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週刊:新季語拾遺(2001年1月〜2004年5月) バックナンバー
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2018年2月11日

恋猫(こいねこ)

 JR元町駅の山側に小さな酒屋がある。外観はモロ昭和。平日夜身体があいている時に、ふらりと立ち飲みに入る。6人も入ればいっぱいになる店内。ある日客はわたし一人だった。テレビのニュース番組を見ながらお母さんと世間話が始まる。そのとき「夫原病」の話題が出ていた。妻は夫が家にいるだけで体調が崩れるとか、夫の食事にだけこっそり砂糖と油を多く入れるとか、えげつない話題に笑いながら、「でもお互い様やと思うけどな〜」とつぶやくとお母さんも「そーそーどっちもどっち」と相づちを打ってくれた。外は恋猫か、猫の鳴き声がしきりにしていた。
(早瀬淳一、「船団の会」会務委員)


2018年2月4日

むささび

 むささびはリス科で尾は太くて長い。夜行性である。 手足についた皮膜が発達し、これを広げると45pぐらいになり 枝から枝へと飛び移り、闇夜を舞う姿は妖怪と恐れられた。 奈良の森で、むささびの姿を今か今かと息をこらして木の上を見つ めていた。姿を現した時は感動的だった。やがてその闇は、むささびが 呑みこんだかのように明けていった。
(田 彰子、「船団の会」会務委員)


2018年1月28日

氷柱(つらら)

 数年前の3月下旬、東京で遊び、鬼怒川温泉、草津温泉を巡る旅に出かけた。新幹線で東京駅に降りると大阪より早く、桜が開花していた。日光は修学旅行で秋に来たことがあり、懐かしかった。華厳の滝や日光東照宮では、積雪があり、風花が舞った。雪の東照宮は一段と鮮やかで、屋根からドサッと雪の落ちる音を聞いた。
 草津温泉は百名山の草津白根山に駒草の花が咲く頃に来たが、この季節は初めて。やはり湯畑から少し外れると積雪があり、ホテルでは、見事な氷柱のカーテンと対面した。日差しを受けてキラキラと輝いている。暖かい所で育った私は、出会えて嬉しかった。鷹羽狩行さんの「みちのくの星入り氷柱われに呉れよ」の句が頭を過り、夜になるのを待って中庭から氷柱と星空を交互に眺めた。夫はというと食事の後もホテルのバーでお酒を飲んでいる。私は氷柱と星空に感動し、夫より得した気分でバーに戻ったのである。
(鶴濱節子、「船団の会」会務委員)


2018年1月21日

冬銀河(ふゆぎんが)

ここ数年一月は学校巡りの旅にでる。
昨年の一月は東京のM小学校を訪れた。
聴覚にハンディがある子供たちの通う私立学校で、
S先生が魅力的に俳句を教えている。
それで訪れた。
S先生は「聾は目の子」と賛嘆する。
聴覚の分を視覚で補うことに優れているので
写生の俳句における感性は
鍛えれば鋭さを発揮するという。
授業も手話、
その中で授業中ににこにこおしゃべりをしている
やんちゃな子同士も手話。
それを注意する先生も手話である。
近くに空港がある学校なので
ときどき飛行機のすさまじい音が聞こえる。
怯えてはっと窓を見ると、
その視線を追って
遅れて子供たちも窓の外を見る。
そして「音が聞こえるって、案外不便なものだな」と
手をひらひらして笑う。
私が紹介を受けたとき、
みんなが両手をあげてひらひらしてくれた。
静かな手話の拍手である。

帰路の新幹線の車窓に
夜空の冬銀河は見えなかったが、
かわりに心の中に
暖かな手話の拍手がきらめいている。
百人の手話の拍手や冬銀河 恵介

さて、今週、東京から静岡を経由する旅。
今年もどんなきらきら星と会おうか。
(塩見恵介、「船団の会」副代表)


2018年1月14日

深雪晴(みゆきばれ)

 先ごろ350万年前の人類の骨が初公開された。サルのように四つん這い状態から二足歩行になったというあの教科書で習った人類の歴史とは別に、この骨の人類(女性)は最初から木の上で生活していたという。まあどっちでもいいけれど。木の上から地上に降り、暑い地、寒い地へと人類は散らばった。はじめて雪を見た人類がいたはずだ。それでも彼らはそこに暮らした。山形は今年雪が多い。駐車場の隅などには雪がうず高く積まれている。京都から山形へ嫁いだ娘は今や雪と楽しく暮らしている。少年たちはマフラーも手袋も要らないという。人間は有能だ。
(小西雅子、「船団の会」会務委員)


2018年1月7日

七日

 一月七日は、長女の誕生日。
 昨年末からのイベント続きで弱った胃の調子などお構いなく、七日の晩御飯は長女が大好きなハンバーグがメイン料理となる。かつて、彼女が幼いころに一度だけ、バースデーケーキに七草粥を取り合わせてみたことがあったけれど、「もう二度としないでほしい」と、強く念押しをされた。
 今年四月から中学三年生になる長女。誕生日に私が作る料理を食べてくれるのは、あと何年かしら。子どもたちが希望を抱き、どんどん自分の可能性を広げ、楽しく人生を送ることができるような世界にするために、大人である私が引き継いでいかなければならないものは何なのか、きちんと考えていきたい。
(工藤 惠、「船団の会」会務委員)


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