぶ一角に着いた。8月の平日とあってか、海産物売り場以外あまり客はいない。もう夏も終りなのだろう。 (陽山道子(船団の会 会務委員)) 2008年8月24日 芋茎(ずいき)
金曜の朝、近くの路地に振り売りのおばさんが来る。おばさんは家で収穫した野菜を積んで、鷹ヶ峰から軽トラでやってくる。このところ、1メートルほどもある赤紫の長い芋茎の束が加わった。ざく切りして、水に放しアクをとって軽く茹でる。ここで色が褪せ、初挑戦者は失敗した!と焦るが、三杯酢で和えると、美しいピンク色が蘇る。わたしはこれに少し擦りゴマをかける。また、お揚げさんと蒟蒻と炊けば、立派なおばんざい。お乳の出も良くなるらしい。芋茎を眺めるばかりの若いお母さんに、主婦の先輩が食べ方を教える。買った人も売った人も「おおきに」と言って散ってゆくのが京都風。 (火箱游歩(船団の会 会務委員) 2008年8月17日 秋の金魚(あきのきんぎょ)
なぜか、瀬戸内海沿いの小さな港町に心惹かれる。 (早瀬淳一(船団の会 会務委員)) 2008年8月10日 稲妻(いなずま)
電車に乗って買い物に出かけようと思い、駅へ。きっぷ売り場できっぷを買おうとしたら、すべての券売機の表示が「発売中止」になっていた。なんでやねんと思っていると、落雷による停電のため電車がストップしているとの放送が。復旧の見込みはたっていないとのこと。お出かけをあきらめて、コンビニでチョコレートを買って家に帰った。 (中谷仁美(船団の会 会務委員)) 2008年8月3日 ばった
手を伸ばせば届きそうな満天の星が、ゲルを包み込む。草原を馬頭琴の音が流れる。馬頭琴は、「スーホの白い馬」でよく知られているモンゴルの伝統楽器である。翌朝、日の出を迎える。空は広い。モンゴルは、人よりも家畜の数の方が圧倒的に多い。杭に老いた羊がつながれている。微動だにせず、最後の時を待っているのだろうか。遥か向こうの丘に羊の群れが移動している。やにわに羊は起き上がり、どこにそのような力が残っていたのだろうか。羊の群れに向かって大きな声で鳴く。きっと一緒に行きたいのだろう。羊の群れが過ぎ去り「キチキチキチ」とけたたましく静寂が破られる。どれほどの数がいるのだろうか。ばったが飛び交い、大草原がゆれる。 (田 彰子(船団の会 会務委員)) 2008年7月27日 花火(はなび)
幼少の頃、富田林に住んでいた。有名なPLの花火は毎年、我が家から見ることができた。日が暮れると、椅子や床ぎを外に出し、花火が始まるのを待った。あの頃は、大仕掛けのナイヤガラの滝などはなかった。ただ、決まって、雨がポツポツと落ちてきたのを覚えている。 (近藤千雅(船団の会 会務委員)) 2008年7月20日 髪切虫(かみきりむし)
先日、家の中を百足が堂々と歩いているのを見つけた。びっくりしたが、あまり大きくなかったので殺虫剤を噴射して退治した。猫が引っ掻いた網戸の隙間から侵入したのだろうか。百足は苦手だ、来てほしくない。逆に来てもらってとてもうれしいのは、黄金虫や髪切虫だ。特に髪切虫はかっこいいと思う。長い触角が好き。それに黒い甲にある白い斑点が涼しげだ。時々庭先にやって来るが、つかまえてじっと見ていると口をぱくぱくさせる、その表情がまた面白い。髪の毛を与えると切るらしいが、まだ試してみたことがない。暑い日々が続くが、日差しもちょっと切ってもらいたいものだ。 (小枝恵美子(船団の会 会務委員)) 2008年7月13日 ごきぶり
キッチンの窓から勢いよく茶褐色の羽を広げて飛び込んできたゴキちゃん。嫌いなごきぶりに叫び声で対処するしかない。瞬く間にドアを伝って姿を消した。以前、退治するために睨みあったことがあり、3億年前から地球上に住み着くゴキちゃんの目は気味悪く凛としていた。咬まなさそうだから我慢は出来るネと独り言のような会話をお豆腐としていた矢先、つぎは背後で、かさかさ音がする。天井に登ったのかと思いきや帰宅した娘が立っていた。「ああびっくりした。ゴキブリかと思ったよ」「私をゴキブリ扱いにするなんて失礼な!」 (藏前幸子(船団の会 会務委員)) 2008年7月6日 かき氷(かきごおり)
今年も見つけました、「氷」の旗を!赤地や青地に白字の「氷」という文字がひらひらしているのを見つけると、シャッシャッという小気味よい氷かき機の音が聞こえてきそうだ。子どもの頃は、舌が赤くなる「いちご」が好きだったが、今は「ミルク金時」が好き。暑い中、勢いよく食べると、決まって頭がキーンと痛くなったものだ。フラッペやスムージーといったお仲間もあるが、やはり、セミ、麦わら帽、ひまわりとともに日本の夏には、「かき氷」がぴったり似合っている。 (尾上有紀子(船団の会 会務委員)) |